~ プロローグ ~ |
さあ、高らかに吼えろ。 |
~ 解説 ~ |
●エピソードについて |
~ ゲームマスターより ~ |
こんにちは、GMのozです。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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目的 アブソリュートスペルを決める 行動 カフェで話し合う ペンと紙を持って、あたしが書記 かっこつけるか、かっこつけないか、だと思う ツッコミが入っても気にせず、頭に浮かんだ言葉を書き連ねていく 外国語で言う? 手の平が合ったから(恋人繋ぎはしていない) 両手合わせて、みたいな感じ? イダの提案にうんうんと思考していく 子供の頃は言葉より、体を動かすほうが楽しかったから 思い出す 孤児院のにーちゃんは、「いい子で待ってろよ」って言ってくれて あたしはそれに、約束してって我儘いった 離れたくなくて 指切りげんまん ふたりはひとつ …… イダ あたしこれがいい 「ふたりはひとつ、指切りげんまん」 決して離れず、約束を違えず |
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アブソリュートスペル… (机をダンと叩き) 僕の両親はベリアルに殺された…見るも無残に、喰われた。 僕も奴らに喰われつつあった…でもそれを救ったのは教団じゃない。 教団は何もしてくれはしなかった! 結局は自分の力で何とかするしかなかった! だから! 僕は! ここに誓う! 奴らを…ベリアルを根絶やしにすると! 『あるべき所へ還れ』これが僕の選択。僕の願い。僕の戦い―― 奴らはこの世界にいてはいけないんだ…! (ララエルの『墓』についての言葉を聞き) え? |
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■目的 お互いに納得するスペルを決める。 ■会話 エミ:おっし。アブソリュートスペル決めっか。 ルキ:あぶ……? エミ:あー、気合い入れるってーか。 信念込めた誓いの言葉だな。強い魔術師の連中も使ったりすんなぁ。 ルキ:えみりあもある? エミ:あるぜ。アタシは魔術師じゃねぇけど。 覚悟を内外に示すもんだし。 ルキ:えみりあのがいい。 エミ:あ? ルキ:ぼく、なにもおぼえてないけど。 ずっとつかってたえみりあの、あぶ……? エミ:アブソリュートスペルな。 ルキ:それ、ぼくもいう。かえない。 おなじちかい?を、ぼくもする。 エミ:……ほんっとうに、どこでそういうの覚えてんだろうなぁ。 おう、ならアタシのヤツ使うか。(ルキの頭を撫でる |
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あおい: そうだったこの人変な事言う人だった…… 却下します 言い損なうと任務に支障がでる可能性があります 誓いですか? 私は… たとえ「適合診断」で決められたパートナーでしかなくても 異世界とか意味不明な事を言う人でも あなたの隣で一緒に戦います 私はあなたを裏切りません。 そしてあなたに見放されないよう、無様な姿は見せません 「共に」…悪くないと思います。 (触れるのは)指先で充分です …恋人でも無い異性がベタベタ触るのは誤解を招きます イザークさんの恋人が見たらきっといい気持ちはしませんよ 一度試してみましょう そっとイザークさんの指先に手を添え 深く心に誓い、スペルを唱える 大丈夫、ですよね? |
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◆彼の第一印象 ・凄いイケメンさん、でも背が高くて怖い… (終焉の夜明け団…彼等に対抗する為には エクソシストになるのは…通らなきゃいけない道…だけど… 何この人…背が…たか…た、たか…ひ…) は、はは初めまして…ゎたし…杜郷…唯月…です… ◆スペルを決め ・簡単に浮かばないので取り敢えずお互いを知る スペルの言葉なんて…わたし、自信ないです… お互いの事、ですか?ええっと何から話したら… 誕生日は…8月7日、好きな色は…緑で… 好きな事は…その、絵を描く事、で… ◆スペル決定 ・唯月の好きな色、彼の誕生日から 泉世さんの6月6日の誕生花…アイリスなんですね… 花言葉に希望… い、づ?…え、あ…いい、ですよ… …へ?…ぇえ!! |
