~ プロローグ ~ |
ブリテンのジョンソン家。 |
~ 解説 ~ |
ジョンソン家のお嬢様ライリーが、生まれて初めてブリテンから離れて旅をします。 |
~ ゲームマスターより ~ |
こんにちは。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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シ:したいことをたくさんしましょう ライリーさんやマウロさん、同行する皆ともっと仲良くなれたらいいな…! ◆水着選び シ:初めての水着、ライリーさんと選ぶ 明るい色で可愛い感じのが似合いそう 髪型はアップはどうかしら…わたしみたいな ロ:マウロの水着選びに同行 あまり悪趣味な柄じゃなきゃいいと思うぜ? ◆買い出し シ:お肉と野菜、果物と…マシュマロも重要 ロ:肉を多めに追加しつつ荷物持ち ◆海遊び シ:泳ぎの指導を受ける ロ:泳ぎの指導、基礎的なことを教える ◆BBQ シ:張り切って準備 ロ:お嬢がヘマしないようにフォロー 食うのは肉メイン ◆花火 シ:花火も初めて 恐る恐る持ちながらも綺麗さに見とれる ロ:花火を楽しむ女性陣を見守る |
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一心不乱に遊ぶ ■行動 ∇ティ ・マウロの水着思案 ウエスタンハット煙草にアロハ系のトランクス ライリーに見せて相談 「マウロさん恰好良いです(真剣 ・買出し 「トロピカルジュース!フロート!美味しそう!甘い物は外せません 甘いモノ果物アイス ほんわり幸せ 肉も忘れず購入 ∇共同 ・ビーチバレー 「ふはは!全力で行っな! 「負けません ・西瓜割 ティは真剣 ロスは大笑いで手叩き誘導 ・花火 「打上げ!ロケット花火!(目輝き 「私は線香花火があれば(ロスと距離置き ∇ロスは狼姿、共同時には人間 皆の買物中は外で昼寝 水泳時には寝そべり遠目から シリウスが警護してっので足元じゃれ付き もふもふは隙あらば自分から ララエルのBQ機械組立て手伝いは人間で |
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ライリーさん、良かったら海で泳ぎませんか? エクソシストが海を警備しているので、安全ですよ。 (呼び捨てで良いと言われ) うん、じゃあライリーって呼ばせてもらうね(にこりと微笑む) ライリーは海は初めてなんだね、大丈夫、怖くないよ。 海は塩を含んでいるから、体が浮くんだ。 僕が手を持っていてあげるから、バタ足をしてみよう。 うん、上手だよ。 じゃあ次はマウロさんですね。 マウロさんも僕の手を持って…うわあっ(マウロのほうが大柄なので、引っ張られてしまう) …うーん、マウロさんは浮き輪でも良いかもしれませんね。 (浜辺のほうからバーベキューの香りが) ライリー、マウロさん、バーベキューですよ、行きましょう。 |
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生まれて初めての海 どきどきでしょうね楽しく過ごせるよう はりきってお手伝いしなくちゃ
ライリーさんとマルロさんに笑顔でご挨拶よろしくお願いします 仲良くしてくださいね まずライリーさんの水着選びのお手伝い女の子同士で楽しく選ぶライリーさんはどんな髪型がいいですか?暑いから アップにするといいかもお花を飾ったりするのも可愛いですね 水着選びが終わったら お買い物う、ちょっと買いすぎちゃったかな軽くなった荷物に瞬きありがとうシリウス と笑顔 水泳指導というより 一緒に水辺で遊んだりトロピカルジュース作りや花火皆と沢山仲良くできるといいな困惑顔のシリウスにちょっぴり笑うお疲れ様!シリウスも飲むでしょう? |
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~ リザルトノベル ~ |
