マニキュアフラワーで花束を
とても簡単 | すべて
6/8名
マニキュアフラワーで花束を 情報
担当 草壁 楓 GM
タイプ ショート
ジャンル ハートフル
条件 すべて
難易度 とても簡単
報酬 なし
相談期間 4 日
公開日 2018-03-30 00:00:00
出発日 2018-04-06 00:00:00
帰還日 2018-04-15



~ プロローグ ~

●彩りに想いを込めて

 教皇国家アークソサエティ。
 様々な種族が住むこの国家の西部にある巨大都市エトワール。
 美しい建造物や美術品などが好まれ多くの観光客が訪れ、そして市民階級の者などがこの都市に住んでいる。
 そのエトワールにある中心街にあるのがリュミエールストリート。
 ここには洋服店や食堂などがひしめき合い、夜にはネオン煌く繁華街となる賑やかな通り。
 そのストリートの一角にあるハンドメイドショップ『ロシューヌフローラ』。
 老若男女通う人気のお店で、とびきり人気があるのが体験型の制作講座である。
 現在開催されているのはマニキュアを使用した花の製作である。
 それは有難いことに盛況でその評判は浄化師になりたてのあなたとパートナーである祓魔人の耳にも入っていた。
 その評判とはマニキュアフラワーの色で相手に想いを伝えるというもの。
 作業は簡単。
 柔らかい素材のワイヤーで花の形を作り、幕を張るようにマニキュアを塗り、花びらを作って乾かせば制作は終了である。
 最後に出来上がった花を数本束ねて花束のようにして、店員がラッピングをしてくれるのだ。
 そのマニキュアの色は多彩に用意されており、色の組み合わせにより自分オリジナルの花束を作ることができる。
 そして色にはいろいろな意味がある。
 赤ならば情熱や勇気。
 青ならば信頼に誠実、冷静。
 などなど。
 これらを組み合わせてオリジナルのメッセージを込めることができるということである。
 まだパートナーと知り合って間もない浄化師にとっては制作中に会話もでき、そして花の色で今の心にある想いを伝えることができるという評判だ。
 これから「よろしく」でも自分の目標を相手に伝えるでも良い。
 そしてその制作したマニキュアフラワーは枯れることがないため、思い出としてもそして自身の相手への気持ちの初心の記念ともなるだろう。
 さて、あなたはどんな思いを相手に伝えてみようか。


~ 解説 ~

【目的】
 マニキュアで花を作りながらパートナーと話したり、色合いで今の想いを相手に伝える

【ハンドメイドショップ『ロシューヌフローラ』について】
 明るい店内でこじんまりとした暖かい雰囲気の店舗です。
 作業机があり、店員に教えてもらいながらマニキュアフラワーを制作できます。

【マニキュアフラワーについて】
 柔らかい素材のシルバーのワイヤーを使い花の形を作ります。
 そこに好みの色のマニキュアで花弁部分に幕を張らせるように塗り花びらを作ります。
 お一人様大小合わせて10本まで作成可能です。
 花弁の形は桜、百合、マーガレットや簡単な薔薇、かすみ草等作成できます。
 ※マニキュアフラワーは、エピソード終了後アイテムとして獲得することはできません。

【カラーのバリエーションと意味について】
 ・赤~元気、情熱、勝利、勇気、積極
 ・橙~活気、陽気、親しみ、健康
 ・黄色~希望、転機、明るい、朗らか
 ・緑~安心、平和、癒し、安全
 ・青~信頼、誠実、冷静、安全、知的
 ・紫~高貴、上品、神秘、優雅
 ・ピンク~可愛い、愛、幸運、柔らかい
 ・黒~安定感、支配、自信、主張
 ・白~始まり、光、純粋、潔白、神、夢、未来、無限
 ・金~輝き、欲望、達成、名誉、名声、地位
 ・銀~輝き、協調性、才能、未来、洗練、知性

 例:・輝きのある未来、そして安全と幸運を→金、銀、緑、ピンクの花束
   ・元気に陽気に協調性(仲良く)、夢に向かって→赤、橙、銀、白、
  
  など、組み合わせによって贈る言葉はたくさんできます。 

【エピソードについて】
 どのような色を使ってパートナーに現在の想いを伝えるかというお話となっております。
 プランには、制作時の会話、伝える思い、花の種類と色合いと本数(赤2本、橙3本等)をお書きください。
 制作しながらパートナーと会話しつつ、会話では言えないことを伝えてみてはいかがでしょうか!

