~ プロローグ ~ |
とある廃村。 |
~ 解説 ~ |
●状況 |
~ ゲームマスターより ~ |
おはようございます。もしくはこんばんは。春夏秋冬と申します。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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戦うのは好きじゃないけど この戦いが終われば 傷つけあわずにすむのなら 精一杯 お手伝いをしないと 戦闘前には よろしくお願いします、と どうか誰も悔やむことの無いように 魔術真名詠唱 魔女さんたちを背後に 中衛に布陣 鬼門封印で相手回避力を下げる 前衛の壁を抜けてくる悪霊を攻撃 基本九字 抜けてくる悪霊の数が多ければ小咒 仲間の魔女さんへ攻撃がいきそうなら庇う セパルさんはリーダー 特に怪我のないよう気を付けて 悲しみの連鎖は終わりにしたい 優しい魔女がいることも 友だち想いの魔女がいることも 今のわたし達は知っています いわれのない差別が終わるよう 浄化師として力を尽くします ヨセフ室長にも掛け合います わたし達を信じてもらえませんか? |
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アルケーさんの身の上話に目を伏せ 怨讐派の方達は、多かれ少なかれ、そのような目に遭ってるのかも、しれませんね… 魔女さん達には支援と回復、援護射撃をお願い クリスの少し後ろに陣取って鬼門封印と小咒による悪霊への攻撃を なるべく魔女さん達の方へは近づけないように、頑張ります 戦意の高い方が近づいてきたら、そちらへ鬼門封印を 悪霊が片付くまで、待って下さい… できれば魔女さんには攻撃したくない、です 敵方へ捕縛に乗り込む時は後ろから援護射撃をするようにします 捕縛だけで済ませたい、です 酷い事されたのは忘れられないと思います、けど このままだと、皆さん不幸になってしまう… 手を取りあい、幸せになる事、できないでしょうか… |
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◆目的達成に向けて ・恩讐派魔女の対処は捕縛等で無力化。 降参した際は受け入れ、追撃は行わない ・味方魔女への基本指示は後方からの支援・回復・魔法攻撃での援護 ※他、矛盾点含め他の参加者さんに従います。 唯「同じ魔女同士なのに…」 瞬「そうだね…でも戦いたくない魔女もいるみたいだから 俺達が全力で止めてあげよう!」 ◆戦闘 ・主に悪霊へ攻撃、魔女は気絶を狙う ・スペル詠唱後別れて行動 ・二人とも通常攻撃を織り交ぜながら 唯月はMG8、MG3等を駆使して仲間のサポートへ。攻撃はMG2 瞬は悪霊の属性毎にFN6、FN7、FN11を使い分け対応 ・味方魔女含め仲間とは積極的に共闘 ・敵との距離感に気をつけ、重症の場合は回復を待つ |
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決闘、ね… 魔女達の決めたことに口を出すつもりはないけど、指令を受けた以上は全力でやらなきゃね それにこういう分かりやすいのは好きよ 魔術真名唱え 前衛でまずは悪霊を減らす スキルで回避を上げてカウンター主体 魔力感知で特に激しい攻撃を仕掛けてくる悪霊をどの魔女が使役しているかを探っておく もし探せたら、その魔女が戦意高い魔女だと推定して、だいたいの位置を覚えておく 悪霊をだいたい倒せたら、再び魔力感知 敵魔女が隠れて何か仕掛けてこないかを警戒 近くにいるなら担当の味方魔女と一緒に突っ込んで捕縛を試みる 戦意が低い魔女なら降伏勧告して まだ抵抗しそうなら短剣の柄で殴る 魔女達にはあえて何も言わない 半端に立ち入るのも、ね |
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アルケーの話か…酷い話だ 戦闘前の御託はいらんだろう こんな場所じゃどんな正論を言っても陳腐に聞こえる ドクターの魔力探知と観察で戦意の高い魔女が使役する悪霊を優先的に狙う 魔女にも援護の攻撃と回復を頼む 俺は悪霊相手にDE5で攻撃して仲間が狙いやすようにしつつDE3で攻撃 戦意の高い魔女が悪霊を失って消耗したようなら仲間の魔女が気絶させように攻撃して隙を作る 戦闘後 こちらはテロさえ起こさなければ手出しをするつもりは一切ない 弾圧の歴史は恥ずべきものだ。だからこそ明るみにされるべきものだと思う 歴史はいい事も悪い事も伝えられてのものだろう? 魔女達には証人になってもらいたい。その為に室長達にも掛け合う |
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■目的 決闘に勝利し怨讐派を止める ■交戦方法、事前指示 1R目魔術真名使用 ルーノは味方魔女とおさえた敵の対応 ナツキは突出に注意し前で敵をおさえる 敵多数ならSH8、劣勢時はスキルを惜しまず押し返す ルーノは戦場全体を見て状況把握に努める 劣勢の味方には加勢、前衛を抜けた敵は位置を魔女含む味方へ伝え共に対処 またセパルへの奇襲、側面・後方からの挟撃を警戒 あれば二人で加勢、味方魔女にも援護要請 味方魔女へ決闘前に行動指示 指示内容は掲示板[36]参照 追加指示への適時の対応も併せて要請 ■対怨讐派 悪霊の撃破優先 魔女は討伐せず、降参は受け入れる 悪霊を倒しても戦うなら攻撃して弱らせ、味方魔女に要請し魔法で気絶させて無力化 |
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前後に別れる陣形 ヨナと魔女 後衛 魔力感知で戦意の高い魔女orアルケーの悪霊かを見極め 優先して攻撃 戦線突破する悪霊がいればそちらを先に 極力属性を仲間に伝え弱点突く ベ 前衛 壁となり間近の悪霊倒す 前に出すぎず陣形を保ち守り寄り 担当魔女への指示 防御の魔法と被弾時の回復を それ以外は遠距離攻撃 対象はヨナに合わせる 悪霊が減れば 体力少ない魔女を捕縛or気絶 向かって来る戦意の高い魔女の攻撃は敢えて受けてもいい 恨み言もあるなら耳傾け甘受 多少泥臭くなっても 心残りはしてほしくない 心情 ヨナ 魔女の力はとても強いものですが 力はただの力であって使う者次第 それは魔術も同じです なのにどうして人間は、魔女達を人と思わずにいられたのか… |
