《悲嘆の先導者》フォー・トゥーナ Lv 41 女性 ヒューマン / 墓守


司令部は、国民から寄せられた依頼や、教団からの命令を、指令として発令してるよ。
基本的には、エクソシストの自由に指令を選んで問題無いから、好きな指令を受けると良いかな。
けど、選んだからには、戦闘はもちろん遊びでも真剣に。良い報告を待ってる。
時々、緊急指令が発令されることもあるから、教団の情報は見逃さないようにね。


【海蝕】セイレーンの魅せる甘美
簡単|すべて

出発 2018-07-26

参加人数 2/8人 北野東眞 GM
 ルネサンスのヴェネリア地区、ベレニーチェ海岸にセイレーンが現れる。  セイレーンの歌声は美しく、人々の心をとろけさせ、魅了し眠りへといざなうとされる。  指令斡旋をするロリクが渋い顔で告げたのは、セイレーンの伝説だ。  歌声で人々を惑わせ、魅了によって眠りにつかせ、海へといざなってしまう。 「まぁ、この海にいざなわれたら一巻の終わりなんだよなぁ。ここ最近、漁師が魚を捕えようとするタイミングで現れる。漁師たちは一同に幸せな顔をして眠り、そして……目覚めない」  憂鬱な顔で、ロリクはため息をついた。  ここ数日で漁師のほとんどは眠り、目覚めないそうだ。ごく一部――僅かな人数だけが目覚めた。 「目覚めた者には共通点があった。心から信頼する相手に起こされることだ。たとえば親友、恋人、相棒といった心をきつく結んだ相手の切実な言葉と物理的な……んまぁ、殴るわけだよ。それで目覚めているらしい。  まぁセイレーンは魅了持ちだからな。今回は魅了されている相手をそれ以上の魅力でたたき起こすってことだ。もちろん、殴らなくてもなにかしら衝撃があればいいわけだ」  そのあと、というようにセイレーンに対して説明がつけくわえられた。 「このセイレーンの歌、聞くとどうしても眠ってしまう。保有している魔力が多いほど効果が強く、祓魔人は眠りにつきやすいから注意が必要だ。  起きたものがいうには、過去の……なくしたものがなくなっていなかった、正したいと思っていた過去の過ちがなかったことになった未来の夢を、それはとても幸せな夢を見るそうだ。  つまり、今回はセイレーンと戦うが、まず、確実に祓魔人は眠る羽目になる。その間、喰人は海へと引きずり込もうとするセイレーンを制しながら、相棒である祓魔人を起こすんだ。  思わず起きちまうくらいに情熱的な告白をして、相手になにかしら衝撃を与えるんだ。殴ってもいいし、揺さぶるのもいいし、キスしてもいいんじゃないのか?  で、二人そろっていれば難なくセイレーンを倒せるだろう? そうすれば今眠っている人々は起きるだろう。浄化師らしい仕事だろう? がんばれ」 ● ● ●  ざ、ざ、ざ……ほの暗い闇の広がりを照らすのは満月。  海の満ち引きのなか、悲しく、美しい声が響く。  その声に誰もが眠りへといざなわれていく。  眠りのなかへ、そして、それは深い眠りへと。
【海蝕】鐘を鳴らそう
とても簡単|すべて

出発 2018-07-23

参加人数 2/8人 北野東眞 GM
 ヴェネリアの青い海辺に面したベレニーチェ海岸。  地中海にベリアルが進入してしまっていると情報が入り、目撃情報からエクソシストたちにも警備の依頼が舞い込んできた。  白い砂浜に面しているだけあって、新鮮なフルーツ、色とりどりの花が咲き乱れている。  現在は警戒されているため、街はいつもよりもずっと人の数は少ないが、普段命がけの指令と向き合っているエクソシストたちには物珍しく、興味をそそられるものばかりだ。  そのなかでも、この地の観光名所として名高いのが【幸福の鐘】だ。  砂浜を進み丘に上がった所へ、恋人達が鳴らすと幸せが訪れるとされる『幸福の鐘』が存在する。  鐘を鳴らすのが別に同性であっても構わないし、友人同士で鐘を鳴らし、友情を深め合う目的で訪れる者も多いといわれているのだから。訪れるものがどんな気持ちで、そこへと赴き、どんなことを語り、どんな経験から、その鐘をとどろかせるのかも自由だ。  現在は警備中だが、その休み時間の合間を縫って、ささやかな観光と幸福の鐘へと向かうことは難しくはない。  どんな音を、どんな気持ちをこめて、鳴らすだろう。
【海蝕】海辺のヒーローショー
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出発 2018-07-22

