~ プロローグ ~ |
少しずつ春めいていく首都エルドラドでは、イースターで盛り上がっていた。 |
~ 解説 ~ |
遊園地トラオムパルクでの、デートシナリオとなります。 |
~ ゲームマスターより ~ |
初めまして、水樹らなと申します。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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目的 のんびり息抜き。 行動 1)イースターエッグ探し ナンバー:7 最初に、遊園地のスタッフの人に、イースターエッグを隠してある範囲とかエッグの大きさはどれ位かとか質問しても…? それから、遊園地の地図を眺めつつ、園地内をぐるっと一周しながらイースターエッグを探します。 シルシィが低い所(草や木の根元とか設置物の周囲とか逆に何もない所とか?)を。 マリオスが高い所(木の枝とか柵や看板の上とか?)を手分けして。 時々休憩も入れつつ、エッグ探しを楽しむ。 |
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2からの3 ヨ ベルトルドさんって結構いろんな所に出かけたがりますよね ベ 机に向かってばかりでは身体が鈍るだろう しかし、つれない態度でも来てくれるパートナー様で良かった ヨ つれないは余計です 二人共初遊園地 ベ 来る機会がそもそも無くてな ヨ 遊園地で遊ぶという事自体考えた事が… ベ ならいい機会だ 初めてで張り切っているのだろうか ジェトコースターやバイキングといった絶叫系ばかりを選ぶ喰人 ベ スピード感ある乗り物は良いな ヨ それはよかったです(へろへろ ベ もう一度行こう ヨ 元気ですね… 何とか付き合いきり ランチは花に囲まれたピクニックエリアで一息 お弁当はイースター用の限定メニュー お腹も満たされ 春の日差しはぽかぽかと気持ちよく 続 |
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~ リザルトノベル ~ |
●遊園地を楽しもう! パステルカラーの花吹雪に紙テープ。 ぱーんという、クラッカーの音で遊園地トラオムパルクは開園した。 期間限定のイベント開催中ということで、開園前から並ぶ人、人、人の波。 遊園地のスタッフ達も、パステルカラーを基調にした、春らしいユニフォームを着て、人々の誘導や出迎えを行っている様子。 そんな賑やかな遊園地に、二人の浄化師が颯爽と歩いて行く。 「ベルトルドさんって結構いろんな所に出かけたがりますよね」 そう、隣にいるパートナーを覗き込むかのように声を掛けるのは、長い金髪を揺らし、青い瞳を瞬かせている『ヨナ・ミューエ』。その長い耳の上には、赤い宝石の付いた髪飾りも見える。 その声の方向に顔を向けて応えるのは、黒い毛皮に身を包んだ『ベルトルド・レーヴェ』。 「机に向かってばかりでは身体が鈍るだろう」 そういうベルトルドは、黒豹の獣人、いやライカンスロープであった。 肩をすくめて、その想いをしっかりと訴えているかのよう。 「しかし、つれない態度でも来てくれるパートナー様で良かった」 「つれないは余計です」 戯けるベルトルドに、ヨナはちょっとむっとした表情を浮かべるが、それも一瞬。 それで機嫌が悪くなることもなく、アトラクションを選ぶベルトルドの後を静かについて行っていた。 それよりも、人々の賑やかさや子供の笑顔、弾むかのようにショッピングを楽しむカップル達に若干、圧倒されつつも興味を持って見ているようにも見えた。 「来る機会がそもそも無くてな」 そういうベルトルドの言葉は偽りなく。 ――実はこの二人、遊園地に来ることも、入ることも『初めて』であった。 「遊園地で遊ぶという事事態、考えた事が……」 そう言い訳じみたヨナの言葉に、にっと瞳を細めるベルトルド。 「なら、良い機会だ」 先を歩いていたベルトルドが振り返り、少しオーバーに歓迎するかのように両腕を広げる。 「今日は思いっきり楽しもう。な?」 そう笑顔を見せるベルトルドにヨナも釣られて、僅かに笑みを見せ。 「ええ」 頷いて見せるのであった。 その後、コレに乗ろうと、ベルトルドが選んだアトラクションは。 ――バイキング。 左右に揺れるだけの船のアトラクション……なのだが。 それは徐々にスピードと高度を上げていき、まだ難易度は低いとは言え……。 間違いなく、絶叫マシーンの一つだった。 まだ、これを最初に選んでくれたのは、よかったかもしれない。 