~ プロローグ ~ |
「こんなにぽかぽかしてて、お腹がいっぱいだと、眠くなってくるねえ……」 |
~ 解説 ~ |
こちらは、仲間との交流を主目的としたエピソードです。 |
~ ゲームマスターより ~ |
再度の記載となりますが、こちらは仲間との交流を楽しむエピソードです。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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【会話】 「はい、おじ様っ」(あーんして) 「……」(頭抱え) 「ベル、これは前々から思っていた事なのだが……君はそんなだからお友達が出来ないのではないのかね」 「(がーん)」 【心情・目的】 カティス: ベルクリスからのグイグイくる好意に逃げ腰。 単純に逃げたい気持ちが半分と、相手の将来が心配な気持ちが半分。 これを機に相手に友達が出来たら良いと思う。 ベルクリス: 図星を突かれて精神ダメージ大。 友達が欲しい気持ちが半分と、相手に幻滅されたくない気持ちが半分。 他の人達と交流を深めて少しでも仲良くなれたら良いと思う。 【行動】 食材を焼いている人がいれば会話のきっかけに貰いに行きたい。 思いの外美味しくて夢中になりそう。 |
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4 ハルのことだから肉しか食べてないだろ、取ってきたぞ。 …ヤダじゃない、子供か。 賑やかさが落ち着かなくてついハルの近くまで来てしまったけど、せっかく集まったんだ。 目一杯雑談するとまでは行かなくても、せめて皆の話は聞いていよう。 それじゃあハル行ってくるな、野菜食えよ。 ハルは何だかんだで俺にばかり構ってるけど、他の奴とも楽しそうにしてるのを見てほっとした。 少し寂しい気もするけどな。 ハルはうまくやれてる…と思う。 あいつよく気がつくし、頼りになる奴だよ。 そもそもの付き合いが長いっていうのもあるけど、あいつがいてよかったと俺は思ってる。 事実だけど、何だか恥ずかしいことを言った気が…食べて紛らわそう、うん。 |
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イダの補佐をしながら、一緒に楽しむ いつもはあまり喋らない人達と喋れる…楽しみ ビール飲む あたしはイダが焼きやすいようにお皿を寄せたり、減ってるイダのビールを注いだりする あと一緒に焼いてる人たちにも、お肉勧める あたしの皿に容赦なく肉を乗せてくるイダ 「イダも食べて」 手がふさがってるイダにあーんする 気にしないで同じお箸で食べる 「お前、ちょっとその、気にしろ」 「イダ、顔が赤い」 「うるせぇ」 イダが拗ねた 女の子たちのところに行ってお肉をお裾分け お箸は使ってない新しいやつ 「皆は、相棒(パートナー)とうまくやってる?」 皆に問いかける 純粋に気になった うんうんと肉も受け止める 「あたしは、……イダのこと嫌いじゃない」 |
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4 バーベキュー…つまり、お肉食べ放題ね 珍しく目を輝かせ 隅っこで自分の分だけ肉を焼く たっぷりチーズを絡めてスパイスとソース大量にかけ 「ふぁ…おいしい…」 これだけ永遠に食べていたい お野菜…?いらない 「だって味がしないんだもの」 説得され考え込む …確かにスラム時代にはこんなの食べられなかった それに… 「昔、パパが採ってきたキノコやお野菜でよくスープを作ってくれたわ」 あの時は確かに美味しいと感じていた 野菜串を受け取り 「…やっぱり味がしない」 しょんぼりとソースかけ アラシャの問いには最初は淡々と 「浄化師のパートナーとしては必要な存在よ」 仲良…くなんて、してないわ! 私はただ利用してるだけ! 赤くなって肉を頬張る |
