~ プロローグ ~ |
エントランスは賑わっている。 |
~ 解説 ~ |
このお話は基本がロリクさんとの対話です。(対話しなくてものんびりすごしていただくシナリオです) |
~ ゲームマスターより ~ |
あったかいお部屋とおいしい食べ物。そしてひよこ。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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指令について クロ「私達戦闘はあまり得意ではないんですよね。調査や探索等の任務が適正だと思うのでその系統の指令を提示していただけると助かるのですが」 ふと思い出したように 「…そういえば以前、資料整理(第1話 局員さんの頼み ozGM)で気になる事があったのですが、調査させてもらえませんか?」 ロゼ「私は冒険者モドキな指令は?って、興味あるんだよね、アライブスキルに無いような魔法が冒険者の間では出回ってるし(第2話 大量発生したジェルモンスターを倒せ! ozGMの凍結魔法)、冒険者って教団とは別系統の流れを持ってるんだね」 「戦闘以外の探索や収集なんかは接してみれば冒険者の方が実力は上だと感じるんだけど」 |
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こーいう隠れ家的な場所…良いわよね(わくわく …え?あぁ、元気よ!元気! (目の下に隈を作ってる状態で) あははは、いやー最近眠れなくて そんなことより秘密の話だっけ? 秘密といえば、マリアの夜での仮装パーティ楽しかったわ! またママの美味しいご飯食べたり、お酒飲みたい。まぁあたしは未成年だけどね! …今度はしっかりカメラを持っていかないと (おいばかやめろ、とラスに止められる) (欠伸をして) ハッすみません!退屈とかじゃないの ただ最近眠れなくて ここ最近魔女関連の依頼が出てたじゃないですか …ある依頼を受けてから夢見悪くってさ おかげでパンダみたくなっちゃって!あははは…面白くないか …ラス、そんな怖い顔しないでよ |
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ソファーにだらりともたれかかり あ゛~~~何も考えずにベリアルをぶん殴るお仕事がしたい… (急激に起き上がり)それだよ原因! ことあるごとにノロケやがって、どっちに妬けばいいのか分かんないよ! しかも調査はことごとく外れだし! あー、最悪だ…癒しが欲しい…ちょっとひよこ貸してくれ…(もふもふ マッサージ?アンタそういうのできたっけ…ってギャーッ!? いててててて!痛い痛…あれ? なんか、肩が軽くなった気が…って適当かよ! まあ過ぎたことをいつまでも悔やむのは無しだよな よし、スッキリしたところでまた浄化師活動頑張るか 今ならベリアル退治からひよこのお世話まで、何でも来いだ(ひよこもふもふ 何してるんだ? 帰るぞ、リント |
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相談…聞いてもいいんですか? うーん、過去のロメオさんが悪い人だったとしても今のロメオさんはいい人ですから。 まぁ、騙されてるならそのままでもいいかななんて思ったりもするんですけど。 今のロメオさんはそんなに器用な方ではないでしょうし。 私は今のロメオさんのこと好きですよ。 過去のロメオさんが最悪な人な人だったとしてもそれだけは変わりません。 ロメオさんが今にでも昔のロメオさんに戻りたいとかそんな風なこと言いだしたら止めますけど。 …酷なお願いなのかもしれませんが。 私の前ではずっといい人でいてくれると嬉しいです。 最悪な過去の延長線上にあるのが今のロメオさんですから。 その先をどう生きるかはロメオさん次第です。 |
