~ プロローグ ~ |
枢機卿。 |
~ 解説 ~ |
○目的 |
~ ゲームマスターより ~ |
おはようございます。もしくは、こんばんは。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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助け合うのは大事だもの この機会に ニホンとアークソサエティももっと仲良くなれたらいいな 説得:2と3(植物に興味のある人) 緊張の面持ちでぺこりと挨拶をした後 話を あの、ええと 薬草園を作ってはどうでしょう ニホンにもいろいろな薬草があるんです セパルさんたちにお願い ドクダミやクコの実、スイカズラ等薬草を並べ お医者様もお薬も、お金がかかるでしょう? 一か所で育てることができたら 皆助かると思うんです 怪我も病気も 誰だって早く治したいものだから たぬきさん達に教えてもらった 葛湯を振る舞う ニホンの方や 妖怪さんたちにも手伝ってもらったら上手に育てられると思うんです こんな風に 手軽に体にいいものが手に入るようになったらなって |
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ディースさんに、ニホン国民(能力者、一般人を問わず)を元気にするイベントの開催を提案します。 令花からは、創作、ものづくり、生産者が作品を持ち寄って披露、販売する「クリエーターズマーケット」を、和樹からは、運動したい人が個人・チームを問わず登録出来て、得意なスポーツにエントリーして試合が出来る「アスリート・リーグ」を提案。 クロアさんには、提案まではいきませんが、令花が知る妖怪の知識を色々と教えて差し上げたいです。 親(経歴参照)が幕府の役人なので、勇気を出して手紙で過去を詫び協力を頼みます。 和樹「俺は普通に電話したけど…「令花の手紙も読みたい」だってさ。親父照れて口止めしてきたけど。」 |
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僕の提案って料理人さんにウケがいいのかな 僕がニホンで感じたのは、飲食への探求心がすごいって事かな 勿論、食器や調理器具にまで心血注がれてる 「一番驚いたのは、包丁の種類の豊富さと切れ味だよね」 魚下ろすのもすっと切れて、骨もザクっと切れちゃうし なんで今まで切れ味悪い包丁使ってたんだろうって思うよ 包丁はサカイって所で買ってきたよ! あと農作物だけど ニホンの固有のコウシュウブドウって言うのがあるらしいけど 生食としては流通してるけど、生食用に適さないブドウについての活用 …つまりワイン等へ加工はしてないみたいなんだ だから、お酒だとか加工する技術指南する職人さんとか 派遣できないかなーって思うだけどどうかな? |
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まずはファウストに挨拶 ヨ このような場を設けて頂き有難うございます 正直 こんな真っ当な要請をする方とは思いませ…(喰人に口を塞がれる ベ すまないな どうもヨナは貴方の前だと正直になりすぎるようだ この投資の話でお互いの国の為になるよう手助けを出来ればと思っている 3商人投資家 ナディヤ・ドレーゼ 商人として財を築き、人間社会に溶け込み社会情勢に詳しい穏健派の魔女 外見30歳ほどの妖艶な顔立ちの女性 銀髪 琥珀色の瞳 黒肌 雑談もそこそこに話題を切り出す ニホンで人を育ててはみませんか? 平たく言ってしまえば誰でもひらかれた(住み込みも可能な)学び舎を各地に作るのです …ニホンはまだ神の脅威に対抗する手段が十分とは言えません |
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クロアの旦那、またあんたと仕事ができて嬉しいよ。 さて妖怪であれ特産品であれ、ニホンの物をモノにしたいならギルド支部は置くべきじゃないか?確かな見極めは現地の目があってこそだ。 支部は東ニホンに置くといい。幕府に見捨てられた土地なら仕事には困らんだろう。幕府がやるべきことの多くを引き受けるとなれば、地方を実質支配することもできるかもな。 (また、東ニホンに跋扈する様々な勢力と何らかの接点を持てるかもしれません) 職にあぶれた浪人の雇用を引き受けるのは、ニホン人にもありがたいだろう。ギルドにはあの手の連中を扱うノウハウはあるんだろ? |