【その他】
 アドリブ等が入る場合がございます。不可の場合プランに「×」とお書きください。
 過激な発言や行動があった場合描写できかねます。


~ ゲームマスターより ~

 草壁 楓と申します。
ご閲覧誠にありがとうございます。
煉界のディスメソロジアにて初のエピソードとなり、少々緊張しています。
初めましての方、今まで草壁のエピソードに入られたことのある方も、皆様よろしくお願いいたします。

 浄化師になりたての喰人と祓魔人のこれからのスタートとして言葉に出来ない想いを伝えてみては、と思い作成したエピソードとなっております。
皆様の今後が明るくなるよう彩を添えられたらと思っております。
日常の一時を楽しんでいただけるように、そして心穏やかになるよう心掛けつつ日々執筆活動をしています。

ご参加お待ちしております!





◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇

ミコト・カジョウ アリア・ソラリユ
男性 / 人間 / 墓守 女性 / アンデッド / 魔性憑き
1.大きめの花(花種お任せ)で、お互いのイメージを伝える花を作る

○アリアから、ミコトへ
青で5本だけ
『良くも悪くも冷静誠実そうで、血が流れているか不安』
○ミコトから、アリアへ
橙で5本だけ
『活気があり、陽気で親しみやすい。悩みがなさそうだ』

花を渡し合い、その色を確認してから相手の顔を見たい瞬間に、お互いに即理解する。
ミコト「(融通の利かない頭でっかちだと言いたさそうだな)」
アリア「(なにこの『見るからに悩みなさそうですね』っていう目!)」

お互いに僅かに顔を引き攣らせてから『もちろん、きちんと額面の色を思えば、これだけではないのだろうけれども』と思い直し
お互いに咳払いをして、互いの花を受け取り合う。
リチェルカーレ・リモージュ シリウス・セイアッド
女性 / 人間 / 陰陽師 男性 / ヴァンピール / 断罪者
パートナーになったばかり
気持ちを伝えて 少しでも仲良くなれたらいいな

シ:…行かないのか
リ(目を丸くして いいの?
シ:できるだけ 一緒に行動するよう言われている
リ:シリウスが嫌じゃなければ やってみたい
  小さな頷きにぱっと笑顔
  ありがとう!

リチェは青いバラ3 白と銀のかすみ草4
シリウスは白いマーガレット1

花の話や花言葉をリチェが説明
力がなくてワイヤーが曲げられないときは シリウスが手を貸す

青いバラは奇跡 かすみ草は感謝
あなたに出会えた奇跡に感謝 
これからもずっと あなたを信じてる
だから… よろしくお願いします

照れたように笑って花束を渡す
受け取ってもらえたこと 自分ももらえたことに満面の笑顔
ありがとう とっても嬉しい!
アリシア・ムーンライト クリストフ・フォンシラー
女性 / 人間 / 陰陽師 男性 / アンデッド / 断罪者
クリスが…この講座に誘ってくれて…
よく分からない人だと思っていたんですが…優しい人なのかな…
もう少し打ち解けられればいいなって…思います…

相手にあげるお花…あの、クリスは…好きなお花ってありますか…?

喋るのは得意ではありませんけれど、頑張って質問してみます
何だか笑われてる気がするのは気のせいでしょうか…

とりあえず作るのが簡単そうなマーガレットを作ってみましょう…
色は…クリスの顔を見て緑と金と白を用意して

癒やし…そんな意味があったんですか?あまり考えてませんでした…
自分の迂闊さに若干しょんぼり
そこに出されたクリス作の花束

これが、私のイメージ…
からかってるのか本気なのか分からなくて…頬が熱いです…
クラウス・クラーク クラル・クラーク
男性 / マドールチェ / 陰陽師 女性 / 人間 / 狂信者
【花と想い】
クラウス:
白と淡緑とピンクの薔薇が3本ずつ。

いつまでもいつまでも、君の側に。(白:無限・未来、9本の薔薇:いつも一緒にいて下さい)
そして、君に安心と溢れる程の愛を。(緑:安心、ピンク:愛)


クラル:
緑の四つ葉のクローバーが5本と白地に金の縁取りをした苺の花が5本。

あなたの周りが平穏で安全でありますよう。(緑:平和・安全、四つ葉のクローバー:幸運)
そして、あなたの夢が、理想が、叶いますよう。
(白:夢、金:達成、苺の花:尊重と愛情)

【作業】
ぴったり隣に座って作業。
のんびり会話を交わしつ、時折クラルがクラウスの手を取って作業のコツを教えたり。
作成物を隠したりせず、互いに解説しながら作る。

唐崎・翠 レガート・リシュテン
女性 / 生成 / 拷問官 男性 / 人間 / 狂信者
【目的】
契約して間もない事もあり一緒にいても緊張してしまう
今回を通じてもう少し普通に会話ができるようになりたい
いい切っ掛けになれば、と思い切って今回誘ってみた

