~ プロローグ ~ |
おんなのこはなんでできているの? |
~ 解説 ~ |
ということで、このシナリオは男性・女性によってやることが異なります。 |

~ ゲームマスターより ~ |
いろいろとありまして、女子会って素敵だよね? ということに至りまして、このシナリオになりました。 |

◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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◎ 雲羽 昼 女子達が買い物してる間に掃除 ついでに柄の長い掃除用具拝借 怪しまれたら 実は皆アウトドアで星空男子会と洒落込むつもりなのさ♪楽しそうだろう? 僕はこれで華の無い男所帯に彩りを添えるマスコットを作るのさ♪ あ、ただ灯りとかも使うから一階のカーテンは全部閉めてもらえると嬉しいかな? 女子会本格準備に入ったら外へ 拝借した掃除用具に縄を通したランタンを括り付けランタンだけが見えるようにフード付き雨合羽を被せ案山子作成 夜 警備水増し案山子を要所設置 ランタン持って巡回する際は皆に合わせる 魔力探知で魔術師の魔力が視れないか試す 探知出来たら罠の方に向かうか違う方向から向かってきた場合皆に知らせる 捕縛は熟練の人任せ |
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一緒に楽しい思い出が作れるようにすればいいのよね がんばるわ 買い物係 人数分のパジャマや飾り、お菓子等 リコリスちゃ… リコちゃん これ似合いそう 髪飾りと同じ色のリボンよ そういえば…シリウス、男の人達この後どうするの? 応えに笑顔 シリウスもお友だちと楽しく過ごしているのね 屋敷に戻れば 飾り付けの手伝い シアちゃんにお花をもらって飾る かくれんぼではレオノル先生の腕をひしっと抱いて 袖のふんわりとした白のネグリジェ着用 水色のリボンが胸元に 女の子のために ピンクのリボンをティーセットの横に置く 皆で髪を結いあったり 好きなものの話をして過ごす 最初は音や歌にびくり でも慣れてくれば ここに彼女がいるんだわと笑顔 一緒に歌を |
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外って?…変なトール とりあえず準備よね、男性陣もお手伝いよろしく 買い出し係 装飾や食べ物、飲み物、料理の材料等 女子会にふさわしい可愛いパジャマをこの機会に買いましょう リチェの選んだネグリジェ、可愛い…私も色違いで買おうかしら? それとあの、呼び名…リコ、でいいわ…(照れ) 夜 お料理は苦手だから、できる人にお任せ 出来上がりをわくわく待つ 女子会、開会ね まずはお茶とお料理やお菓子を楽しむ 一息ついたらかくれんぼ開始 途中、不思議な声を聴いたり現象が起こったりしたら …ううん、今日は機嫌がいいから警戒しないわ 思わず歌を口ずさんだりしたら、すぐに見つかっちゃうかも パジャマに着替え夜通しお喋り 皆はどんなお菓子が好き? |
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女子会 目的 呪いの浄化 呪いの元の女の子に楽しんでもらう 女子会の中身は、かくれんぼとパジャマパーティ(お茶とお喋り)? 準備は掃除を。 お屋敷全部を掃除するのは大変そうだから。 パーティをする場所は丁寧に、かくれんぼする範囲を大まかに? ついでに、かくれんぼで隠れる場所を探す。大きめの戸棚の上とか? 買い物に行く人たちに、わたしの分のパジャマも買って来てもらえないかお願い。 任せる、から…。 パーティの時には、呪いの元の女の子の分の席とお茶やお菓子等も置く。 お喋りは…、ええと、聞いててもいい? わたし、女子会って初めてだし…(浄化師にはそういうひと多そうだけれど)。 マリオスは、アウトドア…? |
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女子会…話に聞いたことはあります、けど、体験するのは初めてです… (表情には出ないもののワクワクが目に現れて このお屋敷の女の子にも、楽しんで貰えるように… まずはお掃除ですね 大きな家具はクリス達にお願いして動かして貰って 全部ピカピカに磨き上げましょう 終わったらお庭からお花を摘んできて、窓辺やテーブルの上に飾って キッチンが使えるなら、クッキー焼きたいです お屋敷の探検やかくれんぼも、楽しそうです もし女の子がいるなら…案内して貰えないでしょうか お友達に、なりたい、です(闇属性だからか幽霊とか平気 買って貰ったパジャマを見て藤色のリボンのを選び かわいい…(ほぅっと溜息 楽しくていつもよりも多少口数が増えてます |
