~ プロローグ ~ |
センダイ藩。 |
~ 解説 ~ |
○目的 |
~ ゲームマスターより ~ |
おはようございます。もしくは、こんばんは。春夏秋冬と申します。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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まずは博徒達とちんちろりんで遊ぶ。この時点では賭けよりも遊びの意味合いが強い。ラム酒を振る舞ってやる。 この遊びの中で彼らがこの辺りで何をしてきたか、何ができるか、何をすべきかといった事を話させていく。(エフドの隣人愛情) 勇ましいが博徒でしかない彼らの中に、新施設の要となり得る人材がいないか探るためだ。(ラファエラのナンパ) 勝負の前に博徒達の心を掴んでおきたい。 やがてラファエラがサバイバルナイフを出し、度胸試しを兼ねた本番の勝負を挑む。フィンガーフィレットだ。 イカサマの類はしない。特に五郎八にはまず通じないだろう。竜眼の前で見苦しい事をしないためにも、自分からクロア達に助けを求めたりはしない。 |
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今日はよろしくお願いします と笑顔で挨拶 だけど博打 …シリウス、具体的には何をするの? ああ 親睦のためのゲーム大会? そうよね 一緒に仕事をする人とは仲良くしたいもの 彼の疲れた顔には気付かず大きく頷く 全部顔に出るからと シリウスから許可が出ず応援 クリスさんも一緒なのね?がんばって! 親分さんもよろしくお願いします にこにこと応援 シアちゃんと一緒に五郎八様にも挨拶 この前 トウホクのお祭に参加しました ここに住む人たちは…妖怪さんも 皆さん強くて優しくて そんな皆さんとお仕事ができたならとても嬉しい シリウスが勝ったら 満面の笑みでおめでとう!と 負けても お疲れ様!親分さん、強いんですね 今度わたしにも教えてくださいな とにこにこ |
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ばくちって何かと思ったのですが、ゲームのこと、だったのですね なんだか皆さん、楽しそう、です 勝負は、時の運 どなたも頑張って、ください 私は、ルールがよく分からないので……心の中でそっと応援してたのですが 五郎八さんを見つけて、お話をしてみたい、と思いました 五郎八さん、初めまして この度は、楽しい場を提供して下さって、ありがとうございます (大金の事はうっすらとしか) こうして親睦を深めていけたら、きっとギルドも素敵な物になりますよね 実は、私 ギルドの他にも作られると言う、薬草園がとても、楽しみで お友達のリチェちゃんが、提案してくれた、そうなんです、けど どんな薬草たちに会えるのか、今からドキドキしてるんです |
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博打。ええ知っているわ。ギャンブルの事でしょう。 私たちはブラックジャックにしようかしら。 手が空いている方お手本を見せて下さいません? 賭ける物があるのは初めてなの。賭ける額や勝負の参考にするわぁ。 サク:私いかさまはしませんので。 キョウ:(え、しないの……?) サク:さあ頑張ってキョウヤ! キョウ:……はぁ? サク:良いとこ見せてね!! 【行動】 『サク』 私はキョウヤにアドバイスしたり対戦相手を褒めたり揺さぶりをかけたり。 接待風よ。キョウヤは本気で勝ちたいみたいだけどね。ふふっ 『キョウヤ』 いかさましないってそういう事か……自分もいかさましませんよ。 肝心なのはいかさまを見抜けるかどうかです。頑張ります。 |
