~ プロローグ ~ |
サンディスタム。 |
~ 解説 ~ |
○目的 |
~ ゲームマスターより ~ |
おはようございます。もしくは、こんばんは。春夏秋冬と申します。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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民のことを考えてくださる 優しい王弟殿下ね 苦しんでいる人たちのために わたし達もできることを まずは誰一人欠けず この場を切り抜けられるよう 魔術真名詠唱 シアちゃんと協力 皆に禹歩七星を リコちゃん、ヨナさん 気をつけてね 正面からの引きつけ担当 サンディスタムの皆さんへ 浄化師です お迎えに参りました 一緒にここを切り抜けましょう 中衛位置から仲間への支援と回復 傷ついた仲間や従者さんへ 天恩天嗣3での回復 近づいてくる敵へ鬼門封印 禹歩七星が切れたら シリウスや他前衛の皆さんへかけ直す 余裕があれば九字で攻撃 自分への攻撃は回避 傷ついた仲間への攻撃は盾に 大技や上空ベリアルに注意 何かわかれば周知 この国で あなた達は何をするつもりなの |
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マントのフードを抑えつつ、ふと思い出す 確か、この砂漠の何所かにメルキオスの故郷があったと思ったが… 「お前の家族、無事と思うか?」 相方と共に敵へ向けて走る 呼ばれて、振り向く 「応よ!」 ほんの少しの接触 だが、それがいい 自身に力がないことは解ってる それでも、少しでも目の前の命が救えるように全力で剣を振るう 「この会談、どこで聞いた、言え!」 多分、メルキオスはこの手の事は問わない アレは何であろうと戦いを挑まれれば、斬って捨てる類だ いや、アレはアレのやり方で情報収集とかするのだろうが… ニホンへの船旅はベリアル そして今回は終焉の夜明け団 情報の漏洩 情報の伝達 まさか、両者が繋がっていて 教団に裏切り者が居るとでも? |
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普通、王様が、国民を見捨てるもの、でしょうか… 弟殿下と、あまりにも見てる物が違いすぎて、不思議、です 下を思いやって下さる方が王様なら、きっとみんな幸せですよね…… はい、今は集中しましょう 皆さん、集まって下さい リチェちゃんと協力して仲間全員に禹歩七星を これで少しでも早く駆け付けることができるはず 魔術真名を唱え 私は戦列の中衛位置に リチェちゃんと対象が被らないように注意、あるいは連携しながら 天恩天賜Ⅱと鬼門封印で 味方の回復と支援を 敵に挟まれてる人がいた場合は、九字の印で攻撃して援護を あなた方は……何故メンカウラー様を、狙うのですか…… こんなに、国を思ってる方を…… そんなに殿下が邪魔、なのですか……? |
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目的 王弟様の無事。 従者さんたちに、なるべく死者を出さない。 行動 最初に禹歩七星をかけてもらう。 魔術真名を唱えてから移動。わたしたちは、まっすぐ進んで西側の最前線へ。 従者さん達と協力して、終焉の夜明け団を撃退する。 戦闘 マリオスは前衛で攻撃。 前衛の従者さんに重傷の人がいれば、交代して前に出る。 下がった人は回復してからまた前に出てもらうとか? アライブスキルは敵の足を狙って移動を阻害するように使う。 味方の回復要員(従者さんたちを含めて)を狙われた場合は庇う。 シルシィは中衛。 天恩天賜Ⅱで回復と、鬼門封印で援護。 必要なければ通常攻撃。 敵の後衛を観察して、魔術を使いそうだったら警告を。 全体の作戦に合わせる。 |
