~ プロローグ ~ |
「お前らは、自分の武器って大切にしているか?」 |
~ 解説 ~ |
諸君、武器を大切にしているかい? |

~ ゲームマスターより ~ |
武器を大切に扱ってね |

◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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魔術真名は唱えてから森を出る。 俺は前に出てソードラプター達の気を引こう。 引き寄せたらスキルを使って、可能な限り体力を削っていく。 敵の動きが鈍ってきたら、信号銃を掲げてハルに合図。 戦闘後は罠の回収を手伝う。 魔結晶を探す時に気をつけることはあるかウィリに聞いておこう。 衝撃には弱いかとか、どういう特徴の物を優先で探した方がいいだとか。 この刀、父さんの物なんだ。 故郷が襲われた時に成り行きで持ち出すことになってしまって…… 正直、俺はこの刀をあまり満足に使ってやれていないとは思うんだ。 何かを斬るっていうことが、俺は怖いよ。 情けない話だけどな。 ありがとう、ハル。 なら俺を守ろうとしてくれるハルを、俺が守るよ。 |
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戦闘 崖下から誘き寄せる作戦 巣に近づこうとするふりなんかしたら釣れないかしら? 敵が近づいてきたら他の人よりもなるべく前に出て囮に 自身の攻撃よりもパーフェクトステップの回避上昇効果で敵の攻撃をかわすことを優先し、後衛やウィリに敵を近寄らせないように気をつける もちろんチャンスだと思えば容赦なく攻撃するわ 採取 ウィリの指示をよく聞いて、石は丁寧に扱う 魔力感知でそれっぽい石を探してウィリに見せる これは魔力を帯びていたけど、使えるかしら? 野営 準備等手伝い イレイスを作るのってとても大変なことなのね この武器もう半年ほど使っているけれど、大切にしようって改めて思ったわ …ふふ、面白そう 自作の専用武器とかもいいかも |
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目的 魔結晶を集める ベ:ウィル・ウィリカ・レイ…?(また濃い感じのが来たな) 戦闘前に地形を確認し釣り竿のテグスを使って高い場所に張る 設置後、上空にいるソードラプターや巣に向かってFN8やFN10を試す 急降下を狙い罠が作用し落下などすれば麻袋を使い捕獲 無理ならば攻撃し対処 敵の排除後魔結晶集め ロープを使い足場を確保しつつ登る ウィルに魔力探知のコツを聞き試してみる キャンプ設置料理の協力 武器の思い入れ ベルトルド 俺は武器そのものより戦い方に重きを置いているのでそれに合った武器を使っているな。 と言っても一通り武器の扱いは習得しているが、 何だかんだで素手に一番近い形で戦うのが性に合っているようだ。 |
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魔結晶ってどんな感じなんでしょう… あまり見る機会が無かったですし、見てみたいです 後でウィリさんに、質の良い魔結晶の見分け方教わってみたいです、ね 現場到着後クリスの罠作りを手伝います 罠ができたら囮組が出ていくのに合わせて笛を鳴らし ソードラプターが飛び出してくるように 罠のある場所から前には行かないように気をつけて 攻撃は九字の印と鬼門封印で 仲間が怪我をした時は天恩天賜で回復を 魔結晶を見て目を瞠る これが、そうなんです、ね… 私は、呪符や魔道書を使っていますが できたら愛用できる物を、ずっと使っていきたいです… クリスも、そうなんですか? こういう所で意見が合うと嬉しいです、ね そうできるようになるといいです、ね |
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◆流れ 戦闘→採取→野宿 崖下でソードラプターと戦闘 唯「あんな高いところに!?」 瞬「これは一苦労、だね…」 唯「が、頑張りましょう!」 ◆戦闘 ・スペル詠唱後別れて他の仲間の傍で行動 ・二人とも通常攻撃を織り交ぜながら ・唯月はMG8、MG3等を駆使してサポートへ ・瞬はFN1を使用して、FN11を駆使して攻撃 ◆魔結晶採取 ・唯月はウィリさんにどう言うものか聞き メモ帳とペンを用いて絵に描いてみる、皆さんと共有 ・瞬は採取手伝いを慎重に 唯「ウィリさん!あの…魔結晶についてお伺いしたいのです…! わたしは魔結晶についてあまり見た事がないですし あなたは専門家の方ですから… 間違って不用意な触れ方をしないようにもどうか…!」 |
