~ プロローグ ~ |
エトワールの中心街には、リュミエールストリートというメインストリートが存在している。 |
~ 解説 ~ |
オルヴワルの読書大会というイベントです。まさに本好きのためのイベント言えるでしょう。エトワール最大の古本関連のイベントであるため、人気があります。世界各国の珍しい本を読んだり見て楽しんだりできます。 |
~ ゲームマスターより ~ |
本好きのエクソシストが意外と多いので、このようなエピソードを作りました。本好きはもちろん楽しめるのですが、全く興味がない人間であっても、珍しい本などを見ていると、好奇心が湧いてきます。束の間の休日を読書大会で楽しんでみてはいかがでしょうか? |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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朝から行動 眠そうなレオノルを連れて読書大会へ来たものの当のレオノルに本を読まないと言われて驚くショーン 手当たり次第に古本のタイトルを見せてもレオノルは「読んだ」と言うので不思議な顔をしていると「学者の仕事は研究だから。本を読むのは仕事」とレオノルに一言言われてショーンは更に呆気に取られる 休憩中、レオノルはショーンが誰かの命令でここに自分を連れてきたのではないかと疑るが、返ってきた答えにレオノルは「君に付き合おう」という しばらく本を眺めていたショーンだが、字の読み書きは出来るものの2年前に死んで以来記憶がないのでそんなに教養はないとレオノルに言い、レオノルは簡単な数学の本で彼に数学を教えることに |
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◆シュリ
すごいわ、どんな本でもありそう…! あ、『聖帝と花の騎士たち』の4巻だわ これ買ってもいい?いい? ロウハが戻ってくるまでしばらく本を読みふける ロウハどんな本買ったの?見せて …誰?この女の人 ◆ロウハ サンディスタムの商人に『サーヤ』という歌姫に関わる本はないか聞く 楽譜でも詩集でも写真集でも何でもいい 見つかったら購入しお嬢の所に戻る 俺の本?別にいいだろ…っ あー、その…歌手だよ 故郷でちょっと、な お嬢、へそ曲げちまったな 飯でも奢ってやるか |
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ベルトルド視点 所謂オフの日。用事は無いがどんなものかと思いヨナに付いて来た 「そんなに本が好きだったのか」 「好きとか嫌いとかじゃありません。古今東西の希少本が集まるんです。 この機会でしか出会えない本も沢山あります。それに本そのものに関する歴史を知る人も 多くいますし本好きでなくとも一見に値しますよ」 懇々と諭すように話される と思えばはぐれていた。というか置いて行かれていた?ので一人で市場を散策 子供の頃は教育というものに縁がなく、前契約者に少し教わっただけで簡単な文字しか読めない 「爺さんからもう少ししっかり学んでおけばよかったか」 商人に絵の多い本は無いかと尋ねお薦めの一冊を借りオープンカフェで一息 |
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◆目的のジャンル 唯:デザイン関係の教本、有名画家の伝史等 瞬:演劇関係の本等 唯「読書大会…せっかくですし何か探してみましょうか」 瞬「そうだねぇ…どんなのがあるかなぁ?」 唯(あ、わたしが絵を描くキッカケを下さった画家さんの本が!) 瞬「いい本見つかった?」 唯「まだ中身は読んでませんが、気になる本なら… そう言う瞬さんは…物語、ですか?」 瞬「あ、これねー仕事で題材にされた事があって 初めて恋愛ものを演じた物語だよ 凄く難しかった思い出があってね」 唯「へぇ…」(瞬さんが返却した後で私も読んでみようかな?) 瞬「いづ、どうだった?」 唯「…とても…身に染みました…」 瞬「俺も当時の事を思い出して懐かしかったなぁー!」 |
