~ プロローグ ~ |
とある民家。 |
~ 解説 ~ |
●目的 |
~ ゲームマスターより ~ |
彼が喜ぶような物を用意することが成功の秘訣です。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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やだぁ。恋人の為にお守りを作ろうって、なんて健気な話かしら 私でよければひと肌脱ぐわよ とりあえずお守りの布を買いに行きましょうか…多めに買ってきた方がよさそうね? え?みんなで何しようとしてるかなんてわかってるわよ。だから布は要るかしらと思ったのよ(ウィンク 落ち着いたのがいいなら、柄物より無地…それで青がいいわね。縫う為の糸も用意した方がいいかしら? 彼女と彼氏で糸の色だけ変えたら素敵じゃない?…って、何シロスケ棒立ちしてるのよ。荷物ぐらい持ちなさい 一緒にお守りを作ったら、私はエリサちゃんの傍に行くわ。コイバナとか恋バナとか恋バナとか色々楽しい話聞けそうじゃない ふふ。ずっと一緒に居られるといいわね |
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星のランプ、かあ 素敵だね エリサさんの想いを届けるために 頑張らないと スターフラワー探し ええと 花弁が5枚… 事前に確認した特徴を思い出しつつ花を摘む 花は少し多めに集める エリサさんの分も作れたら 健康を祈るお守りなら エリサさんが持っていてもいいよね? お揃いが嬉しい…? 不思議そうに首を傾げる ムーンフラワーと間違わないようにしないと セラと分担 自分はスターフラワーを採集 材料が集まれば 早めに屋敷へ戻る 材料を渡して あの エリサさん 僕たちにもお守りの作り方 教えてくれませんか? もう一つ作れたらなって えっと恋人さんとお揃いでエリサさんに どうでしょう?と伺うように え 僕も? 裁縫なんてしたことないけど…じゃあ 少しだけ |
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新人の頃というのは仕事を覚えるのに必死な物だからな それとこれは私の予想だが 彼女との将来を考えているから尚更必死なのではないだろうか 一人前にならねば共に暮らしていくことは難しいからな 私はヴィオラから指示されたポトフの材料を買い出しに行こうか 根菜類は保存が利くし少し多めに購入 麻袋に詰めて担ぎ 他にもブロッコリーや緑の野菜を購入し帰る 料理中は皮剥き等を手伝い 贈り物が全部出来上がったら他の者と一緒に夜に配達に向かおう 記者部を探しノック エリサの恋人かを確認、彼女の使いだと告げる 手紙もあるんだ 悪いが返事を書いてくれないだろうか 帰ったらヴィオラから渡されたお守り 私にか? 健康を害したことは無いが有難く受け取ろう |
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目的 エリサさんのプレゼント作りを手伝うこと。 無事に届けること。 行動 わたしたちは、スターフラワー探しと配達のお手伝いをしようかと思います…。 スターフラワー探しは…、植物には詳しくないので…。 エリサさんに、群生地の場所と、花や葉の色や形とか特徴と、どのくらいの量を採ってくればいいのかとか…。 どういう風に採取すればいいのか(花の部分だけ?)とか詳しく聞いていこうと思います…。 現地に着いたら、花びらの数をよく見て…、一カ所から採り過ぎないようにしますね…。 …お守りを作る時間を考えると、早めに出発して帰って来れるといいのかも…? 採ってきた花は、何かしましょうか…? (ウィッシュに続きます) |
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~ リザルトノベル ~ |