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■ロス 崖下に行けば敵さん来るっつーから行ってみっか ∇戦 鎌による攻撃 敵の攻撃は回避力を活かして避け 献魂一擲を常に 皆の罠外に基本配置 罠に飛んでくる敵の後押し(攻撃を罠側に向け 一気に押しかける時は地烈 敵が空を飛んでいるので仲間の遠距離攻撃はしゃがんで避ける ∇護 依頼人の護衛に前衛陣誰も当っていない時は向かう 姿勢低く知覚発揮し敵の接近に気をつけ 岩を背に間に依頼人を挟み安全を ∇戦闘後 敵は2匹以上いるかもなので 襲ってくる敵を全滅させても注意は怠らず 皆の魔結晶収集時は知覚鋭く護衛待機 ∇斧 俺の武器って基本斧なんだけど こう重さで叩き付ける感じがいいだろ ハンマーは刃がねぇからアウト 刃の重々しい重厚感とか好きだからな |
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~ リザルトノベル ~ |
「ウィル・ウィリカ・レイ……?」 「ウィリ・ウィリカ・レイド・ノルト・ヴァ・ファルノア・ド」 (まだ続くのか。そしてまた濃いのが来たな) 自分の頭一つ分小さなウィリが腰に手をあてて名前を言い始めるのを『ベルトルド・レーヴェ』は神妙顔で聞き、耳をぴこんと動かした。せっかくの罠作りの手が止まってしまう。 「あの、罠作りはこういう、かんじでいいんでしょうか?」 「うん。釣り糸を使った即作だから効果はあんまり期待できないかもしれないけどね」 『アリシア・ムーンライト』と『クリストフ・フォンシラー』が二重にして強度をあげた釣り糸を確認しあう。 空中の敵は厄介だと思ったクリストフが釣り糸を使って罠を張れないかと考え、アリシアとベルトルドが用意を手伝っている。 ウィリも。 「手先が器用ザマスから当然手伝うに決まってるザマス」 とベルトルドを手伝うが、どうにも作業がすすまない。 「だいたいの地理の確認が出来ました、罠を張りますか?」 『ヨナ・ミューエ』が声をかける。 ヨナは『ロス・レッグ』が。 「崖下に行けば敵さん来るっつーから行ってみっか」 と言うので、『シンティラ・ウェルシコロル』と一緒に周辺を警戒しつつ、地理の確認と罠が張れそうな場所を見つけ出しきた。ロスたちが他の仲間へ情報を伝えにいくのでヨナはこちらへと来たのだ。 「まだ出来てないんですか、ベルトルドさん」 「もうすぐ出来る」 ジト目で見つめてくるヨナをベルトルドはいつものことと受け流す。 ようやくできた釣り糸を岩と岩の間に、出来るだけ高く設置する。身体能力が高いベルトルドとクリストフが作業する間、アリシアとヨナは協力して周囲の警戒にあたる。 ぴんと張った糸はなかなかの鋭さがあり、罠として十分な効果を発揮しそうなのにクリストフの唇が意地悪く吊り上がった。 「笑ってるな」 「こういう性分なんだ」 ● 緊張した面持ちで『杜郷・唯月』と『泉世・瞬』は互いの両手を握る。 「ペリドットアイリス」 声が重なり合う。 「共に歩こう」 魔術真名を『テオドア・バークリー』、『ハルト・ワーグナー』も口にする。 肉体に力が満たされるのがわかる。 「ハイハイ、テオ君に頼まれたから守ってやるって、ウィリだっけ、あんたは後ろ下がってろよー」 「わかっているザマス。ここでどう武器を使うのか見せていただくザマス」 「ふーん」 ハルトが軽く小首を傾げ、援護射撃のためライフルを構える。 「よし、じゃあ、そっちはよろしくー」 「そっちもな」 手をひらりとふって『トール・フォルクス』が移動する。それを見届けて『リコリス・ラディアータ』が動く。この中の誰よりも素早く、可憐に。 「行くわよ!」 「よろしく頼むね」 「わかった」 リコリスのあとに続き、クリストフ、テオドアが声をかける。互いに目配せをし、クリストフが息を吸い込む。 「さぁ! 魔晶石を探すぞ!」 「ここにいるぞっ!」 二人が大声をあげ、足を止めて周囲を見回す。 風の切れる音がした。 「右よ!」 リコリスが声をあげる。 「ま、任せてください!」 