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スキルをかけてもらって速力を上げたら、魔術真名唱えて左側から王弟達を迂回して敵の側面を目指す 魔力感知で反対側のヨナの魔術使用のタイミングを見つつ、 それに巻き込まれないように注意して、敵の中・後衛に向かって突撃 ブレイキングステップで攻撃しつつ速力をさらに上げ、 大火力魔術攻撃しようとしている人を優先して攻撃 正面組の負担を軽くすることを一番の目的に行動する もちろん撃破できるならそれに越したことはないけれど 哀れな魔術師さん、敵はこっちにもいるわよ 討伐が順調なようなら、魔力感知を他にも向けて、増援や邪魔がないか警戒 敵後衛が前衛の方に向かう等して正面組とかち合いそうならこちらも合流し、 戦踏乱舞で味方の支援 |
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王弟とその従者達の援護に向かうメンバーとは別れ 全力ダッシュしながら気が付かれないように迂回 注意を引き付けて貰うのを利用し敵集団の側面から攻撃 ヨナ FN17で集中力を高てから 敵の後方中心にFN13を何度か放つ 喰人ら近接が向かった後は遠距離から単体攻撃に切り替え 後方中衛を中心に攻撃し敵前衛と分断狙う 近接職が複数に囲まれたりすれば援護攻撃 ベルトルド ヨナの攻撃で乱れた敵の中に隊列組み直し等の指示を出している者を注意深く見極め接近しJM12 その場に留まらずJM14やJM17で動きながら立ち回る 人間相手なので足技多め リーダー格は捕縛し消えた人の情報を少しでも多く得る 手加減する余裕があれば良いのだが |
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暑い!暑いわ!溶けてしまいそうね!! 何て言っている場合じゃあなかったわ。 【行動】 まっすぐ敵の所へ。正面から戦闘しに行くわ。 敵と遭遇したら魔術真名詠唱 メンカウラーさんに自分達はこんなにも真剣だと、味方だと気付いてもらえれば良いですね。 近くにいる敵を攻撃。 目に砂が入らないようにゴーグルを使用 サクラ:溶けちゃう前に終わらせてしまいましょうか。 敵が多そうね。MP切れが怖いから『リンクマーカー』で命中率を上げて通常攻撃よ。 キョウ:早く終わると良いのですが……! サクラの前に立つような位置取りをして『光明真言』で防御力を上げます。 ただ攻撃しないと戦いが長引きそうなのでたまに通常攻撃をしますね。 |
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民を省みない王と思いやる弟、か 王が目を覚まさぬ限りこの国はこれから先苦労するだろうな まあ、それは私には関係ない事だが 単純にこの優秀そうな王弟殿を死なせたくないと思っただけだ 最初に陰陽師に速力をUPさせて貰い それでも遅い自分の速度に苦笑 魔術真名詠唱 迂回組が離れていったら立ち止まり集中 魔術通信で味方にだけ「私達は浄化師です」と伝える 前線に追いついたら、敵に囲まれてる味方や危険な状態の味方がいるか見極め助太刀に入る 皆大丈夫そうなら、フリーの敵の元へ 狙いめは中後衛の魔術師共か 私の攻撃は命中精度が低いので細かい狙いは付けず とにかく敵の身体の辺りを薙ぎ払い、削岩撃で攻撃 倒した輩は死んでなければ縄で拘束する |
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~ リザルトノベル ~ |
王弟との合流のため、浄化師達は駆け続けていた。 (確か、この砂漠の何所かにメルキオスの故郷があったと思ったが……) マントのフードを抑えつつ『クォンタム・クワトロシリカ』は思い出す。 「お前の家族、無事と思うか?」 「さぁ? その点は祈るしかないね」 何時も被っている青いクーフィーヤの裾を、口元を隠す様に翻しながら『メルキオス・ディーツ』は飄々と返す。 (住民だけが消えた、か) 浚われて以来、戻ることの出来ない故郷を思う。 (僕の部族……青衣の民は、自然にあるオアシスを拠点に生きてる。もしかしたら、彼らが……?) そこまで考え、苦笑が浮かぶ。 (いや、でもなぁ……記憶が正しければ、ヨハネの使徒ボコボコにしてたんだよね。流石にベリアル相手は無理だろうけど、結構好戦的だから、ただで転ぶハズはない) ある種の信頼を胸に抱き、変わらず走り続ける。 サンディスタムを故郷とする浄化師は、今回の指令で思うことがあるのだろう。 いつもより口数の少なくなっている『ヨナ・ミューエ』も同じだ。 (こんな形でサンディスタムに戻るとは) ヨナは言葉の代わりに小さくため息を漏らす 祖国の今の状況への憂いと終焉の夜明け団の行為に考えはまとまらない。 「どうして、こんな」 辛うじて口から零れ落ちたのは低い呟き。 それを耳にする『ベルトルド・レーヴェ』は、ヨナの気持ちを何となくではあるが察する。 「行けるか?」 「……? 何の問題もありませんが」 気負いのない自然な応え。 それは自分の迷いと、浄化師としての自分を切り離せているからこそ。 「いや。ならいい」 ベルトルドは苦笑を飲み込む。 (まずは王弟との合流からだ) 浄化師として2人は走り続けた。 そのまま皆は進み、やがて合流場所となる廃墟の街に。 (民のいない王の存在価値とは) 廃墟と化した街の惨状に『シリウス・セイアッド』は思う。 隣に視線を向ければ、痛ましそうな『リチェルカーレ・リモージュ』の表情が。 それを見て、何かを言べきか迷っていると、リチェルカーレが先に口を開いた。 「王弟殿下は、これを変えようとしているのね」 「……そうだろうか」 リチェルカーレは静かに返す。 「だって、私達に助けを求められたんだもの。民のことを考えてくださる、優しい王弟殿下ね。苦しんでいる人たちのために、私達もできることをしましょう」 リチェルカーレの言葉に、シリウスは小さく息を吐く。 (自分に課せられた役割は、わきまえないとな) 自らに言い聞かせるように、シリウスは心の中で呟いた。 同じように王弟と国のことを考えているのは『アリシア・ムーンライト』だ。 「普通、王様が、国民を見捨てるもの、でしょうか……」 廃墟の街を進みながらアリシアは呟く。 「弟殿下と、あまりにも見てる物が違いすぎて、不思議、です」 「確かにね」 並走しながら『クリストフ・フォンシラー』は返す。 「王様の無関心さ、少しおかしい気がするんだよね。いくら何でも自国の事に、そこまで無関心でいられるものだろうか」 クリストフの言葉に、アリシアは願うように返した。 「下を思いやって下さる方が王様なら、きっとみんな幸せですよね……」 これにクリストフが返そうとした時だった。 戦火の音が響いてくる。 「アリシア、さっきの話は後だ。今は戦いに集中しよう」 「はい、今は集中しましょう。皆さん、集まって下さい」 アリシアと同様にリチェルカーレも動く。 「禹歩七星を掛けます」 これにより速度の上がった浄化師達は一気に動く。 「リコちゃん、ヨナさん、気をつけてね」 リチェルカーレの気遣いの言葉に返し、まずは側面から回り込む組が疾走する。 同時に、正面から踏み込み敵の注意を引く組と、王弟の元に向かう組に分かれた。 「月と太陽の合わさる時に」 クリストフはアリシアと魔術真名を詠唱。 「一人で突っ込むなよ」 先行するシリウスに声を掛けつつ進む。 途中、王弟の横を駆け抜ける際に声を掛ける。 「浄化師です。殿下はそのままそこにいて下さい」 これに戦場に向かおうとしていた王弟は動きを止める。 そこに『ヴィオラ・ペール』と『ニコラ・トロワ』は向かっていた。 王弟に向かうヴィオラは、並走するニコラの呟きを耳にする。 「民を省みない王と思いやる弟、か」 「珍しいですね、気になるのですか? ニコラさん、国の情勢には興味ないと思ってましたが」 これにニコラは、さらりと返す。 「もちろん私には関係ない事だ」 そして続けて言った。 「ただ、王が目を覚まさぬ限り、この国はこれから先苦労するだろうなと思ってな。単純に、あの優秀そうな王弟殿を死なせたくないと思っただけだ」 ニコラの応えに、ヴィオラは微笑する。 「そうですね、必ず助けましょう。従者さん達も全員」 そして王弟の元に辿り着くと素早く説明。 戦いに加わろうとする王弟を止める。 「ですから殿下はここでじっとしていて下さい。敵の標的は貴方なのですから、貴方が前に出てしまっては、他の者が貴方の盾になろうとしてしまうかもしれませんので」 ヴィオラの言葉に王弟は自制する。 そしてヴィオラはペンタクルシールドを展開。 彼女が王弟の警護に就いたのを確認してから、ニコラは魔術通信で戦闘中の従者に連絡。 「後方から浄化師が援護に向かいます。協力して対処して下さい」 王弟から、リーダー役の従者が誰かを聞き、その人物に連絡。 即座に従者達は動きを変え、援護が来るまでの時間稼ぎをする隊列を組む。 