噂の幽霊屋敷
普通 | すべて
8/8名
噂の幽霊屋敷 情報
担当 狸穴醒 GM
タイプ ショート
ジャンル サスペンス
条件 すべて
難易度 普通
報酬 通常
相談期間 5 日
公開日 2018-04-10 00:00:00
出発日 2018-04-18 00:00:00
帰還日 2018-04-27



~ プロローグ ~

●ある労働者の話
 広場に面した酒場は、仕事を終えた労働者たちで賑わっていた。
 高級な店ではない。料理の匂いと煙草の煙がたちこめる中を、ジョッキを携えた娘たちが行き交う。
 客同士が語り合う声は大きく、時折けたたましい笑い声が響いた。

「聞いたかよ、隣町の先週の事件!」
 大ジョッキのビールを飲み干して、商店で働く男が言う。
 答えるのは宿屋の下働きの若者だ。
「知ってますよ、あれでしょう?」
「何の話だ?」
 同じテーブルの客は事情を知らないらしい。
 商店員と宿屋の下働きは顔を見合わせてから、わざとらしく声をひそめた。
「終焉の夜明け団ですよ」
「そうそう。薔薇十字教団がアジトを摘発したんだとさ!」
「身体に十字架を埋め込んだ連中が、10人以上も捕まったらしいですよ」
「その話なら俺も聞いたぜ」
 別の客が話に加わった。
「まだ何人か信者が逃げてるんじゃなかったか?」
「そうらしいな。案外、まだそのへんに信者がいるかもしれないぜ」
「やだぁ、怖いわねぇ」
 酒場の娘が客に同調しながらジョッキを並べていく。
 男たちはひとしきり終焉の夜明け団の悪口を言ったあと、別のニュースへと話題を移した。

 その賑やかなテーブルを背にして、カウンター席にひとりで座る男がいた。
 他の客同様に服装は質素だが、この店で一番上等の料理をつまみにビールを飲んでいる。
「今夜はずいぶんご機嫌だねぇ。いいことでもあったのかい?」
 店主がカウンターの中から男に声をかけた。
「おお、わかるか! 仕事がうまくいったんで給金を弾んでもらったんだよ」
「それは何よりだな」
「頑固者の親方に褒められてなぁ。いやぁ、生きてるとこういうこともあるもんだ」
 嬉しげに言って男は酒を追加する。ジョッキにビールをつぎながら、店主が釘を差した。
「飲みすぎるなよ。あんたの家、不気味なお屋敷の前を通るだろ。帰り道には気をつけな」
「なんの、まだまだ!」

 結局、男が店を出たのは夜半近くだった。鼻歌混じりに帰路につく。
「ふんふんふふーん……なべて世はこともなし、とねぇ」
 彼の家は路地の奥である。
 あたりは古い住宅地で、ガス灯も少なく暗い。男のほかに通行人はいなかった。
 男は路地に入った。
 生い茂った木々が路地にはみ出し、視界を遮っている。
 木々の奥には、長いこと放置された屋敷があるはずだった。
 千鳥足で歩きながらふと視線を上げたことに、特に理由はない。
 荒れ放題の屋敷は暗闇の中で黒い塊と化し、建物と庭木の区別もはっきりしなかった。
「……ん?」

 そのとき、男は見た――ぼんやりした光が、屋敷の庭木の間に揺れるのを。

 男は魅入られたように光を見つめた。
 そのうち光は何かに導かれるようにふわふわと動き、円を描く。
 そうして、かき消すように見えなくなった。

 どこかで野良犬が遠吠えをしている。
 男はしばらくそこに立ち尽くし、光が消えた方向を眺めていた。
「……幽霊?」
 やがて彼は我に返ると、一目散に逃げ出した。



●指令
「今度の指令はブリテンのさる地主からの依頼で、妙な噂のある空き家を調べてほしいというものです」
 指令書を見て集まった浄化師たちに、薔薇十字教団の団員が説明をする。

「空き家の敷地内で、人魂のようなものが何度も目撃されているとか」
 目撃者の階級はバラバラだが、皆ごく真っ当な市民のようである。
「皆さんは問題の空き家内部を調査し、市民に危険が及ぶ可能性があるようなら排除してください」
 要するにこの指令は、幽霊屋敷の調査ということらしい。

 生物が死ねば、魂は天国または地獄へゆくと言われている。
 しかし何らかの理由で魂が地上に留まり、幽霊となって怪奇現象を引き起こすこともあるというが――
「幽霊はもちろんですが、街中とはいえベリアルが入り込んでいる可能性もあります。くれぐれも油断は禁物ですよ」
 真面目くさって団員は言った。

「それと、依頼人は屋敷の安全が確認できたら清掃して貸し出したいようです。むやみに家を傷める行為は避けてくださいね」


~ 解説 ~

■目的
1.『幽霊屋敷』の調査。
2.調査の結果、危険が確認された場合はその排除。

■依頼人
空き家の持ち主。市民階級の実業家で、土地や建物をいくつも所有しています。
問題の屋敷は5年前に親族から相続したものですが、仕事が忙しくて放置していました。

■現地情報
○幽霊屋敷?
ブリテンのとある街にある、こじんまりとした屋敷です。
一週間ほど前から、人魂のような不審な光の目撃情報が相次いでいます。

中は依頼人も立ち入ったことはありません。
概要は教えてもらえますが、実際にこの通りかどうかはわかりません。

【来歴】
・屋敷は築150年ほどで、依頼人の持ち物になる前から20年近く誰も住んでいなかったそうです。
・住む人がいなかった理由は、元の持ち主の子どもたちが仕事や結婚で街を出ていたから。
・過去にこの屋敷で起きた事件や事故の記録はありません。
・古い建物なのでときどき不気味がられていたものの、よくある噂話程度です。

【構造】
・敷地の周囲は高さ2mほどの金属製の柵がめぐらしてあります。柵の北側中心に門扉。
・建物の玄関は北側で、前庭に面しています。裏手にも庭がありますがどちらも荒れ放題。
・建物は外から見ると2階建て。地下室もあるかも、と依頼人は言っています。
・建物の出入り口は正面玄関と厨房の勝手口です。
・各部屋と廊下に窓がありますが、鍵がかかっています。
・門と玄関の鍵は依頼人が貸してくれます。

■特記事項
調査期間は丸1日とします。
訪れる時間帯は自由です。プランに記載してください。


~ ゲームマスターより ~

まいど、マミアナサトルでございます。
幽霊屋敷探索をお届けします。

補足ですが、ディスメソロジア世界に幽霊は実在します。
幽霊は何らかの事情や心残りを抱えており、対処には皆さんのような魔術師の力が必要です。
しかし今回の場合、本当に幽霊かどうかは……?