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魔術真名を決めたのは契約時 二人で話し合って決めた 「どんな感じがいいか希望は?」 「……あの……わかりません……」 「俺も死ぬ前は契約しようと思ってなかったから、特には……ああ、でも、月と言う単語は欲しいかな」 「……月、ですか?」 「うん、君を見た時の第一印象だから」(にっこりと笑って) 「え…あの……(表情はあまり変わらないが、少し戸惑って)」 「あ、嫌なら無理にとは」 「……それなら…太陽、も…入れてください……」 「太陽?月に対する反語的な?」 「あ、あの……私から見た、第一印象が…お陽様、だった、ので…」 「俺の事?そんなの初めて言われた」 それぞれの姓「ムーンライト」「シラー」の意味に気付くのはこの少し後 |
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アブソリュートスペルを決めなきゃいけない… そう聞いた時、ふと過去のことを思い出した 教団に行く少し前のこと ★ お父様の庵の庭にある一番大きな木の上は、小さい頃からわたしの一番好きな遊び場所だった 庵は高台にあったから、景色が綺麗でずっと見ていても飽きなくて お父様が死んだ時、わたしはずっと塞ぎ込んで、なかなか木の上から降りて来なかった その時ロウハが来て、一番星が見えるまで一緒にいてくれた ロウハはあの星に、わたしをずっと守ると誓ってくれた だからわたしも強くなるって誓った ★ 『紅き星に誓う』 …自然とそう口にしていた 「お嬢も、あの時のこと考えてたんだな」 ロウハがそう言ってくれた時、わたしたちのスペルは決まった |
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・目的 重要な事なので二人でしっかりと考えて決めたい 浄化師への第一歩なので意気込みはあるが案はない ・行動 会話して認識擦り合わせ 一生物ですし、後で後悔しないようなものが、いいでしょうか? レガートの話に真剣に聞き入る なるほど…。ますます、悩みますね 選択肢の多さにくらくら はるばるやってきましたが、まさか最初の壁がこことは… ちょっと心細かったですが、短命と聞くともう選択肢はない感じでしたし… でも、ちゃんと自分で決めて、ここまで来ました 自分の人生ですから。ちゃんと私自身で切り開いていきたいなって (戦ってみたかったという本音は黙秘) 反応にきょとん 少し恥ずかしいけど覚悟決め はい、こちらこそよろしくお願いします |
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~ リザルトノベル ~ |
●『アラシャ・スタールード』『イダ・グッドバー』 「かっこつけるか、かっこつけないか、だと思う」 「いきなり何言ってるんだ? まさか魔術真名のことを言ってるんじゃないよな」 訝しげな顔で尋ねるイダに、「そう、それ」と真顔で頷くアラシャ。 「いやいや、ダメだろ。もっとこうなんかあるだろ、大事なもんなんだから」 首を傾げるアラシャにイダは頭が痛いとばかりに額に手を当てる。そんなイダを気にすることなく、マイペースに頭に浮かんだ言葉を紙に書き込んでいく。 「『Good Luck!』って、おいおい……」 いつの間にか、覗き込んでいたイダが突っ込む。 「幸運を祈るって意味で書いてるんだろうけどよ。これ『せいぜい頑張れよ』って揶揄する意味合いもあるからな、それ」 「おっさん、うるさい」 「おっさんって言うな、俺はまだ27だ!」 イダに指摘され、不満そうな視線を向けるアラシャ。表情こそ変わらないものの「おっさんも案を出せ」と目が雄弁に語っていた。 苦笑いしながらイダは自分の頭をがしがしと掻く。 「あー……子供の頃に思い入れのある言葉とかはないか?」 「ない」 「即答かよ。じゃあ、約束するときにどんな言葉を掛け合ったとか覚えているか?」 イダの何気なく言った「約束」という言葉がアラシャ過去の破片に触れる。 不意にアラシャの脳裏に記憶がよみがえった。 あの日は、夕暮れ時だった。 兄がいなくなるのが寂しくて仕方なくて、もう会えなくなるかもしれないと思うと怖くて。でも、旅に出たがっていた兄を知っていたから「行かないで」の一言がどうしても言えなかった。 だから、その代わりに約束したのだ。 