《悲嘆の先導者》フォー・トゥーナ Lv 41 女性 ヒューマン / 墓守


司令部は、国民から寄せられた依頼や、教団からの命令を、指令として発令してるよ。
基本的には、エクソシストの自由に指令を選んで問題無いから、好きな指令を受けると良いかな。
けど、選んだからには、戦闘はもちろん遊びでも真剣に。良い報告を待ってる。
時々、緊急指令が発令されることもあるから、教団の情報は見逃さないようにね。


お願いがあります!!
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出発 2018-11-21

参加人数 1/8人 伊吹猫 GM
 チクタク、チクタク、チクタク……チクタク。  ボーン、ボーン、ボーン。  壁に立てかけている古く大きな時計が午後三時を告げた。  ここは『エトワール』の中心街にあるリュミエールストリート。  この場所は、繁華街として多くの娯楽施設がひしめき合っているが、その一つにカフェ『チェーロ・ロッソ・デル・トラモント(夕焼け空)』がある。  名前の通り、夕焼け空の下にいるような物寂しさと懐かしさを覚えるシックな茜色を基調としており、バーカウンターのような個人席は、店主と談笑を楽しむことや些細な愚痴をこぼすことが目的で来る客がいたりもする。もちろん、恋人や仲間内でゆっくりと楽しい時間が過ごせるようなテーブル席も完備しており、リピート率は高く、ここの常連客は、親しみを込めて『茜喫茶』と呼んでいた。    この茜喫茶の店主は、店内を広く見渡した。  ダンッ!! と穏やかに過ぎる時間に間を指すようにカウンターテーブルを激しく叩く音が店内に響き渡る。 「なぜ、こんなに少ないんだっ!!!」  店の店主がそう言って、干上がった頭を掻きむしった。 「マスター!! そんなに怒ってはいけません。さらに少なくなってしまいます!」 「そ、そうなのか!? レティくん!」  ここで働くウエイトレスであるレティこと『レティシア=バンクス』は、器用で、心だてがよく、愛くるしい見た目から店の看板娘である。  この時間は、在庫整理のために食材のチェックに勤しんでいたが、店主の大きな声に反応して、一時仕事の手を休め、店主の元に来ていた。  そのレティシアは、店主の顔をまじまじと見て言った。 「はい。私の家系はそういう家系でした。でも、特に怒りっぽい人は、ストレスでさらに少なくなっていって、もう目も当てられない状況の方もいました」 「?? そうか、バンクス家は確かにそう言った家系だな。しかし、裏でないのに、この少なさはあんまりだろう」  バンクス家は、代々小料理店を営んでおり、一族揃ってそういった飲食店に着手している家系でもあった。 「そんなことはありません。表だからこそ、少ないんです! 私のおじいさまのことで申し訳ないですが、裏の方が多かったですよ?」  レティシアの言葉に今度は頭を抱えてしまった。そして、喉に物が詰まったような声をあげて言った。 「大金を払ったのに、実は、表の方が少ないなんて……。そんなことが起こるのか……。まさに悪夢だ」  レティシアは、うな垂れた店主をみて、その肩に手を置いた。 「お金は、あまり関係ありません。マスター……、何か策を講じなければ、さらに少なくなってしまいます」 「おお! レティくんもそう思うか!」 「はい! あまりにも寂しいですからね」 「はあ、そう言ってくれるな。こんな中年でも、この有様には危機感を覚えてしまう」 「す、すみません。あまりにもセンシティブな問題でしたね。配慮が足りませんでした」 「いや、気にしないでくれ。レティくんの言う通りだ。他人から言ってもらった方がやる気が起きるってものだ。尻を叩かれた気持ちになる」  店主がそう言うと、レティの顔が華やかになり、胸の前で手をパンと合わせた。 「だったら、言いますけど、マスターのその頭……、亡くなったおじいさまみたいで、私は、とってもチャーミングだと思います。お気にやむことはないと思いますよ」 「?? ん?」  