~ プロローグ ~ |
ヴァン・ブリーズの南の端の村から、芋掘りを手伝ってほしいとの依頼が届いた。 |
~ 解説 ~ |
パートナーや友人達と、楽しく芋を掘りませんか? |

~ ゲームマスターより ~ |
こんにちは、浅倉季音と申します。 |

◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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こんどはいもかー、こういう飯系は食いたくなるよなー! さつまいもって、何して食えば良いんだ? ふーん、結構あるんだな、食い方。 てんぷら、はニホンの食べ方だっけか、食べたことないし、美味しそうかもな。 で、ナニカはスイートポテトか。 いや、すっげぇうまいけど、食べ過ぎるとふとーーいってー!!!! なにすんだよナニカ! 俺は食っても太らねーから良いけど、お前は太るだろ! はぁ?別に気にするほど太ってないし、良いだろ。 ナニカが太ったら? まー、仕事に影響出るし、痩せろっていうかな。 でもナニカはナニカだろ。 って、そんなことより、掘るぞ! クワ使って、掘って掘って掘りまくりだー! |
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なーんか長期の指令言ってるうちに、なかなか大変なことになったんだねー。 シャドウ・ガルテンの国交回復もびっくりだけど、転移方舟の一部破壊はいたそうだー。 まぁ、それに頭悩ませるのは私の仕事じゃないからいーんだけど。 さてさて、久々の自分で選んだ指令だし、たのしもーよ。 ヨハネの使徒をぶっ殺してぶっ殺したいとこだけど、たまには息抜きもね。 掘って、焼き芋しよー、焼き芋。 掘るのめんどいね……でも、丁寧にやろうとしなきゃ、 サツマイモって、つた引っ張るだけでも結構抜けんじゃない? まー、習うより慣れろってやつさー、ほれほれー! |
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~ リザルトノベル ~ |
ヴァン・ブリーズの南の端の村は、朝から賑わっていた。 「おはようございます」 「おはよ……ふぁあ……」 今日は、村をあげての芋掘りの日なのだ。 子どもからおばあちゃんおじいちゃんまで、軍手に長靴姿で家を出てくる。 上下にヤッケを着て、首にはタオルを巻いて、農業用の布製の帽子もかぶって。 「さむいよー」 「動いてりゃ暖かくなるんじゃね?」 ようやっと明るくなり始めた村は、まだ少し肌寒い。 しかしながら晴れるうえ、最高気温も先月並と予報されている。 厚着は厳禁だ。 「これ全部か。毎年のことではあるが、骨が折れる仕事だよな」 「うん。でもあたし達のお祭りだし、気合いいれなきゃね!」 天気のいいうちに、村の畑に植えているすべてのさつま芋を掘らなければならない。 そして収穫感謝祭までに、供える芋とそうでない芋を選別しなければならない。 「それに今年は、強力な助っ人のみなさんが来てくださっておるしのぅ」 「頼りになりそうな人達ばっかりだにゃ!」 畑の前には、続々と人々が集まっている。 皆、村からの手伝いの要請に応えてきた村外の人達だ。 ひとりで。 友人と。 家族と。 大切なパートナーと。 村人達の役に立ちながら、想い出もつくれて、芋料理も食べられる。 一石三鳥な企画に、多くの人達が集まってくれていた。 * 「長期の指令行ってるうちに、なかなか大変なことになってたんだねー」 「大変なこと、ですか?」 「うん。例えばさー、シャドウ・ガルテンの国交回復とかね」 「確かに……グロリアは、シャドウ・ガルテン出身ですものね」 「そうそう、びっくりだったよ。それに、転移方舟の一部破壊はいたそうだー」 「そうですね、なかなか精密な魔術のようでしたし……」 「まぁ、それに頭悩ませるのは私の仕事じゃないからいーんだけど」 「ふふふ。せっかくですから、機会があればグロリアの故郷に行ってみたいものです」 「うん、いつかねー」 「楽しみにしています」 「さてさて、久々の自分で選んだ指令だし、たのしもーよ」 「はい、節度を守って楽しみましょう」 「ヨハネの使徒をぶっ殺してぶっ殺したいとこだけど、たまには息抜きもね」 説明を聴こうと集まる村人達や協力者達に、『グロリア・ティティス』達も混ざる。 『ローズ・ブラッディ』も、グロリアについていき、笑いかけた。 「みなさん。お集まりいただきまして、ありがとうございます」 「本日はよろしくお願いいたします」 そう言って作業について述べ始めたのは、村長や神主らしい。 ほかの村人達からも、協力者達には口々に感謝の言葉が告げられた。 「いいってことよー。掘って、焼き芋しよー、焼き芋」 「焼き芋ですか、あまり食べすぎない程度にしましょうね」 応えたグロリアの頭のなかでは、既に焼き芋がほくほくしている。 