■エリサの願い 教団からの依頼を受けた8人は早速エリサの家へと向かった。 玄関の扉を叩くと、「はい」とエリサが顔をのぞかせた。 「依頼を見てくれたのね。ありがとう。彼のためにどうか力を貸してもらえないかしら」 エリサはそう言って頭を下げると、8人を部屋の中に招き入れた。 それぞれに自己紹介をし作業の分担を確認すると、早速8人は彼女の恋人を喜ばせるために行動を始めた。 ■光を放つ花 星のランプに必要な『スターフラワー』を採取する役を任されたのは『リューイ・ウィンダリア』と『セシリア・ブルー』そして『ジークリート・ノーリッシュ』と『フェリックス・ロウ』の4人だった。 「わたしは植物には詳しくないので……エリサさんに少し話を聞いてみましょう」 ジークリートの言葉で4人はエリサの傍へと寄って行った。 「あの、スターフラワーのことについて教えてもらえませんか? どこに咲いているのか、とかどのくらい必要、とか……」 ジークリートの質問を受け、エリサは壁際の本棚から地図を取り出し、4人の前に広げた。 「この湖のほとりにあるのが、私の家。ここから南東に少し進んだところに森の入り口があるの。入り口をはいってすぐのところに、スターフラワーのお花畑があるわ」 エリサの説明を、ジークリートの横に控えていたフェリックスがこくこくと頷きながら記憶していく。 「なるほど……白い花弁で、葉はギザギザしているんですね」 ジークリートも彼女の説明をしっかりと覚えた。 エリサは他に採取の方法や、量を伝えると、4人を笑顔で送り出した。 4人は森に向かうとすぐに、エリサの言っていた花畑を見つけた。 そこで4人は分担を決め、採取をすることにした。 「星のランプ、かあ。素敵だね、セラ」 スターフラワーの担当になったリューイは、隣を歩くセシリアにそう言った。 「ええ。とても可愛らしいお願いね」 セシリアもその言葉に頷く。 「良いものができるように、お手伝いしましょうか」 「うん。エリサさんの想いを届けるために頑張らないと」 リューイは改めてそう意気込むと、さっそく花の方へと足を向けた。 「リューイ、花の特徴は覚えてる?」 セシリアがそう尋ねると、リューイはしっかりと頷いた。 「スターフラワーは花弁が5枚、だよね」 「大丈夫そうね。それなら私は、ハーブを摘みに行くわね」 セシリアはそう言うと、リューイとは別の方向へと歩いて行った。 リューイは花の特徴を思い出しながら、1つ1つ花を見分けていく。そして、目的の物を見つけるとそっと摘み、エリサから借りたカゴに入れた。 カゴは直径が成人女性の体幅程度で、そこまで深さは無い。 エリサはこのカゴの半分ほどの花があれば問題ない、と彼らに伝えていた。 「でも、少し多めに摘んでいこう」 リューイは事前に他のメンバーと話していた、ある『計画』を思い出し、そう決めた。 一方セシリアは、ハーブの群生している箇所に居た。 彼女は植物図鑑を取り出すと、ハーブの項目を調べた。 「ラベンダーとか、ローズマリーとかその辺りがあるといいわね」 図鑑に描かれた絵と同じ物が近くに無いか目を凝らす。 すると、一角にローズマリーが群生している地帯を見つけた。 セシリアはそれを摘むと、リューイと同じくカゴへと入れた。 そうして一通り採取を終えた後、リューイとセシリアは再び合流した。 お互いのカゴの中身を確かめあい、間違いが無いことを確認する。 「リューイ、少し多めに取って来たのね」 セシリアがそう言うと、リューイは答えた。 「さっきも少し話してたけど、健康を祈るお守りなら エリサさんが持っていてもいいよね?」 「そうね。彼女にもぴったりだし……それに恋人とお揃いというのは年頃のお嬢さんには嬉しいものじゃないかしら?」 セシリアがふふ、と笑いながら付け足した言葉に、リューイは首を傾げた。 「お揃いが嬉しい……?」 その反応を見て、セシリアはまた微笑んだ。 「……いいの。リューイもそのうちにきっとわかるわ」 一方、ジークリートとフェリックスもまた、スターフラワーの採取を担当していた。 彼女たちはリューイとは別の群生地帯へと赴いていた。 「恋人を思う気持ちって、良い物だね……頑張ってお手伝いしないと」 ジークリートがそう意気込むと、フェリックスも同調するかのように頷いた。 それを見てジークリートは少し温かい気持ちになりながら、早速花へと目を向けた。 「ええと、花びらの数は……」 そうつぶやいていたジークリートに、横からフェリックスが教えた。 「5枚です、リート。色は白色、葉がギザギザという特徴を持っています」 「そうだったね。ありがとう、フェリックス」 お礼の言葉に、フェリックスは少しだけ会釈を返すと、黙々と花を見分ける作業を始めた。 しばらく二人は集中して花を摘んでいたが、少ししてジークリートがフェリックスに声をかける。 「フェリックス、少し移動しよう」 「どうしてですか?」 フェリックスがカゴを抱え、立ち上がりつつそう尋ねる。ジークリートは彼に説明をした。 「一か所で植物を取り過ぎると、土が弱っちゃうから。そうすると、だんだん植物が生えない土地になっちゃうよね」 彼女の説明に、フェリックスは納得したように頷いた。 「分かりました。……あちらにも生えているようです。