唯月が意識を集中し、ペンタクルシールドをテオドアに施すタイミングでクリストフはバックステップを踏み、事前の打ち合わせどおり罠まで走る。 かわりにソードラプターの前に躍り出たのは囮役のリコリスだ。大鳥のくちばしがあたるか、あたらないかのぎりぎりで柔らかな肢体を使い鮮やかに躱し、視線を宙にさ迷わせる。 (あと一匹はどこ?) 「テオドア! 上!」 リコリスの声にテオドアが剣を盾替わりに嘴の一撃を防ぐ。 「ハル!」 岩場に隠れていたハルトのトリックショットがテオドアの合図に放たれる。 「これだけ岩があればよーく跳ねるだろうな」 ハルトがそんな呟きを漏らす。 実際、岩と岩の間を弾ける弾丸はソードラプターを攪乱させることに成功した。 ソードラプターは奇襲がうまくいかず忌々しげにひと鳴きし、すぐさま接近戦へと持ち込みにかかる。 テオドアが役目を終えてクリストフと同じく下がると、囮役のリコリスの独り舞台といっても過言ではない。自然と歌を口ずさみながら後ろへと誘うように下がって罠のところまできた。 「逃がしません」 アリシアが鬼門封印をきる。 動きが鈍ったうえ、見事なリコリスの誘導に罠へと突っ込んでいく――透明な糸に絡みつかせることに成功する。 糸を二重にして頑丈にしたが捕獲まではいかないが、片翼を不自由にさせるほどの効果を与えた。 ソードラプターは低く飛びながら大口をあけてリコリスに迫る。 アリシアが素早く爪の先から九字に切るような衝動を与え牽制し、その隙にリコリスは冷静に後ろに下がるほぼ同時に待機していたクリストフとテオドアが、その両脇から飛び出し、翼に剣を突刺す。 「これでどうだ!」 「はぁ!」 テオドアの魂洗いとクリストフの一撃に最大の武器を封じられ、怒りと呪詛の鳴き声をあげソードラプターが羽ばたき、鋭いくちばしで二人の腕の薄皮を食い破ろうとする。 「お願いしますっ!」 「は、はい!」 アリシアの合図に仲間たちの動きをしっかりと目で追いかけ、サポートに徹している唯月が素早くクリストフにペンタクルシールドを施す。 散らばるタロットの邪魔に思うように攻撃できずにソードラプターは逆上して翼と足をむちゃくちゃに動かして暴れ狂う。 「あなた、ダンスの相手にはものたりないわよ」 リコリスの短剣が嘴を抑え、三人の力で一気に岩場に押し付ける。ぐぁ、と小さな悲鳴にも似た声を上げ、ぴく、ぴく、と弱い動きを残し、ソードラプターは倒れた。 空中に逃げたもう一匹をおいたてたのはトールの放つ弾丸だ。 彼は崖を登りなんとか撃てる場所を確保すると、ライフルを構えて空中へと逃げたもう一匹を狙う。頬にあたる風と飛行する動きから軌道を読む。深く呼吸を吐き出し――引き金をひく。一撃が翼に当たり、ひしゃげた悲鳴とともに地上へと落ちるすれすれでなんとか態勢をたてなおすも更に容赦のないトリックショットが追い立てる。 (当方に迎撃の用意あり!) どこからか来るかわからない弾に低空飛行を余儀なくされたソードラプターの隙をついたのは瞬だ。 「ファイアーボール!」 力を増した炎の玉にぎりぎり避けても羽の端を燃やされ、口惜し気にソードラプターは金切り声をあげる。飛行が落ちた隙をベルトルドは見逃さず懐へと飛び込むと強烈な蹴りの一撃を放つ。それをぎりぎりでソードラプターは躱し、逆に嘴をベルトルドの形良い鼻先へ伸ばすが、ロスの献魂一擲が邪魔をした。 強烈な一撃に小さな悲鳴を漏らすも片方のあいている片翼でロスの横顔を叩きつけ、鋭い脚が腕をひっかくとよろよろと空中へと逃げる。 「ちょこまかと!」 ソードラプターは仲間の援護のため岩場に立つシンティラに狙いを定めた。低空飛行のまま羽ばたきを繰り返し、加速をつけて接近する。 「一気にきめます!」 シンティラが鬼門封印を切るとヨナがたたみかける。 「ライトブラスト!」 光の玉が直撃したソードラプターにベルトルドが掌打を放ち片翼から、ばきり、と骨の砕ける音が漏れる。 痛みに悶えるようにソードラプターは羽ばたきをやめず、ひしゃげた声を荒らげる。 「こりゃあ!」 ロスの地烈豪震撃がトドメとなった。 「じゃあ、俺らここらへん見っとくな。まだいっかもしんねーし」 「護衛に専念しますね」 ロスとシンティラは他のメンバーに石集めを任せ、周囲へと警戒を向ける。 安全に魔結晶を集めれると判断し、ウィルが背負っていたリュックを下ろすのに、おずおずと唯月が近づいた。 「ウィリさん! あの……魔結晶についてお伺いしたいのです……! わたしは魔結晶についてあまり見た事がないですし、あなたは専門家の方ですから……間違って不用意な触れ方をしないようにもどうか……!」 