~ プロローグ ~ |
冒険者ギルドニホン支部。 |
~ 解説 ~ |
○目的 |
~ ゲームマスターより ~ |
おはようございます。もしくは、こんばんは。春夏秋冬と申します。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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令花 フェスの実行委員として進行管理に従事 作品と、一話のみ掲載の薄い試読版を教団の有志に預け、売り子を依頼 合間の仲間の店巡りが楽しみ♪ 作品 僕たち勇者候補生~ヒロイックハイスクール~ 村中の反対に負けず勇者を目指す少年の入学から卒業まで 「絶対に諦めない…それが勇者だ!」 和樹 仲間と冒険者有志でチームを組みバスケ試合出場 ポジションはポイントガード プレイスタイルは経歴末尾参照 反政府軍や能力者相手は能力使用 絶対防御の誓いにより自ら壁になる 楽しまなきゃ勝っても負けても意味がない 仲間も敵もバスケを楽しんでほしい 源とはこれまで勝敗同数「今日こそ決着つけようぜ」 試合中「楽しいな…ずっとやっててえよ。だろ、源よぉ…」 |
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皆を元気にする催し とても素敵ね お互いのことがよく見えれば きっと仲良くなれると思うの 2 展示 シアちゃんと一緒に 螺鈿細工の髪飾り屋さん 黒の漆に花や鳥、蝶 月や星の繊細な模様を入れてもらって シアちゃんとお店の設営 季節の花も飾りたいし…と大きな花瓶を運んでいたら 代わりに運んでくれるシリウスに笑顔 ありがとう お仕事はどう?クリスさんもいるし、あなたも少しは楽しんで にこにことしたクリスさんと なんだか困った顔のシリウスにいってらっしゃいと 隣人愛情も使い 誰にでも隔てなく笑顔で接客 なあに、シアちゃん? 剣術会場に…? 会場に見知った姿を見つけ 目をまん丸に 試合 出てたんだ…! 満面の笑みで声援 シリウス、がんばって! |
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ヨ 投資計画 順調に形になってきていますね ベ スポーツと芸術の祭か 西からも多くの人が訪れるようだな ことニホンの武術の技をじっくり見られる機会は滅多にないし 手合わせが楽しみだ 耳とヒゲを立てそわそわしているようにも見える喰人と並んで歩き会場へ 喰人 柔術や合気道、空手といった素手の試合を楽しむ 抱拳にて礼をし構え 実戦的な戦い方は避け 技の仕掛け合いをする中で自分に取り入れられるものがないか探す そう容易く秘技を披露する筈もないだろうが… 数人と手合わせした後 壮年の小柄な男性が名乗りを上げ勝負 柔和な顔とは裏腹の凄みのある雰囲気に緊張で耳が小刻みに震え かつての師を思い出す ヨナ 喰人の試合に必要な水分やタオルの用意や 続 |
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螺鈿細工って綺麗ですよね… カタログを見てほぅっと溜息 髪飾りを作って貰ったらとても、素敵だと思うんです 簪、コーム、バレッタとか… リチェちゃんが一緒にしてくれるから、とても心強い、です 私も、頑張って、接客します、ね クリスの言葉に、何か企んでる顔ですね?と首を傾げつつ心の中で呟いて (さすがに最近はクリスの笑顔の違いが分かってきた) お客さんが落ち着いた頃に、リチェちゃんを誘って剣術の会場へ クリスを見つけて…あら……? リチェちゃん、シリウスさんも、試合してません、か? クリスってば…これを企んでいたんですね…… らしいと言うか……思わずふっと微笑んで リチェちゃんと一緒に、頑張ってと応援、します (声は小さい) |