「いい子で待ってろよ」 兄がアラシャの髪を強引だが優しく撫でる。一回り大きな兄の手がこのままずっと離れないでほしいって、神様に祈っていた。 「いい子にしてるから、約束して。にーちゃん……」 涙がこぼれそうになるのを必死に我慢する。 「ああ、約束する。アラシャのとこに必ず帰ってくる――」 2人は小指を絡ませると、 「指切りげんまん、ふたりはひとつ」 兄とアラシャだけの約束。大事なことを約束するときには必ずこれをしていた。でも、アラシャはずっと兄を待っていたけれど、いつまで経っても帰ってこなかった。 「……にーちゃんが旅に出るとき、絶対に帰ってきてって指切りした」 「指切りか。それいいな」 もうあの頃のようにアラシャは幼くない。自分の足で歩いて、探しにだって行ける。 「俺達は二人でひとりみたいなもんだから、それと合わせよう」 「……イダ、あたしこれがいい」 アラシャが紙に書き込んだ言葉をイダがのぞき込む。 「『ふたりはひとつ、指切りげんまん』か」 「だめ?」 「いや、いいんじゃないか、これ。……でも、アラシャ。俺に、はりせんぼんは飲ますなよ?」 「……がんばる」 ●『ラウル・イースト』『ララエル・エリーゼ』 「僕の両親はベリアルに殺された……! 見るも無惨に、喰われた。僕も奴らに喰われつつあった……でも、それを救ったのは教団なんかじゃない!」 ラウルは怒気に震える声と共に振り上げた拳をドンッと机に叩きつけた。その音にララエルの肩がびくりと震える。 ラウルの端整な顔立ちは氷のように冷え切っているのとは逆に、紅玉の瞳は行き場のない憎悪の炎で燃えさかっている。 ララエルが怯えを滲ませていることにもラウルは気づいていなかった。 「教団は何もしてくれなかった! 結局は自分の力で何とかするしかなかった!」 ラウルは暫くの間、目を閉じ、先ほどまでの激情が嘘のように静かに宣言する。 「だから、僕はここに誓う」 穏やかなのに、底冷えするような声だった。 「奴らを……ベリアルを根絶やしにすると!」 憎悪の炎に揺れる紅玉は彼すら燃えつくしかねないのに。その瞳を恐ろしく感じているのに、どうしてもララエルは目を逸らすことができなかった。 「『あるべき所へ還れ』」 彼の言葉がララエルの心に軛となって残った。 「これが僕の選択。僕の願い。僕の戦い――奴らはこの世界にいてはいけないんだ……!」 血の滲むような声だった。手が白くなるまで握りしめられたラウルの手は震えていた。ララエルはその手に自分の手をそっと重ねる。 何故、こんなにも哀しいのだろう。透き通るような藍玉の瞳から涙が次から次へとこぼれ落ちる。 「……どうして、君が泣くんだ」 「分からないです。でも、それでも私は……ラウルが生きていてくれて、良かったです。良かった……」 困ったようにララエルを見る紅玉は、いつもの優しさを取り戻していた。 「わかりました。私も、ラウルのお手伝いをしますね。少しでも、ラウルのお父様とお母様をと、とるらって? えっと、眠らせてあげたいの」 「ララ、『弔う』だよ。でも、ありがとう」 「とむらう、ですね! 覚えました!」 涙を服の袖でごしごしと拭うララエルの手をそっと取ると、今度は自身の手で優しく涙を拭う。 「そんなに擦ったら、目が赤くなってるよ」 「ありがとうございます、ラウル」 一瞬きょとんとしていたものの、蕾が花開くように笑うララエルにラウルもまた笑みをこぼした。 「ラウル、ひとつ聞いてもいいですか?」 「なんだい?」 ララエルが首をこてんと傾げながら、尋ねる。 「『あるべき所へ還れ』って、私やっぱり、……お墓の中にいなきゃだめですか?」 「え?」 思いも寄らぬ言葉を聞かれ、ラウルは言葉を失う。黙り込んでしまったラウルの姿にララエルは困らせてしまったと勘違いしたのか、慌てて言い募る。 「……あっ、な、なーんちゃって! 冗談です、冗談! 私、ルルのお世話があるから行きますね!」 ララエルは不自然なまでに明るく振る舞う。そのまま部屋から出て行ってしまった。 ラウルが伸ばした手は届くことなく、その小さな背を見ていることしかできないでいた。 ●『エミリア・リンク』『ルカス・アプフェル』 「おっし! アブソリュートスペル決めっか」 「あぶ……?」 「あー、気合い入れるってーか。信念を込めた誓いの言葉だな。強い魔術師の連中も使ったりすんなぁ」 不思議そうに首を傾げるルカスに分かりやすくかみ砕いて説明を始めた。 (アブソリュートスペルも言いにくそうだし。ルキが言えないスペルじゃ、困るしな。