「じゃあ、乗りましょうか」 それほどではないものの、覚悟を決めて乗るヨナ。 「おう」 ご機嫌なベルトルドがその隣に座って、わくわくしている。 動き始めたときはまだ良かった。 徐々にスピードと高度が上がっていき……。 「きゃあ!」 「うおおおお!?」 ヨナは思わず声を上げ、ベルトルドは驚きながらも喜ぶ声をあげていた。 数分後……。 胸元を押さえながらも、降りてくるヨナに、ベルトルドは新たなアトラクションへと誘導していく。 「次は何で……すか……」 ――ジェットコースター。 幸いなことに、一応、初心者用らしく、上下運動が少なめな……けれど距離の長いコースターであった。 (な、長い……ジェットコースター……ですね……) 声も出ないほどに立ち尽くすヨナに、ベルトルドは。 「お、そろそろ俺達の番だな」 「あ、いや……その……」 珍しくはしゃぐベルトルドに反論できるわけもなく、ヨナはあれよあれよと、コースターのベルトに押さえ込まれてしまう。 「いやああ!」 「うおおおおっ!」 ベルトルトは超が付くほど楽しそうだが、隣に座るヨナはハッキリ言って顔色が悪い。 その数分後。 「いやあ、スピード感ある乗り物は良いな」 更に上機嫌なベルトルドの隣で、ヨナはというと。 「そ、それは……よかった、です……」 へろへろな様子。足取りがおぼつかないようだ。けれど、ベルトルドはそれに気付いていないらしく、ヨナの手を取り。 「もう一度、行こう」 「……元気ですね……」 ヨナは遠い目で、先ほどのジェットコースターに、再度、乗り込むベルトルドの姿を追うのであった。 ●イースターエッグ探し、スタート! ヨナ達がアトラクションを楽しんでいる(?)一方で、もう一組の浄化師達もまた、この遊園地を訪れていた。 「……こういう娯楽施設に来るのは、久しぶりな気がするな」 懐かしむかのようにそう告げるのは、金髪に金色の瞳をしている美しい青年、『マリオス・ロゼッティ』と。 「ん、そう言われればそうかも」 マリオスの言葉に、こくんと素直に頷くのは、薄い茶色のウェーブヘアに水色の瞳の……ちょっとぼーっとしている『シルシィ・アスティリア』だ。 いつになく人で混雑している園内に驚きながらも、あたりを見渡しながら、その雰囲気を楽しんでいる。 (これってデートなんだろうか?) 珍しくきょろきょろと見て回るシルシィを眺めながら、マリオスは思わず、そう心の中で呟いていた。 その間にもシルシィはとてとてと、興味のある方へと向かっていく。 「ちょっ! シルシィ、待って!」 「……置いてくよ?」 見失わないように追いかけるマリオスは。 (……やっぱり違うかなあ……?) どちらかというと……保護者? ちょっと考えたくなかったので、その考えを忘れて、この遊園地を楽しむことに意識を切り替えた。 「おっと! そこに居る格好良い浄化師のお兄さん、お姉さん!! せっかく、ここに来たんなら、このイースターエッグ探しをしないかい?」 春っぽいパステルカラーに卵柄の衣装を着ている陽気なスタッフが、シルシィ達に向かって声をかけてきた。 イースターエッグ探しというのは、この期間限定の催し物だ。園内に隠されたカラフルな卵……の形をしたおもちゃをたくさん見つけて、1位を競うというゲーム。 基本は歩いて回れる通路脇を中心に隠してあるらしいのだが、時には土産屋の中、スタッフが身につけていたり、しかも、少々高いところにも置かれているらしい。 「見つけたエッグひとつで、サービスも受けられるよ。でも、そのときはそのひとつを回収させてもらうから、1位を狙うなら、気をつけてね!」 そう言うスタッフから、シルシィは、しっかりと回収用のバスケットを受け取っていた。 シルシィはこのイベントに興味津々らしく、瞳を輝かせながら。 「……宝探しって、結構好き、かも……」 その呟きをマリオスは見逃さなかった。 「じゃあ、探そうか? 楽しそうだしね」 スタッフから遊園地のパンフレットを受け取り、マリオスも乗り気な様子。 そんなマリオスの言葉を聞きつけてか、シルシィは即座に立ち上がり、さっそく、エッグ探しを始めていた。あたりをよく見ていないので、その足取りは少々危なっかしい。 「シィ、あ……」 本当は足下に気をつけてと言いかけた。 けれど、こんなに集中して探すシルシィを見たのは……初めてかもしれない。 だから、それを邪魔することはしていけないだろうと、反射的にマリオスは感じた。 「……あっちの方から探そうか?」 誤魔化すかのように、もらったばかりのパンフレットを広げて、視線を移す。 シルシィは声を掛けられ、マリオスの顔を不思議そうに一瞬だけ、見つめてから。 