~ プロローグ ~ |
「あ、あの、このお店のスイーツ、ずっと食べに来てもいいですかーー!!」 |
~ 解説 ~ |
いろいろと問題行為のあるアレックスですが、初恋を叶えてほしいそうです。 |
~ ゲームマスターより ~ |
こんにちは、留菜マナです。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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ロス:好きっつーたら終る問題じゃ? ティ:どんな恋愛でも実らそうと思えば前途多難です ∇ティの場合 今まで彼ペットとして一緒にずっと過ごしてきたんですよね 黒歴史はもちろん着替えまで…無理です それを横に置いてもまずは恋愛感情が解ってないと思います 動物の恋愛って人間とは違うのかと サニスさんの場合妹さんの比重が高そうですので 恋愛する気がないと思いますが 趣味が合わないのも困ります 劇行っては彼は寝る 屋台行けば私が彼の食べる量に追いつかない 綺麗な景色を見に行けば 隣で寝てるか食うかのロスさん 行先相談するにもどちらかが難色示す事も多いです まずは趣味を聞いてその趣味をモノにしましょう ∇ ロスは狼姿で寝転がってゴロゴロ |
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■B 恋人になりたいねぇ…さり気無く2人きりにすれば弾む会話でお互いをお互い知れて仲良くなっていくからね そういうやり方はサニスさんが仕事中だから難しいね 危険な所を救う方法もあるが、あれはやらせの一種だろう 後々ばれないようにしないとね 壁ドンというのに女性は憧れるというが同じ吊橋効果なら山へデートに誘った方がよくないか? 皆で行って吊橋の所はアレックス君に任せて話も色々できて普通に好感度もアップすると思うんだが 喫茶店か 珈琲が好きでね マシュマロとかちょっとした甘味があれば嬉しいんだが ヒューイは珈琲のみでお願いしてもいいだろうか ※2人共ブラック 恰好つけヒューイで実は苦手でちびちび飲みます ヒュドラは普通 |
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~ リザルトノベル ~ |
●夏が好きになるおまじない 「ロスさん、シンティラさん、ありがとうございます!」 「ありがとうございます!」 土下座をして何度も感謝の意を示すアレックス達に、ロス・レッグとシンティラ・ウェルシコロルは困ったように顔を見合わせた。 「ま、サニス達とは知り合いだしなー」 「そうですね」 「おおおおっ!! サ、サニスさんと知り合い!?」 ロスとシンティラの言葉に反応して、アレックスはがばっと顔を上げた。 そして、両拳を突き上げて、興奮気味に言葉を続ける。 「きゅ、救世主だーー!!」 「お、なんだ、なんだぁ!」 「前に、指令でサニスさんのお店を訪れたことがあるんです」 戸惑うロスをよそに、シンティラは真剣な表情でしっかりと頷いてみせる。 その瞬間、立ち上がったアレックスは目を細めて、何かを探り当てようとするかのようにサムに視線を向けた。 「サム、分かっているな」 「はい、兄貴」 アレックスはサニスの店がある方向に向かって無造作に片手を伸ばすと、抑揚のない声できっぱりと告げる。 「ロスさんとシンティラさんが、サニスさんの知り合い。これはつまり、俺とサニスさんが晴れて結ばれる運命になったということだ。今すぐ、結婚式場の手配をするんだぜ!」 「了解しました!」 感極まったアレックスの指示に、サムは軽く敬礼するような仕草を見せる。 アレックスの視線はすでに目の前の街中を突き抜けて、教会の下、タキシード姿の自分とウェディングドレス姿のサニスとの結婚式の想像図へと飛んで行ってしまっていた。 アレックスの行動原理はかくも難解で、時に過激である。 「まー、とにかく」 「結婚式はまだ早いですね」 意味の分からない理屈にどう突っ込んだらいいのか分からず、ロスとシンティラはもはや無我の境地でそうつぶやいたのだった。 