店主が首を傾げた。それを見て、鏡のようにレティシアも首を傾げた。 「?? え?」    瞬間、二人の時間が停止した。そして、息を吹き返すように店主が言葉を発した。 「レティくんは、もしかして、これまで僕の頭のことを言っていたのかい?」 「え? そうですけど……、マスターは……、何のことをおっしゃっていたのですか?」  と言ったレティシアだったが、すぐに吐いた息を飲み込むように瞬発的に息を吸って、言葉を区切りながら言った。 「え、あっ……、もしかして、お店のことでしたか?」  店主は、しばらく口を開けたまま呆気らとした後に笑い声をあげた。 「うあっはっはっは。レティシアくんは、僕の頭のことを言っていたのか。そうかそうか。しかし、まあ、それは、いいとしよう」  店主は、先ほどの愉快そうな表情をパッと真剣な顔に変えると、咳払いを一つした。 「ごほん! ところでレティシアくん。頼みがあるんだが?」  レティシアは、額に汗を滲ませて背筋を伸ばした。 「は、はい!」 「この店が繁盛していないのは、僕が考えるに宣伝が少ないともう一つの理由からだと思うんだ。というのも、この場所に店を構えるのに、大金を使ったから、当時は宣伝にお金をあまり回せなかった。でも、今は事情が少し好転したんだ。だから、レティシアくんには、宣伝に関してと……それと僕のカツラのことを頼みたい」 「え? カツラですか?」  店主は、レティシアに右手の人差し指を立てて言った。 「そうカツラ。最近の子は、ウィッグというのかな? 僕は、毛が少ないから、人気(ひとけ)が少ないとわかったよ。だから、ウィッグさ! “人の毛”を増やそうってね」  と店主は得意げな顔で言った。それを聞いて、レティシアは、一瞬硬直したが、視点を遠くの方に向けて、どこか焦点が合わせずに言った。 「oh~毛~。……はあぁ」  とっさに項垂れた。 (っあ、レティくんもそういうこと言っちゃうのか)  と、レティシアはどことなく安請け合いするのだった。
お芋の美味しい季節ですね
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出発 2018-11-22

参加人数 0/8人 浅倉季音 GM
 ヴァン・ブリーズの南の端の村から、芋掘りを手伝ってほしいとの依頼が届いた。  その村では今月末、今年の収穫に感謝するまつりが開催される予定らしい。  まつりまでに、村の畑に植えているすべてのさつま芋を掘り、選別してしまわなければならないのだとか。  ・軍手、くわ、長靴のご用意を推奨いたします。  ・上下とも長袖の汚れてもよい服装と、履き慣れた運動靴がおすすめです。  ・首にタオルを巻いておかれますと、汗を拭けますし防寒対策にもなります。  ・昼食と夕食には、特製のさつま芋料理をご馳走いたします。  仕事は、以下の3つを同時並行的に進めていく。  ・芋掘り‥‥芋を傷つけないように、そーっと掘ってください。  ・運搬‥‥‥掘った芋をコンテナに集めて、倉庫へ運んでください。  ・選別‥‥‥傷の有無を確認しつつ、30センチ以上と未満の芋を分けてください。  当日の天気予報は晴れ。  気温も朝こそ低いが、段々と上昇するとの予報がでている。  秋の陽光のもと、村人達に手を貸してほしい。
秘密の場所でお話を
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出発 2018-11-22

参加人数 6/8人 北野東眞 GM