「……ん、じゃあ、あっちから……ね」 探す場所を指さして、シルシィはそのままとことこと小走りに駆けていく。 「シ、シルシィ!? 早くない!?」 マリオスは慌てながらも、そのシルシィをしっかりと追っていくのであった。 ●のどかな昼下がり……そして 「……な、なんとか……耐えられました……」 かなりグロッキーではあるものの、よくぞ耐えきったヨナは、今は花に囲まれたピクニックエリアに来ていた。 夜空の下、お弁当の入ったバスケットを広げて、昼食を楽しむ家族連れやカップル達が集まっている。 人が多いものの、咲き乱れる草花や大きなアトラクションから少し離れている為か、ここは他の場所とは違う雰囲気を持っていた。 色とりどりの春の草花が皆を出迎え、春らしい日差しはぽかぽかと暖かく。 時間がゆっくりと流れ、時折、そよぐ風が涼しく疲れた彼らを労う。 そんな場所であった。 ヨナは、そんな場所にありがたく感じながら、開いている場所に持ってきた敷物を敷いて、その上に座り込む。 気付けば、ベルトルドの姿が見えない。 「ベルトルド……さん?」 が、それもすぐに現れた。その片手には、ランチが入っているだろう、たくさんの紙袋を抱えて。 「メニューは『イースター春ランチ』でよかったのか?」 敷物の上に休んでいるヨナの元へやってきたベルトルドは、買ってきたランチパックをあけてひとつひとつ、その上に並べていく。 「はい、その、食べてみたかったんです。期間限定のメニューですから」 ベルトルドが並べたランチを改めて見てみる。 様々な色をつけたチーズにスクランブルエッグを挟んだ、虹色のサンドイッチ。 苺の入ったクリームソースをディップするポテト。 それに、カラフルな小さな丸いアイスの入った、苺色のソーダ。 ベルトルドはそれでは足りなかったらしく、追加でチキンナゲット6ピースに追加の苺チョコが乗ったチュリトスを2つ、更に主食になるホットドックを2つも買ってきていた。 「全部、食べれるんですか……それ」 思わずヨナが呟くと。 「なに言ってる、二人で食べる分だ。ほら」 と、さっそくナゲットを口の中に放り込んでいる。 「お、美味いな」 「……! 美味しい……」 奇抜な色のサンドイッチは意外に美味しく、ディップもクリームだけでなくチーズも含まれていたようだ甘いだけではない、深い味が口の中に広がっていく。 「このチュリトスってやつも、甘くて食べ応えあるぞ」 「ええ、これも美味しいですね……」 見上げると雲一つない澄んだ青い空が目に飛び込んでくる。 ぽかぽかと日差しも暖かく、気持ちいい……。 ランチを食べきったときには、先ほどの気持ち悪さもどこかに行ってしまったようだ。ヨナも元気を取り戻していたのだが……。 「今日は珍しくはしゃいでると思ったら………」 先ほどまで騒がしくしていたベルトルドが、いつの間にかうたた寝してしまっていた。 「でも……昼寝するには、良い天気ですね」 先ほど食べたランチパックのゴミを捨ててから、ヨナもベルトルドの隣にごろんと寝転がる。 とたんに草花の香りがヨナの鼻をくすぐる。 頭上をひらひらと舞う蝶が、ゆっくりとベルトルドの鼻の上に乗った。 その様子に思わずヨナは笑みを零したのだった。 「はっくしょい!」 先に目覚めたのは、ベルトルドのくしゃみ……ではなくて、ベルトルドだった。 その声に起きたヨナが眠たい目を擦りつつ、時間を確かめた。 「ああ、もうこんな時間……」 ぐぐーっと体を伸ばしつつ、ベルトルドは。 「他にも色々、乗ろうと思っていたんだがなあ」 名残惜しそうにそう告げると。 「また来たらいいじゃないですか」 そんなヨナの言葉にベルトルドは目を見開いて。 「お。『また』を期待してもいいのか?」 「……私で良ければ」 そう言って照れるヨナに、ベルトルドは、にやっと笑い、彼女の肩を軽く叩いたのだった。 ●イースターエッグ探しの結果は? 「あった?」 「まあね、分担して探したのが良かったみたいだ」 マリオスは、見つけたエッグをシルシィの持つバスケットに入れる。マリオスとシルシィは、役割分担しながら、次々とイースターエッグを見つけ出していた。 「あ、ここにも……コツ掴んだ、かも」 低い所にあった卵を見つけて、シルシィは瞳を輝かせながらバスケットに入れた。 「僕もコツを……あ、あった!」 マリオスは少し高い塀に置かれた卵を見つけて、それを拾っている。 探す際に、シルシィとマリオスは、早い段階で役割分担をしていた。 すぐ気がつくシルシィが、草や木の根元や、設置されているゴミ箱の影など、見つけづらい低い場所を重点的に探す。 一方、マリオスはその高い背を活かして、木の枝や柵、看板の上などを重点的に探す。 