~ プロローグ ~ |
「親方! ついにできました!」 |
~ 解説 ~ |
■場所:教皇国家アークソサエティ首都エルドラド・ソレイユ地区の広陵な麦畑 |
~ ゲームマスターより ~ |
こんにちは! GM春川ミナです。宜しくお願いします。はじめましての方ははじめまして! |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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気球かー、こんなのに乗るの滅多にないから、楽しいな! ??? なに手すりにしがみついてるんだ? あー、もしかして高いところ苦手だった感じか。 ははは、だっせー! まぁ、落ちたら死ぬけどさー、死にそうなのなんかいつものことじゃん。 ああ、それはなんとなくわかるきがする。 でもさ、せっかくだし楽しむように頑張ってみようよ。 ちゃんととおくをみれば、景色も綺麗だぜ? 見方を変えれば、こんな世界も綺麗に見えるんだから不思議だよなー。 |
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気球に乗るなんて、そうそうないから、緊張するなぁ。 うわ、浮いた! だ、大丈夫なんだよねこれ?! そう言われても、リンこそよく平気だね。 ん、んん……なるほど。 でも、たしかに高いところからの景色は綺麗だよね。 ソレイユが一望できるっていうのは、嬉しいなぁ。 あ! あそこ、僕の畑がある! 空からだとこんな風に見えてるんだね。 うん。そうだね、ベリアルやヨハネの使徒の危険がないわけじゃない。 遠距離系の攻撃なら、問題なくできちゃいそうだけどね。 この気体? だっけ。が、可燃性とかだったら、火気の魔術は危なそうかもね。 けど、なんだか結構慣れたら快適だなぁ。 風に揺られて、寝ちゃいそう。 |
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~ リザルトノベル ~ |
「皆様! 本日はお日柄も良く……って? え? 違う? ……失礼いたしました! 本日はお集まりいただき真にありがとうございます! これよりわが工場で開発した新型気球のテストを行いたいと思います!」 「親方、緊張しすぎですよ、全く」 空の木箱をさかさまにして乗った親方と、そのスピーチの間違いを横でそっと正した弟子。その横にある柵で囲まれた畑には大きく膨らんだ気球があり、ゴンドラは重たそうな金属性のウインチと丈夫そうなロープで繋がっている。ウインチ自体も太く長い杭で固定されていて、気球の事故防止に一役買っているようだ。 ここは教皇国家アークソサエティ・ソレイユ地区。風は穏やかに吹き、頭上は青い空が広がっている。占星術師が占ったとおり、気球をテストするには絶好の天気だ。 「なぁ……。あれは蒸気機関も何もついてないよな……? もしかして魔術で熱を発生させているのか? となると膨大な魔力が必要になるが……」 気球を取材に来た記者達から怪訝そうな声が漏れる。しかし、それを遮り親方の声が響いた。 「ご覧の皆様! こちらの気球は新しく見つかりました、安全性の高い気体を使用しております! 今までの蒸気機関を利用した物よりも操作に難がありますが、仕組みも簡単で事故も起き難くなっており安全です! 尚、テストに協力して頂ける浄化師様達をご紹介したいと思います! 人類の輝かしい栄光の一歩を刻む英雄に盛大なる拍手を!」 若干芝居がかった調子で親方は大きく手を振り、四人のエクソシスト達に向き直る。 当の本人達は照れた様子で前に出ると観衆に向けて、それぞれ会釈をし挨拶をする。事前に親方がこういう紹介をしてくれと頼まれていたからだ。 「よろしくな。俺は『キールアイン・ギルフォード』。こっちはナニカ……。姉の『ナニーリカ・ギルフォード』だ」 一瞬いつもの癖でパートナーの事をナニカと言ってしまったが、即座に笑顔で覆い隠して言い直した。相手に不信感を与えない仕草、これも暗殺技術を幼い頃から教わってきた賜物だろう。