 エントランスは賑わっている。  指令を受けるために掲示板を眺める浄化師たち。書類を運ぶ事務員、カフェーに向かう者、購買へと……。  自分たちもそろそろ目的を持って動かなくては、と思った矢先、書類の山とぶつかりそうになった。 「お、おっと、悪い悪い。あたってないか?」  間一髪で書類とぶつからなかった。  山のような書類を持つのはロリクだ。よく受付で指令を発行し、説明を行ってくれる。たまーに現地訓練だーと戦闘にもイキイキとした顔で向かっているが。  今日は大量の書類を両腕にもって仕事に奮闘しているようだ。肩に乗っているひよこが、ぴよぉと鳴いている。 「……。よかったらこの書類、運ぶの手伝ってくれないか? ちょっとした場所があってな」  と書類を半分持たされた。  書類を持って通路を進む。  訪れたのは緑の多く、いろんな植物の鉢植えがある。本もあるし、机とソファも。なんだか贅沢な部屋だ。  ほかほかとあたたかくて、眠気すら押し寄せてくる。 「いいところだろう? ここの鉢植えはハーブが多くてな、紅茶なんかによく使うんだ。ほら、書類を置いて座るといい。今、今日焼いたアップルケーキと紅茶を出してやる」  書類を机に置いて、ソファに腰かける。 「ここは俺の隠れ家でな。仕事がたてこむとここにこもって仕事してるんだ。まぁ秘密の場所なんだから、ここのことは秘密な? さてと、ここは俺の客人以外は来ないから安心するといい。  今日はお前たち以外の客人はいないから好きに振る舞ってくれて構わない。  いや、お前たちを呼んだのはせっかくだし話をしようと思ってな」  ロリクが肩から卵のついたひよこを床に降ろす。ひよこはころころと転がり、ぴよぴよと鳴いている。 「最近、いろいろとあっただろう? 教団について思うことがあるなら、俺でよかったら話を聞こう。ばかやろーとかくそやろーとかいってもいいぜ?  自分たちの浄化師としてどうしたいのかやこういう指令がほしいとかの要望も大歓迎だ。そういうのがあれば探して指令発行をしよう。こういう冒険をして大変だったとかいう話もいい」  ふふっとロリクは笑った。 「まぁ、仕事が詰め込んでいて俺の気晴らしに付き合ってくれると思えばいい。そうだな、もし悩みがあるなら聞くだけは聞こう。俺はお前たちに前から言っているように……どんなときもお前たちの味方だ。一緒に悩んで考え、その問題に答えを出すようにアドバイスすることは出来る。むろん、すべてがお前たちの求めるものではないかもしれないけれど……。  さぁ、紅茶一杯とケーキ一つ分、お前たちの話、聞かせてくれ」  差し出された紅茶とアップルケーキ。  ぴよぉ。  ひよこの声がした。
365日の歌
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出発 2018-11-25

参加人数 6/8人 鳩子 GM
「リネット、お願いなのだワ~!!」  大きな声で懇願されながら両肩を揺さぶられ、教団司令部に勤務する教団員リネット・ピジョンは、この店に来たことを後悔しはじめていた。  尻尾でハートを作る二匹の猫の看板が目印の『カフェ・ルピナス』は、サンドイッチとコーヒーが美味しいと評判で、以前から気になっていた一軒だった。抱えていた案件が一段落したので、ちょっと息抜きをしたかっただけなのに、どうしてこんな面倒なことになったのか。  リネットは深々と嘆息し、兎にも角にも揺さぶるのを止めてもらうために相手の手を押さえた。 「落ち着いてよ、サリー。話は聞くから、ゆっくり説明して頂戴」 「ああ、ありがとうネ! 流石リネット、あなたは最高の友達ヨ!」 「はいはい。私の中であなたの評価は最高に厄介な友達になりつつあるけど、まあ、とにかく座って」  サリーもといサンドラ・フォレスターはサーバルキャットの耳と尻尾を持つライカンスロープで、リネットの学生時代の同級生だ。商家の出だが、両親ともにまだ溌剌としているので卒業後は実家の店を継がずに「人生経験値を積んできます!」と旅に出て数年戻らなかった。ようやく帰ってきて自らの店を開いたのが、去年のことだ。幼いころから親の商売につきあって各地を転々としていた影響か、言葉のところどころに不思議なイントネーションがある。 「今日この時間にルピナスに来たのは、天のお導きかしらネ!」  職業柄、サリーは世間の流行には敏感で、今日も近頃評判の良いカフェ・ルピナスをチェックするためにやってきて、そしてランチを食べに訪れたリネットの姿を見つけたというわけだった。 「お店、うまくいってないの?」 