その動きを確認しニコラも前線に動く。 「cooking and science」 魔術真名を詠唱。一気に走り出す。 (禹歩七星を掛けて貰ったが、皆に比べて一手遅れるな) 苦笑しながらも足は止めず走り続ける。 彼が戦場に辿り着く前に戦いは始まっていた。 先陣を切るのはシリウス。 「黄昏と黎明、明日を紡ぐ光をここに」 リチェルカーレと手を合わせ魔術真名を詠唱。 膨れ上がった戦力を全力で叩きつける。 「お前たちの思い通りには、させない」 従者に切り掛かろうとした敵に一気に踏み込むとソードバニッシュ。 一太刀の元に斬り伏せ、従者達との連携に動く。 「手伝う」 これに従者達は即応。 受けた傷に応じて動く。 これにリチェルカーレが対応する。 「浄化師です、お迎えに参りました。一緒にここを切り抜けましょう」 天恩天嗣Ⅲで回復させつつ、近付いて来る敵には鬼門封印を放つ。 浄化師達の突入により戦況が動く。 「一人で突っ込むなって、言っただろ?」 クリストフは、先行して踏み込んだシリウスの背中を守るように動く。 そこに踏み込んてきた敵にブラッド・シーを勢い良く振り抜く。 正面を斬りつけるや、即座に背後にまわり連撃。 表裏斬。 敵を斬り伏せるクリストフ。 敵の攻撃が、一瞬だが途切れる。 その隙にアリシアが天恩天賜Ⅱを掛け、傷付いた従者を回復。 時に攻撃も行い、敵と向かい合う。 その最中、アリシアは懸命に問い掛けた。 「あなた方は……何故メンカウラー様を、狙うのですか……こんなに、国を思ってる方を……そんなに殿下が邪魔、なのですか……?」 応える言葉は無く、代わりに返って来るのは刃のみ。 それを避け、アリシアは皆の回復に奔走する。 同様に従者の回復に動く者も。 「我らの意志の元に」 まっすぐ最前線に踏み込んだ『シルシィ・アスティリア』と『マリオス・ロゼッティ』は魔術真名を詠唱。 解放した戦力を活かすべく動く。 「マリオス」 「分かってる。任せて」 言葉一つでお互いの意図を読み取り、即座に動く。 従者と敵の間に踏み込み、一時的に盾になるように立ちはだかる。 当然、敵はマリオスに狙いを変える。 そこにシルシィの支援が。 鬼門封印を発動。敵の動きを阻害し、その隙を逃さず、マリオスは磔刺を放つ。 鋭い刺突で敵の足の甲を地面に突き刺し動きを止める。 「今の内です。回復してください」 怪我をした従者を背に庇うように動き、シルシィが向かう。 「回復する。こっちに来て」 従者は礼を言い、シルシィは天恩天賜Ⅱで回復。 それを邪魔しようと終焉の夜明け団は襲い掛かるも、マリオスが立ちはだかる。 「ここは通しません」 不退転の意志を刃に宿し、前へ前へと押し戻すように攻撃を重ねる。 マリオスのお蔭で、回復の猶予が出来る。 「ん、これで大丈夫」 シルシィは1人を回復すると、さらに他の怪我人の元に。 そして回復した従者は戦線に復帰し、戦況を優位に傾けて行った。 勢いを加速するように戦いは続く。 「暑い! 暑いわ! 溶けてしまいそうね!!」 「それどころじゃないですよ!」 戦場に踏み込みながら『サク・ニムラサ』と『キョウ・ニムラサ』は丁々発止に言葉を交わす。 「こんな暑い場所に長く居られません! 早く終わらせましょう!」 「そう? ここまで暑いと逆に楽しくなってこない?」 そこまで言うと、戦闘に意識を切り替える。 「さて、それじゃあ、溶けちゃう前に終わらせてしまいましょうか」 戦闘領域に踏み込むと同時に魔術真名を詠唱。 「至高あれ――」 それは私が、そして自分が、至高であり最高である為に。 「――残花終影幻夢と消えよ!」 命を持つ敵を、夢を、壊せと意志を込め。 命よ燃えろ、儚き者よ殲滅せよと宣言するように。 高らかに響かせ、戦いに2人は挑む。 「魔力配分は気を付けて」 「もちろん。そこまで考え無しじゃないわ」 キョウはサクラの前に立ち、光明真言を展開している。 盾となり壁となり、サクラが攻撃に集中する余力を作る。 キョウの守りを無駄にせぬよう、サクラは右目でスコープを覗く。 狙いは、味方の死角に踏み込もうとする敵。 次々に狙撃を繰り返し、戦況を有利にしていく。 「早く終わると良いのですが……!」 キョウは背中にサクラを守るようにして動きながら、守るだけでなく攻撃も。 