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~ リザルトノベル ~ |
ニホンへの投資プレゼン指令。 これを受けた浄化師達は、それぞれプレゼンを行った。 ○薬草魔法植物園の始まり ニホンへの投資プレゼン指令。 これに参加した『シリウス・セイアッド』は心の中で呟いた。 (自分がいる意味があるんだろうか) 正直、頭が痛い。 だが、その思いを表情に出すことはない。 なぜなら、意気込みを見せるパートナーが隣にいるからだ。 (助け合うのは大事だもの) 緊張しながらも『リチェルカーレ・リモージュ』は、ニホンへの投資を成功させたいと思っている。 (この機会に ニホンとアークソサエティも、もっと仲良くなれたらいいな) 願うだけでなく、叶えるために。 リチェルカーレは、やる気をみせる。 そんな彼女の元に、主催者であるファウストが近付いて来た。 「よく来てくれたね!」 笑顔でにこにこと。 これにシリウスは、ため息ひとつ。 リチェルカーレは、笑顔を浮かべる。 「今日は、よろしくお願いします」 屈託のないリチェルカーレの笑顔を向けられ、ファウストは僅かに目を細め返す。 「こちらこそ!」 ファウストは美辞麗句でリチェルカーレを褒めまくると、お勧めの投資家を紹介する。 それは狸オヤジといった風体のクロア・クロニクルと、金髪碧眼のエレメンツに見える、おっとりとした美女。 ファウストに勧められ、リチェルカーレは緊張した面持ちで向う。 そんな彼女の後にシリウスは続こうとするが、その前に、終始笑顔のファウストと言葉を交わす。 「あんたもマメだな」 静かに続ける。 「リチェはあんたを『親切な人だ』と言っていたが。貴族たちは……枢機卿の連中は、ニホンのために動く気があるのか」 それは答えなど期待していない、独り言のような囁き。 けれど応えは返ってきた。 「ないよ」 その表情は笑顔のまま。 けれど真っ直ぐに視線を向けながら続ける。 「でも、誰かがやらないと。けれど私の手は2本しかないし、届く距離もたかが知れてる。だから、キミ達の力が必要なんだ」 ぽんっ、と肩に手を当てて。 「期待しているよ」 「…………」 ファウストの言葉の真意を測りかねながら、シリウスはリチェルカーレの元に。 そこでリチェルカーレはプレゼンを頑張っていた。 「あの、ええと、薬草園を作ってはどうでしょう」 緊張した面持ちで挨拶したあと、懸命に続ける。 「ニホンにもいろいろな薬草があるんです」 セパル達に頼み用意して貰ったドクダミやクコの実、スイカズラ等の薬草を並べ効用を口にする。 それは植物学に深い造詣を持ち、医学の知識がある彼女だからこその説得力があった。 「お医者様もお薬も、お金がかかるでしょう? だから、手軽に入りやすい薬草があると便利だと思うんです」 効果だけでなく、利便性も口にする。 「一か所で育てることができたら、皆助かると思うんです。怪我も病気も、誰だって早く治したいものだから」 そこまで言うと、最後に実践。 「たぬきさん達に、教えてもらった葛湯です」 ニホンで手に入る実物を提示して、説得力を増しながら続ける。 「ニホンの方や、妖怪さんたちにも手伝ってもらったら上手に育てられると思うんです。こんな風に、手軽に体にいいものが手に入るようになったらなって」 にこにこ葛湯を飲みながらプレゼンをするリチェルカーレに、シリウスは僅かに目を細め。 援護をするように言った。 「……薬なら、育成がうまくいけば安価で大量に輸入できる」 利が見込めることを伝え、補足するように続ける。 「俺たちの国の薬草も、可能なら提供すればいい。ニホンにないものがあれば喜ばれる」 具体的な投資対象の提示と、詳細な説明。そして利を説くと同時に、自分達の心情と熱意を告げる。 