《悲嘆の先導者》フォー・トゥーナ Lv 41 女性 ヒューマン / 墓守


司令部は、国民から寄せられた依頼や、教団からの命令を、指令として発令してるよ。
基本的には、エクソシストの自由に指令を選んで問題無いから、好きな指令を受けると良いかな。
けど、選んだからには、戦闘はもちろん遊びでも真剣に。良い報告を待ってる。
時々、緊急指令が発令されることもあるから、教団の情報は見逃さないようにね。


【神捧】名を刻まぬ戦士たち
難しい|すべて

出発 2019-01-24

参加人数 5/8人 木口アキノ GM
●教会にて  陽光は彩を橙黄色へと変えていく。まるでこの世界が黄昏に向かっていく未来を象徴するかのようだ。  そう思えば自然とカタリナ・ヴァルプルギスの口元に笑みが浮かぶ。  力を増してゆく魔方陣を前に、カタリナは讃美歌を歌い出した。  斜陽が礼拝堂の床にステンドグラス越しの光を落とす。魔方陣に光で描かれた神が重なる。  カタリナの歌声は一層高らかに。歌いながらも、魔方陣に魔力を注ぎ続ける。  左右に並ぶようにして膝をつきこうべを垂れて控えていたサクリファイスの信者たちは、その奇跡のような魔力と魔術の才能に心酔し、崇め敬う。彼らの背後にも、それぞれ魔方陣が描かれていた。  この場所にだけ、特別ゆったりとした時間が流れているような錯覚すら覚えるが、それを外から届く多数の足音と話し声が搔き消した。  カタリナは雑音に歌を止めるが、その表情は無粋者たちに怒るでもなく苛立つでもなく、むしろ笑みが深まったようにすら見えた。 「あちらから来てくださるなんて、好都合というものですわ。きっとこれも、主の思し召し……」  けたたましい音を立て、反動で蝶番が外れるほど荒々しく礼拝堂の扉が開かれ武装した人々が堂内に雪崩れ込む。 「カタリナ・ヴァルプルギス! これ以上お前の好きにはさせない!」  先頭に立つ男が叫ぶ。  だがカタリナは動じず、憐憫に満ちた目で彼らを見る。 「レヴェナント……」  レヴェナントとは、薔薇十字教団司令部の管轄下で世界各地でサクリファイスを追っている組織である。  彼らは日常生活では偽名を使用し書類上では死亡している扱いであるため、時に死神や亡霊と揶揄される。 「可哀想な人たち。間違った観念を植え付けられ、名を奪われ過去を消され生を弄ばれ……。けれど喜ぶと良いわ。あなたたちの魂はベリアルに分け与えられ、主が世界を救済するための礎となるのですから」  カタリナがすっと手を挙げるとレヴェナントたちの目前に魔方陣が光りはじめる。  予め床下に描いていたのだろう、そこにカタリナが魔力を注いだため光りを増し、視認できるようになったのだ。 「ヘルヘイム・ボマーか」  レヴェナントのうち魔術の心得のある者がそこに土気の魔力を注ぎ無力化しようとするが、それより早く控えていたサクリファイスの1人が自らヘルヘイム・ボマーの魔方陣へと飛び込んだ。 「っ!!」  避ける間もなく、魔術は発動し爆炎が発動する。 「うぁぁぁ……っ」  身を投げたサクリファイスは虫の息で横たわり、巻き込まれたレヴェナントたちは重傷を負いのたうち回る。  礼拝堂への延焼は免れたが出入り口付近の壁が崩れる。  しかし残ったサクリファイスたちは冷静に、自分たちの背後に描いた口寄魔方陣からベリアルを出現させると、カタリナが高笑いしながらサクリファイス・タナトスを発動させた。  その場にいたレヴェナント数名の魂が抜き取られ、ベリアルを進化させた。  さすがに疲弊したのか、カタリナはふらつき背を壁につけ呼吸を乱している。  この隙に一気に攻め込みたかったが、レヴェナントにはサクリファイスと進化したベリアルとが襲いかかる。  カタリナの魔力が回復すれば、再度魔術が発動されてしまうだろう。  このままでは、礼拝堂に踏み込んだレヴェナント全員がサクリファイス・タナトスの餌食となってしまうーー。  が、レヴェナントとて無策で押し入ったわけではない。  非常時の通信役を担うレヴェナントはすでに薔薇十字教団に向かい走り出していた。 ●本部 「緊急事態だ」  そう言うヨセフ・アークライトは両脇にエノク・アゼルとフォー・トゥーナを従えていた。  聞かずとも、この三人が司令室に揃っているというだけで尋常じゃない事態だとわかる。 「カタリナの魔力があれほどとは……」  レヴェナントの男性が唇を噛む。  しかし、サクリファイス・タナトスの魔方陣に魔力を注ぎつつもヘルヘイム・ボマーも保ち、さらにはサクリファイス・タナトスを連続発動させることが出来るとは誰が想像しただろう。 「我々の突入は時期尚早だったのだろうか」 「そんなことはない。遅らせれば遅らせるほど住民への被害も拡大していただろう」  ヨセフはレヴェナントの男性を宥める。  しかし、その表情は強張ったままだ。 「聞いての通り、カタリナ、そして出現したベリアルは強力だ。自信のない者、体調に不安のある者は無理に行けとは言わない」  ヨセフが浄化師たちを見回す。パートナーと互いに顔を見合わせ、申し訳なさそうに部屋を出る者もいた。  だが……あなたたちはその場に残る。  これまで、存在を隠しサクリファイス殲滅のため全てを捧げた、歴史に名を残すことのない戦士たち、レヴェナント。教団員として、彼らに報いたい。 「行ってくれるか」  ヨセフの言葉に、あなたたちは頷く。 「ありがとう……!」  レヴェナントの男性は深く頭を下げた。それから、彼は言う。 「第一の目的はカタリナの殺害だ。そのためならば、我々レヴェナントは見捨ててもらって構わない」  きっぱりと言い放たれた言葉に、浄化師たちは動揺を隠せなかった。  レヴェナントの多くはサクリファイスに深い恨みを持ち志願した者だという。サクリファイス撲滅のためには命すら惜しくないのだろう。  その気持ちはわかるが、やはり彼らを捨て駒にするようなことはしたくない。  浄化師たちは窺うようにヨセフに視線を向ける。 「彼の言う通りだ。サクリファイス殲滅に徹するんだ」  しかしヨセフの表情は言葉とは裏腹に苦々しいものであった。立場上そう言わざるを得ないが本心は違っている。浄化師たちもそれが分からぬわけではなかった。  重い空気を背負い、あなたたちは任務に就いた。
小さな雪まつりと、君の願いごと
とても簡単|すべて

