~ プロローグ ~ |
世界の秩序と平和を守るエクソシストは、天賦の才を持つ限られた存在だけが成り得る立場である。 |
~ 解説 ~ |
・本部にて制服の採寸をしてもらいましょう。 |

~ ゲームマスターより ~ |
はじめまして、ナオキと申します。 |

◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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(喰人と同室希望) ジョシュアと離れるなんてやだー!! 採寸終わるまで離さないから! …同じ部屋で採寸できるなら…うん、良いかな。 ジョシュア、いる?どこにも行ってない? (採寸している職員さんへ) わがまま言ってごめんなさい、でも不安で ここってあたしの実家から遠いし都会だから、食べ物とか気候とか合うかなって あ!でも都会なら美味しい料理屋さんとか可愛い雑貨屋さんもきっとあるよね 職員さんのおすすめはどこー?暇な時間があったら紹介してくれると嬉しいな! 困らせてないもん!おしゃべりしてただけ。 あ、もう採寸終わったんだ、早い!すごい。 ジョシュア久しぶり!痩せた?なんてね 美味しいお店教えてもらったから早速行こうよ。 |
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同室で採寸します ・ツバキ 制服の採寸はたしかに大事ね、どうせならオーダーメイドなサイズがいいわ しっかり二人分お願いね どこを計られてもワタシは気にしないし、何事もなく終わればいいわね 後でゆっくり散歩でもしようかしら え?サザーが暴れだした? あー……いえ、いいのよ ワタシの分が終わるまで何とかしてくれれば大丈夫よ ・サザーキア フギャー!採寸なんてどうでもいいニャ! 服なんて着れたら何でもいいのニャー! やるならツバキだけ計るのニャー 暖かい所でお昼寝したいから逃げるニャ 誰が止めたってスキルを使ってでもぜっっったい抜けて寮に戻ってやるニャ! ツバキが来たって何がなんでも説得してやるニャ (やりたくないの一点張り) |
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目的 教団服の採寸してもらう 普通のノリ 大人しくいい子? ルドと同室で 最初は大人しくしている 段々もぞもぞし始める 「なー。教団服ってかっちりしてたよな」 「改造してもいいって聞いたし、俺やりたい」 「ルドは?」 「つまんねーの」 「……て、ちゃっかり改造してんじゃねーか!」 いいなーかっこいい 「俺も裾長くしてもらえる?」 真似じゃねーし! 「あと腕も八分丈くらいに」 「襟は…寛げればいいか」 (女子側のきゃぴきゃぴ具合を聞きながら) あっちは楽しそうだなぁ 覗かねーよ!紳士!俺は紳士だから!! …でも悪だくみしてるヤツがいたら乗っかるかもな?(ちらちら ガンガン改造してる人をみたら 「すげーな。かっこいい」 |
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真面目につつがなく採寸されるぜ? グラと二人、男性用採寸室へ。 でもグラとは出来るだけ離れたところで採寸願いたい。 「理由を伺っても? アンタの体格見てると自分の貧相な体がちょっと 「私、太ってはいないと思うのですが 腕の膨らみはそれ筋肉な 「然程ありませんよ 俺よりはあるだろ 「角や翼ならそもそも貴方人間ですし そうじゃなくて 「ああ成程。しん―― すぐ横で見下ろしながら言うな 制服アレンジも予定無し 採寸自体は係員の指示に従う ただ縦に長い方々(失礼)とは少々距離置きたい 「そういえば制服について聞いたことがあります 何だよ 「成長を見越して大きめのサイズを購入するとか 喧嘩売ってる? 「これから伸びるのでしょう? オーケイ表出ろ |
