~ プロローグ ~ |
●教会にて |
~ 解説 ~ |
●目的 |

~ ゲームマスターより ~ |
皆さまこんにちは! |

◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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仲間の命も犠牲にするなんて こんなことは止めないと 「抹殺」という言葉の重さにぎゅっと指を握る ーそれでも 見ないふりはできない 魔術真名詠唱 無茶をしないで シリウスに 左側の窓から侵入 戦法 今回は仲間の回復と支援 誰も倒れることのないよう レヴェナンス>ベリアル戦の仲間>全体の順 レヴェナンスの回復を最優先 シアちゃんと分担 天恩天嗣2で 回復し動けそうな人にはサクリファイス対応の支援を依頼 カタリナさんはわたしたちが 疲労が強い人間には避難を指示 戦闘時は浄化結界で回避を下げ 毒を受けた仲間に四神浄光・壱 カタリナの動きに注意 魔法攻撃がきそうなら仲間に周知 レヴェナンスへの攻撃は盾に 犠牲を要求するような神様 わたしはいらない |
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討伐、しなければならないのですね…… でもレヴェナントの皆さんを助けたいですから……心の奥に蓋を、します…… 突入前に皆さんに浄化結界を掛けて右の窓へ移動 クリスが窓を割ってくれたら続いて入ります 多少の怪我は気にしません、回復できますし 入ったらレヴェナントの方達の所に駆け付けて柱の陰に誘導 リチェちゃんと一緒に天恩天賜Ⅱで回復を 回復したら協力して貰えませんか、と共闘の提案を ベリアルが一体片付いたら、こちらの何人かと一緒にサクリファイスへ攻撃して貰えるように伝えて 狼ベリアルがまだ倒れてなければ回復をしに向かい、もう一度浄化結界を 倒れてれば、サクリファイスへ向かう皆さんの回復と鬼門封印での補助を担当します |
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魔術真名詠唱後、皆とタイミングを合わせて 左側の窓を割って突入 スコップで叩いて割れるかしら レヴェナントを敵から庇うように割って入るように位置し、狼ベリアルから狙って攻撃 なるべく前に出て狼の攻撃を誘い、弱点の魔方陣の位置を探す 戦踏乱舞で味方前衛の攻撃力を上げて支援 狼が倒れたら、私はトカゲ→馬→カタリナの順に攻撃する サクリファイス信者の対処は他の味方に任せる 彼らの行動で一番脅威なのは、自ら生け贄になってベリアルをパワーアップさせること レヴェナントの生き残りも生け贄にされる可能性がある なので迅速にベリアル討伐を目指す あなた達の教義には全く興味がないし 抹殺指令だから容赦なくいくわよ 信者も抹殺でいいでしょ |
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目的 サクリファイス殲滅 彼女自身が味わった絶望を人類に味合わせたいのでしょうね… 3手に別れ【右】から窓を割り侵入 怪我人を柱の陰等に運び 手当頼み馬型ベリアルの相手 三体の中でも一番タフそうなので足止め目的とは言え極力体力は削っておきたい 油断はしません。が、攻撃は最大の防御なりともいいますしね ヨナはFN11をメインで比較的弱そうな足から狙う 潤沢なMPを惜しまず使い己の力の限界を見極めたい ベルトルドはJM7ヒット&アウェイで出血で体力奪い 核を探しJM11 足元を疎かにさせる為背中に飛び乗り首を締め上げてみる 乗馬はそれほど経験はないのだがな ベリアル討伐後カタリナ達との戦闘続行中なら加勢へ |
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左の窓を破って侵入。 ベリアルが暴れてちゃカタリナを攻めるどころじゃない。まずはこいつらからだ。 GK8で守りを固めてGK6で狼を引き付け。防御に徹して攻撃をレヴェナントから逸らしながら、味方が集中攻撃する隙を作る。ラファエラは敵の足を矢で床に縫い留め、魔方陣を狙いやすくして仕留める。 狼討伐時点でレヴェナント救助が完了していないなら、トカゲ型に同じようにする。 レヴェナントが戦闘再開したらラファエラはカタリナ攻撃に移行。柱を盾にし、DE5でカタリナを攻撃。サクリファイスがカタリナを守ろうとすれば、DE10で後ろのカタリナごと射貫く。 俺は引き続きベリアルをGK6で引き付け、味方が倒すための隙を作る。 |
