~ プロローグ ~ |
今日も今日も指令を受け取りにエントランスへと向かうと……。 |
~ 解説 ~ |
痴話げんかですが、本人たちはわりと真面目だったり、真剣だったり……。 |
~ ゲームマスターより ~ |
せっかくなので、パートナーに対する鬱憤やらたまりにたまっている気持ちもあると思うので、それを吐き出していただこうかと思いまして! |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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アドリブ歓迎! 交流会?ぶっちゃけトーク!?よし来た!(ハイテンション アイツに関して言いたい事は山ほどあるけどそれは置いといて なんかないの?恋バナとかさ!(聞きたがり ラス? 人の頭平気で叩くわ暴言吐くわおやつ取るわでロクなことがない! …戦闘とかで散々心配かけてるのは悪いと思うけど 好き?好意はあるけどそういう意味は無いわよ それにアイツは初恋忘れられてないからねー あたしにとってのラス んーと 幼馴染、パートナー 相棒、共犯者 「…加害者と被害者」 なんてね!い、いや流石に少しは振り回してるの悪いかなーって! ここだけの話 あいつ、色々あって昔におかしくなってさ 記憶、ちょっとだけ無くて だからなるべく一緒にいるの |
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※双方アリラの死を引きずっている ※双方アドリブ歓迎します。 (ユギルさんに話したい…苦しい…聞いて欲しい) (ユギルをチラリと見る) ええと…ぶっちゃけトークらしいですが… 僕、パートナーの子が好きなんです。 好きじゃ片付けられない。愛してる。 だからこそ、彼女を放っておけない… 最近ララエルがおかしいんです。 寮母さんによれば、夜中に奇声をあげたり、 僕の名前を呼んだり… あの子がベリアルになったらどうしようって そんな夢ばかり見る… ベリアルになったあの子を撃ち抜く夢ばかり見る… …すみません、弱音をはいて。 皆さんはパートナーの事、どう思ってますか? パートナーの事を好きな方はいますか? |
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僕のパートナーは、双子の姉です 控えめな人で、話す事にも不慣れなので 今頃は向こうで相当戸惑っているかと… でも実は、僕なんかの十倍は我の強い人なんですよ 一度決めた事は絶対曲げようとしないんです 決して立ち止まらず、今の自分に何が出来るのかを いつも真摯に考えてくれて 姉として、懸命に僕を支えようとしてくれます …お陰で最近は強引に甘やかされる事も増えましたが 姉さんはきっと、僕が支えなくとも 一人でだって生きていける人なんです それを…僕のエゴで姉を縛り付けているのではないか 今はそれが気掛かりで 一度は死んだ僕が得た二度目の命は 全て、彼女の為に捧げると決めました けれどそれは愛情などではなく…支配なのではないか…と |
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*ユウのプランはウィッシュにて 普段からパートナーに感じている事を話し合う、ですか……僕は特に不満は抱いてないので聞き手にまわります こうした事は誰かと話す事で心のつかえが解消されると聞きますしね それに皆さんの話を聞く事で、僕もユウさんに対する意見が浮かぶかもしれません 色々話を聞くに、パートナーへの恋慕や普段の行動に思うところがある意見が多いように見えます こういうのが普通なのでしょうか? だとしたら一つだけあります。彼女は時折敵に情けや同情をするんです 特に生前が不幸だったベリアルなどに情を向ける傾向にあります 今はまだ大丈夫ですが、いつか任務に支障が出ると思うので今のうちから控えてほしいものですね |
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●祓 ・心情 (恥ずかしい緊張する…でも弱虫なあたしが交流を増やせる機会、頑張らなきゃ) ・喰の事 結構、意地悪、です(色々思い出し頬を膨らませ) だけど、傷ついたコト、ないから、優しい?のかな たまに、ちょろい、ですし、えへへ えと、かっ、可愛い人…でしょう、か、上手く、言えないです、けど(照れ照れ) 女装、させたい…絶対、可愛い…から…(わぁ言っちゃった!/真っ赤) ・皆の喰の事 わっ、わっ…!(恋愛の匂いがすると顔真っ赤で興味津々) わかります、超、わかります(喰人が可愛い的な話) (愚痴や心配事は親身に考えるけど思考が遅く発言タイミング逃しがち) (表情の変化は少なくも、顔色や仕草等で感情表現豊かに一喜一憂) |