調査の手順、気をつけたい点など、参加者の皆さんで決めてください。
プランに書く内容を話し合って分担するのも有効だと思います。
戦闘が発生する可能性もあります。ぬかりなきよう。

では、どうぞよしなに。





◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇

薙鎖・ラスカリス モニカ・モニモニカ
男性 / アンデッド / 陰陽師 女性 / 人間 / 魔性憑き
■目的

幽霊屋敷調査、及び屋敷内の危険排除。

■行動

2階窓から見られ難い経路で昼に仲間と屋敷に接近し、
手分けして外周部の侵入形跡捜索。

その後勝手口から入り、手近な部屋から足跡や埃の積もり具合の差等、
侵入痕跡確認しつつ、地下室の存在も考慮し捜索する。
三角折りの大判ハンカチを巻き鼻口覆う。
暗所はランタン使用。火の取扱厳重注意。
所持品適時貸出。

昼調査で原因特定できぬ場合、夕刻に集合し情報交換後、
照明消し2階窓から周囲確認しつつ夜を待つ。
昼に脅威排除時も念の為夜に確認。

交戦時は薙鎖が符で牽制、モニカが接近格闘。捕縛を試みる。
可能なら庭に追い立て外の仲間と挟撃。

霊絡みなら事情確認し成仏できるよう取り計らう。
ベアトリス・セルヴァル ジョシュア・デッドマン
女性 / ライカンスロープ / 魔性憑き 男性 / アンデッド / 陰陽師
侵入者が外から来たわけじゃないんだとしたら
地下室とか、部屋から出てきたってことになるのかな?
そうなると…やっぱり幽霊?
ジョシュアは人間だろうって考えてるっぽいけど、そういう可能性も捨てきれないよね。

探索中は私も 獣人変身をして匂いを探ろうかな
土や植物以外の人工物のようなにおいをはっけんしたら報告するね。

夜に潜む場合はあたしたちは庭に隠れて侵入者を待つよ
ランタンをともして、その上から上着とかなにか布をかぶせて光が漏れないように。

敵意のある侵入者と対峙した時には詠唱し戦闘態勢に、ジョシュアを守るようにして立つ
ステップスマッシュで攻撃を加えつつ、仲間たちに「何と交戦中なのか」大声で伝え応援要請する。
エリィ・ブロッサム レイ・アクトリス
女性 / 人間 / 狂信者 男性 / エレメンツ / 占星術師
◆行動
日中~夜に調査
最初に、屋敷周辺住人に聞き込み
不法侵入かつ滞在しているなら、物資の調達も必要なはず
そのため最近見かけない人物の目撃情報や変わったことがないかを中心に確認

その後屋敷内部・1階をメインに探索
誰か侵入したのなら、床や家具の埃や蜘蛛の巣などに乱れがあるはず
形跡を探しつつ、地下室の入口も探す
メモに屋敷内の見取り図を簡単に記入
概要と違っていた箇所など気になった所を確認

探索後は一度集合して情報交換
隠れて夜まで待機
異変が起こったらすぐに確認
敵対するようであれば戦闘に移行
魔術真名を唱え、家屋が傷つかないよう配慮
相手が人間なら、殺さず縄で捕縛
幽霊なら事情を聞き、解決できるよう協力・成仏を祈る
シュリ・スチュアート ロウハ・カデッサ
女性 / マドールチェ / 占星術師 男性 / 生成 / 断罪者
◆作戦
時間は昼から夜
皆と協力し手分けして屋敷の内外を調査する

夕刻、情報共有のため一旦入口に集合
昼の調査で解明に至らなかった場合夜まで物陰に潜伏し動きがあれば対応

◆行動

わたしとロウハは屋敷内の二階を中心に探索
状況に応じて二階以外も
ロウハが先導し一部屋ずつ中を確認
わたしはメモ帳に簡単なマッピング+部屋の情報を記入
人の気配や痕跡、危険がないか常に神経を張り巡らせる
隠し部屋・通路の有無も調査


噂の光を目撃したら気配を殺しながら追跡


探索中に第三者を発見、怪我人が出る等緊急事態と判断したら魔術通信で連絡

第三者と対峙したら対話を試みる
相手に敵意がある場合屋敷内での戦闘は避け、屋外に追い立て交戦のち縄で拘束
ラウル・イースト ララエル・エリーゼ
男性 / 人間 / 悪魔祓い 女性 / アンデッド / 人形遣い
まず、探索中に敵を発見したら大声で救助を呼ぶようにする。

行く時間帯は昼のほうが良いと思う。
まず、皆で手分けして屋敷外周部を捜索する。

その後屋敷の内部2Fで異変がないか探索。
特に異常がないようだったら、夕刻に一旦皆で集合。

その後夜まで内部に隠れて、異形がやってくるのを待つ。
ランタンがつけば良いんだけど…つかなかった場合、
ララエル、頼んで良いかな?

異形がやってきたらワーニングショットで攻撃。
なるべく屋敷は傷つけないように。

え? …そうだな、僕は怖くないよ。
ドリス・スノウディア リンミュール・エレド
女性 / マドールチェ / 狂信者 男性 / ヴァンピール / 墓守
・目的
屋敷調査し原因解明

・心情
幽霊はまだ見た事がないので、いるのなら見てみたいですの
わくわくします(無表情

・行動
昼から行動開始
依頼主から鍵受け取り
屋敷の間取りなど概要を確認しておく

担当は前庭
足元に注意しつつ一通り歩いて探索
館の外観や土の色など違和感がないか見ておく
依頼主の話と何か相違がないか注意

夕刻集まり情報共有

昼で解決できなかった場合夜まで待機
昼の間に身を潜められそうな場所に目星をつけておく

ランタンは何か起きたらつける
目をつむるなどして暗闇にならしておく

終了後安全確認

・戦闘
中距離から通常攻撃

家を傷つけないよう注意払う
外なら思いっきり

後衛のため、なるべくランタン掲げ前衛中衛の視界確保
ジエン・ロウ 吉備・綾音
男性 / 生成 / 陰陽師 女性 / アンデッド / 墓守
幽霊屋敷かぁ…魂が迷子にでもなってるのかな?