移動しましょう」 こうして二人は何度か場所を変えながら、カゴ一杯のスターフラワーの採取を行った。 ■お揃い 場所は変わって、エリサの家から少し離れた場所にある小さな商店街。 花を詰めるための袋に使う布を調達しに、『スティレッタ・オンブラ』と『バルダー・アーテル』が訪れていた。 道を歩くスティレッタは、生き生きとした表情をしている。 「やだぁ。恋人の為にお守りを作ろうって、なんて健気な話かしら!」 一緒に歩くバルダーは、そんな彼女の様子に押されつつも、目当ての手芸店を見つけ足を止めた。 「ここみたいだな」 「早速中に入りましょう!」 スティレッタは意気揚々と店の中に入った。 店内には店主らしき老婆が一人、椅子に座って編み物にいそしんでいた。 老婆は彼女たちの来訪に気付くと、編み棒を操る手を止め、顔をあげた。 「おや、いらっしゃい。今日は何かお探しで?」 「ええ、エリサに頼まれて……」 二人は老婆の問いかけに、事情を説明した。 「そうかい、エリサから布を用意してくれとは言われていたけど、あの子があのお守りをねぇ……いいねぇ、若いってのは」 老婆は二人の話を聞き、眩しそうに目を細めた。 そしていそいそと店の奥へと引っ込んでいった。 二人がしばらく待っていると、老婆はいくつかの布を手に戻って来た。 「いくつか用意してくれ、って言われたから適当に見繕ったよ」 スティレッタは並べられた布を手に取ると、広げたりしてどれが良いか、と選び始めた。 「エリサの話だと、落ち着いたものが良いって言ってたわね……なら、柄物より無地かしら……ああ、でも、赤はちょっと派手ね。やっぱり青にしましょうか」 スティレッタは青色で無地の布を手に取った。そして裁ちばさみを持った老婆にこう言った。 「ちょっと多めにお願いね」 スティレッタはさらに、店の棚に並んだ糸を物色し始めた。 「糸も2種類、色違いとか素敵じゃない?」 この一連の様子を見ていたバルダーは頭の上に疑問符を浮かべた。 「……? お守りってそんなに布が必要なのか? それに、糸も1種類あればいいんじゃ……」 彼の口から出た言葉は途中でぱたりと止まった。ややあって、彼は「ああ……」と納得したように頷いた。 「ホント鈍いわね!」 そう言ってスティレッタはバルダーをばしっと叩いた。 「ああはい。わたくしめが鈍い人間で相済みませんでした」 バルダーはそう小声で呟きながら、彼女に言われるがままに購入した布や糸を持つのだった。 ■気遣いの手紙 さらに場所は変わり、エリサの家。 星のランプの材料を調達しにいく仲間を見送ると、エリサは自室の方へ戻って行った。 残された『ニコラ・トロワ』と『ヴィオラ・ペール』は差し入れのポトフを作る役割を担っていた。 「恋人は、彼女との将来を考えているから尚更必死なのかもしれないな。一人前にならねば共に暮らしていくことは難しいからな」 ニコラの言葉を受け、ヴィオラは苦笑した。彼女はテーブルの前で、何やら書き物をしている。 「それをきちんと言ってあげた方がいいと思うんですけど……。とりあえずお手伝いを完璧にこなしましょう?」 ヴィオラはペンを置くと、ニコラに向き直りメモを差し出した。 「ニコラさん。買い出し、よろしくお願いしますね」 にっこりと笑うヴィオラに、ニコラは素直に頷いた。 ニコラが買い出しに出かけると、ヴィオラはエリサの部屋の扉を軽く叩いた。 「どうしたの?」 エリサが部屋から顔を出す。 「皆さんが帰って来るまでの間に、お手紙を書きませんか? 差し入れと一緒に持って行ったら、きっと彼も喜びますよ」 ヴィオラがそう提案すると、エリサは喜んで頷いた。 「私、あまり手紙って書かなかったから、全然思いつかなかったわ」 早速エリサは便せんを用意すると、机に向かってペンを動かし始めた。 扉の隙間からその様子をちらりと見て、ヴィオラは微笑んだ。 しばらくして、買い出しからニコラが戻って来た。彼は大きな麻袋を担いでいた。 「沢山買ってきましたね」 ヴィオラが驚いていると、ニコラは中身の説明を始めた。 「根菜類は保存が効くから、多めに購入してきた。あとは、緑の野菜なども。もちろん、ヴィオラに頼まれた物も買ってきた」 そして二人はキッチンへと材料を運ぶと、ポトフ作りを始めた。 「皮むきはお願いします」 「ああ。分かった」 ヴィオラの指示を受け、ニコラはにんじんの皮むきを黙々と始めた。その間にヴィオラも具材を切り、下ごしらえを始めた。 二人は時々分担したり、協力しながらポトフ作りを進めて行った。 そして具材に火が通り、野菜の香りが家中に漂ってきたころ。 「そろそろエリサを呼んでくるか」 「はい。