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ヨ 土地を手に入れる為の賭け事ですか このような大切な事を博打で決めるのは気が進みませんね… ベ 業に入れば何とやら、だ。ここの土地のやり方に倣うとしよう 根拠は無いが、まあ悪い事にはならないさ ヨ むぅ…(気が重い 博徒子分、続いて親方と勝負 ルールが飲み込みやすい丁半博打 勝負を進めながらここの人々の人柄や風土を知る為に気さくに会話する喰人 それを少ない口数とぎこちない笑顔で付き添うヨナ こんな場所では面白い話の一つや二つ出来るのが良いのでしょうけど と内心腐る 慣れないものは慣れない お互いの胸中を探り合っているような場は特に それでも悪いように利用したい訳ではないと感じ取りこちらもそのつもりで接したい |
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~ リザルトノベル ~ |
博打をして用地買収指令。 この指令に参加した浄化師達は、それぞれ博打に興ずることにした。 ○刃をもって賭けよう 「よろしくお願いします。お嬢さま」 博打に向かう前、吉次郎が『ラファエラ・デル・セニオ』に囁くように言った。 「言われるまでもないわよ」 さらりと返し、ラファエラは賭場に。 そこでは、先に席についていた『エフド・ジャーファル』が、気安い口調で博徒とお喋りを。 「悪くないだろ?」 ラム酒をふるまいながら、自然に話が出来ている。 (器用ね) ラファエラは、言葉には出さず感心する。 技術ではない、自らの人となりで、他人を引き付ける。 自分では難しいだろう。 けれど身につけた技術は、それを補ってくれる。 「ここ、良いかしら」 賭場に参加している博徒の内、若い衆の間に入る。 「楽しみましょう」 艶やかな笑顔を向けられ、若い衆は浮かれたように博打に興じる。 行う博打は、ちんちろりん。 賭けを重ねながら、エフドは彼らから言葉を引き出していく。 「博徒と言っても、色々あるんだな」 「ああ。うちは元々、火消しやらの鉄火場で命を張る奴らが中心でな」 親分衆から話を引き出し。 若い衆とも話をしていく。 「他所の土地から、ここに来たのか?」 「ああ。郷里は、ヨハネの使徒にぶっ潰されてな」 話を聞く内に、彼らの素性が知れる。 「どこも同じだな」 自らの身の上も絡め、エフドは会話を重ね、多くのことを博徒達から聞き出す。 (これなら、大半がそのままこちらに引き込めるか? あとでクロアの旦那と吉次郎に伝えておくか) 必要な情報を手に入れ、場の空気を自分に馴染ませる。 そんなエフドを見て、ラファエラには焦りが生まれていた。 (私は……) いま何をするべきか? 功を焦る気持ちは、他の浄化師達と自分を比べての対抗意識。 あるいは、良い所を見せたいという、承認欲求。 だからこそ、大勝負に出る。 「そろそろ、大きな勝負をしない?」 そう言ってラファエラが取り出したのはサバイバルナイフ。 言って、軽くデモンストレーション。 手をテーブルに置き、広げた指と指の間を高速で突き刺す。 フィンガーフィレット。 一歩間違えると指を切り落とすゲームで勝負しようというのだ。 「私の物が信用できないなら、そっちの時計や小刀を使っていいわよ」 「ならば我の守り刀を貸してやろう」 涼やかな声に視線を向ければ、そこに居たのは五朗八。 「竜神正宗の牙から作った小刀じゃ。良く切れるぞ」 そして自分の手をテーブルに載せ指を広げる。 「使うのは我の手じゃ。勝負を受けるか?」 「……受けたわ」 場の空気がざわつく。 藩主の娘にして、博徒の頭。 傷ひとつでもつければ、静かに殺気立つ博徒達を敵にしかねない。 その気配にエフドが動こうとした瞬間、ラファエラは楔を打つように言った。 「竜眼ってどれだけ見えるの?」 いかさまも援護も通じない相手と、これから勝負する。 宣言めいた言葉に、エフドは近付き耳打ちする。 「他人様の金で負ける気か?」 「小細工すれば勝てるとでも? それこそ舐めてるでしょ!」 啖呵を切るラファエラに、五朗八は笑みを深めると眼帯を取る。 現れたのは、黄昏色をした竜の瞳。 