《悲嘆の先導者》フォー・トゥーナ Lv 41 女性 ヒューマン / 墓守


司令部は、国民から寄せられた依頼や、教団からの命令を、指令として発令してるよ。
基本的には、エクソシストの自由に指令を選んで問題無いから、好きな指令を受けると良いかな。
けど、選んだからには、戦闘はもちろん遊びでも真剣に。良い報告を待ってる。
時々、緊急指令が発令されることもあるから、教団の情報は見逃さないようにね。


ハロウィンに参加しよう
簡単|すべて

帰還 2019-10-19

参加人数 8/8人 春夏秋冬 GM
 ハロウィン。  それは仮装とお菓子の祭典だ。  正式ないわれはあるのだが、今ではお祭り騒ぎのひとつとして、様々な催し物が開催されていたりする。  そんなハロウィンが、リュミエールストリートで行われている。  去年も行われたのだが、その時には、秘密裏に魔女が関わっていた。  それはハロウィンに参加する浄化師達を間近で見て、今後の関わり方を考えるためだった。  結果としてそれは成功し、現在の魔女との融和、その切っ掛けのひとつとして成功していた。  そして魔女が大っぴらに世間に関わるようになってから、一周年記念のハロウィンに、魔女達も大いに協力していた。  世俗派の魔女の顔役の1人である、魔女のセパルが手配して、色々な場所で催し物の手伝いを。  もちろん魔女なので、魔法を使ってハロウィンを盛り上げている。  例えばそれは、変身魔法で望む姿にしてくれたり。  あるいは、魔法のじゅうたんで、空をゆったり飛んでみたり。  魔法の掛かった食べ物を、振る舞っている者も居る。  他にも、望むアクセサリーを目の前で作ってくれる者も。    そんな魔女達に負けまいと、リュミエールストリートの住人も盛り上げようと賑やかだ。  カフェテリア「アモール」では、箒に乗った魔女のラテアートを楽しむカップルが。  大手ファッションショップ「パリの風」では、様々な仮装姿を楽しみ、時にねだられる光景も。  フリーマーケット「オルヴワル」では、お菓子の屋台や魔女やカボチャの人形など、ハロウィンにまつわる物が売られている。  飲み屋街「ボヌスワレ・ストリート」に目を向ければ、明るく楽しく飲んで騒ぐ者達も。  賑やかで楽しいハロウィンに、大勢の人達が参加している。  もちろん、アナタ達、浄化師も例外ではありません。  魔女も参加するハロウィンに、魔女達との融和を演出するということで、指令として参加を求められました。  と言っても、楽しくパートナーとハロウィンに参加しさえすれば問題なしです。  ちょっとした買い物も、指令ということで教団が出してくれるとのこと。  折角ですから、パートナーに何かアクセサリーでもプレゼントしてみてはどうでしょう?  きっと喜んでくれると思いますよ。  参加してみませんか?
微睡みの狂想
難しい|すべて

