~ プロローグ ~ |
その青年は、こともなげに言った。 |
~ 解説 ~ |
○目的 |
~ ゲームマスターより ~ |
おはようございます。もしくは、こんばんは。春夏秋冬と申します。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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会場を見渡し 豆狸の可愛らしさに小さく歓声 可愛い!ぬいぐるみみたい! 駆け寄り手を伸ばし はっと気づいて 始めましてとご挨拶した後 だっこしてもいい?と いいと言われれば満面の笑顔で抱きしめる 大人の狸さんや刑部様とも積極的に会話 初めて見る綺麗な着物に触れたり 歌や踊りに目を輝かせたり シリウスの姿が見えずきょろきょろ 見つけた!もう こんな所で何を…あら? 彼の膝の上で眠る豆狸に笑顔 隣りに座って ふふ よく眠ってる 赤ちゃんかしら?よっぽど安心してるのね 豆狸の額や前足をそっと撫で 人と妖さんが こんな風に仲良くできるのって素敵ね アークソサエティも こんな風になればいいのに 聴こえてくるニホンの歌に併せ 一緒に歌う |
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20歳になった時カグちゃんの家でお酒頂いてから、何も覚えてなくて 翌日起きたら「お前は酒を飲むな」って皆から言われたんだ 酔った僕、何したんだろう… まぁ、それは兎も角として 実家の赤ワイン(木箱入り6本)とお酒の肴作ってみたから、よければ 肴は猪肉のバルサミコ醤油煮、チーズ入り卵焼き、野菜のマリネだよ え、このワイン? あぁ、2月に実家に帰ってみたら、それから毎月送ってくるんだ… 処分に困ってるからどんどん飲んでね いや、僕にくれなくていいから! 「うぇっえぐっ…かぐちゃぁん」 みんなひどいよ、むりっていってるのに、おさけのめってー …ほんとはね かぐちゃん、そとあるいてほしくないんだ ぼくのそばにずうっといてほしいの |
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ヨ 祭事に参加し一緒に盛り上げるのも浄化師としてのつと… ベ ただの宴会だ 気楽に楽しめ(苦笑 ヨ あ はい… 既に盛り上がっている刑部とセパル達の所へ …のつもりが喰人はさっさと輪に入って乾杯していたのでヨナは遅れて挨拶 喰人は日本酒に酒に合うつまみ ヨナは山菜おこわと天ぷらを頂きながら歓談 様々な生物やモノから生まれ妖力を持った者を妖怪と呼ぶんですよね 特に、モノに意識が宿り妖怪や付喪神となるのはとても不思議です ニホンの人々の信仰も関係あるのでしょうか と妖怪たちの成り立ちに興味を示す 感情 ヨ →刑部 大きい…獣人?妖怪? ベ →皆 いける口が沢山いて楽しい →セパル 流石長命の魔女 顔が広い 出された料理は何でも食べる アドリブ交流〇 |
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狸と話しているリントを横目で見ながら食事 リントめ、化け狸があの女に似てるからってデレデレしやがって だいたいあの女がそんなにこやかに対応するわけないだろ、サービスだよサービス…(ぶつぶつ すいません、お団子追加! 持ってきてくれたのは何故かイケメン狸…なんで俺の方は男…? いや、別に女が良かったってわけじゃないけど! 色々とモヤモヤしてつい勧められた杯を受け取り飲み干す ひっく…しまった、これ…酒… 一気に酔って倒れる 唇に生暖かい感触がする 目を開けると間近にリントの顔が …?何か言ってる…? ふわふわする頭で何とか最後の方だけ聞き取り ん…好き… やっとそれだけ答えてまたウトウト リントがニヤリと笑うのを見た気がした |
