~ プロローグ ~ |
ピクシー。 |
~ 解説 ~ |
●目的 |

~ ゲームマスターより ~ |
こんにちは、留菜マナです。 |

◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
|
||||||||
![]() |
遊ぶって言われてもどうすれば… と、トールが…聞いたことのない甘い台詞吐いてる… 甘すぎて口からお砂糖が出てきそう… しかもお姫様って…今まで私以外の人にそう言ったことなかったのに ちょっとあなた、どういうことなの 魅了ですって!早く元に戻しなさいよ どうしてって、それは、だって…と、トールは私のパートナーなんだから! 勝手に魅了しないで! 何言わせるのよ、ああもう、恥ずかしくて泣きそう 元に戻った後、羞恥と嫉妬で普段よりツン5割増し 知ってるわよ たった今見たばかりだから 一人で少し先に行き、ちらっと後ろを振り返り そりゃそうよね トールだって、こんな冷血女より可愛い妖精の方がいいに決まってる でも、どうして胸が痛むの… |
|||||||
|
||||||||
![]() |
C ◆シュリ ロウハの様子がなんだか変 え、もしかして、カノンさんを口説いてる…? …ロウハのこんな姿、初めて見る こんな…男の人みたいな… 複雑な気持ちで二人を見つめていたけど、慌てて止める ロウハ、ちょっと離れて…! カノンさんが困ってるでしょ? 暇潰しって…迷子になったらどうするのよ (解放… 確かにわたし、いつもロウハに頼りすぎてるのかも…) ◆ロウハ …ん?なんだか眩暈が… ※魅了にかかる カノン、あんた…よく見ると可愛いな (カノンを壁ドン) 遊んで欲しいって言ってたよな?普段あんたがしてる遊び、教えてくれよ なんだよお嬢、今忙しいからその辺で暇潰しでもしててくれ 迷子になるほど子供じゃねーだろ? たまには解放してくれよ |
|||||||
|
||||||||
![]() |
C ◆瞬が魅了魔法をかけられる ・瞬はカノンにメロメロ ・そんな瞬の姿に唯月はモヤモヤ 瞬「カノン〜」 唯「ま、瞬さん…」 瞬(そんな…瞬さん、魅了魔法をかけられてしまって…?! ) 唯「あ、あの…」 瞬「君だ〜れ?俺は今、カノンと喋ってるんだ〜」 唯「…っ!」 ◆カノンに魔法を解くようお願いする 唯(魅了魔法…そうだと解ってても… そんなふうに言われると…少し…いえ、とても悲しい… だから…お願い、しないと…!) 唯「カノンさん…あの…魅了魔法を…解いて貰う事は…出来ません、か? わたし、瞬さんの事…好きなので…例え魔法だとしても あんな姿の彼を見るのは…辛いんです…お願いします…! わたしに出来る事なら…頑張ります、から!」 |
|||||||
|
||||||||
![]() |
【C】 魅了されるのは千亞 ●心境 明智「あぁ、ピクシーになった千亞さんも愛らしいです…!」 トキメくド変態 千亞「落ち着けド変態。しかし、一体どういうことだ、これは…」 戸惑う白兎。 ●魅了 現れたカノンさんに 明智「おや、愛らしい妖精さんですね。ウェルカムです、遊びましょう…!ねぇ、千亞さん」 顔を向ければ、既に魅了されている千亞。 千亞「ん、あぁ…」 途端にモジモジしだす。 明智「千亞さん、どうなさいましたか?顔が赤いですよ…!」 千亞「そ、そうか?」 チラチラとカノンさんの方向を見ては視線を逸らす恥ずかしガール。 明智(…千亞さんの見たことない行動と表情ですね…!!) 面白い&新鮮なのでばらく観察しよう、と思う明智。 |
|||||||
|
||||||||
![]() |
B 探索 もう 悪戯はほどほどにしなくちゃ駄目よ ちょっぴり怖い顔をして言ってみるも すぐに笑顔 わたしはリチェ こっちはシリウス 友だちになれたら わたしも嬉しいわ ピクシーのお友だちは初めてよ よろしく と手を差し出す 飛ぶのが下手で時々落ちかけては シリウスに引き上げられる 気が付いたら彼の腕にしがみついていることに気づいて シリウスだって飛ぶのは初めてのはずなのに 何でもできるのね 力強い腕に今更恥ずかしくなり頬を赤らめる 少し不思議そうなシリウスの顔に 何でもないと首を振って 滝のような景色に目を輝かせ ね カノンちゃん ピクシーの歌を教えて わたしの知っている歌も教えるから 水の畔で歌を歌う(歌スキル使用) シリウス 優しい顔してる… |