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性別ごとの部屋で採寸 ご安心を。僕は逃げも隠れもしませんよ、クラウスさん ふわあっ!? くっ、クラウスさん……!(耳を触られて驚く もう。……当たり前です。後悔するのは僕ですもの ……クラウスさんこそ逃げないで下さいよ? いえ、ちっとも だってクラウスさん、こういうことにはきっちりしてますし ……ええと、採寸、ですよね? これから行くのは採寸室ですよね!? クラウスさんー! もう既に遠い相方の背に問う ああ、行ってしまいました…… って、僕も行かないと、ですね 真面目に採寸に臨み、終了後は相方が終わるのを待つ |
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◆目的 ※別々で採寸 アリア:素直に採寸 ネヴィル:アリアを弄んで楽しむ ◆ネヴィル (何か面白そうな奴がいるな……アイツと組むか) ギルと結託し、パートナーを弄ぶ算段をします。 「お前の採寸は2時間後だ。脱走者の対処で長引いてるとよ」 脱走扱いされるよう、アリアに嘘をつきます。 その後は覗きを企んでいそうな男達に声をかけ扇動。 会話術、心理学を下地に煽りますが、きっかけが必要そうなら、自身も共に覗きに向かう勢いも見せます。 ◆アリア ネヴィルの嘘を聞いた後、同じく採寸を待つ女性(リーゼさん)を見かけます。 (綺麗な人だなぁ) これも何かの縁と思い、採寸まで魔術学院のカフェでケーキでも食べませんか?と声をかけてみます。 |
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●目的 ・リーゼ 真っ当に制服の採寸に参加 ・ギル リーゼとはあえて別室 ネヴィルと結託しリーゼとアリアに嘘の採寸予定を教え二人が縛り上げられる様子を楽しむ ●リーゼ行動(口調RP風) 今回アリアさんと行動を共にさせていただきます。 とても可愛くて……こほん。もとい、親近感の持てるお方ですので。 新しい服は悪い気はしない……と言いますか、実は楽しみだったりします。 まあ、その、一応私だって女の子ですから。 あの男が同室を希望しなかったのは少々意外でしたね。 ……まあ、そんなことはどうでもいいですね。 アリアさんはケーキがお好きですか? ええ、私も大好きです。お菓子ならケーキに限らずですが。 最近は菓子作りも趣味なんですよ。 |
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性別ごとの部屋で採寸 ◆シュリ ロウハ、どうしたの?不機嫌そうだけど これも浄化師の務めなんだから、しっかりね 採寸室には浄化師らしき人も何人かいるみたい この先同じ指令に同行することもあるかもしれないし、挨拶しなきゃ でも考えてみればわたし、お父様やロウハ以外の人とまともに会話したことなかった …どうしよう、なんて言えばいいの 採寸中はとても緊張している ◆ロウハ あ?別に不機嫌じゃねーよ お嬢こそ迷子になるんじゃねーぞ …採寸とかめんどくせー ここの制服、堅苦しくて息が詰まりそうなんだよな だが、翼や尻尾部分の構造がどうなってんのか多少興味はある 採寸中は「早く済ませやがれ…」と言いたげな顔で担当者を終始睨みつけている |
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~ リザルトノベル ~ |