「俺も! お願いしますっ!」 メモとペンを手にした唯月の横で瞬も真剣な顔で言う。 「俺たちも聞きたいな。注意すべき点や特徴とか」 とテオドアも尋ねる。 「魔力探知にコツなどあれば聞きたいですね」 ヨナは魔力探知を使用するつもりだが、自分たちと武器を専門に扱うウィリの見え方と差がある可能性もある。 それはリコリスも同じで、出来れば的確な指示を受けて収集に挑むつもりで真剣な顔でトールとウィリの言葉を聞こうとしている。 「あ、あと、絵に残してみようと思います。そうしたら……みなさん、わかりやすいと思うので」 「知らないといいますが、本当に知らないザマス?」 「お恥ずかしい話ですが……あまり触れることはなくて、出来たら見てみたいです」 とアリシアが言うとウィリはポケットから赤い石を取り出した。 「これザマス。魔力が圧縮されたり、生き物が死んだときに結晶化するものザマス。基本、魔力増加、魔喰器強化に使われるもので、かなり使用用途は多いザマス。 この石は属性が火なので赤いザマスが、他の属性のときはそれに応じた色ザマス。手触りもあたたかだったり、冷たかったりするザマス」 ウィリが差し出した石をそれぞれ手にとって触れる。 肌ざわりはつややかで、石はほんのりとあたたかい。 アリシアは初めて見る魔結晶に目を見張り、何か言おうとして言葉にできずにクリストフを見上げる。彼もまた初めて見るそれを物珍しげに見つめ、触れたときの感覚に少しばかり驚いていた。 「あ、あの、出来たら、質のよい石の見分け方など、教えて……いただけますか? エレメンツでないと、難しい、でしょうか?」 「あなたは魔術に熱心なようザマスから、今後のためにも知っておくといいザマス。石の生成は小さなものなら数秒、通常は一週間から一か月かかるザマス。大きなものでは数年単位かかることもあるザマスが、大きさとランクとは別ザマス。まず、Cは形は悪いし、見た限りだと属性がわからない石ころザマス。逆にSははっきりとした色とぬくもりを感じられ、魔力も最高ザマス。今まわしているのはBなのでまぁ普通ザマス」 「ええっと、つまり、大きさは関係なく、色と……触れたときの肌触りと温度ですね? これで、普通なんですか?」 「このレベルでないと基本使い物にならないということザマス。属性によって肌ざわりは異なるザマスから、今度教団の本で勉強するといいザマス」 アリシアの質問にウィリが答えたあと付け加えた。 「ランクや加工は教団でやるので今回は深く考えず、色や触った手触りやぬくもりで持ってきたらいいザマス。あと、壊れやすさはその石によって違うザマスから一概には言えないザマスが、表面に傷がつくだけでもランクは落ちるザマスから丁寧に扱うことを心掛けてほしいザマス」 その説明に全員が頷いて作業を開始しはじめた。 ベルトルドとクリストフはロープを使い、多少険しいが崖側の魔結晶の回収にあたった。 ベルトルドはヨナの魔力探知から崖に埋まった魔結晶を採取する。危険なこともあり、慎重に作業を行うベルトルドにヨナは、右です、左です、とてきぱきとした指示を飛ばす。多少、容赦がない。 「次は……斜め右下です。あと左斜め下です」 「また無茶な角度を……!」 ベルトルドが愚痴るのをヨナは冷めた目で見つめていた。 一方、クリストフは巣に近づいて、目を見張る。 きらきらと輝く、赤、青、茶の上質な魔結晶。 「ここにこれがあるから巣をつくったのか」 モンスターとしてか、生き物としての習慣かは不明だが、きらきらと輝く魔結晶を巣のなかに集めていたようだ。 この中では一番の収穫をナップサックに入るだけ詰めて、クリストフは仲間たちの元に戻った。 テオドア、ハルト、唯月、瞬、アリシアはそれぞれ注意に従い、地上にある石を丁寧に扱い、それらしいものをどんどん集めていく。 「これは魔力を帯びていたけど、使えるかしら?」 ウィリの説明をしっかりと聞き、指示に従って石を丁寧に扱うリコリスは誰よりも石の発見がよかった。 「十分使えるザマス」 「なんとなくコツがわかってきたわ」 リコリスの横ではトールが石をまとめ、運ぶのをメインに働く。 唯月が詳細にスケッチをとって注意点なども書き足したイラストを全員に渡して、情報共有したことが効率を良くし、質のいい石を見つけ出す手助けとなった。 「帰ったら加工とランクのわりふりをするザマス。今回は貴方たちにお願いして正解だったようザマス。