●食料買い出し ヴェネリアのベレニーチェ海岸近くの商店街。 一軒の食料品店の前で一匹の狼がのんびりと店先で昼寝をしている。 人の好さが狼姿に滲み出ている……か、どうかは別であるがエクソシスト『ロス・レッグ』である。 「トロピカルジュース! フロート! 美味しそう! 甘い物は外せません」 店内で甘いモノや果物にアイスを次々と購入しいているのはロスのパートナー『シンティラ・ウェルシコロル』。 どうやら、ほんわりとした幸せにひたっているようである。 勿論、肉の購入も忘れない。 別の食商品店では『シュリ・スチュアート』が物静かに思慮深く、お肉と野菜、果物と……マシュマロも重要……と買い物を進めている。 その手にあふれる荷物を受け取りつつ、肉の追加を忘れないのは『ロウハ・カデッサ』だ。 貸し水着店から、よろよろとマウロが出て来た。 「何なんだ、海に入るだけの用途なのに、何故あんなに種類があるのだ」 ぐったりとしているマウロとは対照的に、店の中でライリーは大はしゃぎだ。 「ライリーさん、海で泳ぐ前に、水着を選びませんか?」 『ララエル・エリーゼ』がライリーを貸し水着店に誘った。 「はい! あ、さんはやめてください! 今から一緒に楽しむんですから! ライリーって呼んで下さい」 そう言われたララエルはあどけなく微笑み 「えへへ、じゃあ……ライリーお姉ちゃん!」 「じゃあ、わたしはララエルちゃんって呼ぶわね!」 ライリーとすっかり打ち解けたララエルが、店内を駆け回り水着を物色し始めた。 「ライリーお姉ちゃんは、パレオ付きのピンクのビキニが、セクシーでメロメロでズキュンだと思うんです!」 「ええええ!? メロメロでズキュン!?」 マウロがふらふらと店の外へと出たのは、だいたいこのタイミングである。 「ライリーさんはどんな髪型がいいですか? 暑いから アップにするといいかもお花を飾ったりするのも可愛いですね」 大はしゃぎの二人をミステリアスに見守りながら、水着を手に取りトータルバランスを見ているのは『リチェルカーレ・リモージュ』。 パートナーの『シリウス・セイアッド』はリチェルカーレの「水着選びは女の子同士で」に従い、遠慮したようである。 「それでねそれでね、髪型はポニーテールで、ハイビスカスの花をつけるの!」 「素敵ね!」 はしゃぐララエルとライリーの声が店の外にまで聞こえている。 食料品の買い出しを終えたシュリ、ロウハ、シンティラと狼姿のロスが声を聞きつけてやって来た。 店先ではマウロがベンチに彫刻のように座っている。 ほら。と、ロウハがマウロの背中を押した。 「あまり悪趣味な柄じゃなきゃいいと思うぜ?」 背中を押されたマウロがしぶしぶ立ち上がり店内へと足を向けると、空いたベンチにロスがひょいと飛び乗り、大きく欠伸をして昼寝を再開した。 「ライリーさん、お久しぶり」 シュリの姿を見つけたライリーが駆け寄った。 「お久しぶりです。その節はお世話になりました。シュリさんと海に行けるなんて素敵!」 ライリーは大喜びで、抱き着かんばかりだ。 「わたしも海水浴初めてで、すごくワクワクしてるの。楽しい滞在にしましょう」 「はい!」 「ライリーさんは、明るい色で可愛い感じのが似合いそう」 「シュリさんは、どんなのになさるの?」 「わたしは……」 シュリは白と水色のビキニを手に取った。 「マウロさんは……男の人らしく赤の海パンで!」 ララエル、今度はマウロの水着を選び始めている。 「あああああ赤ぁぁ……?」 マウロ完全にララエルのペースに巻き込まれている。 シンティラも一緒にマウロの水着を思案している。 「どうかしら」 試着室からライリーが出てきた。 「わあっ、すごく似合ってますよ!」 ララエルが歓声をあげると、マウロも、様子を見に現れた。手にはシンティラの選んだ赤を基調としトロピカルな花々が描かれた水着を持っている。 「あら、マウロも決まったの? 着て見せてよ!」 マウロは、そのまま試着室へと押し込まれてしまった。 こ、これを着るのか……。 テオがいなくて良かった。 いたら何を言われていたか……。 試着室から聞こえてくるマウロの独りごとに、皆が必死で笑いを堪えていたが、 「こ、こんな感じかな」 と試着室から現れたマウロの頭に、シンティラがウエスタンハットを乗せると、なかなかの見栄えになった。 「マウロさん恰好良いです」 シンティラの眼差しは真剣である。 「ライリーさん、どうかしら?」 同意を求められたライリーも、 「うん、いつもより随分と良いわ」 と納得の仕上がりだ。 「そ、そうかな」 皆の視線を浴びて顔を赤くはしているが、マウロもまんざらではない。 