帰還 2019-10-17

参加人数 7/8人 土斑猫 GM
 誰かが、聞いた。  罰を受け、死を待つばかりだった咎人。それを、かの者が救ったと。  誰かが、見た。  怪しげな、魔術の贄とされた村。それを、かの者が救ったと。  誰かが、言った。  闇に囚われた、心と身体。それを、かの者が救ってくれたと。  その身は知れず。目的も知れず。在ると言う、証さえなく。飄々と災厄と災厄の橋を渡り歩いては、その種火を消していく。  まるで、気まぐれに現れては災いを刈り取る聖鳥(カラドリウス)の様に。  知る者は、かの者をこうとだけ呼んだ。  ――『道化の魔女 メフィスト』――。  踏み入った瞬間、全ての情景が姿を変えた。一面の雪景色だった筈のそれは、今は昏く輝く化石木の森。空も。月も。太陽も。全てが見えない筈なのに、不自然な程に明瞭な視界。覆い尽くす琥珀の秩序は、今も昔も変わらない。かの地を知るいつかの時代の者達は、畏敬と畏怖の想いを込めて、名づけた。  ――『琥珀の墓』――と。  気づけば、周囲は無数の蠢くモノ達に囲まれていた。獣もいれば、人もいる。中には、キメラと思わしきモノまでも。彼等全ては、その身を琥珀色の焔に包まれている。向けられる視線は虚ろ。対象が明確でない害意だけが、朧の様に伝わってくる。  『琥珀の番犬』。  この地にかけられた呪い、『魂縛り』に囚われたモノ達の成れの果て。  自我を奪われ、墓を守るためだけの存在に堕した彼ら。命ある限りに、ただただ異物の排除だけを願う。そして、想い叶わずに倒されたその時。呪いは倒した存在へと乗り移り、新たな番犬としてその魂を縛る。  忌まわしくも恐ろしい、永久機関。  番犬と呪い。その双方をくぐり抜けられなければ、『かの者』に会う事は叶わない。  易い事ではない。理解している。けれど、立ち向かわなければならない。今も、世界の何処かで戦っている『彼女達』のため。そして、いつかは同じ戦いに向き合わなければならない仲間達のため。  琥珀の焔に包まれた獣達が、唸りながら身構える。切り抜けよう。彼女達の、今のために。仲間達の、未来のために。背を合わせるパートナーと、頷き合う。想いは、一つ。番犬達が、牙を剥く。迎え撃つために、武器を構えたその時――。 「おやめ」  琥珀の輝きを震わせる様に、凛とした声が響く。途端、攻撃を止めて地に伏せる番犬達。連なる化石木の向こうから、聞こえてくる地鳴りの様な音。地が揺れて、大気が震える。木々をかき分け、現れたのは身の丈5メートル程の巨人。『ビルドギース』と呼ばれる彼の肩から、声は聞こえる。 「お迎えをする必要はない。通しておあげ」  巨人の肩から、飛び降りる。ブカブカのローブを引きずり、ブカブカのつば広帽の下から見上げる瞳。深い琥珀色のそれをクリクリと動かしながら、言う。 「要件は承知しているよ。おいで。話を聞いて上げる」  声の主は、幼い声で不遜に手招く。  この妖しの世界を統べし、最古の魔女。呼ばれるべき、真名は知られず。ただ、形容すべき言葉は一つ。  『琥珀姫』。 「『始まりの魔女』について、知りたいのだろう? ん? 知りたいのは、『道化の魔女』? ああ、今はそう呼ばれているのだったね。まあ、らしいと言えばらしいか……」  琥珀の結晶で作られたテーブル。座った彼女は、これまた琥珀で出来たカップからお茶を啜りながらそう言った。 「そうさね。ある程度は、知っている。わたしは、『アレ』と同じ時にて生じた。知らない仲じゃない」  そうして、またお茶を一口。 「まあ、そう慌てるでないよ。確かに、わたしは『アレ』を知っている。けれど、それだけだ。『アレ』の正体や、目的までは管轄外。与り知らぬ事だ」  言って、反応を見る。しばしの間。やがて、その顔に浮かぶ笑み。 「落胆しないか。だろうね。君達は、そんな事まで頼ろうとは思っていない。教えて欲しいのは、『アレ』の存在の真実だけ。何処にいるのか。いないのか。それだけだ。後は、全て自分達でやるつもりなのだろう。わたし諸々の部外者は、極力巻き込まずにね。だが……」  細まる瞳。紡がれる言葉は……。 「甘い」  なお、険しい。 「『アレ』は、わたし達一般の魔女とは一線を画する存在だ。その思考式・存在率は遥か高みにある」  綺羅綺羅と輝く、琥珀色の光。その中で、彼女の顔が影に落ちる。小さな口が、夜闇にチラつく星の様にパクパクと動く。 「分かるかい? 分かるだろう? 高みの存在と言う事は、それだけ真理に近いと言う事。そんな存在にこちらから干渉するのは、真理の深層に触れるのと同義さ。つまりは――」  スルリと上がる、小さな手。 「わたしの用意した対価では、足りないと言う事だ」  細い指が、パチリと鳴る。途端、部屋の壁が眩く光る。一瞬、閉ざされる視界。少しの間の後、目を開ければ、そこに広がっていたのは壮大な空間を映し出す神鏡(かみがね)と化した部屋の壁。  見晴らす事も叶わない夜空と化した部屋を歩きながら、彼女はその先を指差す。 「ご覧」  夜空の向こうに見えたのは、昏い海。そして、そこに浮かぶ大きな島らしきモノ。灯火らしき淡い光が象るその輪郭に、見覚えがあった。 「そう。ご存知の通り、『東方島国ニホン』さ」  鎌首をもたげる龍の様な形をした、ニホン。それを見下ろしながら、彼女は言う。 「この国のある場所に、『蜃(しん)』がある」  『シン』。聞いた事のない単語。怪訝な顔をする皆に、教えが伝わる。 「蜃と言うのはね、かつて存在した『虹龍(こうりゅう)』と言う霊獣の亡骸さ。些か変わった特性を持っていてね。それが、これから要り用になる。取ってきておくれ」  それだけでいいのか? と問うと、あっさり『ああ』と言う返事が返った。  亡骸の回収。言葉だけ聞けば、容易い事この上もない。例え霊獣とは言え、死んでいるのならば抵抗もないだろう。そう、皆が考えた。しかし。 「言ったろう。甘いと」  思考を読んだ様に、否定が飛んだ。 「さっき、何故『ある場所』と表現したと思う? 何故、明確な場所を言わないと思う?」  何故? 咄嗟に答えは浮かばない。すると、先取る様に彼女が言った。 「簡単さ。知られるべきではないからだよ。その存在も。在り処も」  言葉は、続く。 「勿論、その存在を知る者はいる。実際、数日前に終焉の夜明け団の木っ端共が10と5人、在り処へ足を踏み入れた。何処で仕入れたかは、知らんがね」  思わぬ言葉に、腰が浮きかける。かの組織の凶悪さは周知の極み。そこにいるのであれば、間違いなく戦闘になる。けれど、その懸念は次の一言で消えた。 「全員、狂って死んだよ」 「!!」  沈黙が、辺りを包む。絶句する皆を見渡し、彼女は言う。 「理解したかい? そう言う、代物だ」  琥珀の瞳が、昏く輝く。まるで、心の底を覗く様に。 「それでも、行くかい?」  なお、迷いはなかった。頷く皆を見て、彼女は溜息を一つ。 「そうかい。ならば、これから件の場所へ転送しよう」  途端、皆の足元に展開する魔方陣。琥珀の光の中で、彼女は言う。 「蜃の周りには眷属共がうろついているが、何、大した相手じゃない。ただ、気持ちだけは強く持て」  光の中で、彼女の姿が遠くなっていく。もう、声も届かないだろうか。そんな中で、彼女の口が動いた様な気がした。 『帰って、おいで』と。  その顔は、幼いくせにとても優しくて。気高くて。そして、寂しげで。  『琥珀姫』と呼ばれる理由を、初めて知った。
富士樹海迷宮でハイキング採集
簡単|すべて