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抹殺…重い言葉ですが レヴェナントの人が成してきた事、何より彼らの命を失う事はできません 行きます 基本はスキル使用による援護(仲間の攻撃が敵に通るように隙を作る・攻撃の身代わり) 突入後はトカゲ型ベリアルの足止め。 毒がどこから来るか不明なので(飛ばしてくる可能性含め)警戒 毒攻撃が来たら「身代」を放ちマヤ(人形)で受ける ごめんねマヤ トカゲの手足が短いので、頭や尻尾などを狙って絡め取り動きを止める トカゲ討伐後は馬型へ 今度は逆に大きいですね、柱も利用し直撃は避けます 「絡縛糸」で足を絡め取り、攻撃しつつ動きを封じにかかります。 カタリナを倒してもまだ建物内に仕掛けが残っているかもしれない 魔方陣などがないか注意 |
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~ リザルトノベル ~ |
今回の戦闘の舞台である教会が見えてきた。 浄化師たちの胸にそれぞれの想いが去来する。 (討伐、しなければならないのですね……) 俯いている『アリシア・ムーンライト』の悲しげな表情の理由は、『クリストフ・フォンシラー』には予想がついていた。 (敵であってもトドメを刺すのはアリシアには辛いだろう) アリシアは心根の優しい女性だから。だが、今回ばかりはそうも言っていられないことは、クリストフもアリシアもわかっていた。 (でもレヴェナントの皆さんを助けたいですから……) アリシアは、そっと心に蓋をする。 葛藤を口に出さないアリシアを慮るように、クリストフも無言でポンとアリシアの頭に触れた。 「仲間の命も犠牲にするなんて……こんなことは止めないと」 か細い声で『リチェルカーレ・リモージュ』が訴える。 「――教団も穏健路線に舵を切ったのかと思っていたが……サクリファイスには説得の余地なしということか」 さして感慨もない様子で『シリウス・セイアッド』が言うと、リチェルカーレは指令にあった「抹殺」という言葉を思い返し、その重みにぎゅっと指を握った。 (――それでも、見ないふりはできない) 苦しげな表情のリチェルカーレに、シリウスは目を眇めた。 「彼女自身が味わった絶望を人類に味合わせたいのでしょうね……」 そう言う『ヨナ・ミューエ』は一見冷静に見える。が、彼女とて色々と考えるところがあるだろうと『ベルトルド・レーヴェ』は思っていた。 (また「昔の教団」との因縁……) ヨナはすっと目を細める。カタリナも教団に人生を狂わされた犠牲者と言えるだろう。 惜しむらくは彼女にサクリファイスという組織を肥大化させるほどの才能とカリスマがあった事だ。 「彼女の力が人類の為に発揮できればどれほどの僥倖と成り得たでしょうね」 「しかし実際にはどれだけの罪の無い命が失われたか」 ベルトルドがヨナの言葉に続けて言った。 ヨナはふるりと首を振る。損得では量れない。 人の命を裁く時はせめて感情に身を任せずにあれ。それが2人の共通認識であった。 「彼らの教義には全く興味がないし、抹殺指令だから容赦なくいくわよ。信者も抹殺でいいでしょ」 言い切ったのは『リコリス・ラディアータ』だ。 「割り切ってるんだな」 感心したように『トール・フォルクス』が言う。 「用意はいいな」 『エフド・ジャーファル』が武器を構えて言うと、『ラファエラ・デル・セニオ』が 「当然でしょ」 と答える。 「私たちは左側の窓から入るわ……けど、これで割れるかしら」 リコリスは所持しているスコップを不安げに眺める。 「イザークが飛んだところで俺が合図を出すから、皆はそれを目安にしてくれ」 と、トールは信号拳銃を振って見せる。 