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~ リザルトノベル ~ |
指令を受けにきたらうっかり犬も食わない喧嘩に遭遇し、そのまま広い部屋に案内されたラニが手持無沙汰で待っていると、ノック音のあとドアが開かれた。 「ラニさん! ビックリした。どなたがいるのかと思いました。ユギルさんにここに来るようにって言われて」 「あ、ラウルさん、何気に久しぶりだねっ! うん。あたしたちもなんだ!」 トントン。とかわいらしいノックとともにドアがあいて、ひょこんと髪の毛が現れた。 「こ、こんにち、わ……『ユン・グラニト』、です。……あ、あれ、ラウルさんに、ラニさん?」 「ここですよね? こんにちは。初めての方もいますね、僕は『リュシアン・アベール』と申します。以前の指令でご一緒した方も、どうか改めて、よろしくお願いしますね」 「よろしく! えっと、これで全員? ユギルさんは?」 ラニがきょとんとしていると、ドアがばーんと開いてユギルが一人、腕をつかんではいってきた。 「ほれ、汝も入らんか!」 「遅れて申し訳ございません。『セプティム・リライズ』と申します。どうやら見知った顔も何人かいるようですが、今日はよろしくお願いします」 「ヨハネの使徒討伐指令ではお世話になりました! ちゃんと挨拶しなくちゃ! あたしは『ラニ・シェルロワ』!」 「『ラウル・イースト』です。皆さんとはいくつかの指令で一緒したと思いますが、よろしくお願いします。ユンちゃん、こっちにおいで、リュシアン君……よかったら、シア君って呼んでもいいかな?」 ユンがこそばゆそうにはにかんでラウルの横に座るのに、リュシアンも目じりを緩めた。 「どうぞ好きに呼んでください。……姉以外にそう呼ばれることがないので新鮮ですね」 それぞれ指令を通して顔見知りだったので、和やかな雰囲気となった。テーブルにはきつね色のアップルパイ、芳醇な香りの紅茶がユギルによって用意された。 「交流会? ぶっちゃけトーク!? よし来た! アイツに関して言いたい事は山ほどあるけどそれは置いといて、なんかないの? 恋バナとかさ!」 なかなかない状況にラニは目を輝かせてメンバーを見た。 「恋、バナ」 ぽっとユンは頬を赤くする。目が輝いている。 (恥ずかしい緊張する……でも弱虫なあたしが交流を増やせる機会、頑張らなきゃ) 「え、ユンさん、恋バナありなの?」 「わっ、わっ……!」 ユンは真っ赤になって慌てた。 「ええと……ぶっちゃけトークで、恋バナ……僕、パートナーの子が好きなんです。好きじゃ片付けられない。愛してる。だからこそ、彼女を放っておけない」 真剣でストレートなラウルの言葉にユンは両手で顔を覆って赤面し、ラニは拳を握りしめて聞き入っている。 「パートナーの事を好きな方はいますか? ラニさんは?」 「え、あたし? ……ラスと? ないないない!」 手をひらひらとラニはふる。 「好意はあるけどそういう意味は無いわよ。それにアイツは初恋忘れられてないからねー」 「ラスさんの、初恋!」 ユンが食いついた。 「いろいろとあってね。けど、あいつ、人の頭平気で叩くわ暴言吐くわおやつ取るわでロクなことがない! ま、その、戦闘とかで散々心配かけてるのは悪いと思うけど」 「以前敵に突っ込んでいったとか聞いたが」 「それは学習しましたー! ちゃんと冷静にぶっ……えーと、ごぼん! 他の二人はどうなの?」 ユギルの茶々に唇を尖らせてラニが聞き手にまわっているセプティムとリュシアンに話を振る。 ユンも話しを聞きたくて目をきらきらさせる。 「僕は特に不満は抱いてないので、聞き手にまわろうかと思ってます。こうした事は誰かと話す事で心のつかえが解消されると聞きますしね。皆さんの話を聞く事で、僕もユウさんに対する意見が浮かぶかもしれませんが、今のところパートナーへの恋慕や普段の行動に思うところがある意見が出ていますが、こういうのが普通なのでしょうか?」 生真面目なセプティムの言葉にうむむっとラニが唸った。 「んー、どうなんだろう。そこらへん、あたしたちも違うかな。ただ気が許せるってことで、ラスを選んだし。