~ プロローグ ~ |
教団本部の一室で、1人の浄化師が助手の浄化師に声を掛けた。 |
~ 解説 ~ |
詳細説明 |
~ ゲームマスターより ~ |
おはようございます。もしくは、こんばんは。春夏秋冬と申します。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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正直な所、何かあったら私のことは一思いに殺してもらった方がお互い幸せなのではと思うのです 私自身、あなたの目の前でそんな醜態を晒したくはない 一歩間違えればベリアルか廃人。不安因子を抱えているパートナーなんて気を病むだけです それに、あなたにどんな偏見が降りかかるか分からない 代わりの祓魔師など沢山います。ですからその時が来たら、ベリアルや廃人になる前に私のことは切り捨てて欲しいのです (会話が終わった後一人で部屋にいてぽかんと) その、通りだよな だが義務と言われるとは思ってなかった あの正しさが羨ましい 部屋を出る前私を妄信するなと言っていたが… 俺も、あの人のようになれるだろうか…? |
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■発症時の対応について 楽観的過ぎるナツキに苦笑するルーノ ナツキ「アウェイクニング・ベリアルが発症しても、俺が絶対に引き戻すからな!」 ルーノ「それは頼もしいね。その時はよろしく頼むよ」 ナツキ「おう、任せとけ!」 ■もしもの話 もしベリアル化まで症状が進んだとしたらどうするか話し合う ルーノ「もしも私がルナティック・ベリアルを発症しベリアル化してしまったら、君はどうする?」 ナツキ「え、縁起でもないこと言うなよ!そんな事、急にいわれても…」 ルーノ「浄化師である以上可能性は誰にでもある。…もし君がベリアル化したら、私は君を討伐する」 ルーノ「今すぐ答える必要はない。…けれど、覚悟はしておくべきかもしれないよ」 |
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ララエルは、敵が現れると僕を守ろうとするけど 守るのは僕のほうだよ。 僕はララに、ケガひとつしてほしくない。 もっと言えば、戦ってほしくすらないんだ。 ララは僕に、君を守る資格がないと思ってるの? 僕の事を信用していないの? 僕は、君を守るには弱い? (ララエルの手を握り) 君がベリアルになりそうになったら、言う事はひとつだ。 ララ、君を守るのは僕だよ。 ララは頑張りすぎなくて良いんだよ。 僕にとってララは大事な子だから、僕に守らせて欲しい。 (ララエルに復讐について話され、俯く) 復讐するだけの生き方が全てじゃない… …うん、考えておくよ。 |
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◆アウェイクニング・ベリアルの話を聞いて ・唯月は最近までの瞬の行動にピンとくる 唯「もしかして…瞬さんのあの行動は…」 瞬「俺?」 唯「瞬さんはわたしを常に守ると言って下さってました あれは…瞬さんの存在理由も… 関わっていたのではないでしょうか?」 瞬「…確かに最近まで…うん。 そう考えると…結構身近なもの、だね…」 唯「はい…そしてわたしは多分…終焉の夜明け団…」 瞬「確かに関わってた依頼では いづの様子がおかしかった事もあったかも」 ◆線と線が繋がって ・唯月は恐怖しつつも、だけど考えなきゃ 瞬「俺はもう少しで…と言うか…その …もういづを傷つけてた、よね」 唯「でも瞬さんは戻れました だから…また考えましょう…ね?」 |
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数値上昇傾向にあるルナティックベリアルの事について そうなったときは迷わず殺してください 極端な意見に眉顰め なんでそうなる 今までを顧みるにベリアルと対すると存在理由が偏っています ですがそれを理由に私が戦うことを辞める選択はありません 一度覚醒してしまえば戻ってきたとしても何度もうつろう事になるでしょう だから、そうなる前に そこまでして戦う理由は何だ …浄化師に成るべくを目標とし、結果浄化師になりました 人々…ひいては世界を救う、それをやめるというのは死と同義です ふむと頷く 救いたいのは本当に世界なのか 訝しげ 何の話です? そういう貴方こそ中庸には程遠いじゃありませんか 俺は抗う力を持たない人々を護るというのが(続 |