「よろしく頼む」 『イザーク・デューラー』はトールに向かい頷くと、『鈴里・あおい』を促し教会の正面に向かい歩き出した。それに続き、皆も自分の持ち場へと足を進める。 イザークは、何やら思い詰めた表情のあおいを気遣わしげに見遣る。 「抹殺……重い言葉ですが」 リチェルカーレ同様、あおいもまた今回の依頼の重責を感じていた。だが、彼女は顔を上げ前を見据える。 「レヴェナントの人が成してきた事、何より彼らの命を失う事はできません。行きます」 イザークもまた、過去、自分を生かすために失った人達を思い出し、決意を固めた。 「二度と使命の為に命を落とすのを見たくはない。行くぞ」 ぶわり、とイザークの翼が広がる。 教会の左右に視線を走らせ皆が持ち場に着いたのを確認し、トールと目配せを交わす。 イザークはあおいを抱えて地を蹴ると、半壊した教会の正面入口に向かい飛び立ち、トールが信号弾を打ち上げた。 「月と太陽の合わさる時に」 右壁の窓辺では、魔術真名により力を高めたクリストフが剣で窓を叩き割る。窓からの突入時に怪我をしないよう、窓の桟を刃でひと撫でし出来るだけ平坦にしてから手をかける。 「闇の森に歌よ響け」 左壁では同様に魔術真名を唱えてから、リコリスがスコップで窓を叩き割った。 リコリスが窓から突入を試みる後ろでは、魔術真名を唱え終わったリチェルカーレがシリウスを見上げ、「無茶をしないで」と囁く。 「ーーお前こそ」 小さく言うとシリウスは小柄なリチェルカーレを抱え、リコリスに続いて窓枠をくぐる。 左右の窓が割れると同時に、崩れた壁の瓦礫を蹴り飛ばしイザークが教会内に降り立った。 3体のベリアルは手負いとなったレヴェナントたちにとどめを刺そうと夢中であり、レヴェナントたちもまた必死に応戦していたため、浄化師たちに真っ先に反応したのは教会奥にいるサクリファイスたちだ。 しかし、3方向から同時に突入されたためにどう対処して良いかわからず狼狽えるばかりであった。崩れた正面出入口はともかく、開閉不可の窓を割って突入されるとは予想していなかったようだ。 リチェルカーレは教会内の惨状に胸を痛めた。傷だらけのレヴェナントたち。贄となったサクリファイスの死体。 「犠牲を要求するような神様……わたしはいらない」 震える声で呟く。その声にシリウスはカタリナ討伐の決意を固める。世界の平和、そんなものは知らないけれど、それがリチェルカーレの望む世界であるのなら。 右窓からは、クリストフに手を貸してもらいアリシアが、続いてヨナとベルトルドが雪崩れ込む。左窓からは、ラファエラとエフド、最後にトールが。 クリストフはレヴェナントの剣士と狼型ベリアルの間にするりと入り込むと、襲いかかる牙を剣で受け止め剣士に声をかける。 「ここは俺たちに任せて、あの柱の陰に逃げるんだ!」 クリストフが目線で指した柱の陰には、アリシアが待機していた。 リチェルカーレもアリシアに倣い別の柱の陰に身を寄せている。 「我々のことはいい、君たちは早くカタリナを!」 と、レヴェナントの剣士は叫ぶが、そこにやってきたシリウスが双剣で狼型ベリアルの背を切りつけながら短く言う。 「サクリファイス・タナトスの生贄につもりか」 その言葉にレヴェナントの剣士ははっとする。 「それよりは回復して戦力になってくれれば有難いんだが」 ベリアルの背後から鎌をその首に回し、ベリアルの動きを止めてエフドが告げる。 「わ、わかった……」 レヴェナントの剣士は少し離れた場所で応戦している弓使いを伴いアリシアが待つ柱へと退避した。 追おうとするベリアルの前に、リコリスとトールが立ち塞がる。 「あなたの相手はこっちよ」 リコリスの笑みにベリアルは敵意を剥き出しにして唸った。 教会内を所狭しと暴れ回る馬形ベリアルにはレヴェナントの槍使い2人が応戦していた。 「あいつが一番タフそうだな」 ベルトルドが拳を打ち鳴らしながら言う。 「まずは足止めを……でも極力体力も削っておきたいですね」 ヨナは魔導書に魔力を込め始めた。 「無茶はするなよ」 「正念場で無茶をせずどこでしろと?」 平素と変わらぬ口調で言うヨナに、ベルトルドはふっと笑った。 「そういう奴だった、お前は」 だから、信頼できる。ベルトルドは拳を構えいつでも走り出せる体勢をとる。 「油断はしません。