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※アドリブ歓迎します ※ロリクに相談するほう (ロリクに紅茶を勧められ) あっ、すみません。ありがとうございます。 ララエルにはちょっと、エントランスホールにいて 貰っているんです。 ロリクさんに相談したい事があったので… 僕…ララエルの事が好きで、愛しているんです。 でも、一緒のベッドで寝るという過ちを犯してしまった… いや、一線は越えてませんよ!? でも、彼女にキスをしたり、抱きしめたり… 順番がもう逆転してしまってますよね? 僕は彼女に愛してると言いたい。 苦しい思いをした彼女を幸せにしたい。 ロリクさん…僕はどうしたら良いのでしょうか。 (先日の夢の件で) あ、それから…あの人にお礼を伝えてくださいますか。 |
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◆会話内容:こんな依頼ありませんか? ・唯月は瞬の事がいつでも心配なので いつも心穏やかになれる(メタ:RaN値が下がる)依頼を求める ・瞬は唯月の願いに少し嬉しいと感じつつやっぱり申し訳なく思う 唯「ベリアル化の恐れもあると言う事は命にも関わる事ですし… このように大きく変わるものならもう少し慰安な依頼も頂けたならなと…」 瞬「相手を思うだけで変わるのも…なかなか辛い世界だね…」 ・瞬からも似たような話として 唯月が穏やかになれる(メタ:RaN値が下がる)事を聞きたい。 瞬「いづに心配されてばかりだけど いづだって心乱すものがある。 それは終焉の夜明け団… 彼らに対する気持ちはどうやったら心穏やかになれるかなー?」 |
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~ リザルトノベル ~ |
「中々、素敵な隠れ家ですね!」 「雰囲気がいいわね」 優しい緑と日差しが微睡を与えてくれる部屋は『ロゼッタ・ラクローン』と『クロエ・ガットフェレス』には好印象であったらしい。 運びこんだ資料を机の上に置いてアップルケーキと紅茶に舌つづみを打つ。 控えめな甘さは実に二人の口に程よく溶けていく。 「おいしい!」 「紅茶も、おいしいわ」 アップルケーキを喜ぶロゼッタにクロエも目尻を緩ませる。 すっかりおいしいものを堪能して、まったりとした時間が過ぎた。 「あ、それで、お話なんですけど」 とロゼッタ。 「指令についていろいろとお願いがあります」 「お願い? うーん、指令発行で出すものでこういうのがほしい、というなら探すことは出来るが」 「私達戦闘はあまり得意ではないんですよね。調査や探索等の任務が適正だと思うのでその系統の指令を提示していただけると助かるのですが」 クロエが言いながら思い出したように。 「……そういえば以前、資料整理で気になる事があったのですが、調査させてもらえませんか?」 「ああ、お前らが整理整頓をほっといて禁止エリアにはいってパスをあけようとしたもののことか」 ロリクが笑顔で告げる。なんとなーく、怖い笑顔である。 「別の指令発行者の報告書にあったが、話は聞いてある。……まったく、二人そろってやんちゃだなぁ~。 あれは禁止エリアだからだめに決まってるだろう~」 「う」 「うう」 笑顔で圧をかけられている、のかしら? と二人は笑顔でロリクを見る。 「まぁ、それとなくセキリティ強化していた気がするが……どうしても知りたいなら、もう少し方法を考えるんだな。隠されてるものは暴いたあとが面倒だからな、自分から藪蛇つついて噛まれないようにな? あまりやんちゃしすぎると目をつけられるぞ」 やんわりと忠告されて二人は黙っておかわりの紅茶をすする。 「私は冒険者モドキな指令は? って、興味あるんだよね、アライブスキルに無いような魔法が冒険者の間では出回ってるし、冒険者って教団とは別系統の流れを持ってるんだね」 話はロゼッタにかわる。 ここ最近の指令をやってみての感想だ。 魔術を研究することが二人の教団での活動源だ。そのため、活動しているとどうしても魔術に関するところに目がいく。 