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【目的】 迷惑にならないようにパートナーを誘導する 【行動】 ミカゲちゃんが迷惑にならないようについていく 具体的にはなんで最強とかミカゲちゃんが言っているか説明していく あと頭を撫でて貰いたいパートナーをなだめながらもお願いしていく あと綺麗に盛られてるから汚すとあれなのでミカゲちゃんにご飯を食べさせる (イチャイチャとかじゃなくちゃんと箸ミカゲちゃん持てないからなんです) その合間にご飯を食べる 【心情】 ほらミカゲちゃん ご飯が一杯だよ ふふ、お箸の持ち方が違うね 僕が食べさせてあげるよ あ。頭を撫でて欲しいの? …多分いきなり撫でてって皆びっくりするから僕が間に入って説明しようかな ニホンの皆さんが猫好きだといいね |
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~ リザルトノベル ~ |
●さあ、宴会だ! (友好的な関係ができるか、試す……) 指令を受け現場にやって来た『シリウス・セイアッド』は、呻くように呟いた。 「どこが?」 見れば、完全に出来あがり、どんちゃん騒ぎの狸達が。諸手を上げて、浄化師達をお出迎えしてくる。 警戒心ってなんだっけ? という状況だ。 こういう場が苦手なシリウスとしては、ため息ひとつも出るというもの。 そんな彼の隣から、小さく歓声が上がる。 「可愛い! ぬいぐるみみたい!」 豆狸を見つけた『リチェルカーレ・リモージュ』は、笑顔を浮かべ駈け寄った。 お出迎えをしてきた豆狸達は、10人近く。 普通の狸に比べて、丸々ころっとしており、後ろ足でひょいっと立っている。 そして袢纏を着込んでいた。 完全に見た目は、生きたぬいぐるみだ。 そんな豆狸の愛くるしさに、思わず駈け寄り手を伸ばそうとしたリチェルカーレだったが、はっと気づいて堪える。 「始めまして」 挨拶をしてから、気持ちを抑え訊いてみる。 「だっこしてもいい?」 これに豆狸達は、顔を見合わせたあと、小首を傾げ。 リチェルカーレに顔を向け、こくりと頷く。 「ありがとう!」 リチェルカーレは満面の笑顔を浮かべ、豆狸を抱きしめる。 温かく柔らかい。ぬいぐるみとは違う、生き物の心地好さ。 豆狸は、されるがままにリチェルカーレに抱きしめられていた。 「可愛い!」 嬉しそうに声を上げるリチェルカーレに、シリウスは苦笑するように、ため息一つ。 (……しばらく帰れそうにないな) リチェルカーレの輝く笑顔を見詰めながら、宴会に参加することを決めた。 そして宴会に参加。 人付き合いの良いリチェルカーレは、積極的に化け狸や隠神刑部と会話を交わす。 「とっても綺麗です!」 リチェルカーレは、人に化けた狸たちが着ている着物を見て、歓声をあげる。 「触っても良いんですか?」 化け狸達に勧められ、着物に触れてみる。 滑らかな手触りの絹の着物や、さらりと涼しげな麻の着物。 色鮮やかな十二単もあれば、日常着の単衣の物も。 それを着て、歌に合わせてニホン舞踊を披露する。 目を輝かせて、歌と踊りを楽しむリチェルカーレ。 すると法衣姿の刑部が提案を。 「嬢ちゃんも、やってみるか?」 「はい!」 喜ぶリチェルカーレに、刑部は妖術で着物姿に変えてやる。 そして人の女性に化けた狸達に習いながら、舞踊を楽しんだ。 一方その頃、シリウスは会場の外れで、ひとり手酌でお酒を嗜む。 狸達に用意して貰った御座に腰を下ろし、宴会の賑やかさを肴に飲んでいた。 そうしていると、ひとりおろおろしている豆狸を見つける。 少し戸惑った後、意を決して傍に寄る。 「どうした? 