特に戦闘のことを考えると、短くて言いやすいものがいいだろ) 考え込むエミリアをじっと見ていたルカスが口を開いた。 「えみりあもある?」 「あるぜ。アタシは魔術師じゃねぇけど。覚悟を内外に示すもんだし」 「えみりあのがいい」 「あ?」 ルカスの唐突な言葉にエミリアは面食らう。 「ぼく、なにもおぼえてないけど。ずっとつかってたえみりあの、あぶ……?」 「アブソリュートスペルな」 「それ、ぼくもいう。かえない。おなじちかい? を、ぼくもする」 「……ほんっとうに、どこでそういうの覚えてくるんだろうなぁ。おう、ならアタシのやつ使うか」 「うん、えみりあとおんなじのつかう」 たどたどしくも真っ直ぐなルカスの言葉。エミリアはルカスの頭を優しい手つきで撫でた。ルカスもされるがまま嬉しそうに目を細めている。 「いいか、二人だけの誓いだ。忘れんなよ」 「うん、おしえて」 撫でられてくしゃくしゃになった髪のままルカスは頷いた。「二人だけのちかい」という言葉にルカスはなんだかドキドキした。 (これはぼくとえみりあだけのちかい、なんだ……) エミリアはルカスの視線に合わせるようにしゃがみ込む。 瑞々しい赤い果実のような瞳が真剣な眼差しでこちらをのぞき込む。その厳しくも優しい眼差しに、これから教えてもらうことは大切なことなんだ、とルカスは直感的に感じ取った。 エミリアの唇が静かにスペルを紡ぐのを、ルカスは聞き逃さないように声に集中した。 『我が名に誓いを立てん』 「わがなにちかいをたてん」 どこか厳かな二人だけの誓いをルカスは、忘れないように何度も何度も復唱する。 その意味を分かってはいないようだが、何度も大事そうに唱えるルカスにエミリアも悪い気がしない。 そのアブソリュートスペルはエミリアにとっても思い入れ深いものだった。 エミリアの口に馴染んだスペル――『我が名に誓いを立てん』は、エミリアが親から受け取ったものだ。 自身を証明する名に誓って、全身全霊で成し遂げる覚悟の言葉であり、成し遂げんとする強い意志を示す言葉だ。 (……ルキにはそのスペルの意味を理解すんのはまだ早いな) いつかその意味を理解できたとき、また二人の関係も今とは変わっているかもしれない。まだまだ可愛くいてくれ、と思いながら、エミリアはその小さな頭に軽く手を置くのだった。 ●『鈴理・あおい』『イザーク・デューラー』 王は語る。詩を詠うように民に話しかけるように優しくも威厳のある言葉を。思わず耳を澄まして聞き入ってしまいそうになるほど、美しい旋律だ。 それが謎の言語でなければ、あおいも素直に聞きほれていたかもしれない。「スペルか……元の世界の呪文ならあるけど」と言って、パートナーは、いきなり謎の言語を話し始めた。その時のあおいの心境を想像してほしい。 (そうだった。この人、変なこと言う人だった……) 一通り言い終えたのか、こちらに満足げな笑みを向けるイザークに、 「却下します」 きっぱりと否定した。 「言い損なうと任務に支障がでる可能性があります」 きちんと理由を説明すると、イザークは「なるほど、一理あるな」と頷き、顎に手を当てて考え始めた。 「では、君は何を誓いたい? そこから始めようか」 「誓いですか?」 イザークの提案に少し迷った表情を浮かべたが、すぐに凛とした姿勢で答えた。 「私は……たとえ「適合診断」で決められたパートナーでしかなくても異世界とか意味不明な事を言う人でも――」 「なかなかひどいこと言うな、君は」 イザークが苦笑いする。 「あなたの隣で一緒に戦います」 一切迷いのない眼差しで言い切る。 「私はあなたを裏切りません。そして、あなたに見放されないよう、無様な姿は見せません」 あおいの真っ直ぐすぎるほど真っ直ぐな覚悟にイザークは姿勢を正し、真剣な表情で受け取った。 「分かった、俺も君の誓いと同等のものを返すと誓おう」 イザークは、あおいの誓いに応えるようにはっきり宣言した。 「ふむ、それなら『イーザ』……元の世界の言葉で『共に』という意味なんだが、これを三回唱える、三つの誓いを込めて」 どこか懐かしむように、ここではない場所を見ながら、イザークは話す。 「(苦難を)共に・(安らぎを)共に・(運命を)共に」 大切そうに語るイザーク。そんな姿を初めて見るあおいは驚きの表情を浮かべた。 イザークと目が合うと、先ほどまでの郷愁帯びた雰囲気は失せ、いつもの堂々たる雰囲気に戻る。あおいはなんだかホッとした。 「運命共同体の誓いみたいなものだね。