~ プロローグ ~ |
ある日の昼下がり、とある浄化師の2人が教皇国家アークソサエティのエトワール地区にあるピットーレ美術館を訪れていた。 |
~ 解説 ~ |
美術館の講座でお互いの絵を描きましょう、というエピソードです。 |

~ ゲームマスターより ~ |
はじめまして! |

◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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★描画 絵なんて描くの久しぶりな気がするわ、多分 下手っぴにならないといいけど 碧希君は……わんこっぽい感じよね ふわふわの髪もそうだけど、こう……雰囲気? ポメラニアンかしら、ラージサイズの ★完成 うん、何とか見れる筈 (ややデフォルメ画風、出来はまあまあ) 碧希君はどんな、……(一瞬真顔) 何か猫っぽい顔してるけど、それ私……? (髪が長い以外凡そ自分には見えない絵 けれど彼なりに精一杯描たのが伝わり怒れず 寧ろ何だか微笑ましくなり思わず笑み) あはは、ごめんなさい でも何だか和んじゃって (浄化師の事も、自分の事さえも、まだよく知らない それでもこうして笑い合える友達がいるから、怖くない) これからもよろしくね、碧希君! |
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・講座自体は嬉しい、生身の方を描くのは初めて 絵の講座…! わ、わたし…これまで 写真を参考にしか人物を描いた事がなくて… ちゃんと描いてみたい…です… ・いつもハイテンションな彼が静かで意外 ・改めて彼を見てこれが残念なイケメンなんだなと思う (静かに描いてる…。 こうして改めて見てみれば…彼はイケメンの方…ですよね。 言動で損してる方って、こう言う方の事なんでしょう) ・描き終えてお互いの絵を見せ合う ・彼の絵はなんと言えば良いのかわからず ふぅ…それなりに描けてると良いのですが…。 そ、そんな事ないです!!きっとまぐれですから…。 瞬さんは…その、独創的…ですね? もしかして…苦手でしたか? …瞬さんは…凄いです、ね。 |
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ジョシュア、うんとかっこよく描くね! 描く前はこうやって、手で窓を作って相手を見ると上手く描けるんだって あれ?これって距離図る方法だったかなあ。 まあいいや、プロの絵描きさんもやってるよね、きっと。 そういえば、ジョシュアってどうして片目だけ色が違うの? …うーん、その言い方するってことは覚えてないってことね 壮大な理由を語りだしたらそれは適当言ってるんだって、覚えたわ。 最後らへん雑になってたけど。 ジョシュアの絵はどうなってるのかな? すごい!絵とても上手! あたしの絵はねえ、先生に褒められちゃった、筆さばきに迷いがないって。 はい、じゃーん!どうどう? 上手い?ありがとう(照) |
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●目的 お互いをマジマジ観察したり、明智が絵の心得があることを千亞に見せたい ●会話 千亞「たまには絵を観るのも良いな」 明智「美しいものを見ると心がゾクゾクいたします…!(恍惚)」 (新人画家さんに誘われ講座を受講) 明「…ふ、ふふ。千亞さんを描けるなんて幸福ですね…!(うっとり)」 千「…な、なかなか思い通りに描けないものだな」 ●描 明「あぁ、千亞さんのその愛らしい瞳…!長い睫毛が美しく縁取って愛苦しい…! 艶やかな唇に血色の良い肌、美しく輝きを放つピンク色の髪…!ハムハムしたいです、ふふ…!」 千「黙れ」 明「あぁ、蔑む瞳すら美しい…!(はぁはぁ)」 千「黙れド変態」 明「(黙って恍惚)」 千「もう嫌だこんな相方」 |
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~ リザルトノベル ~ |