水着選びが一段落つき、リチェルカーレとシリウスの二人が食料品店へと入っていった。 果物や飲み物を大量に持つリチェルカーレからシリウスが荷物を取り上げた。 突然軽くなった荷物にリチェルカーレが瞬き、 「ありがとうシリウス」 と微笑むと、シリウスもその笑顔に、 「転ぶなよ」 と目を眇めた。 買い出しを終えた一行は海へと足を向けた。 「ライリーさん、良かったら海で泳ぎませんか?」 「ええ! 泳ぐ!? 遊ぶ、じゃなくて? 泳いで危なくないですか? 何か怖いモノが出るのかもしれないんでしょ? 海の中に居て直ぐ逃げられますか?」 ライリーに海で水泳に誘っているのは『ラウル・イースト』。 「エクソシストが海を警備しているので、安全ですよ。ライリーさん」 「あ、さんはやめて下さい。ライリーでいいわ」 「うん、じゃあライリーって呼ばせてもらうね」 とにこりと微笑む。 一方ラウルのパートナーのララエルは、シリウスに戦闘でのお礼を言っている。 「シリウス様! 戦闘では命を助けていただいて、ありがとうございました」 リチェルカーレも初めての海で、高鳴る胸を抱えの参加である。 「ライリーさんとマウロさん、よろしくお願いします。仲良くしてくださいね」 リチェルカーレの挨拶に合わせて、シリウスも軽く会釈をしている。 「もちろんです!」 飛び跳ねんばかりにライリーが答える。 皆が海遊びに足取り軽く、あんなに渋っていたマウロもなんだかんだと楽しそうである。 「多少は凹んでっかなーとあっので楽しませてぇ」 シンティラと楽しそうに話すライリーを見てロスが言うと、 「そうですね」 とマウロも頷く。 ロスもシンティラも、ライリー誘拐事件でマウロを尊敬している。 「いっぱい遊びましょう」 シンティラの言葉に、ライリーは借りた水着の入ったバッグを抱きしめ大きく頷いた。 待望の海は、もう直ぐそこだ。 着替えの終わったライリーの髪をシュリがアップにし、リチェルカーレが買って来た花をその髪に飾る。 その瞬間、マウロの視線が泳ぐのをロウハは見逃さななかった。 水着姿のシュリとライリーが手をつないで、海の中へと入っていく。 「冷たい!」 ライリーが海水の冷たさに飛び上がった。 泳ぎを教えるのは、ロウハとラウルである。 マウロは泳ぎは遠慮するつもりだったが、 「あら、弱虫ね」 のライリーの一言に乗せられてしまったのだ。 「ライリーは海は初めてなんだね、大丈夫、怖くないよ」 ラウルがライリーの手を取り、一歩一歩海の中へと歩みを進める。 隣では、ロウハがシュリの手を取っている。 初めての水着に、初めての海。ロウハの手を握るシュリの手に力が入る。 マウロは……、浮き輪片手に独り恐る恐る歩みを進めている。 「海は塩を含んでいるから、体が浮くんだ」 ラウルがそう言うと、マウロの足取りが幾分か軽くなった。 胸の下あたりの深さまで来ると、 「僕が手を持っていてあげるから、バタ足をしてみよう」 「バタ足?」 ラウルに両手を握られたものの、何をどうしていいか分からないライリーに、 「こうだ」 とロウハがバタ足で少々泳いで見せた。 すぐにロウハの真似をしすると、ライリーの身体がスイスイと海の中を進む。 「すごーい! 進んだ!」 「うん、上手だよ」 ラウルに褒められて、ライリーの足は一層勢いを増した。 シュリもロウハの手をしっかりとにぎり、バタ足をしてみる。 進んだ!!!!! 目を輝かせるシュリに、満足気なロウハ。 ライリーの歓声が響く海と浜辺を警護しているシリウスの足元には狼姿のロス。 なぜ、ここにいるんだろう……。 シリウスに困惑気味の目でみられているが、ロスは構わずじゃれついている。 「暑くないか?」 狼姿のロスにポツリと言うところを見ると、困惑はしてているが迷惑ではない様子。 海では二人の少女のたてる水しぶきを浴びながら、浮き輪にしがみついているマウロ。 「じゃあ次はマウロさんですね」 ラウルにそ言われて、さらに浮き輪を抱きしめるマウロ。 「マウロさんも僕の手を持って……うわあっ」 差し出された手をラウルの手をマウロが握にぎり、見様見真似でバタ足と突然始めたためマウロの身体は沈み、そのままラウルまで引きずり込んでしまった。 「……うーん、マウロさんは浮き輪でも良いかもしれませんね」 「そ、そですね」 マウロ、申し訳なさそうにラウルの手を放し再び浮き輪へと手を伸ばしたが。 つるん! 