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◆ローザ こ、こういう集まりには初めて参加するので何だか緊張するな あくまで除霊の為…指令だからな。全力で取り組もう …女子会、かぁ(そわ ◆日中 掃除を手伝おう 風が通れば、幽霊屋敷の雰囲気もどこか爽やかに…なった気がする ◆会の準備 香水の蓋を開け、ウッドスティックを刺しアロマ替わりにしよう 少し、緊張が解れてくる気がするな ◆女子会! かわいい恰好をして人前に出た事がなかったから…変じゃないだろうか? 皆の話は参考になる かくれんぼも、童心に返って楽しもう こんな風に女の子と遊んだ事は、なかったな 寝る前は、楽しかったという素直な気持ちを皆に伝えたい きっと、とても楽しい夜になるだろう ◆女子会用に教団に寝具一式を申請 |
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女子会…なんだか、素敵な響き…! 昼: お屋敷のお掃除 全部に手が回らなければ女子会する部屋とキッチンを重点的に 女子会はテーブルセットがあって、全員が足を伸ばせるくらいの広い部屋で 女の子の部屋がそのくらい広ければそこがいいわね 部屋は綺麗に飾り付ける 花を飾る花瓶も探すわ 夜: キッチンが使えたら皆でお菓子を作りたい といっても、わたしが作れるのは簡単なものだけど 買ってきてもらったパジャマに着替えたらお菓子やお茶と一緒にお喋りを楽しむ こういうの、初めてで緊張するけど…素直にこの時間を、楽しみたいわ カメラを皆も使えるように近くに置いておく 楽しい時間の思い出残せたらって思って 女の子も一緒に、楽しんでくれるといいな |
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ドクターが子猫のように怯えてるぞ… サロンと勘違いしている気がするが俺には訂正できない… 買い物担当、荷物持ち ドクターのお友達と一晩過ごすんですから怖い筈ないですよ 落ち着いてきたところでドクターの好きなお菓子を買う クッキーがお好きなんでしたっけ? 男性陣の食料も調達せねば 日が沈むまでにスコップで地面を掘り、麻袋と土で穴を隠して落とし穴に 偽装アビで誤魔化せるか…? 襲撃に備え木の上で待機 ドクターに気づかれないようにメタルフィストを装備 敵が来たら飛び降りて首を絞めて落とす 他の連中も闇に隠れて殴り飛ばす これなら死ぬ心配はないだろう さあ野郎同士楽しい殴り合…いや、ダンスパーティーと洒落込もうじゃないか? |
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~ リザルトノベル ~ |
長らく放置されていた屋敷の大きな扉を一番のりの『空詩・雲羽』が力いっぱい押し開けると、埃が舞い、隣にいた『ライラ・フレイア』が小さく咳き込んでしまった。 「これは中々……」 「掃除が必要みたいね」 『トール・フォルクス』が片眉を持ちあげるのに『リコリス・ラディアータ』も渋顔を作る。 「やることがいっぱいそうだね、シィ」 「そうみたい」 『マリオス・ロゼッティ』の声に周囲を見回す『シルシィ・アスティリア』の宝石色の瞳が輝く。 予想以上の大きさと汚れに教団から借りた寝具一式を運ぶ『ローザ・スターリナ』、『ジャック・ヘイリー』と、その手伝いをする『ロウハ・カデッサ』、『シュリ・スチュアート』も玄関前に立つ。 一方。 「女子会って怖いんでしょ? 上流階級の付き合いあったけど仁義なき腹の探り合いだったよ!? 旦那に不満はあるけど虚栄心の強いマダムが集まってて怖かったんだもん……」 「レオノル先生、それは……たぶん、違うと」 「そうですよ。おばけ屋敷……ううん、ううんっ!」 子猫のように怯える『レオノル・ペリエ』にしがみつかれ『ショーン・ハイド』は『アリシア・ムーンライト』と『リチェルカーレ・リモージュ』に助け求めた。 (サロンと勘違いしている気がするが俺には訂正できない) そりゃそうだ。 「大変だね」 と『クリストフ・フォンシラー』。 その横では顔色の悪いリチェルカーレを心配そうに一瞥する『シリウス・セイアッド』がいる。 彼女がお化けが苦手なのは知っている。 (怖いならなんで依頼を受けたんだろう。