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~ リザルトノベル ~ |
●戦いに想う 「決闘、ね……」 魔女決闘への協力指令のため、廃村へと赴く道すがら『リコリス・ラディアータ』は呟いた。 「リコ?」 リコリスの言葉に、何かを感じ取った『トール・フォルクス』が声を掛ける。 これにリコリスは返した。 「魔女達の決めたことに口を出すつもりはないけど、指令を受けた以上は全力でやらなきゃねって、思っただけ。それに――」 覚悟を決めた声で続ける。 「分かりやすいのは好きよ。やるからには、全力で行くわ」 リコリスの言葉に、トールは決意する。 (リコがやる気だ……それに、この決闘で魔女達がけじめをつけられるなら、俺も協力したい) そうした決意を持っているのは、他の浄化師達も同じように見えた。 そして廃村へと辿り着く。 セパル達が迎え入れ、廃村の中に。 戦う相手となる魔女の戦力や、地の利の有る無しを訊く。 その話の中で、アルケーの過去が語られた。 (怨讐派の方達は、多かれ少なかれ、そのような目に遭ってるのかも、しれませんね……) アルケーの話を聞いて『アリシア・ムーンライト』は目を伏せながら思う。 (酷い事をされたのは忘れられないと思います、けど……このままだと、皆さん不幸になってしまう……手を取りあい、幸せになる事は、できないでしょうか……) 彼女の様子に気づいた『クリストフ・フォンシラー』は優しく声を掛けた。 「恨みだけで生きてたって楽しいことはないと思うよ。でも、そこから逃れるためにも、区切りが必要なのかもしれない」 「……そうかもしれません。時には、戦う必要があるのかも……それでも、捕縛だけで済ませたい、です」 アリシアの言葉に、クリストフは彼女の想いを受けとめるように返す。 「うん、分かった。アリシアがそう思うなら、俺はそうする。ま、これで発散して拳を降ろしてくれる事を願うよ」 そう思っているのは、他の浄化師達も同様だった。 (……酷い話だ) アルケーの話を聞いて『ショーン・ハイド』は思う。 彼の気持ちに気付いた『レオノル・ペリエ』は、彼の思いに返すように言った。 「同情してる?」 「……しているかもしれません。彼女達を弾圧した者達が、彼女達の身に起ったことを知るべきだと思っています」 「……そうだね。でも、それは難しいだろうね。魔女を弾圧した人達が理屈で分かってくれたなら、怨讐派なんて存在してない筈だから。それを思うと同情するよ」 レオノルの言葉に、ショーンは決意するように返す。 「この場で、出来ることをしましょう。俺には、この場で口にできる正論なんて思いつきません。だから行動で示します」 「うん、分かった……出来れば、大人しそうな人は拘束したくないな。魔女のみんなは守りたいよ」 以前の指令で、魔女の子供を保護したことのあるレオノルは続けて言った。 「怨讐派の子を保護した案件に携わったけどさ、あの子のご家族や周りの人に危害加えたくないしね」 「はい」 レオノルの言葉に賛同するように返すショーンだった。 (どうして人間は、魔女達を人と思わずにいられたのか……) 自らの気持ちを整理するように『ヨナ・ミューエ』は思う。 (魔女の力はとても強いものですが、力はただの力であって使う者次第。それは魔術も同じ。だというのに……) 悩むように考え込むヨナに、共に考えるように『ベルトルド・レーヴェ』が声を掛ける。 「教団が魔女にしたことは、間違っていたと思うか?」 これにヨナは確かな口調で返す。 「はい」 「そうか……なら、出来る限りのことをしよう。心残りをしないためにもな」 少し前の指令で、魔女狩りの過去を追体験することがあったベルトルドは、決意を込めるように返した。 「リチェ」 アルケーの話を聞き終わった『リチェルカーレ・リモージュ』に、『シリウス・セイアッド』は静かに声を掛ける。 これにリチェルカーレは、確かな意志を込め返した。 「戦うのは好きじゃないけど。この戦いが終われば、傷つけあわずにすむのなら。精一杯、お手伝いをしないと」 リチェルカーレの決意を込めた言葉に、シリウスは彼女の強さを感じ取る。 (心配する必要は無かったな) そして思う。リチェルカーレの決意を守るためにも、全力を尽くすと。 「リチェ。自分が最善だと思うことをしろ。お前は、俺が守る」 「ありがとう。シリウス」 シリウスの言葉に、リチェルカーレは笑顔を浮かべ返した。 浄化師達が決意をする中、具体的な戦術を話し合う。 それぞれ有効な意見を出し合ったが、特にクリストフとレオノルの意見は有効だった。 そこから自分の意見も加え、まとめていったのは『ルーノ・クロード』だ。 「これで、良いだろうか?」 ルーノの呼び掛けに、皆は賛同する。 この時決まったことは、大きく分けると3つ。 悪霊を優先して倒すこと。 怨讐派の魔女は基本捕縛。降伏時は受け入れ追撃は無し。 味方魔女は組み分けをし浄化師ごとに支援する。 これに加えて怨讐派の魔女に対しては、好戦的な相手を先にし、ある程度押さえてから降伏勧告などをすることに。 考え得る限り、最善の戦術だった。 実に巧い。 だからこそ、アルケーはある決意をすることになるのだが、この時点の浄化師達には知る由もなかった。 代わりに、浄化師達は可能な限りの最善を目指す。 味方の魔女達は、ウボーとセレナを合わせ32名。 これを4人1組に分け8チームに。 セパルにウボーとセレナを付け、遊撃役に。 残りの7チームが、それぞれ浄化師ペアの支援に当たる。 その中には、浄化師達と以前会ったことのある魔女達が。 「よろしくね。綺麗な尻尾のおにぃさん」 「今日は、私たちがサポートするわ」 ルーノと『ナツキ・ヤクト』に声を掛けたのは、以前合コン指令でダブルデートをしたエレナとリリィ。 