~ プロローグ ~ |
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~ 解説 ~ |
●目的 |
~ ゲームマスターより ~ |
はじめまして!鞠りん(まりりん)と申します。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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【目的】 巡回任務。成の提案で椿志穂に占ってもらうことに。 【行動】 「恋愛占いですか?」 「ですが今は巡回任務中ですし…」 「息抜きですか。わかりました。」 (きっと成は私達にも未来があると元気つけようとしてくれているんだよね。私が成に告白された時あんな表情を見せたから。(7話) でも今の私に幸せなんて…) 占い中) (成は私の為に生き返ったと言う。愛してるから。だからこそ辛い。恨んでくれた方がずっとこんなに罪悪感を抱かずに済んだかもしれないのに。だから愛してるなんて言えない。) 結果) 『大きな壁を乗り越えられた時2人の絆はより深まるでしょう。』 「大きな壁とは、なんでしょうね?」 (大きな壁って私のことかな。) |
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リントを落とす宣言をしてみたものの、正直恋愛なんてろくにしたことないから勝手が分からない 当たるも八卦当たらぬも八卦、占ってもらうか 俺とコイツの恋愛運見てくれ! 男同士だけど細かいことは気にするな! 相性抜群、うまくいく、との答えにほっとする それじゃ、今よりコイツを夢中にさせるにはどうしたらいい? おすすめデートスポットは滝…なるほど 参考になった、ありがとう ああ、そろそろ時間だな 水上マーケットはまた今度にするか え?もちろん本気だ、アンタのことは俺が止めてみせる …は?好きかって言われると…分からないけど ただ、本気で好きになろうがなるまいが、俺のやることは変わらない あの女より俺の方がいいと言わせてやる |
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占いをしてもらう(本音) 冬のヴェネリアもすてきね 霧に霞んで 夢の中にいるみたい 傍らに立つシリウスを見上げる 遠くを見ていた翡翠の双眸が自分にうつり 胸がどきり うん 大丈夫 表情の変化に乏しいけれど シリウスはいつも優しい 優しい言葉に熱くなった顔のまま 笑顔 椿志穂さんにぺこりと挨拶 どんな結果になるのかしらとドキドキ 恋愛?と 少し呆然としたシリウスに今更ながら真っ赤に あの、あのね 恋愛っていうか… わたし ぼーっとしてるから 嫌なこととか気づかない間にしてないかなって シリウス 嫌と思っても言わないでしょう?だから 視線を逸らして赤くなった頬を隠す 彼の心に寄り添いなさいという結果に 真剣に頷く 痛みも苦しみも 支えられるように… |
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~ リザルトノベル ~ |
● ヴェネリアに着き、巡回任務が当たって街に出て来た『神楽坂・仁乃(カグラザカニノ)』と『大宮・成(オオミヤナル)』は、揃って降り落ちる雪を見上げていた。 「雪が……綺麗ですね」 「うん、雪が日の光に輝いて幻想的だよ」 シーズンの夏とは違う、白銀で覆われたヴェネリアの街。そんな街中を巡回として歩いている時に、成は本部での仲間の話を思い出し、思いきって仁乃に話を切り出してしまった。 「ねえにの、今話題の恋愛占い師に占って貰わない?」 (こう僕が言っても、真面目な仁乃は簡単には頷いてくれないんだよ) 「ですがなる、今は巡回任務中ですし……」 予想通りの答えに、成はやっぱりと思う。 でも、どうしても、仁乃と一緒に占いたい。 だから成は、寒さで冷たくなってしまっている仁乃の手を引っ張ってみた。 「任務中のちょっとした息抜きだと思えばいいよ」 こう成に言われて、仁乃も思うことはある。 成は仁乃を占いに連れて行って、自分たちにも未来があるんだと、元気づけてくれようとしていると。 (だって私がなるに告白された時、なるにあんな表情を見せたから) でも今の自分に幸せなんてとも思ってしまう仁乃のためらい。 なによりも大切な成を死なせた仁乃は、幸せになる資格なんてない。でも成を愛してる、この気持ちは消せないと葛藤する。 