●好きな部屋を選んでね 教団寮内の廊下に、ベアトリス・セルヴァルの叫び声が響く。 「ジョシュアと離れるなんてやだー! こういうのって男女別でしょ?! 採寸終わるまで離さないから!」 「採寸はすぐ終わるから、良い子にしてなさい! このままだと私の背骨が折れちまう……!」 「落ち着きなって。性別に関係なくパートナー同士なら同室で採寸してもらえるって、ワタシさっき聞いたから」 ジョシュア・デッドマンの腹部にしっかりと腕を絡め、そのままの勢いで背骨も折りかねないベアトリスの肩を叩き、ツバキ・アカツキは物怖じせずに喋りかけた。 「……ほんと?」 「ほんと。あの人に聞いたの。だから離してあげて?」 ツバキが指さすほう。 教団制服に身を包んだ複数の職員たちが、新人の質問に答えたり向かうべき部屋を教えたりと、忙しなく動いていた。 ならば良し、と呆気なくベアトリスの腕はジョシュアの身体を解放する。 「はあ……マジで折れるかと思った。助かった」 「どーいたしまして。お互い苦労するわね」 ジョシュアは命の恩人に小さく礼を言い、なんてことはないとばかりにツバキは片目を瞑ってみせる。 お互い? と。 疑問に感じる暇もなく、ツバキは頬を膨らませて不貞腐れているサザーキア・スティラを伴い、さっさと女性用の部屋へと歩き出した。 そしてもちろん、ジョシュアはベアトリスに引き摺られ出す。 「他に質問はありませんか。それでは『強制採寸』には……くれぐれもご注意を」 春うららな陽気とは裏腹に、この男性職員はあからさまに疲れ果てていた。 「大丈夫です? 顔色が良くないみたいですけど」 シェリー・ホルトハウスが気遣わしげに問いかけると、職員はなんとも影のあるやつれた笑みを浮かべる。 「どうも。先週から新人の方々の採寸につきっきりなもので……すみませんが、私の体調が心配なら、おとなしく過ごして下さいね……」 この発言に痛ましさを感じる者、数名。 個性が目立つ改造制服に目を奪わる者、数名。 さっさと帰りたいが為に、言われなくともおとなしくやり過ごす気でいる者、数名。 どやどやと目当ての扉へ進む流れの中で、シュリ・スチュアートはふと隣に立つ喰人の――ロウハ・カデッサの顔つきに剣呑な光が目立つのに気付いた。 「ロウハ、どうしたの? 不機嫌そうだけど」 「あ? 別に不機嫌じゃねーよ」 今日ここに集まる面々は、採寸を見越してそれぞれに出来る限り薄手だったりすぐに上着を脱げるような私服を着用している。 心身ともに堅苦しいものを好まない質であるロウハは、特にラフで軽やかな服装だった。 「これも浄化師の務めなんだから、しっかりね」 「わあってる。お嬢こそ迷子になるんじゃねーぞ」 ひらひらと手を振って男性用の部屋へ向かうロウハは、先程から妙な視線を感じていた。 敵意はないが、妬みというか複雑な羨望が混じったような妙な視線を、斜め下あたりから。 そしてそれと同じものを、今まさにシェリーに声をかけんとするクラウス・ブリーゲルもまた、感知していた。 「シェリー、採寸から逃げるようなことはするなよ?」 正体不明な視線の主はひとまず忘れ、真面目さが窺える硬質な声色で念の為に釘を刺す。 「ご安心を。僕は逃げも隠れもしませんよ、クラウスさん」 「本当だろうな、お前」 からかうのではなく、どこまでも真剣に確認すると同時に、つい、と人差し指の背でエレメンツであるシェリーの耳に触れた。 途端に上がる、高い声。 「ふわあっ!? とっ、当然です。逃げたりして『強制採寸』を受けるはめになれば、後悔するのは僕ですもの」 個人的な弱点に急に触れられ思わず飛び出した反応を咳払いで誤魔化し、シェリーは胸を張って堂々と答える。 「クラウスさんこそ、逃げないで下さいよ?」 「俺が、逃げると思うか?」 「いえ、ちっとも。だってクラウスさん、こういうことにはきっちりしてますし」 クラウスの瞳に、歴戦の猛者のような獰猛な光が宿る。 「当然だ。むしろ俺のほうから挑んでやろう」 ゆっくりと歩き出すクラウスをぽかんと見送っていたシェリーだが、なんとか我に返ると懸命にその後ろ姿に向かって疑問をぶつける。 「……ええと、採寸、ですよね? これから行くのは採寸室ですよね!? クラウスさーん!」 戦場へ赴く兵士さながらのクラウスの姿に、感銘を受けた者がいたとかいないとか。 