~ プロローグ ~ |
薔薇十字教団に属するエクソシストたちは、教団から制服を与えられている。 |
~ 解説 ~ |
設定は教団内のどこかにあるだろう、一室です。 |
~ ゲームマスターより ~ |
こんにちは、瀬田一稀です。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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やったー!制服制服! ちょっと首回りがきついかもだけど、それ以外は全然大丈夫 私はジョシュアとおそろいで医療の人が着る?やつにして マフラーや服の裾に花の刺繍を入れてもらったの!故郷のお洋服と一緒なんだ… ジョシュアに誉めてもらいたいな くるっとターンしてバーンとぉ…あ… 胸元のボタンが弾けた… せっかく素敵な制服を作ってくれたのに すぐ破いちゃったよ…怒られるかな…(シュン) サイズが変わるのは仕方ない…そうかな? ぴったりだったら似合うの?そうかなあーでも嬉しいよ。 ジョシュアのウエストきついの? えへへ…おじさんの太り期かな? 差し入れするときはもっとヘルシーなメニューにしなきゃね! |
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●目的&行動 ・リーゼ 不本意ながらもギルと行動 着替え自体はなるべく見られないようにする 服が破れるのは着替え終えてから ・ギル リーゼのために超ミニスカ仕様の制服を準備 破れやすいように予め細工(縫い目を解れさせる、服のサイズを小さくする等) 着替え前のリーゼの服はしっかり隠しておく ●リーゼ心境等(口調RP風) よりにもよって、この男の前で初の制服を披露する事になるとは……折角の試着が台無しです 素敵なパートナーに恵まれている他の皆様が心底羨ましいですね こ、この服……なんだか、短くありませんか? その、スカートの丈が……それになんだか身体のサイズに逢っていないような……? きゃああぁあっ!? わ、私の服はっ……!? |
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■目的 可愛くアレンジしてもらった制服、ミハエルさん褒めてくれるかな 少しでも仲良くなれたらいいな ■会話 エマ:(ミハエルさんもう着替え終わったの!?い、急がなくちゃ…!)お、おまたせしま…ぴぎゃあっ?!(転倒しミハエルを下敷きにする) ミハエル:っ、お嬢様、お怪我はありませんか? エマ:ご、ごめんなさいっ、私は大丈夫です…あっ?!(スカートがビリビリに破れて下着が見えてしまっている。偶然そこに教団職員(男)が居合わせて) ミハエル:(即男の両肩をガシっと掴み)貴方は今何も 見 ま せ ん で し た よ ね ?(ニッコリ) ミハエル:(泣きじゃくるエマに)エマ様、どうか泣かないでください。 その可愛いお姿に涙は似合いませんよ。 |
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■セアラ 張り切って試着会場へ 「おっじゃましまーす!」 リクエストしたアレンジはスカート丈を短くすること 合わせるブーツは長めにしてオーバーニーソックスをガーターで留める 「この方が動きやすいもんね!」 大雑把にしかチェックせず、すぐに走ってキリアンに見せに行く 「見て見てキリー!」 ■キリアン 「なーんで制服なんて必要なんすかねぇ」 乗り気ではないが拒否するほどでもない セアラにつきあって制服は作る 乗り気でなかった癖に試着時は翼と尾の出る箇所にうるさく注文をつける 「もちっと下にできません?くすぐってーんで」 「あー羽ばたくと引っかかるわ。可動域ってもんをすね」 セアラが見せに来たら面倒臭そうに応じる ※絡みも歓迎 |