お願いします」 ニコラは他の仲間と一緒に星のランプを作っていたエリサに声をかけ、キッチンへと連れてきた。 やってきたエリサに、ヴィオラは手にしていたおたまを渡す。 「味付けをお願いできませんか?」 エリサは頷くと、手慣れた様子でポトフの味を調えていった。そして、鍋の中に目を落とし「わぁ」と声を上げる。 「にんじんがハートの形!お料理上手なのね!」 エリサの喜んでいる様子に、ヴィオラとニコラもまた微笑ましい気持ちになった。 ■思いを込めて、一刺し 時間は少し巻き戻り、ポトフ作りの始まる少し前。 星のランプの材料調達に行っていた6人が、エリサの家に戻って来た。 6人はそれぞれが調達したものをエリサの前に並べた。 「スターフラワーも、布も、私の頼んだ通りの物だわ。あっ、四つ葉のクローバーもある」 「それは私が。折角ですもの、幸運もお願いしたらどうでしょう?」 セシリアがそう言って微笑むと、エリサは嬉しそうに笑って「そうするわ」と答えた。 「でも、どうしてこんなにたくさん……?」 エリサが首をかしげると、リューイが前に進み出た。 「あの エリサさん。僕たちにもお守りの作り方 教えてくれませんか?」 「え?」 「もう一つ作れたらなって。えっと、恋人さんとお揃いでエリサさんに……どうでしょう?」 その提案にエリサはとても驚いたような表情を浮かべた。 「えぇっ!? いいの……?」 「もちろん。私達でよければひと肌脱ぐわよ」 スティレッタもそう言い、セシリアも頷いた。 「では……ぜひ、お願いします!」 そうして、エリサと浄化師たちは椅子に腰かけ、星のランプ作りを開始した。 エリサに言われた通り、布を型どおりに裁ち、針に糸を通していく。 「袋を作る間に、スターフラワーとハーブを少し乾燥させましょう。少し日にあてるだけで大丈夫ですから」 「じゃあ、それは私達がやります」 エリサの言葉に、ジークリートとフェリックスが花の入ったカゴを手に取った。2人は窓際の日当たりのよい場所に布をひくと、その上に丁寧に花を並べていった。 その間にエリサは、残る3人に袋の縫い方を教えつつ、自分も手を動かして行った。 その傍らではバルダーが剣を手に取り無言で控えていた。 「何やってんのよ、シロスケ」 スティレッタが不審そうな目を向けると、バルダーが答えた。 「何かあるかもしれないだろう。警護だ」 スティレッタは「ああ、そう……」と言って、お守り作りへと戻っていった。 「エリサはどんな色が好きかしら?」 糸を片手にセシリアはエリサに尋ねた。エリサは少し迷った後。 「黄色、ですかね」 そう答えた。すると、セシリアは黄色の糸を針に通し、袋を縫い始めた。 「リューイも一刺しどうぞ?」 「え、僕も? 裁縫なんてしたことないけど……じゃあ少しだけ」 セシリアに布を渡され、リューイも慣れない手つきで針を動かした。 やがて、ポトフの良い匂いが漂い始めるころ。 スターフラワーとハーブを袋に詰め、リボンで口を縛ると、お揃いの星のランプが完成した。 ■恋人からの贈り物 夜の街を歩いていたフェリックスが足を止めた。横を歩いていたジークリートが彼の顔を覗き込む。 「どうしたの? ……って、あ。ここが新聞社だね」 エリサに事前に聞いていた場所に辿りついていたことにジークリートは気が付いた。 贈り物の入ったカゴを手にしたニコラは、新聞社のレンガ造りの建物を見上げる。 「確か、届け先は記者部だったか?」 「はい。記者部のクラウスさんです」 ニコラの問いかけに、ジークリートが答え、一行は建物の中に足を踏み入れた。 玄関ホールは施錠されていなかったが、受付には誰も居なかった。受付デスクには「御用の方は3階まで」とメモが置いてあった。 受付の横に階段を発見した一行は、3階へと向かった。 しかし。 「暗いですね……」 廊下の灯りが切れているらしく、先が見渡せない程暗くなっていた。 「エリサさんに言われたとおり、ランタンを持って来て正解でした」 ジークリートがそうつぶやいている間にフェリックスが荷物からランタンを取り出し、火を入れた。 すると、足元と少し先が見える程度までに視界が回復した。 「では、記者部を探すとするか」 ニコラの先導で、一行は廊下を進んで行った。 そしていくつかの扉を通り過ぎた後、廊下の最奥へと辿りついた。ランタンで扉の横の看板を照らすと、『記者部』の文字が読めた。 それを確認すると、ニコラが扉を軽く叩いた。 「はい。どちら様ですか?」 ややあって男が顔をのぞかせる。その表情は若干暗く、疲れが透けて見えていた。 「君がクラウスか? 私達はエリサの使いで来た。彼女から届け物を預かっている」 「え?