|||||||
|
||||||||
![]() |
★C ∇ロス ぶはっ!何が起きた? 小せぇ…羽… (我ながら似合わねぇ! ティ?ティー? (茫然自失状態のティの目の前手ひらひら あー大丈夫ティは似合っから ∇ティ ロスさんはもちろん私もこういう可愛らしいのは似合わないと思います 似合うのはこういう!(魅了中 神です 可愛いです 世の中で唯一 こう妖精に生まれ変わったのなら是非こういった天使を目指さなければ! ロスさん この希少とも言える可愛らしさが解りますか? いかにも砕けそうな繊細な羽 「砕くな!? 標本にするのも容易そうな細い手足 「標本!? 淡い色合いに心が癒されます 「最後誤魔化してねぇか!? さあ神様 貴方の為なら何でも致しましょう 「ティ?俺の事無視してねぇ?気付いてねぇのか? |
|||||||
~ リザルトノベル ~ |
●恋の表現論 「ピクシーだ、見るのは久しぶりだな。リコは見たことある? 悪戯好きの妖精でさ」 トール・フォルクスは、小さくなっても特に気に留めることもなく、明るい笑みを浮かべて言った。 「ないわよ」 リコリス・ラディアータがそう告げるのを予測していたように、トールがさらに説明しようとしたその時である。 秒単位で、彼はあっさりとカノンの魅了魔法にかかってしまった。 「あの、私と一緒に遊んで下さい!」 「遊ぶって言われてもどうすれば……」 「……ん? 君と一緒に遊ぶのか? もちろん、可愛いお姫様の頼みなら大歓迎さ」 カノンに懇願されて戸惑うリコリスをよそに、トールはあっさりと承諾する。 そんなトールの姿を、リコリスは唖然とした表情のまま、じっと見つめていた。 「と、トールが……聞いたことのない甘い台詞吐いている……。甘すぎて口からお砂糖が出てきそう……。しかもお姫様って……今まで私以外の人にそう言ったことなかったのに」 「さあ、何して遊ぼうか……」 「えっと、ね」 トールの誘いに応えるように、カノンは頭を悩ませる。 咄嗟に、リコリスが焦ったように言った。 「ちょっとあなた、どういうことなの」 「魅了魔法にかかったんだよ」 カノンがその言葉を口にした瞬間、リコリスは思わず、目を見開いた。 「魅了ですって! 早く元に戻しなさいよ」 「どうして?」 「どうしてって、それは、だって……と、トールは私のパートナーなんだから! 勝手に魅了しないで!」 リコリスはカノンに対してそう叫んだ。 しかし、遅れて襲ってきた恥ずかしさに、リコリスはすぐに顔を赤らめてしまう。 「何言わせるのよ。ああもう、恥ずかしくて泣きそう」 「何だよリコ、何を怒ってるんだ? カノンは俺達と遊びたかっただけだろう。いくらパートナーでもカノンをいじめたら許さないぞ」 羞恥心に苛まれるリコリスに、無情にもトールはそう言い放ったのだった。 カノンに告げられた方法を試みたことで、トールにかけられていた魅了魔法は解けた。 しかし、トールは何事もなかったように、先程の説明の続きを口にする。 「……で、ピクシーの悪戯としては、魅了の魔法を使って相手を虜にしてしまうっていうのがある」 「知ってるわよ。たった今、見たばかりだから」 「リコも気を付け……え、知ってる? おい、どこに行くんだよ!」 トールが驚く暇も与えないまま、リコリスはそのまま先に進んでしまった。 追いかけたのだが、リコリスから近寄るなオーラを感じ取ってトールは躊躇する。 「俺……嫌われたかな。カノンはどう思う?」 「多分、嫌いの反対だと思うよ」 トールの疑問に、カノンは神妙な表情で答えた。 少し先に行ったリコリスはちらっと振り返ると、カノンと話しているトールに視線を向ける。 「そりゃそうよね。トールだって、こんな冷血女より可愛い妖精の方がいいに決まっている」 鍾乳洞を背景に、リコリスは寂しそうな表情を浮かべた。 「でも、どうして胸が痛むの……」 リコリスがぽつりとつぶやいた独り言は、誰の耳にも届くことはなかった。 ●夜明けより前のあなたへ 「あの、私と一緒に遊んで下さい!」 カノンの懇願に、シュリ・スチュアートはこくりと頷いた。 「うん、よろしくね」 「ありがとう」 シュリの言葉に、カノンは顔を上げると明るく弾けるような笑顔を浮かべてみせた。 その時、ロウハ・カデッサは自身の身に異変を感じる。 「……ん? なんだか目眩が……」 「ロウハの様子がなんだか変」 呆然した表情でロウハが頭を押さえているのを見て、シュリは不安そうにつぶやいた。 しかし、一連の出来事で動揺していたシュリは、次にロウハがとった行動に虚を突かれることになる。 「カノン、あんた……よく見ると可愛いな」 「はうーー!?」 突然、ロウハは後ずさろうとしたカノンが鍾乳洞の岩場に背中をつけて下がれなくなったところを見計らって、腕を岩場につけて接近してきたのだ。 矢継ぎ早の展開。 それも魅了魔法にかかった途端、壁ドンというシチュエーションに、カノンは一瞬で顔が桜色に染まってしまう。 予想外なロウハの行動に、シュリはきょとんとした。 「え、もしかして、カノンさんを口説いてる……?」 シュリが状況を把握できないまま、ロウハはさらにカノンに詰め寄る。 「遊んで欲しいって言ってたよな? 普段、あんたがしてる遊び、教えてくれよ」 「え、えっと、私がいつもしている遊び、遊びは――」 ロウハの熱いアプローチに、魅了魔法をかけた張本人であるはずのカノンはすっかりテンパってしまっていた。 「……ロウハのこんな姿、初めて見る。こんな……男の人みたいな……」 シュリは複雑な気持ちで二人を見つめていたのだが、困惑しているカノンの様子を見かねて慌てて止めに入る。 「ロウハ、ちょっと離れて…‥! カノンさんが困ってるでしょ?」 「なんだよ、お嬢。今忙しいからその辺で暇潰しでもしててくれ」 「暇潰しって……迷子になったらどうするのよ」 心中穏やかではないシュリがしっかりとした口調で訴えようとして、 「迷子になるほど子供じゃねーだろ? たまには解放してくれよ」 と、拒絶の意思を如実に込めたロウハの言葉に強く遮られた。 (解放……確かにわたし、いつもロウハに頼りすぎてるのかも……) 不意に目の前のロウハから距離を感じて、シュリは傷ついた表情を浮かべて俯く。 だが、カノンに嫉妬する反面、普段とは違うロウハの姿に心惹かれてしまう。 離れた方がいいのかなとシュリが悩んでいると、潮が満ち、光が一定の角度で差し込まれた影響で鍾乳洞内が一斉に蒼く照らし出された。 「なあ、カノン。高い場所に行かないか?」 「高い場所?」 その絶景を見上げていたロウハが、ぽつりとカノンに告げた。 (……高い場所) ロウハの何気ない言葉に、シュリの心はざわめいた。 「ああ。好きなんだよ、こういう場所から景色を眺めるのが……世界の呼吸を感じる気がしてな」 (……あ) それは、お気に入りの遊び場所に行った時、ロウハから告げられた言葉だった。 わたしも同じ気持ちだったから、すごく嬉しかったのを覚えている。 シュリはロウハに何か声をかけようとして口を開きかけたが、でも何も言葉は見つからず、伸ばしかけた手を下におろした。 「今は、少しでも……近くで星を眺めていたいから」 近くても遠いパートナーとの距離に、シュリは満点の夜空のように蒼く照らし出された鍾乳洞を見上げたのだった。 ●あなたと見たあの日の空に 「カノン~」 「ま、瞬さん……」 そう呼びかけた杜郷・唯月の声も虚しく、泉世・瞬はカノンのもとへと去ってしまう。 (そんな……瞬さん、魅了魔法をかけられてしまって……?!) そんなやり取りの中、唯月は深刻そうな表情を浮かべると、こうなってしまった原因の出来事をふと頭の片隅に思い浮かべていた。 事の発端は、カノンの悪戯によってピクシーの姿に変えられてしまったことだった。 そして、それと同時に彼女が放った魅了魔法によって、瞬はカノンに魅了されてしまったのだ。 それでも、唯月は勇気を出して再度、瞬に声をかける。 「あ、あの……」 「君、だ~れ? 俺は今、カノンと喋ってるんだ~」 「……っ!」 心無い言葉が、鍾乳洞内に響き渡る。 唯月はその瞬間、世界がひっくり返ったような驚きと、底知れない恐怖に打ち震えた。 (魅了魔法……そうだと解ってても……そんなふうに言われると……少し……いえ、とても悲しい……。だから……お願い、しないと……!) 唯月は息を吐くと、瞬と話しているカノンの前に立った。 「カノンさん……あの……魅了魔法を……解いて貰う事は……出来ません、か? わたし、瞬さんの事……好きなので……例え魔法だとしてもあんな姿の彼を見るのは……辛いんです……」 唯月は高ぶる気持ちを強いて押さえたような声で言う。 「お願いします……! わたしに出来る事なら……頑張ります、から!」 「その、私、魔法をかけたりするのは得意だけど、解いたりするのは何故か、全然上手くいかないの」 (……そんな) 驚きのあまり、二の句を継げられずにいる唯月に、カノンもまた決まり悪そうに続けた。 「でもでも、ひっぱたいたりしたら、元に戻ると思うよ」 「瞬さんを……ひ、ひっぱたくなんて……」 「だったら、少し叩くようにして触れて、二人だけの特別な言葉を途中まで告げた後に、その続きの言葉を相手が告げられた場合でも解けると思うの」 重ねて告げられたカノンの言葉に、唯月ははっとした。 「特別な言葉……って……も、もしかして『アブソリュートスペル』……!」 そのことに気づくと同時に、唯月は躊躇うように瞬を見た。 (瞬さんを元に戻したい……。だけど、それでも迷っているのは不安なのは、あの日の決意に応えられるのか、心配で……) 唯月は瞬の前に立つと、背伸びをしてそっと囁いた。 「瞬さん……わたしにもう一度……希望を下さい」 唯月の説得にも、瞬は何の反応も示さなかったが、唯月は構わず、先を続ける。 「痛くても……苦しくても……怖くても……わたしがしがみつきたくなる……希望を下さい……」 唯月は両手を伸ばして、その手で瞬の顔を優しく叩くようにして挟み込んできた。 微かな痛みとともに、手のひらを通して朝の光のようなぬくもりが瞬の頬に伝わってくる。 「ペリドット――」 「……っ、アイリス」 続けられた魔術真名に、唯月はほっとしたように安堵する。 「あれ~、いづ?」 「カノンさん、ありがとう……ございます……! 本当に……本当に良かった」 状況を理解出来ていない瞬に対して、唯月は柔らかな笑みをこぼした。 「またここへ来る事がありましたら、今度は瞬さんとも一緒に遊びましょうね!」 「……うん!」 唯月の言葉に、カノンは嬉しそうに頷いたのだった。 ●夏の流転海域 「あぁ、ピクシーになった千亞さんも愛らしいです……!」 「落ち着けド変態。しかし、一体どういうことだ、これは……」 愛おしげに胸を高鳴らせる明智・珠樹とともに、ピクシーの姿になってしまった白兎・千亞は戸惑いの表情を浮かべていた。 そこへ、岩場の陰に隠れていたカノンがふわふわと飛んでくる。 「あの、私、カノンです。一緒に遊んで下さい!」 「おや、愛らしい妖精さんですね。ウェルカムです、遊びましょう……! ねぇ、千亞さん」 現れたカノンの誘いに、珠樹はあっさりと承諾する。 しかし、珠樹が顔を向けた途端、千亞はもじもじと顔を赤らめていた。 「ん、あぁ……」 「千亞さん、どうなさいましたか? 顔が赤いですよ……!」 「そ、そうか?」 そう言いながらも、千亞はチラチラとカノンの方向を見ては視線を逸らしている。 (‥……千亞さんの見たことない行動と表情ですね……!!) 珠樹はどうしようもなく、期待に満ちた表情で千亞を見つめた。 (もしかして、これが千亞さんのデレモード……!) 嫉妬よりも、もはや新鮮さにワクワクしてしまう――。 そんな珠樹の想いを代弁したように、今も千亞はカノンを見ては視線を逸らすという行動を繰り返している。 (ふふ、私相手ではないのは残念ではありますが、こんな愛らしい千亞さんを見られるのは有難いです、ふふ……!) 珠樹は感極まった表情で腕を広げ、全身に力をみなぎらせた。 「千亞さん、どうなさいましたか? カノンさんと遊びましょう、さぁ……!」 「ちょ、押すな珠樹……っ!」 珠樹に促されるかたちで、千亞はカノンの前に立った。 千亞は両拳をぎゅっと握りしめたまま、恥ずかしそうに顔を俯かせる。 しかし、このままでは話が先に進まないと思ったのだろう。 千亞は顔を上げると、意を決して告げた。 