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料理を通じて仲良くなりたい ◆リトル 1 よろしくお願いします、とお辞儀 あまり交流は慣れてなくて…でも、良いところですね お邪魔にならないように、飲み物を注いだりお手伝いしましょう 口下手ですから、基本は聞いたり、見て察したり え?パンプティさんお料理出来るんですか? ……。えっと、あの…僕も はい、ご指導よろしくお願いします ◆パンプティ 4(フェイカーだけノリで苗字 アンタがいねぇとつまんねーだろーって誘う おーうまそう!来てよかった! あ、アタシ肉焼こうか? 料理くらいするさ 他にも焼きたい奴がいれば交換しながら焼こう なんだフェイカー。焼き方教えてやろうか?(にっ 言いたいこと、あるなら言えよ! 交流は歓迎さ(会話術使用 |
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薔薇十字団のメンバーで交流を兼ねてバーベキューです! 他のエクソシストさん達とお話したりご飯食べたりできるのはすごく嬉しいです。 ロメオさんさっきから私のお皿に肉ばっかり乗せてませんか? あの、食べたかったら自分でとりますし配ってくださる方も…。 んーこれは子ども扱いされてる? ロメオさんも野菜ばっかり食べてないでお肉も食べてください。 お酒って美味しいですか? 私は飲んだことがなくて…ほとんどの人はお酒好きですよね。 ロメオさんもさっきからぐいぐいいってますし…酔いませんか? ロメオさんマシュマロを持ってきてくださったんですか? マシュマロ…串にさして食べると美味しいですよね。 あ、どうぞ皆さんも食べてください。 |
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朝日 好き嫌いなくなんでも食べる ◆ うーん、行楽日和だね よし、お肉を焼くのを手伝おうかな 皆と交流しながらどんどん焼いてお腹いっぱいにしていくよ! お肉と野菜はバランス良く食べた方がいいけれど、一番は楽しく食べる事が大事だよね 「お肉焼けたよー。いっぱい食べてね」 ◆ アラシャさんの質問には 「すっごく仲良しって訳ではないけれど、昔から知ってるから多少は気心が知れているよね」 と、彼女のお皿にトングでお肉を追加したりして返したいな ◆ リコリスちゃん達に話しかけたいな 「美味しく食べてる?」 隙あらば肉をあげたいな ◆ お腹もいっぱいで、天気も良くって……平和で これはもうお昼寝しないとお天道様への失礼にあたりそうだねぇ? |
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・目的 みんなで楽しくバーベキュー ・ジオラ バーベキュー!いいわね、あたし大好きよ。 みんなで楽しくすごせるといいわね。 肉も野菜も大好き、もちろんチーズも。目一杯食べまくるわ! それにみんなで集まってるんだし、色々とお話しできたら嬉しいわ。 朔、これも美味しいわよ! やっぱり食事は楽しくよね。これから頑張っていけそう。 ・水無瀬 天候にも恵まれたようでなによりだ。 自然の恵みに感謝しつつ皆でよい時間を過ごせたら嬉しい。 やはりバーベキューといったら肉だな。 野菜とチーズほどほど、ソーセージたくさん まあ、育ち盛りなので仕方ない。誘惑には抗えない そうか…って、おい。一人で食べつくす気か? 俺も食べたい |
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~ リザルトノベル ~ |