目的は屋敷の調査。人魂の正体が分かれば上々かな?
屋敷内は陽のあるうちに調査を、俺達は内部。主に二階部分を重点に調べる。
埃の積もり方とか家具の配置とか引っかかるものがあれば覚えておこう。
二階部分の調査が終わったら一度他のメンバーと合流して情報交換を。

陽のあるうちの調査で何かわかればいいし。夜を待つ必要があると判断したら。
夜に再度屋敷内へ調査へ。この時はランタンを使用。

戦闘があった場合は粛々と対応。おもに綾音のサポートをする。

さて、噂の人魂とやらが本物なのか。それともそれを利用した何かなのか…。
まぁ、どちらにしても俺達は任務をこなすのみだよ。
リーゼ・アインベルク ギル・マイヤー
女性 / 人間 / 断罪者 男性 / 人間 / 狂信者
●行動方針
・リーゼ
なるべく一日の早くより行動を起こします

現地調査よりまず、この屋敷そのものの情報が不足していると感じました
ですので事前に情報収集も行います。
欲しい情報はこの建物の建った由来、現在の持ち主様へと渡った際の経緯など
持ち主様は勿論、近辺の住人様にもお伺いするつもりです
心霊現象の原因、或いはそれを偽装する人物像が浮かび上がるかもしれません

情報収集後は現地にて皆様と合流
手分けして屋敷外周部捜索で進入の痕跡調べ、その後3チームに分かれ調査
(私は人数の足りないチームへ)

万が一戦闘の際は屋内を傷めないよう注意しつつ前線を張ります

・ギル
リーゼたんの後をついて回る
出来るなら写真撮影で幽霊の痕跡探し


~ リザルトノベル ~

●幽霊屋敷の噂
「一週間くらい前から、見慣れない人たちが買い物に来る……それは確かなのデスネ?」
「ああ。その通りさ」
「ローブを着ていて顔は見えず、手袋をしている、ト?」
「そうだ。最近はすっかり暖かくなったのに、変に厚着なんだ」
「ナルホド。とっても参考になりましたのデス。ありがとうございマス!」
 魔術師らしいアレンジの教団制服をまとったエリィ・ブロッサムはにこやかに言う。
 雑貨店の店主はつられて笑った。
「どういたしまして。何の仕事か知らないけど頑張ってよ、浄化師さんたち」

 雑貨店を離れたエリィ。先程までの愛想はどこへやら、がくりと肩を落とす。
 彼女のパートナー、エレメンツのレイ・アクトリスが不思議そうに尋ねた。
「どうしたんです、有力な情報じゃないですか」
「生きてる人間の仕業の可能性が高くなってきたのデス……がっかりなのデス……」
 レイは物語に出てくる王子様のように微笑んだ。
「そんなに落ち込んだ顔をしないでください、レディ。
 幽霊屋敷の正体を見極めることが僕たちの使命です。どんな情報でも意味がありますよ」
「――そうデス!」
 レイの話を聞いていたのかいないのか、エリィは突然顔を上げた。
「不法侵入だって大問題デス! せめて家賃を払ってもらわないと!」
「家賃……?」
「凹んでなどいられませン! 頑張って探検しまショー!」
 えいえいおーと腕を振り上げ先を行くエリィを、レイはため息混じりに追う。
(まぁ、やる気が出てるなら、良しとしましょう)

 問題の空き家へ向かう前に情報収集をする者は他にもいた。
「名義を持っていた人が5年前に亡くなったので、甥が相続した……おかしなことはありませんね」
 聞き込みメモを眺め、リーゼ・アインベルクはため息をつく。
「心霊現象の原因や、偽装する動機のある人が見えてくるかと思ったのですが」
 そんなリーゼの耳元に、突然荒い息がかかる。
「リーゼたん、憂い顔もたまんねぇ……」
「きゃっ!」
 リーゼは飛び上がった。
 後ろに忍び寄っていたのは、彼女のパートナー、喰人のギル・マイヤーだ。
「いつからいたのですか?」
「ず、ずっと」
 ゲヘヘと笑うギル。リーゼはギルを睨み、嫌悪感を隠そうともせず背を向ける。
 ついてきているギルのことは意識の外に追い出した。
(まあ、いいでしょう。世界に住む人々の心の安息を守ることが、世界を護ることにも繋がるはずです)



●幽霊屋敷の疑惑
 指令を受けた浄化師たちは、話し合いの結果昼間に屋敷を訪れることにした。
 彼らは今、問題の屋敷の門前に集まっていた。

「薔薇十字教団というのは、幽霊屋敷の調査なんてことも請け負うのですね……」
 黒髪を揺らし、アンデッドの女性、吉備・綾音が小首をかしげる。
 綾音とパートナーの祓魔人ジエン・ロウにとって初めての指令だ。
 浄化師は戦ってばかりいるのかと思いきや、こんな指令もあるらしい。
「さて、噂の人魂とやらが本物なのか。それとも別の何かなのか」
 ジエンがそう口にする。丸眼鏡をかけた半龍の青年である。
 東方風の独特な服を着た綾音とジエンは、浄化師の中でも目立つ部類だ。
「ジエンさん、なんだか楽しそうです」
「そう? せっかくなら指令も楽しんだほうが得だよね」
 ジエンは朗らかに笑った。
「まぁ、どちらにせよ俺たちは任務をこなすのみだよ」

「このお屋敷、どんな人が住んでいたのかしら」
 シュリ・スチュアートが緑色の瞳で屋敷を見上げる。魔術人形マドールチェの少女である。
「幽霊って、この世への未練とか強い恨みとか、強い意思をもって存在するものよね」
「って話だな。俺は幽霊の知り合いいないからわかんないけどな」
「もう、ふざけないでっ」
 パートナーのロウハ・カデッサの軽口にシュリは眉をひそめる。
「でも、ここで大きな事件や事故の記録はない……誰かいるとしたら、やっぱり生きた人間なのかしら?」

「手分けして探すことにしましょう。1階と2階、それに庭」
 指令書と屋敷を見比べ、ラウル・イーストが言う。
「庭は前庭と裏手と、2箇所あるようですの。そちらも手分けしたほうが良さそうですの」
 そう言ったのはドリス・スノウディア。小柄な銀髪の少女の姿をしたマドールチェだ。
「4グループに分かれるのがいいか?」
 ドリスのパートナー、リンミュール・エレドが言う。
 銀髪のヴァンピールの青年で、ドリスとは兄妹ということになっている。
 庭木の奥に潜む屋敷をぼんやり見ているのは、ラウルのパートナー、ララエル・エリーゼだ。
(お化け屋敷、かぁ……)
「どうしたんだ、ララ。まずは外周を調べる」
「あっ、行きますっ!」
 ララエルは小走りにラウルの後を追いかけた。