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絵画講座に興味を持ち、いざイーゼルを前にして木の丸椅子に腰掛けると、朱輝・神南は途端に自信を失くす。 「絵なんて描くの久しぶりな気がするわ、多分。下手っぴにならないといいけど」 と、苦笑いをこぼす。 多分、と言ったのには訳がある。 彼女には、自分がどこで生まれて今までどんなことを経験してきたのか、それらの記憶が一切ない。 自分自身について知っているのは、「神南朱輝」という名前のみ。 一応、年齢相応の一般教養は身についているので、きっと今までどこかで普通に暮らしていたのではないかとは思うのだけれど……。 対照的に、碧希・生田は楽観的な笑顔。 「俺はよく絵描いてたよ〜。外で遊びたくても出れなかったから」 彼も、閉鎖された集落で幽閉同然に世間と隔離されて育ったという特殊な生育環境の過去を持つ。しかしそれを悲観的に捉えることなくさらりと言ってのけるのは、彼の無垢な性格故なのだろう。 「さあ描くぞ!」 子供のように腕まくりをする碧希の姿に、朱輝はくすりと笑んで自分も木炭を手に取った。 碧希の笑顔は、見ているこちらにも元気をくれる。 基本は相手の顔をよく見ること、という講師の言葉に従い、朱輝は碧希をじっくりと観察しながら手を動かす。 (碧希君は……) 朱輝の視線に応えるように、碧希の瞳がくりっとこちらを見つめ返す。 (わんこっぽい感じよね。ふわふわの髪もそうだけど、こう……雰囲気?ポメラニアンかしら、ラージサイズの) 朱輝は自らの考えにふむふむと頷きながらイーゼルに架けられた木製パネルに線を描き加えていく。 「朱輝はー……」 碧希も少しだけ考えるそぶりを見せてから、にこっと笑う。 「赤い、それから髪が長い!」 そして、しゅぱーっと豪快にパネルの上に木炭を走らせた。 描きながら、ちらりと朱輝の顔を見る。 (あと何か猫っぽい気がするんだよな) 人間だけど、身軽でふらっと何処かに行ってしまいそう。そんな雰囲気を纏っているように見えるのは、朱輝が過去の記憶を持たないせいだろうか。 朱輝のパネルには、ややデフォルメされた画風の碧希が出来上がっていく。 (うん、なんとか見れる筈) 流石に画家並みとはいかないけれども、碧希のわんこ風味をうまく出せた出来栄えの絵が完成した。 朱輝が自分の絵に満足そうに唇の端を上げていると、 「出来た!」 と、碧希が両手を掲げ満面の笑み。 「碧希君はどんな、……」 笑顔で碧希のパネルを覗き込んだ朱輝から、瞬時に表情が消え去った。 「……?」 真顔の朱輝に、碧希は理由が分からず首を傾げる。 朱輝は非常に言いにくそうに、口を開く。 「何か猫っぽい顔してるけど、それ私……?」 遥か東の国には、猫又だとか猫娘だとかいうモンスターがいると云う。もしかして、それなのかもしれない。が。 「朱輝だよ、朱輝!」 似てるでしょう?と言わんばかりに、碧希はパネルを掲げて朱輝に絵を見せつける。 「ほら!」 と、ご丁寧に絵の端に「A.K.」と朱輝のイニシャルを書き足した。 髪が長い以外凡そ自分には見えない絵である。 しかし、彼なりに精一杯描たのが伝わってくる絵だ。怒れるはずもない。 寧ろ何だか微笑ましくなり思わず笑みが零れる。 「あっ笑った!?」 碧希は目を丸くしてから、すぐにむぅと唇を尖らせた。 「もー……酷いなあ」 「あはは、ごめんなさい。でも何だか和んじゃって」 「……和む?」 碧希は今度は目をぱちくり。 「ん、何かよく解んないけどよかった!」 朱輝が笑ってくれているのなら、それでいい。 碧希はにかっと笑ってみせる。 (浄化師の事も、自分の事さえも、まだよく知らない。それでもこうして笑い合える友達がいるから、怖くない) 朱輝は碧希の笑顔と絵画にしばし見入った。 (朱輝って偶にぼーっとしてる時があるよな 記憶がないって言ってたけど……) 碧希はじっと絵を見る朱輝の様子に、彼女の境遇を思い出す。 (でも今は、同じぼーっとするでも何か満ち足りた顔だ……うん、俺はこの方が好きだな。やっぱり友達には笑ってて欲しい) 碧希は目を細め笑みを深めた。 不意に朱輝が顔を上げ、口を開く。 「これからもよろしくね、碧希君!」 「……? うん、勿論!」 突然改まってそう言われ、碧希は一瞬きょとんとするも、すぐに笑顔を返す。 「俺の方こそ、よろしくな!」 ● (絵の講座……!) 絵画講座、の文字が書かれた看板に唯月・杜郷は自然と足が止まり目は釘付けになった。 急に足を止めたパートナーに、瞬・泉世は小首を傾げつつ彼女の顔を窺う。 いつも自信なさげな表情が、今はきらきらと瞳を輝かせているのを見て、瞬も唇の端をあげる。 