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カグちゃんの要望で朝から参加 朝ごはんはちゃんと食べたし、お昼は近くのレストランかカフェでとる感じかな (隣のカグヤを見て)…うん、お昼になったら話しかけようか 「どんな本があるか楽しみだね、カグちゃん」 あ、これは僕も時間忘れそう 「あぁ…大丈夫だよ、読み書きもできるようになったからさ」 昔は君や他の人に読んでもらうのが気恥ずかしくて遠慮してただけだよ 昔も今も本を読み漁ってばかりだった君の世話で忙しいし? あはは。君をよく運んでるからねぇ、そのお陰か力もついたよ そうだなぁ、料理本あったら見たいかな ニホンやサンディスタム辺りの本とかってあるかなぁ? …カグちゃん裾掴むなら手を繋ごうか その方が僕はうれしいかな |
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早朝参加 こんな朝早くからだと気合が入っているみたいで少し恥ずかしいですが… お金も有限ですし,切り詰めていかないと 目当ては最近人気の恋愛小説 興味はあったが図書館ではなかなか借りられず 本を借りて近場のカフェへ あ、本当に寝てる… ページがすごく序盤のような 何しに来たんだろうという思いは胸に留め あまり気にせず読書再開 ローウェンの頭ががくっと揺れてびくりと あ、えっと…、おはようございます か、感想ですか? えーと、紆余曲折ありましたが、最後はハッピーエンドだったので、よかったです 月並みな事しかいえなくてすみません… いえ、全く あくまで空想上の出来事だから楽しめているんだと思います 私は、ただ平凡に暮らしたいです… |
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【目的】 カフェテラスで 言葉少なくとも意思は通じ合っているかのような、ささやかでも素敵な一時を 祓: 朝から本のイベントをやっていると知り 「珍しい古書もあるようだ。良ければ共に行かないか」と喰を誘い、共にイベントへ 自分は、貸し出されている販売のされていない、出版から古く珍しい文芸雑誌と、改訂の入っていない初版の小説を手に取った 喰も望む本を手に入れたのを確認してカフェへ 自分は紅茶を、喰は珈琲を頼み、外の気候が心地良いテラス席に移動し それぞれが最初に己の借りた本を読む 「文芸書はいいな。様々な存在の行動や心理などから導き出される話が読めて面白い」 そして 本の交換などをしながら 夕暮れまでゆったりと時間を過ごす |
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◆心情 古今東西様々な本が集まる読書大会…とても心躍るよ! ◆ 勿論早朝から来ているよ! 読書日和だね いやあ、今日の為に昨日はしっかり寝たからね 今日に限っては、愛しのお昼寝よりも本だよ…! 二ホンでは見かけない本も沢山あって、一日じゃあ楽しみきれないしね さぁ時は金なり!早速本を探しに行こう! ◆ 真昼くんは良い本見つけた? 私の方はね~サンディスタムの民話集に、アークソサエティを舞台にした歴史小説を見つけてね…読むのが楽しみだよ その絵本…懐かしいなぁ。小さい頃よく読んでた絵本だ ふふ、覚えてたんだ…なんだかちょっと気恥ずかしいけれど、嬉しいなぁ ふふふ、真昼くんも楽しそうで良かったよ 流石真昼くん、抜け目ない…! |
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~ リザルトノベル ~ |
エトワールの中心街にあるリュミエールストリート。歓楽街として有名であり、エクソシストたちもよく利用するようである。お洒落な洋服店や綺麗なカフェなど、幅広くお店が立ち並んでいるので、観光スポットとしても人気があるのだ。 そんなリュミエールストリートには、オルヴワルという蚤の市が存在する。今、そのオルヴワルで人気のイベントがある。それは、読書大会というイベントだ。古今東西の珍しい本が並び、自由に読書できるようになっているのである。そのイベントに、どうやらエクソシストたちも参加するようだ。一体、どんなイベントになるのだろうか。 * 教団のエクソシストであるショーン・ハイドは、パートナーであるレオノル・ペリエを連れて、朝から読書大会に参加しようと思っていた。 