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◆シュリ 自分の考えに浸り過ぎても、離れすぎてもいけないのね… 普段から気をつけないと ロウハ、気をつけてね あなた結構無茶するから …だから、そういう所! わたしに心配掛けないようにしてるでしょう 気を遣う必要なんてないんだからね お父様の言葉… そうね…注意、しておくわ もしロウハが発症したら…絶対にわたしが元に戻すわ どんなことをしてでも ◆ロウハ 俺は発症なんてしねーよ 自分を見失ったら、まともにお嬢を守ることすらできなくなる そのくらい制御できるさ …お嬢も結構強くなったしな お嬢の方こそ油断すんじゃねーぞ ユベール様の言葉に囚われすぎるなよ それは俺も同じだ お嬢が発症したら… …いや、発症なんてさせねー その前に引き戻すさ |
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■存在理由:守護友愛。パートナーを護る ティ「私が上がり易いので行動パターン叩き出してみます ・戦闘パターンとしては後衛でのフォロー多し ・日常でも荷物持ち 「俺の方が力持ちなんだけどな 「私にとってはロスさんペットですから 「だからと言って、そういう行動で上がった事は 「荷物持ちした日2上がってます 「ティ放置で1人で釣りした日は下がったな 「告白紛い頼んだ日は2人共3上がりました 「それ後は別行動だったはず 「他の浄化師の方にじゃれ付く魅了されるで下がります ・回避 「戦闘では以後私も前衛に行く予定ですので 「戦闘じゃあんま変化ねぇからどっちでも良くねぇ? 「…2人っきりになる日常は避けましょう 「他の浄化師に遊んで貰お |
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…怖いよね でも 対処方法をちゃんと覚えておかないと シリウスの存在理由は 「宿敵滅殺」? ベリアル戦 何度か経験したけれど大丈夫? いつも通りの静かな横顔を見つめる 発症したらどうするか 話し合いなさいって言われたけれど… 答えに蒼褪める シリウス! 悲鳴をあげ シリウスの腕を掴む ベリアルにはならないわ さっき習ったもの パートナーの呼びかけに応えたら元に戻るって 少し驚いたような彼の顔を見て わたし 呼ぶわ もしシリウスが発症したら 応えてくれるまで何度でも …シリウスは返事をしてくれるでしょう? ー泣いてないもん 顔を赤くするも 返ってきた声にぱっと笑顔 もちろん! わたしが発症したら シリウスが呼んでくれるでしょう? 二人でいればきっと平気 |
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~ リザルトノベル ~ |
講習が終わり個室に向かった浄化師達は、それぞれパートナへと話し合っていた。 ○解と思い 「正直な所、何かあったら私のことは一思いに殺してもらった方がお互い幸せなのではと思うのです」 部屋につき2人きりになると『ショーン・ハイド』は『レオノル・ペリエ』に言った。 「私自身、あなたの目の前でそんな醜態を晒したくはない」 事実だけを告げるように続ける。 「一歩間違えればベリアルか廃人。不安因子を抱えているパートナーなんて気を病むだけです」 利を説くように告げる彼の言葉に迷いはない。 「それに、あなたにどんな偏見が降りかかるか分からない」 自分のことを替えのきく部品であるかのように言った。 「代わりの祓魔師など沢山います。ですからその時が来たら、ベリアルや廃人になる前に私のことは切り捨てて欲しいのです」 それは危うい言葉であり思い。 ある種の正しさを持っていたが、確実に破滅へと至るものだった。 そんな彼をレオノルは静かに見つめ、僅かに間をあけて返した。 「……何を言い出すかと思ったら」 その眼は真っ直ぐにショーンを見つめ、決して逸らさない。 「こんな話は好きじゃないんだ。不安を煽られた状態で議論はすべきじゃない」 自分の気持ちと論理を語り、ショーンの言葉を受け止めるように続ける。 「君は私を信用して言ったのは分かるけどさ」 他の答えなんてないと断言する。 「答えはシンプルだ。