じゅうじゅうと焼ける肉の香りに、パンプティ・ブラッディは口角を上げた。 「おーうまそう! 来てよかった! フェイカーも食べたらどうだ」 リトル・フェイカーが「はい」と頷く。 (やっぱり、来て良かった。パンプティさんに誘われた時、こっそり嬉しくなったんですよね……) リトルは、パンプティが皿にのせてくれた肉を食べながら、楽し気な仲間達を見やった。 そして。 「あ、あっち、飲み物足りていませんね。僕、運んできます」 肉を飲み込んで、ぱたぱたと歩いていく。 「ロメオさん、ビール持ってきました」 「ああ、ありがとな」 ロメオ・オクタードは、小麦色の酒が入ったコップを軽く持ち上げた。 「相棒はいいのか?」 「パンプティさんは、お肉を焼いている方に行くみたいです」 「へえ……あっちは満員御礼って感じだな」 ロメオが、鉄板周辺に目を向ける。 (教団っていうのはもっとおっかないもんだと思ってたけど。交流にバーベキューとか言われると力が抜けるぜ) このビールを運んでくれたリトルも、肉に集まっている若者達も、みんな仲間を思いやり、楽しくやっているように見える。 もちろん、シャルローザ・マリアージュも。 彼女は、鉄板近くで野菜を切る作業をしていた。 大人しい性格ながら、皆の輪に入っていこうとするのが、偉いと思う。 (俺も、緊張しててもしょうがない。楽しまないとな) ロメオは相棒のところへ戻ったリトルを追うようにして、鉄板のある場所へ向かって行った。 ソーセージを口に入れれば、じゅわり。口内に肉汁が広がる。 「ソーセージ、酒に合うな。おっ、兄さんいけるくちかい?」 ロメオは、隣で大量の肉を食べつつ、コップを傾けている籠崎・真昼に声をかけた。 「これはお茶なんだ。今日はアルコールは遠慮しようと思っていてな」 「そうか。隣のお嬢さんは?」 「あ、私もお茶なんだ」 降矢・朝日が返事をする。 そこにすかさず空のコップを差し出したのが、アラシャ・スタールードである。 「じゃああたしが代わりに貰おうかな」 「お、お嬢ちゃん、飲めるのか!」 「うん、ここのビール美味しいよね!」 一気に飲み干すと、喉がかっと熱くなる。アルコールは、それがいいのだ。 だがそこに、ちょっと叱るようなイダ・グッドバーの声。 「アラシャ、飲むなら食わないと」 彼は、焼けたばかりの肉と野菜を、アラシャの皿にのせていった。 「ロメオも食うだろ? 朝日と真昼は……皿ごとの方がいいか」 「わ、いっぱい! ありがとう!」 朝日は肉をもぐもぐ食べつつも、自分が食べすぎている気はしていた。 「食べてばっかりじゃ申し訳ないから、私も焼くの手伝おうかな」 そして実際、朝日は、鉄板の前に立ち、がんがん肉を焼き始めた。 「お肉焼けたよー。いっぱい食べてね! 美味しいものは世界を救うからね!」 彼女の言葉に、周囲の人々が「それはそうだ」と笑いだす。 だがそのほのぼのとした空気の中、みんなと離れた場所で、頭を抱えている者がいた。 カティス・ロウである。 彼の目の前では、笑顔のベルクリス・テジボワが、あーんと言わんばかりに、肉を差し出していた。 「はい、おじ様っ」 その微笑みは、実に愛らしいものではある。あるが。 ここには、ベルクリスの同年代に見えるメンバーもいる。 (しかし、ベルは私につきっきり……) これでいいのだろうか。 否、いいはずがない。 「ベル、これは前々から思っていた事なのだが……君はそんなだからお友達が出来ないのではないのかね」 「えっ……」 大事なパートナーからの厳しい言葉に、ベルクリスは呆然と目を見開いた。 だが、カティスの言うことが的を射ている、というのも、わかっている。 (友達は欲しい、です……。おじ様も喜んでくれるでしょうし……) 「わかりましたわ……」 ベルクリスは、カティスに背を向けた。 彼から去るためではない。みんなと話をするためである。 「肉も野菜も大好き、もちろんチーズも!」 ジオラ・ティレンシスは焼きあがったものを、片っ端からもぐもぐむしゃむしゃと食べていた。 「これもどうぞ」 朝日が、ジオラの皿に、肉を追加する。 「パートナーにはあげなくていいの?」 ジオラは大きな瞳を瞬いて、朝日に尋ねた。朝日がちらと、真昼を見る。 「あっちでいっぱい食べてるから」 彼女に倣って、ジオラも目線を動かし、その食べっぷりにふきだした。 「本当だ。まるで朔みたい」 「やはりバーベキューといったら肉だな」 教団が用意した肉を次々に食べて、水無瀬・朔はご機嫌だ。 