帰還 2019-10-16

参加人数 6/8人 春夏秋冬 GM
 薬草魔法植物園。  センダイ藩にある冒険者ギルドニホン支部の敷地内に、それはある。  広々とした建物の外観のそこは、屋根は光を取り入れやすいよう、樹氷群ノルウェンディの溶けない氷『固定氷塊』が使われていた。  中に入れば、初めて訪れた者は驚くことが多い。  なにしろ、外から見た広さと、中の広さは段違いだからだ。  これは魔女の魔法により、内部の空間が拡張されているためだ。  中では数えきれないほど、数多の種類の植物が植えられている。  ここで育てられた薬草は、外でそのまま薬として売り出されることもあるし、外でも育てやすい物は、育て方と共に広める計画だ。  そんな、薬草魔法植物園の園長に就任した魔女のリリエラ・ワルツは、アナタ達浄化師を前にして頼みごとをしました。 「魔法の植物を、貰って来て欲しいの」  どういうことなのか?  この問い掛けにリリエラは説明していく。 「魔法の植物は、八百万の神さまの近くで生まれることが多いの。だからアークソサエティだと、ほぼ絶滅状態になってるの」  リリエラの話では、教団の隆盛に伴い、アークソサエティに居た八百万の神は姿を消し、残っていた魔法の植物は乱獲で消えたという。 「でも、ニホンは違うわ。沢山の八百万の神様がいらっしゃるから、探せば見つかるの」  ならば、探してくる必要があるのか?  この問い掛けにも、リリエラは応えていく。 「いいえ。ある場所は分かっているの。それが富士樹海迷宮ね」  リリエラの説明は、次のような内容だった。  富士樹海迷宮。  それは霊峰と呼ばれる富士山のふもとに広がる大樹海に、重なるようにして存在する大迷宮。  元々は、ニホンの八百万の神を取りまとめる2柱の内の1柱『なんじゃもんじゃ』が作った物だ。  最初は、人間に乱獲されて絶滅しそうな動物や植物を保護する目的で作られたらしい。  だがアシッドレインにより、動物がべリアルになる事態が起り、動物系の八百万の神も感染する可能性が発生。  それを防ぐための避難場所としても使われているらしい。  元々、膨大な広さの迷宮だったが、そこに動物系の八百万の神がやって来ることで、さらに拡張。  それどころか、外に出られず暇なので、富士樹海迷宮の内部に、それぞれの八百万の神が新たに迷宮を作るという事態が発生。  しかも中には、作っている内に楽しくなってきたのか、迷宮を魔改造。  結果として、大迷宮の中に、大量の迷宮が出来るという魔境めいたことに。  そんな富士樹海迷宮の中は、外では見られない珍しい魔法の植物があるという。  現地に赴いて、貰って来て欲しいとのことだった。  これを聞いたアナタ達は、重ねて問い掛けます。  どうやって迷宮に訪れれば良いのか? と。  これに応えたのは、同席していた五郎八(いろは)です。  センダイ藩主の娘にして、竜神正宗から竜眼を与えられた彼女は、普段は眼帯で隠している竜眼を見せながら言いました。 「富士樹海迷宮に入るには、鍵となるものが必要なのじゃ。この竜眼も、そのひとつ」  話を聞けば、富士樹海迷宮に入るには、八百万の神に関わり合いのある何かを持って、富士の樹海に訪れる必要があるという。 「我の竜眼は、本来は正宗の迷宮に入るための物じゃが、今回は特別に、なんじゃもんじゃ様の迷宮に入れるようにしていただいた」  五郎八を伴えば富士樹海迷宮に入ることが出来、幾つかの場所を通った後に、なんじゃもんじゃの居る場所に辿り着くことが出来るという。 「道中にある魔法の薬草を採ることも許されておるし、なんじゃもんじゃ様の所まで行けば、望む魔法の植物をいただけるそうじゃ」  望むとは、どういうことか? と尋ねるアナタ達に、五郎八は続けて応えます。 「これこれ、こういう魔法の植物が欲しいのです、と頼めば、いただけるそうじゃ。  ただ内容によっては、断られるので、頼む時は気を付けるのじゃぞ」  ここまで話を聞いたアナタ達は、それぞれどんな魔法の植物を貰うかパートナーと話し合うことに。  そして話し合いも終わった数日後。  アナタ達は富士樹海迷宮に訪れました。  深い森を歩いていたアナタ達は、いつの間にか開けた草原に居ます。 「ここが、なんじゃもんじゃ様の鎮座される場所に通じる、最初の場所じゃ」  同行する五郎八が説明してくれます。 「ここには外では見られん生き物が居るからの。どれも人懐っこ過ぎて絶滅しかけたほどのヤツらじゃから、危険はないぞ」  説明している傍から、純白の羽を生やした天馬が空からふわりと降り立つ。  遊ぶの? というように五郎八に首を摺り寄せる天馬。  天馬の様子に苦笑しながら、五郎八はアナタ達に言いました。 「では、行くとしようぞ。急ぐ道中ではないからの。所々で休んでも良いし、ここに居る生き物と戯れても良いぞ。  あとは、場所ごとに魔法の薬草があるから、それを採っていくと良いぞ」  五郎八の話を聞き終り、アナタ達は出発することになりました。  さて、のんびりとハイキングがてら、魔法の植物を貰いに行く、この指令。  アナタ達は、どうしますか?
砂海の運び屋
とても簡単|すべて

帰還 2019-10-16

参加人数 5/8人 あいきとうか GM
 砂塵の街サンディスタムの郊外にて発見された、終焉の夜明け団が設置したと思われる魔方陣を破壊した帰り道。  幸か不幸か、魔方陣の近くに人はいなく、帰路につくのは無事に任務を終えた浄化師たちだけだった。 「つまるところ、犯人も被害者も見つからなかったってことなんだけど」  浄化師のひとりが苦笑気味に笑って、肩をすくめる。  そうするだけの余裕がある帰り道だった。サンディスタムに戻り、魔方陣の発見者でもある依頼人に報告すれば、この一件は終了する。  ――一陣の風が吹いた。  細かな砂を巻き上げた風は、暴風と呼ぶにふさわしかった。サンディスタム周辺の砂漠地帯では、ときおりこういった風が吹く。  話には聞いていたが、そのすさまじさは隊の浄化師の過半数の予想を超えていた。  なにも見えないどころか、目を開けば砂塵が入ろうとする。もちろん口も開けない。  誰かの悲鳴が聞こえた気がした。  体を引っ張られる感覚があった。 「……で、どこ、ここ……」  浄化師は呟く。  砂除けのマントも強い日差しを遮るためのフードもどうにか無事で、念のためにと携帯したままだった得物も手元にあった。パートナーも隣で口に入った砂を必死に吐き出している。  ただ、仲間たちの姿はなく、彼方に蜃気楼の如く見えていたサンディスタムの街もすっかり見えなくなっていた。  途方に暮れる浄化師は、右手からなにかが近づいてくる音を聞き、とっさに細剣の柄に手を伸ばす。 「警戒しないでくれ。君たち、浄化師だね?」 「……そうです。貴方は、サンディスタムの人ですか?」  現れたのはひとりの女だった。  砂漠の街の民族衣装を身にまとっていることから、浄化師は予想し言う。パートナーは口元を袖で拭いながら、困ったような目で女を見ていた。  疑問に満ちた二人分の視線を、女は悠然と受けとめつつ、ひょいと乗り物から下りる。 「そうだよ。ディラと呼んでくれ。こっちは砂トカゲ。名前はないよ」 「砂トカゲ?」  ディラが乗ってきたのは、砂色の体に琥珀色の瞳を持つ、大きなトカゲだった。飼い主に撫でられても無表情のままだ。  少なくとも浄化師とそのパートナーは初めて見る生き物だった。砂漠にのみ生息しているのかもしれない。 「触ってみるかい? 愛想はないけど、おとなしい子だよ。剣を抜けば噛んでくるけどね」 「あの、他に浄化師は見なかったか?」  しびれを切らしたようにパートナーが問う。  何度か瞬いたディラは、すっと目を細くした。 「サライカゼに巻きこまれたんだね」  問いではなく、断定の口調に二人は頷く。  サライカゼ――攫い風。あの強風は、サンディスタムではそう呼ばれているらしい。 「砂トカゲたちに探させよう。とりあえず君たちはこれに乗って帰るといいよ」 「え、でも、それじゃあディラさんは」 「アタシの砂トカゲ、いっぱいいるから」  けらけらと笑ったディラが指笛を吹く。  直後、平らだった砂があちらこちらで膨れ、中から砂トカゲが顔をのぞかせた。 「こんな感じの服を着た、迷子の人たちを探すんだよ」  命令したディラが手を叩けば、砂トカゲたちはただちに砂海に潜る。 「人を乗せてる間は砂の上を走るから、安心していいよ。じゃあ、街で会おう」  一体の砂トカゲにひらりと乗って、ディラは砂上を滑るように走って行った。  浄化師とパートナーは顔を見あわせる。  離散してしまった仲間たちのことは心配だが、自分たちにできることもありそうになかった。 「……乗る?」 「じゃなきゃ、帰れそうにないし」  恐々と砂トカゲに視線を送る二人を、琥珀の双眸が静かに見返す。
霧中の惨劇は幻
簡単|すべて

