~ プロローグ ~ |
東方島国、ニホン。 |
~ 解説 ~ |
自分だけの風鈴を作り、神に奉じた後にパートナーへ渡す、というエピソードです。 |
~ ゲームマスターより ~ |
祭りとは賑やかなものだけではない。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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【風鈴】 デザイン:花火 形:少しでこぼこ 音:甲高い音 大きさ:大きめ 【行動】 (風鈴作りか楽しそう。) 「ニホンの文化を知る機会だと思ってさ。」 半ば強引にルイを誘って風鈴作り。 ルイに渡す風鈴はどんなのがいいかと絵柄に悩んでいる途中で(10話)のルイとの約束を思い出して花火を風鈴に描くことにする。また必ずルイと一緒に花火を観ると言う誓を込めて。 「また一緒に花火を観ると約束したから。」 風鈴作りは上手くいかなくて出来上がった風鈴は少し不格好になってしまったけどルイにこの思いが伝わればいいと思いそう言ってルイに渡す。 「覚えてない?」 酔っ払っていてその時の記憶が無いらしくそんな約束をした覚えは無いとルイは言う。 |
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初めての風鈴作りに挑戦 ニホンの文化に触れて楽しめたら >会話 リ:ふう、りん? セ:ウィンドチャイムとは違う物? リューイは四苦八苦しながらも一生懸命 セラは器用に進めながら そんな彼を見て小さく笑う できあがりを見て セ:まあ 上手くできたじゃない リ:形がなかなか取れなくて… セラのは綺麗だよね (リューイの少し眉を下げての言葉に ふふと笑って) セ:そう?でも私、リューイの物が好きよ どても良い音 リ:そうかな? (照れたように微笑んで) 出来上がった風鈴を持って華斬様に奉じる 風になる互いの風鈴の音に目を細めて セ:風鈴の音には魔を祓う意味合いもあるそうよ リ:そうなの?じゃあこの音が災いを祓って 幸運を招いてくれたらいいね |
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浮いている華斬に面食らいながら挨拶 ヨ こんにちは 私達はアークソサエティから来た浄化師です ベ ここは景色と音が素敵な場所だな 風鈴作り ヨ 碧色のやや大きめの低い音 花火の絵柄 べ 瑠璃色の小さめで高い音 白ヌキの桔梗の絵柄 作りながら何とは無しに ヨ 華斬さん⋯様? 風鈴の神様なのにどうして猫なんでしょう ベ 猫と風鈴 いいじゃないか風流で ヨ そういうものですか⋯(姿形を思い出しつつ)でも可愛らしい方でしたね べ 撫で回したさそうな顔をするな ヨ は⋯? そんな顔してません(してる べ (どうだかという顔 ヨ していませんってば!(手が滑る 出来上がった 少し歪な自分の風鈴を見て少し仏頂面のヨナ ヨ ⋯ベルトルドさんが変なこと言うから⋯ |
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~ リザルトノベル ~ |
「そうそう、そうやって空気を送り込みながら回して作っていくんさ」 【ヨナ・ミューエ】と【ベルトルド・レーヴェ】、【リューイ・ウィンダリア】と【セシリア・ブルー】、【モナ・レストレンジ】と【ルイス・ギルバート】それぞれのペアに一人ずつ、地元の瑠璃細工師が付いて指導を行っていた。 瑠璃細工、いわゆるガラス細工を吹きながら形成していく吹きガラス方式は当然初めて。 上手くいかない、思うような形に形成できないというのは当たり前と言えば当たり前。 けれどもパートナーの事を思って風鈴を形成していく全員は、何度も何度もその形成作業だけを繰り返していく。 「ところで、どういう風の吹き回し?」 ガラスが冷えて、形が固定化されるまでの時間でルイスが、隣で同じく固定化を待っているモナへと尋ねた。 