参加人数 3/8人 ナオキ GM
 夏。  老若男女、種別も問わず、太陽の下で肌を輝かせて水と戯れる観光客たちの姿で、ベレニーチェ海岸は今日も盛況である。  しかし、 『きゃー! 誰か! 誰か助けてっ!』 『“ゲリアル”よ! ゲリアルが出たわっ』  人々の平和な時間を破壊しに、恐るべき“ゲリアル”たちが次々に現れたではないか。 『ふっふっふ、オレ様は大事に取っておいたアイスをおふくろに食われた恨みで魔物となったゲリアル! 今すぐ貴様らから全てのアイスクリームを奪ってやる』 『わたくしは夏だというのに恋人も出来ずに、目の前で暑苦しくイチャイチャイチャイチャしやがる不届き者を滅却する為に生まれし魔物! 覚悟しなさい、愚かな生き物たち。爆発しなさい!』  まるで花の蜜に吸い寄せられる虫のように。  人々が砂浜で放っていた幸福感たっぷりのオーラに釣られたのか、わらわらと出現し、そして卑怯にも人質をとるゲリアル。  恐怖から泣き出す子どもたち。  寄り添っていた恋人と引き離されるカップル。  海岸一帯に絶望が満ちようとしたそのとき―― 『待てぃ!』  観光客と同じく水着に身を包みつつも、精悍な目をした数人がゲリアルたちの前に躍り出た。  彼らからは、そのやや狭い布地の面積では覆い隠せないほどの正義感が迸っている。 『き、貴様らはまさか……』 『そうだ! こんなこともあろうかと完全に一般市民に擬態して海で遊びながら片時も油断することなく様子を窺っていたエクソシストだ!』 『く、くそ……まさかこんな場所も抜かりなく警護していたとは……! ええい! ここで決着をつけてやる!』 「――っつー感じでこのあとはちょっと派手めにアクションシーンやってもらってえ、なんなら水鉄砲とかでお客さんも濡らして盛り上がってえ、好きにアドリブもやってもらって無事に人質も解放して勝利してハッピーエンド! みたいなヒーローショーをやればさ、お客さんも安全性を再確認してまた例年通りに遊びに来てくれると思うわけよ。ど? ステージならほら、去年まで水着コンテストとかで使ってたやつをまた組み立てればいいじゃん? もちろんエクソシストの人たちには報酬も支払うしさ。まあマイクなんかはないし設備もほとんどないようなもんなんだけど」  水と戯れる観光客たちの姿がまばらにしか目視出来ない、現実のベレニーチェ海岸。  客寄せの為の案を仲間に披露して、海の家のオーナーである男性は満足げに胸を張る。  聞かされた従業員はやや困ったように眉を下げながらも、じゃあ一応教団のほうに頼んでみましょうか、と請け負った。 「来て下さるといいんですけど……」 「でももう告知しちまったからなあ」 「……、はい?」 「いやだから、もう日時も決めて告知しちまってるから。出演者にはほぼぶっつけ本番で頑張ってもらうことになっちまうんだよ」 「ええええぇぇえ?!」
【海蝕】老騎士と海
普通|すべて