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【行動】 お互い試着。 明智が脱いだり千亞に蹴られたり。 【会話】 明「…やはり、千亞さんは男性の制服なんですね」 千「あぁ、女性ものは慣れないからな」 明「と、いうことは。バランス的に私が女性制服を着た方が…」 千「止めろド変態。おまえはそもそも制服を着る気はあるのか? いつも私服なイメージだが」 明「勿論、着ますよ。私の着心地の良いようにお願いはしましたが…」 千「見た目普通だが、何が違うんだ?」 明「…ふ、ふふ。見たいですか…?」 千(嫌な予感しかない) 明「アケーチパワー!へーんしーーん!」 (スルッと明智の制服が脱げる。パンツ一丁) 千「このド変態!(蹴り)」 明「愛の営みの実用性抜群です、ふふ…!」 千「もう嫌だ」 |
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☆制服 占い師風にアレンジ 旦那様、制服の仮縫いが出来たらしいですわ どんな風に完成したのか、楽しみですわね(微笑 【店内】 あらあら沢山の方々がいますわね? ではルカ、後程逢いましょう 【試着後】 お待たせ致しましたわ ふふっどうかしら?(くるりと回る もう旦那様ったら(照 でも嬉しいですわ ありがとうございます(微笑 旦那様もとってもお似合いで…あら靴紐がほどけそうですわよ? ルカ! 何を呑気な事をおっしゃってるの! お待ちになって、直ぐに私のローブを……(背伸びした際胸付近が破けるが本人気付かず これで少しは隠せま…っ!? ちょっいきなりな、に…!?(破けた事を知る 一生の不覚、ですわっ(照れて顔をうずめる ☆アドリブ大歓迎 |
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新しい制服を着て 気持ちを新たに この機会にがんばりますという気持ちを伝えたい 足手まといにならないように 制服を着て鏡の前でくるり ちゃんとしているのを確認 彼の方へ リ:ごめんなさい、お待たせし…きゃあ!? シ:ーっ!? しがみついて転倒を免れ 代わりに彼の制服のボタンが飛ぶ リ:(真っ青)ご、ごめんなさい…! シ:…いや リ:折角の新しい制服 どうしよう…! シ:どうせ仮縫いだ 問題ない せめてものお詫びに 上着を脱いでもらってボタン付け シ:…器用だな リ:難しいことはできないけれど このくらいなら… 直し終わったら お互いを改めて見合って リ:ええと 精一杯がんばるので…これから宜しくお願いします シ:-とりあえず 何もない所で転ぶなよ |
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教団の制服、実は少し憧れてたんですよね…。 いざ袖を通すとなると身が引き締まるというか、少し緊張します。 ロメオさんは制服の方は着ないとおっしゃいますし…。 私の方はとくに制服のアレンジとかはないのでこれでいいと思うのですが…。 んーでも少し胸元がきついかなぁ…? といってもそんなに大きくない胸だから大丈夫。 ロメオさんこんな感じでなんですけどいかがでしょう? とと…足がもつれて…ビリ? え、胸元破れ…うわわ。 (ロメオのコートで隠してもらう) …私、自分で思っていた以上の体型なんですね。 ダイエットとかした方がいいのかも? 体重のせいじゃないですか…。 女性らしいってこと? うっ、いざそう言われますと恥ずかしいです。 |
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~ リザルトノベル ~ |