続いてナニーリカが明るく声をあげる。 「はじめまして! よろしくおねがいしますね!」 ナニーリカのピョコリとお辞儀をする仕草が可愛らしく映ったのか観客達から笑みと拍手が起こる。ナニーリカはニコニコと笑顔を浮かべたまま隣に立っていた男性に目配せを送った。 「『マイス・フォルテ』と申します。こちらはパートナーの……ええと、『リン・リレーロ』さん。ソレイユは僕の出身地なので、人が沢山集まってくれてとても嬉しいです」 慣れていない様子でパートナーを紹介するマイス。そしてマイスが喋り終わると同時にスッと前に出た女性が凛とした佇まいで観客を見やる。 「よろしく。今日は護衛も兼ねていると聞いた。何かが起こってもアタシ達が全力で対処するから安心して欲しい」 その物怖じしない様子に観客の一部からはホゥと感心するような溜息が漏れた。 「ありがとうございます! では、キールアインさん達から気球のテストをして頂きます! こちらのベルトとハーネスをお付け下さい。……付けましたね? ではゴンドラとハーネスの金具を繋ぎます。落下防止の為ですのでご了承ください。ではどうぞ、乗って下さい。僕達は事故が起きない様に万全の体制で臨みますのでお二人で楽しんでくださいね!」 弟子の少年がゴンドラとエクソシストを繋ぐ金具が確りと嵌っているかを確認するとゴンドラの開き戸を閉める。ゴンドラの高さは手すりも含めると大人の腰より少しだけ高くなっており、余程傾いたりしない限りは落ちる事も無さそうだ。 「親方ー! 固定終わりましたー! いつでも行けますー!」 「あいよー! 行くぞー!」 少年の声が響くと同時に手動式のウインチが親方の手によってゆっくりと緩められ、気球が少しずつ地を離れる。観客からはおお、とどよめきがあがった。 「おお!? 浮いた! ははは、すっげー!」 キールアインの歓声があがる。ゆるゆるとだが高度を増していく気球。すでに二階建ての建物の屋根を見下ろせるくらいの高さになっており、キールアインは手すりから身を乗り出して楽しんでいる。下に見える観客に手を振ってアピールするほどの余裕もあるようだ。だが、その拍子にガクンとゴンドラが揺れた。 「キャアッ!? 高い高い他界! 死ぬ、死ぬ、しんじゃう!」 悲鳴が聞こえて何事かとキールアインが振り向くと、ナニーリカがしゃがみこんで手すりを指が白くなるほど強く握っていた。混乱しているのかたかいという言葉のイントネーションが若干違う。 「プッ……! も、もしかしてナニカって高い所ダメだったか?」 「う、ううう……キルは楽しそうね……。ひゃああ!? でも高い! 死ぬ! 落ちる! どんどん高くなるー!」 半泣きでナニーリカの頭が下を見ようとヒョコッと出てはすぐにゴンドラの中に戻ってしまう。まるで猫がビックリ箱をつつく様な動きにキールアインは噴出した。 「落ちねーって。ちゃんと金具で固定されてんだから。だっせー! はははは! 大体死にそうな事なんていつもの事じゃん!」 「そういう事じゃないんですよ! えっと、ですね。他人に命を預けてスリリングな事をするのが嫌いなんです!」 ナニーリカの叫ぶような声に、キールアインは何かに気付いた様に短く「おお」と応えた。 観客の頭が豆粒よりも小さくなり、どのような表情をしているのかも判別が難しくなった時、ようやく気球が止まった。 「なんとなくわかる気がする。でもさせっかくだし、楽しむように頑張ってみなよ。遠くを見ればさ。ほら、あそこ、何だか分かる?」 「遠く? あ……そっか。下ばかり見ていたから……。あれはプレッザ丘陵の公園ですね。凄い! 噴水と池が陽光を浴びて虹が……建物の屋根もキラキラ輝いてる!」 キールアインが指差す方向はソレイユ地区にある公園だ。距離は少し離れているが、この気球からは邪魔されずに良く見える。午後の陽射しを浴びた噴水から小さいが虹の輝きが見えて、ナニーリカは歓声をあげた。下を向いてブルブルと震えていたのが嘘のようだ。その楽しそうな姉の笑顔にキールアインの頬が熱を持つ。