急募!グルメリポーター
普通 | すべて
3/8名
急募!グルメリポーター 情報
担当 海無鈴河 GM
タイプ ショート
ジャンル 日常
条件 すべて
難易度 普通
報酬 通常
相談期間 5 日
公開日 2018-08-25 00:00:00
出発日 2018-09-02 00:00:00
帰還日 2018-09-06



~ プロローグ ~

 ――月刊誌の臨時記者を募集します。詳細はアークソサエティ出版まで。

 そんなポスターを目にしたあなたとパートナーは、早速出版社へ詳細を聞きに行くことにします。
「やあ、待ってたよ。早速だけど、君たちにはグルメ記事を担当してもらうよ」
 出版社の担当者は、『グルメフェスティバル』と書かれたパンフレットをあなたたちに渡しました。
「ブリテンで開催されているこのお祭りに行って、出店の取材をしてきてほしいんだ。といっても、難しく考えないで、観光気分で楽しんで来てくれて構わないよ」
 担当者は軽い調子でそう言うと、あなた達に取材先のお店のリストも渡してくれました。

 『出張カフェ・リリアス』
 普段はルネサンス地方の海沿いで営業しているカフェが特別出張。オススメは海の幸をたっぷり使った、『ピリ辛海鮮スープ』。
 更に『ある試練』をクリアすると特別メニューが食べられるようです。

 『たいよう農園』
 ソレイユ地区の農場で採れた、新鮮な野菜や乳製品を使用。目玉は『オンリーワン・ピザ』。なんと自分で好きな具材を選んでトッピングできます。美味しいピザになるかは、あなたの腕次第!?

 『くらげ酒場フェスティバル支店』
 庶民派酒場がフェスティバルのために特別営業。オススメは、女将が丹精込めて煮込んだ『ことことシチュー』。まさにおふくろの味。
 また、元伝説の賭博師と名高い大将とカードゲーム勝負も楽しめます。

 『カルディアスイーツショップ』
 数量限定で販売される、『天使のチョコレート』はフェスティバル内でも一番の人気商品。食べると幸せになれる、との噂も。
 他にもホットチョコレートや、チョコレートケーキを販売。

「この4つの店の中から、君たちの好きな1か所を選んで取材してほしい」
 担当者はここでああ、と声を上げて手を叩きました。
「大事なことを忘れていた!『店主の名前』と『お店の出店番号』は必ずお店の人に聞いてね。記事にも載せるから。それと、良い記事を持ってきてくれたら巻頭の一番目立つところに載せるよ」
 依頼主はそう言うと、あなた達を笑顔で送り出しました。
 あなたとパートナーは再び取材先リストに目を落とします。
 どのお店も個性的なサービスを行っています。どこを取材しても、パートナーと仲良くなれそうです。
 
 さて、どこに行こう?


~ 解説 ~

■目的
・グルメフェスティバルの取材を通して、パートナーとの仲を深める
・出店を取材し記事を作成する

(1)グルメフェスティバル
ブリテンの広場で開かれている。様々な種類の出店があり、各所の名産品や食事を提供している。

(2)出張カフェ・リリアス
・『ある試練』は2人の新密度が高いとクリアしやすいかもしれません。
・平均滞在時間約30分。

(3)たいよう農園
・ピザの焼き上がりに約40分お時間を頂きます。

(4)くらげ酒場
・カードゲーム勝負に勝つと、大将が特製ドリンクを振る舞ってくれます。
・カードゲームは1勝負15分。

(5)カルディアスイーツショップ
・限定メニューが食べられるかは運次第。
・平均滞在時間約30分。

※プラン内で固有名詞(店舗名等)を利用する際は、(1)など行頭の番号でご記載いただいて構いません。

■取材について
・取材できるお店は1か所です。
・特別なメニューを取り上げると、担当者が喜んでくれるかも。
・きちんと取材をこなすと、担当者からの評価があがるかも。