豪奢な金髪を揺らして、ルチア・ファブレは夫であるルーカス・ファブレを振り返った。 「旦那様、制服の仮縫いが出来たらしいですわ。どんな風に完成したのか、楽しみですわね」 朱唇をほころばせるルチアに、ルーカスが目を細める。 「えぇ、そうですね」 彼らは、自分達が、死を超えてなお結ばれているおしどり夫婦と噂されていることを知らない。 しかしその仲睦まじい空気は、一部の若いエクソシストたちにとっては、憧れであった。 「お待たせ致しましたわ」 ルチアは、カーテンで区切られた試着室から、一歩足を踏み出した。 それを迎えるのは、貴族風のアレンジを施した制服に身を包んだルーカスだ。 彼は、藍の瞳をぱちりと瞬いた。 「おや可愛らしく仕上がっていますね? とてもよくお似合いですよ、ルチア」 「もう旦那様ったら。でも嬉しいですわ。ありがとうございます」 ルチアが頬を染める。 彼女が着ている占い師風の制服は、彼女自身がデザインしたものだ。 襟元に覗くフリルや、ところどころにあしらった赤い花が、彼女をより愛らしく、かわいらしく見せている。 ルーカスはそんな妻を、微笑とともに見つめていた。ルチアもまた、愛情に満ちた瞳で、ルーカスを見やり――。 「旦那様もとってもお似合いで……あら靴紐がほどけそうですわよ?」 「おやいつの間に……少し待って下さい、結び直しますから」 ルーカスが、自身の足元に視線を落とす。 ――しかし。 彼がしゃがみ込み、丁寧に紐を結んで立ち上がったところで、びりりと嫌な音がした。 背中の布が、破けてしまったのだ。 「おやおや」 のんびりした声を出すルーカスに対し、慌てたのは、ルチアである。 「ルカ! 何を呑気な!」 彼女は自身のローブを脱ぐと、背伸びをして、それを夫の肩へふわりとかけた。 直後――。 「きゃっ……!」 ルーカスに、身体を抱きあげられる。 「ちょっいきなりな、に…!?」 言いかけた唇の動きが止まったのは、耳に、囁くような夫の声が、滑り込んできたからだ。 「ルチア、破けてます。……なのでこのままでいましょうね?」 「一生の不覚、ですわっ」 ルチアは、真っ赤になった顔を、ルーカスの胸に押し付けた。 十代の頃に結婚して以降、かなりの年月が過ぎてはいる。 だがルーカスは、この妻を誰よりもかわいらしく、愛おしいと思うのだった。 ※ シャルローザ・マリアージュは、鏡に向かって、胸を突きだした。 「少しきついかなぁ……?」 アイスブルーの瞳で、そのあたりをじいと見つめる、けれど。 「そんなに大きくない胸だから大丈夫ね」 一人納得して背筋を伸ばし、試着室のカーテンを引く。 (ロメオさんは制服の方は着ないとおっしゃってましたし、お待たせしてはいけませんもの) 一方ロメオ・オクタードは、シャルローザが着替えている個室の前に立ち、ぼんやりと天井を見上げていた。 (お嬢ちゃん、制服を着るの嬉しそうだったな……) なにか、思い入れでもあるのだろうか。 ロメオも着た方がいいと言われたが、似合いそうにないと思い断った。 (それに、今の服装の方が落ち着くし) 自分の価値観を押し付けず、ロメオのスタイルを認めてくれるのは、シャルローザのいいところだ。 ――と。 「ロメオさんこんな感じなんですけど、いかがでしょう?」 彼の前にたった今、頭の中に思い描いていた相手が、姿を現した。 「うん、似合ってるんじゃないか? りっぱなエクソシストって感じだ」 言えば、シャルローザの顔が、ぱっと輝く。 彼女は足を、一歩前に踏み出した。 が、段差に躓いたのか。 「あっ……!」 小さな声とともに、身体がこちらに倒れてくる。 「お嬢ちゃん危ないっ!」 ロメオはとっさに腕を差し出し、制服の少女を受け止めた。 「あ、ありがとうございます……」 シャルローザが、ゆっくりと顔を上げる。 だが、立ち上がろうとして、今度はビリリ! 制服の胸元が、ぱっくり大きく破れてしまった。 「うわわっ!」 (憧れの制服なのに……!) とっさに胸を隠して、うなだれるシャルローザ。 そこに、ふわり、ロメオの上着がかけられて、頭に手のひらがのる。 「とりあえずもっかい仮縫いしてもらいな」 一度だけ髪を撫ぜられ、シャルローザは嘆息した。 「………私、自分で思っていた以上の体型なんですね。ダイエットとかした方がいいのかも?」 「いや、お嬢ちゃんの場合、太ってるってことじゃなくて。