【行動】
これなら私にもできそうと安心
頑張って声をかけてはにかみ
「え、ええと…。素敵な花束が作れるといいですね」

花の種類は桜
離れてそんなに経っていないが懐かしく思い選択
「私の故郷の花なんです。きっと今頃満開のはずですよ」

緑2、赤1、橙1
安心、安全、情熱、健康

「私の名前、漢字は違いますがみどりと読むので…。少し多めに入れてみました。長い付き合いになりそう、ですし。私はこんな人ですっていうのを伝えられたら、って」
言ってて恥ずかしなり段々声小さく
サラ・ニードリヒ ハンス=ゲルト・ネッセルローデ
女性 / ヴァンピール / 占星術師 男性 / ライカンスロープ / 悪魔祓い
とにかくサラを外に連れ出して人に慣れされないと…
世の中楽しいぞってな!

ハンスに誘われてお店に
花は好きよ
森に住んでたし

互いの気持ちを伝え合う…?
ハンスってば 何か今更な気もするけど…

ハンスに伝えたいのは…
やっぱり感謝だわ
彼がいなきゃ死んでたもの
苦笑しながら

ハンスはいつも誠実で優しくて
一緒にいると安心するの
何があっても信じられる
だから
青2本
緑2本
男性らしく大きな百合の花弁型で
そこに1本だけピンクの撫子を

緑は花っぽくないって?
でもハンスにぴったりよ?
ハンスはどんなのを?

俺は…これだっ!
ピンク4本
銀1本
ど、努力の跡は見えるだろ!?

ピンクばっかり!
しかも無骨!鬼百合級に大きい!
ハンスらしいわ(笑)


~ リザルトノベル ~

●今そしてこれから

 リュミエールストリートにあるハンドメイドショップ『ロシューヌフローラ』。
 店内にはミコト・カジョウとアリア・ソラリユの姿がある。
 浄化師になりたての2人は店でやっている制作講座の噂を聞き来店したようだ。
 2人は店員に工程や色の意味合い等の説明を受け、作業机へと向かう。
 するとアリアはミコトに提案を持ちかける。
「ねえねえ、最初の5本で今お互いが思っている事。残り5本でこれからどう在ってほしいかを作るってどうかしら?」
 まだパートナーとなって浅い2人。
 言いたいことがあったとしても直接言うのもまだ戸惑うことが多い。
 これは良い機会だとアリアの提案にミコトは心良く承諾をする。
 さて、と2人は目の前に並ぶ材料を眺めるとさっそく作業を開始する。
 2人は作業をしながらパートナーにどのような想いを伝えるかを、考えながら作業を進めていく。
 少々難しい構造なものは店員に手伝ってもらったり、助言もしてもらいそれはとても綺麗な形になった。
「こんなもんね!」
 その出来にアリアは満足そうにする。
 その隣にいるミコトも、
「上出来だ」
 と同じく満足そうにしている。
 さて、と次にマニキュアを手に取った。
 ミコトは橙に白、ピンク。
 アリアは青、白と緑のそれぞれ3色である。
 できたワイヤーの花弁部分にマニキュアの膜を作るように塗っていく。
 2人は最初こそなかなか出来なかったが、コツを掴めば10本ずつのワイヤーを彩ることができた。
 店員は器用な2人を褒めつつ乾燥室へとマニキュアフラワーを移動させた。
 乾燥まで少々時間が掛かるようで、店員が紅茶を運んできた。
 少しの時間、話しをしながら待っていると店員が乾燥が完了したことを告げてきた。
 作業机には綺麗なワイヤーとマニキュアで出来た花々が出来上がっていた。
 あとはペンチなどで長さを決め花束にしていくだけだ。
 ミコトの1つ目は全て橙色でタイムの花2本とユリ3本。
 アリアの1つ目は青色のアサガオ2本と同じく青色のスミレ3本。
 まずはと2人はほぼ同時にパートナーに1つ目の花束を差し出した。今現在の気持ちの花束。
 お互いその花束を見ると。
(融通の利かない頭でっかちだと言いたさそうだな)
 とミコトは顔を引きつらせる。またアリアも、
(なにこの『見るからに悩みなさそうですね』っていう目!)
 と同じく顔を引きつらせている。
 そして同時に咳払いをすると受け取り合う。
(もちろん、きちんと額面の色を思えば、これだけではないのだろうけれども)
 と花束を見つめつつお互いそう思った。
 次に残りの5本を纏めた2人。
 2つ目は、ミコト白のかすみ草4本にピンク色の胡蝶蘭を1本の花束。
 アリアは白いかすみ草4本に緑のクロッカス1本の花束である。
 特に話し合っていたわけではなく偶然にかすみ草を4本選ぶ2人。
 2人のお互いへのこれからの想いである白のかすみ草『始まり、未来、無限、感謝』である。
 そこにお互いの1つの想いが交じり合い。
 ミコト『未来、相手にいつまでも優しさと幸運があるように』
 アリア『未来、相手が何よりも信頼の置ける存在であるように』
 という2つ目の花束が出来上がったのだ。
 その想いが通じたのか2人の心にほんのりと暖かい何かが灯る。
 お互いに受け取れば、1つ目と2つ目の花束を一緒にしラッピングする。
 それから店を出てお互い受け取った花束を見る。
 すると小さくミコトは言う。
「……一輪だけ互いに向けられた、色の違う希望ならば、応えたい。そういうものだろう」
 と照れながら。
 アリアはその言葉に頷き微笑み返すと一緒に帰路を歩いていった。
 このマニキュアフラワーのように光差す未来信頼した関係を作り上げつつ幸運が2人には訪れるに違いない。