「面白い。この勝負、よく見させて貰おうぞ」 そして賭ける。 「我は、主が失敗せぬことに賭ける」 勝ちたければ、傷をつければ良い。 これは、そういう勝負。 だからこそ、ラファエラは腹を括る。 一呼吸、息を吸い。 一気に刃を走らせる。 それはまさしく紙一重の動き。 五朗八が少しでも、ラファエラに不信を抱けば傷を受ける。 けれど五朗八は動かず。 ラファエラは、真剣勝負を制してみせた。 「あっぱれじゃ。これは、引き分けじゃな」 その言葉に博徒達の殺気が薄れる。 「我と引き分けた相手じゃ。歓待せよ」 この言葉に、博徒達の浄化師達を見る目は明らかに変わった。 「残念。勝ちたかったのに」 「……大したもんだよ、お前は」 エフドは静かに言うと、博徒達の元に。 あとには、ラファエラひとり。 勝負の熱を醒ますように佇んでいると、吉次郎が近付き言った。 「旦那様なら、こんな勝負はしなかったでしょうね」 「……文句があるの?」 「いいえ。ただ、違うと思っただけですよ」 吉次郎は笑みを深め、さらに一言。 「浄化師を辞めることがあれば、ぜひ声を掛けて下さい。腹の座った好い女は、得難いですから」 「安くないわよ」 「ええ、分かっています。ラファエラさん」 「……期待しないで待ってなさい」 肩を竦めるようにして返すと、エフドの元に向かうラファエラだった。 ○勝負は真剣に 「今日はよろしくお願いします」 賭けの前。笑顔で挨拶をする『リチェルカーレ・リモージュ』に、博徒達は毒気が抜けたように挨拶を返す。 にこにこ笑顔のまま、リチェルカーレは『シリウス・セイアッド』に近付き尋ねる。 「……シリウス、博打って、具体的には何をするの?」 「……」 リチェルカーレの問い掛けに、思わず黙り。 一瞬ならず、頭痛を堪えるように眉を寄せると、静かに応える。 「金とか物を賭けて勝負を……要するに『ゲーム』だ」 間違ってはいないが大雑把な説明を口にして、ため息ひとつ。 けれどリチェルカーレは、納得したという表情で。 「ああ、親睦のためのゲーム大会? そうよね。一緒に仕事をする人とは仲良くしたいもの」 気のせいか、リチェルカーレの応えを聞いて、疲れたような表情をするシリウス。 けれどリチェルカーレは、意気込むあまり気付かない。 (みんなが仲良くなれるよう、頑張らなくっちゃ) いざ、勝負に。 即座に止めに入るシリウス。 「シリウス?」 止められて不思議そうに聞き返すリチェルカーレ。 「リチェ。お前は、気持ちが全部顔に出る。やめておけ」 「そう?」 残念そうに返すリチェルカーレ。 そんな彼女に、共に指令に参加していた『クリストフ・フォンシラー』が声を掛ける。 「リチェちゃんには、応援をお願いしたいな。応援して貰えれば、すごく頑張れるからね」 これにリチェルカーレは笑顔で返す。 「クリスさんも一緒なのね? がんばって! 応援するわ!」 すると、クリストフの傍にいた『アリシア・ムーンライト』も、笑顔を浮かべ言った。 「私も、応援します」 「うん、応援よろしく、アリシア」 笑顔で返すクリストフに、先ほどのリチェルカーレとシリウスのやり取りを聞いていたアリシアは言った。 「ばくちって何かと思ったのですが、ゲームのこと、だったのですね」 「うん。色々と、手に入れる物は大きいけどね」 「そう、なんですか? ……大変、ですね」 おぼろげに理解するアリシアに、クリストフは微笑ましげに小さく笑みを浮かべ、博打の席にシリウス達と共に向かう。 「やるならポーカーかな。あれならルールも把握してるし、イカサマも見破りやすいと思うんだよね」 「……お客人。野暮なことを言われますな」 「もしもの話さ」 勝負が始まる前から、盤外戦術で揺さぶりを掛けるクリストフ。 それが博徒達のやる気に火をつけたのか、張り詰めた空気が漂ってくる。 「接待遊びになるかと思いやしたが、楽しめそうで」 博徒達は気合が入る。 そんな彼らを見て、アリシアは思う。 (なんだか皆さん、楽しそう、です) そしてクリストフ達だけでなく、博徒達も応援するように声を掛けた。 