そこまでのプレゼンができたからこそ、投資家である2人は動いた。 「私は、良いと思いますねぇ。リリエラさんは、どうですか?」 クロアに呼び掛けられ、金髪美女リリエラは言った。 「とっても素敵。でも、どうせならもっと欲張りましょう」 そう言うと、リチェルカーレの用意した薬草に触れる。 すると全てが、今詰んできたばかりのような瑞々しさに変わった。 「セパルに勧められて来た甲斐があったわ」 投資家でもある緑手の魔女リリエラは、にこりと笑みを浮かべ。 魔女が魔法で使う薬草も育てる植物園の投資を約束してくれた。 これが薬草魔法植物園が出来る始まりだった。 ○夢見る者の宴(ドリーマーズフェス)の始まり 「オレは和樹。こっちは、ねーちゃんの令花。よろしくな!」 「ちょっと和樹!」 元気一杯挨拶する『桃山・和樹』に、姉である『桃山・令花』は慌てて言った。 「言葉使いに気を付けないとダメでしょ!」 これにクロアとディースは、楽しげに笑顔で返す。 「元気が好いですねぇ」 「気にすんな。アタシはディースだ。よろしくな、和樹。令花」 「おう! よろしくな!」 「……よろしくお願いします」 変わらず元気一杯に返す和樹と、赤面しながら返す令花。 2人は席を勧められると座り。早速、プレゼンを開始する。 「物作りの祭典をされてはどうかと思うんです」 最初に提案するのは令花。 「ニホンは今、アシッドの被害等で社会全体に元気がなく、とくに、若者が夢を目指せない、描けない、そんな状況だと思うんです」 それは自分自身の経験も踏まえての言葉。 親に創作への道を諦めさせられ、役人になるよう言われたことも、今の社会情勢なら仕方のないこと。 そう思っていても、どこかで、違う選択肢もあったのではないかという想い。 「夢がなくても、人は生きていけるかもしれません。でも、より良い未来を、活力のある明日を。目指すためには、夢が必要なんです」 もはや過ぎ去った、かつての夢。 新たに夢を、抱くことはできるかもしれない。 けれど過ぎ去った夢を、取り戻すことはできない。ならば―― 「誰かが夢を持つことが出来る。夢を持つ誰かを応援できる。そんな場所を作りたいんです」 いま夢を抱く者を。これから夢を見ることが出来るかもしれない誰かを。 そんな彼ら、あるいは彼女達の助けになれば。 「ニホンの若者が夢を描けるようなことが出来たらな、と思うんです」 そのための切っ掛けとなる場所を提案する。 「創作、ものづくり、生産者が作品を持ち寄って披露、販売する『クリエーターズマーケット』を開ければ良いと、思います」 令花の想いに賛同するように、和樹は提案する。 「物を作る以外にも、身体を動かす事だって、必要だと思うんだ」 思わず椅子から立ち上がり続ける。 「運動したい人が個人チームを問わず登録出来て、得意なスポーツにエントリーして試合が出来る『アスリート・リーグ』があると良いと思うんだ!」 そこまで言うと、自分達以外の協力者が居ることも告げる。 「親父は幕府の役人だけど、話をしたら、協力できることはしたいって、言ってくれたから」 それは令花が勇気を出して送った手紙に、父親が応えてくれたから。 そうなる切っ掛けは、和樹の言葉。 「俺は普通に話したけど……『令花の手紙も読みたい』だってさ。親父照れて口止めしてきたけど」 その言葉に勇気を貰い、父の助けも頼んだのだ。 想いを込め、伝手も頼り。自分達のできる全てを込め、2人は提案をしていった。 それを黙って聞いていたディースは、しばし黙考し。 にかっと笑顔で2人に応えた。 「いいぜ。その提案、乗った。でも、それぞれ別じゃ、盛り上がりに欠けるだろ? だからさ、ふたつ一緒に合わせて、『夢見る者の宴(ドリーマーズフェス)』ってのはどうだ?」 その提案に、和樹と令花は息を飲むように、僅かに沈黙。 けれどすぐに、ぱっと表情を明るくし返した。 「良いじゃん! すごく良い!」 「はい! とっても素敵だと思います!」 全力で賛同する2人に、ディースも笑顔で返した。 そうしてプレゼンは成功し、何をどうするかを話し合う。 その中で、年の近い和樹と令花は、友人のように言葉を交わし合う。 「冒険者!? ディースって冒険者の団長やってんだ!」 「ああ。