~ ゲームマスターより ~

はじめまして。新人GM海無です。
初執筆のエピソードになります。
割とお祭り騒ぎなわいわいとした内容になっているかと思います。

美味しい物を食べながら、二人の仲を深めてください。





◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇

トウマル・ウツギ グラナーダ・リラ
男性 / 人間 / 断罪者 男性 / 生成 / 陰陽師
◆トウマル

どこも魅力的だが向かうは『出張カフェ・リリアス』

本日はよろしくお願いしますと店主に挨拶。
こちらの身分と名前告げ、店主の名前と出店番号控える。

あとの店員との会話や
実際の記事執筆はグラに投げるけどな。
俺? 食って感想言う係。

つっても「美味い」ぐらいしか表現できねぇし
グラにも味見させて詳細はやっぱり投げよう。
オススメのピリ辛海鮮スープ以外のメニュー、
カフェならドリンク系も充実してそうだし色々試したい

美味い以外も言えって?
んー、歯応えがすごい。
あとあんまり辛くないから一気に食える。食った。

特別メニューも是非記事にしたいところ。
駄目元で試練挑戦。
どんな内容でも食い物のためなら乗り越える……と思う
まりか・白月 黒蛇・無衛
女性 / 人間 / 陰陽師 男性 / 生成 / 断罪者
目的
取材を成功させる

行先・5

意識の高いまりかは考えた。人ごみを進んでは限定メニューは無理! 黒蛇さん、お願い、運んで!
黒蛇は考えた。まりかのために限定メニューを手に入れるため。だから、まりかを片腕に抱くと

投げた!

「空中、邪魔、いない」
「運んでって意味が違うさぁ!?」
投げられ、そのうえで空中を軽く回転、ハレー彗星のごとく店の前へと行く
黒蛇があぶないぞーと人々へ声をかけているので被害はない、はず、たぶん。軽く意識がなくなるかもしれない
しかし意識高い系なので無意識にも
「げんていめにゅーを」

意地と根性とよくわからない加護と意識高い系デ…取材

『店主の名前』と『お店の出店番号』もばっちり聞く
ヨナ・ミューエ ベルトルド・レーヴェ
女性 / エレメンツ / 狂信者 男性 / ライカンスロープ / 断罪者
くらげ酒場
経費は教団持ちで

ベ:あのくらげ酒場の特別営業だそうだ。知らないか?ここのシチューは評判だぞ
ヨ:あまり詳しくないもので。…って、どうしてこの指令受けたんです?柄じゃないでしょう
ベ:お。いつから指令をえり好みできる立場になったんだ?
ヨ:そ、そういう訳ではないですけど

入店
シチュー2つと赤ワインを注文
ヨ:また昼間からそんな
ベ:お前も頼んだらいいのに。絶対シチューと合うと思うぞ
ヨ:お酒は、強くないので…(知ってる癖にという顔

出された料理を前にカメラを構え
ベ:これはうまそうだ。食べる前に写真を撮るか
ヨ:いつ買ったんですかカメラなんて
ベ:この間のかき氷パーティの時に見て俺もな
ヨ:あぁ…、なるほど


~ リザルトノベル ~

●臨時記者、集結
 月刊誌の臨時記者を募集します。
 そんな依頼を出した、アークソサエティ出版の担当者は集まった面々を前に口を開いた。
「よく来てくれたね。なんだか食べるのが好きそうな人が多くて嬉しいよ。早速だけどこれを渡しておくよ」
 担当者は取材先リストと、『グルメクーポン』と書かれたチケットを6人に渡した。
「このチケットを使えば、取材先でメニューが食べられるからね。お金の代わりだと思ってくれればいいよ」
 6人がチケットをしっかり仕舞ったのを見て、担当者は声をかけた。
「良い記事を待っているよ!」
 6人は担当者の笑顔に見送られ、グルメフェスティバルの会場である広場へと向かうのだった。


●飛んでチョコレート
 広場に着いて真っ先に動いたのは、『まりか・白月』だった。
 まりかはパートナーの『黒蛇・無衛』に言った。
「黒蛇さん、私、『天使のチョコレート』が気になります!」
 『天使のチョコレート』は『カルディアスイーツショップ』で一日数量限定販売される特別メニューだった。
「この、人混み、間に合う?」
 黒蛇はまりかの言葉を受け、広場を眺めて言った。広場は老若男女、大勢の人で溢れていた。
 そこでまりかは考えた。
(この人混みを進んでは限定メニューは無理! ……そうだ)
「黒蛇さん、お願い、運んで!」
 まりかは名案を思いついたと思い、黒蛇を振り返って言った。
 そこで黒蛇は考えた。
(人混みを避ける。限定メニューを手に入れる……ならば、これだ)
 黒蛇はまりかを片手で抱き上げた。突然体が浮き上がり、まりかは驚いて目を見開く。
「行くぞ」
 何が、とまりかが問うより早く、黒蛇はまりかを勢いよくぶん投げた。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
 まりかの叫び声が広場に響き渡る。道行く一般人が飛んでいく彼女の姿をぽかんと眺めていた。