仲間なら向こうに――」 シリウスは、リチェルカーレが小さな子供にするように、膝をついて出来るだけ穏やかに話す。 すると豆狸はシリウスを見上げながら言った。 「寝坊したの。お客さん、歓迎しなきゃいけないのに」 どうやら、遅刻して参加するのが気まずいようだ。 シリウスは苦笑して言った。 「なら、俺の相手をしてくれるか?」 豆狸は頷いて、シリウスの世話を一生懸命しようとする。 けれど子供な豆狸は、うつらうつらと眠そうに。 こてりと眠りこけそうな所を抱き上げると、そのまま登って寝てしまう。 眠ってしまったので動かすことができず、膝の上に乗せてやりながら、僅かに困り顔のままその場に居ると、リチェルカーレに呼び掛けられた。 「見つけた! もう、こんな所で何を……あら?」 シリウスの膝の上で眠る豆狸に笑顔を浮かべ、隣に座る。 「ふふ、よく眠ってる」 隣りに座ったリチェルカーレのぬくもりに、ほんの少しシリウスの鼓動が上がる。 「子どもだから疲れたんだろう」 シリウスの言葉に、リチェルカーレは続ける。 「赤ちゃんかしら? よっぽど安心してるのね」 豆狸の額や前足をそっと撫で願うように言った。 「人と妖さんが、こんな風に仲良くできるのって素敵ね。アークソサエティも、こんな風になればいいのに」 「……ああ、そうだな」 リチェルカーレの優しい呟きに目を細め、シリウスは柔らかな声で頷いた。 そうしていると、歌が聞こえてくる。 明るい童謡のようなニホンの歌に併せ、最初にリチェルカーレが。 継いでシリウスが、リズムを合わせ2人一緒に、歌声を重ねていった。 ●お酒を飲んだら泣き上戸? 「……ヴォルに、お酒は飲ませないで、ほしい」 駆けつけ3杯とばかりに、歓迎するなり酒を勧める狸達に、『カグヤ・ミツルギ』は言い含める。 疑問に思う狸達に、本人である『ヴォルフラム・マカミ』が続ける。 「20歳になった時カグちゃんの家でお酒頂いてから、何も覚えてなくて。翌日起きたら『お前は酒を飲むな』って皆から言われたんだ」 その時のことを思い出そうとするも、霞がかって浮かんでこない。 「酔った僕、何したんだろう……」 首を傾げ、少し悩む。 けれど、思い悩んでいる自分をカグヤに見せないように。 少しでも、カグヤに認められる自分であるために。 「まぁ、それは兎も角として」 ヴォルフラムは話題を変えるようにして、自分の手料理を皆に振る舞う。 「実家の赤ワインとお酒の肴作ってみたから、よければ」 そう言って、木箱に入ったワインを6本と、料理の入ったお重を差し出した。 見慣れない料理に、狸達が集まって中身は何かと訊いてくる。 「肴は猪肉のバルサミコ醤油煮、チーズ入り卵焼き、野菜のマリネだよ」 良い色合いになるまで煮こまれた猪肉のバルサミコ醤油煮は、見ているだけで美味さに喉が鳴る。 チーズ入り卵焼きは、とろけたチーズが卵に包まれ、口に入れる時を待っている。 野菜のマリネはサッパリと。箸休めにちょうど良い。 「どんどん食べてよ」 ヴォルフラムの差し入れに、狸達は綺麗に盛り付ける。 料理の色合いを損ねず映えるよう、白磁の皿に盛りつけて。 カグヤには食べやすいよう、小皿に入れて持って行く。 「ん、美味しい」 用意された御座に座り、カグヤはヴォルフラムの料理を食べる。 「美味しい? 良かった!」 もちろん喜ぶヴォルフラム。 そこに、差し入れのお礼ということで、狸達も料理を持って来る。 灰汁抜きをした山菜の天ぷらに、厚切りをしたカツオのたたき。 他にも山の幸と海の幸を次から次に。 「ん、この料理、美味しい」 もてなし料理に舌鼓を打つカグヤに、ヴォルフラムは帰ったら作ってあげようと、料理のレシピを聞きに行く。 それが、少しばかりまずかった。 カグヤと、ヴォルフラムがお酒が飲めないことを聞いていた狸達から離れ、料理を用意していた狸達の元に。 