「息抜きですか、分かりました」 そう心の中で思いながらも、成の必死さに仁乃は占いに行くと頷いてしまった。 その小さな手を、少しだけ握り返して。 「本当ー!」 (やったあ!仁乃が頷いてくれた。実は頷いてくれないんじゃないかと、少しだけ思っていたから、僕は凄く嬉しいんだよ) こんな何気ないが、仁乃の手を引くという、成の予想以上に必死な行動がきっかけで、仁乃と成は占い師のもとへ行くことになった。 占いの館の中は、ヴェネリアだというのにニホン風で、その奥に椿志穂と名乗る占い師がたたずんでいた。 「恋愛占いと聞いて来たんだけど?」 「はい、私は恋愛を視ます。お二人の恋愛を視ればよろしいんですね?」 「ほら、にの!」 「う、うん」 まだ少し消極的な仁乃だが、成は成で考えがあった。だから仁乃には内緒だけど、少々無理をしてまで仁乃を連れてここに来た。 (あの時、無理に笑顔を作ろうとしていたけれど、悲しそうな表情をしていたから) あの状況じゃ、しょうがなかったけど……成は告白したのは早計だったのかもって思ってる。 でも仁乃に幸せになれると信じて欲しい。自分たちにも未来があると分かって欲しい。 だから成は、気になっていた恋愛占いに仁乃を誘った。安心する仁乃の本当の笑顔が見たいから。 「座って、お二人の片手を私に差し出してください」 「うん」 「はい」 成は思いっきり手を差し出したが、仁乃は躊躇いながら控え目に手を差し出した。 志穂は二人の手首に同時に触れて目を瞑る。そして少しだけ険しくなるその表情。 そんな彼女を見ながら、仁乃は成のことを思う。 (成は私のために生き返ったと言う。でも成を愛しているから、だからこそ辛い) 恨んでくれた方が、ずっとこんなに罪悪感を抱かずに済んだかもしれないのに、成は仁乃を恨むことはしない。 だから、だからこそ、仁乃は成に心から愛しているなんて言えないでいる。 そんな仁乃の深い思い込みのヴイジョンを感じ受ける志穂だったが、でも思いの中に宿る光は、志穂の心の中ではっきりと見えた。 (大丈夫、お二人は多分) この光に確信を持ち、志穂は二人の手首に触れながら、少ないながらも見えたヴイジョン通りの占い結果を話し出した。 「――大きな壁を乗り越えられた時、お二人の絆はより深まるでしょう」 「大きな壁ってなにかな?」 「大きな壁とは、なんでしょうね?」 成が言った言葉に反って来た仁乃の言葉はこれだけ。後は考えるような素振りで、仁乃は全く話さない。 「でも乗り越えられたら、二人の絆は深まるんだよね?」 「はい。浄化師様である、お二人の大きな壁は私にも分かりませんが、それを越えた先に光が見えました。そしてそれは一人ではなく二人で越えるもの、私はそう判断します」 「僕とにのが越えなくちゃいけない壁」 「…………」 いったいどんな壁なんだろうか? パートナーとして巨大なべリアルを討伐するとは、少し違う感じがする成だった。 「占ってくれてありがとう」 仁乃は本当に最後まで話すことはなく、成がお礼を言って占い師の館から出た。 外でも、白銀に染まるヴェネリアの街を見つめて、仁乃はなにも話さない。 (やっぱり僕があんなことを言ってしまったから?僕は仁乃を愛してるし守りたいんだよ。それが僕が今ここにいる理由の全てなんだから) (大きな壁とは私のことかな?) こんなに冷たいのに、それでいてハラハラと綺麗に舞う雪を見ながら、仁乃は占い結果について考えてしまう。 成を愛していても応えられない仁乃の心。この罪悪感がある限り、仁乃は成に本当のことは言えない。 仁乃は大きな壁は自分自身と思い込む。一歩を踏み出せない、愛してると言えない自分自身が壁なのと。 (大きな壁、大きな壁、大きな壁) 成は先ほども思ったが、大きな壁ってなんなんだろうと考える。それは成にあるのか、仁乃にあるのか、それとも全く別の壁なのかが分からない。 占い師の言葉が、成の頭から離れない。そして大きな壁がなにかを考えずにはいられない。 だってこれは二人の……仁乃と成の問題だから。 お互いにお互いを愛しく思いながらも、想いは僅かにすれ違い、今はまだ交わらない。 志穂が言う大きな壁は、仁乃の心なのか成の心なのか、占い師である志穂でも分からなかった。それは思い込みが視せた幻だったから。 この答えを知らぬまま、静かに雪が降るヴェネリアの街で、二人は浄化師として巡回任務を再会する。 ● ヴェネリアに到着後、すぐに巡回任務に出た『ベルロック・シックザール』と『リンドヴルム・ガラクシア』だったが、ベルロックはどうしても本部で聞いた、あの話が頭から消えない。 