「なるほど、そういうことか」 ルーノは2人に微笑みを浮かべたあと、真剣な表情になり返す。 「よろしく頼むよ。2人とも」 一方、ナツキは驚いたのか、耳と尻尾をぴんっと立てるが、すぐに真剣な表情になり言った。 「よろしくな! とことんやって終わらせよう!」 2人の真剣な表情に、エレナとリリィの2人は一瞬だけ泣き出しそうな表情になるが、すぐに明るい笑顔を浮かべ返した。 「任せて。おにぃさんの綺麗な尻尾に傷一つ付けないぐらい守るから」 「2人とも、ありがとう。嬉しいわ」 そうして合コン指令で浄化師に関わった残りの魔女達も、それぞれ支援につく。 振られることすらなく失恋したハーケンは、リチェルカーレを護衛するようにつき。 人ごみで離れたレオノルとショーンを再会させるように動いていたテトとキラは、援護攻撃と回復に。 アリシアに声を掛けたザザは、クリストフとアリシアの2人を心地好さげに見詰めたあと、何があってもすぐサポートできる距離に。 他の魔女達も、それぞれ担当する浄化師達の支援についた。 そんな中、魔女達の様子を見詰めながら、『杜郷・唯月(もりさと・いづき)』は思う。 (戦いが怖くて、足が竦んでる魔女さんもいるかもしれません) 唯月は、決意するように思う。 (戦いたくない魔女さんを無理やり戦わせるのは……個人的には……せ、せめて……その分わたしが頑張れたなら……!) 「いづ?」 確かな意志を瞳に宿した唯月に『泉世・瞬(みなせ・まどか)』が声を掛ける。 「気になることでもあるの?」 心配そうに声を掛けてくれる瞬に、唯月は返した。 「同じ魔女同士なのに……」 心の中の思いを、どう言葉にするべきか迷っている唯月に、瞬は元気付けるように言った。 「そうだね……でも戦いたくない魔女もいるみたいだから、俺達が全力で止めてあげよう!」 この応えに、唯月の心は軽くなる。 (瞬さんも、私と同じ気持ちでいてくれるんですね……) それが嬉しい。喜びを胸に抱きながら、出来る限りの最善を目指し、唯月は提案する。 「魔女さん達に戦わせないためにも……瞬さんは悪霊を倒すことに集中してください。私は、大丈夫ですから」 唯月の提案は、瞬のためでもある。 瞬は唯月を想うあまり、一時期はアウェイクニング・ベリアルに近づき過ぎたことがある。 それを避けるためにも、あえて唯月のことを戦いの最中は気に掛けず、戦いに集中する必要があるのだ。 「うん……分かった。お互い頑張ろうね! いづ!」 苦しさを感じながらも、瞬は唯月の提案を受け入れる。 それは唯月のことを信じているから。 そして、以前よりも彼女の事を知っているから。 今では恋人同士になった2人なら、離れることも受け入れられる。 こうして戦いの準備が整う。 待つことしばし。 怨讐派の魔女達はやって来た。 ●遺恨なく戦いを セパルとアルケー。 2人の魔女の誓いの言葉が朗々と響く。 それは決闘の誓い。 決闘の結果を尊重し、遺恨を残さないという誓約。 誓いを終わらせ、戦いを始めようとする、その寸前に。 リチェルカーレが、怨讐派の魔女達に向け声を掛けた。 「よろしくお願いします」 毒気が抜けるような言葉に、怨讐派の魔女達の何人かは、刺すような視線を向ける。 だが、リチェルカーレは真っ直ぐに受け止めるように視線を返し、祈るように言った。 「どうか誰も悔やむことの無いように」 リチェルカーレの言葉の真剣さと、覚悟を込めた眼差しに、彼女に刺すような視線を向けていた魔女達は、戸惑うような表情を見せる。 けれど魔女達は、それを振り払うように戦いに身を投じ、浄化師達は応えた。 (傍からみたら無駄に思えても、けじめが必要な場合もあるんだろう) シリウスは、向かって来る魔女達に視線を向けながら戦いの意志を心に灯す。 「シリウス」 リチェルカーレの呼び掛けに応え魔術真名を詠唱する。 「黄昏と黎明 明日を紡ぐ光をここに」 魔女が使役する悪霊に向かって、シリウスは走る。 同時に、リチェルカーレは支援に動いた。 戦いの火蓋は落とされ、浄化師達は悪霊との戦火を交える。 怨讐派の魔女の布陣は、最前列に数十の悪霊達が。 そのすぐ後ろに十数人の魔女。 あとをついてくる形で残りの魔女達が追随し、リーダーであるアルケーは最後尾にいた。 浄化師達の内、エレメンツの皆は、魔力探知を使い好戦的な相手かどうかを探る。 魔力の流れは悪霊に繋がっており、最前列の魔女達が一番繋がりが多かった。 すぐにそれを皆に伝え、まず最初に制圧すべき好戦的な魔女達に目星を付け戦っていく。 それは楽な戦いでは無かった。 「数が多いね」 レオノルは属性の違うアライブスキルを立て続けに使う。 それは悪霊の属性を探るため。 浄化師達の内、異なる属性の攻撃手段が豊富な狂信者は、悪霊の属性を探るための攻撃をしていた。 属性が分かれば、すぐに知らせていく。 それは有効な方法だ。 属性が分かれば、有利に戦いを進められる。 だが、悪霊の数は多い。 「これじゃ、すぐに魔力が尽きちゃいそうだよ。魔女の魔法で、魔力の回復とか出来ないのかな?」 「出来るわよ」 レオノルの傍で炎の塊を打ち出していた魔女のキラが返す。 「使う度に、お互い体力が削れちゃうけどね。削れた体力は、一日ゆっくり休まないと回復しないから気を付けて」 「リスクはあるんだ。火力を維持したいから、魔力がなくなっちゃったら頼むよ」 「その前に、出来るだけ倒しましょう。ドクター」 ショーンはレオノルと連携し、悪霊を一体ずつ確実に倒していった。 「月と太陽の合わさる時に」 アリシアとクリストフは魔術真名を唱え、すぐさま最適な配置に動く。 前衛としてクリストフが悪霊達を迎え撃ち、少し後ろにアリシアが就き援護攻撃。 クリストフは悪霊の攻撃を避け、あるいは弾き。 次々に悪霊に斬撃を叩き込む。 そこに死角から、新たに1体が近付く。 「クリス、陰属性の悪霊が来ます」 いち早くアリシアが気づき、声を掛ける。 「分かった。そっちを先に叩くよ」 死角から襲い掛かろうとした悪霊に、クリストフは即座に反応。 悪霊が振り抜いた鈍器をサイドステップで避け、一瞬で踏み込む。 エッジスラストの一撃が、悪霊の胴を横なぎに切り裂いた。 