女性らしい体型だってことじゃないか?」 おそらくロメオは、思ったままを言っただけだろう。でも聞いた言葉に、シャルローザの頬が染まる。 「女性らしいって……うっ、いざそう言われますと恥ずかしいです」 彼女は、上着に顔の下半分を押し付けて、上目遣いで、ロメオを見上げた。 ロメオが困惑したように、自身の髪をかき混ぜる。 「あー……自分で言っといてなんだが、セクハラ発言ではないんだ、うん」 「……わかって、ます……」 そう、わかっているから、余計に照れくさい、というか。 見つめ合い、二人はただただ、黙り込む。 「かわいらしい方たちね」 「そうですねぇ」 近くの椅子に座っていたファブレ夫妻が、穏やかに笑った。 ※ エマ・シュトルツは、ふんわり広がったスカートを、お姫様のように両手で持って、鏡の中を覗き込んだ。 襟元の大きなリボンも、袖のアレンジも、事前にお願いしていた通り。 (ミハエルさん、褒めてくれるかな) 胸の中で、大事なパートナーの名前を呼ぶ。それだけで、心臓がどきどきしてしまいそう。 そのときカーテンの向こうで、教団員の声がした。 「あ、サイズ良さそうですね、えっと、ミハエル・ガードナーさん!」 (えっ、ミハエルさんもう着替え終わったの!? い、急がなくちゃ……!) エマは慌てて振り返り、試着室のカーテンを開けた。 「お、おまたせしま……」 そう、一歩を踏み出そうとして。 「ぴぎゃあっ?!」 段差に足が、引っかかってしまった。 (ああ、だめ、転んじゃう!) ぎゅっと目を閉じ、咄嗟に覚悟を決めたのに。 (あれ、痛くない……?) エマが倒れ込んだのは、温かなものの上だった。 それがなにかを認識する前に、聞き慣れた声が、耳に届く。 「っ、お嬢様、お怪我はありませんか?」 「ミ、ミハエルさん……!」 エマは目を見開いた。 その視線の先には、床に背をつけながらもエマを抱きとめ、柔和に微笑むミハエルの姿があった。 「ご、ごめんなさいっ、私は大丈夫です……」 エマは、慌てて起き上がろうとした。 しかし転ぶときにひっかけたのか。スカートが、びりびりに破れてしまっている。 (ど、どうしよう……っ!) 息を止め、羞恥に頬を染めた少女の耳に、先ほど、ミハエルの制服を確認してくれた男性団員の声が届いた。 「あーあ、やっちゃいましたねえ」 ルビーの瞳に、じわじわと涙が浮かんでいく。 それを許せぬのが、ミハエルである。 彼はすぐさま、エマを背で隠すようにして振り返ると、教団員の両肩をがしりと掴んだ。 「貴方は何も、見ませんでしたよね?」 「えっ……」 「見 ま せ ん で し た、ね?」 笑んだ口元に対し、瞳はまるきり笑っていない。 男がこくこくと頷くと、ミハエルが「それでは」と唇を動かした。 「裁縫道具を貸していただけますか? お嬢様のお身体に、何人たりとも触れさせるわけにはいきませんので」 「エマ様、どうか泣かないでください。その可愛いお姿に涙は似合いませんよ」 裁縫道具が届くまでの間。 ミハエルは自身の上着をエマの膝の上にかけ、大きな手で、泣きじゃくるエマの手のひらを包み込んでいた。そうしないと、彼女が涙溢れる目元を、ごしごしと擦ってしまうからだ。 「でも、私、貴方に、こんな、みっともないところを、見せてしまって……上着だって借りて……迷惑をかけているし」 嗚咽交じりの言葉に、ミハエルはゆるりと首を振る。 「あなたと共にいて、迷惑を感じたことなんて、一度もありませんよ」 エマは赤色の大きな目を瞬いて、今度はミハエルの優しさに、涙をこぼすのだった。 ※ 「この方が動きやすいもんね!」 セアラ・オルコットは自身の太ももで揺れるスカートを見下ろし、納得したように頷いた。 リクエストしたのは、まさにこの丈。 「それにしても、ブーツやソックスまで頼めるなんて……」 教団ってすごい、とセアラは呟く。 スカートを短くした分、あわせるブーツを長めにしたり、オーバーニーソックスをガーターで止めたりできるからだ。 