~ プロローグ ~ |
これは彼の過去。 |
~ 解説 ~ |
○目的 |
~ ゲームマスターより ~ |
おはようございます。もしくは、こんばんは。春夏秋冬と申します。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
|
||||||||
王様は…こんな所で亡くなられてたのですね… 殿下はたった一人のお兄様を… 王様を、ここに置いて行っては…お二人共可哀相、です 何とか、連れて帰りましょう… その為に、私も精一杯を… 最初にリチェちゃんと協力して皆さんに兎歩七星を その後更に浄化結界を 少しでも、皆さんの助けになれるよう… 終わったら辺りを少し見回して キメラが出てくるのがあまりにもタイミングが良すぎて 誰か見てるではと言う気がして… 魔術真名詠唱 鬼門封印でのキメラの動きを阻害を 特に殿下達を追おうとする個体がいれば、それを優先で狙います できれば禁符の陣を貼るお二人の方へキメラを追い込めるように 傷を負った方には天恩天賜3で回復 全員無事に脱出しましょう… |
||||||||
|
||||||||
お亡くなりになっているなんて… 王弟殿下の様子に言葉を無くす ーそうね 泣く権利は、メンカウラー様に 気持ちを切り替え 魔術真名詠唱 ご兄弟を無事に地上へ帰そう シアちゃんと協力 仲間に禹歩七星 王弟殿下と護衛の皆が安全に動けるよう キメラ対応 基本回復と後方支援 他の陰陽師と協力 全体の体力を見ながら天恩天嗣3や四神浄光・壱で回復 セパルさんたちにも 無茶はしないでくださいねと声かけ シアちゃんの鬼門封印と連携して 禁符の陣が使えたら 余裕があれば九字で攻撃 王弟殿下への攻撃を遮る位置取りを心がける セパルさんたちにも 無茶はしないでくださいねと声かけ 無事脱出できれば 王弟殿下に きっと お兄様はお喜びです 弟君が迎えにきてくれたのだもの |
||||||||
|
||||||||
王弟殿下と陛下が 無事地下神殿を脱出できるよう 退路の確保 できるだけ素早く出入口へ移動 ベリアルが向かってきたら迎え撃つけれど 最優先は王家の方々の避難 仲間と連携 追撃はしません >動き 前衛位置 王家のお二人の護衛をしながら脱出路を切り開く 魔術真名詠唱 リ:初手で戦踏乱舞 メインアタッカーの仲間を中心に攻撃力を上げる 仲間と連携して できるだけ素早く出入口まで王家のふたりを連れて行く 敵が向かってくれば 二コラさんと連携して迎撃、追い返す 倒すのが主目的ではないので 逃げれば追撃はしない セラとヴィオラさんへの攻撃は盾に セ:ヴィオラさんと連携 王家の方にペンタクルシールド 移動中はクォンタムさん達の護衛 近づく敵にカードで攻撃 |
||||||||
|
||||||||
王は既に亡くなられてたのか… 王弟殿には気の毒だと思うが、今はここから退避する事が先決だな こうなってしまっては、この国の未来は王弟殿の肩に掛かってると言う事になるのだから だが、それを私が言う必要はなさそうだな ヴィオラ達女性陣の行動を見て 浄化師の女性達は強いなと苦笑を浮かべてから 王弟殿と王のミイラを運ぶ仲間を守るように前へ出て そのまま護衛として、キメラの攻撃にスキルで対応しながら 最短距離で辿り着けるようなコース取りを心がけて出口を目指す 私の攻撃は命中精度が低い キメラの討伐は仲間に任せ、牽制のために斧を振るう 王弟殿と護衛班が出口から出たら扉の確保 迎撃班がくるまで出入口を守る 敵はここから出さないように |
||||||||
|
||||||||
サクラ:…… キョウ:……サクラ、それ(スキル)…… サクラ:障害物は自分で作るものよ!! キョウ:そうですね。良し、では、守りましょう! 【行動】迎撃班 サクラ 『トリックショット』で攻撃するわ。 狙いは回避力低下だけどあれ(キメラ)高そうよねぇ……少しは役に立つと良いのだけど。 MPがなくなったら通常攻撃に移るわ。 うーんすごいわねぇメンカウラー様。これが兄弟愛という物かしら? もしそれなら守りたい所ね。 キョウ サクラをなるべく庇えれそうな位置をとりながら 『蠱霧散開』を使用します。あちらが毒ならこちらも毒で。 敵全員にかかったと判断したら通常攻撃に変更しますね。 あのミイラ。お兄様だと良いですね…… |
||||||||
|
||||||||