ベルロックはリンドヴルムを落とすと宣言してみたものの、正直恋愛なんてろくにしたことがないから、正直に言えば勝手が分からないらしい。 だからなのかもしれない、恋愛占いがこんなにも気になるのは。ベルロックは、なんでもないふりをして、リンドヴルムに聞いてみることにした。 「なあリント、占いに行ってみないか?」 「は? ベル君が占って本気」 (ああ俺は本気だよ。占いは当たるのも八卦当たらぬのも八卦と言うじゃないか。 俺とリントヴルムで占って貰ってもバチは当たらないだろ?) 「本気だったらどうする?」 「ふふふ……断ろうかなあ」 「なっ!?」 (なんでだよ、俺とじゃ嫌か?) ベルロックははっきりとリントヴルムを落とすと言っている。占いくらい別に構わないだろうと、ベルロックは思ったが、別のことも頭をよぎる。 (それともまたマリーかよ、それだけは俺が絶対にさせないぞ!) そんな事を思っていたベルロックだが、リンドヴルムの方は隣で含み笑い。 「冗談だよベル君。付き合ってあげるから」 (ふふふ……ベル君って本当に) ベルロックが、なにを思ったのかなんてリンドヴルムには百も承知。だけど素直に頷くのは、リンドヴルム的には不服だっただけらしい。 (彼の気持ちを、十分に知っている僕だからね。それに占星術師の僕相手に、占ってのが引っ掛かっただけ。それを分かってくれないよねベル君って) 最後にはベルロックの話を承諾するリンドヴルム。二人巡回を一旦止めて、教えて貰った占いの館に向かって歩き出した。 「いらっしゃいませ、こちらにどうぞ」 ベルロックたちを見た占い師は、少しだけ驚いた顔をしたが、すぐに気を取りなおし、ベルロックとリンドヴルムを、隣同士にくっ付けてあるニホン風の椅子に座らせた。 「私は恋愛を専門とする占い師ですが……」 「ああ、それは分かってる。俺とコイツの恋愛運を見てくれ! 男同士だが、細かいことは気にするな!」 「ベ、ベル君」 (……お、男らしい、ド直球過ぎる!) 占い師もベルロックの頼み方に驚いているじゃないか。もう少し言い方を……いや、ベルロックはこれが普通だったと思いなおすリンドヴルム。 リンドヴルム以外には、あまり見せない、素のベルロックの明るい表情。リンドヴルムはそんなベルロックが気に入っていたりもする。 「分かりました。ではお二人とも片手を私の方に差し出してください」 「おお……」 「分かったよ」 あれだけ嫌な素振りを見せていたのに、リンドヴルムは素直に手を差し出した。だからベルロック手をも差し出す、占い師の前へと。 それを見て、占い師は二人の手首に同時に触れた。そして集中するように瞳を閉じ、少々間をおいてから、占いの結果を話し出した。 「――お二人の相性は抜群です。このまま上手くいくでしょう」 その答えにベルロックはほっとする。もしもマリーが出て来たら……ベルロックは密かにそう思っていた。 リントヴルムの中から、マリーが消えていないと。持つ想いは、執着じゃなく愛情じゃないかと。 「それじゃ今よりコイツを夢中にさせるにはどうしたらいい?」 (今の結果に気をよくしたのかな?) ベルロックは次々に占い師に質問を投げかけ、占い師もベルロックの話を聞いて、また瞳を閉じて占いをしているよう。そして占い師はまた口を開く。 「――滝……お二人の間に滝が視えます。デートスポットを滝にすれば、より良い発展が見込まれると思います」 「そうか滝か!参考になったぜ、ありがとう」 (おいおい。滝って、なんかの事件の末に追い詰められて、突き落とされるサスペンス的な予感しかしないんだけど。しかも落とされるのは僕じゃないか!) ベルロックはいい結果の方を信じたみたいだしと、リンドヴルムは考えたことは、言わぬが花と開きかけた口を、そっと閉ざした。 「占いだけで時間だな。水上マーケットも捨てがたいんだが、また今度にするだろ?」 「これでも任務中なんだよベル君?」 「分かってるが、滝ってことは水が関係するんだろ? だとしたらヴェネリアにいるうちにリントとデートだ!」 「さあ? 滝だからヴェネリアとは、一概に言えないと僕は思うよ。それに僕はまだデートを承諾するとは言ってない」 (はあ!?この流れだったら、普通承諾だろ? 相変わらずコイツは俺の言うことを素直に聞きやしない) 「そうだね、気分次第……とでも言っておくよ」 「さっさと、その気になってくれ。なあリント」 「どうしようかな?」 こんな言葉遊びも、ベルロックとリントヴルムの日常。 ふり回し、ふり回される、ウィンウィンの関係だが、ベルロックは絶対にリンドヴルムを落としてやると誓っているのもまた確かである。 占いの後は、真面目にヴェネリア巡回をした二人。 