エリサから? 何だろう……とりあえず、中にどうぞ」 クラウスは突然の訪問者に驚きつつも、一行を記者部の中に案内し、応接用のソファを勧めた。 「それで、届け物というのは……」 クラウスが尋ねると、ジークリートはあずかっていた手紙を荷物から取り出した。 「差し入れです。それとお手紙と……」 「星のランプ、彼女からのプレゼントだ」 ニコラがカゴから取り出した星のランプに、クラウスは目を見張った。 小さな袋からは、ハーブや花の淡い香りが漂う。そして、中に入ったスターフラワーが輝きだし、幻想的な光景を映し出していた。 「すごい……綺麗だ……。この袋も、僕の好みぴったりだし、このままオフィスに置いておくよ」 星のランプを呆けたように見つめるクラウスに、ニコラが声をかけた。 「差し入れも食べた方がいい。保温はしてあるが、冷めてしまうからな」 そういって鍋の蓋を開けると、クラウスはまた歓声をあげた。 「エリサのポトフだ……まだ温かい」 鍋を毛布にくるんでいたため、中身はまだ温かくほかほかと湯気を立てていた。 フェリックスが静かに鍋の中身を器に移し、そっとクラウスに渡す。 「美味しい……元気がでるよ」 クラウスは一口それを口にするとすぐに、満面の笑みを浮かべた。 「それで、クラウスさん。良ければ手紙の返事を書いてもらえませんか?私達がエリサさんに届けますので……」 ジークリートがそう提案をした。 「そうだね……。最近全然会いに行ってあげられないから、心配かけてるんだろうなぁ。待ってて、すぐに返事を書くから」 クラウスはそう言うと、急いでデスクへと戻り、便せんに向き合った。 しばらくして、クラウスは白い封筒に入った手紙をジークリート達に渡した。 「彼女にお礼を伝えてくれるかい? あと、今週末は休みが取れそうだ、とも」 伝言を受け取った一行は頷き、クラウスに別れを告げると新聞社を後にした。 ■クラウスの思い 配達に向かっていたメンバーがエリサの家に戻って来ると、エリサを中心とした女性陣が何やら話で盛りあがっていた。 「で? 二人はどうやって知りあったの? 告白はどっちから?」 「ええと、彼は近所のお兄さんで、よく遊んでくれて……」 スティレッタの質問にエリサが若干押されつつも答えている。それをセシリアやヴィオラも一緒になって聞いていた。 「……戻ったか」 「お帰りなさい」 離れた所からそれを見ていたバルダーとリューイが、戻ってきたニコラ達に気がついて声をかけた。 「とても……盛り上がっているようだな」 ニコラは話に盛り上がる女性陣の熱量に圧倒されている。 「女の子はこういう話、好きだよね」 「なんというか、生き生きしてるな……」 リューイの言葉にバルダーも頷いた。 「そうだ、手紙の返事渡さないと」 ジークリートは預かっていた物の存在を思い出し、エリサ達の輪の中へと加わった。 入れ替わりに、ヴィオラがニコラの元へとやって来た。 「おかえりなさい。それと、これをどうぞ」 ヴィオラが差し出したのは、スターフラワーとハーブをリボンで束ねた小さなブートニアだった。 「さっき、時間があったので、皆で作ったんですよ。余ったスターフラワーとハーブを分けてもらって」 見れば机の上にはいくつかの個性的なブーケやブートニアが並んでいた。 「生花ですから日持ちはしませんけどね」 「私にか?……ありがたく受け取ろう」 ニコラはそれを受け取ると、壊さないように自分の胸元に飾った。 一方、ジークリートはエリサに手紙を渡そうとしているところだった。 「これ、手紙の返事です。クラウスさんはちょっと疲れているみたいでしたけど、元気そうでしたよ。ポトフも、プレゼントもとても喜んでくれました」 ジークリートの報告を聞いて、エリサはほっと息を吐いた。 「良かった、元気そうで。この手紙も、わざわざありがとう」 「エリサさん……あと、伝言です」 安心しているエリサにそう声をかけたのは、今まで静かに成り行きを見守っていたフェリックスだった。 「『今週末は休みが取れそうだ』、とクラウスさんからです」 「本当に……!? とても楽しみだわ!」 フェリックスの言葉にエリサはとても喜んだ。 「せっかくですからお手紙も読んでみてはどうでしょうか?」 「そうね。今週末のことも、何か書いてあるかもしれないしね」 ヴィオラとセシリアがそうすすめると、エリサは「じゃあ……」と言って手紙の封を切った。 急いで書いたであろう手紙は、ところどころ字が歪んでいたが、そこに書かれている言葉にはクラウスの温かな思いが込められていた。 エリサへ。 最近ずっと顔を見せられなくてごめん。でも安心してほしい。