帰還 2019-10-06

参加人数 5/8人 虚像一心 GM
 太陽が沈みかけている夕暮れ時――一組の浄化師が街に戻るべく山の中を歩いていた。  つい先ほど、とある指令を終えた二人は一秒でも早く疲れた体を癒そうと速度を速める。  雑談をしながら歩く二人は、ふと周りを見た――どうやら霧が出てきたらしい。  そこまで濃くはないが、山の中で霧というのは何やら嫌な予感がする……けれど足を止めるわけにはいかず、二人は歩き続ける。  しかし霧はそれに応えるように、その濃度を高めてきた。  そしてついに、ほんの一寸先でさえ見ることが難くなるほどの濃さになった。  濃霧のお陰で隣にいるパートナーの姿は見えず、なんとなく近くにいるということしかわからない。  それほどの濃さ……なるほど、はぐれる可能性は非常に高い。  山の中ではぐれてしまえば、再会するのにかなりの時間がかかってしまう。  そうならないために、二人は互いの名前を呼んで自分の居場所を知らせることで、前に進む。  しばらく歩き続けるが、しかし一向に霧は晴れない。  浄化師は思う――この霧はどこまで広がっているのだろうか、と。  極端に視界が悪い状況で、もし何かに襲われでもすればひとたまりもない。  一秒後には自分の命はないかもしれない……そう不安を抱く浄化師だが、首を横に振ってその考えを消し去った。悪く考えるなと。  そして再び前を向く――すると視線の先には何やら人影のようなものが浮かんでいた。  霧のせいで輪郭しかわからないが、恐らくはパートナーのものに違いない。  そう思い、近づくとやはりその人影はパートナーのもので、こちらに背を向けていた。  遅れてしまった、とパートナーに近づく浄化師に、だが突然悲劇は起きた。  目の前にいるパートナー――その体から大量の血が飛び散ったのだ。  まるで何者かに鋭利な刃物で斬られたかのような、刹那の出来事……攻撃を受けたパートナーはうめき声一つ上げることなく前から地面に倒れた。 「――――」  それは突然の、僅か一秒にも満たない一瞬の出来事。  倒れたパートナーの体からは血が流れ出て、赤い池を作り始める。  その二つを見ても思考が追い付かない浄化師は無意識にパートナーに近づき、その体を揺らす――質の悪い冗談はやめろ、とそう言いながら。  だが手から感じるのは冷たくなったパートナーの体。  その感覚を味わったことで、浄化師はようやく状況を理解し、そして口を大きく開けて叫んだ。パートナーの名を……。   ■■■  ――行く手を霧に阻まれたものの、何とか無事に霧から抜け出したもう一人の浄化師。  同じように霧の中に入った相方がまだ出てきていないということは、どうやら霧に遊ばれているらしいようで。  浄化師はしばらく待つことにした、が。  ようやく来たのは相方の姿ではなく、自分の名前を叫んでいる相方の声。  まるで泣き叫ぶようなその声は明らかに異常なもの。  それを聞いた瞬間、浄化師はその声がする方向に駆けだしていた。  一体何が起きたのか、それを確かめるために……。
【熱砂】道化の魔女と魔法少女と魔方陣
普通|すべて