何としてでも君を説得して引き戻すのが私の義務だよ」 譲れない答えはある。 ならば後はそこへと至る解を示すだけ。 「その為にどんな状態でも言葉が通じるように信用を培う」 レオノルは自らの在りようと、ショーンのことを思い言った。 「教え子が粛々と死を受け入れるなんて許容できない。学問は人が幸せになるためにある。教え子の君を不幸にしていい訳がない」 ショーンの先生として、そして今度は、パートナーとして求めた。 「万が一、私に症状が出たら……思いっ切り叱咤してくれればいい。倫理に欠けた行動はだめだ、とね。 知恵も力だ。倫理に則って行使しなきゃいけない。研究者の姿勢も然りだ」 柔らかな笑みを浮かべ言った。 「……信じているよ」 レオノルの言葉にショーンは、すぐには返せない。 そんな彼の邪魔にならないようレオノルは部屋を出ようとし、その間際に言った。 「……あと。正しいからと私を妄信しないように。そのために知恵は授けるつもりだけど、ね」 1人残ったショーンは呆然とするような間を開け、レオノルの言葉を噛み締めるように言った。 「その、通りだよな。だが義務と言われるとは思ってなかった。 あの正しさが羨ましい」 自らの思いを確かめるように続けた。 「部屋を出る前、私を妄信するなと言っていたが……俺も、あの人のようになれるだろうか……?」 それは教え子として後ろについて行くのではなく、共に歩むパートナーとしての言葉であるように聞こえた。 この2人なら、さらに絆を深め何があっても大丈夫なようになれる。 そう思える、やり取りだった。 ○覚悟を臨め 個室に訪れ2人きりになると『ナツキ・ヤクト』は『ルーノ・クロード』に明るい声で言った。 「アウェイクニング・ベリアルが発症しても、俺が絶対に引き戻すからな!」 その言葉に迷いは微塵もない。 だからこそ危うい。 その事に気付けぬナツキに、ルーノは穏やかな声で返した。 「それは頼もしいね。その時はよろしく頼むよ」 「おう、任せとけ!」 不確かな筈の、誰かの未来を信じて疑わない。 その輝きは素晴らしいものだ。 だが同時に、自分の事を思うことが欠けている。 自分の事よりも他人の事を思い、誰かの明るい未来を信じている。 そんなナツキだからこそ、ルーノは彼のことを信頼していた。 けれどだからこそ、浄化師として避けては通れない事実をルーノは思う。 (浄化師のベリアル化は脅威だ。そうなった場合はパートナーが討伐を試みるケースもあると聞く……ナツキならどうするだろう) 「ナツキ」 静かに視線を合わせルーノは問い掛けた。 「もしも私がルナティック・ベリアルを発症しベリアル化してしまったら、君はどうする?」 「え、縁起でもないこと言うなよ! そんな事、急に言われても……」 ルーノがベリアル化する。 考えることさえ出来なかったナツキは応えを続けられない。 そんな彼にルーノは言った。 「浄化師である以上、可能性は誰にでもある。……もし君がベリアル化したら、私は君を討伐する」 ルーノの言葉に、ナツキは拒絶する様子を見せない。 むしろ当然だとすら思っているように見える彼に、ルーノは苦笑するように思う。 (私がベリアル化した時のことを考えるのは迷うのに、私が君を討伐することは受け入れるんだな、ナツキ) それは自分のことよりも、ルーノのことを大事に想っているということだ。 だが、それだけでは足らない。 悲劇に成り得る可能性。 それと戦い抗う意志と覚悟がナツキには足らない。 だからこそルーノは、いつか来るかもしれない「その時」の為に。 ナツキに覚悟を決めるための言葉を口にする。 「今すぐ答える必要はない。……けれど、覚悟はしておくべきかもしれないよ」 そしてナツキが1人で悩めるよう、あえて部屋を先に出る。 残されたナツキは思い悩む。 (もちろんベリアル化する前になんとかするつもりではいるけどもしそうなっちまったら……俺がそうなったら誰かを傷付ける前にルーノに討伐して欲しいとは思う、でも俺にルーノを倒せるのかって言うと……) 「うう、わかんねぇ」 頭を抱え思い悩む。 しかしそれは本気であるからこそ。 「覚悟、か……」 今は届かず。 けれどいつか答えを得るだろう。 ルーノのお蔭でその切っ掛けを得たナツキならば。 そう思える2人のやり取りだった。 ○アナタを守りたい 「ララエルは、敵が現れると僕を守ろうとするけど、守るのは僕のほうだよ」 個室に訪れ2人きりになった『ラウル・イースト』は『ララエル・エリーゼ』に言い切った。 