そこに新手の悪霊が襲い掛かろうとするが、アリシアが小咒で牽制。 サポートについた魔女達が攻撃魔法を叩き込み倒していく。 それに気付いた怨讐派の魔女が、攻撃をしようと距離を詰めてくる。 気付いたアリシアが鬼門封印を使い、機動力を一時的に削った。 「悪霊が片付くまで、待って下さい……できれば魔女さんには攻撃したくない、です」 アリシアは祈るように、悲痛な声を上げた。 「ペリドットアイリス」 魔術真名を唱えると同時に、別々に唯月と瞬は悪霊に攻撃を重ねていく。 瞬は遊撃手として動き、仲間の支援に。 「させないよ」 仲間の死角から襲い掛かろうとした悪霊に、エアースラストを放ち切り刻む。 瞬を手強いと判断したのか、数体の悪霊が集中攻撃。 それを瞬は避けていく。 どうしても避け切れない一撃は、サポートの魔女が防御魔法で威力を削る。 しかしダメージはゼロではない。 けれど瞬は怯むことなく、属性の異なるアライブスキルを駆使し、次々に撃破していった。 戦いに集中する瞬。 それだけに唯月に意識を向ける余裕などない。 だが唯月は、瞬と離れていても、浄化師として立派に戦っていた。 (守らないと) 悪霊の攻撃にさらされそうになった魔女を守るため、唯月はペンタクルシールドを発動させ庇うように前に立つ。 タロットカードのシールドが威力を削るも、ダメージを受ける。 けれど唯月は即座に反撃。 ソードのタロットカードを投擲し悪霊を切り裂いた。 「怪我はないですかっ」 慌てて駈け寄る世俗派の魔女は悔やむように言う。 「……私たちが、もっと前に出て戦わないといけないのに」 「大丈夫、です」 唯月は、魔女を安心させるように返した。 「あなた方の……戦いたくない方の気持ちは……大切にしたいんです。でもわたしは……皆さんに力になりたいから……だから、出来ることをしないと」 「……っ」 唯月の言葉に、庇われた魔女は決意するように返す。 「貴女が私たちの力になってくれるなら、私達も力になります」 言うと積極的に魔法を展開。 魔女の支援を受け、唯月は悪霊達を倒していった。 「闇の森に歌よ響け」 魔術真名を唱え、リコリスは戦場に踏み込む。 魔力感知で、複数の悪霊と繋がりがある魔女達を確認。 (戦意が高い魔女ね、きっと。なら、まずは最初に悪霊を倒さないと) 魔女を穏便に拘束するために、悪霊へと向かう。 狙いはカウンター。 悪霊の攻撃を躱し、即座に反撃する。 その動きは舞うような軽やかさで、悪霊達を翻弄していった。 (体が軽いわ) 魔女の支援魔法により、リコリスの動きはいつもより更に素早い。 縦横無尽に駆け回り、次々に悪霊を切り裂いていった。 だが、悪霊の数は多い。 素早い動きで捉えきれないリコリスより先に、支援を行う魔女達を攻撃するべく、怨讐派の魔女は前に出て来ようとする。 そこにトールの牽制の一矢が入る。 (動きを止める) トールはワーニングショットを使い威嚇射撃。 足元に突き刺さった矢に、怨讐派の魔女の足が止まる。 それは悪霊達への指示が一時的に途切れることにも繋がった。 魔女の制御から一時的に逃れ、集団で襲い掛かろうとする。 だがそれは、絶好の的だ。 トールのスウィーピングファイアが放たれ、まとめて悪霊の心臓を貫いた。 戦いは苛烈さを増していく。 悪霊を次々倒していくが、同じぐらいのスピードで新たな悪霊が発生する。 疲労が少しずつ溜まり、戦況は一歩間違えれば混戦へと向かいそうになっていた。 それを避けるため、ルーノは戦況を見極め指示を出していく。 「右翼側が押されている! ここは大丈夫だから2人支援に動いてくれ!」 戦局の全体把握により、ルーノは不利な箇所を見極め指示を飛ばす。 それは効果を発揮し、少しずつだが浄化師達が押し始めていた。 「余計なことを!」 ルーノを脅威と見たのか、怨讐派の魔女は悪霊に指示を出し襲撃させようとした。 だが、ナツキが前に立ちはだかる。 突進してきた悪霊を真正面から迎え撃つ。 恐れなどなく、前へ踏み抜く。 悪霊が攻撃する余裕さえ与えず、心臓を貫いた。 倒され消え失せる悪霊。 しかし次々やって来る。 それをルーノとナツキは、一歩も退くことなく全力で応じる。 「恨みも怒りも全てぶつけるといい、受けて立とう」 ルーノは、自分達に刺すような視線を向ける怨讐派の魔女達に、誠意をもって断言する。 それは教団に属する自分達と戦う事で、魔女達の積怨が少しでも晴れる事を願ってのこと。 「とことんやらなきゃ終われない事ってあるもんな。いいぜ、かかって来いよ!」 ナツキは、魔女達の怒りと恨みを真正面から受け止めるように宣言する。 その意志に返すように、怨讐派の魔女達はぶつかって来る。 苛烈な攻撃に、ルーノとナツキの2人は攻撃を受ける。 しかし世俗派の魔女達が即座に回復。 魔女の恨みを受け止めるルーノとナツキの意志の応えるように、世俗派の魔女達は防御魔法を重ね守っていた。 戦いは留まることなく続き、ある時点から一気に浄化師達の優位に傾いた。 次々現れた悪霊達の大半を倒し、その影響で怨讐派の魔女達は疲労していったからだ。 その隙を逃さず、一気に攻勢をかける。 悪霊達に止めを刺し、世俗派の魔女達の協力を得ながら、怨讐派の魔女達を気絶させ拘束していった。 (こんなこと、早く終わらせないと) 歯を食いしばるような懸命さで、ヨナは戦っている。 魔力感知を使い見極めながら、世俗派の魔女の支援を受け悪霊を倒していった。 それは効果をみせ、怨讐派の魔女達の拘束に繋がる。 (恨み言のひとつも、言わないのですね) なにを言われても受け止める覚悟だったヨナだが、魔女は何も言わなかった。 恨み言を言う余裕すら、無いように見えた。 「もう、やめましょう。これ以上、貴方達を傷つけたくありません」 ヨナは残りの、アルケーと10人ほどの魔女達に呼び掛ける。 「教団が魔女にしたことは間違っていたと思います」 ヨナは偽らざる思いを口にする。 「魔女狩りの事実や失われた命は取り戻せません。 けれどその全てを、覚えておくことはできます。 人を憎んだままでも、忘れなくてもいい。 ですがせめて『敵』であることはやめにしませんか。 今日ここで、戦いが終わったら、区切りをつけませんか。 