帰還 2019-10-02

参加人数 4/8人 春夏秋冬 GM
 サンディスタム。  ナイル川や幾つかの肥沃な場所を除けば、砂漠とオアシスが点在する国だ。  その地理的条件から、オアシスがある場所に街や村が出来るのは必然である。  大規模農業を行うことが難しいことから、商業に力を入れていることも珍しくない。  そうした中には、街と街を繋ぐ経路の宿場として成り立っている所もある。  今、終焉の夜明け団が暗躍している街も、そうした宿場街だった。 「魔方陣の設置、終わりました」  街の外れにある人気のない荒地。  ナツメヤシの木ぐらいしか見る物が無い場所に、砂漠の民に服装を偽装した終焉の夜明け団の1人が報告に訪れる。  報告を受けたリーダー格の男は返した。 「ご苦労。これで、あとは魔方陣が周囲の魔力を集め、自動的にエリクサー生成の術式が発動する」 「今回の規模でしたら、2週間ほどですね。ならば、あとは」 「可能な限り多くの人間をこの街に引き寄せ、発動時期が来れば逃がさないようにするだけだ」 「では、そのように。これから他の信者に連絡をしてまいります」  そして連絡のため、この場を離れようとした時だった。 「そこまででーす!」  ナツメヤシの木の天辺に現れたカイゼル髭の男が高らかに声を響かせる。 「貴方達の悪事は、全部お見通――」 「撃て」  言い終るより先に、思いっきり炎の魔術を叩き込まれるカイゼル髭男。 「熱いでーす!」  全身を炎に包まれ木から落下。  鈍い音をさせながら地面に激突すると、ごろごろ転げまわる。 「燃える燃える燃えるー! こんがりローストでーす!」  見た目は大惨事だが、余裕のある声をあげるカイゼル髭の男、魔女メフィスト。  そこに追加で攻撃魔術を叩き込もうとした終焉の夜明け団の2人は、背後からの攻撃をまともに食らった。 「ジェノサイド・ラブビーム!」 「ブロークン・ハートアターック!」  アホなのかな? という技名と共に、ハート型の光線が終焉の夜明け団の2人に命中。 「ガハッ!」 「グフッ!」  不意を突かれ、まともに食らい、その衝撃に思わず膝をつく。  だが2人は、魔術で無理やり肉体を強化。  激痛と引き換えに手に入れた膂力を駆使し、攻撃をしてきた相手に身体を向ける。 「誰だ、貴様ら!」  見れば、そこに居たのは2人の少女。  やたらとファンシーなステッキを手に持っている。 「久しぶりだな、ゲイル」  先ほどの攻撃時の声とは違う、それでも愛らしい声で、少女の1人がリーダー格の男に呼び掛けた。 「俺だ。アラゴだ」 「……は?」  思わず聞き返すリーダー格の男、ゲイル。  そして激昂するように言った。 「ふざけるな! アイツは俺と同じ30過ぎのオッサンだぞ!」 「……その反応は当然だが、どうしようもない事実だ。この呪いのステッキのせいでな」  そう言って、手にしたファンシーなステッキを向ける。  するとステッキが抗議した。 「呪いのステッキじゃないですー!」 「ラブリーなマジカルステッキですよー!」  先ほどハートマーク型のビームを放った時と同じ声で、ステッキ達は可愛らしい声を上げた。  これに驚愕するゲイル。 「自我を持った魔術道具だと……!」 「違う」  反論の声はゲイルのすぐ近くで。 「魔術ではなく、魔法道具だ」  声の主が誰か、ゲイルが探るより速く、重い一撃が顎を撃ち抜く。 「ゲイル隊長!」  脳震盪を起こし倒れ伏したゲイルに、残ったもう1人の終焉の夜明け団が声をあげる。  次いで襲撃者に対処しようとするが、それよりも速く放たれたハイキックが顎を撃ち抜く。  ゲイルと同じように脳震盪を起こし気絶した。 「メフィスト、気絶させたぞ。とっとと魔法で動物にしろ」 「まずは火傷の心配をして欲しいでーす」  転げまわっていたメフィストは立ち上がると、終焉の夜明け団の2人を気絶させた仮面の男の傍に近付く。 「危うくアフロになる所だったでーす」  そんなことを言いながら、焦げ目ひとつない。 「この2人は、とりあえず猫ちゃんにしときますか」  メフィストは指を鳴らし、気絶した2人に魔法を掛ける。  すると子猫になる2人。 「とりあえず、ここに入れときまーす」  そう言うとメフィストは、被っていたシルクハットに子猫姿の2人を放り込み、またシルクハットを被る。 「とりあえず、これからどうしますかー?」  メフィストの言葉に仮面の男は返す。 「エリクサー生成魔方陣を破壊する」 「出来るのですかー?」 「この術式は元々、父と兄達が作った物だからな」  そう言うと仮面の男は、跪き地面に手を当てると魔力を放出。  一定量注ぎこむと、魔力に構成式を流し込み魔方陣へと編成した。 「これで良い。このまま放っておけば、既に構築されているエリクサー生成の魔方陣に浸食して自壊させる」 「大したものでーす。エリクサー生成魔方陣といい、貴方の家族の魔方陣を作る能力はすごいでーす」 「だから、殺されたがな」  淡々と仮面の男は返す。 「表向きは不敬を咎められての暗殺だが、実際は技術欲しさに殺されただけだ」 「強欲なことでーす」 「そのお蔭で、私自身の手で父と兄達を殺さずに済んだのは……運が良かったのかもしれんがな」  仮面の男は、変わらず平坦な声で言いながら、魔法少女姿の2人に視線を向ける。  ものすごく嫌そうな顔をしていた。 「どうかしたか?」  仮面の男の問い掛けに、魔法少女姿の2人は応える。 「これ以上、裏事情を聞かされてもな」 「死後のことも含めて、もう聞きたくない」 「諦めろ、運命だ。それに――」  仮面の男は、言い含めるように言った。 「死後の負債を増やしたくなければ、善行を積むんだな」 「そうでーす。悪いことしたんだからしょうがないでーす。言っときますが、死後の苦痛は、生きてる時の比じゃないでーす」  メフィストの物言いに、魔法少女姿の2人は憎々しげに返す。 「言われなくても分かっている」 「死ねばいいのに」 「おーう。まるでマイドーターに言われたみたいでーす。ちょっと胸キュンしまーす」 「……お前、娘が居たのか?」  胡散臭そうに聞く仮面の男に、メフィストは返した。 「100年ぐらい前から『アイツ』呼ばわりされてまーす」  朗らかに言うメフィストだった。  などというやり取りがあるとは知らないアナタ達は、指令を受け、この街にやってきました。  指令内容は、終焉の夜明け団とみられる人物たちが街で活動していないか聞き込みをして調べることです。  聞き込みが出来る場所は、宿屋と市場です。  これらの場所で有効な聞き込みが出来れば、なんらかの情報が得られるかもしれません。  この指令、アナタ達は、どう動きますか?
【熱砂】エリクサー生成を防げ!
普通|すべて