「気持ちいいくらいよく食べるな」 「成長期だもんな」 一緒にいたテオドア・バークリーとハルト・ワーグナーに言われ、朔は二人が持つ、肉山盛りの皿を見る。 「二人だって、たくさん食べてるじゃないか」 「そりゃあ、これだけ美味いものがあったらな」 「腹がいっぱいでもやめられなくなる」 三人は、顔を見合わせて笑った。 そこにやって来たのが、ジオラである。 「みんなすごい食べっぷりだね。これ、追加のお肉。朝日から貰ったの」 そう言う彼女の声を聞き、朔はふと、自分の心が落ち着いているのがわかった。 もちろん、他の仲間との話は楽しい。 だがその場にジオラがいると、空気が違うというか。 (気心が知れているから、だろうな) ニホンから遠く離れても、やはり自分達は幼なじみ、なのだ。 一方ベルクリスは、朝日に肉を貰いに来ていた。 「牛と豚と羊と、ソーセージもあるよ。なにがいい?」 「えっと……一番美味しいものをくださいな!」 力いっぱい言ったベルクリスに、朝日が笑う。 「じゃあ全部のせ、いっとく?」 どんどんと皿に積まれていく、肉・肉・肉&ソーセージ。 (わたくしとおじ様で、こんなに食べられるかしら……) その様子に気づいた真昼が、二人の間に、すっと自分の皿を差し出した。 「あとは俺が貰おう」 にこり笑えば、朝日が大きな目を、ぱちり。 「この人さっきから、すっごい食べてるの」 「まあ、そうなんですの? おじ様はぜんぜん食べてくれないんですのよ」 「えっ、じゃあもっといっぱいお肉盛らないと!」 「おいおい、それじゃ多すぎるだろう」 慌ててやって来たカティスが止めたとき、ベルクリスが持つ皿は、少し動いたら崩れそうなほど、肉山盛りになっていた。 パンプティは、焼き手がほとんど食べていないという事実に気づき、皿を置いた。 「肉足りる? アタシ焼こうか?」 聞けばトール・フォルクスが、汗を拭いつつ答える。 「大丈夫だ。それより野菜が足りなそうなんだが、焼いてくれるか?」 「もちろん」 返し、たまねぎを鉄板の上にのせるパンプティ。 「これ、焼くと甘くなるんだよな」 その慣れた手つきに、リトルが驚いた顔をした。 「パンプティさんお料理出来るんですか?」 「料理くらいするさ」 「えっと、あの……僕も」 焼いてみたい、と思う。でもはっきり言えなくて、リトルは口ごもった。 ただ、気持ちはパンプティにバレバレで。 「なんだフェイカー。焼き方教えてやろうか?」 その言葉に、リトルの顔がぱっと輝く。 「はい、ご指導よろしくお願いします」 「焼けたやつからじゃんじゃん持っていってくれ!」 トールはそう言いながらも、自分やリコリス・ラディアータが食べる分を、しっかりキープしておくことを忘れない。 仲間の食欲は見事なもので、焼く端から全部、なくなってしまうからだ。 (で、リコはどこに……) ぐるりと周囲を見回して探せば、彼女はいくつかある鉄板の片隅で、一人でじゅうじゅうやっているようだ。 (まったく、リコは……) 「誰か、焼くのかわってもらえるか?」 トールは、野菜がのった皿を持ち、リコリスのところに向かって行った。 「ほら、お嬢ちゃん。肉もっと食べな。俺がよそってやるから」 シャルローザは、どんどん肉がつまれていく皿と、ロメオを交互に見やった。 「あの、食べたかったら自分でとりますし、さっき朝日さんに配ってもらいましたから」 もちろん、よそってくれるのは嬉しい。でもこれはもしかしたら――。 (子ども扱い、されているのでしょうか) だがそんなシャルローザの気持ちは、ロメオに知れず。 彼はますます、肉を追加してきた。 「折角の機会だ、美味しいとこいっぱい食っとけ」 「ロメオさんも野菜ばっかり食べてないで、お肉も食べてください」 シャルローザが口にすると、ロメオの眉が、八の字に下がる、 「俺は……野菜より肉より、まぁ同じ肉だが加工したソーセージの方が好きでな。気にせず食べな」 イダのコップに、こぽぽぽと、酒が注がれる。 「イダ、焼いてたら暑いよね。ビールどうぞ」 「ああ、悪いな」 たしかにずっと火の傍にいたら、暑い。