それが功を奏してか、二人は次々と、面白いように卵を見つけ出していた。 「シィ、少し休憩しよう。お腹もすいただろ?」 そう言って、マリオスが買ってきたのは、『イースター春ランチ』で、イースター限定のランチパック。そう、先ほどヨナ達が食べていたサンドイッチとポテト、ソーダのセットだ。 「……ん、食べる」 マリオスからランチパックを受け取り、シルシィはサンドイッチを取り出すと、歩きながらそれを食べ始めたではないか! 「あ、見つけた」 マリオスは、少しでも立ち止まるかと思っていたのだが……その予想は外れてしまったようだ。 シルシィは、歩きながら食べつつ、また一個見つけてはバスケットに入れていく。 「ベンチで座って食べた方が良いと思うけど?」 なんとか休ませようとマリオスは声をかけるが。 「もっと見つけたいの……折角だし」 なにやら、顔には出ていないが、シルシィの闘志が燃えている様子。 いつになくやる気のシルシィの姿に、マリオスはやれやれと肩をすくめる。 「わかった、付き合うよ……こうなったら、1位を目指そう」 その言葉に俄然、やる気になったシルシィの足取りは軽く。 マリオスもそれに続くかのように、自分の分のサンドイッチを素早く口の中に放り込んだのであった。 時間ギリギリまで探し続けて、バスケットは、イースターエッグでいっぱいだ。 さっそく集計しているスタッフに手渡し、個数を確認してもらう。 「これは……たくさん見つけましたね」 スタッフの驚く声にシルシィは。 「ん、いっぱい頑張ったから」 少々自慢げだ。 と、そのとき。 「これもよろしくね!」 元気な女将さん……いや、違う。 「お母さん、僕達、1位かな? 頑張って見つけたよね!」 「こんだけ見つけたんだ、きっと良い結果が出せるよ♪」 なんと子供が8人! な大家族がやってきたのだ。彼らが持ってきた卵もシルシィと同じくらい入っているように見える。 「……負けたくないな」 それは、彼らにも聞こえないほどの小さな呟き。 「後は運に任せよう」 励ますようにぽんとシルシィの肩を叩いて、マリオスは勇気づける。 計算している間にも、他にもバスケットをエッグでいっぱいにしている者達がやってくる。緊張した面持ちで結果を待っていると……。 「おめでとうございます! シルシィさんとマリオスさんは、21個で……『2位』です!」 「え……?」 きょとんとするシルシィだが、マリオスも同じ顔をしていた。 スタッフの話によると、1位はやっぱり、先ほどの大家族が取っていた。彼らが見つけたのは、22個。僅差で、シルシィ達が負けてしまった。 その差に少し残念に思いながらも……。 「……シィ? その、残念だったな」 「……ん、でも……これ貰ったから、いい」 本来ならば、21回分のサービスがもらえるはずだったのだが閉園間近ということで、代わりにと大きなうさぎのぬいぐるみをもらったのだ。 それに大家族達も、無料招待券などもらって、とても素敵な笑顔を見せて喜んでいた。それを見ていると、負けた気持ちも何処かへ飛んで行ってしまったように思う。 それに……ふわふわなぬいぐるみを抱きしめて、シルシィは少し嬉しそうに見えるのだ。 いつものように、あまり表情を表に出してはいなかったが。 そんなシルシィの様子に思わず、笑みを零すのは、マリオス。 さっと、まるでどこかの王子様のように、優雅に手を差し伸べて。 「さて、帰ろうか、シィ?」 「……ん」 シルシィはお姫様のようにそっと、その手を取って。 そんな、二人の足取りは軽く、二人の影はゆらゆらと嬉しそうに揺れていた。 こうして、二組の浄化師達は、清々しい青空の下、イースターで賑やかな遊園地にて有意義に過ごしたのであった。
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*** 活躍者 *** |
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[4] シルシィ・アスティリア 2019/05/07-20:23
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[3] ヨナ・ミューエ 2019/05/07-19:35
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[2] シルシィ・アスティリア 2019/05/06-19:15
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