斯くして戦いの火蓋は切って落とされたのである。 ネヴィル・テイラーとギル・マイヤーの視線が騒がしい廊下で偶然かち合い、そして次の瞬間にはふたり揃って陰湿に頬を歪めて笑った。 互いが各々のパートナー――正面から認めることはふたりともないだろうが――に対して、ほとんど変わらぬ複雑な感情を向けていると、瞬きの間に理解したのだ。 そこからふたりが意気投合するのは早かった。 標的は、それぞれ異なる相手と何やら歓談しているアリア・セレスティと、リーゼ・アインベルク。 目的は、偶然を装い、採寸中にふたりの少女をなんらかのトラブルの渦のど真ん中に突き落とし、慌てふためく姿を晒させること。 「あの小娘はクソ素直で騙されやすいが、俺のことは頭から信用してないぞ」 「僕のリーゼたんも同じだ」 「じゃあお前が小娘を騙すか?」 「……。リーゼたん以外の女とは喋れない。別に喋りたくもない」 「教団に入った連中だ。誘っても覗きなんざしねぇだろうしな」 「僕たちだけで覗いても味気ない」 こそこそとするでもなく堂々とするでもなく、影法師のような危うさと怪しさの境界線の上でふたりは会話を続ける。 と、そのとき、 「の、覗き……?」 偶然そこを通りかかったアシエト・ラヴが、つい男の性でひとつの単語を耳ざとく拾ってしまい、やや狼狽して足を止めた。 「オマエも参加するか? あーっと、」 「アシエト・ラヴだ」 「でも僕のリーゼたんを邪な目で見るのはやめろ。いやあの顔が羞恥で歪んで歪んで歪む程度には見てもいい。見ろ」 「どっちだよ! ていうか覗きもしねぇ!」 「モテない上に覗きまでしたら、永遠にモテないぞ。アシエト」 それは、心底から馬鹿にしているような声だった。 げんなりした顔でアシエトが振り向いた先。 そこには案の定、秀麗な顔に既に面倒臭そうな表情を乗せたルドハイド・ラーマがいた。 「だからしねーって! 紳士! 俺は紳士だから! ……あんたらも覗きはやめとけよ」 それだけ言い残し、今すぐ部屋に戻って読みかけの歴史書の続きに没頭したい、という気持ちがダダ漏れになっているルドハイドを先導するようにして、アシエトは去って行った。 何事もなかったかのように作戦会議を続けるふたりの横を、決して小柄ではない男性を引き摺る少女が通りかかる。 「ちゃんと同室での採寸もやってくれるなんて。助かったね、ジョシュア」 「私は別々でもなんら構わないんだがな」 ――同室。 アリアとリーゼは正体不明の悪寒を感じた。 「おい小娘。俺は野郎専用の部屋で採寸を受ける。オマエは『この』女用の部屋で隅々まで測ってもらえ」 「……嘘じゃないでしょうね」 「こんなくだらねぇ嘘ついてどうすんだ。見ろよ、現にひとり部屋の前で待ってんだろ」 「あ、ほんとだ。リーゼさん、だったかな」 「逃げたりしないでおとなしく『部屋の中』で待ってろよ」 「わかってるわよ」 ●和気藹々な女性部屋 その部屋には、それぞれ衝立で隔離してある採寸スペースが三つ用意されていた。 三人ずつ同時に採寸を行い、それ以外の者は出入り口付近に屯して順番を待つ仕組みである。 サザーキアが採寸を嫌がり、全力で抵抗し、追いかける職員から逃げる以外は実に和やかな雰囲気だ。 「あー……いえ、いいのよ。ワタシの分が終わるまで何とかしてくれれば大丈夫よ」 サザーキアのパートナーであるツバキは、何故だか止めに入るでもなく、さっさとひとりで採寸を受けている。 まだ順番待ちをしているシュリは、見知らぬ面々ばかりの部屋で、忙しなく視線を床の上にうろつかせていた。 ああ見えて人好きのするロウハと離れてしまうと、シュリは他人とどのようなコミュニケーションをとるべきなのか、判断が出来ない。 この先、ここにいる誰かと同じ指令を受けることになる可能性もあるだろう。 任務達成に必要不可欠なチームワークの取っ掛かりとして、今すぐに挨拶なりなんなりを交わすに越したことはないはずだ。 (でも考えてみればわたし、お父様やロウハ以外の人とまともに会話したことなかった。