縁と絆を深めて・その3
普通 | すべて
8/8名
縁と絆を深めて・その3 情報
担当 春夏秋冬 GM
タイプ ショート
ジャンル 日常
条件 すべて
難易度 普通
報酬 通常
相談期間 5 日
公開日 2020-02-11 00:00:00
出発日 2020-02-19 00:00:00
帰還日 2020-02-27



~ プロローグ ~

 教団本部室長室。
 これまでと同じく、浄化師に関連する人物についての話し合いがされていた。

「――以上が、現時点での報告書の概要をまとめたものです」
「巧くいっているようだな」
 ウボーから報告を聞いたヨセフは返していく。
「可能な限り、浄化師の家族や関係者については便宜を図っていきたい。これからも、この調子で頼む」
 ヨセフは、部屋に居る皆に頭を下げる。そして改めて言った。
「それで、話を戻して悪いが、オクトに関する情報収集は、現時点で集められる範囲で頭打ちか?」
「はい」
 ヨセフの言葉に、ウボーは返していく。
「今の所、ある時期を境にして、規模が大きくなったことが分かっています。そして恐らくは、3つの派閥に分かれていると思われます」
「銀朱のヴァーミリオンを首領とした元々のメンバーと、規模が大きくなったことで発生した残りのふたつ。その内のひとつが――」
「人形遣いが関わっている終焉の夜明け団ね。集められた資料を私の方で確認したけど、間違いないわ」
 鋭い声でマリエルが応えた。
 人形遣いと因縁のある彼女としては、討ち取っておきたい相手である。声に熱を帯びるのも仕方あるまい。
「出来れば、私も前に出て戦いたい所だけど――」
「まだ早い」
 ヨセフは返す。
「より情報を集めてからだ。現時点では、推測できる程度でしかないからな」
「……推測といっても、目星を付けているんじゃないの?」
「推測だ。確実な物じゃない。だが――」
 ヨセフは慧眼鋭く言った。
「俺の勘では、ナハトが関わっている」
 ナハト。
 それは教皇護衛隊のことだ。
 表向きは教皇の右腕として動く、護衛隊である。
 だがその実態は、暗殺などの暗部を行う秘密組織だ。
 名目は教皇護衛隊ではあるが、その実、アークソサエティの実質的支配者層である枢機卿の命令で、命を捨ててでも任務を達成する組織でもある。
 命令を受ければ、命を省みず行動する。
 以前、浄化師達がニホンに船で渡る際、浄化師達を殺すべくべリアルに情報を渡し、関わったナハトのメンバーは殺されているが、そういったことを平気で行えるよう、洗脳じみた教育が行われているらしい。
「ひとつの組織に、教団の上位組織といえるナハトと、終焉の夜明け団が関わっている。以前なら、敵対関係にあると考えられたところだが――」
「繋がっていると思うわよ。たぶん」
 マリエルは続ける。
「私が知ってるだけでも、教団関係者と思える奴らと、人形遣いは関わっていたから。それぞれの名前までは分からなかったけど、それは確実ね」
「敵対組織と思ったら、裏では手を組んでいる仲という訳だ。随分と複雑な状況になっているようだな、オクトは。それでいて、確実に民衆の支持を得始めている」
「はい。それもどうやら、ヨハネの使徒やべリアルを討伐することで、支持を得ているようです」
 ウボーは詳細を語る。
「集めた情報では、ヨハネの使徒については、力のある幽霊が破壊しているようです」
「10代前半の少女に見えるエレメンツの幽霊だったな?」
「はい。3人の人物と共に行動しているようです。その彼女が、オクトの指示により、ヨハネの使徒に襲撃されている村々を助けて回っているようです」
「教団の手が回り辛い地方を回って支持を得ている、か……撒き餌だろうな」
 ヨセフは、ため息をつくように言った。
「支持を得て、そのあと食い物にしていく。下手をすると、その幽霊や3人の人物は利用されているだけの可能性もあるな」
「あり得ますね……それとべリアルについては、魔喰器(イレイス)が使われている可能性が高いです。これについては――」
「……教団から逃走した研究者が関わっている可能性が高い、というわけか。しかも資料が事実なら、俺が実験廃止を決めて行方をくらませた研究者も居るようだ」
 当時を思い出し、心が熱くなる。その熱を無理やり飲み干しヨセフは続ける。
「とにかく、ナハトについてはこれからも情報を集めてくれ。それと、他についてはどうなっている?」
「ニホンを中心に調べてるよ」
 セパルが返す。
「人を探して欲しいって頼まれたんだけど、どうもニホンに居るっぽいんだよね。しかも、お家騒動が起ってるっぽい、ムサシの国に居るかもしれないし……」
「……そうか。分かった、必要ならニホンに渡ってくれ。必要な手続きはこちらで全て済ませる」
 そこまで言うと、ヨセフは改めて頼んだ。
「これからも労力を費やさねばならないことは多いと思う。だが、浄化師のために、よろしく頼む」
 ヨセフの言葉に、皆は頷いた。

 そんなやり取りがあった後、ある指令が出されました。
 それは浄化師が家族に会えるよう、指令の形で便宜を図るので、希望者は申請して欲しいというものです。
 それだけでなく、離れ離れになってしまった家族が居るのなら、その家族を探す手助けをしてくれます。
 また、記憶を無くしたりなどで、家族のことが分からない場合は、その記憶を手繰ることから協力してくれるとの事でした。
 他にも、今まで関連する指令に参加した者については、そこからさらに何かあれば尽力するとの事でした。

 縁と絆を手繰る、この指令。
 アナタ達は、どう動きますか?