あたしにとってのラスは、幼馴染、パートナー、相棒、共犯……加害者と被害者なんてね! い、いや流石に少しは振り回してるの悪いかなーって!」 「……らぶ?」 「ユンさん、違うからー。あっ! リュシアンさんは?」 「僕のパートナーは、双子の姉です。控えめな人で、話す事にも不慣れなので、今頃は向こうで相当戸惑っているかと」 リュシアンは控えめな微笑みを浮かべて続けた。 「セプティムさんが言うのと少し違いますけど……せっかくだからぶっちゃけていいんですよね?」 「よかったら聞かせてください」 とセプティムが軽く促すように頷くとリュシアンは紅茶で濡らした唇を開いた。 「姉は実は、僕なんかの十倍は我の強い人なんですよ。一度決めた事は絶対曲げようとしないんです。決して立ち止まらず、今の自分に何が出来るのかを、いつも真摯に考えてくれて、姉として、懸命に僕を支えようとしてくれます。……お陰で最近は強引に甘やかされる事も増えましたが」 最後のところで苦笑いするリュシアンにラニが思わず聞いてしまう。 「甘やかすってどんなふうに?」 「最近は膝枕がブームで、よくされます」 「ひ、ひざ、まくら」 すごく絵になる二人を想像してユンは声にならない悲鳴をあげて悶える横でラニも悶える。 「うわぁ、思ったよりすごくこう、なんかこう! くー! ほら、ユンさんもいっとく?」 話題をふられたユンは目を見開いたあと、こくんと頷いた。 「らぶ、じゃ……ない、けど。……結構、意地悪、です」 真剣にユンは思い出す。いろいろと、本当にいろいろと。 「だけど、傷ついたコト、ないから、優しい? のかな。たまに、ちょろい、ですし、えへへ」 「ちょろいのかぁ~」 「はい、えと、かっ、可愛い人……でしょう、か、上手く、言えないです、けど。女装、させたい……絶対、可愛い……から……!」 最後のぷち本音告白のあとユンは真っ赤になる。 「女装か……なんか似合いそうだねー」 「ラスさんは?」 「え、あいつが女装? あははは……似合うかな?」 女子たちの恐ろしいトークに男性陣はあえてのノーコメントで通そうとしたが。 「ここにいる男陣も、女装するか?」 ぼそっとユギルがとんでもないことを口にするのにラニとユンが男性陣に向いた。 「僕は、たぶん、姉みたいなかんじですよ」 「僕が女装ですか? う、うーん、似合うの、かな?」 「必要ならしますが、ごつい男に女装させて楽しいんですか?」 (ユギルさんに話したい……苦しい……聞いて欲しい) ラウルはちらりとユギルを盗み見るが、他のメンバーの話に聞き入ている。 悶々するラウルに気が付いている人物がいた――ユンだ。 「ラウルさん。先から、ユギルさんを、ちらちらして、ます」 「あたしも、気が付いてるんだよね」 恋バナで意気投合したラニとユンはこそこそと会話し、視線をかわすと頷きあった。 「え? あ、あの、ユンちゃん? ラニさん?」 ユンとラニに腕をひかれてユギルの横に座ったラウルは目をぱちぱちさせる。 ユギルはくすっと笑って小首を傾げた。 「っ……最近ララエルがおかしいんです。寮母さんによれば、夜中に奇声をあげたり、僕の名前を呼んだり……あの子がベリアルになったらどうしようって、そんな夢ばかり見る……ベリアルになったあの子を撃ち抜く夢ばかり見る」 心の底を吐き出してラウルは大きく息を吐くと、頭を撫でられた。 「自分の弱さを他に晒せるのは強さじゃ。良い子。以前言ったな、献身と依存は違う。依存とは相手の望まぬほどに手を出し何もできなくさせること、献身は相手の求めに応じ、尽くすこと……心を癒すラベンダーの紅茶じゃ。飲め、よく眠れるぞ」 疲労したラウルは目を見開き、受け取ると、ゆっくりと飲む。一歩をちゃんと彼は踏み出した。 ラニとユンは真剣な顔で聞き入っていた。 「そんなシビアな問題が」 「らぶ、じゃなかった……です」 「うん。らぶじゃなかった」 「二人とも、なにを考えてるんですか」 こっそりセプティムがつっこむ。 「ラウルさん、大丈夫ですか?」 「シア君……みんな、すみません」 「気にしないで。あ、ここだけの話、あいつ、色々あって昔におかしくなってさ、記憶、ちょっとだけ無くて、だからなるべく一緒にいるの」 「ラスさんが?」 ラニは明るく笑って頷いた。 「心配なら一緒にいるのって有効じゃないの? ほら、アドバイス! セプティムさんは?」 「僕には……ベリアルは世界の恐怖だからどんな手段を使っても打ち倒すと思ってます。いいアドバイスは」 「ないなら、ぶっちゃけちゃいます? 心配事とか!」 「だとしたら一つだけあります。彼女は時折敵に情けや同情をするんです。