「何も視えませんね。動物霊はときどきいるけれど」
 柵ごしに屋敷を眺めつつ、薙鎖・ラスカリスがつぶやく。
 彷徨える魂を視やすい体質を持つ薙鎖だが、彼の目にも特別なものは映らない。
「……ナギサ。お化け、本当にいない?」
 薙鎖のパートナー、喰人のモニカ・モニモニカが青ざめた顔で尋ねる。
 モニカは今回やけにおとなしかった。どうやら幽霊が苦手らしい。
「今のところ、幽霊はいないみたいです」
「ほ、ほんと? よかったぁ……ナギサは、お化け、怖くない?」
「怖くはありません。どちらかというと心配、というか。なんとかしてあげたいかな」
 僕もお化けみたいなものですしと続けようとした薙鎖は、柔らかいものに鼻と口を塞がれた。
「怖くないなんてナギサは偉いわぁ! いい子いい子」
「むぐ、ちょ、モニカさん、離して!」

「何やってんだありゃ」
 薙鎖とモニカの様子を眺め、ジョシュア・デッドマンがため息をつく。
 外見だけなら今回参加した浄化師の中でジョシュアが最年長である。
「まあいい、引き続き痕跡を探そう。柵の下をよく見てくれ」
 彼のパートナーでライカンスロープの祓魔人、ベアトリス・セルヴァルが尋ねる。
「ねぇ、やっぱりジョシュアは人間だと思ってる?」
「私はそう思うね。出入りできるのは玄関と勝手口らしいが、他にも侵入経路があるかもしれん」
「うーん、決めつけるのは早い気がするけど」
 屋敷を囲う柵は2メートルほどの高さがあり、乗り越えるには骨が折れそうだ。
(でも、外から来たんじゃないとすると、地下室とか部屋から出てきたってことに……やっぱり幽霊?)
 考え込むベアトリスの鼻を、突然の衝撃が襲う。
「ふぎっ!」
 ジョシュアが立ち止まっている。ベアトリスはその背中に顔をぶつけたのだった。
「急に止まらないでよー!」
「――見つけたぞ」
 振り向いたジョシュアは、ベアトリスの抗議を無視して口角を上げる。
 彼の指差した先には――柵の下、かすかに泥のついた靴の跡が残っていた。



●幽霊屋敷の庭
 浄化師が全員敷地に入ったことを確認して、リンミュールが門扉を閉めた。
「中に何かいた場合、逃走防止のためにね」
 リンミュールはそう説明する。
「生身の侵入者相手なら確かに合理的ですね」
 ラウルが感心したように言う。
 それから浄化師たちは屋敷の各所ヘ散っていった。

 屋敷の背後の庭は前庭より雑草が多く、庭木も伸び放題で視界が悪い。
 リーゼは庭の地面の様子を観察していた。
(何か、見つからないでしょうか)
 屈んでいるため短いスカートが持ち上がり、後ろから見ると非常に危ういことになっている。
 と、不意に嫌な予感を感じた。
「……っ!」
 勢いよく振り向く。
 リーゼの背後、至近距離で中腰になったギルがいた。
「そこで何をしているんです?」
「決まってるだろ?」
 ギルは下卑た笑いとともに親指を立てる。
「リーゼたんのサービスショットをゲットす」
「――いい加減、真面目に働いていただけませんか?」
 かぶせ気味に言って冷え切った目で睨みつけると、ギルはへらへら笑い「ご、ごめん」と言って後ずさる。
 リーゼはため息をつき、探索を再開した。

 同じ裏庭で、ジョシュアも屈み込んで地面を睨んでいる。ベアトリスが背中に問いかけた。
「何か見つかった?」
「いや……クソ、雑草が多すぎて足跡なんかわからん。子豚も探してくれ」
「う、うん」
 ベアトリスは周囲を見渡す。離れたところにリーゼとギルがいるが、こちらは見ていない。
(あんまりやりたくないんだけど……しょうがないよね)
 ベアトリスの頭上。ぴょこぴょこと動いていた桃色の耳が大きくなる。
 鼻が潰れ、顔の形が変化する。
 手足が縮み、身体が折れ曲がって四足歩行に適した姿勢になる。
『――ぴぎっ!』
 さっきまでベアトリスの立っていた場所に、可愛らしいミニブタがいた。
「よしよし子豚、自分の務めを果たす気になったか」
『ひっ、必要だと思ったからっ!』
 ベアトリスはくぐもった声で言い、周囲の匂いを嗅ぎ取るため特徴的な形の鼻をひくひくさせる。
「何か感じるか?」
『うーんと、草と、土と』
「それだけ?」
『待って。これ、何の匂いだろ。絶対知ってる匂いなんだけど……』
 ベアトリスのピンクの耳がぴんと立った。
『わかったっ!』
「おい、待て子豚っ」
 ベアトリスが短い手足を繰り出して駆け出す。その先には勝手口の扉。
『これ、ランタンの油の匂い!』

 ドリスとリンミュールの担当箇所は前庭である。
「やはり幽霊ではない、ということでしょうか」
 ドリスは無表情のままだが、どこか落胆したような口ぶりである。
 時折敷地外にも目を向けつつ、リンミュールは妹に答える。
「ジョシュアさんが柵の下に足跡を見つけたそうだ。幽霊は足跡は残さないんじゃないかな」
「残念ですの。幽霊はまだ見たことがないので、いるのなら見てみたかったですの」
「見てみたかったって、遊びじゃないんだぞ?」
 林のごとく生えている雑草をかきわけながらリンミュールは肩をすくめた。
「……お兄さまも期待してらしたのでは? 指令の説明を聞いてるとき、目が輝いていましたの」
「……」
 血の繋がりはなく一緒に過ごした時間も長くない兄妹なのだが、似ているのは外見だけではないらしい。
 と、ドリスが顔を上げる。無表情の中にかすかな緊張が見て取れた。
「シュリさまから通信を受信しましたの。お屋敷の中で、何か見つかったようですの」