「勝負は、時の運。どなたも頑張って、ください」 同様に、リチェルカーレも声を掛ける。 「親分さんも、よろしくお願いします」 ほのぼのとした2人に、親分達は苦笑するように返した。 そして勝負開始。 ポーカーの種類は、手札を隠して行うクローズド・ポーカー。 一度に賭ける上限は、手持ちが続く限り行うノーリミット。 賭けのタイミングは、最初に札を配り終えた後と、札を交換した後の2回。 その度に、賭けに乗るか、さらに金額を上乗せするかを選び、分が悪いと思えば降りることもできる。 そして勝負中に、言葉を使った駆け引きも許される形式。 交換した札は場に出され、それを確認することでお互いの手札を読み合うことが認められていた。 賭け金は、今回参加している浄化師は5組なので、シリウスとクリストフは、それぞれ10億。 合計20億を種銭にした勝負を始める。 「まずは様子見で100万」 「……なら、俺はレイズする。追加で100万だ」 札を配り終え、ファーストベッド。 この時点で、参加している若い衆の中には降りる者も。 (弱気だな。この時点で降りるのは、堅実すぎる) 即座に、相手の表情や仕草から、判断するクリストフ。 いま参加しているのは、4人。 シリウスとクリストフに、若い衆が2人。 使用するデッキは52枚1組なので、相手の手持ちの札の良し悪しが分かれば、自分の札と組み合わせることで勝敗が読み易い。 逆に言うと、こちらの手札の良し悪しが表情から読まれれば、相手に有利になるのだが、その点、シリウスとクリストフは有能だった。 シリウスは表情を動かさない、静のポーカーフェイスで。 クリストフは笑顔を崩さない、動のポーカーフェイスで。 相手に手札の良し悪しを読ませず勝負する。 「Jと7のツーペアだ」 「残念。俺は、役無しのハイカードだ」 第一戦。シリウスが勝利する。 クリストフと共に賭け金を釣り上げて、相手を勝負から降ろさせての勝利。 これに相手は歯噛みする。 なにしろスリーカード。賭けていれば勝っていたのだ。 (これなら、揺さぶりを掛けるのも手かな?) クリストフは笑顔のまま判断すると、時折、相手に声を掛け勝率を上げていく。 「いい手が来たみたいだね?」 言葉を掛け、相手の表情から良し悪しを判断。 駆け引きも駆使し、若い衆から勝ちを積み上げていく。 すると、物足りなくなってきたクリストフが親分衆に声を掛ける。 「相手してくれませんか?」 これに親分衆の内、明らかに勝負師の気配を漂わせる2人が交代する。 「遊んで貰いやしょうか、お客人。念のため言っときやすが、イカサマはバレれば10倍払いでお願いしやす」 それは逆に言えば、バレなければ問題ないと言っているようなもの。 ある種の挑発めいた物言いに、クリストフは笑顔で返す。 「イカサマをしようとは思わない。だってそんなのつまらないじゃないか」 そう言うと、シリウスに顔を向け、にっこりと笑顔で言った。 「こういうのは本気でやるから楽しいんだよ。ねえ、シリウス?」 シリウスは視線で返したあと、クリストフから目を逸らしつつ応える。 「ルールを破って勝っても意味がないだろう」 博徒達を真っ直ぐに見つめ、続けて言った。 「俺達は浄化師として呼ばれてきた。一緒に仕事をすると決めた以上、不正はしない」 「一緒に、ですかい……」 シリウスの言葉に、親分衆は笑みを強め応える。 「困りやすねぇ、そんなこと言われちゃ。真剣勝負を、するしかなくなるじゃないですか」 明らかに親分衆の気配が変わる。 それをクリストフは笑顔で、シリウスは表情を変えず受け止め、真剣勝負を重ねていった。 (クリス、楽しそう、です) 少し離れて勝負を見ていたアリシアは、心の中でそっと応援していたが、同じように勝負を見ていた五朗八に気付く。 「五郎八さん、初めまして。この度は、楽しい場を提供して下さって、ありがとうございます」 アリシアが声を掛けると、五朗八は笑顔で返す。 「礼には及ばんぞ。