報告書の少女の境遇「だけ」読んで、他の情報が抜けたんだろうが) 昼間のうちに掃除と買い出しを終わらせるため、すぐに作業分担と買い物リストを全員で協力して作成する。 すぐに各自が動き始めた。 「女子会……なんだか、素敵な響き……!」 シュリが掃除をしながらもつい言葉を漏らす。 「そうですね……大きな部屋もあってよかった、です」 とアリシアも普段よりもずっと大胆に言葉をかけていく。 今回は八人が泊まるので、ざっと下見をして、シュリが全員が足を伸ばせる一階の大広間にしたいと希望を出すと全員賛成した。本当は女の子の部屋にしたかったがそこは狭いので八人も入れないから諦めた。 またシルシィが屋敷全部は全員で掃除をしても間に合わないので泊まる場所と鬼ごっこをする場所だけ――今回は一階のみと決めて掃除を開始した。 クリストフとロウハが二人で協力してソファを端へと動かして、広間の中央に空間を作る。 「広い、広いホールのなかで踊るよ、たのしく、はねるよ妖精が」 楽しそうに歌いながら箒であっちをさっさ、こっちをさっさとダンスのステップを踏み、一人お祭りが始まるような陽気な雰囲気を醸し出す雲羽。 トールは身軽さを利用して天井から吊るされたシャンデリアや高い窓を拭いてくれるのでどんどんきれいにして、部屋の日当たりをよくしていく。 (んー、窓からは……侵入できそうだよな。裏口はキッチンあったしな) 高い所は見晴らしがいい。どこから侵入するのか予想しやすいのでトールはせっせっと手を動かしながら頭に叩き込んでおく。 「花瓶はあるかしら」 「花を……飾るんです、ね? いいですね。キッチンに……行ってみますか?」 シュリとアリシアがキッチンに顔を出すと埃はきれいに掃われ、ぴかぴかに磨かれている。 ふぅとシルシィが息をつく。 「こっちはだいぶ終わったわ」 「キッチン……使えそうです、ね」 「花瓶は、あるかしら?」 「使えそうなのが棚にいくつかありましたよ」 マリオスがキッチンの上の棚かに透明な花瓶を二つ、三つと取り出してくれた。埃をかぶっているが、洗えば十分使えそうだ。 広く、ぴかぴかになった部屋に寝具や持ち込みの道具をジャックにロウハ、クリストフが運び込む。 屋敷の窓という窓を開けて新鮮な空気をいれていったローザは使わない二階の窓を閉めていく。 「あ、あの」 「なにかな?」 アリシアにローザは微笑む。 「ここは、女の子の部屋、だそうです。それで、よかったら、これを」 「お部屋で女子会出来ないから」 「小さなお皿を見つけたの」 シュリとシルシィがキッチンで見つけた白いお皿を差し出す。 ローザがよかったらアロマか、香水を使用して皆の気持ちをリラックスさせたいと掃除の前に口にしていたのを覚えていたのだ。 「女の子にも」 シュリが微笑みかけると意図を理解してローザは頷いた。 「ここにも香水を少しだけ置いておこう。女の子の気持ちを少しリラックスさせられるかもしれない」 「はい……ありがとうございます」 優しい香りが部屋を満たした。 「……スターリナの奴は浮かれに浮かれてやがるな」 「いいんじゃないかな? とっても楽しそうだよ」 荷物を運び終えたジャックが凝った肩をほぐすように大きく回すのにクリストフは目を細めた。 夜のことを考えて、今からそわそわしているアリシアを眺めるのはとても楽しい。 「リコも張り切ってるし、こっちは一階はばっちり。そっちは?」 「二階の下見はした」 短くジャックが頷く。 「今の内にざっと見取り図に書いておきますね。買い出し組もそろそろ帰ってくる頃ですね」 「僕の可愛いお人形さんも戻ってくるころだね、きっと楽しいパーティによるよ! 今からわくわくする」 「そうだね。さて、男子会の用意もしないとね」 ● ライラは奮闘していた。 今回はお泊りがあるので女性陣全員のパジャマが必要だ。問題は雲羽と旅を続けていたせいで多少、いや、かなり逞しい自覚があるので、可愛いものへのセンスが心もとない。 「……かわいい、パジャマ」 リコリスもまた唸っていた。世が世なら女子会を謳歌している世代なのだが浄化師になるとそれもままならないため、経験不足を感じる。 「難しいですね」 「そうね。けど、大丈夫よ。ここにはそういうのを選ぶセンスのいい人もつれてきたんだから」 「センスのいい人ですか?」 「そうよ。リチェはなにがいいと思う?」 「私が選んでいいの?」 リチェルカーレが小首を傾げる。 「参考にさせて」 「お願いしますね」 「一緒に楽しい思い出が作れるようにすればいいのよね? がんばるわ。レオノル先生も一緒に選びましょう?」 「ドクター、呼ばれてますよ。ほら、ドクターの好きなクッキーですよ。