そこで、ヴォルフラムが持って来たワインの話になる。 「え、このワイン? あぁ、2月に実家に帰ってみたら、それから毎月送ってくるんだ……。処分に困ってるからどんどん飲んでね」 これに狸達は喜んで、次々ワインを飲み干す。 そして、お礼だと言って、笑顔で酒を勧めて来る。 「いや、僕にくれなくていいから!」 断ると、これなら良いだろうと、切子細工の美しいガラスの盃に入った、透明な飲み物を勧めて来る。 (水、かな?) ワインやウイスキーとは違うそれに、周りが勧めるのに促され、ついひと口。 口に含めば清涼な。澄んだ湧き水を思わせる涼やかな飲み心地。 喉から胃の腑に落ちれば、かぐわしい香気が広がって。 そして一気に体が熱くなる。 「え、これ、お酒?」 最上級のニホン酒は、清水のような飲み心地だったが、それでもお酒はお酒。 もちろんヴォルフラムは酔っぱらう。 「うぇっえぐっ……かぐちゃぁん」 子供のように声を上げ、カグヤの元に。 どうしたことかと尋ねる周囲に、カグヤは返す。 「酒気が入った途端、泣き出して、最終的に寝る」 「みんなひどいよ、むりっていってるのに、おさけのめってー」 酔ったヴォルフラムは子供のように、傍にいて欲しいと泣き、危ない事しないでと泣く。 「ほんとはね、かぐちゃん、そとあるいてほしくないんだ。ぼくのそばにずうっといてほしいの」 カグヤは思う。 普段、頼もしい彼の内面は、きっと繊細なんだろう、と。 それはそれとして。 このままでは収拾がつかないので、最終手段に。 「うん。……これ飲んで、落ち着こうね?」 酔いつぶれて寝てしまう、コップ一杯分のお酒を飲ませようとする。 とはいえ、簡単なことではなかったが。 (ちびちびとしか飲まないから、時間がかかる……のだけど、誰飲ませたの) そんな風に思いながら、カグヤはヴォルフラムの面倒を最後まで見る。 そして酔いつぶれて寝てしまったヴォルフラムは、カグヤの傍で、酒に微睡み一緒に居続けた。 ●狸宴会楽しもう 「祭事に参加し一緒に盛り上げるのも浄化師としてのつと……」 「ただの宴会だ。気楽に楽しめ」 生真面目な『ヨナ・ミューエ』に、『ベルトルド・レーヴェ』は苦笑するように言った。 「あ、はい……」 賑やかな場の雰囲気もあり、ベルトルドの言葉は正しいと思いつつも、気を張ってしまうのはヨナの性分だ。 そんな彼女の肩の力を抜かせるように、率先して宴会に向かうベルトルド。 しっぽが自然に、くねくねしてるので、純粋に楽しもうとしている可能性もあったが。 2人が向かったのは、すでに盛り上がっているセパル達と隠神刑部の元。 「いらっしゃーい! 駆けつけ3杯、いってみる?」 セパルが勧めたのは、人の顔ぐらいありそうな大きさの酒杯。 それでぐいぐい、セパル達は飲んでいる。 「いただこう」 酒杯を受け取って、ぐいっと一息に。 清涼なのど越しと、かぐわしい香気が抜けて。 かぁっと、胃の腑が熱くなる。 「旨いな」 「おっ、若いの。いける口じゃな」 飲みっぷりの良いベルトルドに、刑部が飲み比べを提案。 「ふぅ、旨い。もう一杯」 「おかわりじゃ、おかわりじゃ」 かっぱかぱ飲む2人に、セパルとセレナが次々御酌。 しつつ、自分にも手酌で、するりするりと飲んでいく。 「全員、飲める口だな」 「ああ。こっちの言葉だと、うわばみってヤツだな」 ベルトルドの言葉にウボーは返すと、ジョッキに入ったニホン酒を一気飲み。 (皆さん、底なしですね) いける口が集まって、わいのわいの楽しんでいるベルトルドに苦笑しながら、ヨナは遅れて挨拶を。 「ヨナ・ミューエです。薔薇十字教団――」 律儀に挨拶。 これに刑部は笑顔で返す。 「おう、よう来たよう来た!」 陽気に受け入れられ、ヨナも宴会の輪に入る。 そこに料理が次から次に。 「ふむ。