親の七光りからなにから、使える物は全部使ってな」 「ふわぁ、すごいです。私、本で読んだことしかないです。その、危ない事とかも、あるんですよね?」 「たま~にな。でもま、その分、成功したあとのエールは美味いけどよ」 「エールか! いいな。俺も飲みたい!」 「……和樹!」 顔を赤らめながら嗜める令花に、笑顔で返す和樹。 そんな2人に、笑顔で返していくディース。 年頃の若者同士、友人のように話は弾んだ。 そうして話をするのは、年輩者のクロアにも。 「シコクには、八百八狸の妖怪さん達が。トオノには、座敷童っていう、幸運をもたらしてくれる妖怪さんが居るんです」 「ほう。妖怪と一口に言っても、色々な方が居られるんですねぇ」 「はい。他にも――」 妖怪に興味があるクロアに、令花は知っている限りの話を伝え。 投資のプレゼンから始まった話は、和やかに続いていった。 その終わりに、投資を約束してくれる、ディースとクロアの2人。 これが夢見る者の宴(ドリーマーズフェス)の始まりだった。 ○ニホン名産レストランの始まり 「僕がニホンで感じたのは、飲食への探求心がすごいって事かな。勿論、食器や調理器具にまで心血注がれてる」 投資家相手に『ヴォルフラム・マカミ』は『カグヤ・ミツルギ』と共にプレゼンをする。 「一番驚いたのは、包丁の種類の豊富さと切れ味だよね」 実際にニホンに訪れ感じたことを前提に語られているので説得力が増している。 「魚下ろすのもすっと切れて、骨もザクっと切れちゃうし。なんで今まで切れ味悪い包丁使ってたんだろうって思うよ」 「それほど切れ味は良いのですか?」 問い掛けたのは、いま居るレストランのチーフシェフ、ガストロフ。 なぜ居るかといえば、同席している投資家のディース・ヴァイキングが、ヴォルフラムとカグヤの話を聞き、料理に関わりそうだということで、意見を聞くために呼んだからだ。 「どこで買われたのです?」 前のめりで聞いてくるガストロフに、ヴォルフラムは応える。 「包丁はサカイって所で買ってきたよ!」 これに現地に行こうか真剣に悩むガストロフ。 そんな彼の隣に座っていたディースが追加で尋ねる。 「それだけ良い包丁が使えるなら、美味い料理も多いんだろ? ニホンは海に囲まれてるし、魚料理とかどうだ?」 「今は、難しい」 ディースの問い掛けにカグヤが返す。 「ベリアルのせいで、漁に出られない。だから、ベリアルを排除して、漁場の確保する必要があると思う」 問い掛けに返す形で、投資話に持っていくカグヤ。 「ニホンへの投資で、海産物資源の確保並びに、特定の魚介を工芸品の材料へ利用が、できると思う」 漁業の話から、さらに進めて工芸品の話にも。 「……主に、ウルシを使った漆器……日用食器から美術品まで作成してる。漆器の工房は、ニホン各地……日用品はエチゼン辺りが、有名」 投資先となる場所の提示も忘れない。 「エチゼンの工房でも、装飾性の高い漆器は作ってるけど、最も装飾性美術的追及がされているのは、キョウの漆器、だと思う」 そこまで言うと、輸入する際の注意点も欠かさない。 「でも漆器は乾燥に弱い。最悪、割れて崩れる。エトワールの、ミツルギ家と渡来した漆器の箱、割れた」 自分の家で体験した事実も織り交ぜることで、より実感を伴って伝わる。 大いに興味を引かれているディース達に、畳み掛けるように続けて言った。 「それ以外だと、陶磁器や金工品も各地で作成。ヴォルが言っていた、刃物、鋳物、銀、銅を使った細工や食器が作成されてる。銀器はエド、銅器はエチゴに著名な工房がある。エチゴの工房は、刃物鍛造の工房としても有名」 「好いじゃねぇか」 笑顔でディースは返す。 「美味い海の幸に、それを活かす工芸品。一般の日用品としても良いが、レストランでも使い所があるってのが特に良い。売る時は、まずは直に触れることが一番だからな。その点、食事に使える物なら、色々と宣伝の仕方はある」 乗り気なディースに、ヴォルフラムは続けて言った。 「あと農作物だけど、ニホンの固有のコウシュウブドウって言うのがあるらしいんだ」 直接食べる以外の活用を提案する。 「生食としては流通してるけど、生食用に適さないブドウについての活用……つまりワイン等へ加工はしてないみたいなんだ。