指令が終わったらまた買ってきますから、ドクター、ドクター、お願いですから返事をしてください」 「クッキー……ショーンも一緒に選ぶのに来るかい?」 「ドクター、無茶を言わないでください」 「どうして?」 「……」 リコリス、ライラ、リチェルカーレがいるのは女性向けの店である。周りは上等の布で出来た可愛らしいパジャマやアクセサリーなどが置かれ、きらきらした雰囲気が男子禁制オーラを放っているように見える。 「俺たちは食糧の買い出しにいかないとな」 「残念ですが、時間もありません。ドクター」 助け船を出してくれたシリウスに心の底から感謝する。 「そうか……計算のときは任せて」 クッキーで機嫌が直ったのもあり、そそくさと女の子たちのなかにはいっていくレオノル。 「助かった。男性陣の食料も調達せねば」 「マリオスから頼まれている夕飯は……温める程度でいいものだったな」 「リチェの選んだネグリジェ、可愛い。この色違いにしようかしら」 「いいですね。色違いを買って好きなのを選んでいただきましょうか?」 幸いにもパジャマは人数分ありそうなので、ライラが店員にお願いして色違いのものを包んでもらう。 小物のコーナーをぼんやりとリコリスが眺めているとリチェルカーレがいいものを見つけた。 「ふふ。これ似合いそう 髪飾りと同じ色のリボンよ」 「え、あ……ありがとう。それとあの、呼び名……リコ、でいいわ……」 照れて頬をかくリコリスにリチェルカーレは甘く幸せな微笑みを浮かべた。 「レオノル先生のリボンも選びましょう」 「お願いするね」 素敵なパジャマや小物を選び、会計時はそろばんを持っていたレオノルが素晴らしい計算能力を発揮した。 大量の荷物を手分けして、とりわけ重たいものをシリウスたちが運ぶ。 「そういえば……シリウス、男の人達この後どうするの?」 リチェルカーレが不思議そうに問いかける。女子会の間、男子は御屋敷にはいれないのだ。 「……折角来たから、男連中はアウトドアで楽しもうとクリスが」 無表情でシリウスが口にする。決して嘘ではない。外で過ごすし、テントも張るし、ちょっとスリリングさがあるというだけだ。 リチェルカーレは零れるほどの笑顔を浮かべる。 「シリウスもお友だちと楽しく過ごしているのね」 買い出し係が戻ると部屋の飾りつけだ。 庭に咲く花をアリシア、シルシィが摘み、実家が花屋のリチェルカーレがきれいに花束にして花瓶に飾るのをリコリス、ライラ、レオノルが部屋のあちこちに置いていく。ローザは香り皿をそっとおく。 そのあと夕飯作りだ。 出来たらみんなで用意したいというシュリの提案で、八人で広いキッチンで作業することにした。 「わたしが作れるのは簡単なものだけど……」 シュリは本で女の子たちが楽しそうに食べていたお菓子を思い出して、今回再現することにした。 ライムのピクルスや砂糖漬けのすみれをクッキーの上へ、砕いたアーモンドのブラマンジェと鮮やかな色とりどりのジャム。チョコがほろ苦いジャファケーキ、カスタードがとろりと蕩ける甘さのメイズ・オブ・オナー。 ライラ、アリシア、リチェルカーレ、シュリが生地を作り、焼き加減の調節は計算能力の高いレオノル、リコリスが担当。ローザとルシルィはお皿を並べていく。 「レシピ……どれも簡単だけどおいしそうなもの、ばかりです、ね」 「はい。クッキーにチョコを塗ったりするのも楽しいです。……雲さんの顔を書いちゃいました」 「……クリスの顔を書きましょうか? 食べるの、少し、もったいない、です、ね。男性陣は外で男子会ですし……持って、いきましょうか?」 大目に焼いたクッキーにチョコを使い、それぞれ外で男子会に勤しむパートナーの顔を描く。 「この少し飛び出した所がケイリーの角みたいだ」 「トールの顔になったかしら? 今日少しおかしいのよね。まぁいいけど」 「マリオスらしく、できた?」 「ショーンの顔……?」 キッチンに甘い匂いと楽しそうな声が溢れていく。 今回男性陣はパートナーに受付で言われたように男子会と称して、庭の端っこでアウトドアをすると口にした。 外であれこれとやるので決して嘘ではない。ちょっとだけ危険なだけである。 昼間、掃除の手伝いを行って屋敷の予想される侵入ルートを把握したトール、ジャック、マリオスが見取り図に注意すべき点を記入し、それを全員が確認し、頭に叩き込む。 侵入経路の予想がある程度ついてしまえば、防ぐことはそれほどに難しいことではない。ただそのときに備えて迎え撃つ準備をするに越したことはない。 庭の草をマリオスは編んで結ぶ。これにひっかかってこけたら、少しだけ動きは止められるはずだ。 「ひっかかってくれるといいけど」 「うまくいくと思うよ! 