~ プロローグ ~ |
巨大な壁に囲まれた国、教皇国家アークソサエティ。 |
~ 解説 ~ |
【依頼内容】 |
~ ゲームマスターより ~ |
ようこそ、『煉界のディスメソロジア』の世界へ! GMのNarviです! |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
|
||||||||
教団への勧誘とか苦手だから、メインは戦闘で進行するよ。 基本の行動は「裏路地内で、ヨハネの使徒が入れないで突っかかっているところに、コアを狙って集中砲火」。 そのために、ローズは、突っかかっているヨハネの使徒のギリギリ近くへ行って、牽制をするよ。攻撃はそんなしなくても良いと思う。 グロリアは、通常攻撃が当たる範囲内で、ヨナさんと一緒にコアを狙って集中砲火するよ。安全圏で攻撃を仕掛け続ける、という感じ。 もしヨハネの使徒が別方向から来そうだったり、ヨハネの使徒の腕もげて入ってきちゃったりしたら、少女連れて他の裏路地を探して入り込むよ。 6人と3体で数の利はあるけど、厳しそうだしね。 |
||||||||
|
||||||||
情報を元に現場へ。魔力探知で魔力の強い方へ向かう。 付近にいるはずの使徒の撃破を優先。 使徒は魔力に条件反射するのであえてこちらに気が付かせる。 敵の巨体が動きづらい狭い通路へ引き付け役が誘導後、迎撃にうつる。 地上が手狭ならベルトルドは建物の上から敵に飛び乗り攻撃。 脅威が去れば再び魔力探知で少女探す。保護して教団の病院へ。 【他】 少女の家や家族の情報を得る。 保護後、折を見てエクソシストになるのを勧める。 ミコトの補助的な位置で、教団で暮らしていくための規律等の説明 ベルトルド 基本的に決められるがまま行動。 少女に差し迫った危険があれば保護を優先のち戦闘参加 |
||||||||
|
||||||||
【目的】 ・アリアが、ヨハネの使徒達を狭い路地裏へと誘い込み、注意を引き付ける ・ミコトは、使徒達の足止めし、仕留め切った後、少女の勧誘説得へとあたる 【行動】 ・仲間の魔力探査により、少女とヨハネの使徒の位置を割り出す ・それを頼りに少女と合流、使徒との遭遇後、魔術真名発動。 ・ミコトが少女を安全な距離へ一時引き離す間に、アリアが使徒達に敵意を向けさせ、使徒の身動きが取り辛い狭い路地裏に引き付ける ・少女を安全地帯に待たせ、戻ったミコトがアリアと共に、使徒に仲間の上空からのコア狙いを気付かせないように、地面からの攻撃を行う ・使徒殲滅後。祓魔人の特技「隣人愛情」を使用し少女を説得 |
||||||||
~ リザルトノベル ~ |
いつもたくさんの市民たちで賑わっているルネサンスは見る影もなく、驚くほどに静かだった。 辺りはがらんとしていて普段なら見えるはずの人影は一つもない。レンガ調の地面にはヨハネの使徒の通った痕跡だけが残っていた。 その光景を見てエレメンツの祓魔人、【ヨナ・ミューエ】が少し緊張気味に呟く。 「さあ、任務を始めましょう」 それを合図に、早速ヨナはエレメンツの特技である【魔力探知】を使用する。 大気中には必ず魔力が存在し、ヨハネの使徒は魔力の強い存在を見つけると襲い掛かる特性があるため、魔力が濃い方向へと進めば必然的に少女を見つけることができるだろうという算段だった。 少女を見つけることこそが、ヨハネの使徒を見つけることに繋がる。この方法を使えば、捜索もあまり時間はかからないだろう。 「……こちらです、行きましょう」 魔力の色を見たヨナがそう言って進み始める。 「ヨナさんありがとう!」 「ヨナさん、魔力探知感謝する」 お礼を告げて人間の祓魔人、【ミコト・カジョウ】とヴァンピールの祓魔人、【グロリア・ティティス】はその後ろに付いていく。 ヨハネの使徒はかなり大きい上に少女を追いかけ続けている。姿を見つけるのにはそれほど時間はかからないだろう。 「少しは肩の力を抜け」 ヨナの隣を走る、ヨナのパートナーである黒豹の獣人、喰人の【ベルトルド・レーヴェ】が、ヨナに言う。 少しムッとした表情でヨナは言った。 「別に緊張なんてしていません。