だから、お酒だとか加工する技術指南する職人さんとか、派遣できないかなーって思うだけど、どうかな?」 「好いな、それ」 ディースは賛同する。 「ワインか。地域ごとに差が出るから、売りになるな。ワインと言えばシャドウ・ガルテンが有名だし、そこから人を呼んでみるか」 ヴォルフラムとカグヤのプレゼンにより、色々と投資話がまとまっていく。 海産物を安定して手に入れるためのべリアル排除。 それに伴う造船。 そして各地に工芸品を手に入れるための投資。 さらに、ワイン造り。 それらを広めるための広告塔ともなる、レストラン計画。 「腕が鳴ります。早速ですが、今ある材料で試作品を作ろうかと。もしよければ、食べて意見をいただけませんか?」 ガストロフの提案に2人は。 「ん、食べる」 「それなら、ニホンで教えて貰った料理があるから、それを」 カグヤは頷き、ヴォルフラムは料理の提案を。 そして出された料理を美味しく食べた2人だった。 これが、ニホンに名産レストランが出来る始まりだった。 ○万物学園アカデミアの始まり 笑顔で近付いてきたファウストに『ヨナ・ミューエ』は鉄の笑顔でご挨拶。 「このような場を設けて頂き有難うございます」 礼儀正しく。でも本音は口から零れ落ち。 「正直、こんな真っ当な要請をする方とは思いませ――」 余計なことを言いそうなヨナの口を手で塞いだのは『ベルトルド・レーヴェ』。 「すまないな。どうもヨナは貴方の前だと正直になりすぎるようだ」 「それは素敵だね! 素直な子は魅力的だよ!」 ファウストの物言いに、口を塞がれているのでくぐもった声しか出せないヨナ。 そんな2人を楽しげに見ながら、ファウストは投資家をお勧めする。 「あの人は好いよ! 私の知り合いも太鼓判を押してたから!」 その言葉に視線を向ければ、そこに居たのは滑らかな黒色の肌をした銀髪の、エレメンツに見える女性。 年の頃は30歳前後。妖艶という言葉が良く似合う、色艶のある美女だった。 話声が聞こえていたのか、魅惑的な琥珀色の瞳でヨナ達を見つめている。 (これは無視するわけにはいきませんね) 心象を悪くしてはいけないと思ったヨナは彼女の居るテーブルに。 「始めまして。ヨナ・ミューエと申します」 「ナディヤ・ドレーゼよ。そちらの子猫ちゃん(キティ)の名前も、聞きたいわ」 これにベルトルドは多少困惑したように返す。 「ベルトルドだ、マダム。生憎と子猫ではないが」 「あら、ごめんなさい。2人ともかわいいものだから、つい」 ころころと笑い、席を勧めるナディヤ。 「なにか欲しいものはある? ここはチョコのジェラートが絶品よ」 雑談を続けるナディヤに、2人は話を合わせていたが、やがて本題を切り出す。 「ニホンで人を育ててはみませんか?」 「……」 無言の笑顔で自分を見詰めるナディヤに、ヨナは続ける。 「平たく言ってしまえば誰にでもひらかれた学び舎を各地に作るのです」 「何故?」 問い掛けは短く。けれど鋭く。 それに気圧されないよう踏ん張りながら、ヨナは続ける。 「……ニホンはまだ神の脅威に対抗する手段が十分とは言えません」 想いを込め告げる。 「しかし我が国には技術と知識があります。それらを共有し広めるために教団から浄化師を派遣し、そこで様々な事を学んで貰えるような、安全と思える場所を作るための出資をして欲しいのです」 「それ、いつ見返りが貰えるのかしら」 顔は笑顔で。しかし瞳は冷たく。 投資家としての表情を見せるナディヤ。 そこにベルトルドが援護するように言った。 「すぐには無理だろう。だが意味はある」 自らの境遇を重ねるように熱を込め続ける。 「生きるだけで精一杯というのは、それだけで様々な機会を失っている。知識があればそれだけで可能性というのは広くなるものだ。その最初の一歩を伝える事が出来るなら嬉しく思う。それがたとえ人であれ妖怪であれ、な」 「……」 静かに耳を傾けるナディヤ。 そこにヨナは、自らの熱も重ねるように続けた。 「見返りは、いつになるかは分かりません。でも、良い出会いや切っ掛けをもたらしてくれる場所があれば、きっとすぐです」 「なんでそう思うのかしら?」 