終わったらこっちの手伝いもお願いしていいかな?」 「いいですよ」 雲羽はこっそり拝借した箒にフード付き合羽でかかしを作成する。 警備の手が少ないところに設置しておけば夜闇に騙されてこちらが用意したルートに相手を誘いこむことが出来るだろう。 日が暮れてしまうと罠が作りづらくなるので、シリウスとショーンは手分けをして用意したスコップで穴を掘り、麻袋と土と草で落とし穴をわかりづらくする。 「無理に大きくしなくていいんだな?」 「足が捕えられれば十分だ」 手伝いをするロウハが確認するのにショーンが言い返す。 全身を落とす穴となると時間はないが、片足でも補えられれば十分動きを遅らせることは可能だ。 「上々だな」 小さな穴をいくつも作ったジャックが額の汗を拭い、呟いた。 外で過ごす仲間のため、巡回の拠点にしてトールがテントを張る。 順番に休むことができるように大人数向けの大きなもので、中々に骨が折れる。穴掘りをある程度終わらせたロウハが手伝いにかかる。 「こうするとなんかキャンプみたいだよな」 「あっちは女子会だからな」 指令のはじめはかちんこちんに緊張していたシュリだったが、夕方からそわそわしっぱなしだった。 (お嬢、まだ人見知り治ってねーだろうしな。上手くやってるといいが……) 多少の心配はあるが、声をかけてくれるリコリス達のおかげで楽しそうな姿を遠目に見たので大丈夫だろうと安心もある。 「こっちの罠も設置が終わったよ」 クリストフがにこりと微笑む。 彼は釣竿の糸を出来るかぎり屋敷に張り巡らせ、それで木々の音がするトラップを設置した。 糸は切れやすいので足をひっかけるには心持たないが、木々にくくりつけたので簡単な警報がわりの役目は果たしてくれるだろう。 (女の子達が楽しむのを邪魔する無粋な輩はお仕置きしないとね) 「雲さーん、差し入れです!」 ライラの声が響き、準備を終えた男性陣は手をとめた。 大皿に乗ったクッキーである。 各々せっかくなので、作った似顔絵クッキーをパートナーに渡す。 「ありがとう。僕の可愛いお人形さん。わぁ、これは僕の顔かい? ふふ。かわいらしいな。見てくれ。この可愛いマスコット♪」 「かわいい? ……その、夜に見たら怖いかもしれませんよ、雲さん」 「華の無い男所帯に彩りを添えるマスコットさ♪」 雲羽のへんてこな提案はいつものことなのでライラはあまり気にしない。 「あと、僕のかわりにこれを。夜はカーテンを閉めておくんだよ。楽しみはちゃんと隠さなきゃ」 リュートを差し出されてライラは戸惑った顔をしたが、それでも受け取った。 「ヘイリー、そっちは」 「夜は俺達も好きにやる。外が騒がしくとも、気にせず女達で騒いでおけ」 つっけんどんな言い草だ。 「……これは看病の礼だ」 ローザはクッキーをジャックの手に乱暴に押し付ける。 「マリオスも楽しそうでよかった」 「うん。クッキー、ありがとう」 その横ではシュリが「本みたいなお菓子をいっぱい作ったのよ」とロウハに多少興奮気味に報告をしていた。 「このクッキーについている顔らしきものは?」 「ショーンの顔だよ。ショーン達はアウトドアかー、ここでダッチオーブンとかかな……いいなー……」 「ありがとうございます」 ● それぞれ選んだパジャマを身に着け、広げたふわふわのお布団。甘いお菓子と優しい味わいの紅茶。 少しばかり行儀悪く座っても、寝転んでもいい。 全員の分、そしてもう一つ、女の子の分も端っこに用意しておく。リチェルカーレが女の子のためにピンクのリボンを用意した。 リチェルカーレは白のパジャマに水色のリボンが可愛らしくついている。可愛さにアリシアがほんわかと見とれてしまうくらい素敵なパジャマだ。 「このリボン、素敵ですね」 藤色のリボンを手にとる。 「髪の毛、あとで結びますね」 とリチェルカーレが笑って言ってくれたのにアリシアは小さく頷いた。 「これ、おいしいわ!」 「こっちもおいしいですよ」 リコリスが目を見開く横でライラが目尻を緩ませる。 「女子会……話に聞いたことはあります、けど、体験するのは初めてです……」 「私もよ。こういうの、初めてで緊張するけど……素直にこの時間を、楽しみたいわ」 紅茶に甘いミルクを零して飲みながらアリシアとシュリは微笑みあう。 「ふふ、こういうのいいですね。そろそろかくれんぼをしましょうか?」 リチェルカーレが告げた。 かくれんぼはシュリが鬼だ。 「がんばって、見つけなきゃ……どこかしら? えっと……あっ! 見つけたわ!」 大きな戸棚の上にまるまっていたシルシィをシュリは見つける。 「すごいところに隠れたわね」 「けど、見つかっちゃった」 「一つひとつ確認していけば……」 シルシィがきょろきょろと見回していく。