 一方カルディアスイーツショップでは、店員が呆けた表情で飛んでくる物体を見ていた。
「店長……空から何か……いや、ぶたのライカンスロープが!」
 ずどん、と大きな音を立ててその物体は地面へと着地した。半ばめり込むような形で。
 間違いなく、黒蛇に飛ばされたまりかだった。
「いや、私人間です……じゃなくて、限定の……『天使のチョコレート』ください……」
 ボロボロのまりかは、掠れた声でそう伝えると、そのままぱたりと地面に倒れた。
「お客様ぁ!?」
 店員が慌てていると、追いついてきた黒蛇が横から口を挟んだ。
「大丈夫だ。少し放っておけば戻る」

 しばらくして。まりかは漂ってくる甘い香りで意識を取り戻した。
「うぅ、私一体……」
 体のあらゆるところが微妙に痛い。まりかはぼんやりしとしたまま視線を巡らせ、黒蛇の姿を見つけると、カッと目を開いた。
「ひどいじゃないですか!」
「でも、速かった」
「確かに速かったですけど! ……って、限定メニューは!?」
 まりかが尋ねると、黒蛇は彼女の前に金のリボンが掛かった真っ白な箱を差し出した。まりかがリボンを解き、蓋を開けると。
「うわぁ……!」
 中には小さなチョコレートが6個並んで収まっていた。一粒一粒が艶やかに煌めき、宝石のようだ。
「これが、限定メニュー」
「良かったぁ。買えた……」
 ほっと息を吐くまりかに、黒蛇は優しい目を向けた。微妙な変化で、傍目には違いが分からないが。
「まりか、頑張った」
「黒蛇さんも、ありがとうございます」
 まりかは頭を下げた。早速どこかに座って食べようか、そう思っていると、黒蛇が口を開いた。
「残念なお知らせ」
「はい?」
「時間ない」
 まりかは、広場の時計を見た。気絶している間に時間が過ぎてしまっていたのだ。
「俺の力、強すぎた。もしくは、まりかの頑丈さ、足りなかった」
(……よく生きてた、私)
 まりかは心の中で神様に感謝した。
「早く取材、した方がいい」
「そ、そうですね」
 まりかは黒蛇に促され、店員に駆け寄った。
「あの、お話を聞いてもいいですか?」
(あまり時間が無いから急がないと)
 まりかは店員にインタビューを始めた。その間に黒蛇がカメラを持って、店内や他の客の様子を撮影する。
「そうだ、これだけは聞かないと。あの、『出店番号』と『店主さんのお名前』を聞いてもいいですか?」
 店員の答えをしっかりとメモに書きとめ、まりかは黒蛇に声をかけた。
「写真はどうですか?」
「ばっちり」
 黒蛇はぶん、と一度尻尾を振った。
「あとは、食べ物」
「そうですね。せっかくなので、チョコレートを食べましょうか」
 二人はテーブルを一つ借りると、手に入れた『天使のチョコレート』を置いた。
「うーん、何度見ても綺麗……美味しそう……」
「まりか、顔」
 カメラを操作していた黒蛇に指摘され、まりかは慌てて緩んでいた頬を引きしめた。
(だって美味しそうだし……)
 まりかは改めてチョコを一つ口に運ぶ。
「んんっ!口の中でふわって溶ける……ただ甘いだけじゃなくて、すっきりとした品の良い甘さって感じ!とにかく美味しい!」
 一気に言いきってまりかは満足げに息を吐いた。
「だから、まりか、顔」
 黒蛇にまた指摘され、まりかは思わず頬に手を当てた。顔の筋肉がゆるんでいくのが自分でもわかる。だらしない顔に違いない。
「あ」
 ふとまりかの顔を見た黒蛇は気がついた。まりかの頬にチョコレートが付いている。
(さっき頬に触れた時か。指先辺りに付いてたんだろう)
 じーっとした視線を感じ、まりかは首を傾げた。
「黒蛇さん?もしかして、食べたいですか」
 その時、黒蛇が素早い動きでまりかに近づくと、彼女の頬に噛みついた。文字通り、がっぷりと。
「!?」
 がたん、と椅子を揺らしてまりかが距離を取る。その顔は赤くなったり青くなったりとめまぐるしく色を変えていた。
「もう食べた。美味」
「そっちじゃなくて普通のチョコを食べてください!っていうか、付いてたなら教えてください!」
 そんな風にわいわいとにぎやかに、二人は取材を終えたのだった。