美味いし、酒の肴にも合うな」 ベルトルドは、カツオのたたきおろしポン酢和えを、酒の合間合間に食べていく。 「こちらも美味しいですよ」 ヨナは山菜おこわと天ぷらを美味しく食べる。 食べて飲んで、陽気になりながら歓談を。 その中で、ヨナは妖怪の成り立ちに興味を示し訊いてみた。 「様々な生物やモノから生まれ妖力を持った者を妖怪と呼ぶんですよね。特に、モノに意識が宿り妖怪や付喪神となるのはとても不思議です。ニホンの人々の信仰も関係あるのでしょうか?」 これに刑部は、ちらりとセパルに視線を向ける。 するとセパルは、場の雰囲気が壊れないよう、変わらぬ陽気な表情で返した。 「その辺は、色々あったんだよ。その内、発祥の地になるキョウに、みんなに来て貰うことを頼むかもしれないね」 その言葉にヨナは気になったものの、宴を楽しむことが第一と、宴会を続ける。 楽しくどんちゃん騒ぎ。見れば、ベルトルドが刑部と始めた腕相撲に、皆も皆もと試し合い。 中には相撲をする者も。 そんな喧騒をヨナが眺めていると、10人以上の豆狸が集まってくる。 「どうしました?」 「おひさまのいろー」 「……はい?」 どうやら髪の毛を指さして、色合いが珍しいらしい。 「さわっても、いい?」 小首を傾げ、おねだりする豆狸達。 これにくすりと笑い、承諾すると、次から次にもみくちゃにされる。 埋もれそうになりながら、どさまぎでもふり返し。 自然と笑顔が浮かぶ。 すると抱き上げた豆狸が、狸に毛が生えたようなヨナ似の何かに変化。 ヨナが首を傾けると豆狸も同じように傾ける。 その様子に、自分に変化しようとしたのだと気付き思わず吹き出す。 「もう少し練習が必要みたいですね」 力を抜いた、柔らかな笑顔をヨナは浮かべる。 これに刑部は笑顔で言った。 「チビ共が、役に立ったようじゃな。好きなだけ、遊んでやってくれ」 この言葉に、周囲の視線がヨナに向く。 微笑ましげに笑顔を浮かべる皆にヨナは、あたふたと。 「こ、これは、その……」 自分を落ち着かせるように、豆狸をぎゅむっと抱きしめるヨナだった。 ●酔い微睡みに、想いは口に 「リントめ、化け狸があの女に似てるからってデレデレしやがって」 三色団子を食べながら『ベルロック・シックザール』は、歓待されている『リントヴルム・ガラクシア』を目の端で追い、憤慨したように呟く。 視線を向ければ、リントヴルムは人間の女性に化けた狸にお酌をされながら、余裕を見せて会話を交わしている。 「ふふ、いい気分だね」 着物姿の女性にお酌をされながら、甘く言葉を掛けていく。 「キミは僕の初恋の人に似てるんだ……なんて言ったら失礼かな?」 言葉を交わしながら、視線の端はベルロックに向くことも。 (ずいぶんモヤモヤしてるみたいだな~) 見ない振りがバレバレなベルロックの様子を酒の肴にするリントヴルム。 いたずらをするようなリントヴルムに、お酌をする化け狸は気付くも、むしろ楽しそうだと乗っかる。 しなだれかかるようにして、甘えるようにお酌をしていく。 「良い人を放っておいて。悪い人ねぇ」 化け狸の言葉に、笑顔で返すリントヴルム。 「折角宴会のお誘いに付き合ったんだから、このくらいは楽しませてもらわないとね」 そうとは知らないベルロックは、2人の様子に声を荒げる。 「だいたいあの女がそんなにこやかに対応するわけないだろ、サービスだよサービス――」 見ちゃいられないと言うように、三色団子を平らげる。 空になった皿に、これでは足らぬと追加を頼む。 「すいません、お団子追加!」 これに応え、お団子を持って来てくれたのはイケメン姿の化け狸。 「……なんで俺の方は男……?」 「女性が良いなら化けますよ」 「いや、別に女が良かったってわけじゃないけど!」 慌てて返すベルロックに、化け狸はクスクス笑いながら、お団子やお饅頭。