帰還 2019-09-29

参加人数 5/8人 春夏秋冬 GM
「逃げて」  少女の声を、2人の少年は無言で聞く。  少年の内、1人は半竜のデモン。もう1人は、黒猫のライカンスロープだった。 「今なら大丈夫。誰にも見つからないから」  元気づけるように言う少女に、デモンの少年は尋ねる。 「みんなは……」 「ごめんなさい」  即座に少女は返す。 「逃がしてあげられるのは、貴方たち2人だけなの」  少年に余計な期待をさせないよう、迷いなく応える。  すると、ライカンスロープの少年が言った。 「マリーは……行かないの?」 「出来ないの」  返事は即座に。  そして少女は、彼方を指さす。 「あちらに向って、真っ直ぐに進めば、隣の街に着くから。そうすれば安全よ」  マリーと呼ばれた少女は、少年達の背中を押し、別れの言葉を告げる。 「さようなら。もう、2度と会わないことを願っているわ」  その言葉に嘘偽りは無く、事実だけを述べているように少年達には感じ取れた。  だからこそ、少年たちは村を出る。  2人だけで、隣街を目指した。  2人の姿をマリーは、マリエル・ヴェルザンディは、見えなくなるまで見詰め続ける。  そして2人の姿が見えなくなった頃、艶やかな笑みを浮かべ呟いた。 「いけない子」  胸元に手を滑らせ、誰かに語り掛けるように続ける。 「大事な材料なのに、なんで逃がしたの?」  僅かに、間が空く。  慈しむように目を細め、彼女は再び口を開いた。 「ええ、そうね。似ていたわね、あの2人に」  くすくすと楽しげに笑い、続けて言った。 「大丈夫。怒っている訳じゃないのよ、私のマリー。ただ、不思議に思っただけ。  心配しないで。私だって、あの2人のことは覚えているもの」  そう言うと、村の中央に向け歩き出す。  そして笑みを強めながら言った。 「いいわ、あの2人は逃がしてあげる。だって材料は、まだ沢山あるんだから」  そう、彼女の言う通り材料――エリクサーにするための人間は、まだ大勢いた。  彼らは村の中央に集められている。  元々は、幾つかの家屋があった場所が破壊され更地となり、そこに村人達は集められていた。  全員の意識がない。それはとある魔術道具の効果だ。  魔力防御の低い相手を仮死状態にし保存する。  それを実行した魔術師の男は、近付いてきたマリエルに気付き声を掛ける。 「野暮用は終わりですか? 同志マリエル」 「ええ。気にしなくても大丈夫よ、人形遣い」  人形遣いと呼ばれた男は、ぎょろりと目を動かす。  奇妙な男だった。生気という物がまるでなく、どこを見ているのか視点が定かではない。  だというのに、異様な輝きを目に宿している。  彼は、どこか意趣返しといった皮肉げな響きを込め言った。 「気にはしていませんよ、放浪者のお嬢さん」 「……死にたいの? 私を、その名で呼ぶということは」 「まさか。むしろ、畏敬の念を込めているのですがね。貴女『達』のようなケースは稀ですから。  さすがは、ヴォイド・ヴェルザンディの最高傑作だと、常々思っているのですよ」 「……そこまで言うほどかしら? 実験材料にした実の娘に、殺されるような男が」 「不幸な結末ですね。ですが、彼の御業は貴女の内にある。見事ですよ、この魔術道具。実に良い」  そう言うと、人形遣いは手にした短剣を掲げてみせる。  それは今、村の中央で仮死状態にされている村人達。彼らに掛けた魔術の触媒となった物。  魔力を込め、軽く掠り傷でもつければ、一定期間仮死状態に出来る魔術道具。 「実に素晴らしい。貴女でなければ作れないでしょうね」 「ただ、運が良かっただけよ」  謙遜するのではなく、事実を語るようにマリエルは言った。 「陰気の魔結石。サンディスタムの裏マーケットで出回っていたそれを手に入れられたから、作れただけ」 「材料があっても、才覚が無ければこれほどの物は作れません。その気になれば、量産も出来るのでしょう?」 「材料があればね。でも無理よ。材料となる陰気の魔結石を作れたという坊やは、教団に捕まったみたいだし。どうせ、殺されたんじゃない?」 「生きてますよ。浄化師の才能があったらしく、今では浄化師として所属しています」 「あら、そうなの? じゃあ、捕まえたら、いじってみようかしら」  楽しげに笑みを浮かべながら呟く。 「ご随意に。ですが今はそれよりも、この場での実験に集中しましょう」 「ええ、分かっているわ。私にとっても、必要なことですもの」 「心が踊ります。エリクサー生成魔方陣の起動まで時間は掛かりますが、この術式なら今までにない精度のエリクサーが作れるでしょう。  魔術開祖アレイスター・エリファスに、我らはまた一歩近づけるのです」 「そうかもね。どうでもいいけど」 「相変わらずですね。聞く者が聞けば、不敬と取られますよ」 「なら良いでしょ。私は貴方ほど、嘘をつくのは巧くないの」 「はははっ、誰が聞いているか分かりませんからね。それにしても貴女は、やはり正直な方だ。そしてお優しい。  エリクサーの材料になる人間が苦しまないで済むよう、仮死状態に出来る魔術道具まで作るのですから」  人形遣いの言葉に、マリエルは淡々と応える。 「別に。不要なことはしたくないだけ。材料になって貰う必要はあるけど、苦しめる必要はないもの。そんなのは、非効率よ」 「それは、体験談から得たものですかね?」  にちゃりと、いやらしげに見詰める人形遣いに、マリエルは静かに返す。 「ええ、そうよ。同じ実験台になるなら、苦しまずに済むのが一番よ」  そう言うと、その場を後にする。  彼女の姿を目にしながら、人形遣いは心の中で呟いた。 (死別を恐れるお嬢さん。心配しなくても、いずれ私が2人一緒に、宝石にしてあげますよ。だから――) 「この実験、失敗させるのもひとつの手ですかね」  誰にも聞こえないほど小さく呟くと、くつくつと喉の奥を鳴らすように笑った。  そんなことがあった2日後。  急遽、ひとつの指令が出されました。  内容は、とある村で行われようとしている実験の阻止です。  村から逃げ出すことの出来た2人の少年の証言を受け、即座に斥候が現地調査。  村の周囲を囲むように魔方陣が設置されているのを確認しています。  魔方陣の構成から、エリクサー生成のための物と断定。  魔方陣を構成する要は8か所あり、特殊な魔結晶が、その役割を果たしています。  その内、4か所を破壊すれば、魔方陣は機能しなくなるとの調査結果が出ています。  これを受け、指令内容は次の通りです。  魔方陣発動を防ぐため、要となる箇所に設置してある、特殊な魔結晶を4つ破壊する。  村人達の保護。  終焉の夜明け団の討伐。  可能であれば捕獲。  ただし、魔方陣の破壊と村人の保護が優先されますので、逃げる者まで追う必要はありません。  作戦開始は、午前4時。  これは敵からの発見を可能な限り防ぐためです。  夜明け前の行動になりますが、同行する魔女セパルが暗視の魔法を掛けるので、視認不良の心配はありません。  要となる特殊な魔結晶の傍には、2人1組の終焉の夜明け団が警護に当たっています。  その他の終焉の夜明け団の正確な人数は分かっていませんが、30人程度とみられます。    この指令、アナタ達は、どう動きますか?
第一回ドリーマーズフェスに参加しよう
簡単|すべて