教団に帰ったら働きは素晴らしかったと伝えるザマスよ」 集まった石に満足そうにウィリは微笑んだ。 「さて、夕飯ザマス。野菜と干し肉はばっちり用意してるザマス」 「これは……」 ウィリがリュックから取り出したそれに全員が目を向ける。 「カレーザマス! 野宿の基本ザマスショ!」 体を少し休めたあと、男性陣は協力してテントを張るのに女性陣は夕飯作りを開始していた。 唯月、アリシアは安定した包丁使いで野菜を切っていくのだが。 「……なかなか、難しいわね」 「どうしてこうなるのか謎ですね」 リコリスとヨナは二人して少しばかり不ぞろいな野菜を見て眉根を寄せた。これがベリアルやモンスターなら木っ端みじんにすればいいのだが、野菜はそうはいかない。 その横では玉ねぎ相手に格闘するシンティラとウィリが涙をずびすびと流していた。 「まぁ冒険者時代の慣れがあるからな」 トールとベルトルドが石を組んで焚火を作る。そこにテオドアたちが川で洗ってきたお米をセットし調理用発火符を置いて、指を鳴らす。 「本当に便利だよねぇ、これ」 「あとは噴き出さないように注意しないとな」 ハルトとテオドアがかがみこんでお米の様子を見守った。 「武器になにか思い入れはあるザマスか?」 みんなで作ったカレーと渋めの茶を飲みながらウィリはテオドアの剣に目を向ける。それに気が付いて、テオドアは自分の剣を撫でた。それはとてもよく使い込まれ、大切にされていることがわかるからだ。 「この刀、もともとは父さんの物なんだ。故郷が襲われた時に成り行きで持ち出すことになってしまって、それをお願いして掛け合わせてイレイスにしてもらって……正直、俺はこの刀をあまり満足に使ってやれていないとは思うんだ。何かを斬るっていうことが、俺は怖いよ。情けない話だけどな」 少しだけ申し訳なさそうに剣を撫でるテオドアの横で明るい声を出したのはハルトだ。 「俺の武器? そりゃーもう大事! 俺達の命はこいつにかかってるしね、俺の武器はメンテも必要だし、今までの人生でこいつに触れてる時間は結構長いと思うぜ」 この会話にヨナも口を開いた。この開放的な場所が彼女をいつも以上に行動派にさせた。 「私のは本とベリアルを掛け合わせたもので、自分の能力に応じて結構変えています。書皮もベリアルで出来ていて、これは本の力をさらに増幅させる作用があり、サンディスタムを出る際に家族から」 つらつらと語っていたヨナは、はっと口を紡ぐ。この国へと逃げるようにやって来たヨナへ両親から贈り物――それを思うと心がざわめいてしまう。 自分で認めたくないものを他人に晒すことはヨナには居心地悪すぎる。 ちらりと横にいるベルトルドが興味深そうに見つめている。 (余計な事まで喋ってしまった) 「その、つまり、何かと便利なんです。ベルトルドさんはどうなんですか」 露骨な話題逸らしだがベルトルドは深く突っ込むことはなかった。 「俺は武器そのものより戦い方に重きを置いているのでそれに合った武器を使っているな。と言っても一通り武器の扱いは習得しているが、何だかんだで素手に一番近い形で戦うのが性に合っているようだ」 「おー。そっか。俺の武器って基本斧なんだけど、こう重さで叩き付ける感じがいいだろ。ハンマーは刃がねぇからアウト! 刃の重々しい重厚感とか好きだからな」 しみじみと語るベルトルドにロスと、シンティラも語り始めた。 「知り合いに陰陽師の方がいらっしゃるせいか非常に持っていると落ち着きます。距離を考えると両手杖がいいのですが呪符愛用ですね。しかしかの陰陽師の1人は忍術も嗜み影縫が得意で、もう一人は鳥が非常に好きで呪符よりも鳥、主に鷹と一緒に戦ってますから、一番使っているのは私ですね」 目じりを寄せてシンティラは穏やかに告げる。 「浄化師が使う武器は基本がベリアルが素材なぶん、作るのが大変なんザマス。その加工技術も本当に一部の職人しかいないザマス」 ウィリの言葉に、ふぅんとリコリスは呟き、自分の腰にある短剣を取り出して眺めた。 基本、浄化師の武器はそのとき、そのときに応じて変えることになるため、よくよく考えることがなかった。 肉体を使った戦いが多いリコリスだが、いざ、というときに短剣があることが支えにもなっている。 「イレイスを作るのってとても大変なことなのね。この武器もう半年ほど使っているけれど、大切にしようって改めて思ったわ」 「武器は人を傷つけることも守ることもできる。