●出会えた奇跡

 リチェルカーレ・リモージュはリュミエールストリートにあるハンドメイドショップ『ロシューヌフローラ』の前で立ち止まっていた。
 隣には彼女の祓魔人のシリウス・セイアッドの姿がある。
「……行かないのか」
 彼女の様子をみてシリウスは言った。
 彼のその言葉に驚きつつリチェルカーレは目を丸くし、シリウスを見上げる。
「いいの?」
 店頭の張り紙を見て、パートナーとなったばかりのシリウスに今の自分の気持ちを伝えたいが……と考えていたのだ。
「できるだけ……一緒に行動するよう言われている」
 張り紙を見て『やってみたいという声が聞こえそうな顔』をしていた彼女……だから聞いてみたのだが、「いいの?」と気を遣う彼女に内心困惑をしていた。
「シリウスが嫌じゃなければ……やってみたい!」
 彼女の笑顔の言葉に小さく頷く。
 小さな頷きにリチェルカーレは花咲くような笑顔を彼に向けると心から「ありがとう!」と言った。
 店内に入ると店員が笑顔で出迎えてくれ、リチェルカーレが張り紙の話をすると作業机に通された。
 店員に作業方法や色の意味などを聞き、作業机へ座る2人。
 ワイヤーを手に取るとリチェルカーレは微笑みつつワイヤーを花の形に成形していく。
 リチェルカーレは考えていた。
 シリウスは何をしたら笑ってくれるのかと。
 無表情な彼の顔……少しでもいい、笑ってくれたらと。
 楽しんでいるか……退屈していないか、そんなことを考え彼女は彼の表情を窺いながら話し出した。
「青いバラは奇跡、そしてかすみ草は感謝」
 今作っている花の意味。彼に伝わればと作っている花。
 彼女がワイヤーがうまく曲げられない時はシリウスはそっと助けてくれる。
 表情は変わらないが、その行動から彼の優しさが伝わってくるようで、
(あなたに出会えた奇跡に感謝)
 と出会えたことに感謝する。
 花の形成が終ればマニキュアに2人は手を延ばした。
 リチェルカーレは青と白、そして銀。
 シリウスは白。
 そっとワイヤーの花弁に塗ればその色の膜が張られていく。
 全て塗り店員が乾燥室へと持っていく。
 乾燥している時間、店員にもらった紅茶を飲みながらシリウスは彼女の話をたまに頷きながらジッと聞いていた。
 作業の楽しかったことや難しかったことをコロコロと表情を変えながら話す彼女を見つめつつ。
 話を聞いてくれているシリウスの目元が和らいでいるような気がするリチェルカーレ。
 心がホッとする。
 そんな時乾燥が終ったと店員がマニキュアフラワーを持ってきた。
 あとは花束にするだけ。
 リチェルカーレは最後まで心を込めてラッピングをしていく。
 そして出来上がると、シリウスに差し出した。
「これからもずっと――あなたを信じてる」
 真っ直ぐにシリウスを見ながら言うリチェルカーレ。
 シリウスは思う。
(……どうして)
 彼女は自分何かにこんなに好意と信頼を向けるのか、と少し照れたような笑顔で花束を差し出す彼女を見つめる。
「だから……よろしくお願いします」
 白と銀のかすみ草4本と青いバラが3本。
 シリウスという大切になる人と出会えた事への奇跡とそのことへの感謝。
 シリウスもそっとリチェルカーレの前へと花束を差し出す。
 1本の白いマーガレットの形をしたマニキュアフラワー。
「……俺は、そんなに大層な者じゃない」
 花と共にそう言うシリウス。
 しかしそこには『信頼』という彼からの言葉が入っているように思えた。
 お互いの花束を受け取りリチェルカーレは今日一番の笑顔をシリウスに向ける。
「ありがとう! とっても嬉しい!」
 その言葉でシリウスの表情に少し変化が出たように思うリチェルカーレ。
 これから2人は感謝の心を忘れず、信頼を気付いて歩き続けるだろう。