好き勝負は見ていて楽しいでな」 そうして2人がお喋りをしているのに気付いたリチェルカーレも会話に加わる。 「この前、トウホクのお祭に参加しました」 その時を思い出しているのか、本当に楽しそうな笑顔で続ける。 「ここに住む人たちは……妖怪さんも、皆さん強くて優しくて。そんな皆さんとお仕事ができたならとても嬉しいです」 「嬉しいことを言ってくれるのぅ。ギルドが出来れば、そうなるかもしれんの」 五朗八に賛同するようにアリシアは返す。 「こうして親睦を深めていけたら、きっとギルドも素敵な物になりますね」 そして、それ以外にも、楽しみなことを告げる。 「実は、私。ギルドの他にも作られると言う、薬草園がとても、楽しみで。お友達のリチェちゃんが、提案してくれた、そうなんです、けど。どんな薬草たちに会えるのか、今からドキドキしてるんです」 「ふむ、薬草か。ならば、富士の樹海に居られる、なんじゃもんじゃ様の元に訪れるのも良いかもしれんの」 「富士の、樹海、ですか?」 アリシアの問い掛けに五朗八は返す。 「うむ。なんじゃもんじゃ様の元に訪れれば、見た事もない薬草を頂けるそうじゃ。それに、なんじゃもんじゃ様に保護されておる、天馬や人魚に会えるやもしれんの」 「天馬や人魚さんが居るんですか!?」 目を輝かせるリチェルカーレに、五朗八は続ける。 「アシッドに感染せぬよう。あるいは、人から狩られて絶滅しそうになったものを、樹海の結界の中で保護されておるそうじゃ」 興味を持つリチェルカーレとアリシアの2人に、五朗八は色々と話をしていった。 そうしてガールズトークが過ぎた頃、ポーカー勝負は決着を見せる。 「負けだ負けだ。強いねぇ、にぃさん達」 「いや、そちらも強かったよ。時の運で、勝てただけさ」 「ああ。好い勝負だった」 一進一退の好勝負をしたクリストフとシリウス、そして親分衆は、お互いを認めるように言葉を交わす。 そこにリチェルカーレが、満面の笑顔を浮かべ言った。 「おめでとう! シリウス!」 無邪気に喜ぶリチェルカーレにシリウスは、うっすら苦笑して。 そんな2人に、博徒達は毒気を抜かれたように苦笑する。 真剣勝負をしながらも、終りは和やかに。 これから先の未来を予言するような光景だった。 ○接待風でも真剣勝負 「博打。ええ知っているわ。ギャンブルの事でしょう」 博徒達の問い掛けに『サク・ニムラサ』は艶やかに返す。 声の響きは楽しげで、人目を惹く笑顔を浮かべていた。 「知ってるなら話は早い。なんにする? お嬢ちゃん」 「サクラと呼んで貰えるかしら」 凜と返すサク――サクラに、博徒達は気に入ったとでも言うように笑みを浮かべる。 (あれ? なんだか、馴染んでる?) 傍で見ていた『キョウ・ニムラサ』は、博徒達と平然と会話を重ねる姉を見て思う。 (サク……サクラが勝負するつもりなのかな?) 心の中の呟きを、慌てて言いかえる。 気付かれる訳は無いとは思いつつ、笑顔で何かを投げられてはたまらない。 そんなことを思われていると気付く筈もなく、サクラは博徒達と会話を重ね、勝負の前にこう言った。 「私たちはブラックジャックにしようかしら」 そう言って、浄化師達に同行していた魔女や狸オヤジに身体を向け、ひとつ提案を。 「手が空いている方お手本を見せて下さいません? 賭ける物があるのは初めてなの。賭ける額や勝負の参考にするわぁ」 これに応えたのは、狸オヤジなクロア。 「では、アタシが。手本になるかは、さてさて、それこそ時の運次第でしょうけれど」 そう言って一勝負。 勝負はクロアの負け。 こうしたらダメという、負けの手本のような負け方だった。 (なるほど。こういう感じにやっちゃ、ダメなんだな) キョウはクロアの負け方から学び取る。 そんなキョウをクロアは、ちらりと見たあと博徒達に提案する。 「カードを配るのを、アタシにさせて貰えませんかねぇ」 「おいおい。アンタは浄化師さんのお仲間だろ? いかさまでもするつもりかい?」 牽制じみた博徒の言葉に、颯爽と返したのはサクラ。 