甘い和菓子を勧めていく。 甘い物好きなベルロックは、リントヴルムを気にしつつ、甘味には罪はないとばかりに食べていく。 みたらし団子にきんつば。草餅に栗饅頭。 次々食べて、喉の渇きを覚えた所に、杯を渡される。 一息に、ぐいっと。 涼やかなのど越しの、あとに来たのは酩酊感。 「ひっく……しまった、これ……酒……」 一気に酔って倒れてしまう。 それに気付いたリントヴルム。 「……って、あれ?」 (何だか様子がおかしいな……もしかしてベル君、お酒飲んだのかな?) 気になってベルロックの元に向かい、傍にいたイケメン狸に声をかけ事情を聞く。 「気付かずに、お酒を飲んじゃったのか」 事情を知り、介抱することに。 邪魔にならない脇に移動し寝かせてやった。 それを見ていたイケメン狸は、枕代わりの座布団を持って来る。 次いでとばかりに、先程までリントヴルムにお酌をしていた狸が、水の入った湯呑を手渡す。 あとは2人の邪魔にならないようにと、少し離れる狸達。 残されたリントヴルムは、ベルロックの介抱を続ける。 「ほらベル君、お水だよ」 口元に湯呑を持って行くが、むずがるように口を付けない。 「……むむ、飲まない」 苦笑するように、ため息一つ。 「仕方ないな」 水を口に含むと、ベルロックの頭を支えるように手を下にして。 顎に手を当て、口を開かせる。 そのまま口移し。 含んだ水がこぼれないよう、唇と唇を重ねた。 (なん……だろ……?) 唇に受ける生暖かい感触に、酔いに微睡むベルロックは意識を向ける。 閉ざされていた瞼を開ければ、間近にリントヴルムの顔が。 「気が付いた?」 (……? 何か言ってる……?) ベルロックは醒めぬ酔いに、意識は微睡みに浮かびながら、ふわふわする頭でリントヴルムの言葉を聞き取ろうとする。 「ねえ、さっきやきもち妬いてたでしょ」 リントヴルムは、確かめるように問い掛けた。 「改めて聞くけど、僕のこと好きなの?」 最後の方だけ聞き取れたベルロックは、微睡む意識に沈む前に、自分の想いを口にした。 「……ん……好き……」 やっとそれだけ答えると、また酩酊の微睡みの中へ。 ウトウトとする中で、リントヴルムがニヤリと笑うのを見た気がしたベルロックだった。 ●ご飯一杯食べるにゃー! 「にゃーは教団最強の黒にゃんこミカゲだにゃー!」 両手を上げて、にゃーと挨拶。『ミカゲ・ユウヤ』は宴会場に来るなり自己主張。 これに豆狸達が、10人以上わらわら集まると、ミカゲを見上げ問い掛ける。 「最強なの?」 「最強なのにゃー!」 「にゃあ?」 「にゃー! なのにゃ!」 「にゃー?」 「そうなのにゃー!」 「にゃー」 「にゃー!」 「にゃー!!」 「にゃー!!!」 いつのまにやら、ミカゲと豆狸達が両手を上げて、にゃーの大合唱。 元々、楽しいことが大好きな、妖怪な狸達。 ミカゲと一緒に大合唱でご満悦。 それを大人の化け狸達が、微笑ましげにころころ笑う。 「おやおや、可愛らしいのに最強なのねぇ」 艶やかな美女に化けた狸の言葉に、ミカゲの保護者なパートナー『ラシャ・アイオライト』が応えを返す。 「その、ミカゲちゃんが、ああ言ってるのは、そういう遊びなんです」 「あら、遊びなの?」 「はい。だから――」 ラシャとしては、迷惑にならないよう気を使ってのことだったが、化け狸達は気にする様子もなく、むしろ乗っかる。 「遊びなら、本気でしないと嘘だわねぇ」 笑顔で美女狸は、ミカゲを手招き。 「最強の、にゃーさんに来て貰ったんだから、ご馳走しないと。食べたいものある?」 「美味しいものが良いにゃー!」 目を輝かせ、ミカゲは走り寄る。 「さぁさぁご飯おくれにゃ! いっぱい食べるのにゃ!」 「ふふ、もちろん、一杯あるわよ」 美女狸がそう言うと、豆狸達が料理の乗ったお皿を手分けして、頭の上に掲げて持って来る。 