しゃんとしてください! 今ここで立ち止まってどうにかなりますか 王弟を鼓舞しどうにか立ちあがらせる 長年のうち彼に刻まれた克己という意志を信じて こんな言い方はずるい と思いながら しかし この場所この瞬間に失う訳にはいかない 出現したキメラを迎撃 自己保存本能が無いのならば生き物としての急所 首や四肢の付け根 腹などを重点に攻撃 毒を受けてもひとまず無視 尻尾はFN11で切断を狙う 火炎弾の溜めを注意深く観察し仲間に声をかけつつ回避行動 ベ 命尽きるまで戦うよう改造されたのか…? ヨ このキメラといい 王のミイラといい 随分と良い趣味の方がお相手のようですね 王と王弟が脱出できれば追って脱出 追いかけてくるキメラは遠距離攻撃で撃つ |
||||||||
|
||||||||
|
||||||||
キメラへ攻撃し行動を妨害 王弟と王のミイラ、それを守る味方への被害を防ぐ 回避に専念し始めたら魔法陣を攻撃する等で気を引く 王弟達離脱後は脱出を優先 ルーノは体力半分以下で四神浄光、毒を天恩天賜で回復 王弟の防護が間に合わない場合や劣勢時は禁符の陣で立て直す 余裕があれば味方に合わせキメラへ攻撃、回避を妨害 ナツキは獣牙烈爪突で攻撃 蛇の尻尾は回避しつつ切り落とせるか試し、火炎弾の溜めを見たら味方を巻き込まない為離れて一人で受ける ウボー達にもキメラと魔法陣の攻撃を頼む 併せて敵の回避を下げる為セパルに幻惑魔法の使用を提案 タイミングを見て王弟へ言葉をかけたい 特にナツキは王弟と王に同情、立ち直ってもらう為声をかける |
||||||||
~ リザルトノベル ~ |
地下神殿に放置されたファラオのミイラ。 兄の変わり果てた姿に、メンカウラーは呆然と膝を折る。 崩れるように座り込む彼の姿に『アリシア・ムーンライト』は痛ましげに思う。 (王様は……こんな所で亡くなられてたのですね……殿下は、たった1人のお兄様を……) メンカウラーに掛けるべき言葉に思い悩む彼女の傍で『クリストフ・フォンシラー』は警戒するように思考する。 (王様と成り代わった後、遺体をこんな所に放置したのか。何の為に? 隠す気が無かった? それとも最初から王弟殿下の心を折る道具にするつもりだった?) 理由を判断するには、あまりにも材料が少ない。 だからこそ、今なすべき事を決める。 (何にせよ、放置はできないね。この国の未来のためにも) 2人のように、今の状況に思う物があるのは他の浄化師も同じだ。 (……悪趣味だな) 地下神殿の状況を確認し『シリウス・セイアッド』は眉を顰める。 彼の隣りで『リチェルカーレ・リモージュ』が震えた声を漏らした。 「お亡くなりになっているなんて……」 メンカウラーの悲痛な様子に、それ以上の言葉を無くす。 なにを、どうすれば良いのか? とっさに思いつかない。 そんな彼女の背中を押すようにシリウスは、軽く肩を叩いて言った。 「リチェ。まずは脱出を。俺達がやるべき事は、王弟の安全を守ることだ」 シリウスの言葉に、リチェルカーレは息を呑む。 そして成すべき事のために、意識を切り替えた。 「そうね。泣く権利は、メンカウラー様に」 同じように、この場からの退避を考えるのは『ニコラ・トロワ』。 (王は既に亡くなられていたのか……) ニコラは王のミイラを見詰めた後、王弟に視線を向け思う。 (王弟殿には気の毒だと思うが、今はここから退避する事が先決だな。こうなってしまっては、この国の未来は王弟殿の肩に掛かっているという事になるのだから) ニコラが考えるように、サンディスタムの未来はメンカウラーの動きひとつで大きく変わってくる。 だからこそ、王弟の安全を守らなければならない。 この場から退避するため、王弟に声を掛けようとした時だった。 周囲を囲むように口寄せ魔方陣が展開される。 それに気付いた『クォンタム・クワトロシリカ』は言った。 「ニホンに興味深い歌があったな……行きはよいよい、帰りは怖い、だったか。侵入は容易でも脱出しにくい、と」 「……うん、クォン。それフラグってヤツじゃない?」 クォンタムの言葉に『メルキオス・ディーツ』が返す間に、口寄せ魔方陣から4体のキメラが現れる。 「……この歌、ニホンだけの歌じゃないんだな」 「こういう万国共通は要らないんたけどね」 言葉を交わしながら、即座に戦闘体勢を取る2人。 同じように、皆も戦闘態勢を取る。 だが王弟は、呆然自失のまま。 キメラ達は、状況を把握しようとしているかのように、じっと動かない。 この隙に、キメラへの警戒をしつつ、王弟に声を掛けていく。 「しゃんとしてください! 今ここで立ち止まってどうにかなりますか!」 王弟に『ヨナ・ミューエ』は、鼓舞するように声を掛ける。 