●いつの日か癒しを

 ハンドメイドショップ『ロシューヌフローラ』の作業机の前には2人の影が座っている。
 浄化師になりたてのアリシア・ムーンライトとクリストフ・フォンシラーである。
 数日前クリストフがよかったらとアリシアをマニキュアフラワーの講座に誘ったのだ。
 危険な任務の前に親睦を深めた方がいいという思いからだった。
 誘いに彼女は彼が思っていた以上の喜びを見せたのだ。
 その反応にクリストフは笑みつつ、やっぱり女の子はこういうのが好きなんだなあ……と感じた。
 そして今日に至るのだ。
 店員は「今日はどうしてこちらへ?」とアリシアに尋ねる。
「クリスが……この講座に誘ってくれて……」
 店員はにこやかに2人を交互に見て笑顔を向けてくる。
(よく分からない人だと思っていたんですが……優しい人なのかな…)
 今日を通じて少しでもクリストフと打ち解けられれば、と考えていた。
 作業工程と色の意味などを説明され店員は一旦その場を離れた。
 何を作るか……とアリシアは黙って思案する。
 喋るのが得意ではないと自負しているアリシアは、今頑張る時だと彼に声を掛ける。
「……あの、クリスは……好きなお花ってありますか……?」
 クリストフは作業していた手を止める。
 彼女から話し掛けてきたから。
「特には無いから作りやすいのでいいよ」
 彼女からの質問を嬉しく思いつつクリストフはアリシアを見つめる。
「とりあえず作るのが簡単そうなマーガレットを作ってみましょう……」
 話さない彼女が一所懸命自分に話しかけながら作業をしている。
 嬉しくて自然と口が弧を描くクリストフ。
「色は……」
 なんて言いながら今度はクリストフに視線を移す。
 彼は笑顔だ。
(何だか笑われてる気がするのは気のせいでしょうか……)
 なぜ? と疑問に思いつつ彼から受ける色のイメージを思い浮かべる。
「緑と金と白」
 という言葉を発し、マニキュアを手に取る。
「できました……」
 安堵の息と共に店員にそう告げる。
 乾燥室に持って行く、とそれを店員は持ってまた去っていった。
 もちろんクリストフのも。
 乾燥させている間、紅茶を飲みながらアリシアは頑張っていつもよりクリストフと会話をする。
 会話をしているものの彼女の表情には変化があまりない。
(これでもうちょっと笑ってくれたらもっと可愛いと思うんだけど)
 とクリストフは思うのだが……まあ、その為の第一歩かな、と今日のことを思う。
 紅茶が飲み終わった頃、マニキュアフラワーの完成が告げられた。
 あとは花束にするために纏めるだけ。
 パチン! とワイヤーを切って、綺麗に長さを整えて花束をラッピング。
 出来た途端アリシアはクリストフの前へと花束を差し出した。
 緑、金、白のマーガレットがそれぞれ3本。
 花束を見てクリストフは笑みを浮かべながら言う。 
「緑は癒やしって意味だよね」
「癒やし……そんな意味があったんですか?あまり考えてませんでした……」
 自分は彼を見てイメージした色で花を彩った。
 少し驚いているようなアリシアにクリストフは更に言う。瞳を微かに細めながら。
「俺は君の癒しになれてるのかな?」
 と。
 次に彼は自分の作った花束を彼女に差し出した。
「君のイメージで作ってみた」
 9本のかすみ草と一輪のピンクの薔薇。
「これが、私のイメージ……」
 多くのかすみ草の中に可憐にある薔薇……自分……。
 先ほど店員に説明してもらった意味を思い出す。
 白の意味『光、純粋』ピンクは『可愛い、愛』。
 アリシアの頬がほんのりと染まる。
(……頬が熱いです……)
 彼は自分のことをからかっているのか、それとも本気なのか……。
 可愛い反応を見せたアリシアにクリストフは更に笑みを深めたのだった。
 これから進み続ける2人、お互いを癒しながら歩めるだろう。