魔女の未来に向けて」 祈るような言葉。 それを引き継ぐように、ベルトルドは言った。 「以前、魔女の呪いが満ちる場所に行き、そこで魔女達の歴史の一部を垣間見た」 自らの血肉を紡ぐような想いを込め、ベルトルドは続ける。 「人のように生きたいと言う魔女もいた。 逃げ隠れするのに疲れたという魔女もいた。 元々の被害者は誰かと思わずにはいられなかった」 凄惨な過去ではなく未来を望み、ベルトルドは提案する。 「決着が着いたなら、魔女達が一つになり、次の世代に悲しみを受け継がせないよう、出来ることを協力させて欲しい。 そのためには自治権も要るだろう。叶うものなら、力になりたい」 未来を紡ぐように語るのは、他の浄化師達も同じだ。 「教団は君達の命と今後の生活を保証する」 クリストフは、魔女の身の安全を口にする。 「聞いてると思うけど、魔女への待遇悪くないと思うよ。こっち側へ来ないかい?」 それは今までの指令の実績があったからこそ、魔女に届く言葉。 アルケー達、怨讐派の魔女達も知らされている事実に、静かに耳を傾けていた。 伝える言葉は続く。 「俺ももちろん、魔女達の人権については最大限協力は惜しまないよ」 トールは仲間の浄化師の言葉に賛同しながら、リコリスに視線を向ける。 彼女はアルケー達から視線をそらさず、真っ直ぐに見つめていた。 けれど、何かを口にしようとする気配はない。 (リコは……力にはなりたい、けどどうしていいか分からない……ってとこかな) 「デリケートな問題だから仕方ないけど、気持ちだけでも伝えてみたら?」 トールの言葉に、リコリスは静かに返す。 「半端に立ち入るのも、ね」 それも一つの選択。 無意味という訳では、決してない。 リコリスは悪霊達との戦いの中、全力を尽くし行動で示している。 怨讐派の魔女達に真正面からぶつかった彼女の真剣さを、魔女達は肌で感じ取っていた。 静かに耳を傾ける魔女達に、願うような言葉は続く。 「悲しみの連鎖は終わりにしたいんです」 リチェルカーレはアルケー達に視線を合わせ言った。 「優しい魔女がいることも、友だち想いの魔女がいることも、今のわたし達は知っています。 いわれのない差別が終わるよう、浄化師として力を尽くします。ヨセフ室長にも掛け合います。 わたし達を信じてもらえませんか?」 リチェルカーレの言葉に、僅かな揺らぎを魔女達は見せる。 そこにシリウスは言葉を続けた。 「――教団を信用するのは難しいかもしれない。 それでも同じ魔女のアルケーやセパルなら信じられるだろう」 シリウスの言葉に、魔女達はアルケーやセパルに視線を向ける。 この2人は、方向は異なっていたとしても、魔女達のために尽力してきた実績がある。 だからこそ迷いの中、すがるような視線を向けていた。 これにセパルは何も返さない。 ただ、アルケーの言葉を待つように、視線を向けていた。 アルケーは過去と今の想いの全てと向き合うように、目を閉じる。 そして短くない時間が流れたあと、応えを返した。 「降伏は、出来ないわ」 アルケーの言葉と同時に、周囲を覆う巨大な炎の壁が発生する。 アルケーの魔法で生み出されたそれは、熱を感じさせず燃え広がることもない。 だが、内に居る者達を決して逃さぬという強固さと、外からは誰にも、これからここで行われることを覗かせないという意志を感じさせた。 「どうしても、戦わないといけないんですか」 悲痛な響きを滲ませ呼び掛けるヨナに、アルケーは穏やかな眼差しで返す。 「私達は、怨讐派の魔女、全ての想いを背負ってここにきているの。 負けるなら、それは仕方ないわ。でも、降伏は出来ない。 それは、皆を裏切ることになるから」 この言葉に浄化師達は返そうとする。 だがそれより早く、アルケーは言った。 「決着をつけましょう。これから先を、生きるために」 その言葉には怒りも憎しみもなく、願いだけが込められていた。 「貴方達の戦いを見ていたわ。ありがとう。魔女を出来るだけ傷付けずに戦ってくれたわね」 浄化師達の行動が、アルケーの言葉を導いていた。 「貴方達の言葉に意志を感じ取れた。行動も示してくれた。だから後は、決着をつけるだけ」 アルケーはセパルに視線を向け言った。 「貴女達は手を出さないで。その代り、私達も悪霊しか使わない」 「……分かったよ。でも、浄化師の子達は戦い続けて疲れてるから、回復と加護をあげるのはいいよね」 静かにアルケーは頷く。 そして世俗派の魔女達は、浄化師達の回復と加護を。 怪我と体力を回復させる。 そして一晩寝て休まなければ癒せない疲労と引き換えに、魔力を全て回復させた。 そこに守りと加速の加護が掛けられる。 浄化師達は、魔力を回復する際の僅かに減った体力を除けば、万全よりも良い条件が整う。 引き換えに、戦い続けて疲労の溜まっていた世俗派の魔女達は、セパルを除いて、その場で倒れてしまいそうなほどの疲労を見せた。 「準備は良いみたいね。なら、始めましょうか」 アルケーの言葉に、ヨナは誓うように言葉を返す。 「魔女の未来のために、戦います」 これにアルケーは、失ってしまった誰かを思い出すようにヨナを見詰める。 そして他の浄化師達、特にエレメンツであるリコリスやレオノルを見詰め言った。 「魔女の未来のために、戦いましょう。それはきっと、貴方達の未来にも繋がっているわ」 事実をアルケーは告げる。 「魔女はエレメンツから生まれた者。 原因が分からない以上、これからも生まれないとは限らない。 今でも、極稀にだけれど、エレメンツから魔女は生まれるわ。 エレメンツでない者も、先祖を辿ればエレメンツと契りを結んだ者も居る筈よ。 これから生まれてくる子供達から、魔女が生まれて来ないとは限らないの」 それはアルケー達、怨讐派の魔女達が、自分達が受けた迫害の記憶を耐えてでも守りたい事実。 「怒りも恨みも、決して消すことはできないわ。 けれど、これから生まれてくる魔女達のためなら、それを飲み込むことができるかもしれない。 でも、それが分かっていても、何かがなければ私達は止まれないの。 だから、お願い……決着をつけましょう。 これから生まれてくる子達の、未来のために」 それは凄惨な過去から、一歩踏み出そうとする願い。 