……どうしよう、なんて言えばいいの) 先程廊下にいた際には、リーゼと名乗る少女が声をかけてくれた。 リーゼのようには振舞えない自分に情けなさを感じ、きゅ、と密かにスカートを握りしめると同時に、後ろから優しく肩を叩かれた。 「はじめまして。僕はシェリー・ホルトハウスといいます」 マドールチェの中では長身の部類に入るシュリと、赤毛のエレメンツ――シェリーの身長差は、10センチにも満たない。 すぐ傍にあるシェリーの銀の瞳を見上げるシュリの表情は、部屋に入ったときから一切変わりこそしないが、張り詰めていた肩の力があからさまに抜けていく。 シュリが口を開くより早く、一匹のしなやかな猫、ではなく、サザーキアが目を輝かせて身を寄せてきた。 「ンニャ~、綺麗なリボンだニャ!」 うっとりした顔で呟き、シュリの胸元を飾るシルクの長いリボンを指先で揺らす。 相変わらず無表情だが、シュリの今現在の胸中は驚きで吹き荒れていた。 「あのっ、彼女、困っているようですからそのへんで……!」 「そうよ。邪魔しちゃ駄目じゃないの。採寸しましょ」 「忘れてたニャ! フギャー! どうでもいいニャ! 服なんて着れたら何でもいいのニャー!」 シェリーの言葉を引き継ぐようにして、採寸を終えたツバキが慣れた手つきでサザーキアを回収した。 一度はおとなしくなっていたサザーキアは、採寸という二文字を思い出して再び騒ぎ出す。 「このままじゃ『強制採寸』されちゃうわよ? おとなしく採寸受けなさーい」 「嫌ニャー! めんどくさいニャー!」 「なら仕方ないわね。ていっ」 「ニッ」 それはまるで魔法だった。 ツバキがサザーキアのうなじのあたりを指先でつまんだ途端、暴れ猫は雷で打たれたように短く震え、あとは見る見る間にふやけた表情になった。 「今の内にお願いね。悪いんだけど、もうサザーは動けないから、衝立を持ってきてここで測ってもらえる?」 あれよあれよとシェリーたちの前に衝立が運ばれ、サザーキア専用の採寸場所が出来た。 ぽかんとするシェリーの裾を、小さな手が控えめに引く。 「あの。わたしは、シュリ。……よろしく」 「へ? あ、はい! よろしくお願いします」 シェリーの元気な返事は、衝立の中にも聞こえた。 指先ひとつでサザーキアを制御するツバキが、いいわね青春って感じで、と呟くと、にゃーというなんとも脱力感を誘う鳴き声があがる。 「サザー、終わったら散歩しましょ?」 「にゃー」 「うわ、サザーも結構胸大きいのねー。あれ? この下着昨日と一昨日も着けてたわね。たまに着けてない時に限って洗濯してるし……嘘……もしかして持ってるの、一着だけなの……?」 「にゃー」 花が舞うような交流が行われているあちら側と、信じがたい現実を突きつけられたこちら側。 どちらも同じ部屋で起こっている紛れもないリアルなのである。 「やっと交代ね。はあ、疲れた……」 「あ、あああの、リーゼ・アインベルクと、」 「アリア・セレスティは、『この部屋』で採寸を受けたか?」 「いいえ。そのふたりはいなかったわ」 「やっぱりか……ふたりが脱走を企ててんのを、俺たち聞いちまってな」 「なんですって? なんでもっと早く言わないの!」 「採寸が始まったから……僕らは『この部屋』には入れない。確かめられない。誰か出てくるのを待ってた」 「今すぐ『脱走者捕獲プログラム』を作動するわ!」 ●羨望渦巻く男性部屋 ヒューマンは、生まれつき誰もが恵まれた体格を持っているような種ではない代わりに、鍛錬次第で己の目的に合った身体つきへと、ある程度は近づける。 ひとことも無駄口を叩かずに伸縮するメジャーを眺めているクラウスもまた、細身ながらに引き締まった筋肉を鎧として纏っていた。 特に彼の場合は、己に対しても厳格な性格が大いに貢献しているのだろう。 「……」 廊下でも感じた不思議な視線が、どこかから注がれている。 採寸室として宛がわれた部屋は、女性用のそれと大差ない広さだ。 