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ニホンの人に浄化師を知ってもらい 友好な関係を築きたい リューイ:1に参加 バスケのSG 素早さをいかし 相手ボールをカットしたりパスを回す フリーならシュートも狙う 連携重視 声も積極的にあげ ファインプレーがあれば笑顔で讃える 子どもらしく元気な動き 終われば展示会を見に セラ:2に参加 職人に頼んでいた切り絵(伊勢型紙風)細工のタロットカードを並べ 魔術でコーティング 痛まないよう 簡単な占いも交え 絵柄の意味等を説明 時間を作りバスケの応援も >会話 セ「皆さんとバスケをするのでしょう?頑張って。 後から応援に行くわ」 リ「セラこそ、ヴィオラさんとお店頑張ってね。 接客は笑顔が基本みたいだよ?」 現地の人とも積極的に話し友好を深める |
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この身長が役立つのならと引き受けてはみたが 実はスポーツ全般、あまり経験は無い 戦闘に備えて訓練はしているが さて、どれだけの事ができるだろうか バスケットのルールはきちんと把握 やるとなれば徹底的に調べる凝り性 ポジションはセンター 敵のセンターを自分の背中で押さえ込むように動き 相手に仕事をさせないように また自分がボールを貰いやすいように動く 難しいシュートは無理だが、ふむ、時間差攻撃くらいはできそうか 跳ぶと見せかけて一旦沈み込み再び跳ぶ、と言うのを織り交ぜてみよう ヴィオラが来てると聞かされてチラッとそちらを見て 「ああ、来たのか」 言葉素っ気ないがその実 (ならば勝ったところを見せなくては) と心の中で思っている |
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~ リザルトノベル ~ |
○ドリーマーズフェス芸術部門 企画立案から関わり運営としても動いていた『桃山・令花』と『桃山・和樹』の元に、鎌倉源がやって来た。 「勝負だー!」 突進してくる源に応える和樹。 「久しぶりだな!」 和樹は自分も突進して激突。 勢いに負け、数歩後退するも、笑顔で再会を喜ぶ。 「強くなってんじゃねぇか、源!」 同じく笑顔を浮かべ返す源。 「ったりめぇだ! こちとら浄化師としての年季が違うってんだよ!」 「やるな! でも、すぐ追いついてやるからな!」 「その意気だ!」 男同士の戯れ合いをする2人に、令花は苦笑する。 (変わらないなぁ……ううん、違う。変わったって思ってたのは、私の思い込みだ) 令花は思っていた。 自分のせいで和樹が命を落とし、アンデッドとして蘇ったとはいえ、周囲と自分達の関わり合いは断絶してしまったと。 けれど断ち切ってしまったのは、きっと自分から。 父や母、そして源と―― (マチ子さん) 疎遠になってしまった人達のことを心に浮かべ、いつか会いに行こうと決意する。 (そのためにも、ドリーマーズフェスを頑張らないと) 前に進む意志を抱きながら、まずは和樹と源に声を掛ける。 「2人とも。そろそろバスケ、始まっちゃうよ」 これに和樹と源の2人は返す。 「あっ、本当だ! 先輩達が来る前に試合場に行かないと!」 「行くぞ、和樹! 令っちゃんは、あとでまたな!」 和樹と源の2人は勢い良く試合場に。 2人を見送って、令花は芸術部門の会場に向かった。 会場では他の浄化師達が、それぞれ活動していた。 「……1人で持てるのか?」 大きな花瓶を持って移動しようとする『リチェルカーレ・リモージュ』に『シリウス・セイアッド』は声を掛ける。 「大丈夫よ。家の手伝いで慣れてるもの」 そう言いながら運ぼうとし、思わぬ重さに大きな花瓶ごと転げそうになるリチェルカーレ。 「……どこに置くんだ」 慌てて持ってくれるシリウスに、リチェルカーレは笑顔で返す。 「ありがとう」 そして2人が向かうのは『アリシア・ムーンライト』と一緒に開いているお店。 お店では、展示した商品を見詰めるアリシアを、『クリストフ・フォンシラー』が微笑ましそうに見詰めていた。 「熱心に見てるね」 これにアリシアは返す。 「螺鈿細工って綺麗ですよね……髪飾りを作って貰ったらとても、素敵だと思って、頼んでみましたけど……想像以上でした」 いま目の前に広げられているのは、簪、コーム、バレッタに、他にも様々な髪飾り。 