が、攻撃は最大の防御なりともいいますしね」 言い終わらないうちに、ヨナのエアースラストが馬型ベリアルの脚を刻む。 ベリアルは転倒するもすぐに立ち上がるが、そこへベルトルドが獣牙烈爪突を叩き込む。 ベリアルが怯んだのを見てとり、ベルトルドは2人の槍使いの腕を引く。 「今のうちだ」 ベルトルドは2人をリチェルカーレが待つ柱へと連れていく。後を追おうとするベリアルに、ヨナはもう一度エアースラストで攻撃しそれを阻んだ。 イザークが突入後まず初めに行ったのは、教会内の魔方陣の確認だ。ヘルヘイム・ボマーが再発動の危険性がないと判断してから、トカゲ型ベリアルと対峙するレヴェナントの剣士を救助しに行く。 あおいが絡縛糸でトカゲ型ベリアルの気を引き、その隙をついてイザークはレヴェナントの剣士をベリアルから引き離す。 ベリアルはシャーっと威嚇すると絡む糸を振り解き追うが、イザークはそれを寸手のところで回避し、近くの柱へと身を隠す。 「彼にも回復を」 と、リチェルカーレにレヴェナントの剣士を託すと、再びベリアルに対峙した。 アリシアとリチェルカーレは天恩天賜Ⅱでレヴェナントたちを回復する。トカゲ型ベリアルと戦っていた剣士は毒を受けており四神浄光・壱で解毒を行う。 リチェルカーレは体力を取り戻したレヴェナントたちには助力を求めたが、毒を受けた剣士は疲労が強かったため、身体を休めて欲しいと訴えた。瞳に涙を溜めて懇願されれば、剣士も否とは言えなかった。 2人が負傷者の回復に努めている間、他の浄化師はベリアルと戦う。時折サクリファイスたちから魔力弾が飛んでくるため、少々厄介ではあった。 絶対防御ノ誓イで防御力が上がっているエフドは、さらに亡者ノ呼ビ声でベリアルの気を引きつける。 リコリスの戦踏乱舞により攻撃力を増したクリストフとシリウスが斬りかかっても、ベリアルの狙いはエフドただ1人。 彼らに主な攻撃を任せ、リコリスとトールはベリアルの魔方陣を探した。そして、尻尾の裏側にそれを見つけ、皆にそれを伝える。 「随分とまあ狙いにくいところにあるわね」 ラファエラは唇をひと舐めすると、ベリアルの脚を狙って矢を放つ。 再生速度に負けぬようトールと共に連続で攻撃を加える。 一矢、また一矢と放つ度、ベリアルの動きは鈍っていった。 「もらったわよ!」 リコリスが魔方陣を斬りつける。だがそれは浅く致命傷には至らない。反撃するベリアルの牙をリコリスは避け、その隙を狙いシリウスが磔刺で魔方陣を貫く。ベリアルがのたうち回ると、鎖に繋がれたいくつもの魂が放出される。浄化師たちは各々の武器でその鎖を破壊した。 「これでベリアルはあと2体ね」 教会内を見回しラファエラが言う。 「ああ。レヴェナントたちも回復したようだし、あいつが動き出す前に叩いておきたいところだ」 と、エフドは顎でサクリファイスたちに囲まれているカタリナを指す。 「俺は後ろを片付ける。大将首はくれてやろう」 「汚れ役やらせるのが上手いわね」 ラファエラの皮肉に返事はせず、エフドはあおいたちが交戦を続けているトカゲ型ベリアルの方へと床を蹴る。 ラファエラも柱の陰から参戦しようと出てきたレヴェナントに声をかけ、教会の奥へと駆け出した。アリシアとリチェルカーレも補助のため彼らのあとにつく。 トカゲ型ベリアルは長い舌から唾液を垂らし頭を振り回す。 その不自然な動きに、あおいは唾液中に毒が含まれているのだろうと予想をつけた。 「ごめんねマヤ」 あおいは身代を発動し毒を人形で受け身を躱し、その隙にイザークはベリアルの死角に回り込み攻撃する。 ただ攻撃するだけではなく、馬形ベリアルと合流し乱戦になったり回復役の2人への攻撃を避けるため、2体のベリアルが接近しないよう立ち振る舞う。 あおいは身代で毒を避けつつ絡縛糸を繰り出し相手の拘束を狙う。何度目かの試みで、やっとベリアルの拘束に成功した。 そこへ、狼型ベリアルの討伐を終えたエフド、リコリス、トール、シリウスが駆けつける。 ベリアルは身を捩り拘束から逃れようとのたうち、さらには接近する浄化師へ毒の唾液を吐きかける。 また、離れた場所からのサクリファイスたちによる遠距離魔法攻撃も激しさを増してきていた。 「もう、鬱陶しいわね!