ソファの後ろ、テーブルの下、お布団のなか? 「みつけた」 「見つかりました!」 掃除道具いれに隠れていたライラが笑顔で出てくる。 リコリスは階段の下に隠れていた。 いつ見つかるかどきどきする。不意に耳に楽しそうな笑い声がしたのにはっとしたがすぐに力を抜いた。 (ううん、今日は機嫌がいいから警戒しないわ) かわりに口から歌声が漏れてしまう。 「見つけました!」 ライラがひょいと顔を出すとリコリスは降参とばかりに両手をあげた。 可愛い恰好をして人前に出たり、こんな風にはしゃぐのもローザにはあまり縁のないことだ。 指令だから全力で取り組むと決めた。 女の子らしいパジャマやお菓子を食べて、鬼ごっこだ。 香水の匂いに少しばかり緊張が解れた。 みんなにリボンやパジャマを選んでもらい、子供に返ったように心から楽しめた。 カーテンの後ろに隠れていつ見つかるかとどきどきする。 (こんな風に女の子と遊んだ事は、なかったな) 「見つけたわ!」 カーテンをひらいてリコリスが告げるのにローザは自然と笑っていた。 リチェルカーレとレオノルは二人で隠れることにした。 「何かいるね……?」 カンの鋭いレオノルの言葉にひしっとリチェルカーレが腕にしがみつく。 「気配を感じる所は避けよう。こういうのは本気で遊ばなきゃ」 二人はキッチンのテーブルに身を隠す。出来るだけしっかりとくっついて縮こまる。 「いませんかー?」 ライラの声だ。 二人は視線を合わせてそろそろと反対へと移動しようとすると。 「見つけたわよ!」 「見つけた」 リコリスとシルシィが立っていた。 「アリシアだけが見つからないわ! もう、降参よ!」 捜しても、捜しても見つからないアリシアにリコリスが声をあげる。 すると、ひょっこりとドアからアリシアが現れた。 「どこに隠れていたの?」 「本当だ。全然見つからなかった」 感心するローザにアリシアははにかんだ。 「一緒に、隠れてくれる……お友達がいました、から」 体を思う存分動かしたあとはあたたかいミルクや紅茶に舌つづみをうって、他愛のないお話に移る。 「お喋りは……、ええと、聞いててもいい? わたし、女子会って初めてだし……」 シルシィが視線を向ける。どんな話題がいいのか、聞きたいことはいっぱいある。 「そうね、皆はどんなお菓子が好き?」 リコリスはさくさくのクッキーをかじる。 「お菓子は、いつも手作りで、最近クッキーを色んな形にするのが楽しいのよ……雲の形とか」 ライラはリュートを撫でながら話をするのにリコリスは頷いた。 「手作りのお菓子ね、なかなか、難しいけど、トールの顔を書くのは楽しかったわ」 「今日みたいに……いろんなもの、持ち寄るのもいいです、ね」 お話の間にリチェルカーレがレオノルの髪をきれいに梳かす。柔らかく結んでもらってレオノルはご満悦で枕を抱えてみんなの話をゆったり聞いている。 「お菓子は果物を使ったものが好きよ。今日みたいに本のレシピを再現出来て嬉しいわ。最近は冒険物を読んでいるの」 髪の毛をおろし、薄水色のパジャマ姿のシュリがはおずおずと口を開く。 今回の甘いお菓子に他の女の子たちもまた作るのに賛成と声をあげる。 「こういうの、いいですね」 「ええ、……とっても楽しいわ!」 リチェルカーレが優しくシュリの髪の毛を梳かし、楽しく話を聞いている。 「その、今日はとても楽しかった。こんな風に無邪気に遊ぶのは久しぶりで、感謝している」 ローザが全員の顔を見て告げる。 「みんなのおかげだ」 「それを言うと私もよ」 「あ……写真」 シュリは皆との思い出にカメラを用意していた。ただいつ撮ろうかと思っていたのだが、気が付いたらいくつもの写真が散らばっていた。お菓子作り、鬼ごっこ、おしゃべりしている姿……。 「楽しんでくれてるのね」 「みたいだね」 小さな歌声が聞こえてきたのにリチェルカーレはびっくりした顔をするが、その歌声につられて歌い始める。リコリスも。 優しい歌とおしゃべりにレオノルは眠りへと誘われた。 ● 巡回の時間は分担し、案山子や罠もしかけてあるが油断は出来ない。 「おっと、来たようだよ!」 魔力探知をフル活用して雲羽が仲間たちに声をかける。捕獲は自信がないが、探索や警戒では仲間たちをいかんなくフォローする。 それに合わせてしかけていた罠が切れ、木々のざわつく音にクリストフ達は駆け出した。 無粋な侵入者たちが歯を剥いて唸り上げる。 「この屋敷はお前達の手に負える代物じゃない。もう二度と近づけないようにしてやろうか」 クリストフの笑顔の威嚇に魔術師が地面を蹴り、距離を縮める。