太陽に近いからだと結論付けて、彼は姉の横顔から視線を外した。 「それにしても気持ち良いなー。高い所って太陽も近く感じるな。ホラ、手を伸ばせば届くんじゃないかってくらい」 背伸びをして太陽を掴む仕草をするキールアイン。その振動でゴンドラが少し揺れる。しかしナニーリカが怯える様子は無かった。 「見方を変えればこんな世界も綺麗に見えるんだから不思議だよなー」 「ふふっ。たしかに。ひっどい世界だけど……。まだまだ美しいところもあるものですねぇ……」 誰に言うでもなく、ポツリと漏らすキールアインにナニーリカが答える。 ナニーリカは陽光を浴びて目を細めている。少なくとも遠くを見る事で高い所に居る事への今日は薄れたようだ。穏やかな風が彼女の髪をサラサラと揺らす。 「……綺麗、だな」 「えっ?」 「いや、景色がさ。血の赤や夜の黒ばかりじゃなかったんだって感じられる」 キールアインがポツリと漏らす。ビックリしたナニーリカが振り向くとナニーリカと目が合った。しかしゆっくりと前を向き、どこか遠くを見つめていた。 「そう……そうね。ふふ」 ナニーリカの鼓動が少しだけ跳ねたが、それは自分の勘違いだったようだ。少しだけ恥ずかしそうに照れ隠しで笑うと、キールアインと同じ方向を見る。 風は穏やかで、空気は綺麗で、世界はキラキラしていた。 キールアインは姉の笑顔を見て、こんな任務も良いものだなと誰にも聞こえないように呟くのだった。 ◆ 「お待たせしました! ではマイスさん達の番ですね!」 気球が地面に着き、弟子の少年が乗っていた二人が着けていた落下防止のハーネスと金具を外す。ゴンドラから降りた黒髪の女の子が少しだけふらついているのを隣の白髪の男の子が手助けして支えていた。 「気球に乗るなんてそうそう無いから緊張するなぁ……」 マイスが不安そうに呟く。見ると自分の胸に手を当てており、大きく息を吸っては吐いている。どうやら心を落ち着かせようとしているようだ。 「そうだね、アタシも乗るのは初めてかな。不安なら聞いてみれば良いじゃん。……オーイ! アンタら気球はどうだった?」 リンが先程降りてきた白と黒の男女に声をかける。 「ああ、楽しかったよ。地上に居る時と空気も景色も全く違う。但し、いや、やめておこう。クク……」 キールアインはミステリアスに含み笑いをすると、ナニーリカの肩を抱いて支え直すとゆっくり観衆の下に進んだ。記者も来ているのでインタビューに答える為だ。実際含み笑いをした理由は空の旅を楽しむのにあまり予備知識を教えては楽しみが薄れるとマイス達への気遣いだったのだが……。 「……なにか気になるな。まぁ良い。アタシ達は例えトラブルがあっても任務をやりとげるまでだ」 ……冷静なリンには逆効果だったようだ……。 「それではハーネスと金具を付けますね。もし何らかの事情で飛び降りなければいけない時はこれを外して飛び降りてください。僕達が丈夫な布を張ってクッション代わりにしますので」 弟子の少年がカチャカチャと音をさせて金具が固定されているのを確かめ、問題が無いと判断したのかウインチの前に立っている親方に合図を送った。 「ほ、本当に?」 マイスがゴンドラの手すりに掴まっているが、膝は微かに震えているのが隣に居たリンから見えた。 「大丈夫です! では行きますよー!」 弟子の少年のゴーサインで気球がフワリと浮く。おへその辺りがムズムズするような妙な浮遊感があり、マイスはギュッと目を瞑って、開けた。 「うわ! 浮いた! だ、大丈夫なんだよねこれ!?」 歯の根をカチカチと言わせながらマイスが怯える。 「ちょっとしっかりしなよ……。大丈夫かどうかアタシ達が確かめるんだから。もっとシャキッとしてられないの?」 リンが苦笑してマイスの背中をパンパンと叩く。力はそこまで強くなかったが、マイスの背中はジンジンと熱を持った。だが、その鈍い痛みに現実に戻され、息を大きく吐いて隣を見る。そこには下を見下ろしながら威風堂々と立っているリンの姿があった。 「……そう言われても、リンこそよく平気だね」 「アタシは、こうやって人や物を見下ろせるの、好きだよ。