何でも使う人の心がけが大事だと俺は思う」 リコリスにあたたかなお茶を手渡しながらトールは穏やかに笑う。 「そうね」 「それより、お気に入りの武器をカスタマイズしてずっと使えるようになったらいいな」 「……ふふ、面白そう。自作の専用武器とかもいいかも」 自分用にカスタマイズ、というのは男の夢らしい。 きらきらした目をしているトールにリコリスはお茶に口をつけながら応じた。それにお茶を飲み終え、焚火に薪を足していたクリストフは同意するように頷いた。 「うん、武器は、できれば自分に合わせた愛用品が欲しいよね。手入れをして強化して愛称なんかつけたりして、そうやって一緒に幾多の戦場を駆け抜けてこその相棒だと思えるし」 「クリスも、そうなんですか?」 横にいたアリシアが少しだけ嬉しそうに声を漏らす。 「私は、呪符や魔道書を使っていますが、できたら愛用できる物を、ずっと使っていきたいです……こういう所で意見が合うと嬉しいです、ね」 「教団で取り入れて欲しいなあ」 「そうできるようになるといいです、ね」 指令や自身の成長によって武器を変えることは嬉しいと思う反面寂しくもある。仕方ないと思っても、やはり手になじんだ武器というのは愛着がわくものだ。 浄化師として成長しながら、少なからず武器を大切に想っている話を聞きながら唯月は自分の武器――占星儀を見る。 ここ最近、あまり戦闘のある指令に参加していないことを実は気にしていた。 浄化師は司令部から発行された指令を好きに選ぶ権利が与えられている。それは浄化師たちにもそれぞれ得意、不得意があるためだ。ただ世界を脅かす脅威であるベリアルやヨハネの使徒討伐の指令は一定で発行されている。 それを見るたびに申し訳ない気持ちになるのだ。それは瞬も同じだ。否、指令を受けない原因が自分にあるのではないかと彼のほうが強く気にしているところはあった。 「武器なんですから……使われてこそ、ですよね」 今回は以前二人で話し合い、信頼できるアリシアとクリストフと一緒に戦うことが出来たから緊張することが少なかった。 (最近少しずつ戦闘依頼に出向こうと思えるようになりましたが、ここにいる皆さんの中でもまだまだ使ってあげられてない……です……ね……) 唯月の歯切れの悪さに瞬も少し暗い表情で頷いた。 「……そうだ、ね」 (俺達は浄化師……だもんね、ちゃんと使ってあげなきゃ……か) 「確かに道具は使ってナンボザマス。よかったら貸すザマス」 「え、あ、は、はい……?」 唯月と瞬がそれぞれ武器を差し出すとウィリは目を細めて笑うと、腰から小瓶を出し、布につけたあと、瞬の杖を磨きはじめた。 「ここにいる浄化師はみんな自分の今の武器を大切にしているようでうれしいザマス。確かにカスタマイズなんかが出来れば本当はそれが 一番いいザマス。僕たち武器を扱う人間にもっと技術や方法があればと思うことは多いザマス」 瞬の杖を拭き終え、ウィリは唯月の武器にとりかかる。 「道具は持ち主次第ザマス。もちろん、生き物のようになにか示すことはできなくても、大切にされた思い出は必ず残るザマス。それがいつか、遠い未来でもベリアル、ひいては浄化師を本当の意味で救うことに繋がる可能性があるザマス」 手元に戻ってきた占星儀は、輝きが少しだけ増したような気がして唯月は目を見張る。 「浄化師の武器はひどい言い方をすると共食いのようなものザマス。それしか方法がないザマス。僕はいずれ浄化師たちと共に成長できる武器を作りたいと思っているザマス。まぁ先は長いザマスが……ベリアルを憎むのも、嫌悪するのも仕方のないことザマス。けれど、あいつらがいなくなって本当に平和なんザマスしょうか?」 「平和は、わ、わかりません。けど……許すことは、とっても……難しいです」 自分自身の奥に宿す復讐心と向き合うことが増えてきた唯月は伏せ目がちに紡ぐ言葉にウィリは少しだけ寂しそうに笑った。 「僕も同じザマス。だからどうか、自分の今使う武器を大切にしてほしいザマス」 夕食後、ハルトはテオドアと共に食器を片付けようとさりげなく声をかけた。 夜風が優しいなか食器を片付けるテオドアの手が、ハルトの手に掴まれた。 「ハル?」 「先の話……情けなくないよ、テオ君は優しすぎるんだよ。だから、俺がテオ君の武器になる。どんな物からだってテオ君を守るし、支えてみせるから」 真剣な瞳に見つめられてテオドアは目を瞬かせ、ふっと気が軽くなるのに微笑みを浮かべた。 「ありがとう、ハル。なら俺を守ろうとしてくれるハルを、俺が守るよ」 「うん。ありがとう」 「片付け、終わらせよう」 テオドアに促されて、ハルトは嬉しそうに返事をした。