アラシャの気遣いは、嬉しいものだ。 しかしカップに口をつけつつ見てしまうのは、アラシャではなく周囲の人々。 「なあ、あのへんで話している奴に、この肉の皿、持って行ってやってくれないか」 「はーい」 アラシャは元気よく返事をして、皿を手にとった。 そして歩きだそうとして、ふと、振り返る。 「イダ、楽しい?」 「おう、アラシャも楽しんでるか?」 「ん」 互いに頷き合う二人。そう、楽しいのが一番、なのだ。 肉運搬係となったアラシャであるが、ハルト専属の野菜運搬係もいた。 テオドアである。 「ハルのことだから肉しか食べてないだろ、取ってきたぞ」 目の前にどん! と置かれた、野菜てんこ盛りの皿に、ハルトは「え~」と声を上げた。 「野菜ヤダ」 「……ヤダじゃない、子供か」 楽しいけれど賑やかなのが落ち着かなくて、ついハルトの近くまで来てしまった。 そして、来てしまえば、世話を焼くのが当然で。 (でも、せっかく集まったんだから、みんなの話は聞きたいよな) テオドアは、ハルトの肩にとんと手を置いた。 「それじゃあハル、俺、あっちに行ってくるな。野菜食えよ」 「テオ君が食べさせてくれるなら俺いくらでも野菜食べ…」 るよ、と、本当ならば、ハルトは言いたかった。 しかしテオドアは、呆れた顔で、たった二言。 「何言ってるんだ。駄目に決まってるだろ?」 「えー、駄目ー?」 「駄目っ!」という言葉を残して、今度こそ「じゃあな」と背中を向けたテオドアに。 ハルトは「いってらっしゃーい」と手を振ることしか、できなかった。 焼きあげた肉の上に、たっぷりチーズと、スパイス、そしてソースを大量にかけて、口に入れる。 「ふぁ…おいしい…」 リコリスはうっとりと、頬に手を添えた。 だがその前に、野菜の山が、とんと置かれる。トールだ。 「リコの分だ、食べてくれ」 「お野菜? いらないわ。味がしないんだもの」 トールは、おそらくこの返答を予想していたのだろう。 怒るでも呆れるでもなく、説得にかかった。 「新鮮な野菜って、結構高いんだぞ。不作の年もあるし、ベリアルとかの影響で畑が駄目になったりもする。そう考えると、食べなきゃ損って思わないか」 「それなら、食べたい人が食べればいいじゃない。私はいらないわ」 意固地に繰り返すリコリスの眼前に、トールは、少しこげがついたたまねぎを差し出した。 「ほら、でも美味そうだろ。今年はたくさん採れたみたいだしさ! 俺も食べるし」 リコリスは、手本のようにたまねぎを食べる、トールを見上げた。 (……確かにスラム時代にはこんなの食べられなかった) そして、時々思い出す家庭の味は――。 「昔、パパが採ってきたキノコやお野菜でよくスープを作ってくれたわ」 (そう、あのときは、確かに美味しいと感じていたのよ) リコリスは、自分も玉ねぎをとり、しゃくりと噛む――が。 「……やっぱり味がしない」 ソースをかけるリコリスを、トールは優しく見つめていた。 本当ならば、そのまま食べてほしいものではあるが。 (悲しい思いをして食べるものじゃないしな。今は食べてくれたことが大事だ) そう、これから何度でも一緒に食事はできる。 その内には、野菜も美味いものだとわかってくれるだろう そこに、朝日がぴょこりと顔を出した。 「お肉と野菜、両方食べてて偉いな~。追加で、これもどうぞ」 目の前に、かたりと置かれる肉の皿に、リコリスの目が、きらりと輝く。 「トールもお肉に、このソースかけてみるといいわ。すっごく美味しいんだから」 「……じゃあもらおうか」 トールは苦笑しつつ、リコリスが味付けた肉を口に入れた。 彼女の笑顔になる味も、知りたかったのだ。 ハルトが仲間と話しているのを、テオドアは遠くから眺めていた。 彼はいつも、なんだかんだと、テオドアばかりを構っている。 だが他の人と楽しく話したりもするのだとわかり、ほっとしていた。 (まあ、少し寂しい気もするけどな) その耳に、アラシャの声が届いた。 「皆は、相棒とうまくやってる?」 「当っ然! ですわ!!」 ベルクリスが、胸の前で拳を握り、ずいっと体を乗り出した。 