「近付かないでくれませんかね」 牽制するように呪符を放ち、サクラの元に敵を近付かせなかった。 そうして距離を取り戦う者も居れば、距離を詰め戦う者も。 「相棒!」 「応よ!」 並走して戦場に踏み込みながら、メルキオスの呼び掛けにクォンタムは応える。 呼び掛けながら、お互いの手を叩き、魔術真名詠唱。 「我ら、闘争の中に生を見出す者なり!」 声を響かせ、ほんの少しの接触が、僅かに残る。 だが、それがいい。 クォンタムは思う。 (自身に力がないことは解ってる。それでも――) 戦闘域に突入し、従者に攻撃を放とうとする敵にクロス・ジャッジを放つ。 十字の剣撃が、敵を斬り裂いた。 クォンタムは少しでも目の前の命が救えるよう、全力で剣を振るい続ける。 対し相棒であるメルキオスは、敵を翻弄し駆け抜ける。 「さぁ、君の赤い花をみせてよ」 パーフェクトステップで引き上げた機動力を駆使し、敵の攻撃を避け続ける。 躱し、避け続け。敵の踏み込みを導く。 それは誘うような死の舞踏。 知らず死線を越えてきた敵に、影刃を振るい斬り裂いていった。 その最中、クォンタムは疑念を敵に叩きつける。 「この会談、どこで聞いた、言え!」 だが敵は応えず、刃を振り続けるのみ。 そのやりとりを目の端で捉えていたメルキオスは思う。 (訊かれたのに動揺が無い。知らされてないか、覚悟が決まってるのか) 言葉ではなく挙動で読み取っていくメルキオスだった。 止まらず闘争の渦に居る2人に、死角から敵が襲い掛かろうとする。 そこに追い付いてきたニコラ。 「どこを見ている!」 敵の注意を引くためにわざと声を上げ、ニコラは手にした天瞬を振り抜く。 細かい狙いは捨て、当てることだけに集中。 まさしく岩を削るような勢いで放たれる削岩撃。 危険と見た敵は、魔力障壁で受け止める。 それにより動きが止まった敵に、追撃を掛けるニコラだった。 中央での戦いは明らかに浄化師達の介入により圧倒的有利に。 それを崩すべく、中衛と後衛が動こうとするが、そこに側面迎撃組の苛烈な攻撃が。 「不退転」 魔術真名を詠唱し、ヨナとベルトルドは右側面から強襲。 先行して放たれるヨナのソーンケージ。 魔力により作り出された茨は、一塊に動こうとしていた敵をズタズタに切り裂く。 そこに踏み込むベルトルド。 疾風の如く踏み込み、敵の体勢が整うより速く肉薄。 反射的に放たれた敵の攻撃を、間合いをズラし回避。 間髪入れず放たれる追撃は、腿を切り落とすような足刀。 虚と実を入り混ぜた乱れ斬りで確実に敵を沈め。 さらに足技を駆使する。 重心を落とし、敵の膝を蹴り抜き。 敵の体勢が崩れた時には、背後に移動。 足をへし折るような蹴りを叩き込む。 決して止まることなく足技を駆使し、敵を沈めていった。 ヨナ達の攻撃に合わせ、左側面から強襲したのは『リコリス・ラディアータ』。 「闇の森に歌よ響け」 魔術真名を詠唱し、『トール・フォルクス』と共に戦闘域に踏み込む。 リコリスは魔力探知により、先行して放たれたヨナの魔術に完全にタイミングを合わせる。 それはまさしく絶好の好機。 混乱する敵の只中を駆け抜ける。 素晴らしく速い。 敵は間合いに入られた事に気づく余裕すらなく、鋭い斬撃を無防備に受ける。 「哀れな魔術師さん、敵はこっちにもいるわよ」 敵の混乱を誘うように声を掛け、次の瞬間には、さらなる一撃を走らせる。 敵は反撃するも、その尽くをリコリスは回避。 リズミカルなステップを刻みながら、追撃を加速。 周囲を敵に囲まれながら、全てを翻弄する。 「遅いわよ。そんなんじゃ、届かない」 左右から放たれた攻撃魔術を、素早さで置き去りにする。 敵が構えるよりも早く懐に飛び込み、動きを封じるように両足を刺突。 縦横無尽駆けまわり、敵を翻弄していった。 次々に敵は傷を受け、この状況に敵リーダーが声をあげる。 「体勢を立て直す! 回復させろ!」 後方で指揮していたリーダーの声に、中衛の回復役が動こうとする。 だが、無駄。 「させるか」 戦局全体を見極めていたトールは、範囲射撃を行う。 マッピングファイアによる連続射撃は、回復に動こうとした魔術師達を次々貫く。 「リコ! 中央に向かえ! 援護は任せろ!」 範囲射撃により敵の動きが鈍った隙を逃さず、トールはリコリスを最善の場所に誘導。 