そのタイミングで木の上に隠れていたショーンが飛び降り、後ろから羽交い絞めにし、首を絞めて意識を落とした。 「ほら、言っただろう?」 同じく木の上で警戒していたトールはすぐさま敵の前に躍り出てわざと挑発するように笑って、邪魔をしつつ罠のある場所へと誘導する。 トールの動きに注意が逸れた一人が落とし穴にはまったのをジャックの容赦のない一撃とシリウスの当て身に、あっけなく確保される。 「選んだ場所が悪かったな」 とシリウスは呟いた。 「うーん、すごいねぇ」 荒っぽいことはお任せの雲羽は背後から近づいてきた魔術師に気が付かないのをマリオスが横から腕をとって捻り上げよて捕獲しようとするのに、慌てて魔術師は腕でマリオスの腕をはじき、後ろに下がる。 「おー、すごい!」 「無事で何より」 拍手する雲羽にマリオスが微笑んだ。 「さあ野郎同士楽しい殴り合……いや、ダンスパーティーと洒落込もうじゃないか? それとも魔術が使えなければ何もできないか、雑魚め」 「っ……上等だ! 浄化師ども! てめぇらなんざ拳だけで十分だぁ!」 一応殺さない為にメタル・フィストを装備したショーンの挑発に魔術師達が拳を握ってとびかかった。 こうしてむんむん男子会も、つつがなく過ぎていった。 翌朝。 女性陣の声が聞こえてくる前にジャックは捕えた魔術師をシリウス、クリストフに任せて罠の回収と処理をさっさとしてしまう。 「罠を発見された時の言い訳を考えるのも面倒くせぇ」 窓を見るとカーテンを開けてはにかんでいるローザが見えた。 「ま、あの辛気臭い顔ばかりのガキが楽しんでりゃいいんじゃねえか?」 ぽつりとジャックは言葉を漏らした。 朝の支度を終えて出てきたレオノルはなぜかぼろぼろのショーンを見て首を傾げる。男性陣はみなあっちこっち泥だらけである。どうやら夜通しなにかしていたらしい。 「楽しかったの?」 「ええ。それなりに」 しれっとショーンは答えた。
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*** 活躍者 *** |
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該当者なし |
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[56] ロウハ・カデッサ 2018/09/25-23:03 | ||
[55] シュリ・スチュアート 2018/09/25-22:57 | ||
[54] リチェルカーレ・リモージュ 2018/09/25-22:50 | ||
[53] 空詩・雲羽 2018/09/25-22:36
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[52] シリウス・セイアッド 2018/09/25-22:26
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[51] リコリス・ラディアータ 2018/09/25-22:26
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[50] ショーン・ハイド 2018/09/25-22:16 | ||
[49] マリオス・ロゼッティ 2018/09/25-22:16
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[48] アリシア・ムーンライト 2018/09/25-22:15
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[47] シリウス・セイアッド 2018/09/25-22:11
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[46] トール・フォルクス 2018/09/25-22:04
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[45] トール・フォルクス 2018/09/25-22:01 | ||
[44] クリストフ・フォンシラー 2018/09/25-21:58
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[43] クリストフ・フォンシラー 2018/09/25-21:45 | ||
[42] ライラ・フレイア 2018/09/25-21:42 | ||