子ども扱いしないでください」 「それならいい、俺は仕事に支障が出ないのであればそれで良いからな」 「そうですが、それなら今は急ぎましょう」 二人は再度前を向く。まだ新人であるヨナにのしかかっていた緊張は、ベルトルドのフォローによっていい具合にほどけていた。 一方そのころ、グロリアはパートナーであるアンデッドの喰人、【ローズ・ブラッディ】の方を向いて言う。 「ヨハネの使徒は絶対に許さない……ローズ、頑張ろうね」 「ですね、頑張りましょう、グロリア」 気合十分のグロリアとローズ。並々ならぬ憎悪を胸に、グロリアはヨハネの使徒を探していた。 「私たちも頑張ろうね、ミコト!」 ミコトのパートナーであるアンデッドの喰人、【アリア・ソラリユ】も他の人たちを見てやる気満々に言った。 「そうだな、アリア」 それに対し、ミコトはとても真剣な表情でそう返す。表情は動かない。 アリアはそれを見て少し不満に思うも、任務中ということもありいつも通りかと流した。 今回の討伐対象であるヨハネの使徒は三体。それを今回は六人倒すことになる。数ではこちらの方が有利だが、油断はできない。 どこから飛び出してくるかわからない。そんな緊張感が、この場にはあった。 ヨナの先導の元、六人は走る。遠くでなっていた鈍い衝突音は少しずつ近くまで来ていた。 すぐ近くにいてもおかしくはない。細心の注意を払うと同時に、ここまで暴れているということは少女がまだ生きているということでもある。 急がなければ。誰かが焦りの表情を見せた時、魔力探知を行っているヨナが小さく呟いた。 「近いですね……」 それを聞いて一呼吸置いた後、ミコトが全員に向けて言う。 「走りながらでいい、再度役割の確認を行おう」 神経を研ぎ澄ませながら、ミコトは続けて話し始める。 「俺はヨハネの使徒発見後、即座に少女の安全の確保に動く。アリアには悪いが、ヨハネの使徒を誘導してもらう」 「わかってるわ、私が裏路地に誘導するわ!」 ミコトが少し申し訳なさそうに言うと、アリアは持ち前の明るさを見せて、元気よく笑った。それを見て、ミコトは表情は変えずに一つ頷く。 ミコトたちの会話を聞いて、グロリアが続く。 「私はミコトさんが少女の安全確保をしている間にヨナさんと移動してコアを狙う準備をしておくね。ヨナさん、よろしくお願いしますね」 「はい、頑張りましょう。高い建物があったら少女を連れて移動後、届く範囲でコアを攻撃する感じでいいんですよね」 「はい、それでいきましょう」 ヨナとグロリアの間で簡単な連携確認を行う。人は一緒にヨハネの使徒のコアを集中砲火することになっている。 今回は六人でヨハネの使徒三体を相手にすることになる。数の利はこちらにあるとはいえ、別段余裕があるとは言えない。 その上、こちらには保護対象である少女がいる。 どれだけ安全に、どれだけ早く仕留められるか。それが今回の任務の鍵だった。 グロリアがヨナとの確認を終えた後、ローズの方を向いて言う。 「ローズはアリアさんと一緒に引き付け役をお願いね」 「わかりました、グロリアも攻撃お願いしますね」 「うん、りょうかいだよー」 それに続いて、ヨナもベルトルドの方を向いて再度確認をした。 「ベルトルドさんも、アリアさんとローズさんの方に加勢をお願いします」 「わかった、後方からの援護は頼んだ」 こちらもこちらで打ち合わせは端的だった。ヨナとベルトルドはあくまで協力関係である。会話はさほど必要でなかった。 役割の確認作業は問題なく進む。 しばらくして、ミコトが周りを確認してから呟いた。 「……確認は、大丈夫か?」 それに対し、全員がそれぞれの反応を返す。それを見て、ミコトも応えるように頷いた。 そして、その時は訪れる。 「標的、かなり近いです……!」 その言葉と同時に全員の意識が一気に切り替わる。 ヨハネの使徒はかなり大きい。あの図体が移動しているとなれば、そろそろ姿が見えていてもおかしくはない。 鈍い足音が当たり周辺を覆いつくしている。その足音の方向に、それはいた。 白に金色の装飾が施された、四足歩行の生物。 額には神方術の施された青色のコアが鈍く光っている。 二メートルを超える巨体を自由自在に操り、人間の倍以上の速さで駆け、魔力を持つ者をひたすらに追いかける存在。 忌々しいヨハネの使徒、それも三体の姿が、そこにはあった。 