アリシアがリチェルカーレと共に注文した通りに、色々な彩りで飾られている。 漆を塗られた黒の下地に、花や鳥に蝶といった自然の造形が。 他にも、月や星の繊細な模様を入れて貰っている。 「きっと、お客さんが一杯来てくれるよ。その分、接客は大変だと思うけど」 「大丈夫、です」 クリストフの気遣いに、アリシアは笑顔で応える。 「リチェちゃんが一緒にしてくれるから、とても心強い、です。私も、頑張って、接客します、ね」 「応援してるよ。頑張って」 「はい、あ……リチェちゃんと、シリウスさんが」 綺麗な花の飾られた大きな花瓶を持って、お店に近付く2人に気付き、アリシアは嬉しそうに言った。 合流し、皆でお店の用意を。 「これは、ここに置いておいた方が、良いでしょうか?」 「ええ、そこならお客さんの目に留まり易くて良いと思うわ」 実家が花屋のリチェルカーレは、客商売は慣れたもの。 アリシアと共に配置を決め、2人は笑顔でお喋りを重ねながら展示を仕上げた。 それを見ていたシリウスは、僅かに表情を緩める。 (ここは、もう大丈夫だな) 和やかな2人の様子に、自分の手は必要ないと判断し、他の場所に行こうとする。 それにリチェルカーレが気付き声を掛ける。 「シリウス、他の所にお手伝いに行くの?」 「ああ。ここは、もう俺は必要ないだろう」 「そんなことはないけど……そうだ、クリスさんもいるし、あなたも少しは楽しんで」 「……いや、俺は別に」 断ろうとするシリウスに、クリストフが声を掛ける。 「シリウス、裏方もいいんだけど、せっかくだから武術を見学に行かないか? ニホンの剣術、興味あるだろ?」 提案するクリストフは、にこにこ笑顔を浮かべている。その笑顔を見たアリシアは気付く。 (何か、企んでる顔ですね?) 今まで重ねた日々のお蔭で、クリストフの笑顔の違いが分かってきたのだ。 アリシアが小首を傾げながら心の中で思っていると、一方のクリストフは、そんな彼女に一瞬視線を向ける。 (アリシアはリチェちゃんが付いててくれるから安心だとして、シリウスは放っておけないよな) 折角のお祭り騒ぎなのだ、楽しまないと損というもの。 「じゃ、行こうか、シリウス」 「待て、俺は――」 「いってらっしゃい、シリウス」 笑顔でリチェルカーレに見送られ、逃げられなくなるシリウス。 そしてクリストフは、行く前にアリシアに頼みごとを。 「頃合いを見て剣術会場へリチェちゃんと一緒に来てくれよ」 ニッと笑顔を浮かべて頼むクリストフに、頷くアリシアだった。 そうして、お店を開く直前に、運営に協力していた令花が訪れお喋りを。 「モデルとして、着けてみられてはどうでしょう?」 令花の言葉に、試しに着けてみる2人。 「どう、でしょうか?」 「似合います!」 「可愛いわ、シアちゃん」 「ありがとう、ございます。リチェちゃんも、素敵です」 3人は和気藹々とお喋りを重ね、最後に令花が提案を。 「あとで、冒険者の方達に店番を変わって貰えるよう頼んでおきます。折角ですから、色々と見て回って下さい」 「ありがとう、ございます。なら、リチェちゃん」 「なあに、シアちゃん?」 アリシアの提案に耳を傾けるリチェルカーレ。 「剣術会場に……?」 こうして2人は、あとで剣術会場に行くことに。 彼女達と同じように、会場で働く浄化師達は他にも。 「皆さんとバスケをするのでしょう? 頑張って。後から応援に行くわ」 占い店の準備を手伝ってくれていた『リューイ・ウィンダリア』を、『セシリア・ブルー』は優しい笑顔で送り出す。 「セラこそ、ヴィオラさんとお店頑張ってね。接客は笑顔が基本みたいだよ?」 リューイは笑顔でセシリアに応えると、次いで、一緒に手伝いをしていた『ニコラ・トロワ』に呼び掛ける。 「ニコラさん、行きましょう」 「ああ、そうしよう」 応えると、お店を開く準備をしていた『ヴィオラ・ペール』に言った。 「では、行って来る」 「はい。行ってらっしゃい、ニコラさん」 そうして女性陣に見送られ、男性陣はバスケ会場に。 残った2人は、準備の仕上げを。 