「これなら足さばきの邪魔にならないし、完璧!」 セアラは試着室のカーテンを開けた。 一方キリアン・ザジは、セアラほど満足はしていない。 「この穴の位置なんですけど、もちっと下にできません? くすぐってーんで」 「あー羽ばたくと引っかかるわ。可動域ってもんをすね……」 制服を支給されると知った当初は「なーんで制服なんて必要なんすかねぇ」とか言っていたわりに、なかなかのこだわりようである。 そこに、少女の声が響いた。 「見て見てキリー!」 ……正直、すぐに見るまでもない。 あの声、あの足音となれば、セアラが走ってやって来るに決まっているのだ。 「なーんで大人しく歩いて来れねーんすかねお嬢は」 キリアンは小さくため息をついた。 しかしセアラは、そんなキリアンには頓着せず。 彼の前で立ち止まると、背筋を伸ばして、両腕を大きく開いた。 「どう、似合う?」 「へぇへぇ似合ってま……」 言いかけキリアンは目をみはり、セアラとともに、声を上げた。 「うぉ!?」 「うひゃあっ!」 少女の胸のボタンが、ぱちんとはじけ飛んでしまったからである。 下にのぞくは、おそらく……下着? 「やだ! キリー! 押さえて!」 「いや俺かよ!」 男にそんなところを触れというのか、という思いを込めて言ったのだけれど。 セアラは、きりっと真面目な顔で。 「キリーだよ!」 「何だと思われてんだ自信なくすわ! ていうか自分でやれ!」 キリアンは、セアラの肩を掴むと、その場でくるりとターンさせた。 「さっさと試着室行ってこい!」 つい勢いで、タメ口で怒鳴りつけてしまったことにも、気付かない。 とたとたと走る少女を見送って、キリアンはまた、ため息をついた。 どうか泣かないでください、と。 隣からは、パートナーを優しく宥めているらしい、男性の声が聞こえている。 だがキリアンは、セアラにそれほど優しくできはしない。 今まで目付け役として、十年以上も彼女の世話を焼いていて、知らないことがないとは言わないけれど、知らぬ間柄ではないと思っていた。 それなのに、いや、だからこそ? 弾けた制服の向こうに見えた、丸いふくらみに、動揺しているのだ。 (いつまでも乳臭ぇガキと思ってたら意外に……いやいや何考えてんだ俺) 意識せず、ぱたぱたと銀灰の翼が揺れて、制服の布が引きつれた。 (俺は飛ぶときゃ脱ごう。それが一番楽な気がする) そう決めて、キリアンは尻尾の先で床を叩いた。 ※ 「よりにもよって、この男の前で初の制服を披露する事になるとは……折角の試着が台無しです」 リーゼ・アインベルクは胸のボタンを止めながら、試着室で呟いた。 カーテンで区切られた部屋からは、他のエクソシストたちがパートナーとともにはしゃぐ声が聞こえている。 「まったく、素敵なパートナーに恵まれている他の皆様が心底羨ましいですね」 ボタンを留め終え、鏡の中の自分を見る。 スレンダーな身体のわりに大きな胸に、きゅっと引き締まった細い腰、そしてスカートから見えるふっくらした太もも……。 「って、こ、この服……なんだか、短くありませんか?」 少し背を丸めれば、お尻のふくらみが見えてしまいそう。 「大丈夫でしょうか……」 リーゼは半身をひねり、突きだした腰を覗きこんでみた。 スカートの中はぎりぎり見えないか? でも肩も腕もちょっときついよう。 しかもこうしてちょっと動いただけで、胸のボタンがはじけ飛びそうなほど、布が引っ張られている。 「全体的に、身体のサイズにあっていないような……? とりあえず脱いで、担当の方に相談しましょう」 リーゼは胸のボタンに手をかけ、それをひとつずつ外していった。 首筋、鎖骨、胸元と、滑らかな肌が露出していく。 ――と、試着室の外から、ギル・マイヤーの声。 「リーゼたん、着れたぁ? このカーテン、開けていいっ?」 「えっ、ちょっと待っ……」 慌てて返事をするも。 「だめ~、開けちゃうよ~」 言うなりギルは、じゃっとカーテンを開けてしまった。 