指先が滑り、浮き輪は水面でぽんっと跳ね、マウロは再び海の中へと沈んだ。 浜辺ではララエルがBBQ機械の組み立てを始め、リチェルカーレはトロピカルジュースを作る準備を始めた。 海で遊んでいたライリー達も、浜辺へと上がって来た。 ライリーが借りたパレオをさらりと身体に巻きつけると、サマードレスの様になった。 シュリとリチェルカーレがジュース用にトロピカルフルーツをカットしているのを物珍しそうにライリーとマウロが見ている横で、人間姿のロスがララエルの機械組み立てを手伝っている。 「あっ!」 シュリが皮をむいていたフルーツが、その果汁の多さから手元から滑った。 「おっと!」 すかさずロウハがキャッチ。 おおおおおお! そんな些細な事でも歓声が上がる。 出来上がったジュースは強い日差しを忘れさせる甘い香り。そのくせ甘味は控えめでのど越しも爽やか。 希望者にはシュリがジュースの上にアイスクリームを乗せてトロピカルフロートジュースに。 もちろん、シュリ自信もアイスクリームを乗せ、幸せを堪能している。 ラウルはアイスクリームを追加して楽しんでいる。 リチェルカーレは海岸の警備に余念のないシリウスに、トロピカルジュースを差し出す。 一瞬、その甘い香りに動揺するシリウス。 「シリウスも飲むでしょ? 大丈夫よ、甘くしてないわ」 そう言うなら……。 鼻に抜ける爽やかな香り、しかし同時に軽やかな酸味が口いっぱいに広がり、太陽に照らされ疲れた身体に染み込んでいった。 トロピカルジュースで一息つくと、ロスとシンティラが浜辺にビーチバレーの準備をした。 この二人、ビーチバレーにスイカ割、そして花火と海遊びに長けているのか、完璧な装備での参加だ。 「ふはは! 全力で行っな!」 ロスが言えば、 「負けません」 シンティラが静かに応える。 遊びなのか、本気なのか。 シンティラとライリー対ロス。 ララエルがきゃっきゃと応援をしているのだが、どっちを応援しているのかよく分からない。 シンティラが打ち返したボールがあらぬ方向へと飛び海の中へ。 落としては成らぬと追ったライリーが海へダイブ。 「はぁぁぁぁ! 気持ち良い!」 そのまま泳ぎだしてしまった為、再びラウルとロウハによるライリーとシュリの水泳教室が始まった。 ロウハとシュリは、非常に楽しそうだが、遊んでいるのではない。 こうしてライリーの側に居る事が、エクソシストとして警備しているのだ、と言う事にしておく。 浜辺ではララエルとロスが機械の組み立てを終えた。 ――ラウルが二人に水泳を教えている間、私はバーベキューを焼いてようっと! ララエルが食材の準備を始めると、リチェルカーレとシンティラも準備に取り掛かる。 その近くビーチチェアにはマウロが伸びていた。 「ああいったモノは、元来の素質が必要なのだ」 そう言って泳ぐ事を諦めてしまった。 暫くすると水泳教室は競泳教室になり、海の中で鬼ごっこが始まっていた。 くん……。 ラウルが、浜辺から漂ってきたBBQの匂いに気が付いた。 「みなさーん! 疲れたらバーベキューを用意しているので、食べてくださいね!」 ララエルの大声に、全員の嗅覚が全開になった。 「バーベキューですよ、行きましょう」 「やったぁ! 憧れのバーベキュー!」 ライリーがガッツポーズをした。 こんなに大量の肉を誰が食べるのだ。 マウロが呆れるほどの肉の量だったが、ロウハは肉がメインだし、ロスも肉にかぶりくつ。 皆がおおいに食べた。 屋敷では食が細いと心配されているライリーも、皆が驚くほど食べた。 「だって、みんなで食べると美味しんだもの!」 ライリーはそう言うが、ライリーの食が細くない事は事務所でテオのミートパイを食べる姿から想像できる。 忙しい父は屋敷を開ける事が多く、食事も一人の事が多いのだろう。 「ほら、もっと食べると良いよ」 マウロはライリーの更に肉を追加すると、皆が次々とライリーの更に肉や野菜を乗せていく。 「こんなに食べられなーい!」 ライリーは満面の笑顔だ。 「わたし、これをやってみたくて……」 シュリがマシュマロを取り出した。 「焼きマシュマロ!」 甘いモノが苦手なシリウス以外がマシュマロを串に刺し、網から少し離してくるくると串を回す。 ラウルは両手に持てるだけの串を持っている。どうやら甘いものが相当好きなようである。 皆が手元を見つめる。 