~ プロローグ ~ |
『Trick or treat。お菓子をくれないといたずらしちゃうぞ!!』 |
~ 解説 ~ |
ハロウィンパーティー思う存分楽しみましょう!! |
~ ゲームマスターより ~ |
Trick or treat!! みなさんこんにちは、桜花です。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
|
||||||||
【目的】 フラッグを恐怖に陥れる(愛情表現) 【行動】 「衣装」 リアルなゾンビ衣装 朝に、赤いペンキで書き置き 『た す け て』 と窓に書いておく 隣の部屋で赤いペンキまみれで倒れておく フラッグが近づいて来たら足を掴み 『みぃつけた』 と見上げる 逃げるフラッグを追い回す この辺りで「トリックオアトリート」と叫びながら追い回す お菓子をくれたら捕まえて首筋に吸血 そこでちゃんと「ハッピーハロウィン」と言って頭を撫でる 【心情】 ふむ、ハロウィンとな なんと我向きのイベントか …そうじゃのう… フラッグの生存本能を刺激しつつ 逃げ惑うフラッグのなんと愛らしいか 菓子をくれたら辞めてやり、吸血してやろう ん?怖い?馬鹿者 吸血は、汝にしかせんわ |
||||||||
|
||||||||
はっはっはー! 壁へのいたずら書きとか、一度はやってみたくなるもんだよな! 模造紙とはいえ、いたずら書きをどーんとできるのは、良い! ほどほどに? はー、ナニカ、シラけるこというなよなー。 こういうのは、どーんとやるから楽しいんだよ。 こーんな風に、なっ!(小さいバケツいっぱいの絵の具の水を模造紙にぶちまける おい! なんで止めるんだよ! 寮母に? あのオバさんなんかどうでも良いんだよ! あー、わかったわかったよ。じゃあ、寮母の似顔絵でも描こうぜ。 超適当にかいてやろーっと できた! ナニカ、どんな感じーーって、え、なんだそれ!? な、ナニカ。お前、絵がへったくそだったんだな…… ある意味悪戯だよ、それ いやいや、評価甘いな |
||||||||
~ リザルトノベル ~ |
●キールアイン・ギルフォード×ナニーリカ・ギルフォード 10月の31日に開かれる教団内でのハロウィンパーティー。 このハロウィンパーティーは薔薇十字教団に在籍しているものなら誰もが知っており、パーティーに来た浄化師たちはテーブルの上に並べられたお菓子を食べたり、ゾンビや魔女などの仮装を見お互いに見せ合ったりと大いに賑わっていた。 「はっはっはー! ついにこの日が来たよ、ハロウィン!! 壁にいたずら書きができるとか、ほんっっと最高!! やっぱ、人生に一度ぐらいはこういうことやってみたいよね! 模造紙っていうのがちょっと残念だけどそんな贅沢は言ってられないし、今日は思う存分楽しんでやるぞー!」 「キル。分かってるとは思うけど、ほどほどにね?」 あまりの興奮からか部屋中をあちこち歩き回ってバクバクとハロウィン料理を頬張っているのは『キールアイン・ギルフォード』。まだ10代半ばにもいかないマドールチェの男である。 そして、そんなキルを後ろで優しく見守っているのは喰人の『ナニーリカ・ギルフォード』。これまでキルのことを大切なパートナーとして、時には一人の姉としてずっと見守ってきたが、キルのあまりのはしゃぎように今からなにか悪さをするのではないかと気が気じゃなかった。 「ほどほどに? はぁ……、なんでナニカはそうシラけるようなことを言うかなぁ……。 こういうのはどーーんとやるから面白んだよ、どーーんっと」 「パーティーを楽しむのは全然いいんですけど、人様の迷惑になるようなことは絶対にしないでくださいね。 キルはたまに私でも想像のつかないようなことをしますから」 「いやぁ、それほどでも……」 「褒めてませんからね!」 いつになったらキルにも落ち着きという概念が生まれるのだろうかと思いつつ、ナニカは幽霊の形に型抜かれた南瓜クッキーを口にする。 香ばしい匂いを醸し出しながら口に入れられたそのクッキーは、ほんのりとかぼちゃの味がしてとても美味しかった。 「それにしても、随分と大きなキャンバスですよね。私の背丈よりありますよ」 「だよな、やっぱりナニカもそう思うよな!! 早速いたずら描きしようぜ」 「そうですね、やってみましょうか。では早速絵筆を取りに……」 「いやいや、そんなちまちま描いてたらこのキャンバスは埋まらないぞ。こういうのはこうするの!!」 