そんなヨハネの使徒が向かう先には今回の任務の保護対象である少女がいる。 生きていた安心感と同時に、その最悪な状況に一瞬にして緊張が走る。 一番最初に反応したのは、ミコトだった。 「アリア!」 「わかってるわ! ……もう、いくら私が一番適任だからって、女の子に相手の敵意集めて前線に立てだなんて信じらんない!」 アリアが一つ愚痴をこぼす。しかし、四の五の言ってられない。 人の命がかかっているのだ。やるしかない。 当たり前のように、自然と体は動いていた。 「申し訳ないとは思っている! 相手の攻撃が当たらないよう、使徒三体が離れないように! 行くぞ、アリア!」 「ええ、ミコト!」 ミコトとアリアは目配せすると、流れるようにミコトは右手の、アリアは左手の手のひらをお互いの手のひらに合わせた。 パートナーの心地よい体温が伝わってくる。 それからすぐに、二人は魔術真名を叫ぶ。 『貴方と私の未来のために』 お互いの体に、更なる力が解放される。 絶対の信念がこもった言葉。【貴方と私の未来のために】、二人は一足先に飛び出した。 これだけの浄化師がいれば魔力に敏感なヨハネの使徒も気づかないはずがない。魔術真名を唱えた二人の影響もあって、三体のヨハネの使徒は一斉にぐるんと方向転換を始める。それと同時に、ヨハネの使徒が全ての標的を視認した。 そして、驚異的な速度でこちらに向かってくる。 「ローズもアリアに続いて!」 「わかりました!」 それを見ていたローズもすぐにアリアに続く。近くの裏路地まではそこまで遠くない。すでにアリアによる誘導は始まっていた。 アリアは短剣を巧みに扱い、ヨハネの使徒に牽制していく。ヨハネの使徒たちはまんまと乗せられて、アリアめがけて突進を開始した。 「うわ、っとっと……!」 それを持ち前の回避スキルで避けていく。 それでも懲りずに向かってこようとするヨハネの使徒。 「それっ!」 掛け声とともに、ローズは自分の得物である鎌をしっかり両手で握り、ヨハネの使徒に振るう。不意をついて繰り出された攻撃は見事にヨハネの使徒に当たり、若干体制を崩す。 「ありがとう、ローズさん!」 「どういたしまして、アリアさん。この調子で路地裏まで誘導してしまいましょう!」 会話もそこそこに、二人は協力しながらひきつけ役として、三体のヨハネの使徒を相手にうまく立ち回っている。 「うまくやってるようですね……」 「そうだな」 ヨナがその様子を見ながら言い、ベルトルドも頷く。 「誘導は大丈夫そうなので、私はグロリアさんと一緒に裏路地に先回りしてコアを狙う準備をしてきます」 「了解だ。俺は先ほどの通り、誘導の加勢に向かうとしよう」 ベルトルドはそう告げて、力強く地面を蹴った。それを見届けて、ヨナはグロリアの方を向く。 「それではグロリアさん、私たちも行きましょう」 「りょうかいだよー!」 グロリアはのんびりとした口調でそう言う。しかしその目にはヨハネの使徒への殺意が宿っていた。 二人はヨハネの使徒を誘導している隙を見て、間を縫うようにして裏路地へと入っていく。 そんな光景をただ見つめている少女。状況がうまくつかめていないのだろう。 それも当然。家族が死に、最悪な精神状態の中、ヨハネの使徒三体に追われていたのだ。 今のこの状況に理解が追い付かないのも仕方がないと言える。 そんな少女に、ミコトは素早く駆け寄る。 じっとこちらを見てくる、返り血まみれの少女。その肩にミコトはそっと手を置いて、怖がらせないように優しく言葉をかけた。 「遅くなってすまない、助けに来た」 その瞬間、少女の体から力が抜けた。 「な、大丈夫か!?」 ミコトは咄嗟にその体を支える。 少女の体はとても軽く華奢で、そして小刻みに震えていた。 怖かったのだろう。辛かったのだろう。 しかし、その感情に浸る時間は、ない。少女には酷な話だが、今はこの場を切り抜けることが先決だ。 「ひとまずここから移動しなければな……失礼する」 そういってミコトは少女を抱きかかえる。 幸いにも裏路地の方には登れそうな高い建物がある。ヨナとグロリアの元に連れていけば、とりあえずは安心だろう。 ミコトはヨハネの使徒に見つからないように、なるべく早く移動を開始する。 