レオノルはドクターと呼ばれており、かなり知識のある人間である。当然のように書物だって読んでいるだろう。ショーンは読書大会のイベントを知り、彼女を誘ってみたのであるが、待っていたのは意外な返答だった。 「本は読まない」 と、レオノルは言ったのである。これはショーンを大きく驚かせた。恐ろしいほどの知的好奇心の塊であるレオノルが、本を読まないというのは大きな驚きであったのである。 とはいうものの、読書大会はきっと楽しめるであろう。 読書大会はさまざまな古書店が自慢の本を持ち寄っているので、見ているだけでも楽しめる。ショーンは自分が興味のある本や、レオノルの気を引きそうな本を探しながら、二人で一緒に本を探した。 ショーンは手当たり次第本を見せるが、レオノルはあまり乗り気ではない。 「読んだ」 と、レオノルは言った。本を差し出したショーンは不思議そうな顔をする。やはり、読書家なのであろう。本を読まないというのは嘘だ。 続けて、レオノルは言う。 「学者の仕事は研究だから、本を読むのは仕事」 なるほど。仕事で本を読むのなら、わざわざプライベートで本を読む必要がないわけか。 そう考えたショーンであったが、レオノルは本から視線を逸らせ、ふと呟いた。 「私をここに連れてくるようにって、教団の人が君に命令したの?」 「そういう訳ではありませんが」 「気にしなくていいのに」 「と、申しますと……?」 「私のご機嫌取りを率先してやらなくていいってことだよ」 「ですが、教団にはあまりいい感情を持っていないのでは――」 「教団と君はイコールじゃないでしょ」 「……ですが、せめて教団にいて気分が悪くすることが無いようにと……」 「わかった。んじゃ今日は君のために本を借りよう」 「俺は記憶喪失であり、教養がないのですが」 と、ショーンは不安そうに言った。 そこまで言うと、レオノルは一冊の本を手に取った。 それは、簡単な数学の書物であった。 ショーンは字の読み書きができるものの、二年前に死んで以来記憶がないので、そこまで教養がない。 そんな彼の事情を知り、レオノルは簡単な数学の本を借り、教養を与えようと思ったのである。 それから二人は、空いたベンチを見つけ、そこで数学の本について語り合った。 レオノルはショーンが記憶喪失であると聞き、若干驚いたが、それでも簡単な数学を教える。こうして束の間の読書を満喫した。 * シュリ・スチュアートとロウハ・カデッサもオルヴワルの読書大会に参加しようとしていた。 それなりに親密な二人であったが、読書大会のようなイベントに参加するのは初めてである。きっと楽しめるだろう。 そう考えたロウハがシュリを誘い、早速読書大会へ向かった。もともと、ロウハはそこまで本を読むわけではない。ただ、シュリは趣味が読書であり、割と本を読むようであった。 そうなると、今回のイベントはうってつけである。古今東西の珍しい本が集まるイベントだけあって、二人とも興味が湧いた。 二人とも、まずは別行動をして、それぞれ本を探すことになった。 まずシュリであるが、彼女は、なかなかの読書家であり、『聖帝と花の騎士』という本を探していた。ちょうど、探していた四巻の本があり、それを借りてみることに。 実家に住んでいた頃、シュリは箱入り娘だったため、本ばかり読んでいたのである。本を読み、外の世界に思いを馳せていた。だからこそ、読書大会の雰囲気がよく合う。 一方、ロウハも本を探していた。彼が探していたのは、『サーヤ』という歌姫に関する本である。 ロウハはサンディスタムの商人に向かって、サーヤ関連の本がないか尋ね、首尾よく、サーヤの特集が組まれた芸能雑誌を手に入れる。 それを借りて、彼はシュリの元へ戻った。 ロウハは故郷にいた頃、サーヤの歌声に心を救われた経験があり、それ以来、彼女のファンなのである。ロウハは気づいていないが、サーヤの面差しはどことなく彼に似ている。 「お嬢、いい本が見つかったか?」 と、ロウハは読書をするシュリを見つけるなりそう言った。 シュリは一旦読書を止めて、ロウハの質問に答える。 「うん、好きな本があってね。それを借りたのよ」 「そうか、それはよかったな」 「ロウハはどんな本を借りたの? 見せてよ」 「お、俺の本? 別にいいだろ」 急に恥ずかしがるロウハに、怪訝な印象を抱いたシュリは、強引にロウハの本を奪い取った。