「そう! あ、ううん、ピンチってほどじゃないのだケド、予想したほどは上手くいってないのネ。ちょっとマンネリっていうか……それで、打開策を考えてるのだケド、是非! 是非! リネットの力を借りたいのヨ~!!」  この友人、声が大きい。  リネットはテラス席を選んだ自分の選択を褒めた。 「お店の名前は……『365日の歌』だったかしら」 「ええ、そう! 前に話したかどうか、忘れちゃったケド、誕生日のお祝いをコンセプトにしたセレクトショップなの。プレゼントに丁度良いものを集めてあるだけじゃなくって、誕生日パーティーのプロデュースやサプライズイベントの手配もしてるワ」  あたし、誕生日ってものが大好きなの、とサリーは胸の前で両手を組み、うっとりと呟く。 「うちのパパとママが誕生日パーティーに命かけてるタイプだからかしら。誕生日の、今日の主役はあたし! って感じがたまらないのよネ。で、まあ、必ずしも盛大でなくちゃいけないってわけでもないのだケド、一年に一度しか無い大切な日、いつもとは違う特別な時間を過ごすのって素敵デショ?」  リネット自身はそこまで誕生日を大仰に祝うタイプではないが、異論はないので頷く。 「それで、私に頼みたい協力って?」 「リネットは教団で働いてるのよネ。ほら、浄化師のひとって、二人一組なんデショ? 特殊な契約を結んだ、病めるときも健やかなる時も一緒のパートナーなのよネ!」 「ええ……?」  話の流れがわからず首を傾げるリネットをよそに、サリーは饒舌に続ける。 「その二人が、お互いの誕生日をどんなふうに祝ってるのか、知りたいの! 普通には無い繋がりがあって、命に関わる危険な仕事も一緒に乗り越える二人なんだもの、きっと特別な絆があるのよネ。そういう人たちが相手のためにどんなことを考えて、どんなお祝いをするのか、きっと参考になると思うのだワ~!」 「ええと……つまり、浄化師の皆さんから、誕生日祝いに関するエピソードを募集したいってことね」  リネットは話をまとめながら、思案を巡らせた。 「過去の誕生日エピソードももちろんだケド、もし近々誕生日の人がいるなら、そのお祝いのお手伝いもさせてもらいたいワ! 物より思い出って感じのお手伝いが出来たら理想ネ。必要があれば、アルバトゥルスのブルーベルの丘にだって、ベレニーチェ海岸にだって、テーブルセットでもなんでも運ぶワ!」 「今の季節ブルーベルは咲いてないし、海岸は寒いんじゃないかしら。まあ、それはいいとして、ええと……もし話を募集するとしたら、正式に指令として扱うことになると思うわ。でもそれには……」 「報酬がいるってことデショ! 何事もまず投資しなければ得るものも得られないものネ。そこをケチるようじゃあ、一流の商人とは言えないのだワ」  うんうんとサリーは頷く。  リネットは迷ったが、ここ最近、戦闘を伴う指令ばかりを処理していたこともあって、この平和的な依頼を受けたくなった。  シャドウ・ガルテンでの騒動、本部への襲撃、怨讐派の魔女たちの企みと、今年の秋は物騒な多忙さであったから、浄化師たちにとっても良い息抜きになるかもしれない。サリーは『金は天下のまわりもの』を家訓とするフォレスター家の才女であり、骨の髄まで気風の良い商人気質であるから本人が言った通り報酬をケチるようなこともないだろう。  こほん、と咳払いをして姿勢を正す。 「その依頼、お引き受けいたします」  せっかく仕事っぽく繕ったのに、サリーは気付いた様子もなく、がばりと身を乗り出してリネットの手を握った。ぎゅうぎゅうと両手で握られて、正直痛い。 「ありがとう~っ!! リネット、あなたは最高の親友ヨ! 恩に着るワ! サンドイッチ奢っちゃうのだワ!」  一番高いメニューを頼もう、と思うリネットであった。
悲嘆の魔女
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出発 2018-11-27

参加人数 0/8人 北野東眞 GM