「面白そうだね〜、参加してみよ〜?」 唯月の肯定の返事を待たずに、瞬は「よろしくお願いしま〜す」と会場内に入っていく。 「あ、あの……、まだ、行くとは言ってな……っ」 唯月はわたわたと彼についていった。 イーゼルを前に唯月は居心地悪そうに座っている。 瞬はのんびりとした声で言う。 「いづがね、すっごくキラキラした目してたから。やってみたいのかなぁって来てみたのー!」 その言葉に、唯月は居心地の悪さからあちこちに泳がせていた視線を瞬に固定する。 瞬が自分のことを考えてくれていることに気付いたから、きちんと返事をしなければ。そう思ったのかもしれない。 絞り出すように声を出す。 「わ、わたし……これまで、写真を参考にしか人物を描いた事がなくて……」 1人の部屋で、日が落ちて暗くなっても筆を動かして。何枚も何枚も描いてきた。 でも、それは全て我流のものだった。 「ちゃんと描いてみたい……です……」 少し頰を赤らめ素直な心情を告白する彼女に、瞬は笑みを深めた。 「いづとね、もっと仲良くなりたいから俺も頑張るねぇー!」 ぐん、と一度腕を伸ばして気合を入れて、瞬は絵画用の木炭を手に取る。 「は、はい……わたしも……」 頑張ります、と口の中だけで言って、唯月も木炭を握る。 相手をよく見て。構図を考えて。大まかな輪郭を描いて、それから。 時折講師である画家のアドバイスを受けながら、2人は線を描いていく。 「うーんとー」 瞬はじーっと唯月を見つめる。 (栗色のショート……翡翠の瞳に……鼻背と頬のそばかす……) 唯月の特徴ひとつひとつを確認していくうちに、段々と口数は減りついには無言になった。 (決して……他人にとっては美人ではない子だけれど。契約の時、どうしようもなく惹かれた顔だ) 瞬は契約した時の唯月の顔を思い出す。 (……どうしてかは……まだわからない) 神妙な面持ちになった瞬を、唯月は顔には出さないが、意外だ、と思っていた。 (静かに描いてる……) いつもハイテンションで能天気でにこにこ。そんな彼が真剣な顔で絵を描いている。 (こうして改めて見てみれば……彼はイケメンの方……ですよね。言動で損してる方って、こう言う方の事なんでしょう) これが残念なイケメンなんだな、と妙な納得をしてしまう。 パネルの上に描かれた瞬は、なんだかいつもより男前であった。 ひと通り描き終えて、唯月は息をついて木炭を置く。 「ふぅ……それなりに描けてると良いのですが……」 唯月が木炭を持っていた手を揉みほぐしていると。 「俺も描けた描けた!」 元の能天気な笑顔が戻ってきた瞬も声をあげる。 「ねーねー、見せ合いっこしよ〜」 瞬が自分のパネルを持ち上げたので、唯月もパネルを瞬に向ける。 唯月の絵を見た途端に、瞬は喜びと驚きの声をあげた。 「わあ!すっごくじょーずー!えへへ~ありがとー!」 独学とは言え経験を積み基礎が出来ている唯月の絵に、相好を崩して喜ぶ瞬。 「そ、そんな事ないです!!きっとまぐれですから……」 手放して褒められることには慣れてない。唯月は大慌てで手を胸の前でパタパタと振る。 「俺はー……こんな感じー!」 くるりと唯月に向けられたパネル。 (あー……) 唯月は何かを察した。 「瞬さんは……その、独創的……ですね? もしかして……苦手でしたか?」 「……へへ……ちょっと、ね」 気まずそうに頭の後ろを掻く瞬。 この人は、自分は苦手なのにわたしが喜ぶだろうと思って講座に参加してくれたんだ。 わたしなんかのために。 そう思うと唯月は申し訳なくなった。 それでも瞬は。 「でもね、いづが楽しそうで良かったよ!」 そう言って屈託無く笑う。 「……瞬さんは……凄いです、ね」 唯月の口から自然とそんな言葉が漏れる。 この人はきっと、ただ明るいだけの人じゃないんだと、そう思った。 ● シンプルな木炭画といえど、本格的な絵を描くなんて滅多にない経験だ。 わくわくしながらベアトリス・セルヴァルはイーゼルに向き合う。 「ジョシュア、うんとかっこよく描くね!」 弾む声で言うと、ジョシュア・デッドマンは落ち着いた笑みで 「ああ、イケメンに描いてくれ?」 と答える。 「描く前はこうやって、手で窓を作って相手を見ると上手く描けるんだって」 どこかで聞き齧った知識なのだろう。ベアトリスは両手の親指と人差し指をぴんと伸ばしてカギカッコの形にし、それを合わせて窓を作る。 片目を瞑って窓越しにじーっとジョシュアを眺めた。 