帰還 2019-09-24

参加人数 6/8人 春夏秋冬 GM
 冒険者ギルドニホン支部。  浄化師達による博打により、今ではニホンのセンダイ藩に置かれている。  とはいえ、許可を貰ったというだけ。  諸々に必要な物の手配はしなければならない。  という訳で、色々とあって冒険者ギルドニホン支部の長に就任した吉次郎は、執務室で忙しく書類仕事をこなしていた。 (支部長と言っても、丁稚働きと大して変わりやしませんね)  書類の種類と重要度で仕分けしながら、吉次郎は心の中で呟く。 (こき使われましたが、旦那様の所での働きが役に立つとは。皮肉です)  当時を思い出しながらも手は止めない。 (薬草魔法植物園は……珍しい魔法の植物を手に入れてくれ?  富士樹海迷宮とやらに行けば良いらしいですが、これは浄化師さんに頼まないと)  いま仕分けしているのは、ギルドに舞い込んでいる依頼の束だ。 (他には……万物学園は、講師のスカウトに制服のデザイン依頼。  レストランのメニュー制作のために、海のべリアルを全滅させて欲しい、てのもありますね。  これも浄化師さんに頼みますか)  次々仕分けを進める。 (こいつは……ドリーマーズフェスですか)  要望書の1枚に目を止めた時だった。 「おう! 入るぜ!」  けたたましい声と共に、1組の男女が部屋に入って来た。 「どちらさまで?」  吉次郎は、緊急時用の呼び出し符に手を伸ばしながら尋ねる。  すると、鋭い美貌の女性が返す。 「本日、面会の予約を入れていた、室生マチ子です」 「ああ……ドリーマーズフェスの企画持ち込みを希望された」  呼び出し符に伸ばした手を戻し、マチ子では無く、もう1人の青年に視線を向け続けて尋ねた。 「そちらの方は?」 「鎌倉源だ!」 「……予約をいただいたのは、室生さん御一人だったかと」  これにマチ子は、駄犬を見るような目で源に視線を向けながら言った。 「すみません。連いて来ると煩くって」 「たりめーだ! アイツにばっか、活躍させて堪るかってんだよ! ここは生涯のライバルたる、オレ様の出番だろ!」 「はぁ……」  生返事で吉次郎は返しながら、いま目の前に居る2人の名前を思い出す。 (確か、クロアのジジィが送って寄こした情報に、名前があったな)  それは、ニホンに投資を行ったひとりであるクロア・クロニクル。  彼の伝手である魔女セパルが、昔馴染みだという狸の妖怪達から得たものだ。 (西ニホンで興行をしながら探って得た情報らしいですが……さてさて、こちらから仕掛けてみますか)  吉次郎は笑顔を浮かべながら言った。 「貴方たちは、桂先生と懇意だそうですね」 「テメェ!」  源は、吉次郎の言葉を聞いて詰め寄る。 「なんで桂先生のことを知ってやがんだ! さては先生の命を――」 「落ち着きなさい。駄犬」  スパンっ! と小気味良い音をさせ、マチ子は口寄せ魔方陣で呼び寄せたハリセンで源の頭を叩く。 「なにすんだ! このツリ目女!」 「うっさい駄犬。口で言っても聞かないからでしょ。鞭で打たないだけ喜びなさいな」  源の抗議をさらりと流し、マチ子は吉次郎に言った。 「よくこちらのことを調べていますね」  これに吉次郎は、肩を竦めるようにして返す。 「昨今は危ない情勢ですからね。私みたいなのは情報が命です」 「そうですか。なら私達が、今日ここに来た理由も既に知っているので?」 「推測ですがね」  吉次郎は、部屋に備え付けのソファを勧めながら続けて言った。 「西ニホンの反政府軍2大拠点のひとつ、チョウシュウ藩。  その出身であり、反政府軍とも関わり合いのある桂大五郎。  彼が講師を務める私塾の生徒だった貴方達は、ドリーマーズフェスに反政府軍の人間を参加させたい。  間違っていますか?」 「ええ、その通りです」  マチ子は、隠すことなく素直に応える。 「目的は、反政府軍活動を抑えることです」 「おう! そうだぜ!」  マチ子の言葉を引き継ぐようにして源が続ける。 「反政府軍にはよ、俺らみたいな若いのも居るんだ。そいつらはよ、言っちまえば腐ってやがるんだ。  ヨハネの使徒だのべリアルだの、わけの分かんねぇムカつく奴らのせいで、故郷は荒らされてよ。  夢のひとつも見る余裕もなくて、先がねぇって思ってやがるんだ。  だけどよ、ドリーマーズフェスってのは、夢を叶えるための祭りって言うじゃねぇか。  だったら、そこに参加して、夢のひとつも見せてやりてぇじゃねぇか!」 「要はガス抜きです」  熱く語る源の言葉を続けるようにして、マチ子は言った。 「反政府軍活動なんてものに熱をあげるなら、その情熱を少しでも他に向けたい、ということです。  さらに言えば、東ニホンで投資活動が行われている実例を知らせることで、牽制にしたいという理由もあります」 「そう巧くいきますかね?」  吉次郎の疑念に、マチ子は返す。 「そうなるための第一歩です。少なくとも、東ニホンでアークソサエティからの投資が行われている。  その事実を知らせるのは意味があります」 「……東ニホンの反政府軍と協力して、なんて考えは起こし辛くなる、ってことですか」 「ええ、そういうことです。それに、東ニホンで投資が行われるなら、西ニホンでも行われるのでは?  そう思わせることもできれば、さらに牽制になります」 (それに、あの子みたいに、一度夢を諦めた子にも、夢をみせることの出来る場になれば良いし)  心の中でマチ子は、教団に入る前、編集者だった頃にジュニア文学賞に導いた1人の女性を想いながら呟く。 (夢を諦めたり止めたりしても、また見れるってことを教えてあげたいわね。  文筆一本じゃなきゃ、ダメって訳じゃないのよ。兼業だって趣味だって、夢の形のひとつなんだから)  そう思っていると、吉次郎は苦笑するように言った。 「誰か、親しい人のことでも、思い出されましたか?」  これにマチ子は、少し恥ずかしそうに返す。 「……表情に出てました?」 「ええ、少し」  吉次郎の応えを聞いて、感心したように返したのは源だった。 「すっげー! アンタすげーな! 見ただけで分かるんだ! マチ子みてー!」 「いえいえ、とてもとても。マチ子さんは、森羅万象人間心理を物語として読み解く『人心看破』と呼ばれているそうじゃないですか」 「やめて下さい! その呼ばれ方恥ずかしいですから!」  顔を赤くして返すマチ子。 「支部長が勝手に名づけたんです!」 「んだよ。なんでそんなに嫌がってんだ」  不思議そうに聞き返す源に、呆れたようにマチ子は応える。 「狂犬疾狗って呼ばれて喜んでるアンタと一緒にしないで!」 「はぁ? なんで恥ずかしいんだよ。カッケーじゃんか。マッドドックだぞ、マッドドッグ」 「そんなんだから駄犬なのよアンタは……」  ワイワイガヤガヤ賑やかな2人に苦笑しながら、吉次郎は言った。 「事情は分かりました。では、浄化師さんにも協力を願うとしましょう」  依頼書を取り出しながら続ける。 「ニホンの反政府活動は、原因の一つに海外勢力への不信がありますからね。  直接関わる場を用意すれば、それが緩和される切っ掛けになるかもしれません」  かくして、ひとつの指令が出されることになりました。  内容は、スポーツと芸術の祭典『ドリーマーズフェス』に参加して欲しいというものです。  この指令に、アナタ達は――?
苦いも甘いも照らす月
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帰還 2019-09-21