●幽霊屋敷の探索
 屋敷玄関の扉は、重々しい音を立てて開いた。
 古びた匂いが浄化師たちの鼻を刺激する。
 玄関ホールの左右に廊下が延び、正面に2階へ続く階段がある。依頼人から聞いていたとおりだ。
「それでは、僕たちは2階を。異変が発見できなければ、一度夕刻に合流しましょう」
「了解デス! 何かあったら皆さんを呼びますデス」

 2階へ向かうのはラウルとララエル、シュリ、ロウハ、それにジエンと綾音だ。
 ラウルのあとを追うララエルが、持ち込んだランタンを灯す。
 カーテンのない窓から陽の光が入ってくるが、屋敷の中は薄暗い。灯りがあったほうがいいだろう。
「気をつけないと転んじゃいそうですね」
 不気味な軋みをあげる階段は、屋敷が放置されていた時間を思わせた。
 静寂が耳について自然と話し声も小さくなる。
「立派な家だったようだけど……放置されたお屋敷って、寂しいものね」
 メモ帳に間取りを書き留めながらシュリがつぶやく。
「お嬢、足元気をつけろよ。あちこちガタが来てるからな」
「そんなことわかって、きゃっ!」
 ロウハの警告に唇を尖らせたとたん、シュリがよろけた。ロウハが素早く抱きとめる。
「言わんこっちゃない」
「ちょ、ちょっとつまづいただけよ」
 階段のへりの絨毯がめくれている。屋敷を人に貸すには修復が必要だろう。
(万一床が崩れたら……俺がお嬢を抱えて飛べばいいか)
 半竜のロウハはそんなことを考えていた。
 彼にとってはシュリの安全が第一なのだ。

 一行は2階の左右に並ぶ部屋を順に見ていくことにした。
 手前の部屋の扉は開けっ放しで、がらんとした空間に日差しが差し込んでいる。
「迷子の魂は……少なくともここにはいないみたいだなぁ」
 部屋を見渡してジエンが口にする。彼にも少しだけ霊を視る力があるのだった。
「ずいぶん埃が厚く積もってるね」
「家具を動かした跡もないですし……私たち以外は誰も来ていないみたいです」
 ジエンと綾音は特に床に注目していたのだが、異変は見つけられない。
 次の部屋には寝具を剥ぎ取られたベッドがあったものの、似たような様子だった。
「2階のこちら側はここまでのようです」
 ラウルを先頭に廊下を戻る。
 そのラウルの上着の裾が、不意につんつんと引かれた。
「……ララ?」
「む。びっくりしないのですね」
「当たり前だろう。後ろを歩いているのはララなんだから」
 ラウルは苦笑交じりに言う。
 以前はララエルに冷たくあたったこともあったが、近頃は彼本来の優しさが出るようになっている。
 ラウルの裾を握ったまま、ララエルは尋ねた。
「ラウルは、お化けが怖いですか……?」
「え?」
 不安を湛えた、すがりつくような目。少し気圧されながらラウルは答えた。
「……そうだな、僕は怖くないよ」
「怖く、ない……」
(じゃあ、私のことも……?)

 そうして2階組が階段まで戻ってきたとき、階下から声が聞こえた。
「みんな、来てクダサイ!」



●幽霊屋敷の発見
 時は少し遡る。
 屋敷の1階の探索を担当するのは、薙鎖とモニカ、それにエリィとレイだ。

「家賃をきっちり取り立ててやるのデス!」
 ランタンを灯したレイの後ろで、エリィは鼻息荒く言う。
「家賃はともかく、侵入者がいるなら埃や蜘蛛の巣に乱れがあるはずです。よく探しましょう」
 2階ほどではないが、絨毯の残骸が残る床はぎしぎしと不穏な音を立てる。
 向かって右手の廊下へ進むと、居間らしき広い部屋に出た。
「あっ……レイさん、あれ!」
 部屋に入るなり、エリィが興奮気味に指差す。
 そこには彫りの深い顔立ちの立派な紳士が、落ち窪んだ目でこちらを睨んで――

 勝手口に回った薙鎖とモニカは、妙なものを発見していた。といっても幽霊ではない。
「……壊れてるわね」
「壊されてるみたいですよ」
 勝手口の取っ手が叩き壊され、鍵がかからない状態になっているのだ。
「やっぱり誰かいるのかしら?」
「あ、モニカさん、待ってください」
 薙鎖はハンカチを取り出してモニカに渡し、もう1枚で自分の口と鼻を覆う。
「埃対策です」
「なるほど! ナギサ、偉い~」
「あの、それは後で……」
 両腕を広げるモニカをかいくぐり、薙鎖は勝手口から屋敷へ入った。
 踏み込むなり、埃がもうもうと巻き上がる。
 もとは屋敷の厨房だったはずだが、大きなカウンターだけが壁沿いに残されていた。
「昼間なのに暗いですね」
「ワタシ、ランタン持ってるわよっ」
 ランタンを灯したモニカは、それをふと今入ってきた勝手口の方へ向けた。
「……蜘蛛の巣、ドアにはついてないのね」
「え?」
 モニカは胸を張る。
「ワタシ、掃除は得意なのよ」
「それ今関係あります?」
 つっこみを聞き流し、モニカは床をじっと見た。
 厚く積もった埃は部屋の隅に多く、中央は薄くなっている。その一部に、他と違う箇所があった。
「ねえ、ナギサ。あれ……足跡、じゃない?」

 一方、居間にて。
「……絵なのデス」
「持ち主のご先祖でしょうか。放置するとは感心しませんね」
 薄暗がりの中で訪問者を睨みつけていたのは、大きな肖像画だった。
 他にめぼしいものはなく、エリィとレイは玄関ホールへ戻る。
 左手の廊下には、使用人部屋とおぼしき部屋や物置があった。
 注意深く床や天井を調べていると。
「――誰かいたようです」
「ハイ。足跡がありマス」
 ふたりはランタンで足元を照らしながら慎重に進む。
「あ、エリィ、レイ!」
 廊下で薙鎖とモニカに行き合った。
「キッチンに足跡があったのよ」
「僕たちはそれを追ってきたんです」
「ワタシたちも見つけましタ!」
 4人はやがて、ひろびろとしたバルコニーつきの大広間に突き当たる。
「すごい! 舞踏会とかできそう。ナギサ、踊る?」
「ちょ、モニカさん引っ張らないで」
「あ、待ってクダサイ。レイさん、ここの壁を照らしてくれますカ?」
「仰せのままに、レディ」
 レイがランタンを掲げると。
 低い位置に取りつけられた木の扉が、そこにあった。