●溢れる愛を

 リュミエールストリートにあるハンドメイドショップ『ロシューヌフローラ』の店内はいつもとは違っていた。
 実際に見えはしないが、ハートマークやら、多くの花が咲いているような雰囲気になっていた。
「中々、形が難しくて」
 そう言うのはクラウス・クラーク。
 その隣でピッタリとくっ付いているのは妻でありパートナーであるクラル・クラークである。
 隙間なくくっつきながら作業を行なっている2人を店員は「夫婦っていいな」なんて考えながら見守っている。
 2人が作業をしているのはマニキュアとワイヤーを使った花束作りである。
 クラウスは少々苦戦をしているようだ。
 そこにそっとクラルが手を差し伸べる。
「ね、あなた。……ここ、こうすると……少しやり易いと思うわ」
 手を取り丁寧に夫に教えるクラル。
「君はさすがだね」
 と微笑みを向けてくるクラウスにクラムも微笑み返す。
 ワイヤーでの花弁作りに少々苦戦していたクラウスではあるが、クラルの助けで彼女に満足のいく花束が贈れそうだと内心喜んでいる。
 また隣で作業をしているクラルも器用に彼に送る花を作っては微笑んでいる。
「クラウス……この花は――」
 なんてクラルが花について説明すると、それと同時にクラウスも微笑む。
「君は昔から、何かを作ったり細かい作業をするのが得意だったね」
 作業をしているクラルを見ながらクラウスは言う。
 細やかに動く彼女の指先……、それは起用に四つ葉のクローバーを模っていく。
「あなたこそ、大抵の事は何でも器用にこなすじゃないの」
 クラウスを見れば、彼の指先からが少し不器用ながらも薔薇の形を作っていく。
 ここは2人の世界のように幸せに満ちている。
「君に贈るのはやっぱり薔薇がいいと思うんだ……素直に愛を表現できる花だからね」
 その言葉に微かにクラルの頬が色付く。
「私はクラウスに幸せになってほしいから……四つ葉のクローバーを……」
 お互いの花を解説しながら隠すことなく2人は作業を進めていく。
 ワイヤーで花が出来たところで次に始めるのはマニキュアの塗布である。
 クラウスは白と淡い緑とピンク。
 クラルは緑、白、金を手に取った。
 ここからは集中力が必要なため無言で作業を進める。
 その沈黙の中でも2人の中ではとても心地良い。
 妻が、夫が隣にいるから……。
 思い思いに塗布が終了し店員は乾燥室へとマニキュアフラワーを持っていった。
 紅茶を差し出すと、2人の邪魔はしないようにとそっと居なくなる。
 紅茶を飲みながら、楽しく会話をする2人。
 出来上がりが楽しみと顔を合わせながら笑う。
 時が過ぎ、店員がマニキュアフラワーを作業机に持ってきた。
 クラウスの薔薇を見てクラルは言う。
「……その色、素敵だわ」
 嬉しそうにはにかんで。
 あとは全体を整えれば花束が出来上がる。
 最後も丁寧に作業をしラッピングをすれば出来上がり。
「クラル……」
「クラウス……」
 同時に名前を呼び花束を差し出す2人。
 クラウスの花は白と淡い緑、そしてピンクの薔薇が3本ずつが束ねられている。
 そしてクラルは緑の四つ葉のクローバー5本と白地に金色で縁取りを施した苺の花5本。
 花を見つめクラウスは言う。
「いつまでもいつまでも、君の側に」
 今度はクラルを見つめ、
「そして、君に安心と溢れる程の愛を」
 クラルは嬉しそうにそれを受け取る。
「ありがとう、あなた」
 そしてクラルも花を差し出と……。
「あなたの周りが平穏で安全でありますよう。そして、あなたの夢が、理想が、叶いますよう」
 クラウスはその言葉と共に優しい笑顔で彼女の指にそっと触れつつ受け取る。
「ありがとう」
 店内には幸せな空気が流れる。
 これからも、その先にある遠い未来もきっと2人は溢れる愛を注ぎ続けることだろう。