「私いかさまはしませんので」 (え、しないの……?) キッパリとした物言いに、キョウが訝しんでいると。 「さあ頑張ってキョウヤ!」 思いっきり丸投げするサクラ。 「……はぁ?」 「良いとこ見せてね!!」 ぽんっと、サクラはキョウの肩に手を置いて、小さく囁く。 「接待よ。キョウヤは本気で勝ちたいみたいだけどね。ふふっ」 「いかさましないってそういう事か……」 キョウは納得すると、いざ勝負に。 「自分もいかさましませんよ。頑張ります」 (肝心なのはいかさまを見抜けるかどうかです) 博徒達と向き合い勝負を重ねていく。 札を配るのは博徒達。 勝負は一進一退。 博徒達が有利になれば、サクラは明るい声で褒める。 「わぁすごい! さすがだわ!」 身につけた会話術も駆使し、博徒達の気分を盛り上げる。 調子に乗っていく博徒達。 段々と、キョウは負けが込んでいく。しかし―― (ん、これは……) 勝負の途中、キョウは気付く。 (危機感がなさすぎる、かな?) それは学んだ心理学も助けになった閃き。 (なにか、いかさまをしてる?) 閃きを感じるキョウの様子にサクラは気付く。 だからこそ援護するように言った。 「今の、もしかして……」 博徒が札を受け取り確認した瞬間、サクラは小さく、けれど皆に気付かれるように呟いた。 「おいおい、いかさまなんてしてねぇぜ」 「肩を竦める時に力が入っているのは、嘘を吐いてる証拠……と言いますよ」 キョウは心理学に基づく揺さぶりを掛けるが、博徒は平然と返す。 「嘘を吐いてるからって、それがいかさまとは限らねぇだろ。いかさまの証拠を出して貰わねぇとな」 「それは……そうですね。すみません」 素直に謝るキョウ。 それを見ていたクロアが口を挟んだ。 「勝負ごとにシャッフルをしましょう」 思わず固まる博徒達。 「どういうこと?」 不思議に思ったサクラが訊けば応えが返ってくる。 「カードカウンティングって手法がありましてね。簡単に言えば、必勝法、みたいなもんです。でも、ひと勝負ごとにシャッフルすれば防げます」 「へぇ、そうなんだ」 笑顔でサクラは博徒達に提案する。 「いかさまをしてるなんて思わないけど、シャッフルしても良いかしら? 大丈夫、みんな強いもの。今まで通りに勝てるわよ」 ここで断ればカードカウンティングをしていると言っているようなもの。 博徒達が承諾すると、キョウが続けて言った。 「では、クロアさんにシャッフルをお願いします。カードを配るのは皆さんで。これなら平等でしょう」 そして勝負を再開。 博徒達が優勢だったものが、段々とキョウの優勢に。 そして最後の大一番で、大勝をしたキョウ。 「やるじゃない!」 大喜びなサクラに、笑顔で返すキョウだった。 ○浄化師に賭けよう 「土地を手に入れる為の賭け事ですか」 博打を始める前、『ヨナ・ミューエ』は、納得できぬと言わんばかりの表情を見せる。 「このような大切な事を博打で決めるのは気が進みませんね……」 これに『ベルトルド・レーヴェ』は返す。 「業に入れば何とやら、だ。ここの土地のやり方に倣うとしよう」 「そうでしょうか? 土地ごとの習慣や決め事があるのは分かりますが……だとすれば、一体どんな根拠でそうなったのか」 思考の迷宮に突っ込もうとするヨナを、ひょいっと戻すように。 ベルトルドは、あえて気楽な声で言った。 「根拠は無いが、まあ悪い事にはならないさ」 「むぅ……」 気が重いと言わんばかりに唸るヨナに、ベルトルドは苦笑するように肩を竦めると、先に博徒達の元に。 言葉よりも行動を。 それがヨナを動かす秘訣だと、共に浄化師として過ごす内に気付いたのか、ベルトルドの動きは迷いがない。 実際、ヨナは慌てて後を追う。 「丁半博打でどうだ? 分かりやすくて、良いだろう」 賭場に着くと、博徒達とヨナに向けてベルトルドは提案し、それを皆は飲む。 外国人相手ということで、テーブルを舞台にいざ勝負。 「サンイチの丁。にぃさん、幸先好いね」 「ありがたい。このまま、勝たせて貰うとしよう」 博打をしながら、ベルトルドは軽妙に会話を重ねる。 