「あ、あの、僕とも……遊んでほしい、な」 「うん」 千亞が上目遣いで懇願すると、カノンはほんわかと笑った。 (……可愛い。ピクシーって、こんなに可愛いだね) (……ふ、ふふ。お二人とも愛らしく麗しいです。あぁ、ここはもしや、妖精郷なのでは……!) カノンと対面した千亞と珠樹は、今回ばかりはお互い同様の想いを抱いていた。 話し合った結果、みんなで一緒に追いかけっこして遊ぶことになった。 ――それからは、珠樹にとって至福の時間だった。 「珠樹さん、千亞さん、ま、待って――はうっ!」 追いかけっこに夢中になっていたカノンは鍾乳石にぶっかって落ちてしまう。 顔を抑えるカノンに、慌てて飛んできた千亞がそっと手を差し伸べた。 「大丈夫か?」 「う、うん」 千亞の手を取ると、カノンはうっすらと頬を赤らめる。 (素晴らしい、素晴らしいですね……!) その微笑ましい光景に、珠樹は顎に手を当てまんざらではないという表情を浮かべる。 妖精郷――。 ――それは文字どおり、まるで時間が止まってしまったような世界だった。 いつまでもいつまでも終わらなければいいのに、と珠樹は思ったのだった。 ●蒼花の歌姫 「もう、悪戯はほどほどにしなくちゃ駄目よ」 しょんぼりと俯いているカノンに対して、リチェルカーレ・リモージュは子供に言い聞かせるように注意した。 だが、すぐに優しい笑顔を浮かべる。 「悪戯してごめんなさい。でもでも、私、友達がいなくて、誰かと一緒に遊んでほしかったの」 「……程々にしておかないと、討伐隊が組まれるぞ。現に教団まで話がきている」 「……うん」 シリウス・セイアッドは『悪戯』という言葉に一瞬、目が吊り上がるも、カノンの話を聞くうちにため息を吐く。 「わたしはリチェ、こっちはシリウス。友達になれたら、わたしも嬉しいわ」 「えっ? 友達になってくれるの……!」 リチェルカーレの言葉に、カノンはぱあっと顔を輝かせた。 「ピクシーのお友だちは初めてよ。よろしく」 「う、うん……」 差し出されたその手に、カノンはおずおずと手を伸ばした。 「シリウスも一緒に遊びましょう?」 「……ああ」 リチェルカーレの笑顔に、シリウスは僅かに目を見張る。 しかし、散歩をねだる子犬のような瞳に根負けして、楽しそうな二人の付き添いをすることになった。 「飛ぶのって難しいのね」 飛ぶことに慣れていないためか、リチェルカーレは不安定な飛行を繰り返していた。 シリウスは鍾乳石に激突しかけたり、水たまりに落下しそうになったリチェルカーレをその度に引き上げる。 「リチェさん、大丈夫?」 「ありがとう、カノンちゃん。――って、きゃあ!」 カノンが心配して飛んでくると、リチェルカーレは安心させようとして柔らかな笑みを浮かべる。 しかし、その瞬間にバランスを崩し、水たまりに落下しそうになった。 「大丈夫か?」 「あ、ありがとう、シリウス」 必死にしがみついてくる細い腕に、シリウスは子供みたいだと僅かに表情を緩ませる。 (シリウスだって、飛ぶのは初めてのはずなのに何でもできるのね) 今更ながら彼の腕にしがみついていることに気づいたリチェルカーレは、遅れてやってきた恥ずかしさに顔を赤らめた。 「どうかしたのか?」 「何でもない」 リチェルカーレがごまかすように首を横に振ると、シリウスは不思議そうに首を傾げた。 鍾乳洞をさらに飛んでいくと、岩場から水が漏れていた。 まるで滝のような景色に、リチェルカーレは目を輝かせる。 「ね、カノンちゃん、ピクシーの歌を教えて。わたしの知っている歌も教えるから」 「本当~。私、歌、大好きだよ」 「わたしもよ」 これから教え合うそれぞれの歌に心踊らせて、リチェルカーレとカノンは花咲くようにほんわかと笑ってみせた。 水の畔で、リチェルカーレはカノンから教わった歌を紡ぎ始める。 やがて、反響して響く彼女の歌声に導かれるように、潮が満ち、光が一定の角度で差し込まれた影響で鍾乳洞内が一斉に蒼く照らし出された。 (魅了の魔法とはこういうものだろうか) 少し離れた場所で聞いていたシリウスは、美しい歌姫の姿に目を細めてそう思った。 (シリウス、優しい顔してる……) ステージのように蒼く照らし出された水の畔で、リチェルカーレは幸せそうに歌い続けた。 ●神様、お願い! 「ぶはっ! 何が起きた?」 予期せぬ事態に、ロス・レッグはきょろきょろと辺りを見回した。 不思議な現象の調査に訪れたロス達は、鍾乳洞の奥で蒼く光る鍾乳石を発見した。 だが、鍾乳石に触れた瞬間、ロス達は謎の爆発音とともに霧に包まれてしまったのだ。 「小せぇ……羽……」 ロスは自身の背中に生えている羽を見て、率直な感想を述べる。 (我ながら似合わねぇ!) 妖精のような羽に触れながら、ロスは自身の身に起きた現象に呆気に取られてしまう。 「ティ? ティー?」 茫然自失のシンティラ・ウェルシコロルのもとまで行くと、彼女の目の前で手をひらひらとさせる。 「あー、大丈夫。ティは似合っから」 「ロスさんはもちろん、私もこういう可愛らしいのは似合わないと思います」 ロスの言葉に、シンティラはようやく口を開いた。 「似合うのはこういう!」 シンティラは意味ありげな笑みを浮かべながら、ピクシーの少女がいる方向を差し示した。 「神です。可愛いです。世の中で唯一。こう妖精に生まれ変わったのなら、是非こういった天使を目指さなければ!」 「あ、ありがとう……」 今回の騒動を引き起こしたピクシーの少女――カノンは、大仰なシンティラの紹介に照れていた。 「ロスさん、この希少とも言える可愛らしさが解りますか?」 シンティラが目を輝かせなから祈るように言う。 「いかにも砕けそうな繊細な羽」 「砕くな!?」 「標本にするのも容易そうな細い手足」 「標本!?」 「淡い色合いに心癒されます」 「最後、誤魔化してねぇか!?」 ロスの度重なる突っ込みをものともせず、シンティラはさらに告げた。 「さあ、神様、貴方の為なら何でも致しましょう」 「ティ? 俺の事無視してねぇ? 気付いてねぇのか?」 明らかに常軌を逸した言動に、ロスは驚愕する。 「さあ、神様」 「ちょ……ちょっと、お散歩してくるね」 一歩、また一歩と迫り寄るシンティラに、焦ったようにカノンは踵を返した。 「お散歩!? では、ご同行させて頂きます」 「その、一人でしたいな、と……」 「いけません! 神様がお一人でお散歩されるなんて危険です!」 (妖精、大丈夫か?) あからさまに怯えるカノンと鬼気迫るシンティラの図に、ロスはうわーとなって庇おうとするものの、 「ま、いいか」 従来の面倒臭さが勝り、狼姿になってゴロゴロし始める。 「神様、捕まえました!」 「はうー!」 カノンは必死に飛んで逃げていたのだが、呆気なくシンティラに捕まってしまう。 「可愛いです! 愛らしいです! そして、神々しいです!」 カノンを抱きしめながら、真剣な眼差しで延々と妖精の可愛らしさについて説き始める。 「頑張れー」 ロスは無責任な応援をしながら、場合によって笑い転げていた。 後に、我に返ったシンティラは恥ずかしくなって、狼姿のロスをもふもふと抱きしめながら、打ち拉がれていた。 欠伸をしてされるがままになっていたロスは、カノンを追っている最中に岩場にぶつかったシンティラの額が赤くなっていることに気づく。 魔法を唱えたりするのは得意なカノンだったが、魔法を解くこと事態は全くできなかったため、彼女の魔法を解くためには魅力された相手にダメージを与えたりする必要があった。 この日を境に、クローネ鍾乳洞で起きていた不思議な現象はぴたりと止んだ。 「私と遊んで下さい!」 しかし、浄化師達がクローネ鍾乳洞を訪れると、決まってピクシーの少女が寄ってきたという。
|
||||||||
![]() |
![]() |
![]() |
*** 活躍者 *** |
|
![]() |
|||||||||||
|
| ||
[7] 杜郷・唯月 2018/07/31-21:40
| ||
[6] リコリス・ラディアータ 2018/07/31-09:48
| ||
[5] ロス・レッグ 2018/07/31-06:27
| ||
[4] シュリ・スチュアート 2018/07/31-05:03
| ||
[3] リチェルカーレ・リモージュ 2018/07/29-21:09
| ||
[2] 明智・珠樹 2018/07/27-09:05
|