移動するリコリスの邪魔をさせないよう、追撃でマッピングファイアを放ち敵の動きを止めた。 浄化師達は連携し、それぞれ最善を駆使し戦う。 従者達との連携も考えられたその動きは、非常に巧い。 戦闘開始から短時間で、勝負の趨勢は見え始めていた。 だからこそ、上空の怪物達の興味を引いた。 異変に気付いたのは、王弟の護衛に就いていたヴィオラ。 全体を見渡し、何かあればすぐに対応できるよう集中していたからこそ、気付くことが出来た。 (あれは、なに?) 魔力探知も使い周囲を見極めていたヴィオラは、戦場に落ちる糸の如き魔力線に気付く。 魔力線の源を探るべく上空を見上げ、怖気にも似た悪寒に襲われる。 そこに居たのは、おぞましいほどの魔力を溢れさせる3体の人型。 「避けて! 上空から狙われています!」 あらん限りの大声で叫び、それにニコラが気付く。 「気を付けろ! 空にも敵が居るぞ!」 魔術通信で全員に警告。 だからこそ、皆はダメージを最小で抑えることに成功する。 空から落ちてきた爆発魔法。 魔力線に従うように落ちてきたそれは、地面に触れると同時に爆発。 そこに上空から3体の人型が降りてくる。 だが地に足を付ける前に、ヨナが放ったウォーターランスが叩き込まれる。 3体は避けない。 禿頭の巨漢にまともに命中。 しかし微動だにしなかった。 そして着地。 すると3体の内、野性的な青年が戦場に掌を向ける。 同時に、数10の光の矢が。 一気に撃ち出され、終焉の夜明け団を貫いた。 大半が倒れ伏す。 あっけにとられる浄化師達に、3体の内、美しい女が口を開く。 「見た顔が居ますわね。若き仔羊達が」 (この声聞いた事があるような……) 女の声を聴き、キョウは背中に居るサクラに言った。 「間違いない、ですよね?」 「ええ。あの時の声ね」 少し前に受けた指令で聞こえた謎の声。 それと同じだと気付き、サクラは3体の元に。 「彼女達はどこかしら?」 「あら、なんのことですの?」 「彼女って、誰か言わなくてもわかるくせに」 親しげだと思えるほど、サクラは気安く声を掛ける。 それは自分達に注意を引き、王弟を守るため。 同じように、他の浄化師達も集まる。 「貴方達は、なんなんですかね?」 キョウの問い掛けに美女は応える。 「べリアルですの」 そう言って胸元に手を滑らせ露わにする。 そこには虚無の如き黒穴が。 残りの2体も同様だった。 「今までのベリアルとは魔力の桁が違います……!」 ヨナは魔力探知で確認し戦慄したように声をあげる。 それを聞いたベルトルドはべリアル達に問い掛けた。 「ここに何をしに来た。まさか、人間と手を組んでいるのか?」 これに3体のべリアルは虚をつかれたように黙り、次いで大笑した。 「ははっ! 俺達が? 偉大なる御方直々に名を賜りし、3強たる俺達が、人間なんかと手を組むと? 笑えるな!」 笑いながら一歩前に出る野性的な男に、美女が咎めるように言った。 「殺してはダメですの。若き仔羊達は、祝福の齎し手になるかもしれませんの」 「少し遊ぶだけだ」 そう言いながら殺気を溢れさせる。 少しでも退けば殺される。 そう確信せざるを得ない殺気に浄化師達は一斉攻撃。 最初に踏み込むのはシリウス。 初手から全力。 一気に剣撃の間合いに。 「面白い」 べリアルは笑みを浮かべ光弾を放つ。 紙一重で躱すシリウス。 踏み込みの速度は落とさず、渾身の一撃を。 振り抜かれる双剣は、べリアルの素手で弾かれた。 その瞬間、シリウスは加速。 瞬時にべリアルの背後を取り、追撃の一閃を背中に叩き込む。 だが、ほぼ無傷。 「いいぞ! 楽しいな」 べリアルが反撃をしようとした所に、ベルトルドが追撃で入る。 死角から跳び込み、閃光のような蹴りを一閃。 影すら置き去りにするような鋭い蹴りは連撃。 瞬時に背後を取り、叩きつける。 常人ならば足が千切れ飛ぶほどの威力に、べリアルは少しよろめく。 そこに左右から連撃が叩き込まれる。 左からマリオスが渾身の磔刺。 勢い良く切っ先は脇腹に当たるも貫くことが出来ない。 右からはリコリスが。 軽妙な動きでベリアルの攻撃を避けながら連続攻撃。 数えきれないほど振るわれた斬撃は全て当たり、しかしまともに傷を与えることはできなかった。 「リコ!」 後方からのトールの声に、リコリスは横に跳ぶ。 ほぼ同時に、トールの精密射撃が。 べリアルの目玉に矢が命中。