●信頼と共に未来へ

 唐崎・翠は緊張していた。
 先日パートナーのレガート・リシュテンにマニキュアフラワーなるものを作りにいかないかと誘ったのだ。
 レガートは快く「いいですね。行きましょう」と笑顔で答えてくれた。
 そして今隣にはレガートがいる。
 パートナーとなって日が浅く、未だ一緒にいるだけで緊張してしまう翠。
 今回の講座で少しでも会話がスムーズになればという思いも強かったための行動である。
 リュミエールストリートにあるハンドメイドショップ『ロシューヌフローラ』には2人とも初めての来店だったため当初見回したり等していたのだが、いざ座ると緊張してしまい翠は少し困っていた。
 レガートといえば……正直に翠に誘われたことを喜んでいた。
 なかなか縮まらない距離……彼女からの態度でぎこちなさを感じていた中での誘い。
 今回で何か掴めればいいなと心を温めていた。
 店員から作業工程、色の意味合い等の説明を受け、早速作業に取り掛かる。
 まずは、と翠が口を開く。
「え、ええと……」
 緊張は隠せない……ここで口篭っても何も始まらないともう少し勇気を出す。
 レガートは笑顔で翠に視線を向ける。
「素敵な花束が作れるといいですね」
 ドキドキと鼓動が早鐘を打つ……やっと出た言葉。
「はい、どんなものになるのか楽しみですね」
 レガートの声は優しさに満ちていた。
 それに安堵し翠は顔を上げてレガートに少しだけぎこちなさの残る笑顔を向けた。
 それから2人は暫く黙ったまま作業を続けた。
 翠の指先から出来上がる花をレガートは見つめる。
 すると翠はこれは桜という花だと話す。
「私の故郷の花なんです。きっと今頃満開のはずですよ」
 故郷を離れてそこまで時間は経っていない……はずなのになぜか少しだけ遠く感じる故郷。
「綺麗なんでしょうね」
 レガートは笑みを返しつつ自身の指先から大小様々な花を作り上げていく。
 ワイヤーで花を形成し終わるとマニキュアで花弁に色を付けていく。
 翠は緑に赤、そして橙を手に取る。
 レガートは白、青と銀を。
 丁寧に膜を張らせて全てに彩りを添えれば、店員に渡す。
 乾燥室へと持っていってもらうと、出された紅茶を一口。
「き、綺麗にできると……いいですね」
 いざ会話をと考えると翠の口調はまた緊張を帯びたものとなった。
 それでも頑張って会話を続けてくれる翠。
 彼女が歩み寄ろうとしているのが伝わってくる。
 レガートは素直に嬉しいと心で感じていた。
 会話を続けていると、出来上がったと店員がマニキュアフラワーを持ってきてくれた。
 最後は花束になるようにラッピングすれば終わりである。
 ほぼ同時に出来上がれば、緊張しながらも翠がレガートの手へと花束を渡す。
 緑の桜2本、赤い桜1本、最後に橙色の桜1本束ねてあった。
「私の名前、漢字は違いますがみどりと読むので……。少し多めに入れてみました」
 想いを聞きながらレガートは花を見つめる。
「長い付き合いになりそう、ですし。私はこんな人ですっていうのを伝えられたら、って」
 恥ずかしさもあって声が小さくなっていく翠。
 最後の勇気を振り絞り安心、安全、情熱、健康という言葉も添えてあるのだと、翠は言った。
 その意味に笑顔で返しつつレガートは花束を翠に渡す。
 白いクロッカス1本、青色のオオイヌフグリ1本、そして銀色にキラキラと輝くかすみ草が輝く花束。
「まだ始まったばかりです。これから信頼関係を築いて、よい未来となりますように」
 そう今日のように少しずつ。
 レガートは優しく笑顔を翠に向け言う。
「今回は誘ってくれてありがとうございます。きてよかった」
 その言葉に翠の心は温かくなった。
 まだぎこちない2人……これから少しずつ良い未来へと歩みながら信頼を築いていけるだろう。