「私が、そうだからです」 1年と少し前。 ベルトルドと出会う前の自分を思い出しながら言った。 「人は変われます。でも、切っ掛けや出会いが必要なんです。そのための場所を」 まっすぐに視線を合わせ続ける。 「人を育てるというのは一朝一夕では成せない気の長い話ではありますが。貴方のような方なら……いえ、貴方だからこそお願いをするのです」 それはヨナの直感だった。 もっと理路整然としたことを口にすることも考えたが、それよりも、自らの偽らざる本心を告げるべきだと思ったのだ。 そんなヨナと、ヨナを信じるように黙したベルトルド。 2人を見詰め続け、ナディヤは小さく笑みを浮かべる。 「かわいいキティ達だこと」 そして言った。 「いいわ。まずは100年。投資してみましょ」 「100年……?」 あまりのスケールにヨナが聞き返すと、そこにメイド姿で動いていたセパルが来て言った。 「お眼鏡に適ったみたいだね。ナディヤ」 「ええ。セパル」 「……お知り合いで?」 ヨナが問うと。 「ええ。古い友人よ」 ナディヤは応えると、悪戯じみた魔法をひとつ。 ぽんっと音がして、猫耳が生えるヨナ。 「暗躍の魔女と呼ばれているわ。よろしくね、キティ」 ころころと笑うナディヤに、顔を赤くするヨナ。 これが、あらゆる種族が集い、全ての学び舎となる万物学園アカデミアの始まりだった。 ○冒険者ギルドニホン支部の始まり 「クロアの旦那、またあんたと仕事ができて嬉しいよ」 以前の指令でクロアと関わったことのある『エフド・ジャーファル』は、親しげにクロアに呼び掛ける。 するとクロアも親しげに返す。 「ええ。アタシも同じで」 そう言うと、レストランの給仕を呼んで。 「どうです? 再会と好き仕事に向け、まずは一杯」 「ダメよ。祝杯には早いわ」 たしなめるように言ったのは『ラファエラ・デル・セニオ』。 これにクロアは肩を竦めるようにして返す。 「道理ですねぇ。では、ソフトドリンクにでもしましょう」 そう言ってソフトドリンクを給仕に持って来て貰う。 一口飲んで。喉をうるおし、早速プレゼン開始。 「さて妖怪であれ特産品であれ、ニホンの物をモノにしたいならギルド支部は置くべきじゃないか? 確かな見極めは現地の目があってこそだ」 エフドは、投資の拠点となる場の構築を提案する。 「支部は東ニホンに置くといい。幕府に見捨てられた土地なら仕事には困らんだろう。幕府がやるべきことの多くを引き受けるとなれば、地方を実質支配することもできるかもな」 現地の拠点の確保と、その後の進展を有利に進めるための、いわば未来をも見据えた利点を上げていく。 「職にあぶれた浪人の雇用を引き受けるのは、ニホン人にもありがたいだろう。ギルドには、あの手の連中を扱うノウハウはあるんだろ?」 「ええ、もちろんで」 「それはいい。なら、あとはどうするかだ」 機を逃さぬよう、話を進めていこうとするエフド。 それにクロアは合わせていく。 「現地で拠点を作るなら、なによりもまず、人材ですねぇ。好い人を知りませんか?」 「人材か――」 話を詰めていくエフドとクロア。 そこに口を挟むのは、今はタイミングが悪いと思ったラファエラが、周囲に視線を向けていると。 (吉次郎?) 昔、見知った顔を見つける。 それは“パパの愉快な仲間たち”だった1人。 「吉次郎、あなたまだ諦めてないのね」 「お嬢さま?」 吉次郎は表情を崩すことなく返す。 「お久しぶりで。旦那様が『密告されて』教団に捕まって以来ですね」 吉次郎の言葉をさらりと流し、ラファエラは返す。 「パパのとこでは下っ端だったから、ム所には行かずに済んだって所?」 「……」 応えは返ってこない。だが、お構いなしに続ける。 「でも新事業立ち上げには苦労してるようね。夜明け団系列の出身だって事が業界に割れちゃってる? お陰で団絡みの連中にも見放されてるでしょう」 「……」 返事はない。それが答えになる。 だからこそ、ラファエラは提案した。 「はっきり言ってアークソサエティで一旗揚げるのはもう諦めたら?」 「御冗談を」 吉次郎の声には熱が篭もっていた。 「諦められるなら、ここには居ません。成り上がってみせますとも。