「綺麗ですねぇ」 ヴィオラは、用意された切り絵細工のタロットカードを見て、笑みが零れる。 用意されたのは、ニホン特有の和紙を加工したもの。 着物の生地を染めるのに使われる型紙にも似たそれは、職人が彫刻刀で精緻な図柄を彫っている。 「丁寧な仕事ですね。魔術でコーティングされているみたいですけど、注意して使いましょう」 ヴィオラはセシリアの言葉に頷き、残りの作業を終える。 そして、いざ開店。 「セラちゃん。お茶、淹れてきますね」 「ありがとうございます。ヴィオラさん」 最初のお客さんに、まずはセシリアが占いを担当。 その間に、ヴィオラはお茶を淹れてくれる。 お茶の良い香りがする中、占いを。 「このカードは魔術師。正位置ですから、物事の始まりを意味します」 柔らかく微笑みながら接客するセシリアは、お試しで簡単な占いをしてみせる。 「やり方を覚えれば、自分で占うこともできますよ」 興味を持ったお客に、カードを勧める。 「触ってみてくださいな」 お客さんは実際に触ってみて、デザインと手触りの良さに、どこの物か尋ねる。 これにお茶を持って来たヴィオラが応える。 「イセ地方で作られたものです。職人さんが丁寧に作ってくれています」 セシリアとヴィオラ、2人の丁寧な説明に、お客さんは喜んで購入する。 すると、それを遠目に見ていた他のお客さんも、次々にやって来る。 忙しく働いて、一息ついた所に、運営として動いていた令花が声を掛けた。 「素敵な切り絵ですね」 これにセシリアとヴィオラは返す。 「ええ、とても素敵です」 「お蔭で、お客さんに喜んで貰えました」 そして3人は、占星術師ということもあり、占い談義を。 ひとしきり話した所で令花が、店番の人を探してきます、と提案してくれた。 「ありがとうござます。なら、お願いします」 ヴィオラは礼を言うと、セシリアに提案する。 「セラちゃん。店番の人が来てくれたら、一緒にバスケの試合を見に行きません?」 これにセシリアは笑顔で返す。 「はい、一緒に応援に行きましょう。それなら、お茶を持って行ってあげませんか? 試合をしたら喉が渇くでしょうし、ヴィオラさんの淹れてくれたお茶は、美味しかったですから」 これに令花が提案する。 「それなら、店番に来てくれる人に水筒も頼んでおきますね」 そうして店番の人が来てくれると、セシリアとヴィオラは、お茶の入った水筒を手にバスケ会場に向かった。 皆の店番の手配が終わった令花は、自分のお店に。 そこには自分の書いた小冊子が。 題名は『僕たち勇者候補生~ヒロイックハイスクール~』。 村中の反対に負けず勇者を目指す少年の入学から卒業までの物語。 『絶対に諦めない……それが勇者だ!』 最後に、主人公の決意が台詞となって締め括られている。 それを読んでいた少女が呟く。 「絵空事ね」 それはどこか、自分と物語を比べているように思えた。 (似てる……昔の私に) だからこそ令花は真摯に対応した。 物語を軸に2人は会話を重ねる。 その最中、少女は言った。 「どうせ物語なんて、何の役にも立たないのに」 令花は返す。 「はい、その通りです。けれど心を、癒してくれます」 かつて自分に贈られた、マチ子の言葉を。 「物語は、読むことも書くことも、自分自身の気持ちを吐き出すことです。 そこにあるのは善悪や価値じゃなく、書いて読みたいという気持ちだけ。 役に立たなくても良いんです。大事なのは、書いて読みたいという気持ちを――」 「大切にすることだから」 言葉を引き継いだ人物に令花は驚く。 「マチ子さん!」 予期せぬ再会に泣きそうになる。 それをマチ子は止め、改めて3人で物語談義を。 最後には、批判するだけだった少女とも打ち解けた。 その後、少女に小冊子を渡し、マチ子も売り場に参戦。 口寄せ魔方陣で、かつて令花が新人賞を受賞した『フォルテ王国海猫騎士団~黒騎士ジェムと白騎士グラン』だけでなく、何冊もの本を並べた。 そこにやって来たのは『ヨナ・ミューエ』。 (ベルトルドさん、確か、こういう物語は好きでしたよね) パートナーである『ベルトルド・レーヴェ』が好んで読んでいたファンタジー物を思い出し、何冊か購入する。 