[41] ローザ・スターリナ 2018/09/25-21:34
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[40] 空詩・雲羽 2018/09/25-20:07 | ||
[39] リチェルカーレ・リモージュ 2018/09/25-19:33
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[38] シリウス・セイアッド 2018/09/25-19:29
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[37] リチェルカーレ・リモージュ 2018/09/25-18:55 | ||
[36] ジャック・ヘイリー 2018/09/25-09:16 | ||
[35] ジャック・ヘイリー 2018/09/25-09:16 | ||
[34] ローザ・スターリナ 2018/09/25-08:54 | ||
[33] ロウハ・カデッサ 2018/09/25-06:38 | ||
[32] シュリ・スチュアート 2018/09/25-06:37 | ||
[31] マリオス・ロゼッティ 2018/09/25-01:54
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[30] シルシィ・アスティリア 2018/09/25-01:39
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[29] 空詩・雲羽 2018/09/25-01:17 | ||
[28] アリシア・ムーンライト 2018/09/25-00:54
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[27] クリストフ・フォンシラー 2018/09/25-00:53 | ||
[26] シリウス・セイアッド 2018/09/25-00:38 | ||
[25] 空詩・雲羽 2018/09/25-00:15 | ||
[24] リチェルカーレ・リモージュ 2018/09/25-00:13
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[23] リコリス・ラディアータ 2018/09/24-23:43 | ||
[22] トール・フォルクス 2018/09/24-23:25 | ||
[21] ショーン・ハイド 2018/09/24-23:19 | ||
[20] 空詩・雲羽 2018/09/24-22:50 | ||
[19] レオノル・ペリエ 2018/09/24-21:56
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[18] ショーン・ハイド 2018/09/24-21:56 | ||
[17] シリウス・セイアッド 2018/09/24-21:55 | ||
[16] リチェルカーレ・リモージュ 2018/09/24-21:43 | ||
[15] クリストフ・フォンシラー 2018/09/24-21:15 | ||
[14] アリシア・ムーンライト 2018/09/24-21:15 | ||
[13] ショーン・ハイド 2018/09/24-20:46 | ||
[12] 空詩・雲羽 2018/09/24-20:42 | ||
[11] リコリス・ラディアータ 2018/09/24-19:44
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[10] リチェルカーレ・リモージュ 2018/09/24-19:41 | ||
[9] トール・フォルクス 2018/09/24-19:39 | ||
[8] ローザ・スターリナ 2018/09/23-23:52
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[7] ロウハ・カデッサ 2018/09/23-17:43 | ||
[6] 空詩・雲羽 2018/09/23-12:07 | ||
[5] シルシィ・アスティリア 2018/09/23-08:27 | ||
[4] クリストフ・フォンシラー 2018/09/23-07:11 | ||
[3] トール・フォルクス 2018/09/23-00:29 | ||
[2] 空詩・雲羽 2018/09/23-00:08 |