男性部屋なだけあって希望者以外には衝立を使用することもないので、室内を遮る目隠しのようなものは何もなかった。 謎の視線はどうやら、後方から向けられている。 「縦に長い奴……特にアンタとは離れて測ってもらいてぇな」 「理由を伺っても?」 「アンタの体格見てると、自分の貧相な身体がちょっと」 「私、そう立派な体格ではありませんよ。あちらの半竜の方のほうがよほど」 「俺よりはあるだろ」 「角や翼ならそもそも貴方人間ですし」 「そうじゃなくて」 「ああ成程。身ち――」 やや鋭さの際立つ目つきで、トウマル・ウツギはグラナーダ・リラを下から睨んだ。 ふたりの身長差は、おおよそ30センチ、といったところであろうか。 筋肉の厚みは年相応にあるものの、思い通りに伸びてはくれぬ身長にやきもきしているトウマルは、男性陣の中でも小柄な部類に入るだろう。 だからつい、グラナーダをはじめとする所謂高身長な者には、不躾とはわかりつつも視線を注いで嫉妬してしまう。 「さっきから見てやがったのはあんたか」 あちらの半竜の方、もとい、さっさと済ませろよと言わんばかりに採寸中延々と担当者を睨みつけていたロウハが、多数の傷跡の残る逞しい上半身を晒してトウマルを真正面から見下ろす。 「まああんたの視線なんかより、このめんどくせー集まりのほうがよっぽど不愉快だったけどな」 採寸を終わらせてなお面倒臭そうなロウハの言葉に、グラナーダが同意するように深く頷く。 「じゃあな。俺はお嬢を待って先に帰るぜ」 なんだかんだと言いつつちゃっかり己と――シュリの制服の改造について構想を練ったりもしたロウハは、もう用は済んだとばかりに扉に手をかける。 晴れて自由の身となったロウハの背中に、 (羨ましいな。俺もあれぐらいでっかくなれるかな) (羨ましい。私も今すぐ部屋に戻りたい) トウマルとグラナーダのやっかみ半分な視線が突き刺さる。 現在採寸真っ最中のルドハイドもまた、グラナーダと寸分違わぬ思いでいた。 一刻も早く自室へ戻る為にぴくりとも動かないでいるルドハイドの横では、最初こそおとなしくしていたアシエトが段々と落ち着きをなくし始めた。 退屈と、居心地の悪さ。 そして隣室から聞こえてくる女性専用採寸室の華やかな――猫の鳴き声も混ざっているような気もするが――声。 それらが気になってそわそわし出すアシエトに何か声をかけるでもなく、グラナーダは採寸師の質問にのみ答える。 「俺は着る気はないからこのままで、……やはり裾の丈は長くしてくれ」 「あっ。さっき改造はしないって言ってたくせに! ……俺も裾長くしてもらえる? あと袖も八分丈くらいにして、襟は……そのままでもいいかな」 「便乗するな。お前と一緒はゾっとしない」 「けち」 いかにも子供っぽいアシエトの、いかにもぴかぴかの一年生のような反撃に、ルドハイドは肩を竦めた。 壁にもたれて順番を待つトウマルに、そういえば、とグラナーダは悪気なく話しかける。 「成長を見越して大きめのサイズを購入するんですか?」 「喧嘩売ってる?」 「これから伸びるのでしょう?」 「オーケイ、表出ろ」 この会話を、採寸を終え部屋から出ようとしていたクラウスに偶然聞かれ、不用意な退出への注意を長々と受けることになる。 「あの男が同室を希望しなかったのは少々意外でしたね」 「リーゼさんのパートナーも、癖のある方なんですね……」 「まあ、そんなことはどうでもいいですね。折角こんなにも可愛らしい方と話せているんですもの」 「えっ、そ、そんな! リーゼさんこそ、お肌も髪の毛もとっても綺麗で羨ましい」 「ありがとうございます」 「制服、楽しみですねー」 「ええ。私も実は、今日という日が本当に楽しみで」 「ふふ、そうなんですか?」 「まあ、その、一応私だって女の子ですから」 「もちろん、リーゼさんは素敵な女の子です。あ、そうだ。このあと、良かったら一緒にケーキを食べに行きませんか? 