~ 解説 ~

○目的

自由設定を深める形のエピソードになります。

深まったな、と思えるプランでしたら成功以上になります。

○選択肢

以下の選択肢から、1つ選んでください。

1 家族に指令の形で会いに行く

家族から依頼を教団が受けたという名目で、それを指令としてこなすことになります。

理由などは、自由に決めて頂けます。

家族では無くても、家族に近いと思える相手なら、可能です。

2 離れてしまった家族に

どこに居るのか分からない家族を捜索することが出来ます。

教団本部の情報と、NPCの協力により、捜索が出来ます。

PCが持っている情報を照らし合わせ、教団本部の資料を調べたり、NPCから聞き込みが出来ます。

プランの内容によっては、NPCが自発的に情報提供をしてくれる流れになります。

3 無くした記憶を探る

何らかの理由で無くしてしまった記憶を手繰り、縁のある相手や集団を探ることが出来ます。

PCが持っている情報を照らし合わせ、教団本部の資料を調べたり、NPCから聞き込みが出来ます。

プランの内容によっては、NPCが自発的に情報提供をしてくれる流れになります。

4 前回からの続き

このシリーズの続きの展開を進められます。

○NPC

セパル 魔女関連や、その他諸々の情報を知っている可能性があります。
ウボー&セレナ 貴族や冒険者関連、その他諸々の情報を知っている可能性があります。
マリエル&マリー 終焉の夜明け団関連、および、終焉の夜明け団を経由した教団の情報を知っている可能性があります。

必要ならばプランで自由に出せます。

○その他

今回の自由設定を深めるエピソードは定期的に出す予定ですので、シリーズ的な物として進めることもできます。

シリーズ物として進める場合、展開によっては、個別シナリオとして進む場合もあります。

PCの家族などには、秘密裏に、魔女や冒険者の護衛が就くことになります。プランでその辺りを書くことも可能です。


~ ゲームマスターより ~

おはようございます。もしくは、こんばんは。春夏秋冬と申します。

今回は、PCの自由設定を深める形のエピソード、第3弾です。

基本的には、PCの家族や縁のあるNPCを出したりして、自由設定を深めていきましょう! というエピソードになっています。

ですので、新規の方も、続けて入られている方も、問題なく参加いただける内容になっています。

そして、シリーズで参加していただいていることで、その内の幾つかは、個別エピソードのフラグが立ち始めています。

ですので出されたいNPCやエピソード内容については、お手紙などで頂けますと、これじゃない感が減るので、こうじゃないんだこうだよ! という場合は、頂けますと幸いです。

そうでない場合は、アドリブも入れさせて頂き進行していきます。全体に影響の出る、メインストーリーにも関わる可能性もあります。

それはさておきまして、少しでも楽しんでいただけるよう、判定にリザルトに頑張ります。





◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇

アルトナ・ディール シキ・ファイネン
男性 / 人間 / 断罪者 男性 / エレメンツ / 悪魔祓い
…見つかった?
 ファイネン家から教団へ戻り 養父の捜索願いを出していたので セパルに呼ばれた

『メラヒエス・ナタラ』? テキトーに文字並べたみたいな名前だな
 同感と言うセパルを一瞥したのち、
シキ、
…本当に良いのか
引き返すことがアンタは今ならできるんだ
…あっそ
あと俺はヒューベルトみたいなの好きだけど? 話してるとあくびが出なくて良い
まあ…良い父親じゃないな
(家の為にあえて”良い父親”を捨ててるんだろうけど)

 養父の手がかり『メラヒエス・ナタラ』に会うことを決める
で メラヒエスはどこに行けば会える?
…ノルウェンディの孤児院? 分かった
(メラヒエスに会えば…ツェーザル、アンタにも会えるのか…?)

シキ アンタも来い
ルーノ・クロード ナツキ・ヤクト
男性 / ヴァンピール / 陰陽師 男性 / ライカンスロープ / 断罪者
■4
セパル達に前回頼んであった調査の結果を聞きに行く

前回の調査で武士団でのもめ事と聞き、ルーノに懸念が浮かぶ
ナツキの親族が関わっているなら無視できない
しかし、せっかく見つかった親族がもめ事の最中に居るとしたら
目の当たりにしたナツキが傷付く結果になるのではないか
ナツキ:難しい顔してどうしたんだよ?
ルーノ:いや…ニホンに行く必要があれば、やはり君も行くつもりかい?
ナツキ:そんなの当ったり前だろ!