だが貫くことはできない。 「やべ。楽しくなってきた」 獰猛な笑みを浮かべ、べリアルは本気を出そうとする。 そこにクリストフの斬撃が。 共に当たろうとした瞬間―― 「そこまで」 禿頭の巨漢べリアルが2人の間に入り攻撃を受け止めた。 「なんのつもりだ、ギガス」 「この程度で本気になるな。最強のトールの名が泣くぞ」 ギガスと呼ばれた禿頭の巨漢べリアルは、クリストフに視線を向け言った。 「汝は、カタリナに引導を渡した者だな」 突然ギガスが口にした、サクリファイスの首領、カタリナ・ヴァルプルギスの名に、クリストフは応える。 「だとしたら、なんなのかな?」 「善き哉」 両手を合わせギガスは言った。 「よくぞ苦界より解き放ってくれた。彼女は我らの代わりに魂を解き放つと約束してくれたが、苦しんでおった。 その苦しみが長引くことなく殺されたは、善行なり。 もし汝が死にたくなった時は、儂が苦しむことなく殺し喰ろうてやろう」 「なにを訳の分からないことを」 おぞましさにクリストフは距離を取る。 それはギガスの言葉に悪意を感じず、心の底から善行だと思っていると感じたからだ。 そんなギガスにリチェルカーレは問い掛ける。 「この国で、あなた達は何をするつもりなの」 「国ではない。儂らがこの場に来たは、終焉の夜明け団を誅するため」 ギガスは応える。 「儂らの存在理由、魂の捕獲を邪魔する者共を許せぬゆえ、彼奴らは見かければ殺しているだけのこと。その場で、偶々汝らと出くわしただけだ」 「害虫が居たら潰しますの。当然ですわ」 美女べリアルは平然と言うと、ギガスとトールに呼び掛ける。 「これ以上いると、殺し合いになりそうですの。それはダメですわ。だから今日の所は退きますの」 そう言うと、ふわりと宙に浮かび飛び去った。 「しょうがない。また機会があれば遊ぼうぜ」 「死にたくなればいつでも言うがよい。出来うる限り苦しまず殺し喰ろうてやろう」 そう言うと、3体のべリアルは飛び去った。 あとに残るは、瀕死の終焉の夜明け団と浄化師達。 皆は、メンカウラーの従者達と協力して、終焉の夜明け団を拘束し、戦いは終わりをみせた。 そして戦闘後、マリオスは簡易救急箱で手当てをしていた。 「他に怪我をした方は居ませんか?」 仲間の浄化師と手分けして傷を癒す。 「マリオス。こっちは、終わった」 天恩天賜Ⅱを掛け終えたシルシィが近付き、マリオスの表情を見て問い掛ける。 「ん、どうかした?」 「……サンディスタム。魔術国家と言われたくらいだから、終焉の夜明け団も入り込みやすいんだろうか?」 「そう、かも。……わたしは、死んだ人に頼ってもって思うけど」 これにマリオスは少し笑って返す。 「シィはそう言うだろうね。僕も、だよ」 そう言いながら懸念の色が晴れないマリオスに、シルシィは王弟の元に向かう。 マリオスも一緒に連いて行くと、シルシィは王弟に尋ねた。 「王弟様。浄化師と接触を持とうとした理由の詳しい話を、聞いても良いですか?」 「ああ、構わないよ」 王弟は穏やかに応える。 「兄上……ファラオであるカフラー王は、今回の件に手を出す気がないんだ。けれど私達だけでは力が足らない。だから貴方達の力が必要なんだ」 そこまで言って、僅かに怒りを滲ませ続ける。 「全ては、あの女がカフラー王に謁見してからだ。いつの間にか姿を見なくなったが、恐らくは……終焉の夜明け団に関わりのある者だと思う」 これにクリストフは懸念を口にする。 「ひょっとして、王様は既に術中にはまってる……?」 「分からない」 メンカウラーは応え、決意を口にした。 「国と、国に生きる皆のために、必ず止めてみせる」 それを聞いていたクォンタムは思う。 (裏切り、か……だがそれは、この国だけの話なのか?) ニホンへの船旅にはべリアルが。 そして今回は終焉の夜明け団が。 情報の漏洩。あるいは、情報の伝達。 そう思わずにはいられない。 (まさか、両者が繋がっていて、教団に裏切り者が居るとでも?) それは世界の裏側に潜む秘密。 いつか牙を剥く時がくるのか? いくつもの謎を残し、指令は終わりをみせた。
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*** 活躍者 *** |