学院のカフェのケーキ、とってもおいしいんですよ。えへへ。さっきもベアトリスさんにおすすめしたんですけど」 「アリアさんはケーキがお好きですか?」 「はい! リーゼさんは?」 「私も大好きです。お菓子ならケーキに限らずですが。最近は菓子作りも趣味なんですよ」 「え、すごいっ」 「意外と簡単ですよ。今度教えて差し上げましょうか?」 「わあ! 是非!」 「ところで、私の気のせいかもしれないのですが……そのベアトリスさんと一緒に現在採寸を受けているのは、」 そこで一度唇を閉じ、リーゼは不可解そうに眉根を寄せる。 「男性、ではないでしょうか?」 幼さが残る顔立ちのアリアは数秒間考え、そしてひとこと。 「……心が女の子、とか」 「なるほど」 根がお人好しなふたりは、完全に罠にはまってしまっていた。 ●混沌を極めし部屋 男女が同じ部屋の中で採寸を受けることになる同室希望者の為の部屋は、待機スペースと採寸スペースとが念入りに隔たれている。 そうして名を呼ばれたペアは一組ずつ、こちらはカーテンで区切られた空間で採寸していく。 「ジョシュア! いる?」 「いるいる、ちゃんと隣で測ってるから。……あれは緊張してるんだな。見慣れない多くの人に囲まれてるから」 布の向こうから呼ばわる声にしっかりと応えてから、ジョシュアは声を落として採寸師へと愚痴を零すが、その口調はどこか楽しげでもあった。 一方、聞き慣れたジョシュアの声を聞きいくらか安堵したらしいベアトリスは、対面する女性の採寸師に申し訳なさそうに笑いかける。 「わがまま言ってごめんなさい、でも彼と離れるのがどーーーしても不安で。ここってあたしの実家から遠いし都会だから、食べ物とか気候とか合うかなって……あ! でも都会ならおいしい料理屋さんとか可愛い雑貨屋さんもきっとあるよね。さっきもアリアさんからおいしいケーキの情報を教えてもらったんだ」 人懐っこく陽気に喋る少女の声は、当然、隣のジョシュアにも届く。 「おーい、質問攻めして職員さん困らせるんじゃないぞ。ん、終わりか。ありがとう、ご苦労さん。騒がしいツレが迷惑をかけた」 困らせてないもん! という否定を尻目に、恙なく採寸を終えたジョシュアが狭苦しいスペースから出ると同時に、都会の暮らしに興味と不安が尽きない様子のベアトリスも同じく飛び出してきた。 「ジョシュア久しぶり! 痩せた? なんてね」 「やれやれ、子豚、お久しぶりだ。君は変わってないな」 馴染みとなっているあだ名でからかいつつ、歩調を合わせて歩き出す。 「おいしいお店を教えてもらったから、早速行こうよ」 「あんなにごねたのにまだ元気いっぱいか。まあ、おとなしく? 採寸されてたし、ご相伴に預かってあげるとしよう」 途中、待合スペースにて行儀良く待つアリアとリーゼに会釈をして、揃って廊下へと出る。 今の今までベアトリスたちを採寸していた職員も休憩の時間らしく、疲弊しきった顔でふらふらと去って行った。 食事の約束を取り付けて上機嫌になったベアトリスだが、ふと違和感を感じて首を傾げた。 「ねえジョシュア。なんであのふたり、あの部屋にいるんだろ?」 何やら鬼気迫る顔で走る職員の一団とすれ違って、ジョシュアは意味深に目を細めた。 「今のが答えなんじゃないか?」 同時刻。 場所は先程の部屋へと戻る。 「やっと見つけましたよ! 『脱走者』!」 「え? え?!」 「この寮は完全に封鎖されています。ならば虱潰しに部屋を探せばいずれ見つかるというもの!」 「な、なんの話ですか!」 「神聖なる教団制服の採寸を嫌がるとは不届き甚だしい。恥を知りなさい」 ベアトリスたちと入れ違いに入ってくるなり糾弾を始める集団に、アリアはすっかり腰を抜かしてしまった。 そんなアリアを守ろうと立ち上がって前へ出るリーゼもまた、未だ状況を掴めずにいた。 そしてその困惑が、命とりとなる。 まるで命と自我を持つ蛇のように、何本ものメジャーがふたりの四肢目掛けて伸びてきた。 