そこには、歌姫サーヤが載っている。 「……誰? この女の人?」 美人の女性が載っている本を見てシュリは不満そうだった。複雑な心境である。 それを見たロウハは慌てて言葉を返す。 「あー、その歌手だよ。故郷でちょっとな」 と弁解するものの、シュリはへそを曲げてしまった。 (参ったな……。飯でも奢るか) そう考えたロウハは、シュリをレストランに誘う。 ちょうど、お洒落な感じのレストランがあり、そこでようやくシュリの機嫌はよくなった。 その後、二人は食事をしながら借りた本を読みふけり、読書大会を楽しんだ。 * 教団のエクソシストであるヨナ・ミューエとベルトルド・レーヴェもオルヴワルの読書大会に参加しようとしている。 今日はオフの日。特に予定はない。そんな中、ベルトルドはヨナについてオルヴワルにやってきたのだ。イベントは大変好評のようで、かなりの数の人がいる。 朝から読書大会に参加した二人は、とりあえず会場の雰囲気を楽しんでいた。 「そんなに本が好きだったのか?」 と、素朴な疑問を尋ねるベルトルド。それほど、ヨナを知っているわけでない。 「好きとか嫌いとかじゃありません。古今東西の貴重な本が集まるんです。この機会でしか出会えない本もたくさんあります。それに本そのものに関する歴史を知る人も多くいますし、本好きでなくても一見に値しますよ」 と、ヨナは諭すように言った。 (そういうものなのか) よくわからなかったが、ベルトルドは納得する。 そんな中、ヨナもベルトルドもさまざまな古書店を見て回った。 ただ、ベルトルドは途中からヨナとはぐれてしまい、一人で散策することに。本好きのヨナにはついて行けない部分がある。 一人で散策するベルトルド。彼は教育というものを受けた経験がそれほどないため、簡単な文字しか読めない。それでも、本を見るのは楽しかった。 (爺さんからもう少ししっかり学んでおけばよかったか) と、前契約者である武術の師を思い出すベルトルドであった。 そんな中、彼は商人に絵の多い本を探してもらい、一冊借りてヨナを探した。 ヨナは古書店の前にいて、何やら商人と難しい話をしているようである。 ヨナはベルトルドの存在に気づくと、いつもの澄ました顔に戻り、何冊か本を借りてそれをオープンカフェで読むことにした。 同じテーブルにつき、本を読む二人。ベルトルドは借りた本をパラパラと眺める。すると、それを見ていたヨナが声をかける。 「その本……。もしかして奇書『アナスタシス魔術体系』ではないですか?」 「いや、実はよくわからん」 どうやらベルトルドが借りたのは非常に珍しい本らしい。 自分が読んでもわからない。そのため、彼はヨナに本を渡した。 ヨナの顔がパッと輝きに満ちる。 (今日は随分と分かりやすい顔をするな) そう思ったベルトルドを尻目に、ヨナは答える。 「ありがとうございます」 本を読み合い、満足した二人はオルヴワルの雰囲気を楽しみながら、無言の空間を過ごした。居心地は決して悪くない。ヨナもベルトルドも今日のイベントにやってきてよかったと感じていた。二人の絆も深まるだろう。 * 杜郷・唯月と泉世・瞬もオルヴワルの読書大会に参加しようとしていた。二人とも本の虫と言うわけではないが、比較的読書が好きである。 人気の本などは、早くに行かないと貸し出されてしまうので、朝から読書大会に参加した。 二人とも目的としている本がある。唯月なら「デザイン関連の本」「画家の伝記」。それに対し、瞬は「芸術関連の本」を探していた。 まずは色々な古書店を見て回る。どの古書店もさまざまな本を持ち寄っていて、ずっといても飽きない。魅力あふれるイベントのようである。 そんな中、唯月がある本を発見する。 (あ、私が絵を描くきっかけを下さった画家さんの本が) 唯月は絵を描いている。そして、絵を描くきっかけになった画家がいるのだ。その画家の本が見つかったとなれば、嬉しさもひとしおであろう。 唯月の反応を瞬は確実に捉えていた。最近、彼女に対する守護の気持ちが強い。だからこそ、彼女の変化を感じられたのだろう。 「いい本見つかった?」 と、瞬は唯月に声をかけた。 「まだ中身は読んでませんが、気になる本なら……。そういう瞬さんは……物語ですか?」 唯月は瞬の持っている本に視線を注いだ。 