この風鈴作りへの参加はどうしてか? と。 「日本の文化を知るいい機会だと思ってさ」 半ば強引にルイスを誘ったモナは、その心情を明かす。 固まった風鈴の形状を確認し、大きさが気にくわなかったらしく、再挑戦の旨を瑠璃細工師へ。 そんなモナに、 「そう言えばだけど、モナはどんな絵柄にするの?」 何を描くか決まっておらず、パートナーがどんな絵柄にするのかを聞いて参考にしようと考えたルイスが口にする――が。 「悩んでる」 返ってきたのは一言で、そして、何の参考にもならないもので。 がっくり肩を落としながら、モナとは対照的にこれでもかと大きくなってしまった風鈴を瑠璃細工師に渡し、モナと同じく再挑戦を伝えるのだった。 * そんな二人から少し離れた位置で、同じくガラス吹きを行っていたヨナは、 「そう言えば、華斬さん……様? 風鈴の神様なのにどうして猫なんでしょう?」 何の気なしに口に出した。 「猫と風鈴、いいじゃないか風流で」 そんなヨナへ反応したベルトルドは、冷ましている最中の風鈴を出来るだけ遠ざけ、どうにかして熱さから距離を取ろうと努力しており……。 「そういうものですか……? でも、可愛らしい方でしたね」 その光景を微笑ましく見つつ、物欲しそうな表情をしたヨナの内心を、ベルトルドは看破していた。 「撫で回したそうな顔をするな」 「は……? そんな顔していません」 ベルトルドからしてみれば、全く説得力も何もない些細な抵抗の言葉に過ぎないのだが、それでもヨナは否定する。 「していませんってば!」 その否定も虚しく、自身の内の欲求を見透かされた、とベルトルドの表情で分かり、即座に語気を強めるが、それに反応したのはヨナ自身の身体のみで。 ベルトルドにからかわれたこと……おしゃべりへの意識を向けすぎたために、彼女は自分の持っていた筒、それを、手を滑らせてしまったのだ。 辺りに鋭い割れる音が響き、咄嗟にヨナとベルトルドが破片を拾おうとするが、それを瑠璃細工師に手で制される。 「こんなの日常茶飯事やけぇ、気にせんでええど。にしてもお二人は、ほんに仲睦まじいやねぇ」 にっこり微笑み、柔らかな物腰で言われた二人は顔を見合わせてつられて微笑む。 先に熱したガラス玉を付けた吹き筒を受け取ったヨナは、ゆっくり自分のペースで。 冷めた風鈴の形を確認したベルトルドは再度形成し直すことを伝えて、ヨナと同じく吹き筒を受け取り、ヨナに合わせたペースで。 静かに流れる時間の中で、二人はゆっくり二人のペースで、風鈴を形取っていくのだった。 * 「へぇー。それで風鈴を奉じるようになったんですか?」 「そうさぁ。お空はどこまでも続いているし、風は止まらず吹き続けるからねぇ。思いを乗せればきっと想い人に届く、と子供の頃に教わったもんさぁ」 皆と同じくガラスが冷える時間を利用して、リューイとセシリアは地元の人との会話を楽しんでいた。 どうやら今は、この祭りの由来などを尋ねていたところらしい。 「確かに、風に乗ってどこまでも飛んでいきそうな音ですもんね」 「ウィンドチャイムとは違う、……何というか、透き通った音色ね」 ニホン特有の、『趣(おもむき)』ある風鈴の音色は、確かに説明を受けた通り、風に溶けどもソレに乗って、どこまでも行きそうだと二人は思う。 冷えてきた二人の作ったガラスは、片方は歪で片方は綺麗。 器用さの分かる風鈴はセシリアの持つ吹き筒の先端に付いており、歪な風鈴は、リューイの持つ筒の先端に付いていた。 しかしお喋りに夢中になっているらしく、風鈴の形を気にせずにリューイが問う。 「お婆さんは、どんな思いを風鈴に込めたんですか?」 自分らの側に座り、話し相手になってくれていた一人へと。 「さぁねぇ。最後に風鈴を奉じたのはいつかねぇ。私には想う人が居なくなってしまったからねぇ」 文字通りに重い思いを乗せたその言葉に、リューイは咄嗟に謝ろうとするが、 「ええんよええんよ。もう昔の話だし、弱気にならないと決めたからねぇ。