そして令花の小冊子に気付く。 「これ、お書きになったんですか?」 「ぁ、はい……その……」 赤面しながら内容を説明する令花に、ヨナは微笑ましげに笑みを浮かべる。 「先が気になる物語ですね。1冊、頂いても良いですか?」 「は、はい! どうぞ!」 大事に受け取って、礼を返すヨナだった。 その後、ヨナは他の浄化師の展示にも向かう。 伝統的なものから趣向を凝らしたものまで様々な展示に感心しながら楽しんだ。 そして会場の時計を見て思い出す。 「そろそろ、ベルトルドさんの参加する武術大会が始まる頃ですね。見に行きますか」 購入品を口寄せ魔方陣で収納し、会場に向かうヨナだった。 ○ドリーマーズフェススポーツ部門 「投資計画、順調に形になってきていますね」 武術会場で出番を待つベルトルドに、試合後のタオルやお茶を持って来たヨナは呼び掛ける。 タオルなどを受けとりながら返すベルトルド。 「西からも多くの人が訪れるようだな。ことニホンの武術の技をじっくり見られる機会は滅多にないし、手合わせが楽しみだ」 言いながら、耳とヒゲがぴんっと立ち、尻尾もうねうね。 そわそわしているようにも見え、ヨナは苦笑を飲み込む。 そして試合が開始。 右拳に左掌を当て、対戦相手への礼を示し、いざ勝負。 柔術や合気道、空手といった素手の試合を楽しんでいた。 (ベルトルドさん今日は楽しそう。私もああいうの教わろうかしら) ヨナは見様見真似で構えてみた後、バスケの応援へ。 ヨナが離れた後に、壮年の男がベルトルドに勝負を挑む。 「柳沢轟修だ。一手良いか?」 途端、会場にどよめきが。 その理由をベルトルドは肌で感じ取る。 (強い) 柔和な顔とは裏腹の凄みのある雰囲気に緊張で耳が小刻みに震える。 それは歓喜の武者震い。 知らず笑みを浮かべるベルトルドに轟修は言った。 「よう、お前さん――」 ――を知らねぇか? 問われた名を、知っている。 「師の名です」 「やっぱ、そうか。アイツとは昔馴染みでな」 轟修は笑みを深める。 瞬間、匂い立つような暴威の気配が溢れ出る。 「馴染みの弟子だ。一手揉んでやろう。やるか?」 「もちろん」 ベルトルドが構えると、会場は静寂に包まれる。 この先の戦いを見逃さぬと、皆が集中する中―― 「始め!」 戦いの号令は響き、間合いを制圧された。 「っ!!」 考えるより速く、ベルトルドは動こうとする。 だが、轟修の動きは速く巧い。 瞬時に体勢を崩され、投げられる。 そこからは、意識すら出来ぬ攻防。 投げられそうになった瞬間、わざと自分から跳び機先を崩し、着地。 そう思った時には、轟修は体を密着。 地響きをさせるような踏み込みと共に、身体全体を使った打突を叩き込む。 吹っ飛ばされるベルトルド。 倒れるも立ち上がり尋ねる。 「今のは――」 「先読みと無拍子、それと縮地を合わせた動きで間合いを詰めて、その後に震脚で踏み込んで体当たり。 アイツは、幽歩撃衝って言ってたな」 ベルトルドは笑みが浮かぶ。 「まだ、やれます」 「そうか。良いな。やろう」 その後の戦いは一方的だった。 けれどベルトルドは笑みを崩さず。 起き上がられぬほど稽古をつけられ、晴れ晴れとした気持ちに包まれる。 (懐かしいな) 手も足も出ず、だからこそ、余計な雑念の全ては流されて。 かつての師を思い出し、突き抜けるような青空を眺めていた。 そうした武術を楽しむのは他でも。 「シリウス、会場に入るには、ここにサインが必要なんだ」 朗らかな笑顔で書類を差し出すクリストフ。 絶妙に、サインをする箇所以外は見れないようにしている。 「これで良いのか?」 怪訝な顔をしながらサインをするシリウス。 「ありがとう。じゃ、出して来るよ」 即座に提出。 「どうせなら、間近で見よう」 そう言われ試合場に連れて行かれ、さらに前に。 気付いた時には開始線まで押し出され。 「はい、シリウス」 竹刀を手渡される。 「待て。どういう――」 問い詰めるよりも早く、対戦相手の打ち込みが。 反射的に受け止めた所で、クリストフは笑顔で。 「頑張れ」 「……お前、最初から狙っていたな!」 「文句は試合で」 「――直接当たるまで、勝ち抜けと?」 