トール、頼んだわよ」 リコリスが言うと、トールはサクリファイスたちに向けてハイパースナイプを発動させた。 「こいつらは自ら生け贄になりかねないよな」 その前に仕留められるものなら仕留めたい。 狼型ベリアルとの戦いで一番負傷の大きかったエフドだが、ここでも亡者ノ呼ビ声を発動する。そうすることで、シリウスとリコリスが動きやすくなる。負傷など後でアリシアとリチェルカーレに回復を頼めばいい。 「こちらはもう十分人手が足りているだろう」 イザークは言い、残り1体、馬型ベリアルへと顔を向ける。 そちらはベルトルドとヨナの2名でなんとか抑えている状態だった。 ヨナは離れた場所からのエアースラスト、ベルトルドは獣牙烈爪突を発動させては反撃を警戒して距離をとるという戦術を繰り返している。 連続して何度もアライブスキルを発動出来るのは、数多の戦闘経験により能力を向上させてきた賜物だ。 しかしそれでも、強力なベリアルは簡単には倒れてくれない。 ラファエラたちがカタリナのもとへ駆けるのを見て本能的になのだろうか、ベリアルは彼女たちを追おうとする。 ベルトルドは力強く跳躍するとベリアルの鬣にしがみつきその背に乗ると、脚で首を絞め上げる。 「乗馬はそれほど経験はないのだがな」 乗馬であれば馬との信頼を深めるため優しく声もかけるのだろうが、相手はベリアル、そんな仲ではない。 ベリアルは嘶くとベルトルドを振り落そうと走り回る。最早ラファエラたちのことは忘れたようだ。 さらにベルトルドが背に乗っているのにもお構いなしでヨナはエアースラストを放つ。その度にベリアルは暴れ、ベルトルドは必死でしがみ付く。 「ヨナめ……俺のことも少しは考えろ」 本人にそう言ったところで「考えたうえでやってますよ」としれっとして答えるのだろうが。 それにしても、馬だけにやたらと走り回るベリアルだ。なんとかして魔方陣を探したい。 その時、人形が舞い糸がベリアルに巻きつく。 あおいの絡縛糸だ。そして上方から急降下してきたイザークがベリアルの背を切りつける。 あおいの糸はすぐに噛み切られてしまうが、あおいも諦めない。ヨナとイザークの攻撃で出来た隙を利用し何度も糸を繰り出す。 拘束とまではいかないが、絡みつく糸でベリアルの動きは鈍る。これを好機とし、ベルトルドはベリアルにしがみつきながら魔方陣を探した。 「あんたらのお陰で年末は働き詰めだったけど、それも今日までね。」 ラファエラとレヴェナントの弓使いは壁際に陣取りカタリナへ弓を引く。 アリシアは鬼門封印でサクリファイスたちの回避力を下げ、リチェルカーレは浄化結界で皆の抵抗力を高める。 「そこに立ってなさい。天なる父の下に送ってあげる。それでお互い、デスマーチは終わりよ」 盾になるように5名のサクリファイスがカタリナの前へ立つ。 うち2人はトールのハイパースナイプにより傷を負っているが、命に代えてもカタリナを守るつもりらしい。 「こちとらあんたらみたいなのをもう二人殺してるの。彼らによろしく」 ラファエラはサクリファイス絡みの案件を思い出す。任務遂行のためには躊躇いは要らないことを学んだ。ラファエラは矢を放ち直後、間一髪でサクリファイスの魔力弾を避ける。 矢と魔力弾、遠距離攻撃の応酬の間を縫いレヴェナント3名がカタリナに接近する。 近接戦には適さないサクリファイスたちの防御が崩れ、カタリナの姿が露わになる。 が、カタリナは悠然とした笑みを浮かべたまま、驚くべき速度で魔方陣を宙に描く。 「カウント・オブ・ドレイン」 カタリナが幼さの残る声で魔術を発動する。レヴェナントの槍使い1名の頭上で魔方陣が発光すると、彼はその場に膝を突く。対しカタリナは生気に満ちていく。生命力が吸い取られているのだ。 「カタリナ様っ」 サクリファイスたちの顔が希望に輝く。カタリナが魔術を使うということは、魔力が回復してきたということなのだから。 「私を、贄としてください」 戦闘で傷つき弱ったサクリファイスの1人が申し出る。 「させないわよ」 ラファエラがそのサクリファイスの背に矢を突き立てた。サクリファイスは崩れるように倒れた。 「どうやら、大望を果たす前にあなたたちを片付けなければならないようですね」 カタリナが歩みを進め懐から短剣を出す。