1日も終わり、当てがわれている宿屋への帰り道を歩いていて、リンドヴルムはふと思った疑問をベルロックに言ってみることにした。 「……ところでさ、僕を落とすとか言ってるけど、ベル君は本気なわけ?」 ベルロックの質問に、先を歩いていたリンドヴルムは歩みを止めた。そして降る雪を見ながら。 「もちろん本気だ。アンタのことは俺が止めてみせる」 (違う、僕が聞きたいのは、そんな言葉じゃない) 「そうじゃなくて、僕のこと好きなの? って聞いてるの」 「は? 好きかと言われると……分からないけど、ただ本気で好きになろうがなるまいが、俺のやることは変わらない。あの女より俺の方がいいと言わせてやる」 「…………ベル君」 リンドヴルムをしっかりと見て、リンドヴルムがマリーに執着していることを知っていて、それなのにこの言葉を言うベルロック。 ベルロックは本当に男らしいとリンドヴルムは思う。 (な、なんだろう、心臓が痛い? 違う、ベル君のこの男らしさに僕は) どうしたんだ? と言わんばかりのベルロックの赤い瞳を見て、リンドヴルムはかぶりをふる。 (ベル君にドキドキして、魅とれていたなんて言ってやらないよ。だって僕はまだベル君に答えを返していないから) 降り注ぐ雪と、白銀のヴェネリアの街を見回しながら、心の中でリンドヴルムはそう思った。 ● 「見てシリウス、冬のヴェネリアも素敵ね。霧に霞んで、まるで夢の中にいるみたい」 教団本部で聞いた話が気になって、巡回任務を希望したけど、白銀に覆われる冬のヴェネリアに来れて良かったと、『リチェルカーレ・リモージュ』と『シリウス・セイアッド』は思っているらしい。 リチェルカーレはいつもとは違う、白銀の世界を楽しみながら、傍らに立つシリウスを見上げてみた。 遠くを見ていたシリウスの翡翠の双眸が、リチェルカーレが声をかけたことによりリチェルカーレに向くのを見て、リチェルカーレの胸はどきんとしてしまい、その照れ隠しのように、ついシリウスに向かって自然に微笑んでしまう。 「……寒くないか?」 隣で白い息を吐きながら、その大きな瞳をキラキラさせて街を見回すリチェルカーレに、シリウスはつい穏やかに目を細めてしまう。 そして、いつもより鼻の頭が赤いのに気づいてしまい、シリウスはリチェルカーレに声をかけてしまっていた。 「うん、大丈夫」 そう言って、シリウスに向ける花が開くようなリチェルカーレの笑顔。シリウスはつい僅かに頬を緩めて彼女を見返していた。 笑いかけられるのを嬉しいと思う気持ちと、これ以上深入りしてはいけないという気持ちが、シリウスの心の中を駆け抜ける。 心を寄せる存在なんて作らない。そう自身を律していたのに、リチェルカーレだけは失いたくないと思う、シリウスの新たな思い。 近づきたい、だが近づけない、でも離れられない。 シリウスは心の中の葛藤を、リチェルカーレに気づかせてはいけないと思い、シリウスは痛む心に蓋をして、気づかないふりをする。無表情を貫いて。 「どこに向かっているんだ? 巡回地域とは違うだろう」 「あのね、有名な占い師がこのヴェネリアにいるって聞いたの。だからシリウスと一緒に占いをしてみたいなと思ったの」 「俺と?」 「はい!」 顔の変化に乏しいシリウス。でもシリウスはいつもリチェルカーレに優しい優しい言葉をかけ、そのたびに熱くなっていくリチェルカーレの顔。 そのままの勢いで、シリウスに占いがしてみたいと言ってしまったリチェルカーレ。けれどシリウスは瞬き1つして固まってしまった。 (もしかして、シリウスは占いが嫌だったのかしら) 「別に……構わない」 笑顔のまま占いがしてみたいと言われ、シリウスは驚きに瞬き1つして、どうしていいのかと思う。 リチェルカーレの提案を断る理由は特にはない。リチェルカーレがそうしたいのであれば、ゆったりとした巡回任務だ、リチェルカーレの好きにさせてあげたいシリウスの心が勝ち、一緒に占って貰うことをシリウスは了承した。 まさか、あんなことを言われるとは思いもしないで。 そこはヴェネリアでは一般的な建物だが、一歩中に入ればニホン風にアレンジを加えられた占いの館。 その中で一番有名なのが、椿志穂と呼ばれる、ニホンから来た女性らしい。 「初めまして、リチェルカーレ・リモージュと言います。今日は占って貰いに来ました」 ぺこりと礼儀正しく挨拶するのがリチェルカーレらしく。 「椿志穂と申します、お二人で来られたということは、私の恋愛占いですね? どうぞこの席にお二人で座ってください」 更に丁寧に挨拶する椿志穂も礼儀正しい。 だがシリウスだけは全く別のことを思ったよう。 