「何だ、分かってるじゃないか」 さらに文句を言おうにも、対戦相手の打ち込みにそれどころではない。 そんな彼らの様子に、会場に訪れたアリシアとリチェルカーレが気付く。 「……あら……?」 クリストフを見つけたアリシアは、試合をしているシリウスにも気付く。 「リチェちゃん、シリウスさんも、試合してません、か?」 これにリチェルカーレは、試合場に視線を向ける。 (試合、出てたんだ……!) 目を真ん丸にしながらも笑顔を浮かべる。 (やっぱり、試合に出たかったのね。シリウス) 事情を知らないリチェルカーレは応援を。 「シリウス、がんばって!」 満面の笑顔で送られる声援に、退けなくなるシリウス。 そんなシリウスに満面の笑顔を向けるクリストフ。2人を見てアリシアは気付く。 (クリスってば……これを企んでいたんですね……) 「らしいと言うか……」 思わず、ふっと微笑むアリシアだった。 そうしている間にシリウスは一回戦を突破。 もはや試合を止められず、笑顔で応援してくれるリチェルカーレに、疲れた笑顔で返すシリウス。 一方、クリストフも試合に参加。 (腕前が、どこまで通用するか試してみるのも悪くない) 力試しも兼ね試合を重ねる。 そんな彼をアリシアは応援する。 「頑張って」 小さな声だが、一生懸命に。 (ありがとう) すぐに気付くクリストフ。 (小さくとも応援聞こえたよ、アリシア) パートナーの声援を受けながら、クリストフもシリウスも次々勝利。 実戦で鍛えられた2人に今回の参加者では太刀打ちできなかった。 順調に勝ち進み決勝戦。 「やるからには、手は抜かない」 「当然だね」 真剣勝負の開始。 踏み込みの鋭さと手数の多さでシリウスが押すも、クリストフは猛攻をしのぐ。 その目は鋭く、必勝の一撃を狙っている。 (気を抜けば、やられる) そう判断したシリウスは、さらに猛攻。 立て続けに受け、僅かに体勢を崩すクリストフ。 絶好の好機。だが―― (――違う!) それは共に戦場を駆けた仲だからこそ、気付けた機先。 クリストフは体勢を崩したと見せかけて、渾身の突きを放つ。 まさに紙一重。 ギリギリで避けたシリウスは、そこから一歩踏み込み竹刀を振るう。 「勝負あり!」 決着は付き、今回はシリウスの勝利で幕を下ろした。 「2人とも、お疲れさま!」 「お疲れさま、です」 試合が終わった2人に、リチェルカーレとアリシアが声を掛け。 「ありがとう。2人の声援のお蔭で、頑張れたよ」 「……悪くはない、試合だった」 クリストフとシリウスの2人は、全力を出し切った後の晴れ晴れとした気持ちで、リチェルカーレとアリシアの2人に返すのだった。 こうして、それぞれ全力で楽しむ。 もちろん、バスケもだ。 (この身長が役立つのならと引き受けてはみたが) ニコラはセンターに就き、勝負に挑む。 (さて、どれだけの事ができるだろうか) ルールは徹底的に調べ、きちんと把握している。 戦闘に備えて訓練もしているので、能力は十分。 不安があるとすれば、スポーツ全般の経験が、あまりないこと。 でも、負けられない。なぜなら―― 「二コラさん、ほら! ヴィオラさんも来ていますよ」 リューイに袖を引っ張られ、ニコラは視線を向ける。 そこには、応援をしに来たヴィオラとセシリアの姿が。 「ああ、来たのか」 二コラは素っ気なく口にしながら、その実心の中では―― (勝ったところを見せなくては) やる気十分。 リューイも、笑顔でセシリアに大きく手を振りながら、意気込みを見せていた。 そんなリューイを見て、セシリアは。 「まあ、あんなにはしゃいで」 くすりと笑いながら手を振り返す。 同じように手を振るのはヴィオラも。 (スポーツをするニコラさんって珍しいですね。これは見逃せないですね、ふふっ) 普段見れないニコラの姿が見れるとあって、楽しそうだ。 2人に、リューイとニコラは返す。 それを見ていた対戦相手の源は、獰猛な笑顔を浮かべ和樹に言った。 「やる気十分じゃねぇか!」 「当然だ!」 和樹も笑顔で返す。 「俺も先輩達も勝つ気で来てるんだ。負けないからな!」 「上等! やってやらぁ!」 