「戦闘以外の探索や収集なんかは接してみれば冒険者の方が実力は上だと感じるんだけど」 「そのときの場合にもよるが実力は基本浄化師のほうが上だ。あと、アライブスキルは浄化師しか使えない魔術なんだ」 冒険者は基本独学で取得した魔術を使用する、魔術師となるとその数だけ使う魔術は多岐にわたる。 逆に浄化師は洗練された魔術の知識、効率的な戦闘行動などを学んだ結果のアライブスキルなので普通の魔術よりもずっと強力なのだ。 ただし、個人差による実力の差は当然存在する。駆け出しの浄化師といくつもの冒険をした冒険者ならば、後者のほうが優れているのは当たり前のことだ」 「もっと経験を積むべきってことね……私はせっかくエレメンツなんだから調査をもっとしたいと思ってるの」 「廃墟の巡回とかの調査しつつ新たな事実を掴んだり何かに出会ったりとか、そこであまり得意ではないけどちょっとだけ戦ったりとかしていろんなものを見つけたり……!」 両手をあわせてきらきら笑顔のロゼッタ。想像しただけで胸が高鳴る。 「そうだなぁ。まだ調査されていない場所で、過去に魔術師が住んでいた放置された屋敷とかダンジョンはいくつかあるし、調査指令を発行できるように他の指令部のメンツにしっかり声をかけておこう」 二人が宝石のような目でロリクを見る。 「まぁすぐには指令発行できないかもしれないが、俺のところからも発行できるようにしよう」 「出来たら、こう、長く続けられる調査がいいです」 「少しずつでもわかっていくのってわくわくするわ」 「わかった。長期にわたる調査指令か。そちらも探しておくよ」 おいしいケーキと紅茶。それを二人はゆっくりと堪能する。 また次の指令が楽しみになった。 ● 「こーいう隠れ家的な場所……良いわよね」 『ラニ・シェルロワ』が目を細めてソファに腰かける。その横では運んできた資料を置く『ラス・シェルレイ』はラニがまたやらかさないかと視線を向ける。 「ありがとう。ただ……ラニ、お前、大丈夫か?」 「……え? あぁ、元気よ! 元気!」 目の下に濃い隈を作ったラニが笑う。ラスはもの言いたげな視線を向けるが黙っている。そんな二人の様子にロリクはふぅむと小さく頷いた。 「あははは、いやー最近眠れなくて、そんなことより秘密の話だっけ? 秘密といえば、マリアの夜での仮装パーティ楽しかったわ! またママの美味しいご飯食べたり、お酒飲みたい。まぁあたしは未成年だけどね! ……今度はしっかりカメラを持っていかないと!」 「おい、ばかやめろ」 まるで話題を逸らすようにラニが明るく笑って、語るのにつられてラスがいつものようにつっこむ。 「俺は、ここ最近忙しくてあの店にいけてなくてな。ユギルばかり飲みやがって」 「わぁー、私怨はいってるー」 「忙しいんだなぁ」 ロリクが殺意を交えて呟くのに二人は噴き出した。 優しい日差しに、ついうと、とラニが眠気に襲われて欠伸を零す。 「ハッすみません! 退屈とかじゃないの。ただ最近眠れなくて……ここ最近魔女関連の依頼が出てたじゃないですか。……ある依頼を受けてから夢見悪くってさ。おかげでパンダみたくなっちゃって! あははは……面白くないか。……ラス、そんな怖い顔しないでよぉ」 ラスの睨みに弱く笑いながら、押し寄せてくる眠気に抗えず、ゆっくりと意識が沈んでいく。 「ラニのこと、寝かせてあげなさい」 「はい。あの、指令……もしよかったら、記憶を取り戻せるような、そうでなくともキッカケを見つけられるような……そんな場所とかありますか?」 ラニが寝入ってしまったのを確認してラスは思い切ってロリクに告げた。 「簡単に戻るとは思ってない。でも思い出さなきゃいけないんです。そうじゃなきゃきっとラニは自分の憎悪で燃え尽きる。……何よりオレが知りたい」 忘れてしまったことがある。必死に思い出そうとしても、けど。 「そういえば、ワスレモノの湖は、会いたいと願った人の記憶を元に幻が出る、でしたよね?」 「俺が聞いた限りは……どうした?」 「……やっぱり。