やはり笑って、頷くローズ。 「グロリアさんとローズさん、ですね。おふたりは、此方の列をお願いします」 「おっけー」 「がんばります」 説明が終わると、芋掘りの区画が割り振られた。 とりあえず、ふたり一組で1列ずつ担当するようだ グロリアもローズも、最初こそ丁寧に土を掘り始めたのだが。 「掘るのめんどいね……」 すぐに、飽きてしまった。 「えぇ……掘るのは、少し大変ですね」 ローズも、グロリアに同意見である。 ふたりして、なにかよい方法はないかと考えてみたり。 「そっか。丁寧にやろうとしなきゃいいのか」 まるで大発見でもしたかのように、グロリアの赤瞳が輝いた。 「どういうことですか?」 ローズには、グロリアの意図が読みとれない。 「いやさ、サツマイモって、蔓を引っ張るだけでも抜けんじゃない?」 身振りを交えて、昔読んだ本に描いてあった気がするのだと説明するグロリア。 「う、うーん、どうなのでしょう。やったことがないのでわかりませんが……」 知っている気もするけれども、確信の持てないローズ。 「まー、習うより慣れろってやつさー、ほれほれー!」 「ほ、本当に大丈夫ですか!? あ、ああ……」 しかしそんなローズの心配を余所に、グロリアは蔓を掴んで引っ張った。 軽く引いても駄目なので、ちょっとずつ力を足していく。 芋の頭が見えれば、こっちのものだ。 蔓を切ってしまわないようにだけ気を付けながら、引っ張った。 「よいしょぉっ!」 かけ声とともに尻餅を着いたグロリアの腕の、その先に。 「わぁ……」 ローズから感嘆の声が漏れるほどたくさんの大きな芋が、繋がっていた。 「すごい……すごいですねっ!!」 「おぉ、どんなもんさー!!」 得意になったグロリアは、次のつるに手をかける。 ローズも、わくわくしながら見守っていた。 * 「こんどはいもかー、こういう飯系は食いたくなるよなー!」 「指令を探すときは、食べ物がついているかどうかを確認するようになってきましたね……」 説明を聴き終えて、『キールアイン・ギルフォード』がうーんと背伸びをする。 『ナニーリカ・ギルフォード』も、ちょっと嬉しそうだ。 「キールアインさんとナニーリカさん、ですね。おふたりは、此方の列をお願いします」 「りょうかいだ!」 「分かりました」 ふたりともしっかりとクワを握って、準備万端。 腰を下ろして、土に刃を入れた。 「それにしても、さつまいもって、なんにして食えばいいんだ?」 「そうですねー、シンプルに蒸す、大学芋、スイートポテト、てんぷら、さつま汁とかかな?」 さくさく土を掘りながら、キールアインは首を傾げる。 少し考えて、ナニーリカが指折り答えた。 「ふーん、結構あるんだな、食い方」 「どれが気になります?」 「てんぷら、だな。ニホンの食べ方だっけか、食べたことないし、美味しそうかもな」 「てんぷらは私もあまり食べたことありませんし、いいですね」 キールアインの頭のなかに、ぼんやりと芋のてんぷらのカタチが浮かぶ。 一方、ナニーリカの脳裏には、過去に食べたカタチや味が思い起こされていた。 「でも、やっぱり一番はーー」 「で、ナニカはスイートポテトか」 言いかけたナニーリカの言葉を、キールアインが遮る。 「え、なんでわかったの?」 「すっげぇうまいからな」 ずばり言い当てられて驚くナニーリカに、にかっと笑うキールアイン。 甘くて美味しいスイートポテトは、キールアインも好きだった。 「けど、食べ過ぎるとふとーー」 「うるさーい!」 キールアインの言葉を、今度はナニーリカが遮る。 そして、ぱーんといういい音が村中に響いた。 「いってー!!!!」 キールアインの頬を打ったのは、ナニーリカの平手である。 「なにすんだよナニカ!」 「なにするんだ、じゃないですよ! デリカシーのでの字もないんですから!」 「俺は食っても太らねーからいいけど、お前は太るだろ!」 怒るナニーリカに、しかし手は出さず、キールアインは口で抵抗した。 「う……ま、まぁ確かに、栄養が身体にまといやすい体質ですけど……」 痛いところを突かれて、ナニーリカは口ごもる。 「太った私は、キルは嫌い?」 そして小さな声で、キールアインを見上げた。 「はぁ? 別に気にするほど太ってないし、いいだろ」 その眼差しが可愛くて、ふぃっとあっちを向く。 「まー、ナニカが太ったら? 仕事に影響が出るし、痩せろっていうかな」 「そ、そうですよね、たしかに太ってたら支障が出ます」 キールアインの反応に、此方まで恥ずかしくなってきたナニーリカ。 視線を、そっと落とした。 「でもナニカはナニカだろ」 だがキールアインのこの言葉に、弾かれるように視線を上げる。 キールアインは、遠くの山を向いていた。 「キル……そんなイケメンなことを言えるようになって……」 思わぬひとことは、ナニーリカに感動をもたらす。 本当に嬉しくて、なんだかちょっと眼が潤んできた。 「って、そんなことより、掘るぞ!」 「んん。