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*** 活躍者 *** |
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[31] ハルト・ワーグナー 2018/09/14-23:55
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[30] ロス・レッグ 2018/09/14-23:37
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[29] ロス・レッグ 2018/09/14-23:26
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[28] テオドア・バークリー 2018/09/14-22:40
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[27] リコリス・ラディアータ 2018/09/14-21:20
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[26] ロス・レッグ 2018/09/14-19:14 | ||
[25] ヨナ・ミューエ 2018/09/14-13:37 | ||
[24] ロス・レッグ 2018/09/14-12:15
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[23] リコリス・ラディアータ 2018/09/14-11:03 | ||
[22] ハルト・ワーグナー 2018/09/14-10:20
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[21] ロス・レッグ 2018/09/14-08:22 | ||
[20] クリストフ・フォンシラー 2018/09/14-07:23
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[19] 杜郷・唯月 2018/09/14-06:03 | ||
[18] ヨナ・ミューエ 2018/09/14-03:25 | ||
[17] テオドア・バークリー 2018/09/14-02:09 | ||
[16] クリストフ・フォンシラー 2018/09/13-22:04 | ||
[15] ロス・レッグ 2018/09/13-19:40 | ||
[14] テオドア・バークリー 2018/09/13-13:55 | ||
[13] 杜郷・唯月 2018/09/13-12:24
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[12] ヨナ・ミューエ 2018/09/13-11:55 | ||
[11] ロス・レッグ 2018/09/13-05:31 | ||
[10] テオドア・バークリー 2018/09/12-22:43 | ||
[9] リコリス・ラディアータ 2018/09/12-20:39 | ||
[8] クリストフ・フォンシラー 2018/09/12-00:15
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[7] ヨナ・ミューエ 2018/09/11-13:20
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[6] テオドア・バークリー 2018/09/11-01:11 | ||
[5] リコリス・ラディアータ 2018/09/10-21:09
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[4] リコリス・ラディアータ 2018/09/10-21:09
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[3] テオドア・バークリー 2018/09/10-03:50 | ||
[2] リコリス・ラディアータ 2018/09/09-23:21 |