引き付け役の活躍もあって何事もなく合流することに成功したミコトは、少女を降ろして言った。 「グロリアさん、ヨナさん、あとは頼んだ」 「ミコトさん、少女の安全の確保ありがとうございました」 ミコトはそう告げた後、ヨハネの使徒を引き付けながら近づいてくる三人の方へと走っていく。その後ろ姿にヨナが簡潔に礼を言った。 「あそこの建物が登れそうだね……ヨナさん、他の人たちが引き付けてる間に少女を連れていきましょう」 「そうですね、行きましょう」 ヨナとグロリアは確認後、即座に行動に移す。 少女の体を抱え、全速力で建物を登っていく。 ミコトが三人に合流したころにはもう、ヨハネの使徒たちは裏路地付近まで来ていた。 ベルトルドが拳で、ローズが両手鎌で、アリアが短剣で、ヨハネの使徒を攻撃しては相手の突進を避け、少しずつ移動していく。 それを見ながら、ミコトは言う。 「うまくいったようだな……!」 「なんとか、ね!」 アリアは長い髪を揺らしながらそう呟く。肩は呼吸で素早く上下していた。 引き付け役の活躍によって、ヨハネの使徒の脅威はかなり下がった。当然、ヨハネの使徒がこの狭い裏路地に入ってくることは現状ない。 地上駆動型のため飛んでくることもなく、建物を壊すにしても、いくらヨハネの使徒とは言え時間がかかるだろう。 「後は二人の準備待ちだが……うまくやってくれたようだな」 前方から轟音が聞こえる。ヨナとグロリアの魔術攻撃だ。 「効いてますねー! ヨナさん!」 「この調子でいきましょう!」 建物の上から、二人の陰属性の魔術がヨハネの使徒のコアめがけて一直線に飛んでいく。 どうやら問題なさそうだ。ミコトは建物の状況を遠目から確認した後、すぐに前方に向き直る。 「俺たちは建物の上からの集中砲火に意識を向かせないよう、地面からの攻撃に徹底しよう!」 「わかったわ!」 ミコトは鎌を、アリアは短剣を強く握って、前線に突っ込んだ。 上空からはヨナとグロリアの魔術が降り注ぎ、間髪入れずに地上ではミコト、アリア、ローズ、ベルトルドの攻撃がヨハネの使徒の体に確実に傷を入れていく。 見事な連携だった。 ヨハネの使徒たちが地上組に攻撃しようとすると建物の上の二人から格好の的となり、逆に建物の上の二人を攻撃しようと建物に突進をしようとすれば、地上への警戒が弱くなり、隙だらけとなる。 完全に翻弄されていた。 コアを魔術で集中砲火されたヨハネの使徒たちは一体、二体と機能を停止していき、そしてとうとう最後の一体もその動きを止め、地面に倒れ伏した。 少女は助かり、ヨハネの使徒三体の機能は完全に機能停止状態に陥っていて、もう二度と動き出すことはない。 こちらの被害は皆無と言っていい。彼らの初めての任務は、だれが見ても完璧な結果に終わった。 任務は無事終えることができた。 少女は完全に放心状態で到底話せる状態ではなかったため、すぐに教団員を呼んで教団の病院へと連れて行ってもらった。 ヨハネの使徒の身体のパーツは浄化師の装備に重宝される。 呼び出した教団員と協力して、パーツを運ぶ。コアが破壊されたヨハネの使徒はとても軽く、難なく運ぶことができた。 その後は少女の情報を集めた。 家はもはや家としての機能を果たしてはいなく、木の枠組みだけが寂しく残っていた。 そこには、人だったもの、その残骸。冷たくなっていて、もう二度と動き出すことはないだろう。 家族の亡骸はヨナの指示によって教団員が運び、埋葬された。 悲惨で、壮絶な現場。しかしこれが現実だった。 そして数日後。 意識を取り戻した少女の元に、三組の浄化師が集まる。 少女は下を向いていて、表情までは伺えない。そんな少女に向かって、ミコトが話しかける。 「ここの担当から君の意識が戻ったと聞いてな、怖がらなくていい」 「そんなこと言ったって、いきなりじゃ流石に無理でしょ」 そんな安心させようとして言ったミコトの発言に、アリアが笑顔で突っ込む。 「それもそうだな……」 ミコトはそう言って、近くの面会用の椅子に腰かけた。 しばらくして、少女はようやく顔を上げて口を開いた。 その声はか細く、震えていた。 「あの……私は助かったんでしょうか……?」 「ああ、君は助かった」 「お母さんと、お父さんは……」 期待にも聞こえるその言葉。 