「みんな、来てクダサイ! 大発見デス! 地下室を見つけましタ!」



●幽霊屋敷の秘密
 集合した浄化師たちは石造りの階段を降りていた。ひんやりとして足音がやけに響く。
「本当に地下室があったのね」
「滑るなよ、お嬢」
 シュリにロウハが手を貸す。
「ワインや食料の貯蔵庫だったのでしょうね」
 周囲を眺めてラウルが言った。ララエルは不安そうに身を縮め、人形のルルを抱きしめる。
 階段はほどなくして終わり、朽ちかけた木の扉が現れた。
「さて、何が出てくるのかな?」
 ジエンが楽しげに揉み手をする。
「態勢を整えてから開けますの」
「ああ。どうやら侵入者がいるのは間違いな――」
 ジョシュアが言いさしたところで。

 唐突に、扉が開いた。

 ひどく疲れた様子の男が、扉から顔を出していた。
 男は目の前に現れた浄化師たちを見て、理解できないといった様子でまばたきを繰り返し。
「……薔薇十字教団!」
 即座に蒼白になり扉を閉めようとする。
 男のローブの袖がめくれ、左手の甲に十字架が埋め込まれているのが一同の目に入った。
「終焉の夜明け団デス……!」
 エリィの緊張した声と同時にロウハが走る。
「逃がさねえぜ!」
 閉まりかけた扉に足を挟み、勢いよく開け放つ。

 地下室には壊れかけた木箱が重なり、食料の袋などが散らばっている。
「おとなしく降参しなさい! 命まではとりません!」
 凛とした声で言うと同時、リーゼは剣を抜き放つ。
 終焉の夜明け団――大魔術師アレイスター・エリファスを蘇らせようと企む狂信者たち。
 魔術研究のためなら非道もいとわない彼らは基本的に薔薇十字教団の捕縛対象だ。
「どうしてここが!」
「怯むな! 薔薇十字教団などに我々は屈せん!」
 信者たちが次々と杖を構える。
 飛んできた魔術弾をリーゼは上半身のひねりで躱した。
 スカートがふわりと広がり、薄暗がりに彼女のしなやかなラインが浮かび上がる。
「抵抗するなら斬り伏せるまで!」
 伝説の騎士姫のごとく銀髪をなびかせ、凛としてリーゼは告げる。
「はっ!」
 一気に距離を詰め、正面の信者に袈裟懸けに斬りかかった。信者の悲鳴が上がる。
 そして彼女の横で、もうひとつ悲鳴が。
 目を向けると、ギルが魔術弾を撃った姿勢で手を前に伸ばしていた。
 視線に相変わらず下心がにじみ出ているが。
(仕事をしている分には文句は言えませんね……)
 リーゼは再び顔を前に向ける。

「人間相手となると面倒ですね」
 綾音は大鎌『紅ノ月』を構える。
「残念ながらやむを得ないね。行くよ、綾ちゃん」
 仲間を護るように綾音が前へ出て、ジエンが援護の態勢を取る。
 飛び込んできた信者を綾音が鎌で受け止めた。
「恨みはありませんが……!」
「九字・急急如律令!」
 綾音に弾き返された信者に、ジエンの放った符が襲いかかる。符に切り裂かれ、信者が倒れた。
「貴様!」
 倒れた信者の隣にいた男が杖を振り上げる。
 しかし魔弾を撃つ前に、逆に飛来した魔弾に腕を撃ち抜かれた。
「このままでは家を傷つけてしまいますの。さっさと終わらせたいですの」
 ランタンを掲げ、無表情のままドリスが言う。その前にリンミュールが割り込んだ。
「俺が相手になろう、かかってこい!」
 リンミュールが鎌をふるい、ドリスの魔弾が飛ぶ。息の合った連携だ。

 綾音とリンミュールの墓守2人が並べばそうそう突破されることはない。
 しかしドリスの言う通り、戦闘が長引けば家へのダメージが心配であった。
「お屋敷の外へ誘導できないかしら?」
「難しいだろうなあ。なんせここは地下室だし」
 前線に立つロウハを援護しながらシュリが言うが、ロウハは苦い顔をした。
「挟撃しましょう。できるだけ早く捕縛を!」
 ララエルを護るようにしてラウルがボウガンを撃つ。
 そこへ駆け込んだのはベアトリス。ジョシュアと軽く手を打ち合わせ。
「ハイファイブ!」
 ベアトリスは踊るように信者たちの群れに突入する。
 拳が華やかな軌跡を宙に描き、正面の信者がもろに顔に受けてのけぞった。
「ワタシも負けてられないわ! ナギサ、見ててね!」
 逃げようとする信者の正面ヘモニカが回り込んだ。
 舞踊のステップで攻撃を加え、ひるんだ信者を取り押さえる。薙鎖が駆け寄りロープをかけた。



●幽霊屋敷の顛末
 やがて、屋敷にいた終焉の夜明け団信者は捕縛された。
 8人の信者たちは隣町のアジトが摘発された際に逃げてきたとのこと。
 昼は地下室に潜み、夜に物資補給を行っていたようである。
 問題の人魂は、勝手口を出入りするランタンの灯りが目撃されたものらしい。

 きちんと分担したため探索に要した時間はごく短かった。
 しかし捕縛した信者の引き渡しなどで、屋敷を出るときには日が傾いていた。
「ロープを引っ掛ければこの程度の柵は越えられる。簡単にとは言わないが」
「なるほどー」
 ジョシュアの解説をベアトリスがふんふんと聞いている。
「地下室を少し傷つけてしまったけど、家の被害は抑えられたかな……」
 ラウルは安心した様子だ。
 一方、エリィは不満そうに唇を尖らせる。
「やっぱり人間だったのデス。テンションガタ落ちデス」
「そう言わずに、レディ。指令は完遂したのですから」
「不完全燃焼デス! 帰ったら魔導書を倒れるまで読まないと気が済みまセン!」
 年頃の娘のストレス解消がそれでいいのかと言いたくなったレイだが、結局黙っていた。
「幽霊だと思ったら犯罪者でしたの。ロマンがありませんの」
「こんなもんじゃないか? 俺はドリスが怪我しなかったからよかったと思うよ」
 妹を慰めるリンミュールはすでに割り切っているようだ。
 仲間たちの様子を微笑みを浮かべて見ていた綾音が、ふと視線を上げた。
「そうですね、人間相手の戦闘はあまりやりたいものではないけれど……」
 闇を吸い取ったような漆黒の瞳が、たった今出てきたばかりの空き家を映している。
「やっぱり、人間でよかったです。だって幽霊……は、とても哀しいものだと思うから……」
「……綾ちゃん」
 ジエンの翡翠の目に湛えられる色は、果たして――