●勝負の後は蜂蜜酒を
「良く飛びますね……」
 『ヨナ・ミューエ』は空を飛んでいく人影を半ば感心しながら眺めていた。あれは確か、一緒に依頼を受けたまりか・白月だ。
(何故彼女が空を……?)
 そんな疑問を抱いていると、カシャ、とすぐ横で音がして、ヨナはそちらに視線を向けた。
 音の主はパートナーの『ベルトルド・レーヴェ』。彼はカメラを構え、飛んでいく物体を撮影した。
「ベルトルドさん。写真を撮るのはここじゃないでしょう……というか、そのカメラはどうしたのですか?」
「いや、つい……。カメラは、この間のかき氷パーティの時に見て買ってみた」
「あぁ、なるほど……」
 広場の喧騒を余所に、二人は落ち着いた会話を楽しみながら目的の店へと向かうのだった。

 くらげ酒場は、店主夫妻が長年続けてきた下町で人気の酒場だ。二人が出店に行くと、すでに大勢の客でにぎわっていた。
 席が空くまで数分かかると言われ、二人は並んで順番を待つことにした。
「ここのシチューは評判だぞ。知らないのか?」
 ベルトルドの解説を聞き、ヨナは首を横に振った。
「あまり詳しくないもので。……って、どうしてこの指令受けたんです?柄じゃないでしょう」
 ヨナが尋ねると、ベルトルドはからかうような口調で言った。
「お。いつから指令をえり好みできる立場になったんだ?」
「そ、そういう訳ではないですけど」
 そんな会話をしていると、席が空いた。ベルトルドが早速オーダーをする。
「ワインとシチュー2つ」
「昼間から……」
 呆れたようにヨナが言うと、ベルトルドは「何を言っているんだ」と言わんばかりの表情を浮かべた。
「絶対に合うぞ。お前も頼むか?」
「私はお酒は強くないので……」
(知ってるくせに……)
 ヨナは心の中でそう付け加える。
 そして、待つこと数分。料理が運ばれてきた。
 木製の器から湯気を立てるシチュー。その香りにヨナの表情もぴくりと動いた。
 ベルトルドは忘れずにシチューとワインを写真に撮ると、ヨナに声をかけた。
「早速いただくとしよう」
 二人は揃ってスプーンを手に取った。
 ヨナは一口シチューを口に運ぶと、黙々と手を動かした。
 口いっぱいに広がるホワイトソースの味わい。じっくりと煮込まれた野菜は溶けてしまうほどに柔らかい。どこか懐かしさを感じる味だ。
 あっという間に器の半分程を平らげ、ヨナはふと視線を上げた。
 カシャ。瞬間、シャッターが切られる。
「食べる所勝手に撮らないでくださいっ」
 思わず声を上げると、構えていたカメラを下ろしたベルトルドは「すまん」と笑った。
「でも良い顔が撮れた」
「……」
 何も言えず、ヨナは押し黙った。
 そこに、店の大将が二人に声をかけてきた。
「兄さんたち、ひと勝負どうだい? 勝てたらオレが作った特別な酒を振る舞ってやるよ」
「そういえば、特別メニューがあると言っていたな……よし、その勝負受けよう」
 ベルトルドが言うと、二人の周りには他の客が集まって来た。
「注目されていますね」
 ヨナは邪魔にならないように、ベルトルドの後ろに控えた。
 大将の持ちかけた勝負はカードゲームだ。
 カードを5枚ずつ取り、その絵柄の組み合わせで点数が決まる。高い点を取った方が勝ちというルールだ。
「勝負って、ギャンブルかい」
 ベルトルドが呆れた風に言うが、大将は胸をどんと叩き豪快に笑った。
「おうよ。オレは昔、伝説の賭博師とも呼ばれてたからな。さあ、取った取った!」
 大将の号令で、ベルトルドは山からカードを5枚引く。絵柄を確認し、大将に尋ねた。
「チェンジは有りだったか?」
「1回だけな」
 ベルトルドは少し考え、3枚の札を捨て、再び山に手を伸ばした。大将も同じように、数枚札を交換すると、机の上に絵柄を伏せるようにして置いた。
「オープンだ」
 二人は一枚一枚、伏せたカードの絵柄を開示していく。
 その結果は。
「葡萄酒が4枚と酒樽が4枚……大将の勝ちだ!」
 ギャラリーから歓声が上がる。
「今日は運が向いてなかったみたいだな」
「……惜しい」
 ヨナが声をかけると、ベルトルドは「そうだな」と笑った。
「いやぁ、良い勝負だった!兄さんも中々やるねぇ」
 大将はそう言うと、勝負の礼だと言って二人の前にカップを置いた。
「これは?」
「特別な酒じゃないが、蜂蜜酒っていうモンだ。強い酒じゃねぇから、嬢ちゃんもどうだ?」
「……せっかくですが、止めておきます。代わりにベルトルドさん、どうぞ」
 ヨナは辞退すると、ベルトルドに自分の分のカップも渡した。ベルトルドはそれを受け取り、一気に飲んだ。
「蜂蜜酒は温まるな。くどい甘さじゃないし、飲みやすい」
 もう一杯の蜂蜜酒も味わい、ベルトルドはふう、と息を吐いた。ふと見ると、ヨナの姿が無い。
 少し視線を巡らせてみると、他の客の輪を眺めているヨナの姿があった。ベルトルドは近づき、隣に腰掛ける。
「悪くないだろう、こういうのも」
 急に話を振られたヨナは咳払いをした。
「っ!? まあ……そうですね」
 ヨナの照れたような表情を眺めながら、ベルトルドはまた蜂蜜酒を飲むのだった。