「僕はララに、ケガひとつして欲しくない。もっと言えば、戦って欲しくすらないんだ」 それはララエルのことを想っての言葉。 けれどララエルの望みとは重ならない。 「で、でも私、ラウルの足手まといになりたくなくて。あなたを守りたくて……!」 「ララは僕に、君を守る資格がないと思ってるの?」 不安を滲ませラウルは言った。 「僕の事を信用していないの? 僕は、君を守るには弱い?」 「そんな事ありません!」 ララエルはラウルの不安を吹き飛ばしてくれるような強い想いを込め返した。 「ラウルは強いもの、私の心の支えだもの! 私、あなたの事が……」 ラウルへの強い想いは、言葉になって溢れて来そうになる。 けれど想いが強すぎて、言葉を急には見つけられない。 それほどにララエルはラウルのことが大好きで大切だった。 その想いを、ラウルは感じ取る。 「ララ……」 ララエルの想いが嬉しい。 だから彼女の手を握り誓うように言った。 「君がベリアルになりそうになったら、言う事はひとつだ。ララ、君を守るのは僕だよ」 見つめ合い、優しい声で言葉を贈る。 「ララは頑張りすぎなくて良いんだよ。僕にとってララは大事な子だから、僕に守らせて欲しい」 その言葉は、ララエルにとって何よりの贈り物。 「私……頑張りすぎなくて良いんですか?」 彼女の過去。 決して消えてくれはしないそれも、ラウルとの未来が優しく包み込んでくれる。 「……うっ、えぐっ……ありがとうございます。ラウルはやっぱり私の王子様です」 涙が溢れるほど、ラウルの言葉が嬉しい。 嬉しそうな笑顔を浮かべるララエルの涙を、ラウルは指先でそっと拭い取る。 「ラウル」 ララエルは涙を拭ってくれた手を取り、頬に寄せる。 ラウルの温かさを感じ取るように手を重ねながら言った。 「ラウルがもしベリアルになりそうになったら、私は何度でも言いますね。復讐するだけの生き方が全てじゃないって」 「復讐するだけの生き方が全てじゃない……」 ララエルの言葉に、ラウルは俯いてしまう。 そうなってしまうほど、彼の中に渦巻く復讐心は強い。 けれど大丈夫。 なぜなら独りではないのだから。 「大丈夫です、ラウル。私たちは、2人一緒なんですから」 迷い子のようなラウルを、ララエルはぎゅっと抱きしめる。 「……うん、考えておくよ」 ララエルの温かさに独りではないのだと実感しながらラウルは返すのだった。 2人一緒なら大丈夫。 そう思える2人のやり取りだった。 ○正しい思い 個室に2人きりになった『杜郷・唯月(もりさと いづき)』と『泉世・瞬(みなせ まどか)』は、落ち着いた様子で自分達の現状を話し合っていた。 「もしかして……瞬さんのあの行動は……」 「俺?」 「瞬さんは、わたしを常に守ると言って下さってました。あれは……瞬さんの存在理由も……関わっていたのではないでしょうか?」 瞬は唯月の言葉を受け止めるような間を開け返す。 「……確かに最近まで……うん。そう考えると……結構身近なもの、だね……」 「はい……そしてわたしは多分……終焉の夜明け団……」 「確かに関わってた指令では、いづの様子がおかしかった事もあったかも」 一歩間違えれば危険な状況になっていたかもしれない。 それを2人は冷静に語り合う。 それが出来るのは、2人の繋がりがあればこそ。 幾つもの指令の中で重ねてきた言葉と絆が、2人を支えていた。 だからこそ2人は前向きに、これからのことを話し合える。 「俺はもう少しで……と言うか……その……もういづを傷つけてた、よね」 「でも瞬さんは戻れました。だから……また考えましょう……ね?」 唯月は、これまでの出来事の全てが『アウェイクニング・ベリアル』へと繋がっていることを理解し、恐怖を感じる。 けれど大切な人を失わないためにも、自分達が出来ることを2人で一緒に考え続ける。 「アウェイクニング・ベリアルを発症しないためには、中庸であることを心がける必要があるみたいです。だから――」 唯月は、講習で受けた内容を思い返しながら対処法を話し合う。 「瞬さんが変調をきたした原因が、わたしを守ることなら……今後距離を置いて……戦闘する、とか?」 唯月にとって戦闘は怖いものだ。 しかし瞬のためにも、それを乗り越えるように言った。 唯月の真剣な眼差しを受け止めながら、瞬は彼女の言葉の正しさを理解する。 けれど大切な唯月のことを想うと、守ってあげたくなる。 「うーんそれはそれで、いづの事気になって戦闘出来るかな……」 そんな瞬の不安を払ってくれるような明るい声で唯月は返した。 