「わたくしとおじ様との間には、それはそれは深~い絆が有りましてよ! そもそも、わたくし達は……」 勢いよく話し始めたベルクリスの後ろで、カティスはゆるゆると首を振った。 その灰の目は「適当に流してくれ」と訴えている。 彼は、ベルクリスが息をついたところで、低く言った。 「ベル、ビールを取っておくれ」 「わかりましたわ、おじ様」 話の腰が折られたにも関わらず、言うことを聞くベルクリス。 そんな少女を見、朝日は「かわいいねえ」と呟いた。 そして気分を切り替えたように、「私達は」と切り出す。 「すっごく仲良しって訳ではないけれど、昔から知ってるから多少は気心が知れているよね」 「これから信頼を置き合う関係になったらな、って感じだな」 先を続けた真昼に。 「もう十分信頼しあっているように見えるけどなあ」 アラシャが言うと、朝日と真昼は、顔を見合わせた。 「そうかな」 「そうよ」 すかさず、リコリスが同意する。 「私達は、浄化師のパートナーとしては必要な存在というところね」 「おい、それじゃ日常はそうでもないみたいな言い方じゃないか」 トールはそう言いながらも、それを気にした様子はなく、リコリスのコップに茶を注いだ。 「ありがとう」 「相棒は仲良くするものだからな!」 だがリコリスは、真っ赤な顔で、トールの言葉を全否定。 「仲良……くなんて、してないわ! 私はただ利用してるだけ!」 いきなりむしゃむしゃと肉をほおばり始めた。 「はいはい、お姫様は素直じゃないな」 微笑むトールの肩に、とんと真昼の手がのって。 「お互い、頑張ろうな」 なにを、と問い返す間もなく、真昼はトールに耳打ちをした。 「マイペースなお姫様に付き合うのは、大変だよな」 抑えきれず、トールが笑い声を上げる。 「あなたはどうなの?」 一方アラシャは、ベルクリスに問われ、きょとんと目を瞬いていた。 普段はなかなか、こんな想いを口にすることはないけれど、今の楽しい場なら、言ってもいいかもしれない。 「あたしは、……イダのこと嫌いじゃない」 呟き、こちらの話には参加していないイダを見る。 (バレないかな、バレてもいいか) 頬が熱い。きっとみんなのパートナーを想う気持ちに、あてられたのだ。 「テオドアは?」 笑い終え、落ち着いた真昼に聞かれ、彼は、うーんと考えた。 本人の前ではとても言えない、けれど。 「ハルとはうまくやれてる……と思う。あいつよく気がつくし、頼りになる奴だよ。そもそもの付き合いが長いっていうのもあるけど、あいつがいてよかったと俺は思ってる」 ――という言葉を、ハルトはしっかり聞いていた。 アラシャの質問が聞こえてきてから、テオドアはなんて言うだろうと、耳を大きくしていたのだ。 (今のテオ君の言葉、心に刻んで毎晩寝る前に再生しようそうしよう) うんうんと頭を揺らしていると、パンプティが、にいと笑う。 「ハルト、どうしたんだい、にやにやして?」 「当たり前っしょ! だってさ、あのはにかんだ笑顔とかうちのテオ君可愛すぎない? テオ君の可愛さで俺の語彙力がマジやばい」 「そんなに好きなのかい、テオドアが」 「当然」 ハルトは胸を張って、答えた。 (私はロメオさんのことをどう思っているんでしょうか……) アラシャの問いを聞いてから、シャルローザはずっと考えていた。 占い師として、人を見る目には、自信がある。 ロメオはぜったいに、信頼できる人だ。 (でも、まだよく、わからないんですよね) ちらと、隣にいるロメオを見る。 彼はアラシャの問いを聞いていたのか、いないのか。 ビールのカップに口をつけ、喉を鳴らしていた。 ここに来てから、飲むものはずっとビールばかり。 だから、つい尋ねた。 「お酒って美味しいですか?」と。 「私は飲んだことがなくて……ほとんどの人はお酒好きですよね。ロメオさんもさっきからぐいぐいいってますし……酔いませんか?」 「このくらいじゃ酔わないな。興味あるのか? シャルはまだ、飲まないほうがいいぞ」 パンプティが、二人のやり取りに、はは、と笑う。 