「好きっつーたら終わる問題じゃ?」 「どんな恋愛でも実らそうと思えば前途多難です」 ロスが率直な意見を述べると、シンティラは人差し指を左右に振った。 「シンティラさん、恋愛のご教示、お願いします!」 「お願いします!」 「私達の体験談になります」 アレックスとサムの懇願に、シンティラは顎に手を当てて真剣な表情で言った。 「今まで彼ペットとして、一緒にずっと過ごしてきたんですよね。黒歴史はもちろん着替えまで……無理です」 「ふむふむ」 シンティラが顔を曇らせて俯くと、アレックスは意外そうにロスに視線を向ける。 「それを横に置いても、まずは恋愛感情が解ってないと思います。動物の恋愛って人間とは違うのかと。サニスさんの場合、妹の比重が高そうですので恋愛する気がないと思いますが」 「サニスさんの妹……」 アレックスは、シンティラの言葉一つ一つを、サニスへの想いを綴った自身の『ポエム帳』へと記載していく。 「趣味が合わないのも困ります。劇行っては彼は寝る。屋台行けば、私が彼の食べる量に追いつかない。綺麗な景色を見に行けば、隣で寝てるか食うかのロスさん」 「俺の趣味は、『妄想』だな!」 「さすが、兄貴!」 慣れた小言を聞き流す体で、アレックスはサムと一緒に、真っ青な空に人差し指を突きつけると勝ち誇ったように言い切った。 「行き先相談するにも、どちらかが難色示す事も多いです。まずは趣味を聞いて、その趣味をモノにしましょう」 「おおおおっーー! シンティラさん、ありがとうございます!」 「ありがとうございます!」 シンティラの提案に、アレックス達は涙を拭いながら感謝する。 (趣味が妄想っつーのは問題じゃねぇのか?) そんなやり取りの中、ロスは狼姿で寝転がってゴロゴロしながらそう思った。 「おぉ、スゲーいい匂い」 「繁盛していますね」 サニスの店を訪れた瞬間、ロスとシンティラは歓声を上げた。 ヴェネリアの外れにある『スイーツショップ』は、様々なケーキやお菓子を取り扱っているお店である。 一目で見渡せるこざっぱりとした店内には、昼過ぎともあって、かなりの人が入っており、席は満席だった。 以前、怪奇現象による不思議な現象が起こっていたため、お店には人気がなかった。 だが、ロス達がお店で発生していた不思議な現象を止め、なおかつ、お店の宣伝をしたことで再び、お店は繁盛していた。 「いらっしゃいませ」 「いらっしゃいませー!」 「おー、サニス、ノア」 「サニスさん、ノアさん」 店に入った途端、応対した少女と幼い幽霊の少女に、ロスとシンティラは穏やかな表情を浮かべる。 「ロスさん、シンティラさん、お久しぶりです」 「わーい!」 サニスとノアは嬉しそうにそう言うと、ロス達のもとへと駆け寄ってきた。 「お久しぶりです。こないだのチーズケーキ、美味しかったです」 「ありがとうございます」 久しぶりの再会に心踊らせて、シンティラとサニスは花咲くようにほんわかと笑ってみせた。 サニスに案内された四人がけのテーブル席で、ロスとシンティラは早速、頼んでいたスイーツを食べる。 「ふはは、カナッペ、マジうめぇ!」 「甘いものは幸せ感じますよね」 かまぼこカナッペを選んだロスとチーズケーキを選んだシンティラが楽しそうに談笑した。 「ああー。サニスさん、今日も一段と可愛いぜ……」 アレックスはエプロン姿で接客をするサニスの様子を窺いながら、サムと一緒にフルーツアイスケーキを食べる。 「ロスお兄ちゃん、遊ぼうー!」 「おうー。食べ終わったらな」 ノアの誘いに、ロスは残りのかまぼこカナッペを盛んに頬張りながら答える。 「わーい! わーい!」 ノアはやったーと言わんばかりに両手を広げて跳び跳ねた。 一通り食べ終わったロスは、ノアの方に狼姿で遊びに行く。 パフィーフィッシュも気になったのか、ふわふわとロス達のもとへ飛んでいった。 「サニスさん、お忙しいところ、すみません。少しお伺いしてもよろしいですか?」 「はい」 問いかけるような声でそう言ったシンティラのもとに、注文を聞き終えたサニスが歩み寄る。 かくして、シンティラは告げた。 「お休みの日は何してるんですか?」 (あれ? アレックスがサニスと付き合いてぇっつー話では?) シンティラの台詞に違和感を覚えたロスは、改めて盛り上がるシンティラ達の様子を窺う。 「サニス」 ロスはそう切り出してサニスに向き直ると、ずっと思考していた疑問をストレートに言葉に乗せた。 「アレックスが付き合いてぇって!」 「ええっ……?」 「うおおっーー!?」 ロスの意外な言葉に、サニスが輪をかけて動揺し、アレックスは狼狽する。 「……ロスさん」 氷点下の声。 シンティラがそう告げた途端、店内のまとう空気が一変した。 「ノウマク・サンマンダ・バサラダン・カン」 「おおぅ……」 静かな言葉に込められた有無を言わせぬ強い意思。 続けられた詠唱に、ロスはたじろくように退く。 その詠唱が、シンティラのアライブスキル、『小咒』だと気づき、ロスは必死に叫ぶ。 「言うのが先だろ!?」 だが、悲痛な訴えも虚しく、発現した炎の蛇は容赦なくロスに飛びかかる。 そして、店内は一時、騒然となり、ロス達と一緒に遊んでいたパフィーフィッシュも巻き添えを食らったのだった。 「ロスさんがすみません」 シンティラがそう言って、へなへなになったパフィーフィッシュに治療を施す。 シンティラによる完璧な応急処置によって、回復したパフィーフィッシュはふわふわと浮かんで喜び勇んだ。 「元気になって良かったです」 「俺も怪我したんだけど……ティ?」 シンティラの言葉に、ロスは焦ったように付け加える。 「他に怪我をされた方はいますか?」 「ティ、そこで俺をスルー!?」 ロスの叫びを無視して、シンティラはロスのもとを訪れると『天恩天賜』を使う。 癒しの力が注がれ、ロスの傷が癒えていく。 「痛いの痛いの飛んでいけ~!」 「おうー、ありがとうな」 何度も何度も両手を広げて治そうとするノアに、ロスは苦笑する。 「不安定なトコとか他にねぇ?」 傷が癒えたロスは早速、工具箱を使用して店内を補修していく。 「ロスさん、ありがとうございます」 「おう!」 サニスは店内を次々と補修していくロスに向かって、申し訳なさそうに頭を下げる。 「シンティラさん、だめでした!!」 「アレックスさん。あとは常連となって、色々、話ができるようになってから、再度、挑戦しましょう」 「は、はい!」 号泣するアレックスに、シンティラは的確にアドバイスした。 そしてお店に置かれているノートを手に取ると、ロスとシンティラは記憶を辿るようにお店の感想を記入していく。 『本日もチーズケーキが美味しかったです』 『また来るな』 「アレックスさんも是非」 「はい」 シンティラに促されて、アレックスはおそるおそるノートに自身の想いを綴った。 『サニスさん、俺は絶対に諦めないぜ!』 振られたとしても、アレックスの想いはどこまでも一直線だった。 「アレックス、振られたなー」 教団への帰り道、ロスがつぶやいた。 ヴェネリアの街並みを背景に、またたく星と波の区別がつかないほど、空と運河は寄り添っていた。 「それでもいいんです」 「いいのか!?」 シンティラの意外な言葉に、ロスは驚きをあらわにする。 「アレックスさんが、これからも諦めずにサニスさんを想ってくれているだけで……それだけでいいんです」 シンティラは優しげに目を細めて、ロスを見つめた。 「思い出は、これから作っていけばいいですから」 シンティラは運河にかかる橋の手すりにもたれかかると、しばらく月に照らされた雲が動いていくのをぼんやりと眺めていた。 ●波に戯れて 「恋人になりたいねぇ……」 アレックス達の事情を聞いて、ヒュドラ・コロレフは顎に手を当てて思案する。 「さり気無く2人きりにすれば、弾む会話でお互いを知れて仲良くなっていくからね」 「ふむふむ」 ヒュドラの言葉を、アレックスはサニスへの想いを綴った自身の『ポエム帳』へと記載していく。 「そういうやり方は、サニスさんが仕事中だから難しいね」 「……そ、そうですか」 予想もしていなかった衝撃的な言葉に、アレックスはガクッと肩を落とした。 ヒュドラは目を伏せると、さらにこう続ける。 「危険な所を救う方法もあるが、あれはやらせの一種だろう。