お兄さんはお嬢ちゃんの事をしっかり想ってあげるんだよ」 ちょこんと座って待つセシリアの頭を撫でながら、守るでも、助ける、でもなく、『想う』様にと言われた意図を、二人は静かに考える。 想い、という短い言葉に秘められた、この老婆の心の真意を。 やがて風鈴が冷え、その形に決めるかい? と尋ねられ、セシリアはこれでお願いします。と瑠璃細工師へと吹き筒を手渡して。 対してリューイは――、 「もう一回だけ、挑戦します」 そうはにかみながら答え、今一度挑戦する。 お婆さんの話を聞いて、悔やまない程に、振り返ったときに、後悔など無いように。 思いの一つ一つをしっかりと乗せ、ゆっくりゆっくり、吹き筒を回しつつ風鈴を作るのだった。 * 吹き筒から切り取って貰った風鈴を手に取り、モナは満足げ。 吹きすぎたのか、大きくなってしまい、奏でる音は甲高く。 回す速度が一定じゃなかったためか、綺麗な丸ではなく、所々にでこぼこしている。 が、見ていて非常に味がある。 ましてやこれはパートナーに送る物。大事なのは形ではなく思いの強さである。 さて、そんな思いを送るこの風鈴に、果たして何を描くのが相応しいか。 この風鈴作りの話を聞いたときから考えていたが、その答えにはまだ至っていない。 思いと言えば実にたくさん浮かぶのだが、その中から一つを絵に、と言われると途端に困ってしまう。 出来た風鈴を前に、しばらく腕を組んでのにらめっこが続く。 ――と。 「……あ。花火」 思い当たったのは先日、ニホンにおいて楽しんだ、船の上から花火。 特に印象にあるのは、パートナーであるルイスと結んだ一つの約束。 珍しくルイスから望まれた、震える声での懇願。 『来年も、一緒に花火を見れるよね?』 思い出したモナは、ひっそり微笑んで、ゆっくり筆を取った。 絵柄は決まり、後は示すだけ。 自分の、神へと奉じるパートナーへの思いを……。 そんなモナを横目で見ながら、ルイスは肘をついて風鈴をつついていた。 パートナーにどんな絵柄か? と尋ねるくらいには思いつかないのだ。 絶えず手を動かし続けるパートナーに焦りを感じ、何か思いつかないかと固く眼を瞑ると、一つ、思い浮かぶものがあった。 それは、自分たちの前に現れた神様を名乗る猫の姿。 というよりは、その猫が発した名前の『華斬』という文字。 華……そう、花。 花には花言葉というものがあった筈で、ふととある花言葉を思い出したのだ。 果たしてそれは、彼女に送る風鈴に似つかわしいのか。 風鈴の絵柄としてどうなのか。 巡る思いはルイスの胸の中でのみ回り、彼は静かに筆を取る。 白い花を描きながら、その花言葉を風鈴に込めながら。 杏の花は『臆病な恋』。その想いを届けるには心が弱く。 けれども、伝わって欲しい、感じて欲しい。 そんなちょっぴりワガママな、彼の心のどこかに眠る強い想いが、その絵柄を描くことを決めたのかも知れない。 * 「まぁ、上手に出来たじゃない」 「形がなかなか取れなくて……セラのは綺麗だよね」 比べられたと思ったのか、少し困った顔をしながらセシリアが作った風鈴の感想をリューイが口にすると、 「そう? でも私、リューイのが好きよ? とてもいい音」 工房へと入ってくる風に、リューイの風鈴が奏でる音に耳を澄ませ、セシリアが返す。 「そうかな?」 照れたようなはにかむ表情を見せ、リューイは風鈴へと向き直る。 描く絵柄は風鈴を切り取ってもらっている間に決めていて、リューイは迷いなく筆を手にした。 全体に青を塗りたくり、乾いた事を確認し、慎重に、ゆっくりと赤を重ねていく。 紫とまでは呼べないまでに、青の中に赤みを移す事に成功し、細工用にと用意された金粉や銀粉を静かに塗す。 描くは夜空。このニホンに伝わる天の川をイメージし。 いつも見上げればそこにあるように、横を向けば隣に居てくれるセシリアを想い。 彼女の好きな夜空の景色は、すこし歪な形がいい味を出していた。 真剣な眼差しで、一生懸命に描くパートナーを見て微笑ましく思い、セシリアもまた、筆を走らせる。 