特に生前が不幸だったベリアルなどに情を向ける傾向にあります。今はまだ大丈夫ですが、いつか任務に支障が出ると思うので今のうちから控えてほしいものですね」 「うーん。あたしは、それ、ユウさんの強さだって思うんだけど」 「……やさしい、つよさ、……ユウさんのため、セプティムさんが……いるん、じゃ?」 二人の意外な言葉にセプティムが思案する。ラニはリュシアンを見た。 「どう思います? あと、ここで心配。出しちゃいましょ!」 「なんとなく、みなさんを見ると自分に足りないものをパートナーが補ってくれているんだって思います。心配、とは少し違いますけど、姉さんはきっと、僕が支えなくとも、一人でだって生きていける人なんです。それを」 ラウルが少しだけ気遣う視線を向けてくるのにリュシアンは励まされたように微笑んで続けた。 「僕のエゴで姉を縛り付けているのではないかって今はそれが気掛かりで……一度は死んだ僕が得た二度目の命は全て、彼女の為に捧げると決めました。けれどそれは愛情などではなく……支配なのではないかと」 「そんなことはないよ、シア君っ! 僕は、君が言うみたいに、きっとお姉さんの足りないものを、君がいることで補っているって思う」 「ありがとうございます、ラウルさん」 「ユギルさん、なんか意見あります?」 ラニの言葉にユギルはふぅと紅茶を飲みほしたあと口を開いた。 「吾は浄化師とは剣と鞘と思っておる。汝らは言うなれば剣、それを受け止め、力を発揮するように支え、間違わないように縛められる。しかし、それは鞘とて同じこと剣がなくては意味がない。どちらかを失えば壊れる……けれど壊れれば直せばよい。ぶっちゃけなので言うが、吾は安易に死を欲するのは好かん。必死に意地汚くも生きれば……それはひどく愛しいものじゃ」 「剣と鞘……どっちかっていうとあたしとラスの場合、剣と斧かな」 ラニがくすっとラスの顔を浮かべて笑う。ぶつかりすぎていつか壊れてしまうかもしれない。 「わかっ、た。あたし、ほうきで、フィノくんは、ちりとり」 雑巾作りもしてくれるし、一緒に掃除もしてくれるフィノを思ってユンはへへと笑った。 「剣と鞘ですか」 ユウが鞘と言われるとなんだか妙な感じなのにセプティムはやはり少しだけ目を細めて考えた。 「剣と鞘」 リュシアンは強く手を握りしめる。もし、そうならいいと願いをこめて。 「ユギルさん、僕は……あ、いた」 ぺちと額に軽いデコピンを食らってラウルが小さく唸った。 「運命とは自分で選び、進むもの。間違えたら引き返せばよい。何度でも間違えて、進め。 ゆえに相棒を信じておやり。佳き道をゆくと吾は汝らを信じておる」 ● 「ら、ラスさん!? と、ええと、ええと……あの、『ララエル・エリーゼ』です! 宜しくお願いしまふ!」 緊張して思いっきり噛んだララエルに先に待っていたラスは焦った。 「大丈夫か。ララエルさん」 「あっ! ララエルさんだ。最近よくお会いしますね、俺は『フィノ・ドンゾイロ』です、どうぞよろしくお願いしますねー。こっちみたいですよー」 フィノがドアを開けて促すと、『リュネット・アベール』が遠慮がちに入り、頭をさげる。 「これで全員か?」 ラスの言葉とほぼ同時にドアがそろーと開いてユウが顔を出した。 「し、失礼しま~す。あの、『ユウ・ブレイハート』といいます。どうぞよろしくお願いします。あ、結構知ってる人がいてよかった」 「さーて、お前ら、お茶菓子用意している間に挨拶してろ」 ドアを閉めてロリクが少しばかり苦みの強い品のある紅茶に、アップルパイを用意しはじめる。 「『ラス・シェルレイ』、よろしく……いろいろと気が利いてるな。ここ」 「本当だ。おいしい」 フィノが紅茶に舌つづみをうつ横で、さくさくのアップルパイをララエルは夢中で食べている。 「俺が作った自信作だからな」 「え、ロリクさんが作ったの。すごいなー。おいしい。で、ぶっちゃけトーク……何か、あの子に凄いコト言われる予感は感じる」 「あいつオレがいないからって羽目外したりしないだろうな」 「みんな、いろいろとあるのね。けどねパートナーに……なんだろう。言いたい事ありすぎて逆に何言っていいかわからないというかなんというか」 悪寒を覚えて震えるフィノ、心配に顔がひきつるラス、頭を抱えはじめるユウ。 「みんな……苦労、してるんだね」 ぽつりとリュネットが呟いた。 「ああいうのを日頃の行いっていうんだよ。リュネット」 しみじみとロリクは言い切った。みんな、わりと苦労してる。 「文句なら山ほどある。相変わらず夜更かしはするしすぐ突撃するし特攻するしボロボロになるし」 ラスは顔をしかめてぶつぶつと文句を零す。 