「手慣れたもんだ。壺振りをやって、5年は経ってるだろ?」 「どんぴしゃだ。にぃさんも慣れてるじゃねぇか」 「師匠の爺さんに連れられてな。金がなくて困った時は、よくそれで稼いでたもんさ」 「そりゃすごい。生半な腕じゃ、無理だろ」 「まったくだ。武術より、そちらの才があるんじゃないかと思うほどでな」 「なら、金には困らなかったろ」 「とんでもない。稼ぐ端から使ってな。本人は『サイコロ回して手に入れたあぶく銭。浮世に回してやらにゃ浮かばれない』なんて言ってたけどな」 「はははっ、そりゃいいや」 博徒達と気安く会話を重ねるベルトルド。 一方ヨナは、時に話を転がせず、返答に困ることも。 (こんな場所では面白い話の一つや二つ出来るのが良いのでしょうけど) 内心で腐りそうになるが、ベルトルドと博徒達の気楽な会話を聞いて、気持ちを切り替える。 (胸中の探り合いかもしれませんが、きっと意味はあるのでしょう。悪意は感じませんし) そう思い、自分も会話に加わらねばと、思った時だった。 ざわつく気配に視線を向ける。 見れば、五朗八が自分の手を的にして、ラファエラと真剣勝負をしているのに気付く。 思わず固唾を飲んで見守る。 その結果に、息をつき。 五朗八があらわにした竜眼を見て思う。 (あの眼は賭け事だけでなく様々なものが見通せるのでしょうね。尤も 見え過ぎる故の苦悩もあるかもしれません。であれば、私が話せる事はこれしかない) 決意を胸に五朗八を見詰めていると、五朗八は面白そうに見つめながらやって来る。 「遊びのない目をしておるのぅ。我と真剣勝負をしたいのか?」 これに博徒達の視線が向く。 皆の視線をぶつけられる中、ヨナは自分の思いを口にした。 「雄藩でもあるこの地の羽振りが突然良くなれば政府の不信を招きかねません」 「ふむ」 続けろ、と言わんばかりに見詰め続ける五朗八に、ヨナは語り続ける。 「それは誰にとっても望む事ではないでしょう? しかし間にアークソサエティが入る事でニホン政府もおいそれと手を出す訳にはいかなくなる筈です。 ですから 協力という形でギルドを作ることは叶わないでしょうか」 「その理屈じゃと、幕府の代わりにアークソサエティが我らの上に立つだけじゃな」 「違います」 ヨナは迷いなく言った。 「アークソサエティには私達が、浄化師が居ます」 これに五朗八は、虚を突かれたようにヨナを見詰め、楽しげに笑い言った。 「ふ……ははっ、それはつまり、お主ら浄化師に賭けろということか」 「はい」 嘘偽りなく、真実本気で、ヨナは断言する。 これに五朗八は笑みを強め、賭けをする。 「乗った。この勝負、賭けるとしよう。じゃが、我は負けるのは嫌いじゃ。勝たせてくれるんじゃろ?」 「もちろんです」 迷いのない応えに、さらに笑みを濃くする五朗八だった。 かくして博打指令は終わりをみせる。 五朗八も楽しませ、ギルド設立のための土地を手に入れる浄化師だった。
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*** 活躍者 *** |
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[5] ヨナ・ミューエ 2019/08/19-21:54
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[4] サク・ニムラサ 2019/08/18-21:08
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[3] アリシア・ムーンライト 2019/08/16-21:51
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[2] リチェルカーレ・リモージュ 2019/08/16-21:16
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