出発 2018-07-22

参加人数 6/8人 黒浪 航 GM
 夕方、海の見える丘にたつ丸太小屋で貧しい夕食をとった後、丘を下って、人影のない海岸をひとりのんびりと散歩するのが、その老人――ガレインの日課だった。  ガレインは孤独であり、また、その孤独を彼自身愛してもいたが、彼とて生涯ずっと寂しい独り身だったわけではない。   老人が、その人生でただ一度本気で愛し、永遠を誓い合った女――エメリアが、流行り病で亡くなって、もう五年になる。月日の流れるのは早いものだ。  ガレインは、エメリアが愛した海のそばに彼女の墓をたて、その墓のそばに小屋を建てて、それを終の棲家とした。  小屋に住み始めた頃、一度犬を飼おうかと思ったこともあるが、結局やめた。  相棒は、こいつだけで十分だ――老人は、腰に下げた長剣をじっと見下ろす。  それは、今より数十年前、老人がルネサンスのコロッセウムで剣闘士をしていた時からずっと使っている愛剣で、彼が剣闘士の身分から解放された時、新たな門出を祝う品として当時の主人から与えられたものだった。 『我が盟友にして、最高の男――騎士ガレインへ』  鞘に納まっている鋼鉄の刃には、そう刻まれている。  剣闘士時代の彼は、その洗練された剣技と、紳士的な戦いぶりから、彼を愛する観客たちから「騎士(ナイト)」の愛称を与えられていたのだ。  ガレインは、剣闘士をやめ、街で大工として働くようになってからも、その武骨で実用的な愛剣を自身の分身のように感じて、いつも肌身離さず持っていた。 「風が、重いな……明け方までに嵐になるか……」  湿った南風の吹きつける夕暮れの砂浜を歩きながら、ガレインが剣に語りかけた、その時――彼の視界の隅で突然黒い影が膨れ上がった。 「………っ!」  瞬時に身の危険を察知した老人は、影の正体を確かめる前にさっとその場から退き、腰の剣に手をやる。 「……コイツは……!?」  夕陽の残り火で紫色に染まった海からのっそりと姿を現したのは、巨大な怪物――紅い眼をもつ青黒いカニのような姿のベリアルだった。  ガレインは、咄嗟に腰から剣を引き抜き、身構えるが、カニ型ベリアルは老いて干からびたちっぽけな人間のことなど気にも留めず、砂浜をのそのそと横歩きしはじめる。 「まずいな……」  ガレインは、ベリアルが向かう先に、かつて彼がエメリアとともに暮らした町があることに気がつき、口元を歪めた。 「そちらに行かせるわけにはいかん……」  ガレインは、素早く剣を振るい、鋭い斬撃をベリアルの脚に打ち下ろす――、が、  ガキンッ……!  老人の必殺の一撃は、カニの恐ろしく硬い甲殻にあっさりと弾かれる。 「くっ……」  しかし、カニ型ベリアルは、ダメージこそ負わなかったものの、、町へ向かうのをやめて、ちっぽけな老人と向かい合った。 (よし……)  ガレインは、小さく笑みを浮かべる。 (ここ数日、このあたりの海岸は、教団の浄化師たちが警戒にあたっている……。ここでコイツをしばらく足止めしておけば、そのうち、彼らが駈けつけて来てくれるだろう……)  カニ型ベリアルの巨大なハサミによる攻撃を左右に躱しながら、ガレインがそう考えたとき――、彼の視界の中にさらなる悪夢のような光景が広がった。 「ばかな……っ!」  彼が相手にしているベリアルの背後に、もう一体、同じカニ型のベリアルが出現したのだ。  バシャバシャと飛沫をあげて海から上ってきたベリアルは、真っ直ぐに町へ向かって悠々と横歩きの前進を開始する。  ガレインは、目の前の敵の相手をするのに精一杯で、もう一体のベリアルはただ黙って見送ることしかできない。 「おのれっ……」  老人が、口惜しげなつぶやきを洩らした時、ふいに、砂浜を遠くからこちらに駈けて来る一団の人影が目に入った。  その瞬間、老人の瞳に希望の光が灯る。 「ようやく来たかっ!」  強力な武器を手に砂浜を一直線に疾走してくる教団の浄化師たちに向かって、老人は大声で叫ぶ。 「コイツの相手は、ワシひとりで十分だ! お前たちは、町に向かったヤツを止めろっ!」  その言葉に、浄化師たちは一瞬戸惑う。  老人の身のこなしからして、相当な剣の達人であることは一目でわかる。しかし、どれほどの達人であっても、魔喰器を持たない者がベリアルを倒すことは絶対にできない。  長期戦になれば、老人はいずれ力尽き、ベリアルに無残に殺されてしまうだろう。    この場で老人とともに戦うか、それとも、ただちに町へ向かったベリアルを追うか――浄化師たちは、苛酷な選択を迫られた。
ちょっとしたお願い事を、君と
簡単|女x男