「信頼出来る方と戦闘指令に行きましょう! 例えばリチェさん、ロスさん、ショーンさん……他にも、わたし達には心強い仲間がたくさんいます!」 唯月の言葉は正しい。 自分達だけでどうにかしようとするのではなく、仲間と力を合わせること。 それこそが大事なことなのだ。 「! そうだね!」 唯月の言葉に、瞬は力強さを感じる。 それは2人がこなした幾つもの指令。 その中で実感できたことだからだ。 独りではない強さを、2人は知っている。 だからこそ、その後も2人は『アウェイクニング・ベリアル』について有効な話し合いをすることが出来た。 この2人なら何があっても大丈夫。 そう思える2人のやり取りだった。 ○まずは自らを求めよ 「迷わず殺してください」 個室で2人きりになり『アウェイクニング・ベリアル』の話し合いを始めるとすぐに『ヨナ・ミューエ』は『ベルトルド・レーヴェ』に断言した。 「なんでそうなる」 極端な意見に眉をしかめるベルトルドに、ヨナは今の自分にとっての正しさを理路整然と語るように言った。 「今までを顧みるにベリアルと対すると変調が起こっています。ですがそれを理由に私が戦うことを辞める選択はありません。一度覚醒してしまえば戻ってきたとしても何度もうつろう事になるでしょう。だから、そうなる前に――」 「そこまでして戦う理由は何だ」 ヨナが再び、自分を殺させるようなことを言うより早く、ベルトルドは言葉で遮る。 これにヨナは自分の人生を振り返るような間を開けて返した。 「……浄化師に成るべくを目標とし、結果浄化師になりました。人々……ひいては世界を救う、それをやめるというのは死と同義です」 これにベルトルドは「ふむ」と頷くと返した。 「救いたいのは本当に世界なのか」 問い掛けではなく、気付かせるようにベルトルドは言う。 これにヨナは訝しげに返した。 「何の話です? そういう貴方こそ中庸には程遠いじゃありませんか」 「俺は抗う力を持たない人々を護るというのが信条だが、力持つ者も例外ではない」 ヨナを見詰めベルトルドは続けて言った。 「救いなんていうのは個々の秤で如何様にも変化する曖昧なもの。生きるも死ぬもあまりに他人任せじゃないのか」 その言葉の響きには疑問も非難するような響きもない。 ただ何かを自覚させようとする響きがあった。 けれどその事に気付けないヨナは苛立たしそうに返した。 「だから、何が言いたいんです」 この言葉にベルトルドは腕を頭の後ろで組み応える。 「……ヨナ。お前の事は誰が護るんだって話だ」 いい加減に気付け、とでも言いたげな言い方だった。 「――…………」 ベルトルドの言葉に、ヨナは何も返せない。 それは予想外の言葉であり、返すべき言葉が今の自分の中に、すぐには見つけられなかったからだ。 ヨナの様子を見詰め、ここで初めてベルトルドは問い掛けるように言った。 「浄化師ではなくもっと小さな、一個人として生きる目的、考えたことはあるか?」 そして自分の気持ちを伝えるように続けて言った。 「ま、契約上とは言え大事なパートナーだ。せいぜい俺の存在理由が偏らないよう考えて行動してほしい」 そしてベルトルドは静かに部屋を後にする。 ヨナが1人で思い悩めるように。 (……個人としての生きる目的……) 誰かに与えられた物ではなく、自らの内から見出す望み。 魂の発露のような欲求と向き合うことを、ヨナはパートナーに求められた。 それを見出すことが出来るのかは分からない。 けれど今回のやり取りが一つ切っ掛けになるだろうと思える2人の話し合いだった。 ○守り合い、共に在るために 「ロウハ、気をつけてね。あなた結構無茶するから」 個室に2人きりになり『シュリ・スチュアート』は『ロウハ・カデッサ』に言った。 これにロウハは、シュリを心配させないよう軽い口調で返す。 「俺は発症なんてしねーよ」 「……だから、そういう所!」 ロウハの口調の意図を気付けたシュリは続けて言った。 「わたしに心配掛けないようにしてるでしょう。気を遣う必要なんてないんだからね」 シュリの言葉には、ロウハのことを大事に想う気持ちが込められている。 そして同時に、心配なんてさせないという気概も感じられた。 (強くなったな、お嬢) ロウハは苦笑するように返す。 「心配してくれなくても大丈夫さ、お嬢。自分を見失ったら、まともにお嬢を守ることすらできなくなる。そのくらい制御できるさ」 僅かな間をおいて、ロウハは素直な気持ちを口にする。 