ナツキは親族の新しい情報を心から望んで期待する
できる事があれば自分でも動きたいという気持ちは変わらない
どんな調査結果でも、ルーノが何かを心配している事がわかっていても
何も知らず何もできないのは、嫌だと考える
クォンタム・クワトロシリカ メルキオス・ディーツ
女性 / エレメンツ / 断罪者 男性 / 人間 / 魔性憑き
4

無くした記憶について調べる
…多分、私が住んでいた場所を襲撃したのは十中八九終焉の夜明け団だろう
八百万の神を捕まえる為に…
兎に角、マリーとマリエルにその手の情報がないか聞いてみる
守護天使の試練で見た時は、顔は判らないが、少年の姿をしていた
「…だが、養父殿に預けた託された物は……鳥の卵、みたいだった、気がする」
…八百万の神も、番を作ったりする、のか?

養父殿は、長い時を経た樹木が元だ
神ではないと言っていたが、それに近しい者だろう
名をスレイマンと言う
お人よしで、お節介焼きで…怪我人や、何であれ一人で森に居る子供を見つけると放っておけない方だ

怪我をした終焉の夜明け団の奴らも彼が保護してるかもしれん

ベルロック・シックザール リントヴルム・ガラクシア
男性 / ライカンスロープ / 断罪者 男性 / 生成 / 占星術師
4
調査報告のはずがなんでお茶会に…?

調査結果を見つつ渋い顔
家庭教師のうち、男は権力に取り入ろうとしてクビ
女は当主にハニートラップを仕掛けてことごとく失敗、クビ…
中には小さい頃のリントにまでって、少年趣味かよ!?

平民?どれどれ…あ、この男か
…駄目だな、消息不明か
叶わぬ想いの果てに夫の逆鱗に触れて終わるとは
運がないというか
男の嫉妬って怖いな、気を付けよう…

収穫無しでむくれるリントに溜め息
こいつ危機感ないのか…?
自分が狙われるかもしれないのに
まあいいか
俺コーヒーがいい、淹れてくる

キッチンに向かい、コーヒー淹れながら呟く
何かあったら、俺がアンタを守ってやる
…もちろんあの二人も、リントの大切な人だからな
ラニ・シェルロワ ラス・シェルレイ
女性 / 人間 / 断罪者 男性 / 人間 / 拷問官
4
メフィストさんから聞いたわ
エフェメラって魔女が、シィラのこと知ってかもしれないって
泣かれたって聞いたけど どんな人だったの?
…きっと 優しい人なんでしょう。だってシィラのお師匠さん?だもの
あたしは聞いたことないけどね 別に拗ねてない

魔女の話を聞いたことはなく
以前受けた依頼で聞いた魔女に興味津々…弟子かぁ
今すぐにでも会いたい 会って話が聞きたい
でも本当に会っていいのかな
ガラクタ野郎のせいだったとしても
半分、あたし達のせいみたいなものじゃない
ぐるぐると過去の光景が頭の中を巡り
…ごめんなさい、やっぱりこの話…みぎゃっ!?
ラスに頬を摘まれじたばた
……そうよね 辛くても知りたい
だってあたしの「家族」だったから
リチェルカーレ・リモージュ シリウス・セイアッド
女性 / 人間 / 陰陽師 男性 / ヴァンピール / 断罪者
先日以来 明らかに自分や周りの人を避けている彼を探す
『じゃあ 離れないと』
『今度こそ 殺してしまう』
悲痛な声を思い出す
シリウスは誰も殺していないと ちゃんと伝えないと

執務室の扉の前に立つシリウスを見つけ 声をかける
シリウス 見つけた!
探していたの
冷えた頬にそっと触れて
酷い顔してる…わたしも一緒に行っていい?
側にいたいの 
小さな頷きと揺れる眼差しに少し笑う 

淡々とした口調と逆に 縋るように握られた手が震えていて
涙をこらえ シリウスの手をぎゅっと握る
ショーンさんを助けてと 過呼吸を起こしたシリウスを抱きしめて

シリウスがいる場所はここよ
どこにも行かないで
ショーンさんのことも 室長はわかってくださっているわ
…そうですよね?
ショーン・ハイド レオノル・ペリエ
男性 / アンデッド / 悪魔祓い 女性 / エレメンツ / 狂信者
ドクターと共に室長の元へ
オクトやシリウスの実験記録に関わる情報を可能な限り提供します

オクトへの潜入も教団の目の上のこぶである反教団組織を監視して隙あらば排除するため
ただ、当時から実力者だったヴァーミリオンを見て、教団の在り方もおかしいと思った
彼から教団に潜り込めと言われた時、試されていると思った
それで情報を探しているうちに、シリウスに会って…結局助けましてね
何で殺されたかはあまり分かりませんよ
多分、前から突っかかってきてたヴァーミリオンの部下の差し金だとは思いますが
室長。どうかドクターとシリウスのことをよろしくお願いします
…でなければ、私はまたこの教団を裏切ってしまいそうですから
アリシア・ムーンライト クリストフ・フォンシラー
女性 / 人間 / 陰陽師 男性 / アンデッド / 断罪者
クリスと一緒に、故郷の村の跡地に、来てみました
草以外、何も、なくて
わずかに、家の土台だったらしい石が見えるだけで