 ユーリ、シグマ、ハンナ、……シグルド。  あなたたちのことを私は決して忘れないわ。  そう、たとえ、私が死んでも、忘れない、忘れない。忘れない。  心が壊れてしまう、深い悲しみと共に。あなたたちを誰ひとりとして忘れない……。 ●  受付口に指令をとりにくると言いあいに出くわした。 「えー、えー、えー! 浄化師さんってめっちゃ働き者って聞いたんっーけどぉ、この依頼、受けともらえるのいっつすかー?」 「指令として発行しても、すぐには……あ、こら」 「えーえーえー! こまりっすー! 俺ぇ、マスターにお願いされたんでぇ、こう、スピーディーに!」 「ちょ、こら、引き出しあけるなぁ~。あ、いいところにきた!」  ロリクさんと、えーと、知らない人が受付でやりあってる……?  改めて、ロリクに紹介された青年は今回の指令の依頼者、だそうだ。  金髪の髪に青い目をして、にこにこと笑っている。 「ハーイ、ピースピースっ! 自分、スクートゥムっていいまぁす。よろしく! えへへ。かっこいい名前っしょ? マスター……ああ、先生からもらったんすぅ! あ、で、指令、よろしくー?」  うるさ……いえ、大変明るい人ですね。 「あー、ごほん。こいつの持ってきた指令っていうのが、魔女の……かかわっている事件なんだ」 「あ、自分が説明するとぉ」 「長くなるから俺が説明する」  お願いします、ロリクさん。  少し東にいった森に――トゥレーン。古い言葉で嘆きを意味する森がある。  そこの森には魔女の一族が住んでいたそうだが、勇気ある浄化師たちによってすべて退治された。  たった一人を除いて。  その魔女の名は――忘れられて久しいが、大変強力な魔女だったそうだ。幾人の勇敢な浄化師によっても捕えることが出来ず、森の奥深くに隠れてしまったそうだ。  森の名をもじり、悲嘆の魔女と言われた彼女はたった一人で、森に存在し続けた。誰も彼もから忘れ去られても、なお。  今年。  トゥレーンの森は急速に枯れ始め、動物たちが死に、川は黒く濁り、魚が腹を見せて浮かぶようになった。  森へと足を踏み入れたヒューマンは、誰も戻ってこなかった。 「森の奥で魔女が嘆いているっすよー。ああ、つまりっすねー、悲嘆の魔女は死んだっすよー。けど、めっちゃ強くてー、自分に魔法をかけたんすよー。  『決して悲しみを忘れない』という呪いっすー。森にいる生き物は全て彼女の悲しみの唄で、自分の最も悲しい思い出に囚われて、動けなくなって死んじゃってるんすよー。そのうえ、魔女の魔法って基本、協力者がいるんっすよー? 浄化師みたいっしょー? この魔女の魔法に手を貸しているのは、この森自身みたいっねー? 魔女と森、なにか共感したのかわかんねーすっけどぉ」  困った困ったとスクートゥムがため息をつく。 「まぁ、ほっといてもぉ森は枯れて終わり、魔法も使えなくて自滅しちゃうんだと思うっすけどー。  それってさすがにまじやばくない? マスターにそれを浄化師さんたちに依頼して止めるようにって言われて、俺っちが、今回みなさんに依頼にきたわけっすー?  魔女のいる場所までは俺っち、案内できるんでぇ。みなさんついてきて、魔女をぶっころーしちゃってください。そういうの得意っすよねぇ?  今、悲嘆の魔女は樹になっちゃってるんですよねぇー。死ぬ前に自分を樹にかえちゃったんっすよー? なんでそこまでここから動きたがらないっしょねー? まぁ燃やしやすくてめっちゃよくない? ふふふ」  そうそう。と付け足して彼は口にした。 「俺っちは悲しい思い出がないんでぇ、大丈夫っすけど、浄化師さん達は、悲しみに囚われないように注意しちゃってくださいねー?  最悪、戻れなくなっちゃいますよー? まぁ、お手並み拝見、拝見。  みなさんのやり方、ばっちり見てますねぇ!」 ●  森の奥で、大樹が歌う。  地上に根をおろし、上半身だけは女の姿――彼女は眠るように目を閉じて、泣きながら歌う。  優しい子守歌。    ユーリ、シグマ、ハンナ、……シグルド。  大切な私の……決して忘れないわ。  たとえ、どれだけ悲しくても。  忘れてしまうより、ああ、ずっといい。