香ばしい香りと共に、マシュマロの表面がすこしきつね色に。 皆、一斉に口へと運ぶ。 「はひひひ(あちちち」 マウロは火に近付け過ぎたのか、相当熱くなっておりマシュマロが溶け落ちる寸前に口に入れてしまった。 外はカリっと、中はとろーりの焼きマシュマロは皆……マウロ以外の皆の心も甘く包んだ。 「後片づけ、私も手伝います!」 とライリーが意気込んだものの、食事のしかもバーベキューの跡片付けなどした事の無いライリーは足手まといでしかなかったがライリーは失敗すらも楽しみ、顔が疲れる程笑った。 「さぁ!」 とロスが浜辺に大きなシートを広げ、その上にスイカを置いた。 「なんですか?」 マウロもライリーも今から何が始まるのか見当もついていない。 「スイカ割りです」 そう言って、シンティラが目隠しをして、棒を握りその場で3回ほどくるくると回って止まった。 が、回り始めはスイカの方を正面に立っていたのに少しずれており、このまま真っ直ぐ歩いてもスイカにはたどり着かない。 「こら、こっちだこっちだ!」 突然ロスが手を叩いてシンティラを誘導し始めると、シンティラは耳を音の方に向け、音を追うように棒を構え歩き始めた。 「違う違うこっちこっち」 ロスは大笑いである。 「あー、違う違う。もっと右」 「あ! 右過ぎた!」 ロス以外にも皆がワイワイと騒ぐものだからシンティラは完全に迷走してしまっている。 「そこだ!」 誰かの声に反応し、シンティラが棒を振り下ろした。 「あー……」 棒は空しく砂浜を叩いた。 シンティラが目隠しを外し、ライリーに渡した。 「え? 私!?」 ライリーは目隠しと棒を受け取り、シンティラに習い目を隠した状態で三回まわり棒をかまえた。 残念ながらライリーの身体は、あらぬ方を向いている。 「よし、ライリーこっちだ!」 マウロが意気揚々と手を叩き誘導し始めると、ライリーがその音を追う。 「そこだ!」 マウロの声に、スイカの真正面に立ったライリーが棒を振り下ろした。 こんっ! 棒はスイカの端を叩いただけで割れるまで行かなかった。 「私、次は誘導するわ!」 そう言って、目隠しと棒を近くにいたリチェルカーレに渡した。 「え!?」 リチェルカーレは一瞬躊躇したが目隠しを受け取り、棒を握り3回回転。 「はい! こっちですよぉ!」 ライリーが手を叩くと、真剣にじわじわと確実にスイカへと近付く! 「そこです!」 声にあわせて、力いっぱい棒を振り下ろす。 ガツン! 「割れた!!!!」 ロスの声にリチェルカーレが目隠しを外した。 少し不格好ではあるが、確かにスイカは二つに割れている。 「やりました!!!」 「凄い!」 「綺麗に割れましたね!」 大騒ぎだ。 楽しそうなリチェルカーレの姿に、シリウスがため息をひとつ。 ――海、危なくないのか……? 危険区域に入らなければ大丈夫だろうか。 割れたスイカの一欠片を持って、向かってくるリチェルカーレの姿に苦笑いした。 明日には屋敷へと帰らなければいけない。 そんな思いを振り払うように、ビーチバレーで再びロスに勝負を挑んだり、シュリと泳ぎの競争をしたりとライリーは体力の限り遊んだ。 しかし、時間は有限である。 太陽が水平線の向こうへ沈み始めると、ライリーの口数が少なくなってしまった。 「ほら、まだ海遊びはあるよ」 そう言ってマウロが指さすと、ロスが花火とバケツそれにランタンを抱えて歩いていた。 「花火!」 ライリーの表情が明るくなった。 「ほら、行っておいで」 「マウロは行かないの?」 「ここで見てるよ」 「分かった!」 返事と同時にロスの元へと走っていくライリーを見送っていると、隣にロウハが座った。 「マウロさん、あんた……あのお嬢様を意識してるでしょう?」 「えええ!? 私がライリーを? まさか……」 否定派しているが、動揺は隠せない。 「いや、すげーわかりやすいんで」 「そんな筈は……」 慌てて視線をライリーから外してしまった。 それが余計に怪しいのだと自分で分かっていながら、どうする事も出来ない。 「あ、あの子はまだ16歳ですよ」 「お嬢様相手ってのは大変っすよねー」 ニヤニヤと笑うロウハを見る限り、全く弁解にならなかった事は明白だった。 「打ち上げ! ロケット花火!」 一体どれほど花火を持って来たのか。 ロスが目を見開いて次々と花火を打ち上げている。 しゅーーーっ、ッパンッ! しゅーーーっ、ッパンッ! 