同時に魔方陣を展開し、 「羽天の剣」 と、天使が羽を広げるように短剣をひと振りすると、周囲のレヴェナントが傷つきながら吹き飛ばされる。 それでもすぐに体勢を立て直し剣士がカタリナに挑むが、 「帰天の剣」 魔術による反撃で床に倒れ臥す。そこにカタリナは追撃する。 「召天の剣」 短剣で突かれた肩口から体から夥しいほどの血が流れ出す。 カタリナは次々に魔術を発動し、レヴェナントたちを苦しめる。 「何よあれ……!」 カタリナの力を前にラファエラは唇を噛み、弓で彼女を狙う。カタリナはラファエラに向けて魔方陣を描き――、 「そこまでだよ」 柱の後ろから人影が飛び出した。 クリストフだった。彼はサクリファイスとカタリナをレヴェナントたちに任せたように見せかけ、自身も柱を利用し身を隠しながらカタリナに接近していた。 「手加減してる余裕は無いすまない」 と、サクリファイスたちを切り倒しカタリナの眼前に迫る。 流石のカタリナも驚愕し描きかけの魔方陣が消失した。 「その命貰い受ける」 クリストフは剣を持つ手に力を込める。カタリナは新たに魔方陣を展開する。 「磔刺」 「帰天の剣」 攻撃が交錯する。 クリストフは剣から手を離し後方に飛ばされる。 カタリナも剣に貫かれながら壁に背を打ちそこへ縫い付けられる。 「クリス!」 アリシアは喉が痛くなるほど叫び彼の元へ駆けつけた。 カタリナの命が尽きようとしているとき、ベリアルと対峙していた者たちも決着をつける時が来ていた。 馬型ベリアルの背にしがみついていたベルトルドは鬣の中に埋もれるように存在する魔方陣を見つけ、磔刺を発動した。 ベルトルドの拳は魔方陣もろともベリアルの首を突き破る。 トカゲ型ベリアルもリコリスが腹の下にある魔方陣を発見し、シリウスがそれを破壊する。 2体のベリアルから伸びた鎖で繋がれた夥しい数の魂が教会内を浮遊した。 この中には、レヴェナントの魂もあるのだろうか。 「感傷に浸るのはあとですね」 ヨナの言う通りだ。 浄化師たちは魂を解放すべく鎖を断ち切っていった。 「カタリナ……様……」 1人だけ、傷を負いつつも生き残ったサクリファイスがカタリナの足元に縋る。彼もまた瀕死であり、助かる見込みはないだろう。 「泣いては……いけません」 カタリナは言葉と共に吐血する。しかし、その表情は穏やかであった。 「それでも、私は……信じられるものがなかった頃より……幸せだっ……た……」 薄れゆく意識の中、浄化師たちの姿が目に映る。 あなたたちが信じるものは、あなたたちを幸せにしてくれるかしらね? カタリナは皮肉めいた笑みを口の端に浮かべ、そのまま彼女の魂は肉体を手放した。 アリシアとリチェルカーレが回復に奔走し、5名のレヴェナントたちも一命を取り留めた。 「これだけでは完全ではありませんので、本部で改めて治療を受けてください」 リチェルカーレは申し訳なさそうに言う。 クリストフもかなりの重傷であったため完全回復とはいかなかったし、ベリアルたちの攻撃の矢面に立ったエフドも帰還後の集中治療が必要であろう。 「これでサクリファイスは壊滅……だろうな」 トールが崩れた教会を見渡し言った。 「残党はいるでしょうけどね」 リコリスもほぼ同じ意見だった。 「そうなると、我々の存在も必要なくなるな」 レヴェナントの剣士が笑う。 「君たちを助けることができて、良かった」 イザークが安堵したように言う。あおいも人形のマヤを腕に抱きしめ頷いた。 だがヨナは素直に笑えなかった。 サクリファイスを滅ぼすことに心血を注ぎ生きてきたレヴェナント。彼らには今後どのような人生が待っているのだろう。そんな思いが胸を過る。 「でもまあ、一番後悔の少ない形で決着がついたと思うぞ」 ヨナの心情を察してか、ベルトルドが言う。 「そうですね」 と、ヨナはやっと微笑んだ。
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*** 活躍者 *** |
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[32] 鈴理・あおい 2019/01/23-23:29