「えっと、ユンについてですよね? うーん、笑顔がド下手で、表情が少ないくせに感情はわかりやすくて、面白い子かな」 くっくっと日頃をやりとりを思い出してフィノは笑ってしまった。 「パートナーは……双子の、弟。シアは勇敢だし、頭もよくって、しっかりしてて……ほんとに、僕なんかと全然違う子、なの」 リュネットは勇気を出して、ゆっくりと、言葉を吐き出す。ここにいるメンバーはちゃんと言葉を待ってくれるから、きちんと話せる。 「えへへ、ラウルは私の王子様みたいな人で、優しくて……だからこそ私、足手まといになりたくなくて」 ララエルは少しだけ疲れた顔だが、ラウルのことを話すときだけ幸せそうに笑顔を作った。 「やだ、皆の話が普通に可愛い」 「セプティムについてぶっちゃけていいんだぞ。ユウ」 ロリクがさりげなくかわいいメンツに癒されているユウに声をかける。 「え、私ですか……はっ!」 期待に満ちた視線を感じてユウは逃げられなさを感じた。 「セプティムさんに思ってる事は……色々あるかな。あの人は真面目だし、良い事も悪い事もはっきり言ってくれる。仕事じゃない時も事件についてとか仕事の話でそれなりに交流もするけど、それだけなのよね。プライベートには踏み込まないし知る必要もないって感じで、ビジネスパートナーっていうのかな。他の皆はパートナーと親密だから、やっぱり変な関係なのかな」 「そういう関係もありなんじゃねぇかな。オレとラニも、そういうのとわりと似てるかもな」 「恋愛とかはないんですか? すごく息が合ってるコンビなのに」 フィノの問いにラスは手をひらひらと振った。 「ないない。好きな人は別の人だったから……もういないけどな。隣が喧しいから別に平気ってところか。ずっと一緒だったからな」 「あー、俺、悪いこと聞いちゃいました?」 「別に隠してないからいい、いい」 気を遣うフィノにラスはしれっと言い切る。 「オレにとってのラニは大事だよ。……昔色々あっておかしくなってて、その時のこと覚えてないけど、アイツが助けてくれた。幼馴染で、オレの半分で、共犯者……オレの最後の思い出」 最後を告げるときラスは遠い目をした。それにフィノが問いかけようとして、すぐにラスは話を逸らした。 「そっちは?」 視線で問われて紅茶を飲んでいたリュネットは目をぱちぱちさせたあと。 「シアは本当にすごいんだよ……ただ、でも僕は……教団に来る前の事、覚えてなくて……シアの事も……最初は誰か分からなかった。シアは、一度死んじゃって……僕だけ、今も生きてる。でも僕は、どうしてシアが死んじゃったのかも分からないの。酷い話……だよ、ね」 赤い目に陰りがさすのにユウが口を開いた。 「そんなことはないと、私は思うな。そこまで思えるなんて凄いことよ、そういう気遣いって相手に通じるものだし」 「ユウさん、ありがとう」 「記憶があるなしよりも、今を大切にすればいいだろう」 ラスは少しばかり目を細めて独り言のように呟く。 「よーし、そろそろ僕の番かな? ユンはいつも施設の掃除したり、気弱なくせに無理して前向きに頑張ったり、俺の相棒には勿体無い、健気な子かも、なんて」 言葉にすると今さらだが照れてしまい、フィノは頬をぽりぽりとかいた。 しかし、すぐに真顔になった。 「たまに身の危険を感じます」 「身の危険?」 「隙あらば俺に女装させたいみたいで」 「……似合いそう」 「かわいいかも」 ぼそっとリョネットとユウが呟くのにフィノはぷるぷると震えた。 ララエルはみんなを見ていた。 (ユギルさんと話したい……胸が苦しい、話したいよお) 「ララエルさん?」 フィノが怪訝な顔で尋ねる。 「私の命は私のもの……それでも…それでも」 震える拳をぎゅっと握りしめる。 「ラウルと……あの方と出会った瞬間から、助けてもらった瞬間から、私の命はラウルのものって……この命さえ捧げたいって……そのくらい好きになってしまってたんです。だからベリアルになったら殺してほしいって」 涙が零れだしたのにララエルは立ち上がり、部屋を飛び出した。 「え、えっと、あ!」 慌てるフィノにロリクは黙って立ち上がった。 「ララエル」 ララエルは涙で濡れた顔を一生懸命腕で拭う。立っていたのはロリクだった。 「ラウルじゃなくて悪いな。ユギルがずいぶんと気にしていたぞ」 「けどぉ、きて、くれませんっ」 「ユギルはお前が自分の強さに気が付くことが出来るから、待ってるんだよ。残飯ベリアルと戦って勝っただろう?」 ララエルは目を見開く。 泣いてされるがままの出来損ないはもういない。 ――ラウルが私を守って、私がラウルを守る。 今はラウルが与えてくれた――否、ララエルが踏み出して自分で勝ち取ったものだ。 ユギルが何も言わず、会いにこないのは、ララエルの強さを信じているからだ。 「献身と、依存は、ちがう。だから信じて、待って……っ。私、帰ります。みんなさんのところに、もっとおはなし、します」 「よーし、ユギルの弱味をいろいろと教えてやろう」 「! は、はい」 もじもじして帰るララエルに、みんな笑って出迎えてくれた。 「心配かけてごめんなさいっ。ちょっとだけ気分が悪くなっちゃって」 「無理しないでね」 ララエルの隣に座るユウが気遣い、紅茶とアップルパイを差し出す。 和やかな雰囲気にフィノが仕切りなおした。 「えーと、ユウさんで止まってるから、はい、どうぞ」 「え、ええ、いきなり……んー、私ももう少し仲良くしたいんだけど、あの人過去に故郷滅ぼされたっていうから何が地雷かわからないからなかなか踏み込めなくて」 これは私も悪いんだよなぁとユウは頭のなかで考える。地雷を踏まないため後ろ向きに接しちゃってるし。 「あと、あの人は世界の脅威を排除するのが人生の全てって生き方してるから、もっと別の生き方も探して欲しいとも思ってるかな」 「うーん、難しいですね」 「地雷って、なんですか」 「じらい?」 ララエルとリュネットがきょとんとした顔で聞く。 「怒るポイントというか、あの人、すごく、こう、独特な雰囲気があって、なんて説明すれば」 「過去になにかあると気を遣うもんな」 自分も似たようなものなのにラスが頭をかく横でロリクがアップルパイを食べつつぼそりと呟いた。 「たぶん、故郷のこととかは地雷ではないと思うぞ。むしろ、地雷は……まぁ、がんばれ。骨は拾う」 「はい、ひろいますっ!」 「えっと、僕も、ひろう、よ?」 「がんばってくださいっ!」 「爆発したほうが、いっそ清々しいかもな」 「爆発する前提でいうのやめて……っ!」 やっぱり地雷が怖すぎるとユウが悩んでいる横でリュネットが口を開いた。 「シアは僕を見捨てないでいてくれた。僕のこと、姉さんって呼んでくれる。いつも隣で、僕の手を引いてくれる。守って、くれるの……不満なんて、ないけど、助けてもらってばかりで、僕は、ちゃんと『お姉ちゃん』やれてるのかなって、不安になるけど……シアにとっても、家族は僕だけだから。前に出て守る事は出来なくても……あの子の心は、僕が、ずっと守るの」 「すごく、素敵だと思います」 ララエルが柔らかにはにかむのにリュネットは照れたように俯いて、微笑んだ。 「お姉さんだ」 「姉さんだな」 「……うう、リュネットさん見ると私ってだめなのかなって思えてくる。けどなぁ」 ラスとフィノが真顔で言い切るのに、ユウは頭を抱えた。 「ロリクさんは何か意見あります?」 フィノにロリクは、んーと少しだけ考えてから口を開いた。 「お前らが思っている以上に相手が無意識に甘えてるところはあるぞ。だからこそ言葉にしないと結局すれ違うことになる。喧嘩してもいい、気まずくなっても構わないから、出来るだけ言いたいことは言い合う。それがいい関係作りの秘訣だな。せっかく相談やらしたんだ。一番いけないのはわかったふりをしていることだと俺は思うが、さーて、そろそろお開きだな」 お開きの時間はほぼ一緒だったのに全員がパートナーとほぼ同時刻に再会した。 ラスとラニは互いに見合う。 「あたしの悪口言った~? くしゃみ連発したんだけどー」 「おまえこそ、羽目外してないだろうな」 「ラウル」 「ララ、どうだった?」 「楽しかったですよ」 気遣うラウルにララエルは小さく唇に微笑みを作った。 「姉さん、大丈夫だった?」 「う、ん。いっぱい、がんばって話せたよ」 案ずるリュシアンに、少しだけ自信がついたようにリュネットが小さく頷いた。 「楽しかったー! いろいろと話し聞けたし、聞いたし!」 「うん。いっぱい、お話、出来た」 微笑むフィノにユンも頷く。 「いろいろと話せましたか?」 「あ、は、はい! そっちは?」 「そうですね。いろいろと興味深い話が出来ました」 (何を話したんだろう、この人) ユウの頭のなかはセプティムに対する疑問でいっぱいになった。 内緒のお話のおかげで、お友達は出来たし、少しだけ相手への見方が変わったかも、しれない。
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*** 活躍者 *** |
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該当者なし |