その途中ではしごを外されたぐらい、なんです」 「あいかわらずね」 だからこそラファエラは、スカウトする。 「旦那様に外された梯子を掛けなおせるかもしれないわよ」 「……どういうことで?」 「今なら冒険者ギルドニホン支部立ち上げの為に通訳になれるかもよ。スターティングメンバ―に魅力を感じるなら話してみなさい」 「……コネがあるので?」 「無ければ声を掛けないわ」 はったりも交渉のひとつ。 それを理解しつつ、ラファエラの提案に吉次郎は乗る。 エフドとクロアのテーブルに。 「おや、吉次郎さん」 近づくなり、親しげに呼び掛けるクロア。 「……私の名前を知っておいでで」 「もちろん。ここに居る皆さんと同じくらい、知ってますよ」 言外に、参加者全員のことを調べていることをほのめかすクロア。 「なら、話は早いんじゃないか?」 エフドは、交渉の流れを優位にするべく、続けて言った。 「足りないものを持ち合って、利益を出すのが商売ってものだろう。その助けに、なると思うが」 この言葉を受け、吉次郎は交渉のテーブルに。 幾つか言葉を交わしクロアは言った。 「まずは10億。好きに使って下さい」 「……豪胆なことで。好きにというなら、懐にでも入れましょうか」 「冗談が下手ですねぇ」 からからと笑いながら、クロアは吉次郎に返す。 「アタシは、貴方を買ってるんです。そんな安売りをするほど、貴方の野心は易くないでしょ?」 これに返せない吉次郎に、ラファエラは言った。 「そこまで自分を安売りするような男なら、声を掛けてないわよ。成り上がるんでしょ? 吉次郎」 「……もちろんで」 ひとつの交渉がまとまる。 それはニホンに冒険者ギルドが出来る、始まりだった。 かくしてプレゼンは好調に終わる。 浄化師達のプレゼンを受け、早速投資が行われるのだった。
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*** 活躍者 *** |
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[13] ヨナ・ミューエ 2019/07/27-23:39
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[12] 桃山・令花 2019/07/27-09:17 | ||
[11] 桃山・令花 2019/07/27-08:51
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[10] 桃山・和樹 2019/07/27-08:45
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[9] ヨナ・ミューエ 2019/07/27-04:14
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[8] ヴォルフラム・マカミ 2019/07/27-00:56 | ||
[7] リチェルカーレ・リモージュ 2019/07/26-23:00
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[6] 桃山・令花 2019/07/26-17:57
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[5] カグヤ・ミツルギ 2019/07/26-13:51
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[4] 桃山・令花 2019/07/24-22:42
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[3] リチェルカーレ・リモージュ 2019/07/24-22:05
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[2] 桃山・令花 2019/07/23-12:45
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