なんだか偉い人になった気分、みたいな?」 マイスの言葉にリンがニヤリと笑う。確かに人々が自分達を見上げて注目している姿は、何か、とても偉くなった気になれる。例えるならば、神が光臨する時の様な。だが、それをそのまま受け入れて納得したくない部分がマイスの心の中にあるのも事実だ。 「ん、ん……なるほど。でも、確かに高い所からの景色は綺麗だよね」 ……だから少しだけ表現をマイルドにしておいた。 そうこうしている内に気球の上昇が止まり、高所特有の地面の匂いがしない穏やかな風が吹く。 「……気球に乗っていても風を感じられるんだね」 「それはアレじゃない? これは固定されているからだと思うよ。風に乗りながら移動するタイプの気球と違って、こっちはロープで繋いでいるからある程度の風は感じる事ができるね」 「なるほどー。でもソレイユが一望できるのは、嬉しいなぁ」 リンの黒髪が風に揺れる。それをかき上げる仕草にマイスは少しだけ見惚れていた。慌てて正面を向くと、小さいが自分が作物を育てている畑が見えた。 「あ! あそこ! 僕の畑がある!」 「へぇ? どこどこ?」 マイスが珍しくはしゃいだ声をあげて指差す先には金色に輝く麦と緑色の植物が見えた。 「そういえば、農業やってたもんね。よく本部から定期的にソレイユまで行くのを見かけてたよ……」 「空から見るとこんな風に見えているんだね」 リンの言葉にマイスが答える。その瞳は空の青と同じくキラキラと澄んだ色をしていた。 「うん。ほうせ……ううん」 宝石みたいだね、とリンが口にしかけて少しだけ気障っぽいかなと途中で飲み込み、ゆっくりと言いなおす。 「でも、ちゃんとしてる分、凄い畑なんじゃないかな。素人目だけど」 「ありがとう。僕の自慢の畑なんだ。今は麦とセロリを植えているよ。小麦の金色とセロリの緑が綺麗だね。ちなみにセロリは食用、薬用として教団にも少しだけ卸しているんだ。それからアソコに立っているのは僕が作った案山子でね。名前をローレルって言うんだ」 「……なんかアタシのリレーロって名前を逆から読んだような感じだね」 「そ、そんな事はないよ! 偶然だって!」 慌てた様子のマイスにリンは苦笑で返すと前を向く。その表情は真剣なものに変わっていた。 「さて、はしゃぐのはそろそろやめよっか。アタシ達は、敵と戦えるのかとか、安全性を見に来たんだからね」 「うん。そうだね、ベリアルやヨハネの使徒の危険がないわけじゃない。遠距離系の攻撃ならお互いどちらも問題なく出来ちゃいそうだけど、こっちがあまり身動き取れない分不利だね」 マイスは上に浮いている気球の本体を見る。戦闘になった場合、この布と木で出来た乗り物に命を預けるには些か心元ない。だが、マイスはあの親方と弟子を見て、何となくだけど戦闘には使わないんじゃないかなと薄々感づいていた。だって、気球が浮いた時に親方の目にキラリと光る物を見つけたのだから。純粋に彼は夢を追いかけていたのかもしれない。それが誰かへの誓いか約束かは分からないけれど。 「この中に入っているガスが可燃性だったら火気の魔術は危なそうかもね。けど……なんだか結構慣れたら快適だなぁ。風に揺られて寝ちゃいそうだよ」 ゴンドラに背中をもたれ掛かり、そのまま腰を下ろすマイス。風がゆっくりとゴンドラを揺らすのが、まるで小さい頃に遊んだブランコに乗って遊んで記憶を呼び起こさせる。 「ほら、リンも同じようにしてみなよ。とても気持ちいいよ。目を瞑ると鳥の声、人々の騒ぐ声も遠くに聞こえるし、風の妖精達が遊んでいる声も聞こえるかもしれないよ」 「ちょ、マイス! もっと緊張感を……まったく、もう」 のんびりと欠伸をするマイスにリンは呆れるが、その様子に毒気を抜かれてしまい、何も言う気が起きなくなってしまった。 「でも、たまにはこういうのも悪くないかな……」 それは久しぶりにホッとする感覚。この空はどこまでも繋がっているかもしれないと感じられる青だった。そう、自分の故郷まで……。 ふと下を見ると親方が気球を下げる合図を送っていたのでリンは手を大きく振って了承の意を返した。