源と和樹の2人は拳を合わせ、それぞれのポジションに。 全員が配置に就くと、いざ勝負。 開始のジャンプボールは、ニコラが出る。 相手も背が高く体格が良いので、見ていて気になるヴィオラ。 (ニコラさん、背は高いですけど細いですから、折れないといいんですけど……) けれど、それは杞憂。 競り勝ったのはニコラ。 ボールを掴むと、背中で相手に取られないようガードしながらドリブル開始。 (あら? 意外と力強いですね?) ヴィオラは意外に思いながらも、少し考えて納得する。 (考えてみればいつも重い斧を振り回してますものね……見くびってごめんなさい) 心の中で呟くと、応援に集中する。 「ニコラさん、頑張って!」 声援を背に受け、ニコラは前進。 勢いを止めようと、敵チームが集中。 そこに突っ込む和樹。 「ニコラさん――」 パスを貰おうとするように動く和樹に、敵チームの1人が向かう。 しかし、それは和樹の誘導。 「リューイくんに!」 和樹は敵チームの動きを誘導することで、パスボールを出す軌道を開けさせる。 「リューイ! 頼む!」 ニコラのパスを、ノーガードの位置まで素早く動いていたリューイが受け取る。 そのまま前進。 素早い移動でゴール前に一直線に。 そこからシュート。 綺麗な放物線を描いてゴールした。 「やったわ! セラちゃん!」 「ええ」 先制ゴールをリューイが決めて、喜ぶヴィオラとセシリア。 セシリアは落ち着いているように見え、応援の声には熱がこもる。 「ほら、頑張って。ちゃんとボールを見ていないと、負けちゃうわよ」 声援を受け、リューイのやる気は盛り上がる。 (もっと頑張らないと!) 気合が入るのは、他の2人も。 ニコラは時折、跳ぶと見せかけて一旦沈み込み再び跳ぶ、1人時間差を駆使して活躍。 和樹は味方だけでなく敵にも声を掛け勝負を盛り上げていった。 楽しまなきゃ勝っても負けても意味がない。仲間も敵もバスケを楽しんでほしい。 その想いに皆は感化されたように楽しみながら試合をし、そして全力を出した試合は終わりをみせた。 33対30で、浄化師チームの勝利。 盛大な拍手と声援の中、和樹と源は笑顔で向かい合う 「やるじゃねぇか。勝ち越しやがって」 「なら、次は勝ちに来いよ。負けないけどな」 そう言うと、2人はハイタッチ。 そこに、試合を見ていたヨナが声を掛ける。 「皆さん凄かったですね!」 興奮しているのか、若干早口になりながら、健闘を称える。 これに和樹と源の2人は笑顔で。 「みんなが応援してくれたからだよ!」 「ありがとな!」 そう言って、勢いで2人とヨナはハイタッチで盛り上がる。 ちなみにその後、寝る前になってその時のことを思い出し、赤面してベットに突っ伏すヨナだった。 こうしてドリーマーズフェスは盛況の元、終わりをみせた。 全てが終わった後、源とマチ子は、西ニホンの反政府軍と今回のドリーマーズフェスについて語り、浄化師は事情を知る。 それを聞いた和樹は―― 「腐る暇もないくらい、一緒に働こうぜ!」 これから先の大会のトラブル対応を一緒にやらないかと誘う一幕も。 先々に繋がることが出来、賑わいをみせたドリーマーズフェスだった。
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*** 活躍者 *** |
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[35] 桃山・令花 2019/09/16-23:24
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[34] 桃山・令花 2019/09/16-23:19
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[33] リチェルカーレ・リモージュ 2019/09/16-23:19
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[32] 桃山・和樹 2019/09/16-13:03