●試練の先の名魚
 広場の一角から聞こえてくる歓声に、『グラナーダ・リラ』は思わず視線を向けた。
「あれはくらげ酒場……盛り上がっていますね」
 見れば一緒に依頼を受けたベルトルドがカードゲームに興じている。良い勝負みたいだ。
「俺達も、さっさと行くぞ」
 先を歩いていたパートナーの『トウマル・ウツギ』に促され、リラは急いで彼の隣に並んだ。
 二人がやって来たのは『カフェ・リリアス』。魚介類を使った料理が人気のおしゃれなカフェだった。
 店に足を踏み入れると店員が近づいてくる。すかさずトウマルがリラに言った。
「任せた」
「分かってはいましたが……はぁ」
 リラは呆れたようにため息をつくと、すぐに切り替え、店員へと向き合った。
「月刊誌の取材で参りました。本日はよろしくお願いします」
 丁寧に頭を下げる。店員も「よろしくお願いします」と挨拶を返すと、二人を席へ案内した。
 席に着くと、トウマルはメニューをめくりはじめた。店員と会話をする気はゼロのようだ。
 仕方なく、リラは店員と話を続ける。
「少しお話を伺ってもよろしいですか?」
 リラはお勧めのメニューや、担当者から言われていた『出店番号』や『店主の名前』を店員から聞きだすと、持っていたメモに書き留めていった。
「……ありがとうございました。あとは肝心の料理ですが……」
 とリラがオーダーをしようとメニューを手に取るより早く。
「海鮮スープ、2つだ」
 トウマルが店員にそう告げた。
「お勧めらしい」
 すでに彼の意識は食へと向いている。リラは何も言わずに、それでお願いします、と店員に丁寧に伝えた。
「感想、お願いしますね」
 リラが言うと、トウマルは「ああ」と返事をした。
「さて、料理の来るまでの間に店内も少し取材しましょうか」
「……まだするのか」
「取材しすぎ、ということはありませんよ。この店は、海のモチーフやデザインに拘りがあるようですし、雰囲気が好きな読者もいるでしょうから」
 リラは壁にかかっている虹色の鱗を持つ魚の絵を眺めながら口を開いた。
(あとで黒蛇を呼んで撮影してもらいましょう)
 心の中にそうメモをし、リラはふと思いついてメモにペンを走らせた。
 しばらく無言で何やら描き続ける。それに気付いたトウマルは横からそれを覗き込んで、目を点にした。
「……何やってるんだ」
「イラストも載せたらどうかと思いまして」
「…………意外と上手いな」
 メモに描かれたリアリティ溢れる魚の絵を見て、トウマルは素直な感想を漏らした。
 そうしていると、店員がスープの入った金属製の皿を二つ運んできた。
「熱いので気をつけてください」
 店員が言うとおり、皿に入ったスープは湯気を立てていて、香辛料の刺激的な香りが二人の鼻腔をくすぐる。
 トウマルはすぐにスプーンを手に取ると、スープに口をつけた。
「感想は?」
 リラが尋ねると、トウマルは。
「美味い」
 一言だけ言った。
「……トーマ。美味い、だけじゃ分かりません」
「つっても、それ以外に表現できねぇし」
 お前も食べろ、とトウマルがリラにもう一方の皿とスプーンを渡す。
「……新鮮な海の幸はこの店ならでは。辛さも程よく後を引く、と」
 リラは自分なりに感想を言いかえ、メモへと書きとめた。
「お」
 ふと、トウマルが壁に視線を向け声を上げた。
「『試練を乗り越えて伝説の魚を食べよう』……伝説の魚。やるぞ、グラ」
 反論する隙も与えず、トウマルは店員を呼んだ。頭はすでに魚のことしか考えていない。
「まあいいですけど……取材にもなりますし」
 やって来た店員は二人にそれぞれ5枚のカードを渡した。
「お二人にはこの中から、好きなカードを一枚選んでもらいます。見事ぴったり、同じカードを選ぶことができれば、試練は成功です!お二人の絆が試されます。頑張ってくださいね!」
「案外簡単だな。試練と言うから、もっと難しい物だと思ったが……」
 トウマルはそう言うと、渡された5枚の中からあまり悩まず1枚を選んで机の上に伏せて置いた。リラも同じように、すぐに1枚を選択する。
 即決に驚いた店員は、慌てて続けた。
「で、では、せーので開けますよ。せーの!」
 店員の声に合わせ、二人は同時に伏せていたカードをめくった。
「私は……赤い猫の絵柄ですね。トーマは……」
「俺も。赤い猫だ」
 二人のカードは全く同じ絵柄を示している。思わず二人は顔を見合わせた。
「まさか成功するとはな」
「ええ……少し意外でした」
 驚いてリアクションの薄い二人の代わりに、店員が大きな拍手をした。
「おめでとうございます!お二人とも、深い絆で繋がれていますね!お二人の息や相性がぴったりじゃないと、中々揃わないんですよ」
 店員は二人の前に大きな皿を置いた。その上には鮮やかな紅色をした魚の煮つけが盛りつけられていた。
「こちらが特別メニュー、今朝取れたてのお魚を使用した特製の煮つけです。どうぞ召し上がってください!」
 トウマルが魚の身にフォークを入れると、ほろほろと柔らかな身が崩れる。それを煮汁に絡めて口に運ぶと、甘辛い味が一杯に広がった。
「美味い」
 トウマルはそれだけ言うと、無言で煮つけを食べ続けた。
「……全く」
 リラはその様子を穏やかな視線で見守っていた。