僕は毎日がとても楽しく、充実した心地で記者としての仕事に励んでいるよ。 それに、ようやく僕は目標を達成することができたんだ。君と一緒に生きていくための準備がようやく整ったんだ。 今週末は必ず君の元に行くよ。 その時には君に伝えたいことがあるんだ。良かったら聞いてほしい。 「クラウス……!」 エリサは手紙を胸に抱いた。その目には涙を浮かべながらも、とても幸せそうに笑っていた。 「本当にありがとう。依頼をこなしてくれただけではなく……こんなに素敵な手紙を届けてくれて。それに、心のこもった星のランプまで」 エリサの手元には浄化師たちが作った星のランプがあった。クラウスの物とおそろいのそれは、彼女の手の中で淡い光を放っていた。 「貴方達に依頼して、本当に良かった! ありがとう……!」 エリサの感謝の言葉に、8人は胸を張ったり、照れたりとそれぞれに反応をかえした。 こうして、8人は恋人たちの思いを届ける『配達人』としての仕事を見事にこなした。 その後、エリサから教団に手紙が送られてきた。 同封されていた写真には、幸せそうに微笑む花嫁姿のエリサと緊張気味にタキシードを着たクラウスの姿が写っていたという。
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*** 活躍者 *** |
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該当者なし |
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[18] セシリア・ブルー 2018/11/01-22:46
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[17] ヴィオラ・ペール 2018/11/01-21:56
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[16] ニコラ・トロワ 2018/11/01-21:15
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[15] スティレッタ・オンブラ 2018/11/01-21:09
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[14] ジークリート・ノーリッシュ 2018/11/01-21:08
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[13] バルダー・アーテル 2018/11/01-20:49
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[12] セシリア・ブルー 2018/11/01-20:49 | ||
[11] ジークリート・ノーリッシュ 2018/11/01-20:39
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[10] リューイ・ウィンダリア 2018/11/01-20:35
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[9] ヴィオラ・ペール 2018/10/31-23:58
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[8] ジークリート・ノーリッシュ 2018/10/31-19:25
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[7] リューイ・ウィンダリア 2018/10/30-23:55
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[6] ニコラ・トロワ 2018/10/30-23:43 | ||
[5] ヴィオラ・ペール 2018/10/30-23:29 | ||
[4] スティレッタ・オンブラ 2018/10/30-21:50
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[3] ジークリート・ノーリッシュ 2018/10/30-19:48 | ||
[2] リューイ・ウィンダリア 2018/10/29-22:14
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