「れん、あい?」 (ちょっと待て! 占いとは聞いたが、俺は恋愛占いだと一言も聞いていないぞ!) シリウスらしくないが、普段の冷静沈着はどこへやら。ただただ呆然とその場に立ち尽くすばかり。 今でもリチェルカーレに対してこうなのに、更に恋愛占いとは。シリウスはどうすればいいんだと頭を抱えてしまう。 「シリウス?」 「いや、大丈夫だ」 シリウスを見て慌てたリチェルカーレに、シリウスはこうは言ったが、シリウス自身は額を指で押さえ、眩暈まで感じて来たようだ。 「あの、あのね、恋愛っていうか……わたしぼーっとしているから、嫌なこととか気づかない間にしていないかなって」 「…………」 シリウスから言わせれば、それは多分『恋愛』占いの対象じゃない。相手を思う心配心だと、リチェルカーレは分かっているのかと疑ってしまう。 (それにもし俺の気持ちが彼女に伝わってしまったら、俺は取り返しのつかない場所までいってしまうのではないか? それが心配でならない) 「シリウスは、嫌と思っても言わないでしょう、だから……」 恋愛?と言った後、少し呆然としたシリウスに、リチェルカーレまで恥ずかしくて真っ赤になってしまった。それにまた心臓が凄くドキドキして来るのを抑えられない。 だけどリチェルカーレは知りたい。シリウスの手に触れるたびに、その淡い笑顔を見るたびに、心が熱くなって、頬が熱くなるのはなぜと。 それにリチェルカーレはシリウスの力になりたい、支えになりたいと思う。 でも、どうすればいいのかが分からないリチェルカーレ。だからそのヒントになればと思って、ここに来た。 やっぱり今も頬が熱い。リチェルカーレはシリウスから視線を逸らせるように椅子に座り、俯いて熱い頬を隠してしまった。 「そこまで心配しなくとも」 (リチェルカーレは、ただ純粋に俺のことを心配しているだけなんだろう。それなのに俺は!) こんな考えでは駄目だ、もっと気を使わないとリチェルカーレの負担になる。それはシリウスにとっては本意じゃない。 互いに互いの仕草にも本音にも気づかずに、リチェルカーレもシリウスも椅子に座り、志穂に手を差し出した。 (シリウスはなにを思っているの? 目を瞑っていてシリウスはどう思っているのか分からない。でも私は……どんな結果が出るのかドキドキしてる。私の知りたいことを教えてください志穂さん) リチェルカーレの思いが通じたかのように、志穂は顔を上げて、二人の占い結果を話し出した。 「まずはリチェルカーレ様、あなたは優しい方です。ですから彼の心に寄り添い、彼の声を聞いてあげてください」 「心に寄り添う……」 リチェルカーレは志穂の言葉に真剣に頷いた。 (私はシリウスのパートナーなんですもの、もっと彼の痛みも苦しみも支えてあげたい。それが寄り添うという意味ですよね?) 「そしてシリウス様、あなたは自分の気持ちに素直に。それがお二人を繋ぐものです」 「っ!!」 シリウスは瞑っていた目を見開いてしまった。 (この気持ちに素直になれたら。それは俺が何度も思ったこと。それが出来れば俺は! あの時の夢のように、あのクリスマスの時のように、リチェルカーレに触れられれば) だがそれは出来ない。大事に思うひとを不幸にはしたくない。リチェルカーレを失いたくないというシリウスの思い。 だから思いを口に出してはいけない。 ――言えるわけがない、リチェルカーレが好きだと。 「口元が笑っているわよシリウス?」 「気のせいだ」 「そう?」 「終ったんだ任務に戻る」 「あ、待ってシリウスー!」 先に占いの館から出ていってしまった彼を追いかけて……でも1つだけ。 (私はシリウスの心に寄り添う、少しでも近くなるように) そう心に決めたリチェルカーレだった。
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*** 活躍者 *** |
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[4] リチェルカーレ・リモージュ 2019/02/16-22:19
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[3] 神楽坂・仁乃 2019/02/15-21:20
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[2] ベルロック・シックザール 2019/02/15-20:10
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