●臨時記者、帰還する
 取材から戻った3組はそれぞれ記事を書き、担当者へと提出した。
「皆よく頑張ってくれたね。どれ、1つずつ見せてもらうよ」
 担当者はまず、まりかと黒蛇の書いた記事を手に取った。
「おぉ、よく限定のチョコレートを手に入れられたね! これは読者の注目も集まるよ!」
「やりましたね、黒蛇さん!」
「いぇい……頑張った」
 担当者の言葉を受け、まりかは思わず黒蛇に笑顔で駆け寄った。黒蛇も尻尾を振って喜びを表現している。
「次はヨナさんとベルトルドさんの記事ですね。……大将と勝負したのかぁ!白熱した勝負だったみたいだね。少し足りてない情報もあるけど、写真が沢山の華やかな記事になりそうだ!」
「……良かった。ちゃんと取材できてたみたいですね」
「ああ。良い記事になった」
 ほっと胸をなでおろすヨナにベルトルドも満足げに答えた。
 最後に担当者はトウマルとリラの記事を手に取った。
「カフェ・リリアスだね。……おぉ、食材の良さが伝わってくる良い感想だよ。プロも顔負けだ。店内の雰囲気までしっかり伝えてくれてるし、これは女性客が喜びそうだ」
「よし」
「……トーマは食べていただけでしょう」
 やりきった、と力強く頷いたトウマルに、リラは呆れたように言った。
 担当者は3つの記事をまとめると、改めて6人に向き直った。
「今日は本当にありがとう。おかげで良い本ができそうだ。またぜひお願いしたいくらいだよ!」
 満面の笑みを浮かべる担当者に見送られ、3組は出版社を後にした。