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[31] 桃山・和樹 2019/09/16-12:57 | ||
[30] 桃山・令花 2019/09/16-12:45 | ||
[29] ニコラ・トロワ 2019/09/16-09:05
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[28] 桃山・和樹 2019/09/16-08:39
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[27] 桃山・和樹 2019/09/16-08:33 | ||
[26] リューイ・ウィンダリア 2019/09/15-23:50
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[25] ニコラ・トロワ 2019/09/15-14:31
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[24] リューイ・ウィンダリア 2019/09/15-12:30
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[23] 桃山・令花 2019/09/15-08:06 | ||
[22] 桃山・和樹 2019/09/15-08:01
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[21] 桃山・和樹 2019/09/15-06:26 | ||
[20] リチェルカーレ・リモージュ 2019/09/14-21:36
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[19] リューイ・ウィンダリア 2019/09/14-16:52
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[18] ベルトルド・レーヴェ 2019/09/14-15:57 | ||
[17] 桃山・令花 2019/09/14-14:46 | ||
[16] 桃山・令花 2019/09/14-14:34 | ||
[15] 桃山・令花 2019/09/14-14:26 | ||
[14] クリストフ・フォンシラー 2019/09/14-00:46 | ||
[13] リチェルカーレ・リモージュ 2019/09/14-00:30
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[12] リチェルカーレ・リモージュ 2019/09/14-00:17 | ||
[11] クリストフ・フォンシラー 2019/09/12-23:28
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[10] リューイ・ウィンダリア 2019/09/12-23:24
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[9] 桃山・和樹 2019/09/12-23:14 | ||
[8] 桃山・令花 2019/09/12-22:59 | ||
[7] 桃山・和樹 2019/09/12-22:37 | ||
[6] リチェルカーレ・リモージュ 2019/09/12-19:06 | ||
[5] ベルトルド・レーヴェ 2019/09/12-18:03 | ||
[4] 桃山・令花 2019/09/12-12:55 | ||
[3] 桃山・令花 2019/09/12-06:01
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[2] 桃山・令花 2019/09/12-06:00
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