燃えてしまった、んですものね……

顔を伏せていたらクリスに手を取られ
連れて行かれた場所は、一面の青い花

これ、勿忘草、ですね……

「この花はね、喘息の薬にもなるのよ」
頭の中に響いた女性の声

ここ……この場所……ひょっとして、私の家だった場所?
私…リアお姉ちゃんと、お母さんと
花壇に勿忘草を植えて……

私、小さい頃、軽い喘息があって
お父さんが種を手に入れてくれて
お母さんが育て方を、教えてくれて

勿忘草が、思い出してと言ってるような気がして
そっと香りを吸い込んで

思い出しました
私、この花が大好き、でした


~ リザルトノベル ~

 家族との縁と絆を深め、あるいは過去の自身を知るための指令。
 参加した浄化師達は、それぞれ動いていた。

●養父への手掛かり
「……見つかった?」
 ファイネン家から教団へ戻った『アルトナ・ディール』は、セパルから養父についての報告を受ける。
「ほんとに? セパルちゃんツェーザルさん見つかったのか?」
 アルトナより先に『シキ・ファイネン』が聞き返す。するとセパルは応えた。
「可能性は高いよ。名前は違うけどね」
 セパルから名前を聞き、アルトナは訝しむ。
「『メラヒエス・ナタラ』? テキトーに文字並べたみたいな名前だな」
「テキトー?」
 聞き返すシキに、セパルが返す。
「同感。偽名だろうね」
「ああ、なるほど」
 納得するシキに、アルトナは言った。
「シキ、……本当に良いのか」
 視線を合わせ続ける。
「引き返すことが、アンタは今ならできるんだ」
 これにシキは笑顔で返す。
「当たり前! 俺が何であのおっかない父様んトコにアルを連れてったと思ってんの。最後まで付き合ってやるって決めたんだ、俺」
「……あっそ」
 どこか照れ隠しのように、アルトナは何でもないかのように返すと、続けて言った。
「あと俺は、ヒューベルトみたいなの好きだけど? 話してるとあくびが出なくて良い」
「アル正気!? 俺は苦手。怖いんだもん」
 アルトナの肩に顎をのせながら甘えるように言うシキに、のせたままにしながら返す。
「まあ……良い父親じゃないな」
(家の為にあえて”良い父親”を捨ててるんだろうけど)
 心の中で思うが、今ここで口にするべきことだとは思わないので黙っておく。
 代わりに、養父の手がかりである『メラヒエス・ナタラ』に会うことを決め、セパルに尋ねた。
「で、メラヒエスはどこに行けば会える?」
「それに関しては、こっちの報告書を見てみて」
 手渡された報告書を確認する。
「……ノルウェンディの孤児院? 分かった」
 心を決めると、シキに言った。
「シキ。アンタも来い」
 必要だと言ってくれるような呼び掛けに、シキは応えた。
「……おうっ」
 どこだろうと、アルトナと行けるなら満足だというように、満面の笑顔で言い切った。
「ベリアル討伐でも冒険でも遊びでも、アルトナきゅんとだったらどこへでも行くっ!」
「そうか」
 心の中で、悪くない、と思いながら、やわらかな笑みを浮かべるアルトナだった。

●お家騒動
 報告を聞くためにセパルの居る部屋に向かいながら『ルーノ・クロード』には懸念が浮かぶ。
(武士団で揉め事があると言っていたが、ナツキの親族が関わっているなら無視できない)
 同時に思う。
(しかし、せっかく見つかった親族がもめ事の最中に居るとしたら、目の当たりにしたナツキが傷付く結果になるのではないか)
 懸念を抱くルーノに『ナツキ・ヤクト』は言った。
「難しい顔してどうしたんだよ?」
「いや……ニホンに行く必要があれば、やはり君も行くつもりかい?」
「そんなの当ったり前だろ!」
 ナツキはキッパリと言った。
「俺、何がどうなってるのか全部、知りたいんだ。それで何かしなきゃいけないことがあるなら、俺が出来ることならしたい」
 そして少し言葉を選ぶような間を空けて続ける。
「ルーノが心配してくれてるのは分かるんだ。でも、何も知らず何もしないのは嫌なんだ」
「……全く、仕方のない奴だ」
 ナツキの想いを受け止めるように、ルーノは応えた。
「ナツキがそう思っているなら、私は手助けしよう」
「へへ、ありがとな」
「なに、相棒だからな」
 そう言うと拳を差し出すルーノに、自分の拳を合わせるナツキだった。