花火の音と広がる火に少々怯えながらも、その美しさに見とれるシュリ。 派手に打ち上げるロスとは距離をとってシンティラが線香花火に火をつけた。 「私は線香花火があれば」 小さく火花を散らし、静かに赤く燃える線香花火を見たライリーが、 「マウロみたい……」 と漏らした。 「マウロ? おぉ、すげぇよなー」 そろそろ疲れが出始めたかロスが欠伸をしながらシンティラに同意を求めた。 「知的な方ですね」 シンティラもこくこくと頷き、同意する。 「うん、賢くて凄いなぁって思うんだけど、線香花火みたいにパチパチ火花を散らしてて、火花散らしてるかと思ったら、ぽとんって落ちちゃう。凄いんだから凄くないんだか、よく分からない」 自分でも何を言ってるのか分からないらしく、ライリーは笑って誤魔化した。 線香花火が終わってしまえば、この海遊びも終了だ。 何事も起きずに一日が終わろうとしている。 シリウスがため息をつくと、線香花火をもったリチェルカーレが駆け寄ってきた。 一瞬驚き目を丸くしたが、僅かに微笑みかけた。 あともう少しで陽は完全に落ちてしまう。 なんとなく感傷的な気分になったマウロは、寂しいのはライリーだけじゃないのか、と自嘲した。
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*** 活躍者 *** |
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該当者なし |
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[16] ロス・レッグ 2018/07/09-23:59
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[15] ララエル・エリーゼ 2018/07/09-23:42
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[14] シンティラ・ウェルシコロル 2018/07/09-23:28 | ||
[13] ララエル・エリーゼ 2018/07/09-22:51 | ||
[12] シュリ・スチュアート 2018/07/09-22:48
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[11] リチェルカーレ・リモージュ 2018/07/09-21:42
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[10] シンティラ・ウェルシコロル 2018/07/09-21:10
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[9] ロス・レッグ 2018/07/09-21:09
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[8] シュリ・スチュアート 2018/07/09-19:52
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[7] ララエル・エリーゼ 2018/07/09-14:12
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[6] ロス・レッグ 2018/07/09-05:23
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[5] リチェルカーレ・リモージュ 2018/07/08-19:01
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[4] ロス・レッグ 2018/07/08-13:20 | ||
[3] ラウル・イースト 2018/07/08-05:10
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[2] シュリ・スチュアート 2018/07/07-21:58
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