これなら簡単だし、意味もこもってる。外国語と思えば成立するんじゃないかな、どう?」 「『イーザ(共に)』……悪くないと思います」 「一度試してみようか、手をどうぞ」 「……指先で充分です。恋人でもない異性がベタベタ触れるのは誤解を招きます。イザークさんの恋人が見たら、きっといい気持ちはしませんよ」 「残念ながら意中の人はいないんだけどね」 「いいから、始めますよ」 苦笑いするイザークの手に指先を添え、深く心に誓いを掲げる。二人は同時にスペルを唱える。 『イーザ・イーザ・イーザ』 ●『杜郷・唯月(もりさと・いづき)』『泉世・瞬(みなせ・まどか)』 「は、はは初めまして……わ、わたし……杜郷……唯月、です……」 (終焉の夜明け団……彼等に対抗するためには、浄化師になるには、……通らなきゃいけない道……だけど……) 隣に並んで立つのがつらい男性の上に背が高くて、唯月にはイケメン怖いとしか思えなかった。 「初めましてー! 俺は泉世瞬ってゆーよ! これからよろしくね!」 (……すぐ俯いちゃったけど、目がキラキラしてた! 目が綺麗な子なのにもったいない) 瞬の明るい声に、小動物のように肩をびくりと震わせたものの、か細い声で、 「よ、よろしくお願いします……」 俯いたまま、そう言ってくれたのが聞こえて瞬はにっこりと笑う。 「あ、あの……」 唯月からおそるおそるだけど声をかけてくれた。それが嬉しくて瞬はいつものテンションで、 「なに、なに? なんでも聞いてくれていいよ」 「け、契約前にスペルを決めないと……」 「じゃあー……あ、そうだ! お互いの事を知れば何か浮かぶかもよ!例えばー誕生日とかー、好きな色とかー、好きなこととか!」 「お互いの事、ですか? ええっと何から話したら……」 戸惑いながらも唯月は律儀に答えていく。 「誕生日は……8月7日、好きな色は……緑で……好きな事は……その、絵を描く事、で」 「ふふ、そうなんだねぇ!」 唯月が一つ一つ答えていく度にうんうんと相槌を入れる。 「ちなみに俺は6月6日生まれで好きな色は水色! 好きな事はのんびりする事かな!」 明るく自己紹介する瞬に唯月はこくこくと一生懸命頷く。 「いづが緑が好きなら、……ペリドットとかー?」 「い、づ?」 「あ、いづって呼んでもいーい?」 「……え、あ……いい、ですよ……へ? ぇえ!!」 瞬のペースに巻き込まれて思わず頷いてしまった唯月だが、 「へへ、やったー!」 子供みたいに喜ぶ瞬を見ると、もうそれでいいやと諦めの心境に達した。 「あの、み、泉世さんって呼んでもいいでしょうか?」 「いいよー、でね、いづの目がペリドットみたいにキラキラしてたから。俺スペルにペリドットを入れたい!」 「ぁ、はい、分かりました。え!? あの、そんな決め方でいいんですか!?」 「どうせならお互いに好きなものをスペルにしちゃおうよ。俺の誕生花はアイリスだから、それもくっつけちゃって『ペリドットアイリス』」 「ペリドットアイリス、ですか?」 「そう、どうかな?」 少し不安げな表情でこちらを見てくる瞬。 「これで、いいのか、わたしには……分からないけど……いい、と思います」 「なら、これで試してみよう!」 「ええ? 今からですか!?」 「いいからいいから、手を出して」 そのまま瞬の大きな手を合わせ、スペルを同時に唱えた瞬間。確かに互いの魔力が解放された。 ようやく唯月はこの人が自分のパートナーだと実感する。 にっこりと笑った瞬にぎこちないながらも笑みを浮かべる唯月。それは確かに二人のパートナーとしての小さな一歩だった。 ●『アリシア・ムーンライト』『クリストフ・フォンシラー』 「どんな感じがいいか希望は?」 「……あの……わかりません……」 そうクリストフに問いかけられ、暫く考え込んだ後、アリシアは困ったように答えた。 二人は適合診断を何事もなく終え、契約の段階へと移ることになった。だが、まだ契約の際に必要なアブソリュートスペルが決まってはいなかった。 「俺も死ぬ前は契約しようと思ってなかったから、特には……ああ、でも、月という単語は欲しいかな」 「……月、ですか?」 「うん、君を見た時の第一印象だから」 「え……あの……」 人当たりの良さそうな笑みを浮かべ、さらりとそういうことを言うクリストフにアリシアは戸惑う。表情こそ変わらないものの、なんと答えていいのか分からず、言葉を詰まらせる。 「あ、嫌なら無理にとは」 「……それなら……太陽、も……入れてください」 クリストフのからかい半分で言った言葉に対してアリシアが返した言葉は予想外なものだった。 