 そして2人は部屋に赴き、セパルから話を聞く。

「世継ぎ争いがあるみたいなんだよね」
 セパルの報告にルーノが聞き返す。
「どういうことなんだい?」
「ん~、どうもね、次の跡目を継ぐ筈の子が、出奔しちゃったらしいんだ」
 報告書を渡しセパルは続ける。
「前に、8氏族が纏まって武士団を作ってるって言ったでしょ?
 で、まとめ役は八狗頭家だけど、専横にならないよう、定期的に当主となる家は、持ち回りにしているんだ。
 それで最近、当主だった人が亡くなって、次の当主は八狗頭家から出す筈だったんだけど、跡取り娘になる筈の子が出奔しちゃってるんだよ。
 しかもその子が出て行ったのと同じ時期に、次の次の当主を担当する斉藤家の跡取り息子まで居なくなっちゃって……。
 それで、お互いの家で、お前の家の子が唆して連れ出したんじゃないかとか言うのも居て、ごたごたしてるみたい」
「なんだよそれ……」
 困惑するようにナツキが返していると、ルーノは予感を胸に尋ねる。
「……ひょっとするとなんだが、その出奔した人物というのは――」
「ナツキくんの年から逆算すると、お母さんの可能性があるよ」
 考えをまとめるように黙る2人に、セパルは提案した。
「前に話した、神選組の一くん。居なくなった斉藤家の跡取り息子の従弟みたい。
 色々と、家のごたごたが嫌になって神選組になったみたいなんだけど、ナツキくんのことを話したら、ぜひ話してみたいって。
 ナツキくんのお母さんの形見の根付けも、心当たりがあるみたいだから、ニホンに行って話を聞いてみる?」
「ああ、頼む」
「手間を掛けるが、よろしく頼むよ」
 ナツキとルーノの頼みを、セパルは引き受ける。
 ニホンに渡り、斉藤一との話が出来るようになった。

●話を聞こう
「……多分、私が住んでいた場所を襲撃したのは十中八九終焉の夜明け団だろう。八百万の神を捕まえる為に……」
 守護天使に見せられた光景を頼りに『クォンタム・クワトロシリカ』はマリエルとマリーに尋ねた。
「話を聞いた限りだけど、その時期は、第1期攻勢に出た頃ね」
 マリエルは続ける。
「最初は警戒してない所を不意打ちしてたみたいだから、荒らすことはできたみたい。
 でもその後、八百万の神と現地の戦士団に全滅させられたと聞いたけど……」
 マリエルの応えを聞いたあと、クォンタムは養父について話す。
「守護天使の試練で見た時は、顔は判らないが、少年の姿をしていた。それと――
 養父殿に預けた託された物は……鳥の卵、みたいだった、気がする。……八百万の神も、番を作ったりする、のか?」
 これにマリーが返す。
「めったには居られませんし、ましてや番と成られた方との御子が生まれるのは、ほぼ無い筈です。動物系の方で御子を成したのが、数えるほどだったと思います」
「いや、養父殿は、長い時を経た樹木が元だ」
 クォンタムは返す。
「神ではないと言っていたが、それに近しい者だろう。名をスレイマンと言う。
 お人よしで、お節介焼きで……怪我人や、何であれ1人で森に居る子供を見つけると放っておけない方だ。
 怪我をした終焉の夜明け団の奴らも彼が保護してるかもしれん」
 これにマリエルが応えた。
「ひょっとしたら妖精の類かも。八百万が死んだ時に、残された力が妖精になることがあるけど、それが何かに宿ることがあるみたい。
 実体がある分、普通の妖精よりも活発に動けるし、消耗も少ないみたいよ」
「そうか……」
 マリエルたちの話を聞き、考え込むクォンタムだった。

 その頃『メルキオス・ディーツ』は室長室に赴きヨセフに頼んでいた。

「ウチから伝書鴉が来たよ」
 ヨセフに先を促され続ける。
「タビ砂漠のちょっと外れた所の集落に行商行ったら、オクトっていうのが商談の邪魔してきたって。
 まぁ、ウチの部族の商談って荒っぽいからそのせいだと思うけど」
「アークソサエティ以外にも手を広げたか、名だけ騙る輩だろうな」
 ヨセフは返し、力になれることはあるかと訊く。
 これにメルキオスは返した。
「部族の定住者の方で八百万の神についてと、終焉の夜明け団対策を練りたいから魔術師を何人か寄こして欲しいって。
 定住者の長の所のオアシスを守ってる八百万の神が居るんだよ。その八百万の神と、子供達の警護お願いしたんじゃないかな。
 子供の方は、僕が誘拐された前例があるからねぇ……」
 しみじみと言ったあと続ける。
「子供らに魔術の先生して欲しいってさ。ウチ部族は歌を媒介にした魔術っぽいのがあるけど珍しく攻撃的じゃないんだよねー」
「分かった。手配しよう」
 静かに応えるヨセフだった。