ここからの戦いは、そこへと至るための儀式でもある。 未来を望む戦いが、始まった。 ●未来の兆しはこの一戦に! 怨讐派の魔女達が使役する最後の悪霊は20体。 アルケーの使役する悪霊を中心に、精強な気配を感じさせる。 だが、浄化師達は果敢に戦っていく。 リチェルカーレはシリウスと共に、悪霊達と対峙する。 一気に距離を詰め、戦闘の間合いに近付くと同時に、シリウスは更に加速。 向かう先は、大剣使いの悪霊。 悪霊は、シリウスの踏み込みに合わせ迎撃をするべく、大剣を構える。 そこにリチェルカーレの鬼門封印が発動。 機動力を一時的に削られた悪霊は、回避を捨てる。 攻撃のみに特化した振り降ろし。 それをシリウスは辛うじて避けるも、振り降ろしから立て続けに放たれた横なぎの斬撃を受ける。 だが、それはシリウスの狙いのひとつ。 浅く受け、制裁を発動。 カウンターの一撃を叩き込んだ。 切り裂かれ体勢の崩れる悪霊。 その隙を逃さず、シリウスは追撃を放つ。 渾身のエッジスラスト。 鋭い踏み込みと同時に放たれた一撃は、悪霊の腕を斬り飛ばした。 しかし、悪霊の動きは止まらない。 精妙さを捨てた無数の斬撃を放つ。 それはシリウスの動きを止めるため。 その隙に死角から、新たな悪霊が襲い掛かろうとするも、リチェルカーレが防ぐ。 (させない) 小咒を放ち牽制。 リチェルカーレの援護を受けている間にシリウスは眼前の悪霊を倒し、そこから2人で協力して新たな悪霊を倒していった。 アリシアとクリストフも、連携を見せ悪霊を倒していく。 (魔女さん達の未来のためにも、絶対に、勝たないと) アリシアの想いに応えるように、クリストフは果敢に攻めていく。 (こいつは、陰属性だな) 槍使いの悪霊と剣を交え、クリストフは確信する。 悪霊の一撃一撃が、打ち込みの鋭さよりも更に強い。 属性の影響が出ているのは明らかだ。 一歩間違えれば、大きなダメージを受ける。 だがそれは逆に、クリストフの一撃も悪霊にとっては致命傷ということ。 (こいつは相性的に、俺が倒した方が良い。なら――) 「アリシア! 少しの間で良い! 他の悪霊を近づけさせないでくれ!」 「はい!」 クリストフに目の前の悪霊に集中させるため、アリシアは小咒を放ち他の悪霊を牽制。 その好機を、クリストフは全力で活かす。 槍使いの悪霊の一撃を、紙一重で避けると剣撃の間合いに踏み込む。 その瞬間、悪霊は突き出した槍の柄をくるりと反転。 横なぎの一撃を放つ。 それをクリストフはあえて受ける。 受けた瞬間、制裁が発動。 カウンターで放たれた鋭い剣撃が、悪霊の手首を切り裂く。 切り裂かれ、手にした槍を落とす悪霊。 そこに渾身のエッジスラスト。 踏み込みと同時に放った一撃が、悪霊を真っ二つに切り裂いた。 クリストフは悪霊の消滅を確認するとすぐに、アリシアの援護に回り戦いを続けていった。 唯月は、積極的に前に出て戦う瞬をサポートするように戦っていた。 (魔女さん達のためにも……戦わないと……) 唯月は自らを奮い立たせ、アライブスキルを駆使していく。 近付く悪霊にルーナープロテクションを掛け、弱った隙にアルカナソードを使い積極的に攻撃。 勇敢に戦うのは、前に1人で出て戦う瞬も同様だ。 「遅い。こっちだよ!」 悪霊を牽制するように挑発しながら、最適の間合いを保つ。 距離を取って戦える瞬は、常に優位な間合いで戦いを進めていた。 だがそれは、唯月が他の悪霊と戦い、抑えているからこその優位。 それを分かっている瞬は、今すぐにでも唯月を守るために駈け寄りたい。 しかしそれは、瞬のために1人で戦っている唯月の思いを無視することに繋がる。 だからこそ、唯月の信頼に応えるために戦いに集中する。 ロックバーンを使い効果が薄いと見るや、即座にリーフスラッシュを叩き込み、確実に倒す。 (瞬さん……わたしも、頑張らないと……) 悪霊を倒した瞬の勇姿に、唯月は離れていても戦う勇気を貰う。 ペンタクルシールドで守りを固め、アルカナソードを叩き込み倒していく。 それは瞬を支えることもできるのだと、証明するような戦いだった。 「決闘らしくなってきたわね」 (リコがすごい悪い顔してる……楽しそうだな……) 生き生きとしているリコリスに、トールもやる気をみせる。 「リコ、全力でやろう!」 「ええ。行きましょう、トール」 気力を漲らせ、2人は前に出る。 先行して突出するのはリコリス。 魔性憑きの軽やかな動きを活かし、瞬く間に悪霊に接敵する。 悪霊は2体。 1体はボウガンを持ち、後方から狙いを付ける。 だが、トールが防ぐ。 「させるか!」 ワーニングショットを使い、牽制の一撃を放つ。 悪霊は避けようとするも、肩を削るようにかすめる。 動きが鈍った所で、息もつかせぬ連続射撃。 リコリスを狙わせる余裕など与えない。 その隙にリコリスは、刀使いの悪霊に踏み込む。 「どうしたの? 来なさい」 誘うように、わざと敵の間合いに踏み込む。 それに乗る悪霊。 雄たけびと共に刀を振るい、リコリスはギリギリを見極める。 薄皮1枚を、かするような攻撃を受ける。 その瞬間、スイッチヒッターが発動。 カウンターの斬撃が、悪霊の手首を切り裂いた。 動きが鈍る悪霊。 その隙を逃さず、リコリスは連続で攻撃を叩き込む。 軽やかな動きを駆使しながら、悪霊を倒していった。 「ショーン。右手の悪霊は陽属性だ。先にあちらを集中して叩こう」 「分かりました、ドクター」 ダークボールを打ち込み手応えから属性確認をしたレオノルは、ショーンと協力して悪霊に挑む。 向かって来る悪霊は2体。 大剣使いと銃使い。 先行してショーンがトリックショットを使い、銃使いの悪霊の足を止める。 そこに追撃でレオノルはダークボールを叩き込み、間髪入れずショーンの連撃。 1体を倒す。 しかしそこで、大剣使いの悪霊が間合いを詰めてくる。 そこでショーンが動いた。 「ドクター! 奴を引き付けます!」 ショーンは、悪霊の注意を引きつけるために前に。 「無茶しちゃダメだよ!」 「大丈夫です! 出来ることをするだけです!」 ショーンは悪霊と距離を詰め、攻撃を誘う。 