そう言って、キルは近くに置いてあった絵の具用の小さなバケツを手に持ち、壁にぶちまけようとする。 幸いにもバケツから水が飛び出てしまう前にナニカが止めに入ったので最悪の事態は防ぐことができたが、勢いのついた水がそう簡単に止まるわけもなく、バケツから零れ落ちた水はそのまま床へと自由落下し大いに床を汚してしまった。 「ちぇっ、なんで止めたんだよ! せっかく俺特製の水彩画が完成するところだったのに……」 「だ か ら !! やりすぎは駄目ってさっき言ったばかりじゃないですか!! これ以上床を汚したら寮母さんに叱られますから、やりすぎは『めっ』です!」 ナニカは零れ落ちた水を雑巾でそっと拭き、キルがまた悪さをしないようにとしっかり叱りつける。 確かに今日のキルはいつもと雰囲気が違うような気もしていたが、まさかここまでとは思ってもいなかった。 「寮母? あんなオバさんの言うことなんか聞くことないだろ。どうせ怒ってもそんなに怖くないしな」 「いいえ、だめです。あんまりやりすぎるようなら私も怒りますからね。だめったら、だめ! めっ!!」 「あーー、分かった分かったから。寮母のやつはそうでもないけど、ナニカを怒らせると何されるか分からないからな。 もう何もしないって……。……あっ、じゃあここに寮母の似顔絵でも描こうぜ。それならいいだろ」 「……そうですね、それならいいでしょう。ですが、あまりふざけ過ぎないようにしてくださいね。 今から描こうとしているのはあくまで似顔絵なんですから」 「分かってるって。じゃあどっちが上手く描けるか勝負しようぜ。負けた方は勝った方の言うことを何でも聞くってことで」 「いいでしょう、受けて立ちます。私が勝ったらこのパーティー中は大人しく私の横にいてもらいますからね」 「じゃあ俺が勝ったら後でナニカにジュースでも奢ってもらお。それじゃ行くよ。よーーい、ドン!!」 キルが寮母であるロードピース・シンデレラの似顔絵を完成させるまでに、それほど時間はかからなかった。 これまで壁に絵を描く機会がなかったのであまり上手くは描けなかったが、初めてにしては上出来だろう。 水を多く含み過ぎてしまったのか、全体的に絵の具が滴れているがそれほど悪いようにも見えない。 壁に絵をかくような機会がまたあるかどうかは分からないが、もし描くようなことがあれば今度は水気を抑えながら描いてみたら面白そうだ。 「よし、これでいいでしょ。ナニカはどんな感じーーって、えっ……、なんだそれ……」 「なにって、寮母さんに決まってるじゃないですか。自分でいうのもなんですが、なかなかの出来だと思いますよ」 自分の絵ができ上がったのでナニカに報告しようとしたが、キルはナニカの絵を見て思わず目を疑ってしまった。 本人は自信満々にこちらに絵を見せてくるが、はたから見るとそれはただの画伯でしかない。 おそらくここに目があってここに耳があるのだろうというぐらいの大雑把な予想まではできるが、それが本当に耳なのか。そもそもその絵が人の顔を表しているのかどうかもキルにはよく分からない。 遠目から見ればなんとか人の顔に見えなくもないような気もするが、どこをどう捉えてもそれが薔薇十字教団の寮母であるロードピース・シンデレラの似顔絵には見えなかった。 「な、ナニカ……。これってあの寮母……なんだよな」 「そうですよ。私的には上手く描けたつもりなんですけど、どうでしょう」 どうでしょう……と言われても、返答に困る。 もしかしたら俺は試されているのではないかと一瞬思ったが、ナニカの目は本気だし、つっこみを待っているような雰囲気でもない。 これまで何年もナニカと一緒に過ごしてきたが、まさかこんな形でナニカに気を使うときが来るとは思ってもいなかった。 「えっと……、その…………。お前、見かけによらず絵がへたくそだったんだな」 「へ、へたくそ!? それは心外この上ないお言葉ですね。 さっきから私の絵を見てすごく気まずそうな顔をしてますけど、そういうキルこそどうなんですか」 そう言って今度はナニカがキルの絵を見るも、自分の絵とのあまりの違い様に長い沈黙が訪れる。 キルもそこまで自分の絵に自信があるわけではなかったが、なぜかナニカに負ける気だけはしなかった。 「うっ……、私よりもほんの少しだけ絵が上手みたいですね。あくまでもほんっの少しですけど」 「……ナニカさ。あれほど俺にはいたずらするなって言ってたけど、ここまでくるとある意味いたずらだと思うよ。 