誰かがそれに対し答える前に、少女は自ら告げた。 「私を庇って……」 ベッドのシーツを握る手が小刻みに揺れている。その瞳には涙が浮かんでいた。 そんな少女に、ヨナがゆっくりと近づく。そしてあるものを取り出して、少女に差し出した。 それを少女は受け取る。 「あの後、貴方の家に入って見つけたものです」 それは二つあった。 一つはいつも少女が愛用していた、赤色のペンダント。 もう一つは少女とその両親の写真が入ったロケットペンダントだった。 「こんなことになってしまい、唐突で申し訳ないのですが、貴方には教団に所属してほしいと思っています」 「これは命令ではなく、当然すぐにとは言わないから安心してくれ」 本当はこうなる前に話すことができるのが一番だったのだが、それは後悔先に立たずというものである。 どうすることもできなかった。本当に、最悪な出来事だったのだ。 ヨナが教団のこと、喰人として生きることに対する説明をし、それをフォローするようにベルトルドが相槌を打つ。 それを少女は静かに聞いていた。 一通り説明を終えて、ヨナとベルトルドは一歩引く。少女はなかなか踏み出せないのか、思案顔のままだった。 憎しみや悲しみ、恐怖など、様々な感情が入り交じり、どうすればいいのかわからなくなっている。 道を示してくれる両親も、もういない。 少女はこの年にして、自分で決断することを強いられている。 ミコトはそんな少女の両肩に怖がらせないようそっと手を置いて、優しく、意志の強い瞳で少女に語り掛ける。 「今だけは、自分の持つ力を憎んでもいい。許さなくてもいい。だがその力を認めれば、君は【己の力で】自分のご両親の仇を討つことができる」 「仇を、討つ……」 小さく少女が呟いた。続けて、ミコトは変わらない口調で話す。 「そしてその力で――未来、君と同じ境遇に立っている子供たちを救うことができる。君のような悲しみを生む前にどうか、考えてみてはくれないだろうか……?」 「私は……」 ミコトの言葉は優しく、それでいて力強く少女の心に刺さった。 決意は固まった。後は踏み出すだけ。 少女は、潤んだ瞳に強い意志を乗せて叫んだ。 「私は喰人になって、ヨハネの使徒を……お母さんとお父さんの仇を討ちたい!」 それは、少女の未来を決める大きな一歩目だった。 その先どうなるのか、それはわからない。 喰人として生きる覚悟を決めた少女は、これからどう生きていくのか。 悲しみを背負い、復讐を胸に、少女は決断した。 三組の浄化師の活躍によって、目覚めた少女は前を向く。その眼にはもう、迷いなどなかった。
|
||||||||
*** 活躍者 *** |
|
|
|||
該当者なし |
| ||
[19] ミコト・カジョウ 2018/03/28-21:53
| ||
[18] ヨナ・ミューエ 2018/03/28-15:29
| ||
[17] ミコト・カジョウ 2018/03/28-14:03 | ||
[16] ヨナ・ミューエ 2018/03/28-05:23 | ||
[15] ミコト・カジョウ 2018/03/27-23:52 | ||
[14] グロリア・ティティス 2018/03/27-20:01 | ||
[13] ミコト・カジョウ 2018/03/27-16:27 | ||
[12] ミコト・カジョウ 2018/03/27-16:22 | ||
[11] ヨナ・ミューエ 2018/03/27-09:12
| ||
[10] ヨナ・ミューエ 2018/03/27-09:01
| ||
[9] ミコト・カジョウ 2018/03/27-00:26 | ||
[8] グロリア・ティティス 2018/03/26-20:52
| ||
[7] グロリア・ティティス 2018/03/26-20:50
| ||
[6] グロリア・ティティス 2018/03/26-20:46
| ||
[5] ヨナ・ミューエ 2018/03/25-03:25 | ||
[4] グロリア・ティティス 2018/03/24-22:38
| ||
[3] ヨナ・ミューエ 2018/03/23-01:19
| ||
[2] グロリア・ティティス 2018/03/23-00:58
|