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[24] フィノ・ドンゾイロ 2018/08/24-20:48
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[23] ユン・グラニト 2018/08/24-20:44
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[22] ラウル・イースト 2018/08/23-19:48
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[21] ラス・シェルレイ 2018/08/23-12:14
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[20] ラニ・シェルロワ 2018/08/23-12:09
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[19] フィノ・ドンゾイロ 2018/08/23-00:22 | ||
[18] ユン・グラニト 2018/08/23-00:21 | ||
[17] ラウル・イースト 2018/08/21-13:15
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[16] リュシアン・アベール 2018/08/20-23:07
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[15] ララエル・エリーゼ 2018/08/20-15:20
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[14] ユウ・ブレイハート 2018/08/20-09:46
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[13] セプティム・リライズ 2018/08/20-09:39
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[12] ラウル・イースト 2018/08/20-02:12
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[11] ラウル・イースト 2018/08/20-02:04
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[10] リュシアン・アベール 2018/08/19-20:39
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[9] ラス・シェルレイ 2018/08/19-17:27
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[8] ララエル・エリーゼ 2018/08/19-15:06
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[7] ラウル・イースト 2018/08/19-15:02
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[6] フィノ・ドンゾイロ 2018/08/19-13:00
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[5] ユン・グラニト 2018/08/19-12:52
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[4] ララエル・エリーゼ 2018/08/19-05:28
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[3] ラニ・シェルロワ 2018/08/18-23:55
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[2] ラウル・イースト 2018/08/18-13:15
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