●感謝を込めて

 サラ・ニードリヒはリュミエールストリートにあるハンドメイドショップ『ロシューヌフローラ』にいた。
 パートナーであるハンス=ゲルト・ネッセルローデに連れられて。
 サラは今やっている講座の紙に目を通す。
 マニキュアフラワー……?
 ハンスは外に出ないサラを心配し、度々「世の中楽しいぞ」と言って連れ出す。
 いわれのない差別や迫害を受け、家族と森の奥で人目を避けて隠遁生活をしていたため人と関わることがあまりなかった彼女。
 そんな彼女を心配し、少しでも人に慣れさせようとハンスは日々努力をしていた。
「花は好きよ……森に住んでたし」
 言葉にハンスは少し安堵の息を漏らす。
 更に紙を見つめるサラ……一つの言葉が目に留まる。
「互いの気持ちを伝え合う……?」
 伝える……伝えていただろうかとサラは少し思案する。
(ハンスってば、何か今更な気もするけど……)
 ハンスとは長い付き合いである、でも直接言うには気恥ずかしさももちろんあって。
(ハンスに伝えたいのは……)
 昔からの想い。
 やっぱり感謝だわ……と作業机へと座る。
 それと共にハンスも別の場所へと座る。
 昔の辛い記憶の中、ハンスがしてくれたことを思い出す。
(彼がいなきゃ死んでたもの)
 そんな想いをいだきながら店員に説明されたように、ワイヤーで花を作っていく。
 ワイヤーで花が出来上がればマニキュアで彩りを与えていく。
 緑、青、最後にピンクを手に取るサラ。
 それを作ったワイヤーの花弁へと膜を張らせながら塗っていく。
 サラが終るころ、少し遅れてハンスも何とか無事に終ったようで……店員が乾燥室へとマニキュアフラワーを持っていった。
 少しの時間が流れた。
 店員が2人の下に花を置く。
 サラは最後の工程、ラッピングを始めた。
 最後のリボンも丁寧にと結ぶと、そこにハンスがやってきた。
 花束となった花を見るハンス。
 すると、緑の花を見てハンスは「緑は花じゃないだろ……」と言う。
「緑は花っぽくないって?」
 そんな言葉に驚きつつハンスを見る。
 人柄と彼を慕う気持ちを青と緑で表現したのだが……そんなことを言われるとは……。
 そしてすかさずサラは言う。
「でもハンスにぴったりよ?」
「そうか?」
 サラの言葉にそうなのか? と疑問に思いつつサラから花束を受け取る。
 改めてみると青と緑のユリの中に1本のピンクの撫子。
(ピンクの撫子か……)
 そのピンクの花を見つめていると、今度はサラが後ろでに隠してあるハンスの花束を、ハンスはどんなのを? と覗き込むように見てきた。
 そうそう、と背中に隠すようにしていた花束を勢い良く出すハンス。
「俺は……これだっ!」
 そこにはどうやってここまでできたのか!という程の大きい鬼百合級の花ばかり。
 なんの花なのか見るが……大きくどこかいびつで……。
 サラは凝視するように見つめていると、ハンスは軽く頬を掻きながら、
「ど、努力の跡は見えるだろ!?」
 確かに努力の結晶に見える花束ではある。でも、
「ピンクばっかり!」
 大きな鬼百合級の花は1輪を除いてピンクばかりなのだ。
 その花束を受け取りつつ、1輪だけ違う花を見る。
 銀色……彼女が友達を増やし人として成長していく明るい未来を願いってハンスが入れた色。
(ハンスらしいわ)
 ピンクばかりで少しいびつだけれどもそれもハンスらしいとサラは笑う。
 そして2人は同時に受け取った花束を見る。
 ピンク……それはお互いが淡い恋心を抱いているという証なのだが。
 お互いに同じ事を考える……店員の色の説明でのピンクの意味『愛』を。
 いやいや、まさかと二人はその想いを掻き消した。
 それが交差するのはまだ少し遠い未来の話……それまでお互いに感謝しつつその微かに灯った恋の炎を大きくしていけるだろう。


マニキュアフラワーで花束を
(執筆:草壁 楓 GM)



*** 活躍者 ***


該当者なし




作戦掲示板

[1] エノク・アゼル 2018/03/23-00:00

ここは、本指令の作戦会議などを行う場だ。
まずは、参加する仲間へ挨拶し、コミュニケーションを取るのが良いだろう。  
 

[7] サラ・ニードリヒ 2018/04/05-10:57

初めまして!
俺はハンス、相方はサラってんだ。
よろしくな!

俺はあんまり器用じゃないから正直戸惑ってんだけど、サラがどうしてもって言うから…
でも、楽しそうだし、まぁいいや!  
 

[6] 唐崎・翠 2018/04/03-02:42

えと、初めまして。唐崎翠と申します。
よろしくお願いします。
マニキュアフラワー……こういうものもあるんですね。
どんなものが出来上がるか、とても楽しみです。  
 

[5] クラウス・クラーク 2018/04/02-16:41

初めまして、クラウスと妻のクラルです。
宜しくお願いします。
こういう、ほのぼのとした体験は良いですね。
妻もきっと楽しんでくれると思います。  
 

[4] アリシア・ムーンライト 2018/04/02-07:08

…………こ、こんにちは…アリシアと言います………
あ…(友人を見つけてホッとした顔)

マニキュアフラワー、クリスが誘ってくれたので…楽しそうだと思って…
よろしくお願いします…。

クリス「表情あんまり変わってないけど、こいつはこれでも凄く楽しみにしてるみたいなんだ。
あ。俺はクリストフ、皆さん、どうぞよろしく(にっこり)」
 
 

[3] ミコト・カジョウ 2018/04/02-00:58

アリア・ソラリユ:
こんにちは! アリア・ソラリユよ。よろしくね!
今日は、アクセサリー系の細工体験ができるって聞いて、
いても立ってもいられなくなっちゃって。
マニキュアフラワー……うん、これは絶対楽しいと思うから、
ミコトにも半分無理やり来てもらったの!
ミコトはいつも仏頂面をしているけれども、これなら絶対楽しんでもらえると思って…!

花の色と種類を考えるだけでも楽しそう…うんっ、私も楽しみ!  
 

[2] リチェルカーレ・リモージュ 2018/04/02-00:26

リチェルカーレです。パートナーはシリウス。
どうぞよろしくお願いします。
マニキュアフラワー…とても楽しそう(わくわく)