上半身だけ振り返ったリーゼの目と、ギルの目がばっちり合う。 固まるリーゼ。 たいしてギルは、脱ぎ途中の制服から見えている、胸の谷間を凝視した。 目線はそのまま、ひねった腰を経由して、つんと上がったヒップへ向かう。 「リ、リーゼたんのおぱんちゅ&ブラ丸見え! おほぉぉ~!」 「嫌っ、見ないでくださいっ……!」 「無理無理、こんなの見ないわけないでしょぉぉっ!」 ギルは試着室の中に入り込み、ギルを遮ろうと手を伸ばしたリーゼを、その腕ごと抱きしめた。 「け、汚らわしい! 離れてっ……!」 なんとか身をよじり、その場を逃れようとするも、男はそれを許さない。 その上吐気が、耳朶をかすめた。 「いいのかなぁ? 僕に逆らったらリーゼたんのパパとママが困るんじゃなぁ~い?」 「この、卑怯者っ……!」 リーゼは唇を噛みしめた。両親の顔が脳裏に浮かべば、男に無為な事などできるはずがない。 ――と、ギルの腕から力が抜ける。 ほっと安心した……のもつかの間。 彼はリーゼを解放すると、いそいそと自らの服を脱ぎ始めた。 「なっ……なにをっ」 「恥ずかしいならさ、僕も脱いであげるから一緒に楽しもうよ、リーゼたぁぁん!」 「いやああああ……っ!」 今にも飛びかからんばかりのギルを、リーゼは思い切り突きとばしたのだった。 ※ 試着室から出て着た姿に、二人は互いに目を瞬いた。 先に口を開いたのは、明智・珠樹である。 「……やはり、千亞さんは男性の制服なんですね」 白兎・千亞が小さく頷く。 「あぁ、女性ものは慣れないからな」 そこで、何故、と珠樹は聞かない。 空気を読んでいるのか、単になんにも考えていないのか。 おそらく前者だろうと、千亞は思う。 (こいつはどうしようもないド変態だが、阿呆ではないからな) 五年前に兄が失踪してから、千亞は、自身の性別を自覚する機会が減っている。 女であることが、嫌なわけではない。ただ、兄の代わりにならねば、と思ってはいた。 珠樹の靴先に視線をやって、千亞は細く息を吐く。 珠樹は、黙り込んだ千亞に、目を細めた。 (千亞さんなら何を着ても似合うでしょうに) 思いはするが、言わない。 人には、立ち入ってはならない場所があることは、承知しているのだ。 だからこそ、言葉のかわりに、ふ、ふ、ふ、と低い声を出す。 「と、いうことは。バランス的に私が女性制服を着た方が……」 ほとんど反射の勢いで、千亞のうさ耳がぴくりと揺れた。 「止めろド変態」 麗しい顔、赤い瞳が珠樹を睨み付ける。 「おまえはそもそも制服を着る気はあるのか? いつも私服なイメージだが」 そのまっすぐな眼差しに、珠樹は肩を震わせた。 (ああ、千亞さんが、私を凝視しているっ……) そう、伏せた瞳よりも、その方がよほどいい。 珠樹はにこりと微笑み、赤い唇を動かした。 「勿論、着ますよ。私の着心地の良いようにお願いはしましたが……」 「見た目普通だが、何が違うんだ?」 「……ふ、ふふ。見たいですか…?」 千亞の顔が、ものの見事に歪んでいく。 (ああ、それでも麗しいですっ、千亞さんっ!) 珠樹は満ち溢れる喜びを胸に、腕を頭上高くにあげて、腰を左右に揺らして叫んだ。 「アケーチパワー! へーんしーーん!」 すると、なんということでしょう。 珠樹の制服が、するりといっきに脱げてしまったではありませんか! 「なんだあっちすごいな。明智・珠樹……どんな技をっ……」 少し先から、ギルの声が聞こえる。だがそれがいけなかった。 他人の目があることを、千亞が思いだしてしまったのだ。 白い頬を赤く染めた彼女は、脚を高く上げた。 「このド変態!」 しなやかな筋肉がまっすぐに伸び、下着姿となった珠樹の尻を蹴り上げる。 「あふううんっ!」 だが珠樹は、それで気落ちする男ではない。 彼はよろめきながらも千亞の攻撃を受け止めると、ふらりと一歩、彼女に近寄った。 「なんて素晴らしい脚力! 愛の営みの実用性抜群です、ふふ……! さあ千亞さん、何度でも蹴っていいのですよ……。