思い出した記憶は、ラニの話と少し違うんです。疑ってるとかじゃなくて 純粋になんでなのかなって……もしかしたら嘘つかれてるんじゃないかって、疑う自分が嫌になる」 拳を握りしめるラスの肩にロリクが手を置いた。はっと顔をあげると、気遣う微笑みがあった。 「嘘は許せないか?」 「……俺のせいで、ラニが、遠くに行く気がして」 「うん」 「それが、たまらなく、怖い。……おいていかれることが」 「うん」 「知らないままの」 自分がきっと許せない。 「……ラニがもし仮に嘘をついていても、それを責めないであげてほしい」 「どうして!」 顔をあげてラスはロリクを睨む。 「嘘はな、つかれているほうより、ついているほうがずっと苦しいんだ」 「……ロリクさんも、あったんですか」 「大切な人に嘘をついて沢山傷ついた。けれど、そうして相手のことを俺は守りたかったんだ」 「守り、たかった?」 ラスが不思議そうに聞き返す。 「頑なに守ろうとする嘘は……自分を守るためじゃなくて、相手を守るためにつくもんなんだ」 「けど、オレは……人に聞いてもらうのはいいですね。お陰でラニと向き合う決心がつきました」 「ふふ、お前らは殴り合うのが一番合ってるよな。喧嘩してもちゃんと仲直りができるならしていいぞ。もし、どうしても難しいときは相談にのってやるし、指令は探しておこう」 少しだけ肩から力が抜けたラスにロリクは紅茶のおかわりと一緒に。 「特別な」 内緒でクッキーをラスに振る舞ってくれた。クッキーを嚥下する。まるで嘘みたいに。優しくて、苦い。 ● 「あ゛~~~何も考えずにベリアルをぶん殴るお仕事がしたい……」 ソファにだらりと寝そべって『ベルロック・シックザール』が告げる。耳と尻尾ともに元気がない。 「いやーだいぶストレス溜まってるみたいだねえ。大丈夫? マリーの話する?」 資料運びを手伝う『リントヴルム・ガラクシア』が心配そうに、悪意の欠片もなくそんなことを告げるとがばっとベルロックが体を起こした。 「ことあるごとにノロケやがって、どっちに妬けばいいのか分かんないよ! しかも調査はことごとく外れだし! あー、最悪だ……癒しが欲しい……ちょっとひよこ貸してくれ……」 ぴよぉ? と床に転がるひよこを抱っこしてすりすりしはじめるベルロック。だいぶ疲れているようだ。 柔らかなひよこの毛に癒しを求めている。 「はっはっは、シャドウガルテンにも行かず魔女がらみの指令にも行かず、個人的な調査に費やしたけど収穫ゼロだったもんねえ。……いや笑い事じゃないんだけど」 そこでリントヴルムも真剣な顔になる。 二人揃って愛しのマリーについて調べ続けていたらしい。 「まぁまぁ、疲れには甘いものだぞ」 ロリクが手伝いをしてくれた二人を労う。 「一つ聞きたいんだが、マリーっていうのは本当に存在するのか」 二人がきょとんと視線を向ける。 「ああ、なんとなくそう思ってな。あと、見つけることが目的なのか? それとも、見つけたあと、何かしたいのか? ちゃんと考えて行動してるんだよな?」 沈黙する二人にロリクは苦笑いを零す。 「今は見つけることが優先項目か。ベルロックはどっちに妬くとか言っているが? なんだ。ラブか? 惚気てもいいぞ~」 ロリクが茶化してもそれに尻尾をふって応える程度の気力しかないらしい。 「お疲れのベル君には僕がマッサージしてあげよう! うーん……この辺かな?」 「マッサージ? アンタそういうのできたっけ……ってギャーッ!? いててててて! 痛い痛……あれ? なんか、肩が軽くなった気が」 「おお!? 適当にやったのになぜか効いた……すごいな僕!」 「って、適当かよ!?」 ソファでマッサージもどき――背中を適当に押したり揉んだりしてじゃれる二人にロリクは呆れた視線を向ける。 少しばかり憂鬱としていた気持ちが、ここにきてだいぶ癒されたベルロックはひよこをぎゅうと抱きしめる。 少しばかり根詰めていたシリアスな話から解放され、力が抜けたのはリントヴルムの優しさのおかげだ。 「まあ過ぎたことをいつまでも悔やむのは無しだよな。