後々、ばれないようにしないとね」 「やらせ……? ふむ」 その意味深な言葉に、アレックスは分からないなりにとりあえず頷いてみせた。 「壁ドンというのに女性は憧れるというが、同じ吊り橋効果なら山へデートに誘った方がよくないか?」 「山へデート!?」 ヒュドラのその言葉に、ポエム帳をじっと凝視していたアレックスの声が震えた。 「皆で行って、吊り橋の所はアレックス君に任せて、話も色々できて普通に好感度もアップすると思うんだが」 「うおおおおおおっ!」 アレックスはポエム帳を超スピードでめくりながら、ひたすら絶叫する。 「山へデートなら、観光名所でも有名なソレイユ地区のアールプリス山脈だな」 そう語りながら、アレックスは隅々までポエム帳を凝視する。 そして最後まで読み終えると、アレックスはポエム帳の表紙を見つめながら拳を震わせて興奮した口調で言った。 「サム、見える、見えるぞ。サニスさんが、俺に惚れる姿が……!」 アールプリス山脈の麓に訪れたアレックス達とサニスの姿が、ふと、アレックスの脳裏によぎる。 『サニスさん。俺のペットのパフィーちゃんが、珍しい花を集めてきてくれました』 『そうなんですね』 『今すぐにでも渡したいんですが、パフィーちゃんは採取が苦手みたいで……』 「パフィーちゃん。怪しい毒花ばかり、集めてくるんじゃねぇーー!!」 「あ、兄貴、心の声が漏れているようですぜ」 得意絶頂で自分の妄想を語り続けるアレックスのその様子を、サムが焦ったように忠告する。 「前途多難のようだね」 賑やかなアレックス達の様子を見て、ヒュドラは厳かな口調で言う。 ヒューイ・タークも、それに同意するようにこくりと頷いたのだった。 早速、サニスに告白するというアレックス達に連れられて、ヒュドラ達はサニスのお店を訪れた。 カウンターには、サニスと妹のノア、そして彼女の両親が写っている写真が飾られている。 「喫茶店か。珈琲が好きでね。マシュマロとかちょっとした甘味があれば嬉しいんだが」 「はい」 通りかかったサニスを呼び止めて、ヒュドラは注文をし始める。 「浄化師さんだー」 自分の姿を視ることができるヒュドラ達を、半透明に透けている幼い少女が見上げた。 サニスの妹で幽霊の少女――ノアである。 幽霊の魂は、浄化師などの魔力が高い者は比較的視ることができる。 だが稀に、サニスのように霊魂を視やすい体質の者も存在していた。 「ヒューイは珈琲のみでお願いしてもいいだろうか」 「かしこまりました」 注文を確認して一礼した後、サニスは定例の対応でその場から立ち去っていった。 やがて、注文した珈琲とマシュマロが、テーブルに並べられる。 「美味しいね」 「……」 優雅に珈琲を飲むヒュドラに習って、ヒューイも珈琲を口に運ぶ。 しかし、ブラックは苦手だったのか、ちびちびと飲んでいく。 「早速、サニスさんに告白を――ん?」 サニスのもとへと向かおうとしていたアレックスに対して、ヒューイはオーシャンパルファンをぐいっと押し付けた。 爽やかな匂いは、好感度アップに役立つのではないかと思ったヒューイの気遣いである。 「サニスさーん!」 「アレックスさん?」 「好きです! 一緒にアールプリス山脈に行きませんか!」 ジャジャァァン!! アレックスがサニスにそう告げると同時に、サムは持っていたギターを鳴り響かせた。 「ごめんなさい。今はお仕事が忙しくて、遠出は難しいんです」 アレックスがあまりにも漠然的なデートの誘い方をしてきたので、サニスは困ったように答える。 「おおっ……」 アレックスは完全に打ちのめされていた。 まさに撃沈といっても過言ではないだろう。 そんなアレックスの様子を見て、ヒューイは少し残念そうに顔を俯かせていた。 「世の中には、5年アタックし続けて付き合ったという人もいる。半年で別れてしまったそうだが」 意気消沈するアレックスに対して、ヒュドラは穏やかに告げた。 「恋愛するよりも恋人同士になる予定で付き合い始める方が長く続くものだが、本当に好きなら諦めず時間をかけて頑張りなさい」 「おおっ…‥…‥」 その言葉を聞いた瞬間、アレックスが溢れそうな涙を必死に堪える。 「ヒュドラさん、ありがとうな! ありがとうな!」 