出発 2019-01-26

参加人数 0/8人 真朱 メグル GM
 ちらちらと雪が降っている。  星が美しく見えると評判のノルウェンディであったが、月明りさえ届かぬ今宵の闇はどこか不気味で、一抹の心細さが胸の奥で燻るようだった。  樹氷群ノルウェンディでの任務を終え、あなたたちエクソシストは帰路に着こうとした。  しかし、アークソサエティまでの道中、先で猛吹雪が発生しているとの連絡が入る。  交通手段であるトナカイぞりも、視界が悪く道に迷う可能性があり、危険であると停止。  あなたたちはノルウェンディの端の、のどかで小さな集落で足止めを食らうこととなってしまった。  トナカイぞりの中継地となっている集落とのことで、十軒にも満たない家々がぽつぽつと散見できる。 「あんたら疲れてるだろう。なんにも無い田舎だが、まあゆっくりしてってくれや」  帰還がかなわず宿もない。困り果てたあなたたちに快く一晩の宿を貸してくれた家の主人が、にかっと笑って言う。  暖かいスープに、柔らかく燃える暖炉の炎。  慣れない常冬の気候に、冷え切っていた指先が、胸が、ぬくもりを取り戻していくのを感じるだろう。  穏やかな時間を過ごしていたその時、表からこの家の奥方の声がかかる。 「ちょっとあんた、そろそろ準備が出来たよ! ああ、エクソシストのお二人もどうだい?」 「おおそうだった! あんたら運がいいなあ!良かったら外に出てきてくれ。今日はこの集落の雪祭りの日なんだ。まあ、規模は小さいし来づらいし、町の雪像作ったりなんだのするでっかいのじゃあねえんだけどな!」  外に出てみると、赤、青、白、黄色――と、地面にいくつもの色鮮やかな光が落ちている。  その光はちらちらと揺らめいて、まるで地上で波打つ、オーロラのカーテンのような景色を描き出している。 「これはな、この村で作った特製のキャンドルホルダーだ。氷でできてて、中に小さなキャンドルを入れるんだ。その火の熱で真ん中からちょっとずつ溶けてく。なんで色がついてるのかって? いや、俺ぁ作ってねえから難しいことは分からねえが、魔力を込めて作っただか、魔結晶を真似ただかで、綺麗に見えるようにしてあるんだとよ。昔はこんな色じゃなくてよ、最近は魔女がきまぐれにおいてってくれんだ」  辺りに立ち込めていた全てを飲み込みそうな闇が晴れて、色を反射した白い雪が光り、視界を美しく照らし出している。 「見るだけでもいいがな~、これだけじゃねえんだ。この紙に願い事を書いて、キャンドルの火で燃やすんだ。最後まで燃えきったら、願い事が叶うって言い伝えだそうでな!」  そう言って、主人は小さな紙を1枚ずつ、あなたたちに手渡してきた。  幻想的な雰囲気に、あなたたちは息を呑むかもしれないし、目を瞠るかもしれない。  向こうでは、甘そうなココアと、フルーツが豪快に入ったグロッグワインを振る舞う住民の姿が見える。  人は少なく、雪があらゆる音を吸収して、まったりとした空気が流れていた。  飲み物を片手に談笑する住民に、お願い事をひねりだそうと唸る子供たち。  皆それぞれにこの空間を楽しんでいて、あなたたちを歓迎しているものの、このひと時の邪魔する者はいないだろう。  サクリファイスとの戦いを越えたり、日々の任務を真摯にこなしたり、その中で葛藤が生まれたりしたこともあった。  少し足を止めて、二人で語らうにはもってこいの場ではないだろうか。 『――少し、話をしませんか』  穏やかな雰囲気にのまれて、つい、そんな言葉が口をついて出てしまうかもしれない。  いつも通りの二人の、ちょっとだけ特別な夜が始まる――そんな予感がする。