出発 2018-07-24

予約人数 0/8人 ぽた GM
「そうか、もう七夕か」  ふと聞こえて来たのは、道行く人々の話し声。  そう。今日は――七夕。  織姫と彦星の二人のように願い事が叶うよう、短冊に各々の願い事を書いて、笹や竹の葉に飾り付ける行事だ。  広場や公園には沢山の人が集まっている。  老夫婦に新婚さん、幼い兄弟に姉妹、家族で、と。  皆それぞれの大切な人たちとのひと時を楽しもうと、普段は見られない程の人々で賑わっている。  そんな七夕祭りに訪れるのは、まだまだ恋愛には初々しい男女のパートナー。  折しも教団の仕事がないということで、「楽しそうだから、せっかくなら」と参加することを決めたのだ。  ただ。 『ずっと一緒にいられますように』 『どうかあの人と結ばれますように』 『世界平和!』  ちらと目をやった、もう既にくくりつけてある願い事の数々。  他の人たちのそれらを見た後だと、いざ自分たちのお願い事をしたためんとしても、具体的にどうとは、少しばかり恥ずかしくて書きにくい。  かと言って、それぞれが抱くことならあるにはある。  もう少しあれを――もう少しそれを――と思う程度のことなら、口に出したことはないけれども感じていた。    だから願うのは、あまり贅沢はしない、二人分の手で足りる願い事。  今すぐにでも叶うような『ちょっとしたお願い事』を考えるのだった。
受付嬢の夏休み
とても簡単|すべて