ヒュドラの励ましに、アレックスは両拳を振り上げていたく感激した。 「お礼に、お二人には、この不思議な飲み物、『初恋レモネード』を渡すぜ!」 「普通のレモネードのようだが」 ヒュドラとヒューイは怪訝そうにしながらも、アレックスから渡されたレモネードを飲んでみる。 するとその瞬間、二人の背丈と身につけていた服はどんどん縮んでいき、気がつくといつのまにか、二人の姿は5歳児程度まで幼児退行していた。 「これは面白いね」 幼い子供の姿にされてしまったのにも関わらず、ヒュドラは始終穏やかな笑みを浮かべた。 「……」 ヒューイも同じく、平静を装う。 今にも悲鳴を上げてしまいそうになるのを、口元を押さえて必死に我慢する。 だが、なるべくヒュドラを見習って冷静さを保とうとするものの耐えきれなくなり、ヒューイは沈没してしまう。 「よし、サム。今からヒュドラさんにお礼をするぜ!」 「はい、兄貴!」 「アレックス君、何を――」 ヒュドラがそう告げる前に、アレックスは無理やりヒュドラを抱きかかえて人力車に乗せる。 そして、そのまま、サムはアレックスとヒュドラを乗せた人力車を引いて街中へと駆け出していった。 「……」 残されたヒューイはどうしたらいいのか分からず、立ち往生していた。 途方に暮れるヒューイの周りで、同じく置いてきぼりにされたパフィーフィッシュがおろおろと戸惑っている。 歌舞伎のような赤い紋様があり、常に怒った顔をしているあのパフィーフィッシュが自身に寄り添ってくれているというギャップに、ヒューイは照れ臭そうに手で口元を覆った。 「うわああああんっ!」 その時、誰かが泣いている声がした。 ヒューイが振り返ると、そこには見覚えのある幼い少女が泣きじゃくっていた。 先程、お店で会ったサニスの妹、ノアである。 「お姉ちゃんとはぐれちゃった……」 ノアが涙を潤ませて、小刻みに震えながらささやくような声で言う。 そこで、ヒューイはノアが迷子になったことに気づく。 嘆き悲しむノアを助けたくて、ヒューイは咄嗟に彼女の頭を撫でる仕草をした。 「なでなでだ……」 ノアはほんの少しくすぐったそうな顔をしてから、幸せそうにはにかんだ。 「ヒューイ、すまない。アレックス君が、どうしてもお礼をしたいと聞かなくてね。何でも、二時間ほど経てば、元の姿に戻るそうだ」 やがて、ヒュドラがアレックスから渡されたデザートやプレゼントを両手に持ってよたよたと歩いてきた。 落ちそうになっていたプレゼントを、ヒューイが間一髪で支える。 「おや? 確か、君はサニス君の妹のノア君だったか?」 「お姉ちゃんとはぐれちゃったの……」 「どうやら、迷子のようだね」 事情を察すると同時に、ヒュドラは諭すように語りかけた。 「サニス君も、この近くで探しているだろう。すぐに見つかるといいんだが」 ヒューイが手を差し出すと、ノアはきょとんとしてから弾けるようにその手を握りしめる仕草をする。 それは傍から見ると、まるで仲の良い友達同士のようだった。 運河にかかる橋を渡りながら、サニスを探して、ヒュドラ達は仲睦ましげに歩いていく。 「俺達は無実だーー!!」 「兄貴ーー!!」 その頃、アレックス達は嘆き悲しんでいた。 ヒュドラにプレゼントなどを渡して別れた後、幼い子供の姿であるヒュドラを乗せて、人力車で街中を駆け回っていたことが、運悪く自警団に知られてしまったのである。 この後、さらにヒュドラを誘拐したのではないかという疑いをかけられてしまい、アレックス達は自警団の事情聴取を受けることになってしまったという。
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*** 活躍者 *** |
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[3] ヒュドラ・コロレフ 2018/08/26-20:35
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[2] シンティラ・ウェルシコロル 2018/08/25-05:31 |