目を輝かせるミカゲに、ラシャは嬉しそうに呼び掛ける。 「ほらミカゲちゃん、ご飯が一杯だよ。美味しく食べようね」 「食べるのにゃー!」 用意された御座の上、座布団に腰おろし。早速食べようと手を伸ばした所で、箸を渡される。 「ごはんうまく持てないのー!」 使い慣れない箸が巧く使えず、じたばたするミカゲ。 そんな彼女に助け舟。 「ふふ、お箸の持ち方が違うね」 ラシャが器用に箸を使い、料理を取って口元に。 「僕が食べさせてあげるよ」 「ご飯食べさせるにゃー!」 カツオのたたきに山菜天ぷら。 鶏のから揚げもあれば、お芋の煮っ転がしも。 箸休めに、さっぱりなます。綺麗に盛り付けられたちらし寿司も食べていき、合間合間にお饅頭も。 「美味しいにゃー」 「良かったね。ミカゲちゃん」 喜ぶミカゲに食べさせてやりながら、ラシャも合間合間に食べていく。 美味しく食べて満足したら、今日ここに来た目的を思い出す。 「……にゃー、今日は皆と仲良くしに来たんだったにゃ」 「そうだね。だったら――」 「よし、皆にゃーの頭を撫でてくれにゃー!」 すっくと立って、ミカゲは、たぬきーずに駆け寄る。 それを慌てて追いかけるラシャ。 「あ。頭を撫でて欲しいの?」 「仲良しは頭を撫で撫でにゃー!」 ミカゲの言葉に、ラシャはフォローした方が良いかと少し悩む。 「……多分いきなり撫でてって言ったら、皆びっくりするから。僕が間に入って説明しようかな」 そんな心配は無用だった。 「にゃふふー! 仲良しにゃー!」 ノリの良い化け狸達は、笑顔でミカゲの頭を撫でる。 「豆狸達も、撫でるにゃー」 ひょいっと腰をかがめ。いつの間にか自分の周りを、一緒になって付いて来ていた豆狸達に頭を差し出す。 すると豆狸達。ぷるぷる手を伸ばすも届かないので、1人が肩車をして、もう1人が手を伸ばし頭を撫でる。 「にゃふふー! これで仲良しなのにゃー! ミカゲも撫でて、もっと仲良しにゃー!」 豆狸をミカゲが撫でていると、美女狸もやって来て、ミカゲの頭を撫でる。 ついでに、傍を通った隠神刑部に美女狸が声を掛けた。 「お父さん。撫でてあげてちょうだいな」 これに隠神刑部が近付くと、ミカゲとラシャの2人に笑顔を向け言った。 「楽しめたか?」 「楽しいのにゃー!」 満面の笑顔でミカゲは返す。 「それに、ご飯美味しかったのにゃー! いっぱいご飯くれるニホンは、きっといい国なんだにゃー!」 この言葉に刑部は、にかっと笑い。 ミカゲとラシャの頭を撫でる。 「にゃふふー! これで仲良しなのにゃー!」 ご満悦なミカゲだった。 こうして宴会は賑わい、たぬきーず達との友好が深まった。 楽しく指令を果たした、浄化師達だった。
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*** 活躍者 *** |
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[5] ミカゲ・ユウヤ 2019/06/21-23:59
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[4] ヨナ・ミューエ 2019/06/21-22:27
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[3] リチェルカーレ・リモージュ 2019/06/21-20:28
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[2] ヴォルフラム・マカミ 2019/06/21-17:21
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