 後日、『グルメフェスティバル特集』と銘打った雑誌が、アークソサエティ中で大人気になるのはまた別の話。



急募!グルメリポーター
(執筆:海無鈴河 GM)



*** 活躍者 ***


該当者なし




作戦掲示板

[1] エノク・アゼル 2018/08/23-00:00

ここは、本指令の作戦会議などを行う場だ。
まずは、参加する仲間へ挨拶し、コミュニケーションを取るのが良いだろう。  
 

[9] トウマル・ウツギ 2018/09/01-23:18

おー、ベルトルドにヨナもよろしくな。

写真の件はウィッシュプランの方で書いてる。
こっちも文字数に負けて触れる程度になっちまったが。

そして記事作成はともかく
パートナーとの仲は全然深められてない気がするプラン送信。  
 

[8] ベルトルド・レーヴェ 2018/09/01-22:50

ん、おお。(何故か黒蛇からの視線が痛いような…)

行先は別になるが出がけに撮ったりもできるんじゃないか。写真。
こちらは文字数の都合で気の利いた事は書けなくて申し訳ないが…。

経費で落ちる飯だ、存分に楽しもう。  
 

[7] まりか・白月 2018/09/01-19:09

なぁ! よろしく~。
…おお、かっこいいべさぁ~!(ベルトルドさんのかっこよさに目がきらきら)

カメラはお店もやけど、みんなのおいしく食べてるところを撮れたらいい記事になるし、
人様が食べてるのを見ると、みんな食べたくなるべさ? 私はそうだぁ。
記念?

なぁーーー!
それいいべさ。いいべさ! じゃあ、よかったら記念にも一枚とって差し上げますさねぇ。

私と黒蛇さんはこんなところだべさ。
あんまり関わらないと思うけど、せっかくだし、みんなでちょっとでも楽しめたらいいべさ。
よろしくさぁ

黒蛇・カメラ担当。がんばる  
 

[6] ベルトルド・レーヴェ 2018/09/01-18:12

ギリギリの参加で失礼する。
まりかと黒蛇は初めましてだな。トウマル達はこの間ぶりか。
行き先は別になってしまうが宜しく。

俺達は(4)のくらげ酒場に向かう予定だ。
カメラはレポートするなら写真があった方がいいと思って奮発して購入したよ。
ちょうど室長からの支給があったのでな。  
 

[5] トウマル・ウツギ 2018/09/01-17:18

ああ、そっか取材ならカメラ――と思って購買部覗いたら
高額商品……この間装備見直したばっかりで出費つらすぎる。
うちは持って行けなさそーだなこれ。

写真あれば記事の見栄えするだろうしな。
会場の様子なんかも総括としていいと思う。

って、俺とグラのことも撮るのか? 店や料理じゃなく?
構わねぇけど記事にはならんだろ。記念?  
 

[4] まりか・白月 2018/09/01-08:05

なぁ~
了解さねぇ

互いにいい取材できるといいさねぇ

あと、よかったら取材のためにカメラ買ったから、お二人のことも出来たらカメラにとれたらいいかなぁと思うさね
なぁなぁよろしく~
 
 

[3] トウマル・ウツギ 2018/08/31-21:57

おう、人増えてた。出掛けられそうで何より。
トウマル・ウツギに、グラナーダ・リラだ。よろしくどーぞ。

自分の好きなとこ取材行っていいと思うぜ?
現時点で2組だけだし偏りも何もねぇだろ。

俺は2の出張カフェ・リリアス行こうかと考えてる。
特別メニューが気になるんだよなー。  
 

[2] まりか・白月 2018/08/31-12:20

なぁなぁよろしくさぁ~
えっと、白月・まりかと黒蛇さんだねぇ

はじめましてさ。
これってやっぱり、人がいるなら別々のところとかレポートしたほうがいいのかなさね?
なぁなぁ同じところまわるならそれはそれで楽しそうだし、よかったら仲良くしてもらえたらうれしいさね~

私は……運に身を任せてもいいから、5のスイーツショップの限定メニューを……意識高いデ……ごふごふをなめるなよと意地を出したいところだねぇ


黒蛇・…………宜しく