「太陽? 月に対する反語的な?」 「あ、あの……私から見た第一印象が……お陽様、だった、ので……」 「俺の事? そんなの初めて言われた」 (……自分が太陽だなんてくすぐったいな。最初はちょっとあの子に似てると思ったんだが、性格が違う……良く言えば大人しい、悪く言えばとろい。でも――) その存在感は無視できない。 黙っていれば、神秘的な容姿だ。流れるような漆黒の髪、それに包まれた雪のような肌。 夜空と、そこに浮かぶ月のようだと思った。 「そろそろ時間だ、契約を始めようか」 アリシアが頷くのを見て、教団員から受け取ったナイフで自分の甲を切る。アリシアはゆっくりと片膝をつくと、両手で傷ついた手の甲をとり、口付けする。 自分の血が彼女の唇に彩るのを見て、クリストフは背筋にぞくりとしたものが走る。それを表に出すことはなく、笑みを張り付けたまま、何かに後押しされるようにスペルを口にした。 『月と太陽が合わさる時に』 アリシアもまた頭に思い浮かんだスペルを同時に口ずさむ。 クリストフを見上げながら、彼の眩い金色の輝きに引きつけられる。 まるでお陽様のような、強い輝き。生命の息吹を感じさせる髪は、エメラルドの色をした木漏れ日みたいで。 (よく分からない人……でも、私が月だというなら……もしかしたら彼の近くにいれば私は……月のように輝けるのかもしれません、ね……) 月と太陽が重なったとき、何が始まるだろうか。手を重ね合いながら二人の運命の輪は静かに回り始めた。 ●『シュリ・スチュアート』『ロウハ・カデッサ』 アブソリュートスペルを決めなければいけない。 そう聞いたとき、シュリはふと過去の記憶を思い出した。ロウハと共に教団に行く少し前のこと。 「……っ、お父様」 喉は腫れ上がり声が掠れる。出し尽くした涙は底を尽きた。今度は胸に圧迫感を覚え、掻き毟るように胸を押さえた。 声もなく「お父様」と呼ぶが、名前を呼んでくれることも。大きな手で頭を優しく撫でてくれることも、笑顔で振り向いてくれることもない。 もう父はどこにもいないのだ。 その事実に、父を失った喪失感でがらんどうとなった心に冷たい風が吹き込む。その度に、軋むような痛みに心が悲鳴を上げる。 誰にも泣いているところを見られたくなくて、庵の庭にある一番大きな木の上に逃げ込んだ。 そこは小さい頃から一番好きな遊び場。庵は高台の上にあったから、そこから見える景色はずっと見ていて飽きなくてお気に入りの場所だった。 シュリは世界中でたった独りぼっちになってしまったように感じた。心細くて仕方ないのに、誰にも会いたくなかった。 そのときだ、ロウハがやってきたのは。 泣き顔を見られたくなくて、顔を膝に隠すように蹲る。それなのにロウハは何も言わず一番星がでるまで、ずっと傍にいてくれた。 「わたし、これからどうすればいいの……」 「お嬢は一人じゃないさ、俺がいる」 シュリは迷子のような表情で呟いた。 「『人々を守る』なんて……わたしにできるの?」 「俺がずっとお嬢を守るし、一緒に戦う……あの一番星に誓うぜ」 ロウハが指さした星を見上げる。紅くまるで燃えるように一際輝く星。 「これから色々あるかもしれねーけど、この誓いだけは破らない。約束だ」 「……わたしも、誓うわ。あの星に……」 真剣な石英の眼差しに、シュリは応えるように頷いた。 「強くなるって。ロウハと一緒に戦うって」 ロウハがずっと守るってわたしに誓ってくれたように、シュリもまた心に誓ったのだ。ロウハの隣に立てるぐらい強くなると。 シュリの覚悟はあの紅き星が見届けてくれた。 『紅き星に誓う』 自然とそう口にしていた。 「お嬢も、あの時のこと考えてたんだな」 いつの間にか隣に来ていたロウハの声にシュリは過去から現実に引き戻される。 言葉にしなくともシュリ達は同じ思いだった。 あの暗闇の中を一際輝いていた紅き星のように、このスペルがどんな絶望の中にいようとも奮い立たせてくれる。道に迷いそうなときは、道標となるだろう。 それにロウハがいてくれるなら、どんなことがあっても乗り越えられる。そうシュリは思えた。 ●『唐崎・翠(からさき・みどり)』『レガート・リシュテン』 「魔術真名ですか……一生ものですし、後で後悔しないようなものが、いいでしょうか?」 「そうですね。僕の方でも何かの参考になればと調べてみたんですけど」 どうやらレガートは事前に図書館や知人からどうやって決めたのか情報収集をしたらしい。