よし、スッキリしたところでまた浄化師活動頑張るか。今ならベリアル退治からひよこのお世話まで、何でも来いだ」 ついでにひよこをもふることも忘れない。ぴよ。 ケーキと紅茶を堪能して、二人はそろそろお暇することにした。もちろん、がっつりひよこももふった。 先に出ていくベルロックのあとに続こうとして、リントヴルムが足を止め、こっそりとロリクに耳打ちする。 「本人はああ言ってるけど、やっぱり決着はつけたいだろうし、僕も手がかりは欲しいし。『終焉の夜明け団』がらみの指令があったら優先的に回してくれると嬉しいな」 「わかった。すぐには無理でも他の指令発行担当者にも声はかけておくし、マリーの特徴に見合う魔術師については調べておこう」 真剣な顔で請け合うロリクにリントヴルムは嬉しそうに笑って手をふった。 「何してるんだ? 帰るぞ、リント」 「はーい。じゃあね」 手を振って、また新しい指令へと向かう二人をロリクは見送った。 ● 「相談……聞いてもいいんですか?」 『シャルローザ・マリアージュ』の言葉にロリクは二人分の紅茶とアップルケーキを差し出して頷いた。 「実はロメオさんなんですが」 ちょうど資料を机に置いた『ロメオ・オクタード』が頭をかきながらシャルローザの横にどかりと腰かけた。 「いや、なんか結局はお嬢ちゃんに見抜かれそうだから最初から一緒に聞いてもらった方がいいかなと」 「ほぉ? 二人で一緒にきたのはそのせいか。ふふ、いいぞ。秘密にせずぶっちゃけトーク、どんとこい」 ロリクが促すように目を向ける。 「この間の依頼で魔女の魔法の影響で失ってた過去がだいぶ戻ってきたんだが……なんていうか今の俺からすると最悪な奴でな。いろんな記憶の断片からある程度は予測していたんだが。それを見られたくない人にまで見られてしまって」 はぁとロメオはため息をついて、膝に肘をついてうなだれる。 自分の嘘つきさが彼を追い込む。 あの夢はロメオになかなかにこたえた。あのとき自分を受け止め、支えてくれたシャルローザを傷つけたくないという気持ちが強い。 「うーん、過去のロメオさんが悪い人だったとしても今のロメオさんはいい人ですから。まぁ、騙されてるならそのままでもいいかななんて思ったりもするんですけど」 悩みながら告げる言葉は優しい花びらのようで、ロメオの心に降りそそぐ。 「えっと、今のロメオさんはそんなに器用な方ではないでしょうし。私は今のロメオさんのこと好きですよ。過去のロメオさんが最悪な人な人だったとしてもそれだけは変わりません」 「お嬢ちゃん」 真っすぐな真摯な言葉にロメオは観念して顔をあげる。 「ロメオさんが今にでも昔のロメオさんに戻りたいとかそんな風なこと言いだしたら止めますけど。……酷なお願いなのかもしれませんが。私の前ではずっといい人でいてくれると嬉しいです」 「ロメオはどうしたい?」 ロリクに促されてロメオは乾いた唇を舌で舐めたあと。 「「いい人」なんて言ってもらった俺の過去が見事に真っ黒だったもんで焦った……まぁ、見られたくなかった人ってのが、お嬢ちゃんなわけだけど。 もう一人の俺には何も持ってないって言われてけど……たぶん「シャルローザ」だけは得たものだったんだろうなって。 失うのは怖いけど、それはたぶん大事な気持ちなんだろうなって」 「ロメオさん」 シャルローザが唇を緩めた。 真剣に、自分の弱さを口に出来るのはそれだけ本当なのだ。それが、言葉にしてもらえてうれしい。 「最悪な過去の延長線上にあるのが今のロメオさんですから。その先をどう生きるかはロメオさん次第です」 「お嬢ちゃんはそういうが」 ロメオが反論しようとするのをロリクが止めた。 「俺も、別に無理して過去を書き換える必要はないと思う」 少しばかり虚を突かれた表情のロメオにロリクは続けた。 「過去は所詮過去だ。してしまったことは変えられない。シャルローザが言うように今からは変えられる 人とは多面性のある生物だ。悪い自分、良い自分、なんてものは他の評価にすぎない。