参加人数 4/8人 瀧音 静 GM
「皆さんにはテスターとして参加して欲しく……」  東方島国ニホンのとある場所。  『城』と呼ばれる建物の周辺をブラブラと歩いていた浄化師達に、声を掛けてきたのは一人の少女。  『看板』という文字が刺繍された着物を着ているのだが、もしやこれで看板娘とでも言いたいのか。 「私、このお城の近くの甘味処で働かせてもらっている【絶(たえ)】と言います。実は、その甘味処で一つ、やってみようという事がありまして――」  やはり看板娘らしい絶という少女の口から出てくるのは、新たなお客様を呼び込もうとする甘味処の集客の策。 「菓子を実際に作る体験をしていただいて、それをお抹茶と一緒にいただいてみよう、というものなんです」  普段行わない、和菓子作りというものを楽しく体験し、その後で作った和菓子と抹茶を堪能する。という趣旨の企画。  それのテスターになってくれとの頼みらしい。 「和菓子と言っても、比較的作るのが簡単で可愛らしいものをいくつか見繕っていますし、私どもが傍について教えるので失敗などはほとんど無いと思います」  やったことのない体験を提案され、不安の表情をしたことを読み取られたか、絶が少し慌てながら言う。 「さらには、このテスターとして参加していただけると、特典としてお城の月見台でお菓子とお抹茶を食べる事が出来るので……」  そこまでを含めてのテスターなのだろう。 「お月見という風流な行事に、ご自身の作られた和菓子を堪能する、というのはいかがでしょうか? お月見に欠かせない団子はこちらの方で用意致しますので、何卒!」  絶の指さす先にある城を見据えた浄化師達は、静かに頷くのだった。  
喧嘩の仲直りは自分から
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帰還 2019-09-20

参加人数 3/8人 虚像一心 GM
 雲一つなく、青空が一面に広がり、太陽が地上を明るく照らす何とも気持ちが良い日。  こういう日は意味がなくとも外に出たくなる気分になってしまう。  ……だが。  賑やかな街の中で、一つだけ雰囲気が違うものがあった。  それは一人の浄化師の姿――一体どのように雰囲気が違うのかと訊かれれば、それは。 「…………」  怒っている、と答えるしかない。  そう、異様な雰囲気を醸し出している浄化師は今現在、怒っているのだ。それも物凄く。  一体何があった? ――喧嘩したからだ。自分のパートナーと。  何故喧嘩した? ――些細なことがきっかけだ。  ――思い返せば、喧嘩のきっかけは本当にどうでも良いことだった。  本当にどうでも良いこと……だから怒っているのはそこではない。  浄化師が怒っているのは、相手の言い分に腹が立ったからだ。  最初はいつも通りの会話だった。本当にどうでも良いことを笑いあっていた。  だが何が引き金になったのか、両者は自分の言い分を押し付け始めた。  向こうも自分も、言い方が気に食わなかったのだろう。怒りを覚え、何度も言い返し始めた。  そうして徐々に興奮していき、最後には激怒するまでになり、二人は喧嘩別れをした――顔も見たくない、と。  故に浄化師はこうして街の中を怒りながら歩いているのだ。  しかしまあ、高まった興奮は冷めるしかないもので。  外の空気で徐々に頭が冷え、冷静になった浄化師は何故喧嘩などしてしまったのか、と深いため息を吐いた。  もし、相手の怒りがまだ収まっていなかったら。  もし、こちらの怒りにまた火がついてしまったら。  もし、このまま喧嘩を続けてしまったら。  もしかしたら……もう二度とパートナーと組むことがないのだろうか、と近くにあった椅子に座り、自問自答を始める。  ――確かにあの時は顔も見たくない、そう思った、しかし。  それがずっと続けばどうだ? そんなものは嫌だろう?  今まで共に行動し、危険な目に遭って、それでも互いを助けてきた、なのに!  それがこんなどうでも良いことで壊れてしまっても良いのか!?  自分はそれを望んでいるのか? 本当に? ――否、そんなわけないッ!  自分とパートナーは今までも、これからもずっと一緒にいる。何があってもだ。  なら……自分がするべきことはわかるはず。  それは――先に自分が謝ることだ。  たとえ自分が悪くなかったとしても、相手に誠心誠意謝れば、元の関係に戻れるはずだ。  だから、さあ……今すぐ謝りに行こう――っ!