「……お嬢も結構強くなったしな」 ロウハの言葉にシュリが何かを返そうとする。 けれどそれより早く、ロウハは続けた。 「お嬢の方こそ油断すんじゃねーぞ。ユベール様の言葉に囚われすぎるなよ」 ロウハの言葉に、シュリは息を飲むように黙る。 父であるユベールの「人々を守れ」という遺言は、すでにシュリの生き方の一部になっている。 けれど、それがシュリの全てではない。 これまで浄化師として指令をこなし得てきた経験。 そしてなによりもロウハとの絆が、シュリを大きく成長させていた。 (浄化師の仕事は、必然的に人々を守ることになる。でも、それだけに囚われてはいけない。難しいけど気をつけないと) シュリは強く思う。 人々を守ること、それと同じように、ロウハのことが大切なのだ。 そのためにも強く、そして何があっても対応できる柔軟さと意志を持たなければいけない。 「ロウハ。あなたが発症したとしても、絶対にわたしが元に戻すわ。どんなことをしてでも」 その言葉には揺るがない意志と強さが込められていた。 それがロウハは嬉しい。 シュリが強くなってくれたこと、そして「守る対象」でなく「肩を並べる対象」になり得るのでないかという期待。 それがロウハに安心感を覚えさせる。 だからこそ、ロウハはシュリの強さと想いに返そうと決意する。 「それは俺も同じだ。お嬢が発症したら……いや、発症なんてさせねー。その前に引き戻すさ」 誓うように覚悟を口にした。 2人の決意と覚悟は、必ず実を結ぶだろう。 そう思える2人のやり取りだった。 ○いざという時のために 「私が変調をきたし易いので、行動パターン叩き出してみます」 個室に2人きりになり『シンティラ・ウェルシコロル』は『ロス・レッグ』と共に話し合う。 「戦闘では後衛が多いですしフォローも多いですね。あとは普段から荷物持ちをしています」 「俺の方が力持ちなんだけどな」 「私にとってはロスさんペットですから」 「だからって、そういう行動で変調したってことあっけ?」 「荷物持ちした日に、少し変調があった気がします」 変調をきたす基本原則を探るように2人は話し合う。 「ティ放置して、俺が1人で釣りした日は?」 「落ち着いたように思います。告白紛いの指令に参加した日は、少し変調しましたね。ロスさんはどうですか?」 「そういや、俺も少し変調したっかも」 「その後は別行動だった筈です。あとは他の浄化師の方にじゃれ付いた時や魅了された時はどうでした?」 「落ち着いたっかも」 ここまで話し合い、ロスは声を上げる。 「あー、どういう法則なのか分っかんね!」 大雑把には傾向は把握できそうだが、その時々の行動などで変わってくるのか、絶対的な法則までは分からなかった。 しかし大まかな対策は出来るので話し合う。 「戦闘では以後私も前衛に行く予定ですので」 「戦闘じゃあんま変化ねぇからどっちでも良くねぇ?」 「……2人っきりになる日常は避けましょう」 「他の浄化師に遊んで貰お」 存在証明が大きく偏らない限りはそこまで注意する必要はないが、対策を普段から考え行動するのは意味がある。 普段から気を付けて行動する2人なら、大きく偏る危険性は限りなく低いだろう。 だが、それでも万が一の時のことは話し合う必要はある。 「オーゾンがベリアル化してクロートのイレイスって聞いたけど、実力が高くて特例でイレイス化したオーゾンがパートナーだっけ?」 「課題はベリアル化後ではなく前です。それに実力あっての話ですから」 脱線しそうになる話をシンティラは戻す。 「発症した際にどうするかですね」 「パートナーが話しかけたり行動すれば防げるか」 「ロスさんお座りお手が効きそうです」 「それは俺が喜ぶな! ティは両親の――」 ロスはシンティラが浮かべた硬い気配に言葉を続けるのを止める。 「今はまだ傷が癒えてないので記憶に蓋をしておきたいですね」 そうして話し合う内に、発症した際の取るべき行動がまとまっていく。 「ティは効きそうだけど俺の方の対策がな」 「現状ですと私の方が先に困った事態になるので」 そう言いながら、おどろしい雰囲気纏うティを見ながらロスは言った。 「おぅ。親父さん達の話は、いざという時以外口にチャックな!」 そうして2人の話し合いは終わる。 普段の対策は十分に役に立つだろう。 そう思える2人のやり取りだった。 ○アナタを独りにしない 「……怖いよね」 個室に2人きりになり『リチェルカーレ・リモージュ』は素直な気持ちを『シリウス・セイアッド』に言った。 