窓越しのジョシュアが訝しげな顔をする。 「窓作るんだっけ?」 「あれ?これって距離図る方法だったかなあ」 「確か鉛筆を構えるんじゃなかったか」 と、ジョシュアは鉛筆を握って眼前に出すポーズを取る。 「……」 どちらにしろ、2人とも絵画の専門知識はないわけで。明確な答えは出ない。 「まあいいや、プロの絵描きさんもやってるよね、きっと」 あっけらかんと笑うベアトリスに、 「適当だな、楽しそうだからいいけど」 と、ジョシュアは肩を竦めた。 そう、楽しめるのが何より大事だ。 「そういえば、ジョシュアってどうして片目だけ色が違うの?」 パネルの上に木炭を走らせつつ、ベアトリスの視線はパネルとジョシュアの間を行ったり来たり。 ジョシュアを観察しているうちに、自然とそんな疑問が口を突いて出た。 「ん、私の目?…そうだな」 突然の質問に、ジョシュアは一瞬手を止める。 そして、彼の口から流れるように言葉が溢れて出てくる。 「死ぬ前に、地上の半分を荒廃させたと謂れのある使徒を封じるために魔力を使い切ったら片目がこんなになってて」 「……」 ジョシュアのあまりにも流暢な語り口に、だんだんとベアトリスの目がじとーっと半眼になっていく。 (……うーん、その言い方するってことは覚えてないってことね) 「壮大な理由を語りだしたらそれは適当言ってるんだって、覚えたわ。最後らへん雑になってたけど」 すぐに作り話と判断されるだろうことはジョシュア本人だって百も承知。 「あはは、多分子豚が気にするような大した理由じゃない」 と、朗らかに笑う。 場が和んだようで、それから2人は絵を描きつつも、今日の朝ごはんは何だったとか、天気の話だとか、他愛のない会話を続ける。 話しながらにしては上手く描けた、と、ジョシュアは自分の絵を見て思った。 ジョシュアの絵は、少ない線で相手の特徴を描くよう心がけたものだった。 ざかざか描くと修正利かなくなるだろうし、と思ってのことだ。 すっきりと描きあげられた絵は見やすく親しみのある出来上がりであった。 「ジョシュアの絵はどうなってるのかな?」 既に描き終えたのであろうベアトリスがジョシュアのパネルを覗き込んでくる。そして目をキラキラさせて感嘆の声をあげた。 「すごい!絵とても上手!」 こんなに真っ直ぐに褒められるとジョシュアも悪い気はしない。 「どれ、子豚の絵は……」 どんな出来だ? とジョシュアが言い終わらないうちに、ベアトリスが胸を張って言う。 「あたしの絵はねえ、先生に褒められちゃった、筆さばきに迷いがないって」 絵そのものに対する褒め言葉ではないところに不安を覚える。 「はい、じゃーん! どうどう?」 くるりとパネルをこちらに向けられて、ジョシュアは無表情になる。 「……そうか、あー」 第一声はそれしか言えなかった。 褒めて褒めてと言わんばかりのベアトリスが持つパネルに描かれていたのは。 毬栗? そんなようなものに。手足?みたいなものが生えていて。 絵を描く前に聞いた「かっこ良く描くね!」の言葉が今は遠い昔のことのようだ。 しかし。ジョシュアは描いている最中のベアトリスの表情を思い出し微笑む。 (真剣に描いてたし、態々指摘することじゃないか) 「……上手く描けてるじゃないか」 ジョシュアは優しくベアトリスの頭を撫でる。 「上手い? ありがとう」 照れたベアトリスはくすぐったそうに笑った。 ● 日々の喧騒から離れ、ゆっくりと芸術作品を鑑賞する。そのひとときはまるで心が洗われていくようで。 「たまには絵を観るのも良いな」 白兎・千亞は満足げな吐息をつく。 「美しいものを見ると心がゾクゾクいたします……!」 斜め後ろを振り返れば、明智・珠樹が恍惚の表情で細身の身体がさらに細く見えるほどに身を捩り悶えている。 見なかったことにしよう。 千亞は無言無表情で顔を前に戻すと、すたすたと歩みを進める。 その時、柔和な声音が千亞にかけられた。 「もうお帰りですか?せっかくですから、絵画講座を受けていかれませんか?」 声の主は千亞と目が合うと、自分は駆け出しの画家で今日は講師を務めさせていただいておりす、と自己紹介した。名乗った名から、彼が今回目当てにしていた新人画家本人であると知り、千亞は講座におおいに興味をひかれた。 と、そこへ、千亞の背後からしゅるんと顔を出してきた珠樹が 「良いですね、参加してみましょう」 と乗り気の返答だったため、2人揃って受講する運びと相成った。 