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[31] アリシア・ムーンライト 2019/09/10-22:57
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[30] リチェルカーレ・リモージュ 2019/09/10-22:02
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[29] ニコラ・トロワ 2019/09/10-21:14 | ||
[28] リコリス・ラディアータ 2019/09/10-21:12
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[27] リチェルカーレ・リモージュ 2019/09/10-20:57
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[26] リチェルカーレ・リモージュ 2019/09/10-20:47 | ||
[25] メルキオス・ディーツ 2019/09/10-16:16
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[24] ヨナ・ミューエ 2019/09/10-15:18 | ||
[23] サク・ニムラサ 2019/09/10-00:54
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[22] ヴィオラ・ペール 2019/09/09-23:12 | ||
[21] クォンタム・クワトロシリカ 2019/09/09-22:49
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[20] クリストフ・フォンシラー 2019/09/09-22:14 | ||
[19] リチェルカーレ・リモージュ 2019/09/09-21:53 | ||
[18] リコリス・ラディアータ 2019/09/09-20:46 | ||
[17] クォンタム・クワトロシリカ 2019/09/09-10:32 | ||
[16] ニコラ・トロワ 2019/09/08-23:33 | ||
[15] リチェルカーレ・リモージュ 2019/09/08-22:55 | ||
[14] クリストフ・フォンシラー 2019/09/08-22:19 | ||
[13] ヨナ・ミューエ 2019/09/08-16:40 | ||
[12] シルシィ・アスティリア 2019/09/08-10:04 | ||
[11] リチェルカーレ・リモージュ 2019/09/08-00:31 | ||
[10] クリストフ・フォンシラー 2019/09/07-22:44 | ||
[9] リコリス・ラディアータ 2019/09/07-16:45 | ||
[8] キョウ・ニムラサ 2019/09/07-02:15
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[7] シルシィ・アスティリア 2019/09/07-01:55
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[6] シルシィ・アスティリア 2019/09/07-01:25
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[5] メルキオス・ディーツ 2019/09/06-23:04 | ||
[4] リチェルカーレ・リモージュ 2019/09/06-22:05
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[3] アリシア・ムーンライト 2019/09/06-21:34
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[2] ヨナ・ミューエ 2019/09/06-17:49
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