表紙を見る限り、小説のようである。 「あ、これねー。仕事で題材にされたことがあって初めて恋愛もの演じた物語だよ。すごく楽しかった思い出があってね」 それを聞いた唯月は、後で自分でも本を読んでみたくなる。 結局、瞬が読んだ本を唯月も後で読んでみた。なかなか読み応えのある恋愛小説だ。 本を読んだ感想を瞬は聞きたがる。 「いづ、どうだった?」 「……とても……身に沁みました……」 「俺も当時の思い出を思い出して懐かしかったなぁー!」 その後、二人は意外な芸能雑誌を発見する。 その芸能雑誌には、瞬の役者時代が載っていたのである。 芸能雑誌を見つけて唯月は感動した風に、雑誌を手に取った。 「あれ、これ……」 若い頃の自分が載っている。それを見た瞬は答える。 「ん? ……わぁ懐かしー!」 「え、やっぱり瞬さんですか?」 「そーだよー。へへ、これは今から五年くらい前のかな?」 「へぇ……あれ? こちらの写真は何となく若いような……?」 「え、あ……それは……そう言えば十五周年とかで振り返りの写真も載ったんだっけ……。十代中盤から役者をやってたから……まだ人間だった頃の写真だね」 「え、えぇ!?」 意外な瞬の過去を知り、唯月はいたく感動した。まだ、それほど瞬を知っているわけではない。それでももっと知りたいという、仄かな恋心が生まれつつあった。今回のイベントで二人の距離も一層縮まっただろう。 * ヴォルフラム・マカミとカグヤ・ミツルギの二人も、オルヴワルの読書大会に参加しようとしている。 今回のイベントは、カグヤからの提案である。ヴォルフラムは承諾し、朝から読書大会へ向かった。 本好きのカグヤはさまざまな古書店を回り、目当ての本を探す。そんな様子を、見守るような気持でヴォルフラムが見つめている。 「どんな本があるか楽しみだね。カグちゃん」 なるべく邪魔しないようにヴォルフラムは声をかける。 彼女は本を手に取りながら、その質問に答える。 「うん、楽しみ」 彼女はとりあえず魔術関連の本を中心に探し、余裕があれば、民話や伝承なども確保したいと考えていた。 教団でも図書館を利用するが、希少な本は借りられない。故に、今回のイベントは、本好きとしてはありがたかった。 「あ、えっと、ヴォルも、読みたい本があれば、遠慮なく借りていいんだからね」 「あぁ……大丈夫だよ。読み書きもできるようになったからさ」 カグヤの世話をしているヴォルフラムであったが、あまり本は読まない。読んでみたい本があった時、カグヤに読んでもらいたい時もあったが、遠慮していたのである。 (料理の本とかあったら読んでみるかな) そんな風に考えながら、ヴォルフラムも本を探した。 「カグちゃんに言葉を教わって、僕も大分本を読めるようになったよ」 「え、そうなの」 「僕も料理の本や二ホンやサンディスタム辺りの本を探してみるよ」 「ヴォルに教えるのも、私がちゃんと理解しているか確認もあったし、でも、役に立ってよかった」 「とりあえず今日は楽しもう。色々な本があるはずだから」 二人はその後も本を探して回った。途中、カフェに寄り借りた本を読み合い、感想を言い合う。 本の虫であるカグヤは、読書をしていて目が覚めたら部屋だったという経験が多々ある。昔からそういうところがあり、今でもあまり変わらなかった。 再び本を探す中、カグヤはヴォルフラムのことを考えていた。今日は、もう少し親密になりたい。 彼女は、歩く途中でヴォルフラムの服の裾を掴んだ。本当は手をつなぎたかったのだが、恥ずかしくてできなかったのである。 その様子に、ヴォルフラムは気づいた。一緒にいる時間が長く、少しずつ彼女の気持ちが分かるようになっていたのだ。 「カグちゃん。服掴むなら手をつなごうか。その方が僕は嬉しいかな」 そう言い、ヴォルフラムはカグヤの手を握る。 カグヤの顔が赤くなり、歩くスピードがゆっくりになる。 (私は貴方を好きになっていいのかな?) カグヤはふと考える。もっと親密になりたい。 二人はこの後も手をつなぎながら読書大会を楽しんだ。 * メアリ・シュナイダーとローウェン・アッシュベリーの二人もオルヴワルの読書大会に朝から参加しようとしている。 メアリの目的は最近人気の恋愛小説。早速、恋愛小説などを取り扱うお店に行って早速本を探す。 