少しだけ非日常を感じられた空への旅。名残惜しさに後ろ髪を引かれながらリンはマイスを揺り起こすのだった。 ◆ 「おかえりなさい! いかがでしたか? 空の旅は!」 弟子の少年が明るくマイスとリンに声をかける。 「悪くなかったよ。けど、一つ聞いて良いかな?」 「はい? 何でしょうか?」 マイスが少年に尋ねると怪訝な顔をしながらもまだ幼さが残る顔を上げた。 「この気球、戦闘向きじゃないね」 マイスの言葉に少年は少しだけ目を逸らす。それは肯定の意としか受け取れない仕草だった。 「ガハハハ! あんまソイツをいじってくれるな。そうだ、この気球は戦闘向きじゃない。……俺の、俺と妻の夢なんだ。いや、夢だった。元々病弱だった妻がいつも言っていた。空には魂が通る道があって、そこは愛で溢れているってな」 「そう、だったんですか……」 自分の心無い一言に親方が傷付いたのではないかと、マイスは心配になる。だが、親方は楽しそうに笑っていた。 「あんがとよ、エクソシストの兄ちゃん。おかげで大ニュースになった。ホラ、あっちに記者が居るから先に行ってた二人と一緒にインタビューを受けてきてくれ」 バシバシとマイスの肩を叩く親方に押される様にキールアイン達の下に向かう。 「やあ、どうだった? 楽しめたかな?」 キールアインが声をかけてくる。が、それに異を唱えたのはリンだ。 「えーっと、キールアインだったっけ? 行く前にアンタの含み笑いと意味深な言葉が気になってたんだけど、アレは一体何?」 リンが少しだけむくれている。空の旅は楽しかった様だが、若干そこが引っかかっていたのだ。 「え? あ、あー……ゴメン。全部説明すると楽しさ半減になるかと思ってさ、全部説明しちゃいそうなのを頑張って飲み込んだんだ」 「全く……キルは分かりにくいのよ。ごめんなさいね? リンんさん、マイスさん」 頭を掻くキールアインにナニーリカが軽く肘を入れ、二人で頭を下げる。 「いや、此方も十分楽しめたよ。空って気持ちいいんだな!」 マイスがキールアインに話しかける。歳も比較的離れていないので話しやすい存在と認識したのだろう。 「だよな! 特に公園の噴水がキラキラしててさー! なんかもー、宝石みたいな?」 「分かる分かる! 僕も麦畑が金色の絨毯みたいに見えてさ! 超豪華じゃん! みたいな?」 キールアインとマイスの生い立ちは全く違うが、随分とはしゃいでいる。男の子達ってこういう事で仲良くなれるのかもしれない。 「なんか……」 「ええ、不思議よねぇ……」 それを若干呆れ半分、苦笑半分といった目で見つめているのはリンとナニーリカだ。 だが、その眼差しは優しく、楽しそうに談笑している二人を見つめた。 「あー、すいません! ちょっとお話を! 親方さんにはすでにお話を伺ったんですが、実際乗って見られてどうだったかお聞きしたくて!」 「はい?」 「お?」 何人かの記者が興味深そうにリンとナニーリカに問いかける。見ると男の子達はどちらが沢山綺麗な物を見つけられたかの勝負になっているようで、記者がインタビューに入り込む余地が無かったらしい。 二人は苦笑すると記者達に向き直り、インタビューを受けるのだった。 ここはソレイユ、金色の絨毯が流れ魂が穏やかに通る場所。空気は綺麗で、人は温かくて、世界はとてもキラキラしていた。そんななんでもない、よく晴れた秋の午後のお話。
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*** 活躍者 *** |
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[3] マイス・フォルテ 2018/11/04-23:20
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[2] キールアイン・ギルフォード 2018/11/04-19:18
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