それを聞き、翠は申し訳なさそうに頭を下げる。 「……すみません。私スペルを決めなきゃいけないとは思っていたんですが、情報収集なんて全然頭にありませんでした」 「いえ、これは僕が勝手にやったことですから。むしろ色々と面白い話が聞けて楽しかったですよ。気にしないでください」 恐縮する翠に軽く手を振り、レガートはにこやかに話す。 「割と何でも有りな感じでしたね。実際に勢いで決めたとか、話し合ってとか。一番興味深かったのは、ぶっつけ本番で挑んだ人の話ですね」 「え? そんな人もいるんですか?」 「結構いるみたいですね。こう、契約をする際にスペルが頭の中に浮かぶそうですよ」 「それは、不思議な話ですね……」 「だから、そんなに力を入れなくても大丈夫ですよ」 レガートが申し訳なさそうにしていた自分のことを気遣って、そう言ってくれたことに気づく。どんな人と組むか不安だったけど、優しい人で良かった。 「でも、どうせ決めるなら納得いくものにしたいです」 「そうですね。ですが、……いざ、決めるとなるとしっくり来るものが思い浮かばなくて……」 翠もレガートの言葉に頷く。中々これだと思うものが浮かばず、二人揃って悩む。 「遙々やってきましたが、まさか最初の壁がこことは……」 「そういえば、ニホンからいらしたんですよね?」 「はい、ちょっと心細かったですが、短命と聞くともう選択肢はない感じでしたし……でも、ちゃんと自分で決めて、ここまで来ました。自分の人生ですから。ちゃんと私自身で切り開いていきたいなって……」 (本当の理由は言えません。戦ってみたかった、だなんて……) 翠がそう考えていることを露知らず、レガートは翠の言葉に共感したように相槌を打った。 「あ、それいいですね」 「え、な、何がですか?」 思わず内心を悟られてしまったかと思い、どもってしまう。 「僕も過去よりも未来を大事にしたいと思っているので。『切り開く』って言葉がお互いに共通してませんか?」 「確かに、……あっ!」 翠は脳裏に閃いた言葉を無意識に呟く。 「『この手で切り開く』」 「いいですね! なんかしっくり来ました」 レガートは嬉しそうに笑って賛成する。 「契約、楽しみですね。どうぞよろしくお願いします」 柔らかな笑みを浮かべて手を差し出すレガートに、翠はきょとんとする。 「はい、こちらこそよろしくお願いします」 一度頭を下げると、差し出されたレガートの手を握った。この手と一緒に道を切り開いていくのだ。
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*** 活躍者 *** |
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該当者なし |
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[9] シュリ・スチュアート 2018/04/12-02:51
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[8] 唐崎・翠 2018/04/12-00:51
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[7] 鈴理・あおい 2018/04/11-22:21
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[6] アリシア・ムーンライト 2018/04/10-23:23
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[5] アラシャ・スタールード 2018/04/10-22:51
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[4] 瞬・泉世 2018/04/10-10:22
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[3] ラウル・イースト 2018/04/10-08:39
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[2] エミリア・リンク 2018/04/09-19:43
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