一方、ローウェンの方は、イベントに興味があったわけではないのだが、暇だからついてきた形である。あまり本を探さずに、メアリの姿を追っていた。 彼女は、借りたい本があっても恥ずかしくて借りられずに、もじもじとしている。それを見たローウェンはメアリに向かって言った。 「大丈夫だよ。いちいち他人のことなんて気にしてないって。皆本に夢中だよ」 「そ、そうですよね。じゃあ、これを借りてきます」 メアリは結局数冊の恋愛小説を借りる。ローウェンもメアリと同じ本を借りた。本を読むと眠くなるが、今回はそれなりに起きていたい。 「僕は何とか起きていられるように頑張るよ」 本を借りた二人はカフェに入った。 席に座り、注文を済ませると、早速メアリは恋愛小説を読み始めた。それに合わせて、ローウェンも本を開くが、すぐに眠気が襲ってくる。 ペラペラと本をめくっているうちに、眠気に耐えられなくなる。 メアリが本を読み始めて十分後にはローウェンは眠り始めていた。 (あ、本当に寝てる……。ページがものすごく序盤のような) 何しに来たんだろう、と考えるメアリであったが、なるべく気にしないようにして読書を再開する。 それほど長い本ではなかったので、一時間ほどでそれなりに読書を進められた。 ある程度本を読み終えると、それを見計らったように、ローウェンが目を覚ます。 「あ、えっと、おはようございます」 と、メアリは声をかけた。 それに合わせてローウェンは大きく伸びをする。 「うん。メアリは本を読めたの?」 「まぁそれなりに」 「そう。それでどうだった? 感想を聞きたいんだけど」 「え、感想ですか? えーと紆余曲折あって最後はハッピーエンドっていう感じです。よかったと思いますけど。あ、その、月並みなことしか言えなくてすみません……」 「いや、楽しく読めたんならいいんじゃない。序盤とあらすじ的に数々の困難を乗り越えて幸せにってやつかな? メアリもそういうのに憧れる?」 「いえ、全く。あくまで空想上の出来事だから楽しめているんだと思います。私はただ、平凡に暮らしたいです……」 「だよねぇ、平和が一番だよ」 本の世界を楽しんだメアリ。物語特有の世界観を堪能できたようである。ローウェンはほとんど眠ってしまっていたが、満足そうなメアリの表情を見て、ここに来てよかったと感じていた。二人ともイベントを満喫できただろう。 * ガルディア・アシュリーとグレール・ラシフォンの二人も、オルヴワルの読書大会に参加しようとしている。 イベントに誘ったのはガルディアの方。珍しい古書も多数あるようだ。それほど本を読むわけではないが、珍しいイベントであるため参加したくなったのである。 「珍しい古書もあるようだ。よければ共に行かないか?」 と、ガルディアはグレールを誘い、二人は朝から読書大会へ向かった。 幸い、天気の良い日で、さまざまな古書店が軒を連ねていた。古今東西の書物が自由に貸し出され、読めるようになっている。そんな雰囲気を感じながら、ガルディアもグレールも本を見て回る。 ガルディアは文芸雑誌や初版の小説に興味を抱き、速やかにそれらを借りる。 一方、グレールも本を決めていた。彼は、魔術関連の書籍を物色し、中から気に入った本を二冊借りる。 「グレール。目当ての本はあったのか?」 と、ガルディアが本を手に取るグレールに向かって尋ねる。 するとグレールが答える。 「……危険な本ではないが、なかなか出回らない知識を記した希少本のようだな。こんなところにあるとは思わなかったが」 「目当ての本があったのなら、どこか落ち着いた場所で読んでみよう」 二人はカフェに向かい、テラス席に移動する。 ガルディアは紅茶を頼み、グレールは珈琲を注文した。飲み物が到着するなり、読書を開始し時間が流れる。 (やはり文芸書はいいな。さまざまな存在の行動や心理などから、導き出される話が極めて面白い) と、そんな風に考えながら、ガルディアは読書を進める。グレールも黙って本を読んでいた。 ガルディアとグレールはそれぞれ一冊読み終わると、本を交換した。 この時、特に言葉のやり取りは行われなかった。それでも十分に意思は通じるのだ。ガルディアが本を差し出すと、それがさも当然かのように「ふむ」と頷いて、グレールは本を受け取り、自分の読み終えた本を差し出したのである。 互いに二人が借りた本を読み終わると、既に時は夕暮れとなっていた。