●お茶会で報告会
「ありがとう。マリー、リーちゃん」
 バレンタインチョコのお礼を言って『リントヴルム・ガラクシア』は調査報告も兼ねたお茶会を始めた。
 折角の機会ということで、マリエルとマリーの2人は、手作りチョコを持参したのだ。
「調査報告のはずがなんでお茶会に……?」
 困惑するように『ベルロック・シックザール』は呟くと、自分を見詰めるマリエルに気付く。
 不安と期待を浮かべる彼女に、ベルロックはチョコのひとつを食べる。
「……美味い」
「ほんとに? 好かった」
 ほにゃりと笑顔を浮かべ喜ぶマリエル。くすくすと笑みを浮かべるリントヴルム。
 照れ隠しのようにチョコを食べるベルロックに、皆を微笑ましげに見詰めながら紅茶を入れるマリー。
 お茶会は楽しく和やかに。
 けれど調査報告書を読んでいく内に渋い表情になる。
 今回、目をつけたのはリントヴルムの家庭教師だったが――
「ほとんどが、何らかの派閥に属する他の貴族からの差し金で、あの家を味方に引き入れるつもりだったみたいだけど……。
 ……うん、空振りだねえ」
 リントヴルムの言葉に続けるように、ベルロックは調査結果を読み上げる。
「家庭教師のうち、男は権力に取り入ろうとしてクビ。女は当主にハニートラップを仕掛けてことごとく失敗、クビ……。中には小さい頃のリントにまでって、少年趣味かよ!?」
「あ、でも一人だけ、どこの派閥でもない平民出身の先生がいたよね。ちょうどマリーと出会った頃に来た人だよ」
 マリエルに笑顔を向けたあと、リントヴルムは続ける。
「唯一、僕を対等な相手として扱ってくれたいい人だったんだけど、どうも母さんに惚れてたみたいだったから、消息不明ってことはつまりそういうことなんだろうね」
 ベルロックは調査報告書を見返し返す。
「平民? どれどれ……あ、この男か――
 ……駄目だな、消息不明か。叶わぬ想いの果てに夫の逆鱗に触れて終わるとは、運がないというか。男の嫉妬って怖いな、気を付けよう……」
「もー、実家の恥部ばっかり暴露されて有益な情報がないじゃないか! よし、お茶会しよ!」
 収穫無しでむくれるリントヴルムにベルロックは呆れ、ため息ひとつ。
(こいつ危機感ないのか……? 自分が狙われるかもしれないのに)
 そう思っていると、マリエルとマリーが言った。
「手伝えることがあったら、なんでも言ってね」
「力になりますから」
 これに笑顔で応えるリントヴルム。
 それを穏やかな気持ちで見つめていたベルロックは立ち上がり言った。
「淹れて貰うばかりじゃ悪いし、コーヒーも欲しいから淹れて来る」
 マリエルとマリーを手で制し1人で向うと――
「何かあったら、俺がアンタを守ってやる。……もちろんあの2人も――
 リントの大切な人だからな」
 コーヒーを淹れながら決意するように言った。

●決意
「メフィストさんから聞いたわ。エフェメラって魔女が、シィラのこと知ってかもしれないって。泣かれたって聞いたけど どんな人だったの?」
 調査結果を聞きに来た『ラニ・シェルロワ』は、応えを待ちきれない様子で尋ねる。
「……きっと、優しい人なんでしょう。だってシィラのお師匠さん? だもの。あたしは聞いたことないけどね」
 これに『ラス・シェルレイ』が続ける。
「シィラは色んなことを教えてくれた。歌も戦い方も 魔力の使い方も。まるでまほうつかいだって言った時に――

『ラスくん。わたしは違うけど、魔女はいるのよ』

 って言ってた。その魔女ってのが……もしかしたらそのエフェメラという人かもしれない」
「うん、そうみたい」
 セパルは応える。
「命に代えても守りたい人のための魔法を、弟子の子に教えたらしいんだ。
 それを使って亡くなった子が居るかもしれないって詳細を話したら、弟子の子だって言って……。
 自分が教えちゃったせいだって、ずっと泣いてるんだよ」
 話を聞いたラニは思う。
(……弟子かぁ)
 今すぐにでも会いたい。会って話が聞きたい。けれど――
(本当に会っていいのかな)
 自分を責めるように思ってしまう。
(ガラクタ野郎のせいだったとしても、半分、あたし達のせいみたいなものじゃない)
 ぐるぐると過去の光景が頭の中を巡り、ついには――
「……ごめんなさい、やっぱりこの話……」
 するとラスが、大きなため息をついてラニの頬を後ろからぐにぐに。
「みぎゃっ!?」
 頬を摘まれじたばたするラニを見詰めながら、ラスは言った。
「会いに行きたい。何か言われるのも、憎まれるのも覚悟の上だ」
 決意を込め続ける。
「悲しんで泣くほど愛していたなら、きっと憎まれてもおかしくない。そもそも本当に恨まれるなら、止められなかったオレの方だぞ。
 それでも知りたい、ラニの言う通り『家族』だったから」
 ラスの決意に頷くように、ラニも決意する。
「……そうよね、辛くても知りたい。だってあたしの『家族』だったから」
 涙を浮かべるラニに、ラスは元気付けるように――
「……楽しいなこれ」
 ほっぺをぐにぐに。
「ほれほれ、泣きやまないと不細工になるぞ」
「泣いてなんかないわよー!」
 戯れ合うように、ほっぺをぐにぐにし合う、ラニとラスだった。

●忘れずの花
 草以外は、僅かに家の土台だったらしい石が残る場所。
 そこが『アリシア・ムーンライト』の故郷だった。
 村の痕跡は、ほぼ消えている。
「燃えてしまった、んですものね……」
 ぽつりと寂しげにアリシアは呟く。すると『クリストフ・フォンシラー』が手を繋ぎ言った。
「アリシア、こっちに来てごらん」
 顔を伏せていたアリシアは、導かれるようにその場所に向かった。
「……っ」
 連れられた先に広がる、一面の青い花を見てアリシアは、一瞬言葉を失う。
 アリシアの様子を気遣いながら、クリストフは言った。
「見事な花畑だね。どうして、この一角だけ咲いてるんだろう?」
 それはアリシアの記憶が戻ることを願っての問い掛け。
(花が、切っ掛けになるかもしれない)
 その思いは、形を結ぶ。
「これ、勿忘草、ですね……」
 花を見詰め、おぼろげな記憶が浮かび上がる。