これまで何回も寮母に怒られてきたこの俺が心配になるぐらい」 「そ、そんなことないもん! 寮母さんならきっとこの絵の良さを分かってくれるはずだから!! ちょっと……独創的? みたいな感じはするけど寮母さんならきっと気に入ってくれるはずだから!!」 まさかこの絵を独創的だと言い張るとは思ってもいなかったが、言われてみたらそう見えなくもないかもしれない。 有名な画家さんの中にも繊細な絵を書く人もいれば、普通の人には分からないような独創的な絵を描く人もいる。 俺からしてみればこの絵はただの失敗作のようにしか見えないが、今持っている視点から離れて見方を180度変えてあげたりすれば……。 「いやいや……、どう頑張ってもきついでしょ」 ●フラッグ・デス×キャロル・クトゥルフ 「なぁ、フラッグ。あそこに魔女の恰好をした少女がおるのじゃが、あれは本物なのじゃろうか。 なにやら菓子がたんまりと入った籠を持っているような気もするが、なにかイベント事でもあるのか?」 窓から街を見下ろしながらそう呟いたのは、今年で25歳となるヴァンピールの少女。名を『キャロル・クトゥルフ』という。 20代半ばともなる彼女のことを少女と表現するには少々語弊があるかもしれないが、その言葉は合っているようで合っていない。 アンチエイジングという技術によって体の成長がほとんど止まっている彼女の姿は、ただの可愛らしい幼女でしかなかった。 「あぁ、そういえば今日はハロウィンの日だったな。ハロウィンは仮装をした子供たちが街を歩いて大人たちからお菓子をもらうイベントだ。 せっかくだからあの子たちに混じって一緒に行ってみたらどうだ。違和感がなさ過ぎて多分誰も気づかないと思うぞ」 「む。いま汝、我を遠回しに侮辱しよったな。これはアンチエイジングの賜物だと言うておろうに。 ……まぁよい。この恨みはいつか必ず返してやるからな。だが、我もこのハロウィンというイベントに興味が湧いたのも確かじゃ。 我はあまり菓子には興味がないが、もし菓子をもらえなかった場合はどうするのじゃ? 菓子をよこせと相手を脅すのか?」 「どんな恐ろしいイベントだよ、それじゃあただの恐喝じゃないか。 まぁ、もしお菓子を持ってなかったら大人しくいたずらをされるしかないんじゃないか。 俺含め、普通の人はお菓子を用意しているだろうけど」 「ふーむ……。いつか我も参加してみたいものじゃの。……さて、我はもう寝るか」 「ん、もう寝るのか? まだ9時にもなってないぞ」 「今日はずっと歩きっぱなしじゃったからな。我の足はすでに棒じゃ。明日も早いことだし、今日は早めに寝る。また明日の」 そう言ってキャロルは隣にある自室へと帰っていき、残された『フラッグ・デス』は明日に備えて早めに寝ることにする。 だが、このときはまだフラッグは知らなかった。これから恐怖のどん底に突き落されるということを……。 次の日の朝。日が昇り始めるよりも前に目を覚ましたフラッグは、キャロルに気づかれないようにそっと部屋を後にしようとしていた。 さすがにまだ時間が早いのでキャロルは隣の部屋で寝ているだろうが、逃げ出すなら今しかない。 昨日のキャロルはハロウィンに全く興味がないような反応を見せていたが、いたずら好きのキャロルが何もせずに終わるわけがないのだ。 日時的にはすでにハロウィンを過ぎてはいるが、あのキャロルのことだ。そんなことは気にせずにきっと何かしてくるはずなのである。 それならばキャロルがまだ寝ている間にこの場から立ち去ってしまえばいいと思っていたのだが、現実はそうも簡単にはいかなかった。 「……ん? あそこになにか書いてないか?」 まだ日の光が十分に部屋に入ってきておらず、うす暗くてそこに何が書かれているのかまでは分からないが嫌な予感しかしない。 本来ならそこになにかが書かれていると分かった時点で絶対に近づきたくなかったのだが、ここから出るためにはどうしてもそこを通らざるをえなかった。 「見るな、そっちは見るな。絶対見るな……」 フラッグは元々怖いのがそれほど好きなわけではない。むしろ苦手だ。 子供の頃になにかトラウマでもあったのか、暗い道を通ろうとするだけでも足がすくんでしまう。 今は窓から差し伸べるかすかな光のおかげでなんとか立ち止まらずにはいられるが、すでにフラッグには窓に書かれた文字を確認するほどの心の余裕はなかった。 「べちゃっ……」 「ン゛ン゛ン゛ン゛!!」 できるだけ上を見ないようにと下を向きながらその場を通り過ぎようとしたのだが、どうやらその選択がいけなかったらしい。 