「でも、対処方法をちゃんと覚えておかないと。シリウスはべリアルと戦うと変調をきたすのよね。ベリアル戦、何度か経験したけれど大丈夫?」 これにシリウスは静かに頷く。 自らの心の奥にある、触ってはいけない「何か」。 決して「あれ」を出してはいけないという感覚を本能的に感じながらも表情には出さない。 いつも通りな彼の横顔を見詰めながらリチェルカーレは続けて言った。 「発症したらどうするか、話し合いなさいって言われたけれど……」 それに応える言葉は即座に迷い無く返された。 「俺が発症したら、殺せ」 「シリウス!」 リチェルカーレは悲鳴を上げるように名を呼び、シリウスの腕を掴む。 「ベリアルにはならないわ。さっき習ったもの、パートナーの呼びかけに応えたら元に戻るって」 決意を告げるようにリチェルカーレは言った。 「わたし、呼ぶわ。もしシリウスが発症したら、応えてくれるまで何度でも」 シリウスを想う涙を浮かべ、リチェルカーレは求めるように続けた。 「……シリウスは返事をしてくれるでしょう?」 視線を真っ直ぐに合わせ、肌が触れ合いそうになるほど近付く。 その眼差しには強い意志が込められていた。 至近距離にある色違いの眼差しに、シリウスは息を呑む。 シリウスの脳裏に浮かんだ故郷の映像。 それを無理やり意志の力で抑え込みながらも浮かんだ思い。 (……化け物になるくらいなら、死んだ方がマシだ) それを忘れさせてくれるほどの何かがあった。 だからこそ、妹のような、年下の彼女の強い瞳に瞬きひとつ間をあけて。 「――泣くな」 言葉少なく、だが万感の思いを込め返した。 「――泣いてないもん」 シリウスの言葉に、リチェルカーレは顔を赤らめながら返す。 そんなリチェルカーレを見詰めながら、シリウスは彼女の涙をぬぐい、困ったように僅かに笑い言った。 「『頼ってもらえるわたしになる』んじゃないのか」 そして信じるように言った。 「俺に聴こえるよう大きな声で呼んでくれ」 リチェルカーレは返ってきた声に、ぱっと笑顔になり返す。 「もちろん!」 彼女の様子に、シリウスは苦笑するように思う。 (……心配で 死ぬに死ねない) 決してひとりにはさせないという強い思いが湧いて出る。 そんな彼に、リチェルカーレは信じるように言った。 「わたしが発症したら シリウスが呼んでくれるでしょう?」 リチェルカーレの混じり気の無い好意と信頼に、シリウスは目を細める。 そして誓うように言った。 「お前を、お前以外のものには、させない」 2人でいればきっと平気。 そう思える2人のやり取りだった。 こうして浄化師達の話し合いは終わる。 きっと今日の話し合いは後々の役に立つに違いない。 そう思える浄化師達のやり取りだった。
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*** 活躍者 *** |
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[8] ルーノ・クロード 2018/08/16-23:52
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[7] シュリ・スチュアート 2018/08/16-23:31
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[6] レオノル・ペリエ 2018/08/16-22:48
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[5] ロス・レッグ 2018/08/16-21:16
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[4] 杜郷・唯月 2018/08/16-19:57
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[3] リチェルカーレ・リモージュ 2018/08/16-18:09
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[2] ラウル・イースト 2018/08/15-17:13
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