即座に反応する悪霊は、大剣を振り抜く。 ショーンは掠るように攻撃を受けながら、悪霊を少しずつ誘導。 そこにレオノルの攻撃が入る。 ショーンに集中していた悪霊は避け切れず命中。 一瞬動きを止めた隙にショーンは距離を取り、レオノルと共に十字射撃。 悪霊を倒していった。 ナツキとルーノは、全力を出し切って戦う。 「かかって来い!」 ナツキは受け止めるように真っ直ぐに、正面から悪霊を迎え撃つ。 出し惜しみなど一切なく、初手からアライブスキルを叩き込む。 大剣使いが振りかぶった瞬間、一気に懐に飛び込む。 磔刺を発動。 悪霊の心臓を一突きにし、突進の勢いも利用して地面に串刺しにする。 だが、その状態でも悪霊は足掻く。 地面に串刺しにされたまま、大剣を横に振る。 瞬間、ナツキは剣から手を離しバックステップ。 危なげなく回避する。 しかしそこに、横から新手の悪霊が。 そこにルーノの小咒が叩き込まれる。 炎の蛇が、悪霊の喉元に食いつくようにして命中。 動きが鈍る悪霊。 その隙に、地面に串刺しにした悪霊から剣を引き抜き、ナツキは止めを刺す。 「ありがとな! ルーノ!」 「どういたしまして。それよりも、残りを仕留めるぞ、ナツキ」 「おう!」 2人は連携して悪霊を倒していった。 次々に悪霊は倒されていく。 最後の2体を仕留めたのは、ヨナとベルトルド。 「まずは俺が前に出る」 「分かりました。倒すなら、早めに。でないと、2体とも私が仕留めてしまいますよ」 いつもの調子をみせるヨナに、ベルトルドは苦笑する。 (この戦いが魔女の未来に繋がるものと分かって、気を持ち直したか) 最初の頃の鎮痛で沈んだ様子はない。 今なすべき事をしようとする、晴れやかな覚悟が見れた。 (良いことだ。まぁ、気持ちを切り替えられたのは、俺も同じだが) 望むべき未来を掴むために。 ベルトルドは一気に踏み出す。 重心を落とし、一気に加速。 ネコ科の獣のような柔軟さと、習い覚えた武術の卓越した動き。 間合いを詰めるは一瞬。 その瞬間、刀使いの悪霊は振り降ろしの斬撃を。 後に続く攻防は、まさに刹那の瞬き。 振り降ろしの斬撃を、ベルトルドは右の拳で払い落とす。 刀の側面を叩く、逸らしの技巧。 だが衝撃はダメージとしてベルトルドに伝わり、それゆえに反射魔術である制裁が発動。 カウンターとして左掌底を悪霊の脇腹に。 悪霊の体勢が崩れる。 逸らしと崩し。2つの技巧の繋がりが、止めの一撃を導く。 魂洗い発動。 踏み込みと共に放たれた拳が叩き込まれ、悪霊を粉砕した。 その瞬間、死角から残りの悪霊が。 しかしそれはヨナの攻撃へと繋げるベルトルドの誘い。 ベルトルドに集中し生まれた隙を突いて、ヨナのファイヤーボールが叩き込まれる。 会心の一撃となって、悪霊を焼きつくした。 かくして、全ての悪霊は倒される。 それは、兆しとはいえ、新たな未来が切り開かれた瞬間だった。 ●未来を目指して 「ケガしてんだからほっとけないだろ!」 戦い終わり、傷付いた怨讐派の魔女達をナツキは手当しようとする。 要らないと断る魔女達に、それでもナツキは諦めない。 「……こういう時の彼は梃子でも動かない。手当させてやってはもらえないだろうか」 真摯な眼差しで語り掛けるルーノと、自分の意思で手当てをしようとするナツキに、最後には魔女達は受け入れる。 「簡易救急箱を持って来ています。私も、お手伝いをさせて下さい」 「怪我をされた方は、多いですから、私も手伝います」 簡易救急箱を持って来ていたリチェルカーレとアリシアが手伝いを申し入れ、同じように唯月と瞬も手伝う。 「痛いところは、ありませんか?」 「無理をしないで言って。出来るだけのことはするから」 唯月と瞬の申し出に、静かに返す魔女達だった。 そうして怪我人の介抱をしながら、セパルとアルケーの2人と今後を話し合う。 「こちらはテロさえ起こさなければ手出しをするつもりは一切ない。 弾圧の歴史は恥ずべきものだ。だからこそ明るみにされるべきものだと思う。 歴史はいい事も悪い事も伝えられてのものだろう? 魔女達には証人になってもらいたい。その為に室長達にも掛け合う」 皆を代表して意見を言うショーンに、セパルとアルケーの2人は返した。 「ありがとう。魔女に起ったことは、いずれ歴史として公にしたいけど、今はまだ、無理だろうね」 セパルは続けて言った。 「明るみにするってことは、教団がしたことを公にするってことだよ。 そうなれば、責任だとかの話も出かねない。 場合によっては教皇にも飛び火しかねないことを教団が許すとは思わないよ」 これにシリウスは返す。 「教団は、信じられないか?」 この問い掛けに、セパルは息を抜くような間を開けて返した。 「室長くんの居る教団なら、信じるよ。でも、教団そのものは無理」 「……教団が保護している魔女も居るけれど、それでもかい?」 魔女の子供の保護に関わった事のあるクリストフの言葉に、セパルは返した。 「それは室長くんと、彼の周りの子達の頑張りのお蔭だよ。 気を付けて。室長くんは、今の流れの要のひとつだ。 彼が居るからこそ、キミ達の今もあると思う。 だから――」 セパルはアルケーと視線を合わせたあと言った。 「ボクたち魔女は、室長くんの居る教団なら信じる。 もちろん、キミたち浄化師もね。 たがら、キミ達の力になるよ。 アルケー達も、そうだよね?」 これにアルケーは返す。 「……ええ。今日の決闘の結果で、説得する材料になると思うわ。 それでも、貴方達のことを不審に思う子達は居ると思う。 だから、貴方達を知るためにも、協力するわ」 それは今後の指令で、魔女達の支援が得られる場合もあるということ。 浄化師達が、魔女決闘で行動と意志を示し、勝利したからこその申し出だった。 「良いんじゃない? 味方が増えるのは、良いことだし」 リコリスの言葉に、トールは賛同する。 「だよな。こっちも、魔女の人権獲得のために、協力するよ」 「それ以外にも、自治権が必要なら手助けをしよう」 ベルトルドの言葉に、セパルは返す。 「ありがとう。実を言うと、こっちも魔女のみんなで住める場所とか探してるんだ。 ほら、前にダンジョン探索で協力して貰った所があるでしょ? 虚栄の孤島。 