「シャルローザのこと、ずいぶん過保護にしてるみたいだな、ロメオ」 「人のこと言えないんじゃないか?」 シャルローザは、一緒の輪にいるリトルを見やった。 だが肉の皿を手に持ったリトルは、見られていることには気づかない。 それよりも、気になることがあったのだ。 (今、パンプティさん、二人のこと、名前で呼んだ……。そういえば、僕だけ名字で呼ばれているような……?) 意味があるのかは、わからない。だが意味がなくて、そんなことをするだろうか。 「なあ、リトルはパンプティのこと、どう思ってるんだ?」 このタイミングでハルトに問われ、リトルは唇を震わせた。 「……仲が良いと思ってたのは……僕だけ、ですから」 「そんなことないと思いますけど……」 シャルローザが言ってくれるが、優しい彼女に、フォローされているとしか思えない。 黙ったままその場から離れ、リトルは湖近くへ向かった。 (どうしたら、パンプティさんと仲良くなれるんだろう) 一人、輝く湖面を見て考える。 だがそこに、近付く者があった。パンプティだ。 「なんだ、こんなところで」 ただ疑問に思ったから問いかけている。そんな顔をする相棒を、リトルは見つめる。 (さっきの質問も、僕の答えも、パンプティさんは何とも思ってないんだ……) リトルはそれが悲しい。だが、彼女は絶対に、いい人だ。そう信じるから、知りたくて、問うた。 「君は僕のことをどう思ってますか?」 パンプティにしては珍しい、きょとりとした表情。 その後は苦笑し「え? なんのフラグ?」なんて言われるが、そうじゃないと首を振った。 「……だって、呼び方……僕だけ、苗字で……」 「なんだ、そんなこと気にしてたのか」 「そんなこと、じゃないです……」 リトルは、おずおずと、手に持っていた皿を差し出す。 「これ、渡せなくて……うまく焼けたと思うお肉を君にとっておきました……」 パンプティは、小さく嘆息した。 (こんなことで緊張して……。アタシが一緒にいるんだ、気にすることねえだろうが) 言ってやるのは簡単だ。だが、リトルは簡単には信じないだろう。 だから、にいと笑う。 「これ、あーんとかしてくれるのか? 相棒。ほら、あっちみたいに」 リトルはがあっち」に目を向けると、そこではベルクリスが、渋面のカティスに、あーんと肉を食べさせていた。 (あ、あんなふうに……!) とりあえず試してみようとしたけれど、肉を持つ手が激しく震える。 「まったく、アタシを怖がってるのかって感じだね」 「そんなことっ……」 (だって、この気持は君のおかげ、なのに) 思わず視線をそらしたリトルの頭に、パンプティの手がくしゃりとのった。 「言いたいこと、あるなら言えよ! フェイカーはアタシの相棒なんだから」 大きな皿を両手に持って、ラストの肉を配っていたイダは、アラシャの顔を見るなり、おいおいと声を上げた。 「顔が赤いぞ」 「ん、ちょっと酔った」 「ほどほどにしとけよー。ほい、これラストの肉」 彼が持つ大皿に、アラシャは視線を向ける、が。 「イダも食べて」 そう言って、自身のフォークで肉の一枚を突きさすと、イダにあーんと差し出した。 イダはそれをパクリと食べて、アラシャは新たな肉を、そのままパクリ。 イダが、少しだけ驚いた顔をする。 「同じフォークって……ちょっとその、気にしろ」 「イダ、顔が赤い」 「うるせぇ」 ジオラはそんなやり取りをする二人を、ほっこりとした気持ちで見つめていた。 自分も、幼なじみの朔とは気が合うと思っている。 (まあ、いつのまにか身長抜かれてたのは、悔しいけど) さて、その朔は、イダが持ってきた皿の肉を食べるのに夢中になっていた。 テオドアもまた然り。 『あいつよく気がつくし、頼りになる奴だよ』 『そもそもの付き合いが長いっていうのもあるけど、あいつがいてよかったと俺は思ってる』 ――と。ずいぶん恥ずかしいことを言った気がして、今更じわじわ来ているのだ。 (これは食べて紛らわすしかない) それなのに。 「テオ君、そんなに食べて大丈夫か?」 ハルトが突然、至近距離で、顔を覗きこんできた。 