上を向くな上を向くなと頭の中で反復していたら、今度は足元の注意がおろそかになってしまっていた。 フラッグは赤い血だまりに足を踏み入れそうになり、声にならないような悲鳴を上げながらもなんとか踏みとどまる。 外はまだ明るくなり始めたばかりだというのに、ここで大声を出してしまっては他の人に迷惑がかかる。 フラッグは口に手を当てながら悲鳴を必死に抑え込み、目線を逸らそうとしてつい顔を上へと上げてしまった。 「ぎゃああああああああああああああああ!!」 今度の悲鳴は抑えている暇などなかった。 窓に赤い文字で書かれた『た す け て』という文字を見るだけならばまだなんとかなっていたのかもしれないが、いきなり誰かに足首を掴まれれば誰でも悲鳴を上げてしまう。それがゾンビともなればさらなる恐怖だ。 どこからともなく現れたその小さなゾンビは、しっかりとフラッグの両足首を掴み、決して離そうとしなかった。 「く、来るなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 あまりの出来事に混乱状態に陥ってしまったフラッグはポケットに入っていた飴玉をゾンビへと思いっきり投げつけ、できる限りの時間稼ぎをしながら全力疾走でその場を立ち去ろうとする。 本来ならば昨日キャロルに渡すつもりでポケットに忍ばせていた飴玉なのだが、まさかこんな形で役に立つことになろうとは思いもよらなかった。 「ヴァヴァヴァヴァ……」 だが、ゾンビも負けてはいない。いきなり飴を投げられてしりもちをついていたゾンビはフラッグが背中を見せて逃げ出すところを見るとすぐに立ちあがり、フラッグの後を追いかけてくる。 ゾンビの知性は総じて少なく、動きも遅くて比較的容易に倒せる生物だと聞いていたつもりなのだが、このゾンビは恐ろしいほど速い。 フラッグもある程度足には自信がある方なのだが、距離を離すどころか逃げ回るにつれて着実に距離をつめてきていた。 「トリックオァトリートォ……」 「ああああああああああぁ!!」 もはやここまでくると声の大きさなど気にしている場合ではない。 フラッグは徐々に近づいてくるゾンビから必死に距離を離そうと奮闘するがその努力もむなしく、終いには走ってきた勢いのまま前へと押し倒されてしまった。 「がぶっ!!」 「ぎゃああああああああ!!」 起き上がろうと床に手を着いたのも束の間、その子供ゾンビは首筋へと噛み付いてくる。 ゾンビはアンデットと違い体が腐敗しており、少しでも噛まれたりすればそこから体中に毒が回ってしまう。 なんとかその場から逃げだそうと必死に抵抗するが、身体はピクリとも動かない。 もはやここまでか……。 フラッグの上に覆いかぶさって首に噛み付いているゾンビはとても柔らかく、フローラルないい香りがする。身体から次第に血が抜けていき、意識が遠く……。 「……って、お前キャロルだろ!! どさくさに紛れて吸血してんじゃねぇよ!!」 「ふははは。バレてしまっては仕方あるまいな。フラッグ、トリックオアトリートじゃ」 「トリックオアトリートって……、いくらなんでもハロウィンに本気になりすぎだろ」 「何を言う。こういう行事ごとは本気でやるからこそ楽しいのじゃろうが。さぁ、早く菓子を出してもらおう」 「いやいや、もう持ってねぇよ。さっきお前に投げつけたやつで全部だ」 「ほぉう……、いま汝は菓子を持っておらぬと言うたな。つまりいたずらをしてもいいというわけだな」 「いやぁ、それはちょっと……」 「恨むのなら昨日の汝を恨むのじゃな。菓子がないのならいたずらをしてもよいと言ったのは汝じゃぞ」 「ちょっと待てよ。なんでいっつも俺からしか吸血しないんだよ。吸血させてくれるような人は他にもいるだろう」 「何を言うか。これは汝に対する我からの愛でもあり、我に向かって菓子を投げてきた罰でもあるのじゃぞ。大人しく血を差し出せ」 「はぁ……」 フラッグはため息交じりにハッピーハロウィンと返し、キャロルの頭をなでながらそう答える。 あれだけ用心していたのにまさかこんな一日になるとは思ってもいなかったが、一つだけ言えるとすれば……。 「もうやだ。幼女怖い……」
|
||||||||
*** 活躍者 *** |
|
|
|||
該当者なし |
| ||
[3] キールアイン・ギルフォード 2018/11/06-23:16
| ||
[2] キャロル・クトゥルフ 2018/11/04-17:07
|