お前のパートナーが今のお前を良しとするならばそれを受けいれ、努力すればいい」 ロリクがさぁと差し出す紅茶と甘いケーキに、シャルローザが嬉しそうに目尻を緩ませる。 ロメオは途方に暮れた視線を向け、躊躇いながら手にとってゆっくりと味わう。 過去よりも、いま。いまよりも未来。 傍らの相手と進めたらいい。進みたい、だから、過去を恐れない、受け入れる。それが自分。それでも自分。これが自分だから。 ● 「あっ、すみません。ありがとうございます」 ソファに腰を下ろして、部屋のなかを眺めていた『ラウル・イースト』は出された紅茶に目尻を緩めた。 甘いものが好きな彼には優しい味わいの紅茶もアップルケーキも大変おいしいものだった。 最近袖を通し始めた真新しい教団服もずいぶんとなじんでいる。 ただいつも一緒にいるララエルはここにはいない。 「ララエルにはちょっと、エントランスホールにいて、貰っているんです。ロリクさんに相談したい事があったので……」 「なにかな?」 「僕……ララエルの事が好きで、愛しているんです。でも、一緒のベッドで寝るという過ちを犯してしまった……いや、一線は越えてませんよ!? でも、彼女にキスをしたり、抱きしめたり……順番がもう逆転してしまってますよね?」 「う、うん?」 「僕は彼女に愛してると言いたい。苦しい思いをした彼女を幸せにしたい。ロリクさん……僕はどうしたら良いのでしょうか」 ぷ。とロリクが噴出した。 「ろ、ロリクさん!」 「いや、すまん、すまん。いや、つい、可愛くてな……だって、逆転、あははは」 「かわいい、ですか?」 「ベッドで寝るって、あの雨にふられたやつだっけ? ふふ、そうか。そんなことがあったのか」 「ロリクさんはどうなんですか」 「俺? 俺とユギルなんて逆転どころか、告白する前から、まぁ……順序なんてどうなってもいいんじゃないのか?」 「え」 「ようは、最後はどういう関係に行きつくかってことだろう。好きだと思うなら、ちゃんと伝えて、恋人になればいい」 「そう、いうもの、ですか」 「あんなのと結婚した俺がいうのもなんだが、俺たちなんてもう順番やらそこらへんはちゃめちゃだからな。けど、……今不幸そうとかだからどうしたとか言い合ったことないしなぁ」 「……確かに」 この目の前にいるロリクとユギル夫婦の関わり合いはかなりラウルの常識から逸脱している気がする。だが良い夫婦だとラウルは思う。 「手順なんてそのカップルで違うんだ。さっさと好きだから恋人になってくれと言えばいい。大丈夫、お前たちはお似合いだよ」 「そ、そうでしょうか」 真っ赤になるラウルにロリクは頷いた。 「今更な気もするが、ちゃんとしたいなら、そういう雰囲気のよさそうな指令を探しておくから、ちゃんと告白するんだな」 「は、はい! ……あ、それから…あの人にお礼を伝えてくださいますか」 ラウルの言葉にロリクはきょとんとしたあと、ふふと笑った。 「それは自分で伝えないと意味がないだろう? いつか、ちゃんと自分であいつに伝えてやれ」 やんわりと窘められてラウルはこくんと頷いた。 「む~、ラウルは最近ひみつが多すぎます! どこへ行ったのかもわからないし……」 本部のカフェで一人でミルクティーを飲む『ララエル・エリーゼ』は頬を膨らませる。ここ最近、おろしはじめた髪はウェーブして、波打つ。 今日はここに待たされてしまった。なにか大事な用事があると口にしていたが、その要件を教えてくれなかった。 「絶対に僕から離れるなって言ってくれたのに……ラウルなんて嫌い、知らない!」 ばたばたと足をばたつかせるララエルの元にくすくすと笑って近づいてくる者がいた。 「おやおや、可哀そうに、つれん男に一人にされたならどれ、愚痴相手になってやろう。ちょうど、待ち時間じゃ」 「え、あ、本当ですか!」 椅子をひいてララエルの前に腰かけた相手にララエルは嬉しそうに笑顔を浮かべた。 いっぱいラウルのことを話そうと口を開いた。 ● 「わ……とっても美味しそうなアップルケーキ……!」 「いづは甘いもの大好きだから嬉しいね~」 「ま、瞬さん……!」 