「うおっ、いきなりなんだっ?」 一方ハルトは、テオドアの肉を奪ってもぐもぐしながら、彼のことを観察していた。 さっきの言葉は嬉しい、けれど。 (……アレ「お友達」として言ってるんだろなぁ) 友達の壁なんてとっととぶっ壊れればいいのに……と思いつつ、焦りは禁物、ということもわかっている。 「まあ気長にいきますか」 ハルトはぽつりと呟き、テオドアの肉を、また奪った。 ※ 肉も野菜も減ってきたところで、ロメオがマシュマロを取り出した。 「さっき、あっちに置いてあったんだ」 「マシュマロ……串にさして食べると美味しいですよね」 「そうなんだよ」 ふわっふわのマシュマロを、せっせと串に刺す、ロメオとシャルローザ。 周囲に漂う香りが、肉の香ばしいそれから、甘い匂いに変わり。 それぞれ散っていた一同が、また鉄板に集まり出した。 ※ 「……この平和を守る為に、これから頑張っていかないといけないな」 マシュマロを手に、真昼は青空を見上げた。 その横で、朝日がふわああっとあくびをする。 「お腹もいっぱいで、天気も良くって……平和で。これはもうお昼寝しないとお天道様への失礼にあたりそうだねぇ?」 「おいおい、それはただ昼寝がしたいだけじゃないか?」 これは、エクソシストの休日。 太陽が輝く草原での一日の出来事だ。
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*** 活躍者 *** |
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[13] アラシャ・スタールード 2018/04/22-22:06
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[12] ベルクリス・テジボワ 2018/04/22-18:26
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[11] テオドア・バークリー 2018/04/22-02:23
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[10] 降矢・朝日 2018/04/22-01:05
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[9] トール・フォルクス 2018/04/21-22:46
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[8] アラシャ・スタールード 2018/04/21-22:13
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[7] ジオラ・ティレンシス 2018/04/20-02:50
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[6] アラシャ・スタールード 2018/04/19-23:36
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[5] 降矢・朝日 2018/04/19-23:09
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[4] リトル・フェイカー 2018/04/19-13:30
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[3] シャルローザ・マリアージュ 2018/04/19-11:59
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[2] トール・フォルクス 2018/04/19-10:42
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