ええ、お好きなだけ、気のすむまでっ!」 手を広げ、腰をくねらせる珠樹に、千亞はもう嫌だと、ため息をついたのだった。 ※ 「ほかのエクソシストたちでしょうか……。賑やかな声が聞こえますね」 リチェルカーレ・リモージュは、鏡の前でくるりとターンをした。 ふんわり開いた袖とスカートの裾で揺れるフリルは美しく、動きにくいところは見当たらない。 「エクソシストの制服を着たんだもの。シリウスの足手まといにならないようにしなくっちゃ」 胸の前で、細い指をぎゅっと握る。 そして意を決して、試着室のカーテンを開け、一歩を踏み出したのだ、が。 「ごめんなさい、お待たせし……」 言いかけたところで、言葉は悲鳴に変わった。 ついうっかり段差に躓き、足がもつれてしまったのだ。 「きゃあ!?」 とっさに、目の前の、シリウス・セイアッドの身体にしがみつく。 その逞しい身体は、自身とリチェルカーレの体重を共に支えても、揺らぎはしない。 だが、どこかにひっかかったのか。 仮縫いの制服のボタンは、ぱちん! とはじけ飛んでしまった。 「ご、ごめんなさい…!」 「……いや」 いっきに蒼白になるリチェルカーレを、シリウスは見下ろした。 転んだ彼女を支えたことも、ボタンが取れてしまったことも、シリウスにとっては、大した問題ではなかった。 だがリチェルカーレは、瞳に涙すら浮かべて、ボタンがなくなってしまった、シリウスの制服を見つめていた。 「折角の新しい制服、どうしよう……!」 「どうせ仮縫いだ。問題ない」 「で、でもっ……そうだっ、上着、貸してください……!」 携帯しているソーイングセットから、リチェルカーレが、針と糸を取り出す。 その縫い針が、ボタンホールから先を出し、再び布の向こうへ沈んでいくのを、シリウスはじっと見つめていた。 「……器用だな」 「難しいことはできないけれど、このくらいなら……」 手を止めたリチェルカーレが、ちらと目線を上げる。 が、シリウスの、半袖から伸びる筋肉質の腕が視界に入って、慌てて目をそらした。 (私、あの腕に抱きとめてもらったんですね……) 心臓が、どきどきうるさく鳴っている。だから、だろうか。 「痛っ……」 ついうっかり、縫い針の先を指に刺してしまった。 「あっ……」 (制服に血がついちゃう……!) 慌てて布から離した手を、シリウスがそっととる。 「大丈夫か」 互いに目が合い、見つめあったのは、おそらくは数秒間。 ――それはリチェルカーレが、翡翠に見入る時間に等しい。 血はすぐ乾き、リチェルカーレはまた、針を動かし始めた。 「精一杯がんばるので…これから宜しくお願いします」 ボタンのついた制服を差し出し言えば、シリウスが小さく頭を下げる。 「――とりあえず、何もない所で転ぶなよ」 その顔に、一瞬だけ微笑が浮かび。 (笑ってくれた……!) リチェルカーレが、目を見開く。 が、すぐにからかわれたのだと気付き、彼女は大理石の肌を、赤く染めたのだった。 ※ 「うわあ、制服が、全然違う!」 遅れて試着室入りしたベアトリス・セルヴァルは、感嘆の声を上げた。 ほかのエクソシストたちは、既に私服に着替えていたが、直しを待つ制服が、ずらっとかけてあったのだ。 「これは占い師だよね。ああ、こっちのドレス風も素敵だし、ミニスカートも動きやすそう……! 袖が広がっているのゴージャスな感じで……とはいっても、改造なしもシンプルでいいなあ。 あ、男装、その手もあったかあ」 嬉々として見比べているベアトリスの耳に、ぱたり。聞き慣れた足音が届いた。 振り返ると、そこにいたのは当然――。 「ジョシュア!」 ジョシュア・デッドマンは周囲のエクソシストや、教団員にぺこりと礼をしつつ、ベアトリスの方へと向かって行った。 「子豚の制服はどうだ?」 尋ねるジョシュアの方は、自身の制服に、おおむね満足していた。 ロングコートタイプで、呪符を入れる内ポケットを付けて欲しい。 そんな願いに、しっかり応えてもらえていたからだ。 (これくらい立派な服を貰えるんなら、ま、そこそこに頑張りますかねぇ) そう思いつつ、新しい制服をさっそく着崩しているのだが。 ベアトリスは、ぴょんと飛び出たミニブタの耳を揺らして、にこにことやってきた。 着ている制服のマフラーや服の裾には、花の刺繍が入っている。 「これ、故郷のお洋服と一緒なんだよ」 そう言って笑いながら、腕を広げて、その場でくるりと回って見せるベアトリス。 スカートがひらりと舞い、銀糸の髪も、ふわりと揺れる。 しかし、少々動きが大きすぎたか。 「あっ……!」 ジョシュアの目の前で、胸のボタンが、飛んでしまった。 「……あっはっはっは!盛大に飛ばしたな、笑わせるなよ」 ジョシュアは、弾けた胸に大笑い。 だが。 「せっかく素敵な制服を作ってくれたのにすぐ破いちゃったよ…」 いつも元気な少女の、落ち込んだ声を聞き、真顔になって嘆息した。 ボタンを拾って、ベアトリスに差し出す。 「大丈夫さ、仮縫いって言ってただろ。君はまだ若いからサイズが変わるのは仕方ない、な?」 「ぴったりだったら似合うの?」 「ああ、すごく似合うよ」 言えば、悲しそうだった表情が、一変、はにかむ笑顔に変わった。 「そうかなあーでも嬉しいよ」 たった一言、ジョシュアに褒めてもらえただけで、胸に温かいものが広がっていく。 でもだからこそ、ベアトリスは、破れてしまった制服が残念だった。 「うう、ちょっときついと思ったから、もっと注意すればよかったんだよね……」 その言葉に、ジョシュアは、自身のロングコートのウエスト部分をとんと叩いた。 「見てくれ。私の腰回りも少しきつい」 少々おどけた声で言うと、ベアトリスがえへへ、と笑った。 「おじさん太り期かな」 「子豚の手料理で太っちまったかもしれんよ」 「差し入れする時は、もっとヘルシーなメニューにしなきゃね」 そう言うベアトリスの頭は、すでに『今度作るメニュー』のことでいっぱいだろう。 ジョシュアは、厄介事も面倒事も、好きではない。 だがベアトリスのことは、放っておけないと感じるのだった。
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*** 活躍者 *** |
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[11] ルーカス・ファブレ 2018/04/12-16:18
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[10] セアラ・オルコット 2018/04/11-23:55 | ||
[9] 白兎・千亞 2018/04/11-23:07 | ||
[8] シャルローザ・マリアージュ 2018/04/11-16:38
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[7] リチェルカーレ・リモージュ 2018/04/10-22:19
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[6] エマ・シュトルツ 2018/04/10-21:29
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[5] ルチア・ファブレ 2018/04/09-22:29
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[4] リーゼ・アインベルク 2018/04/09-22:20
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[3] 白兎・千亞 2018/04/09-22:13 | ||
[2] ベアトリス・セルヴァル 2018/04/09-21:13
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