 空き家は幽霊屋敷ではなかったが、今も、その噂にふさわしい不気味な佇まいであった。 


噂の幽霊屋敷
(執筆:狸穴醒 GM)



*** 活躍者 ***

  • エリィ・ブロッサム
    未知なる魔術のニオイがしマス!
  • レイ・アクトリス
    はいはい、お手をどうぞ。レディ

エリィ・ブロッサム
女性 / 人間 / 狂信者
レイ・アクトリス
男性 / エレメンツ / 占星術師




作戦掲示板

[1] エノク・アゼル 2018/04/10-00:00

ここは、本指令の作戦会議などを行う場だ。
まずは、参加する仲間へ挨拶し、コミュニケーションを取るのが良いだろう。  
 

[25] 薙鎖・ラスカリス 2018/04/17-22:58

発言滞ってしまって申し訳ありません。
こちらは屋内担当としております。

侵入経路も分かれておいたほうが逃亡抑止的にいいかと思いましたので、
僕とモニカさんは勝手口から入る旨明言しております。
その後は手近なところから調べる形にしてるので、1F担当となるのでしょうか。
あと、内部での交戦時は可能な限り外に追い立てるようにしておきました。

あと屋外班の方、こちらスコップ持参しておりますので、
ご入用でしたらその旨ご記載いただければお貸しできると思います。(要らないかな?)  
 

[24] ドリス・スノウディア 2018/04/17-22:51

同じく食べ物を持っていってマイナスになるって事はないと思うので、問題ないと思いますの。
ただ今みたらなかなかいいお値段だったので、ドリス達は一日食べなくても死なないの精神でいきますわ。

捕縛場所も庭で捕まえられる状況にできれば最善だと思いますの。
庭なら人数が多いとか周囲とかあんまり気にせず戦えそうです。
がんがんやっちゃってくださいませ。
あ。縄のお値段はお手軽だったので、ドリスも一応持っていく事にします。

ああ、あとランタンについては夜まで隠れる場合になったら基本的には灯さないでおきますの。
隠れているってばればれになってしまいますし。
なにかが起きてから灯すと記載しておきます。  
 

[23] シュリ・スチュアート 2018/04/17-20:20

侵入者と屋外でやり合うのは大丈夫じゃないかしら。
屋敷内で曲者と出くわしても戦わずに済ませるか、上手く外に誘導できればいいんだけど。
縛るための縄もあるといいかもしれないわね。  
 

[22] シュリ・スチュアート 2018/04/17-20:20

間が空いてしまってとてもごめんなさい……。
ラウルさん達、ドリスさん達、ジエンさん達、リーゼさん達もよろしくね。

基本の流れはラスカリスさんがまとめてくれた感じで了解したわ。
夕刻に一度集合するのも了解よ。
わたし達は内部の二階を中心に探索することにするわね。
メモ帳とペンでマッピングしてみるつもり。
探索中に何か緊急を要する状況になったら、魔術通信でドリスさんに伝えようと思うわ。

ラウルさんのピッキングも食料を持って行くのも、不測の事態に備えるって意味では用意しておいて損はないと思うわ。  
 

[21] ジョシュア・デッドマン 2018/04/17-17:02

おう、じゃあ仮プランには後庭探索と書いておくぞ。

あといくつか気になった点があったから意見を聞いておきたいんだが
一日中探索するということは食べ物を持って行った方が良いのか?
某名状しがたきTRPGだと食事抜くとマイナス補正かかることもあるし、もしかしたらと思ってな。
幸いショップにレーションっぽいのがあるし、念のために持っていくつもりだが…どうだろう。

もう一つ、侵入者がどこから敷地に入ってくるかわからんが
もし庭から侵入した場合そこで捕り物しちまって良いのか?
家に入られてそこで戦闘するよりかは被害が少なそうではあるが。  
 

[20] ドリス・スノウディア 2018/04/16-12:53

流れ了解ですの。
では、こちらは前庭あたりに。  
 

[19] レイ・アクトリス 2018/04/16-11:32

>ラウルさん、ララエルさん
ああいえ、僕も最初に読んだ時、ちょっと引っかかりましたから。
どうぞお気になさらず。
ジョシュアさんの仰るとおり、鍵開けが必要な事態もあるかもしれません。
その時は、どうぞよろしくお願いします。

>探索
では僕たちは内部…特に1階をメインに探索したいと思います。
そうですね。一通り調査が終わったら、一度集合した方がいいでしょう。  
 

[18] ジエン・ロウ 2018/04/16-11:31

流れは了解したよ。ランタンの準備もばっちり。
探索の方だけど俺は内部の探索の方をしようかな。
ジョシュアさんの言うとおり夕刻頃には一度合流して情報共有したほうがよさそうだね。
そこでそれぞれが気づいた点を報告し合えるといいよね。

 
 

[17] ジョシュア・デッドマン 2018/04/15-22:22

ああ、前庭と裏庭があったか、見落としてた…すまんね
ラスカリスの流れで賛成だ。
んじゃあ、言い出しっぺだし裏庭の探索立候補しとこうかね、勿論全体の意見を聞いての上だが。
日が沈む前に一回集まって情報共有もしておきたいところだ。

>鍵
私もレイの言葉通り、窓に鍵がかかってると解釈したなあ
マスターキー無いと管理もできないだろうしねえ。
ま、それでも100%確定じゃあないんだ、扉にも鍵がかかっていうる上に鍵が無い且つ、鍵穴が傷つかない程度の簡単な施錠ならラウルに任せちまっても良いんじゃないか?
 