「この花はね、喘息の薬にもなるのよ」

 頭の中に響いた女性の声。
 それはとても懐かしくて、大切な誰かの声だと、アリシアには解った。
(ここ……この場所……ひょっとして、私の家だった場所?)
 記憶を手繰るように言葉が出て来る。
「私……リアお姉ちゃんと、お母さんと、花壇に勿忘草を植えて……」
「アリシアが植えた?」
 クリストフは推測する。
(エルリアと、母親と一緒に……村が燃えてしまった時に残った種か根が、その後で芽を出して、七年の間に増えていったんだろうか?)
 事実は分からない。けれど真実だと想える事はある。
「きっとアリシアの家族の思いが花に宿ったんだろうね。君が戻ってくるのをずっと待っていたんだと思うよ」
「……」
 クリストフの言葉を受け止めるような間を空けて、アリシアは懐かしむように言った。
「私、小さい頃、軽い喘息があって――
 お父さんが種を手に入れてくれて――
 お母さんが育て方を、教えてくれて」
 必死に、アリシアは思い出そうとする。
 すると、ふわりと風が吹き、勿忘草をそよがせる。
 それが勿忘草の淡い匂いを運んできた。
 勿忘草が、思い出してと言ってるような気がして、そっと香りを吸い込んで――
「思い出しました」
 クリストフと視線を合わせ、思い出を伝える。
「私、この花が大好き、でした」
「うん――」
 クリストフは小さく頷いて、勿忘草の花園を見詰め言った。
「きっと花たちも、君のことが好きなんじゃないかな」
 クリストフの言葉に、やわらかな笑顔を浮かべるアリシアだった。

●貴方の名前
「オクトやシリウスの実験記録に関わる情報を可能な限り提供します」
 パートナーである『レオノル・ペリエ』と共に室長室を訪れた『ショーン・ハイド』は、纏め上げた膨大な量の資料を差し出す。
 そしてヨセフに言った。
「オクトへの潜入は、最初は反教団組織への監視と排除でした」
 訥々と過去を語る。
「ですが当時から実力者だったヴァーミリオンを見て、教団の在り方もおかしいと思ったんです。
 そして彼から教団に潜り込めと言われた時、試されていると思いました。
 それで情報を探しているうちに、シリウスに会って……結局助けましてね」
 途中から自分のことを語る。
「何で殺されたかはあまり分かりませんよ。多分、前から突っかかってきてたヴァーミリオンの部下の差し金だとは思いますが」
 そして懇願するように言った。
「室長。どうかドクターとシリウスのことをよろしくお願いします――」
 ――でなければ私は、また教団を裏切ってしまいそうですから。
 その言葉を最後まで言わせず、ヨセフは応えた。
「当たり前だ。お前も含めてな」
 そしてレオノルに視線を向ける。それは――

 何か言いたいことは無いか?

 と促しているようだった。黙って話を聞いていたレオノルは、ショーンに向き合い言った。
「ショーン、最後にひとつ良いかな」
 緊張するショーンに続ける。
「君の本当の名前は?」
 息を飲むショーンに、問いの理由を告げる。
「母親を殺した後、本来の名前を名乗り続けるのは気持ち悪かったろうと思ってさ」
 ショーンは少し逡巡したあと呟いた。
「バシリオ・アルベルダ」
 名前を聞いて、レオノルは薄く微笑む。
「バシリオ……王の意味か」
 レオノルは思う。
(案外危ないのは私よりショーンなのかもしれない。彼の普段の振る舞いは正義の暴走を防ぐためのリミッターなんだろうね。でも――)
「ショーン。私は別に君が何だろうと関係ない」
 穏やかに見つめながら言い切った。
「見捨てないし、必ず側にいる。それがパートナーの資格ってもんでしょ」
「……」
 言葉を返せないでいるショーンに、レオノルは宥めるように笑顔を向けると、ヨセフに視線を向け言った。
「ね。室長」
「当然だ」
「……ドクター……室長……」
 言葉を詰まらせながら、ショーンは泣き笑いのような表情を浮かべる。
 それは混じり気のない、何も隠さないショーンの素顔のように見えた。
「ようやく初めまして、か」
 嬉しそうな笑顔を浮かべ、レオノルはショーンの名を呼んだ。
「バシリオ」
「……はい」
 素顔のままで応えるショーンだった。

●現在を生きている
(――どこに居るの?)
 先日以来、明らかに自分や周りの人を避けている『シリウス・セイアッド』を『リチェルカーレ・リモージュ』は探していた。

 ――じゃあ。離れないと。
 ――今度こそ。殺してしまう。

 悲痛な声を思い出す。
(そんなことない!)
 シリウスは誰も殺していないと伝えたくて、探し続けた。そして――
(見つけた!)
 室長室の扉の前に立つシリウスを見つけ、声をかける。
「探していたの」
 冷えた頬にそっと触れながら呼び掛ける。
「酷い顔してる……私も一緒に行っていい?」
 迷うシリウスに、リチェルカーレは願うように言った。
「側にいたいの」
 シリウスを想う眼差しに、小さな頷きを返してくれる。
 揺れる眼差しで見つめるシリウスに、受け止めるように小さく笑顔を浮かべるリチェルカーレだった。