何かを描くと言うよりは、模様を付けていくように。 彼の瞳の色と、自分の思うイメージカラー。 青と金の色彩を、無地で透明な風鈴へと筆に乗せて滑らせていく。 筆の動くイメージは流水。 決して彼が、淀(よど)まぬように。何にぶつかったとしても、止まらず進んでいくように。 願いを込めた模様の後の、追加された赤の流水は果たして何を意味するか。 固く胸へと秘めた想いを知るのは、描いた本人と、のちに奉じられる華斬様だけである。 * 「ベルトルドさんが変なこと言うから……」 出来上がった風鈴が少し歪になってしまったのが不満なのか、少し仏頂面になったヨナが言う。 「人のせいにしない」 「分かってますよ! もうっ!」 分かってはいても、誰かのせいにしたい思いが透けるヨナだが、そうした思いも、受け止めてくれる相手が居るからだろう。 「それで? 風鈴には何を描くんだ?」 「ええと……、ニホンに来て、夜市で見た花火が綺麗でしたので。――ベルトルドさんは?」 「俺? 俺は七夕祭りの時に、お前が着ていた浴衣が印象的だったからそれを」 他のペアと違い、先に描く柄を確認しているこの二人は知っている。 互いが互いに、言いたいのだ。 何を描くか、そして、どんな思いで描くのかを。 「私ですか?」 「浴衣の柄」 「そうですか」 聞かれたいが、全部を口にはしたくない。そんな、焦れったい思いを。 ヨナの描いた花火の絵柄は、何故碧色で背景が塗られているのかを。 瑠璃色の地を白ヌキし、描かれた桔梗の花込められた言葉の意味を。 一方は、パートナーの深い碧色の瞳に映る花火を見つめていたから。 一方は、パートナーの吸い込まれるような瑠璃色に映える浴衣だったから。 印象的だった理由はともに同じで、けれどもそれは口からは出てこない。 神様がもどかしささえ感じる両者が込めた思いの中で、たまたまなのか意図してか。 神様が思わず笑みをこぼしたその思いは、桔梗の花言葉。 『永遠の愛』。 それをベルトルトが知っていたかどうか、答えは彼の中にしか存在しない。 最も、白桔梗の花言葉は『清楚』だが、ベルトルドはどちらの意味で使ったのだろうか。 * いつもより少しだけ奉じられた数が多い風鈴を前に、華斬は欠伸をしながら思いを読んでいく。 風鈴におでこをひっつけて。あるいは、一歩引いて耳を澄まして。 そうして風鈴を様々な感じ方で思いを読み取り咀嚼して、どこからともなく取り出した刀で、折角奉じられた風鈴を横一文字に斬りつける。 当然、音を立てて斬れてしまう風鈴達だが、斬られた風鈴は一向に地面に落ちることはなく。 斬られたままの位置で落ちることもなく、ただ停滞し続けるだけ。 笑った華斬が納刀し、周囲に風を吹かせた途端。 風鈴達は、まるで斬られた事実など無かったとでも言うように、引かれ合ってくっついてしまう。 断面は目視では確認できず、どんなに風が鳴らしても、その音に曇りも偏りも、違和感一つ存在しない。 一息吐いた神様は、誰に届くわけでもない独り言を口にする。 「にゃーん。神様が想いを断とうと斬ったのに、斬れなかったにゃぁ。斬っても斬れぬ、強い想いの込められた、素敵な風鈴達だにゃ~。にゃはっ。届かにゃいだろうけど、胸を張るといいにゃぁ。君たちの風鈴に込めた想いは、これで神様のお墨付きにゃぁ」 一通り満足するまで各々の風鈴の音色を堪能した華斬は、風に乗ってその姿を薄れさせていく。 かくして祭りのメイン、風鈴の奉納が終了した『風鈴華残』は、残すはお互いに風鈴を渡すだけである。 * 風止まぬ丘の風車小屋。 奉じた風鈴はそこに移動することを教えてもらい、三組はそれぞれその風車小屋へと赴いた。 「それで? どんな絵柄にしたの?」 単刀直入にモナへと聞いたルイスに応え、真っ直ぐに伸ばされたモナの指の先には……。 約束を秘めた大きめの風鈴が、甲高い音を鳴らして揺れていた。 響は大きく、吹く風に抗うように音を鳴らすその風鈴は、夜の暗さに抵抗する花火のようで。 「また一緒に花火を見ると約束したから」 自分の作った風鈴を外し、絵柄に込めた意味を口にしながらルイスへと手渡す。 ――が。 「そんな約束をした覚えはないけど」 「……覚えてない?」 酔っていたせいか、覚えていないというパートナーの言葉に、がっくりと項垂れるモナだったが、改める。 自分が忘れなければいいのだと。 「僕のはこれだよ」 秘めた想いは秘めたままで、恥じらいを隠すようにぶっきらぼうに突き出されたその風鈴は、モナのものとは対照的に小ぶりであり音も控えめ。 秘めすぎるあまりに抑えすぎた風鈴は、それでもしっかりと柄によって想いを伝えている。 「素敵な……柄」 その想いが伝わっていない事を祈りながら。 そして、酔っ払っていて、自分には記憶が無いその時に、自分の気持ちを吐き出してしまったのではと不安に駆られながら、ルイスはモナの手を取って、風車小屋を後にする。 手を取ったことを拒まれないことに、密かに安堵しながら。 * 「花火柄花火柄……これか」 「その隣のお花の模様が、ベルトルドさんのですね」 最初から相手の風鈴を手に取った二人は、聞いていた柄を自分の想像と比べて、明らかに違う部分にすぐに気が付く。 背景の色。 どちらも気が付くが口には出さず、小さめの風鈴を耳元に近づけて、高めの音色を楽しむヨナと。 その姿を見ながら、やや大きめで低い音色に感じ取るベルトルドは、互いの込めた深いところまでの意図までは読めずとも、なんとなく察して表情を和らげる。 二つの想いは繋がれど、交わる事無く寄り添って。 いずれ結ばれる未来があるなら、そこへ向かうのも悪くはない、と。 どちらが思ったか、それとも両方か、それとも、神の勘違いか。 言葉交わさずとも自然と寄り合った二人のために、神はまた、風を使いに出させる。 持ってくるのは二つの音色。 響く二つの和音は、溶けて混ざって響き合い。 ほんの僅か、玉響程の時間だけ心地良い音の重なりを聞く者の耳に届け。 高く高く、昇っていくのだった。 * 昼に現れた天の川と、空に現れた流水。 それぞれ渡るべき存在の手の中で、音色を奏で続けている。 セシリアの手のひらに収まるサイズの風鈴は、見た目こそ歪だが、その音色はセシリアにとってかけがえのないもので。 リューイの持つ、少し小さめの風鈴から聞こえてくる澄んだ音色は、彼の心へとそっと寄り添う。 互いのことを思った、イメージしたその風鈴の音色は、お互いの心に溶ける優しい音色。 「風鈴の音には魔を祓う意味合いもあるそうよ」 「そうなの? じゃあこの音が災いを祓って、幸運を招いてくれたらいいね」 村の住人にそっと聞いた言葉をリューイに伝えると、リューイらしい答えが返ってきたことに、セシリアは頬を緩めて穏やかに笑う。 願わくば、風鈴に込めた思い通りに、お互いが、過ごすことが出来ますように。 声に出さずに音色に溶かした想いは果たして、同じ音色を聞いている相手に届くだろうか。 その答えは、やっぱり神様だけが、知っているのだろう。 帰り際、一筋の風が吹いたのは、果たして、どんな意味があったのだろうか。
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*** 活躍者 *** |
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該当者なし |
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[4] モナ・レストレンジ 2019/08/10-17:25
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[3] リューイ・ウィンダリア 2019/08/09-22:19
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[2] ヨナ・ミューエ 2019/08/09-11:28
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