ひと通り新人画家からコツを聞き、2人はそれぞれ絵を描き始める。 「……ふ、ふふ。千亞さんを描けるなんて幸福ですね……!」 うっとりしつつ絵画用の木炭を自在に操る珠樹と対照的に、千亞はどんどん眉根に皺が寄っていく。 「……な、なかなか思い通りに描けないものだな」 千亞がうまく描けない理由は、絵画能力によるものだけではないのかもしれない。 「あぁ、千亞さんのその愛らしい瞳……! 長い睫毛が美しく縁取って愛苦しい……!」 視線を絵から千亞の顔へと移す度に、珠樹の口からは賞賛の声が溢れる。しかもだんだん呼吸が荒くなっていく。 「艶やかな唇に血色の良い肌、美しく輝きを放つピンク色の髪……! ハムハムしたいです、ふふ……!」 胸を押さえて天を仰ぐ。もう最高潮!な様子の珠樹に千亞は表情を無くした顔で言い放つ。 「黙れ」 「あぁ、蔑む瞳すら美しい……」 はぁはぁと激しい息遣いで、たまらんとばかりに自分の身を掻き抱く珠樹。 「黙れド変態」 「……!」 珠樹はびくんと身を震わせると、すふーすふーと鼻で荒い呼吸をし、恍惚の表情できゅううううーと身体を捩る。 千亞の指示通りに口は噤んだ、だが黙っていても鬱陶しい。 「もう嫌だこんな相方」 千亞はぎゅっと木炭を握りしめた。 「どうですか、何かお困りなことはありませんか」 コツコツと画家の足音が近づくと、珠樹はしゅっと姿勢を正し、紳士然とした態度に変わる。 その変わり身の早さに驚きつつも、千亞は「輪郭はこんな感じでいいでしょうか」と助言を仰ぐ。珠樹も「構図に悩みますね」などとアドバイスを受けつつ、2人はいつしか口数も少なく絵に集中していった。 いつも笑顔を湛えている珠樹が、滅多に見せない真剣な眼差しで千亞を見つめる。 (珠樹って……黙っていれば、格好いいんだよな……) 先ほどまでのド変態言動も忘れ、千亞はついついそんなことを思ってしまう。 「なんとか描けた……」 千亞はふーっと息をつく。我ながら、子供のお絵描きレベルだとは思うものの、ひとまず完成だ。 すると、しゅるっと首を伸ばすようにして、珠樹が千亞の絵を覗き込む。 「わわっ」 慌てて絵を隠そうとする千亞だが。 「千亞さんの描く私、とても私らしくて好きです」 と、笑顔を見せる。その心からの笑顔で、珠樹の言葉に嘘偽りはないのだと伝わった。 「私も描けましたよ」 珠樹が自分のパネルに手をかける。 珠樹のことだ、変態的な絵である可能性も考え、千亞は一瞬緊張する。が、すぐにその緊張は解けた。 「……悪くはない、な」 (……なんだ、意外とまともな絵を描くんだな) 木炭の質感を活かした温かみのあるタッチで魅力的な千亞が描かれていた。 珠樹は過去の記憶がないと言うが、絵画の心得はあるようで、千亞は思わず感心する。 「絵を描くこと、とても楽しいです。また千亞さんを描かせていただきたいですね、ふふ……!」 「……まぁ、描かせてやってもいい、けど」 千亞は頰を赤らめ答える。 言い方は変態的であったがたくさん褒められたのは正直悪い気はしなかったし……。 「ではぜひヌード姿を……!」 恍惚とした表情の珠樹に、千亞はくわっと口を開け叫ぶ。 「前言撤回!」
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*** 活躍者 *** |
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該当者なし |
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[5] 明智・珠樹 2018/03/24-22:16
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[4] 朱輝・神南 2018/03/23-20:33
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[3] ベアトリス・セルヴァル 2018/03/23-00:15
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[2] 唯月・杜郷 2018/03/23-00:10
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