リーゼは剣術を得意としているが、生憎今は丸腰だった。 否、例え佩刀していたとしても、まだまだ彼女はひよっこエクソシストなのだ。 教団本部に在籍する者が相手では、万にひとつも勝ち目はない。 両の手首を交差するようにしてメジャーは容赦なくふたりの腕を縛り上げ、天井の電灯や梁に引っ掛けて吊るし上げる。 無防備にも両腕を上げることを強制され、身体は宙に浮き、爪先は空を切るばかり。 いくら相手が己と同じ女性の職員ばかりとはいえ、流石に羞恥を覚えるというもの。 「誤解ですっ。ここは女性専用の採寸室だと聞いて、それで――あっ!」 なんとか弁明しようと、もがきながら必死に言葉を紡いでいたアリアは、そこで漸く自分がネヴィルに騙されていたことを知った。 隣で同じく縛られているリーゼを振り向くと、やはり彼女も憤懣やるかたない、といった表情で凍り付いていた。 「私たちは騙されていたんです! せめて話を……いいえ、アリアさんだけでも離してあげて下さい!」 「いいえ。離しません。我々は徹底的にあなたたちを計測します。まずは胸囲から」 「アリア・セレスティ、89――」 「リーゼ・アインベルク、84――」 「ほう。そうかそうか」 「リーゼたん……僕はその顔が見たかった」 先程までは確かに女性職員しかいなかった室内に、いつの間にか憎き諸悪の根源・ネヴィルとギルが、にまにまとほくそ笑んで交ざっているではないか! 「出てってよ! 聞くなぁ!」 「ここ、同室希望者の部屋だから。俺は採寸しに来ただけだぜ」 「ギル、あなた……覚えておきなさい!」 「何を? リーゼたんのスリーサイズ?」 アリアとリーゼの顔が、真っ赤に染まる。 「あら、あなた方もまだ採寸が済んでいないのですね?」 「「……え?」」 にっこりと微笑む採寸師に取り囲まれ、ネヴィルとギルの顔からは血の気が、引いた。
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*** 活躍者 *** |
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[10] シュリ・スチュアート 2018/04/04-03:26
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[9] シュリ・スチュアート 2018/04/04-03:25
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[8] リーゼ・アインベルク 2018/04/02-22:04
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[7] アリア・セレスティ 2018/04/02-21:45
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[6] シェリー・ホルトハウス 2018/04/02-06:12
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[5] トウマル・ウツギ 2018/04/02-01:09
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[4] ツバキ・アカツキ 2018/04/02-00:19
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[3] アシエト・ラヴ 2018/04/02-00:06
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[2] ベアトリス・セルヴァル 2018/04/02-00:03
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