 

[16] ラウル・イースト 2018/04/15-17:58

ラウル:失礼しました。ではピッキングはやめて、
皆さんの指示に従いますね。
余計な事を言ってすみません…

ララエル:あ、あの…ごめんなさい(しゅんと俯く)  
 

[15] レイ・アクトリス 2018/04/15-17:40

流れやグループ分け、了解しました。
できれば屋敷周辺の住人に聞き込みもしておきたいですね。
仮に侵入者がいて何度も出入りしているなら、日中でも変わった事や見かけない人物等、何かヒントが得られるかもしれません。

「各部屋と廊下に窓がありますが、鍵がかかっています」
この文章、確かにちょっと迷いますね…(苦笑
僕としては「各部屋と廊下に(鍵のかかった)窓がある」と解釈しました。
もし部屋に鍵がかかっていたとしても、依頼人が持っていないのなら、屋敷の中に鍵があるのでしょう。
依頼人の意向もありますし、緊急でなければ無理にピッキングしない方が良いのではないでしょうか。  
 

[14] ラウル・イースト 2018/04/15-08:28

リーゼさん、宜しくお願いします。

ラスカリスさんの流れ、とても良いと思いました。
ランタンは一応持って行ったほうが良さそうですね。
ただ、概要を読んでみると
『地下室もあるかも』とさらっと書いてあるのと
(地下室はどこから行けるのか?)
『各部屋と窓には鍵がかかっています』
とあるのが気になります。

僕はスキルピッキングを持っているのですが、
購買部で針金を買って
部屋も一応調べたほうが良いでしょうか?
開くかどうかはわかりませんが…(頬を掻き)  
 

[13] リーゼ・アインベルク 2018/04/15-00:08

リーゼ・アインベルクです。
飛込みでの参加となりますが、皆様よろしくお願いいたします。

昼間の事前調査と夜間の探索実行、グループ分け、共に把握いたしました。
組み分けについては明確でなければ私は頭数の足りない所に入るようにいたします。  
 

[12] 薙鎖・ラスカリス 2018/04/14-22:44

既出ではありますが、昼夜のどちらかとせず、昼のうちに行って夜まで待つ形でいいと思います。

流れとしては、既出の話と合わせてこんな感じでどうかと思いました。

・最初に手分けして屋敷外周部捜索(侵入の形跡調査)
・その後、内部/前庭/裏庭の3チームに分かれ捜索。
 前庭・裏庭担当は、外部からの侵入形跡等確認、及び内部に不審者がいた場合の逃亡阻止も兼ねる。
 (前庭・裏庭それぞれ1組程度で、残りは内部でいいと思います)
・昼調査の段階で原因特定及び驚異の排除が終わらない場合、夜まで内部に隠れて待つ。  
 

[11] ドリス・スノウディア 2018/04/14-17:20

グループ分けにも時間帯の事も賛成ですの。
いつ行くかはどちらも長所があって悩ましい所ですし、いいとこどりできれば嬉しいです。
庭は2カ所あるようなので、分かれるなら2~3グループあたりかなあと思いましたわ。
あとは夜の活動の際には相当暗いようなのでランタンあたりの準備が必要でしょうか。

組み分けについては、マドールチェのドリスとシュリさまは分かれるような形がよさそうかなーと。
種族特技に魔術通信がありますので、情報共有がかなり楽になると思いますの。  
 

[10] ジョシュア・デッドマン 2018/04/14-10:28

参加者が増えて頼もしいねえ、よろしく頼むよ。

そうさなあ、ラウルの言う通り…全員で戦闘に入っちまったら家が滅茶苦茶になる可能性が高いな。
二つのグループに別れ、一階と庭&二階の各部屋を散り散りになって調べるのが良いか?
もし一組が戦闘に入って戦力が足りなければ、大声で何と戦闘中なのか言えば何組応援に行けばいいのかわかりやすいんじゃないかと。

幽霊以外の奴がどうやって館に入り込んだか考えたんだが
窓も、そして恐らく勝手口や入り口にも鍵がかかってるなら
外に、例えば地下室に通じる扉があるんじゃないかと思ったよ、だから庭は調べておきたい。

時間帯
ジエンの案良いな
もしかしたら夜に館に侵入してくるかもしれないし。  
 

[9] ジエン・ロウ 2018/04/13-19:17

陰陽師のジエン・ロウと綾ちゃんこと墓守の吉備・綾音だよ。よろしくねぇ。

幽霊屋敷かぁ…魂が迷子にでもなっているのかな。

えーっと会議録を読んだけど…そうだね何組かのグループを作っての探索が効率的でいいと思うよ。
戦闘になった場合も混戦は避けたいよね。
探索時間は悩ましいねぇ。
調査のしやすさで言うと陽が出てる方が調査しやすいと思うし。
でも肝心の人魂の目撃談は夜だし。
うーん、陽のあるうち…午後から調査を初めて目星をつけて夜まで待つってのもありかなぁ。
 
 

[8] ラウル・イースト 2018/04/13-08:22

ラウル:悪魔祓いのラウルと、人形遣いのララエルです。
どうぞ宜しくお願いします。

ララエル:幽霊屋敷! こ、こここ怖いです~!(ぷるぷる)

ラウル:僕も、戦闘があるかもしれない事を考えると
分担したほうが良いかもしれないと思いました。
全員で動くと混戦になりそうな気もします(むむむと考える)  
 

[7] ジョシュア・デッドマン 2018/04/13-06:59

子豚に難しい話は無理だろうから交代させてもらいますよっと。
お、シュリ達はお久しぶりだ。

解説等を読んだ所感を並べさせて貰うよ。
戦闘もあるかもしれないことを考えると分担した方が良いのかね。

時間帯については戦闘があったとき、相手の方が場所に慣れているかもしれんから、陽が出てるうちが良いかと思うが、人魂の発見時刻は夜中なんだよなあ。

取り敢えず、私は床や家具に積もっているだろう埃に注視しようかと考えてるよ。
 
 

[6] ドリス・スノウディア 2018/04/13-02:54

ドリスと申します。こちらは兄のリンミュール。
どうぞよろしくお願いいたします。
ふむふむ、幽霊屋敷。とても興味をそそられる言葉ですの。  
 

[5] シュリ・スチュアート 2018/04/13-02:38

わたしはシュリ、こっちはロウハよ。
ラスカリスさん達は初めまして、ベアトリスさん達とエリィさん達は、前に別の司令でもご一緒したわね。
皆、よろしくね。

幽霊屋敷なんて、初めて入るわ。どんな所なのかしら……?  
 

[4] エリィ・ブロッサム 2018/04/13-00:46

ハーイ、エリィです!狂信者やってマス!
パートナーは占星術師のレイさんデス。よろしくお願いしますデス!  
 

[3] ベアトリス・セルヴァル 2018/04/13-00:44

ベアトリスと、バディのジョシュアです!よろしくお願いします!
幽霊屋敷だって、冒険みたいで少しわくわくしちゃうな~。  
 

[2] 薙鎖・ラスカリス 2018/04/13-00:03

陰陽師の薙鎖・ラスカリスです。
魔性憑きのモニカさん共々、皆さんよろしくお願いします。