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[31] リチェルカーレ・リモージュ 2019/01/23-23:23
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[30] リコリス・ラディアータ 2019/01/23-21:59
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[29] クリストフ・フォンシラー 2019/01/23-21:46
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[28] リチェルカーレ・リモージュ 2019/01/23-21:44
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[27] リコリス・ラディアータ 2019/01/23-21:30
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[26] リチェルカーレ・リモージュ 2019/01/23-21:09
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[25] ヨナ・ミューエ 2019/01/23-18:26
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[24] 鈴理・あおい 2019/01/23-00:52 | ||
[23] アリシア・ムーンライト 2019/01/22-23:55 | ||
[22] リチェルカーレ・リモージュ 2019/01/22-22:49 | ||
[21] クリストフ・フォンシラー 2019/01/22-22:14 | ||
[20] リコリス・ラディアータ 2019/01/22-15:43 | ||
[19] 鈴理・あおい 2019/01/22-01:16
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[18] 鈴理・あおい 2019/01/22-01:13
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[17] ヨナ・ミューエ 2019/01/22-01:02 | ||
[16] リチェルカーレ・リモージュ 2019/01/21-23:30 | ||
[15] エフド・ジャーファル 2019/01/21-15:08 | ||
[14] クリストフ・フォンシラー 2019/01/21-00:03 | ||
[13] トール・フォルクス 2019/01/20-22:54
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[12] リチェルカーレ・リモージュ 2019/01/20-22:46 | ||
[11] 鈴理・あおい 2019/01/20-22:19 | ||
[10] リコリス・ラディアータ 2019/01/20-21:19 | ||
[9] ヨナ・ミューエ 2019/01/20-19:55 | ||
[8] リチェルカーレ・リモージュ 2019/01/19-22:41 | ||
[7] エフド・ジャーファル 2019/01/19-12:19 | ||
[6] クリストフ・フォンシラー 2019/01/19-01:23 | ||
[5] リコリス・ラディアータ 2019/01/18-21:05
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[4] リチェルカーレ・リモージュ 2019/01/18-20:55 | ||
[3] ヨナ・ミューエ 2019/01/18-19:16
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[2] アリシア・ムーンライト 2019/01/18-00:05
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