出発 2018-07-25

予約人数 0/8人 久木 士 GM
 夏の大きな雲が、広い青空に浮かんでいる。手入れをされた冬服はクローゼットに仕舞い込まれて久しく、洗濯物は半日ですっかり乾くようになった。家々の窓からは物干し竿が突き出し、色とりどりのタオルやシャツをはためかせている。野山の緑は今を盛りと眩く輝き、強い日差しは石畳の白と影の黒との美しいコントラストをあちこちで生み出していた。  あなたたちが訪れたのは、ソレイユ地区アールプリス山脈のふもとにある小さな町。任務を終えたあなたたちは、久々の休暇を利用して遠出していた。町を歩いていると、街路樹で日差しを遮られたテラスのあるカフェを見つける。そこに空席があることを確認したあなたたちは、そのまま席に座って給仕を呼んだ。彼はライムを絞った水をあなたたちにサーブし、メニューを置いて店内へと戻る。穏やかな葉擦れと、近くの広場で演奏される音楽を聴きながら、あなたたちは注文を考える。穏やかな夏の一日だ。あなたたちはメニューから一旦顔を上げ、店の雰囲気を知るためにテラス席を眺めていると、この場所にあるはずのないものが視界に飛び込んできた。あなたたちは目をぱちくりさせ、互いに顔を見合わせてもう一度「それ」を見る。間違いなかった。はす向かいの席で一人座っているのは、普段司令部で受付をしている教団員だった。 「あー、浄化師さんですかあ。どうしてこんなところに……」  普段は溌剌としているはずの彼女が、今日は海岸に打ち上げられた海月のようにぐったりとしている。それはこちらの台詞だと言わんばかりに、あなたたちは同じ質問を返した。 「私は早めの夏休みです。司令部の人間が同じ時期に休暇に入ったら、皆さん困っちゃいますからね。でもそれが、どうしてこんなことに……」  彼女はすっかり温くなったレモネードのグラスを握って、遠くをぼんやりと眺めている。どうやら彼女には深刻な問題がありそうだった。しかし、彼女は何故休暇中に制服を着ているのだろう。彼女はそこまで仕事熱心なのだろうか。そう考えたあなたたちは、席を移動して彼女の話を聞くことにした。注文はとりあえず、シャーベットを二つにした。 「せっかくのお休み中にすいません。なんか邪魔しちゃったみたいですよね……」  休暇中の教団員は、追加のバニラアイスをスプーンの先でつつきながら話す。やはり今日の彼女は精彩を欠いている。少しずつ、しかし着実に溶けていく彼女のアイスを見ながら、あなたたちは考えた。給仕の男性がシャーベットを二皿運んでくると、あなたたちはそれを一口食べる。滑らかで程よく甘い氷が口から喉へするりと落ち、体を内側から冷やしてくれるようだった。 「先ほどもご説明しましたけど、私は休暇でここに来ていました。でも今、ちょっとした仕事に巻き込まれてまして……」  消え入るような声で彼女は言う。アイスクリームのてっぺんに乗ったチェリーが、皿の上にぼとりと落ちた。旅行先で仕事に巻き込まれるとは、これ以上ない災難と言っていい。休暇中と言った割には制服を着用していることについても、これで腑に落ちた。あなたたちは彼女に深く同情する。地元産の果物を使ったシャーベットは、後味がすっきりとしていておいしかった。次は店主こだわりのブレンドという触れ込みのアイスコーヒーでも頼むべきだろうか。あなたたちはメニューを開きつつ、彼女の話に耳を傾けた。 「実は今、町の周辺である生物が大量発生してるんです。カリュウモドキって言うんですけど」  彼女は鞄から一枚の紙を取り出し、あなたたちに見せる。そこには一般的に「ニセサラマンダー」と呼ばれる生物のスケッチと、その生物の特徴が印刷してあった。そういえばテラスの掲示板にも、同じ紙が貼られている。彼女の口にしたカリュウモドキというのは、正式な名前なのだろう。 「全ての生物には魔力回路があって、魔力(マナ)を生成する器官があることはもうご存知ですよね」  いつもの調子を少しだけ取り戻した彼女は、受付をしている時と変わらぬ口調で説明を続ける。  カリュウモドキはその名の通り、火気の魔力を多く持つ、トカゲのような姿の生物だ。体長は5~8センチほど、くすんだ赤煉瓦のような体色で、噴出孔と呼ばれる部分は燃えるような赤色をしている。カリュウモドキは一般的な生物で、日当たりの良く乾燥した場所に多く生息するが、数が多くなりすぎると山火事や森林火災の原因になることもある。そのためアークソサエティでは、カリュウモドキを見かけることが多くなった場合、教団へ連絡を入れるよう通達されていた。  町でカリュウモドキが増えたという連絡が入ったのは三日前。教団は捕獲班を編成して現地へ派遣し、彼らと共に現地や周辺に居る教団員が捕獲を行うことになっている。一週間前から休暇でここへ来ていた彼女も、それに巻き込まれたというわけだ。 「皆さんにお手伝いいただきたいのは、このカリュウモドキの捕獲です。道具はこちらで貸し出しますので……」  声の調子が次第に下がる彼女に、あなたたちはいくつか質問をする。 「これは休暇中の任務ということになりますので、教団から申し訳程度の手当てが支給されます。滞在中はデザートを一品増やせるくらいですね……。お手伝いいただける場合、書面での手続きは私のほうでしておきます」  彼女はすっかり溶けたアイスをスプーンに掬い、ぼんやりと口に運ぶ。長期休暇を邪魔された彼女の消沈ぶりは、見ているだけでも辛かった。あなたたちは注文したアイスコーヒーを飲む。夏にふさわしいすっきりとした味わいで、フルーティーな芳香が口の中に広がっていく。店主こだわりという触れ込みも頷ける。ところで、捕獲したカリュウモドキはどうなるのだろうか。あなたたちはそれを尋ねると、彼女はどこか遠くを眺めて言った。 「さあ……。そこまでは聞いてないですけど、調査した後は魔術道具とかの材料にでもなるんじゃないんですか……」  うわの空の彼女は、アイスのトッピングだったはずのチェリーをスプーンの先でころころと転がす。シロップ漬けのその果物は今や、かつて氷菓子だった乳白色の水たまりの中に沈んでいる。魔術道具は用途に合わせて様々な種類があるが、機密扱いのため製造方法は公表されていない。カリュウモドキは特殊なポーションの材料に使われているという噂もあり、彼女はその事を言っているのだろう。あるいは彼女は暑さと休暇を失ったショックでうわ言を口にしたのかもしれないが、今このことはどうでもいいはずだ。  あなたたちはコーヒーを飲み干すと、彼女に協力を申し出た。薔薇十字教団に所属する者は皆、世界救済のために昼夜を問わず連日働いている。だからこそ、教団員の休暇は守られなくてはならない。彼女は涙ぐみながら何度も感謝し、捕獲班本部が設置されている町役場に午後から来るようあなたたちに伝えた。行動開始は明日以降だが、手続きに自筆のサインが必要らしい。  あなたたちは彼女を励まし、決意を胸に再びメニューを開く。そうと決まれば腹ごしらえが必要だ。今日の昼は何を食べようか。ソレイユ地区での休暇は、まだ始まったばかりだった。