 そして2人で部屋に入り、シリウスは過去を語った。

 ――話をするな。表情を動かすな。感情を、意思を持つな。
 ――心を開けば、お前は、その相手を殺す。
 かつて投げつけられた言葉を思い出しながら、シリウスは語り続ける。
「……俺はあそこにいた12年、ほとんど会話をしていない」
 やや蒼褪めてはいるものの、まっすぐヨセフの顔を見て、投与された薬や実験内容、そして同じ被検体にされた子どものことを語っていく。
(シリウス)
 リチェルカーレは、シリウスが淡々とした口調とは逆に、縋るように握られた手が震えているのに気付き涙を堪える。
 そして涙の代わりに、力付けるように手をぎゅっと握った。
 リチェルカーレの助けも借り、シリウスは過去を語り続ける。
「識別番号M013。それが呼び名で、名前を呼んだのはショーンと、011と呼ばれていたルシオだけ。
 ルシオが死んで、俺も同じようにここで死ぬんだと思った。
 あそこから出られたのは、ショーンが何かしてくれたんだと思う」
 自分ではなく、助けてくれたショーンのことを想い、シリウスは懇願する。
「彼が二重スパイをしていたと聞いた。室長、あいつは何か罪に問われるのだろうか。何とか減刑をしてもらえないか?
 折角、今、あいつ、笑っているのに……俺がここにいるのが問題なら、実験棟に戻る。だから――」
 過呼吸を起こし掛けるシリウスをリチェルカーレは抱きしめ言った。
「シリウスがいる場所はここよ。どこにも行かないで。
 ショーンさんのことも、室長は分かってくださっているわ……そうですよね?」
「当たり前だ」
 ハッキリとヨセフは言う。
「お前も、ショーンも、他の浄化師も、護る。それが俺の誓いだ。だが、それは俺独りの力では足らん。シリウス――」
 机の引き出しから1枚の絵を取り出しながらヨセフは続ける。
「俺は俺の力の及ぶ限り、お前達を護る。だからお前達も力を貸してくれ」
 そう言うとヨセフは、シリウスの傍に寄り絵を渡す。
 それは小さな子供が描いた絵。
 教団服を着た、ヴァンピールの男性とヒューマンの女性の絵だった。
「お前が浄化師としてリチェルカーレと活動し始めた頃、ヨハネの使徒から助けた子供が描いた物だ。兄と妹の2人が、いま浄化師に成るべく魔術学院で生活している。お礼をちゃんと言えなかったから、お前達を描いて気持ちを伝えたかったらしい」
 絵を手渡し言った。
「過去を忘れるなとは言わん。だが捕らわれるな。お前に寄り添うのは過去じゃない、今だ。リチェルカーレと同じようにな。
 シリウス、お前が今を生き、護り生かした者が居る。過去だけでなく、今も忘れるな」
 ヨセフの言葉を聞きながら、絵を受け取るシリウスだった。

 こうして、それぞれ浄化師達は絆を巡る。
 その先が何処に向かうか分からずとも、幸多かれと、思わずにはいられなかった。


縁と絆を深めて・その3
(執筆:春夏秋冬 GM)



*** 活躍者 ***


該当者なし




作戦掲示板

[1] エノク・アゼル 2020/02/10-00:00

ここは、本指令の作戦会議などを行う場だ。
まずは、参加する仲間へ挨拶し、コミュニケーションを取るのが良いだろう。  
 

[8] リントヴルム・ガラクシア 2020/02/18-23:13

わー!ギリギリだけどベル君とリントだよ!
皆よろしくねー!

よーし調査だ!  
 

[7] アルトナ・ディール 2020/02/18-21:59

 
 

[6] ルーノ・クロード 2020/02/17-23:24

ルーノ・クロードとナツキ・ヤクトだ、よろしく頼むよ。

>メルキオス
もう方針を決めてしまっているかもしれないが…
すでに家族についての情報があるなら、すぐ会いに行くこともできるかもしれないね。
しかし、家族の居場所や自分が失った記憶について、
改めて手に入れたい情報がある(シナリオを通して情報を追加して更に設定を詰めたい)なら
この機会に一旦調査を頼むのも良い手だと思う。  
 

[5] リチェルカーレ・リモージュ 2020/02/17-00:30

 
 

[4] レオノル・ペリエ 2020/02/16-09:33

 
 

[3] アリシア・ムーンライト 2020/02/16-09:26

 
 

[2] メルキオス・ディーツ 2020/02/15-20:57

こんにちわ、こんばんわー
魔性付きのメルキオスと、断罪者のクォンだよー、よろしくね~。

うーん…家族に会おうってこの指令、初めて受けれたんだけど…どうしようかなぁ

一旦、調査してからの方がいいかなー…?