リュミエールストリートにも哀愁を感じさせる夕焼けが降り注いでいた。 本を読み終えた後も、特に感想を言い合ったわけではない。だが、ガルディアもグレールも相手と同じ本を読むことで、知識や経験の共有ができたと感じている。 二人はこう感じていた。 『今、この手にある本は、先程、目の前の相手が読み通し、その知識を己のものとして理解したもの』 そう考えれば、読書は決して悪い行為でない。言葉はなくとも、相手を理解することができるのだ。同時にそれはとても嬉しく感じられた。 * 降矢・朝日と籠崎・真昼の二人もオルヴワルの読書大会に参加しようとしていた。 二人とも古今東西の本が集まると聞き、心躍っていた。最近、本を読めていなかったから、今回のイベントはきっと有意義に過ごせるだろう。 朝から読書大会へ参加するために、二人はリュミエールストリートに向かった。天気も良く晴れ渡っている。 さまざまな古書店が自慢の本を貸し出しており、そこにはニホンの書物もあった。故郷のニホンを思い出し、朝日のテンションが上がってくる。 二人ともまずは一緒に本を見て回る。時折気になる本を見つけては、それらを手に取り、パラパラと中を確認する。 しばらくすると二人は一旦別れ、別行動をして本を探すことにした。 三十分後に待ち合わせをして、それぞれが読書大会を見て回る。 まず、朝日は自分の目的とする本を見つけられていたので、軽く店を見て回った。 朝日が興味を持った本は「サンディスタムの民話集」「歴史小説」などである。 読書は好きだが、最近忙しくてなかなか読む時間が取れない。そのため、今回借りた本を読めるのは非常に楽しみであった。 一方、真昼は朝日を倣い、自分の興味のある流行りの小説などを探して回る。「流行りの小説」を探し終えると、ふと一冊の絵本を見つけた。 それは「朝日が好きだと言っていた絵本」であった。 (朝日ちゃん。覚えているだろうか?) そんな風に考えながら、同時に絵本も借りておく。 三十分後、二人は再び落ち合い、自分たちが借りた本を見せ合う。 「真昼くんはいい本見つけた?」 と、朝日が尋ねてくる。そんな中、真昼は絵本を見つけたと、朝日に向かって言った。 「朝日ちゃん。この絵本覚えてる?」 絵本を見つめる朝日。徐々に懐かしさが湧いてくる。 「その絵本……懐かしいなぁ。小さいころよく読んでいた絵本だ。ふふ、覚えていたんだ……なんだかちょっと気恥ずかしけれど嬉しいな」 そんな風に思い出を振り返りながら、二人はイベントを楽しむ。 テンションが高くなった朝日を見た真昼は、その姿に朝日の父親を感じていた。 (そういうところ、君のお父さんを思い起こすなぁ) 「早速本を読もうか? カフェがいいかな? 実はさっき、いい店を見つけてね」 と、真昼が提案すると、朝日はすぐに承諾する。 「そうだね。真昼くん。カフェに行って本を読もう。でも、よかった真昼くんも楽しそうで」 「朝日ちゃん程ではないけれど、俺も読書は好きだからね。楽しめたよ」 時は金なり。二人は早速カフェに向かい、久々の読書を満喫した。
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*** 活躍者 *** |
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該当者なし |
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[5] 杜郷・唯月 2018/06/23-15:49
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[4] シュリ・スチュアート 2018/06/23-07:24
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[3] ベルトルド・レーヴェ 2018/06/21-21:00
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[2] ガルディア・アシュリー 2018/06/21-19:40
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