あそこ、いま誰も住んでないし。自治権が得られるなら、あそこを本拠地に出来ないかなって思って」 「そうなの? そういえば、あそこのダンジョンって魔法使いが作ったものらしいけど、ひょっとすると魔女が作ったのかな?」 好奇心を浮かべ尋ねるレオノルに、セパルは返す。 「うん。もっとも作ったヤツ、隠遁派で今どこに居るのかも分かんないから。あそこを制覇するためには、こっちも正攻法で行くしかないんだよね」 ダンジョン『試練の塔』を作った魔女を思い出しているのか、ため息をつくように言うセパルだった。 一連の話し合いで、和やかな空気が流れる。 その穏やかさに背中を押されるようにして、ヨナは言った。 「魔女の皆さんと、私達の未来を、これから作っていきましょう」 この言葉に、アルケーは穏やかな微笑を浮かべ返した。 「ありがとう。嬉しいわ」 かくして魔女決闘は終わりをみせる。 浄化師達の見事な活躍により、新たな未来へと繋がった指令であった。
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*** 活躍者 *** |
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[37] 杜郷・唯月 2018/11/16-21:49
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[36] ルーノ・クロード 2018/11/16-21:39 | ||
[35] ルーノ・クロード 2018/11/16-21:39
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[34] レオノル・ペリエ 2018/11/16-21:36 | ||
[33] クリストフ・フォンシラー 2018/11/16-21:18
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[32] リチェルカーレ・リモージュ 2018/11/16-21:15
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[31] リコリス・ラディアータ 2018/11/16-21:04 | ||
[30] ヨナ・ミューエ 2018/11/16-17:49 | ||
[29] 泉世・瞬 2018/11/16-17:22
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[28] ルーノ・クロード 2018/11/15-23:25
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[27] ルーノ・クロード 2018/11/15-22:34 | ||
[26] ヨナ・ミューエ 2018/11/15-21:17
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[25] リチェルカーレ・リモージュ 2018/11/15-21:14
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[24] ヨナ・ミューエ 2018/11/15-21:03 | ||
[23] レオノル・ペリエ 2018/11/15-20:58 | ||
[22] クリストフ・フォンシラー 2018/11/15-20:57
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[21] クリストフ・フォンシラー 2018/11/15-20:49 | ||
[20] クリストフ・フォンシラー 2018/11/15-20:34 | ||
[19] リコリス・ラディアータ 2018/11/15-00:26 | ||
[18] 泉世・瞬 2018/11/14-23:48
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[17] レオノル・ペリエ 2018/11/14-21:33 | ||
[16] ヨナ・ミューエ 2018/11/14-17:09 | ||
[15] ルーノ・クロード 2018/11/14-01:06 | ||
[14] クリストフ・フォンシラー 2018/11/13-22:52 | ||
[13] リチェルカーレ・リモージュ 2018/11/13-22:49 | ||
[12] レオノル・ペリエ 2018/11/13-19:58 | ||
[11] レオノル・ペリエ 2018/11/13-19:44 | ||
[10] リコリス・ラディアータ 2018/11/13-15:39 | ||
[9] ヨナ・ミューエ 2018/11/13-04:00 | ||
[8] 泉世・瞬 2018/11/13-00:21
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[7] リチェルカーレ・リモージュ 2018/11/12-23:35
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[6] ルーノ・クロード 2018/11/12-22:27 | ||
[5] クリストフ・フォンシラー 2018/11/12-21:08 | ||
[4] ショーン・ハイド 2018/11/12-21:01
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[3] リチェルカーレ・リモージュ 2018/11/12-20:51
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[2] リコリス・ラディアータ 2018/11/12-11:59
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