二人のやりとりにくすくすとロリクが笑った。 恥ずかしげに俯く『杜郷・唯月』の横では蕩けるような笑顔を浮かべた『泉世・瞬』がいる。 せっかく招かれた優しい室内で唯月はお皿を手にとって、ゆっくりとケーキを味わい、瞬がさりげなく自分の分も唯月の前に差し出した。 「食べて~」 「そ、そんなに……食べれません!」 「残った分を俺が食べるから、ふふ」 「お熱いことで」 ロリクが茶化すと唯月は真っ赤になった。 ケーキと紅茶を堪能して、ほっと一息つくと唯月が切り出した。 「あ、あの……出来たら、指令について……少しでも、心が穏やかになるようなものを、出して、ほしいって思ってます」 「いづ」 瞬の顔に少しばかり陰りがさす。唯月がこんな風に指令を気にするのは自分のためだとわかっているのだ。 「ベリアル化の恐れもあると言う事は命にも関わる事ですし……このように大きく変わるものならもう少し慰安な依頼も頂けたならなと……」 「相手を思うだけで変わるのも……なかなか辛い世界だね……」 二人の話を聞いて、ロリクは頷いた。 「指令事態を捜すことは難しいことではないが……ただ、そうして指令を選ぶのは互いにストレスになっているのでは? 前に浄化師として、戦いに出れないことにずいぶん悩んでいる様子だったと、ウィリから聞いたが?」 探るように見つめられ、唯月は膝の上においた拳を握りしめた。瞬もまた申し訳なさに奥歯を噛み締める。 浄化師として、戦うべきときはあるのだ。その役目を果たせないことは二人にとってつらいことだ。 「相手を想ったせいで悲劇になることなんて普通にあるだろう。相手が好きだから殺した、というのはよくある話だ」 「よく、ある……?」 「結構極端な話じゃないですか~?」 二人の視線にロリクは肩を竦めた。 「そんなことなさい。誰かを思うから心を乱され、正気を失うことは古い時代からよくある。ただ、その付き合いをどうするかだ」 「付き合い方……いづに心配されてばかりだけど、いづだって心乱すものがある。それは終焉の夜明け団……彼らに対する気持ちはどうやったら心穏やかになれるかなーって」 瞬の言葉に唯月は目を閉じた。 (終焉の夜明け団を気にしない方法……彼らに対しての憎しみを軽減……くらいしか思い浮かばない……わたしにとってそれはキツい事……です……どうしたら……) 唯月には許すことも、逃げることもできない問題だ。 「とことんまで憎めばいい」 「え」 「へ」 唯月と瞬はほぼ同時に顔をあげた。 「心が乱されるから自分のしたいことを諦めるのか? 心に抱えたままずっと我慢するのか? そちらのほうが心が病んでいくだろう。だったらとことんまでしたいようにふるまえばいい」 「けど」 「ベリアルに」 「相手を信用し、自分のことを信じればいい。二人で不安だから他の仲間にも助けてもらうって決めたんだろう? なら大丈夫。傷つくこともあるし、辛いこともあるだろうが、それを受け入れて進んでほしい。 心が揺れても、ペアを組む相手が強く呼び戻せば絶対にベリアルにはならない。 このまま心が乱されて危険だからと逃げていても何も進まないだろう? もし、どうしても不安を感じたときは俺でよければ相談に乗るし、対応にあたろう」 二人が真剣な顔をするのにロリクは目を細めた。 「安心しなさい。お前たちは二人きりではない……そうして心が晴れたとき、別の生きがいや拠り所を見つけることもあるだろう。今は今の問題と全力でぶつかり、成長してほしい」 さぁ、と紅茶のおかわりが注がれた。 「あとお前たちの要望の指令は探しておこう。気が向いたら受けてくれ」
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*** 活躍者 *** |
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該当者なし |
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