そんなことって……」 「クワ使って、掘って掘って掘りまくりだー!」 「ふふっ、なんだかんだ、まだ子どもな面もあるんですよね」 照れ隠しをするキールアインに、ナニーリカは思い切りの笑顔を贈る。 そういえば手放していたクワを握りなおして、芋掘りを再開するのだった。 * 「グロリアさんとローズさんは、芋を掘るのが早いですね」 「んー、それほどでも」 「土はついたままでもよろしいのでしょうか」 「そうですね……こうやって、軽く落としていただければ助かります」 「分かりました。次からそうします」 「よろしくお願いします。それではいただいていきます」 芋でいっぱいになった黄色のコンテナを、村人達が畑の外まで運んでいく。 受けとったコンテナを台車に載せて倉庫まで行くのは、別の者の仕事だ。 恐らく、応援に来た者だろう。 「きましたよ……っと!」 「待ってました!」 台車から作業台へとコンテナを移すと、最初の選別作業の開始である。 「まずは、蔓から芋を外して、ばらばらにしてください」 「よっ……と。とれた!」 「いい感じです。上手ですね」 初めての経験を喜ぶ少年に、村人が笑いかけた。 「外した蔓は、足許のコンテナに入れておいてください」 「このなかに入れるのね」 「そうしたらひとつずつ、傷がないかどうか確認してください」 軍手をつけた手でひとつひとつ、丁寧に傷の有無を確認する。 余分な土を払いつつ、ひげ根を外して。 そのうえで作業台に貼られたものさしで、30センチ以上と未満の芋を分けていった。 * 「はじいた芋は此方にお願いします」 運んだ先は、村の集会所のなかの台所。 小さな芋や傷のある芋は、村人達の手によって美味しい芋料理に生まれ変わるのだ。 * 「みなさん、昼食の準備ができましたのでどうぞ」 集会所の外に並ぶのは、村人特製のさつま芋料理。 「わぁ! キールアインさん、てんぷらですよ!」 「これが噂の……旨そうだな」 それからキールアインとナニーリカは、料理名当てクイズを始めた。 蒸し芋、芋ご飯、味噌汁、大学芋、スイートポテト。 芋を掘りながら挙げていた以外にも、多くの料理が並べられている。 「それでは、いただきます!」 村長に合わせて、みんなでいただきます。 レシピや祭りのことを質問したり、逆に自分のことを訊ねられたり。 エクソシスト達も村人達も、わいわいと楽しい時間を過ごした。 * 「美味しかったねー、焼き芋」 「はい。昼食にしては少し食べすぎてしまいました」 グロリアの感想に、しかしローズは軽く頬をかく。 その分、身体を動かさなければと気合いを入れた。 「夕飯には、もっと美味しい焼き芋がでるかなー」 「ふふふ。楽しみですね」 このグロリアの言葉には、ローズも笑ってしまう。 なによりグロリアが楽しそうで、よかったと安心するローズ。 グロリアを信じてついていくのだからと、改めて心に思う。 「いちばんはてんぷらだったな」 「私はやっぱり、スイートポテトね」 キールアインとナニーリカは、それぞれの好きな料理を食べられて満足していた。 あーだこーだと、料理の魅力を語り合う。 「もうあれだな。旨いものは旨いんだし、開き直って食べる方がいいって」 「キルは太らないからそんなこと言えるんですよ」 ぷぅっと頬を膨らませて、ナニーリカはキールアインを見上げた。 だがそれは決して、キールアインを怒っているわけではない。 優しい声音で、ナニーリカは応えた。 「それではみなさん、午後もよろしくお願いします」 「やってやるさー!」 「楽しくがんばりましょう」 「午後も掘って掘って掘りまくりだー!」 「いい汗を流しましょう」 昼食後は、少し休憩をしてから作業再開。 芋を掘って、運搬して、選別して。 15時のおやつには、さつまいものかりんとうを食べて。 夕暮れとともに、作業を終えた。 「本日は1日、本当にありがとうございました」 「みなさまのおかげで、無事に祭りを開催できそうです」 また食卓を囲むエクソシスト達に、村長や宮司から感謝の言葉が送られる。 夕食にも、さつま芋料理がどっさり。 サラダ、コロッケ、かきあげ、根菜の炒め物、ポタージュ。 「コロッケもーらいっ!」 「あ、キルずるーい! 私も食べたかったのに!!」 「まだありますよ、ナニーリカさん。どうぞ」 「ローズさん、ありがとうございます!」 「ってちょっとグロリア! それはわたしがとっておいた分ですよ!?」 「かたいこと言わないでよー。ローズのものは私のものー」 始終、笑いの絶えない1日を、エクソシスト達は過ごしたのだった。
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*** 活躍者 *** |
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該当者なし |
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