そんな風に声を掛けることに、後ろめたさを感じながら。 (こんな言い方は、ずるいのは分かっています) けれど今、この場所この瞬間に、王弟を失う訳にはいかないのだ。 これまでの人生で、王弟に刻まれた克己という意志を信じ、ヨナは声を掛け続ける。 その声が届いたのか、王弟は苦悩を飲み込んだ表情のまま、掠れた声で言った。 「兄上を……兄上を、連れて行かないと……」 呟くように言う王弟の姿は酷く儚い。 そんな彼に、皆が言葉を掛けようとする中、『セシリア・ブルー』は行動で王弟の心を動かした。 「しっかりなさいませ」 セシリアは王弟の前に出ると、両手で彼の頬をぱちんと叩く。 (セラ!?) セシリアの横に居た『リューイ・ウィンダリア』が、彼女の行動にぎょっと目を見開いていると、セシリアは王弟の頬を手で挟んだまま、ぐいっと視線を自分に合わせ言った。 「弟君がそんな状態で、どうするんです」 視線を真っ直ぐに合わせ、王弟の眼差しに意志の輝きが戻るのを確認すると、セシリアは頬を滑らせるようにして手を離し、ふわりと笑顔を浮かべ続ける。 「兄上様を外へお連れしましょう。お手伝いします」 セシリアの言葉に合わせるようにして、皆も王弟に言葉を掛ける。 「メンカウラー様、陛下を……お兄様をここからお連れしましょう」 静かな声で、『ヴィオラ・ペール』は王弟に呼び掛ける。 「それができるのは貴方だけです、分かりますよね?」 王弟を奮い立たせるため、ヴィオラは声を掛け続ける。 「できないとは言わせませんよ。さあ、立って下さい、ここから出ますから」 にっこり微笑みつつ有無を言わせぬ口調で告げる。 そうした女性陣の呼び掛けを見ていたニコラは、小さく苦笑する。 (浄化師の女性達は強いな) 彼女達の強さに負けないよう、ニコラは王弟達を護れる位置に動く。 そして呼び掛けを受けた王弟は、自分の意志で立ち上がり、歯を噛みしめ思いきり自分の頬を殴った。 「――すまない。心配を掛けた」 自分自身に活を入れた王弟は、はっきりとした声で言った。 「兄上を連れて、この場から退避したい。力を貸して欲しい」 これに皆は返す。 「もちろんだ! 王様も一緒に絶対連れ帰る!」 力強く返したのは『ナツキ・ヤクト』。 その言葉には、心から王弟の力になってやりたいという想いが感じられた。 (ほっとけねぇよ、メンカウラーさんも王様もさ) それは自身の過去から来る思いでもある。 (大切な人を失う辛さは俺も分かってるつもりだ。でも今のままじゃ本物の王様だって浮かばれねぇだろ) 失われてしまったファラオのためにも、今を生きる王弟を守りきる。 誰かのために全力を尽くそうとするナツキに、パートナーである『ルーノ・クロード』も、賛同するように言った。 「王と共に、必ず貴方を帰還させます」 それは感情だけでなく、この先のサンディスタムのことを思っての言葉。 (もし王弟殿を失えば、国が陥る混乱を治められず人々はより苦しむ事になるだろう。それは私も望んでいない) 今この場だけではなく先の大きな流れも見据えながら、成すべき事を成すべく、最適の配置に動く。 浄化師達は、撤退のための配置に就く。 中央で守られるのは王弟。 彼は兄であるファラオのミイラに視線を向けた後、必ず連れて帰るのだという強い意志を込め前を見据えている。 そんな王弟を見て『キョウ・ニムラサ』は思う。 (自分も、同じ状況なら、王弟さんと一緒のことをしたでしょうね) 姉と兄、2人ともが好きな彼は、メンカウラーに共感する。 だからこそ、無事に逃がしたいとも思う。そのためにも、戦う意志を心に灯す。 彼と同じように、メンカウラーの行動に思う所があるのは『サク・ニムラサ』も変わらない。 (うーん、すごいわねぇメンカウラー様。これが兄弟愛という物かしら? もしそれなら守りたい所ね) 兄と弟の居るサクラとしては、思う所がある。 だが、それに流されることなく、彼女は戦闘に意識を切り替える。 (まずは戦って生き延びないと。敵を殺す。目的は成し遂げる。それが今すべきこと) 狩人として笑みを浮かべるサクラは、狙撃銃に弾丸を装填。 同時に、アライブスキルをいつでも使用できる準備に入る。 「……」 無言で集中するサクラに、キョウは言葉を掛ける。 「……サクラ、それ……」 サクラが使おうとしているのは、障害物を利用した跳弾を叩き込むトリックショット。 神殿内は、目立った障害物は無い。 「障害物は自分で作るものよ!!」 「そうですね。良し、では、守りましょう!」 気合を入れ、いつでも動ける準備が出来る。 それより僅かに早く、敵は動いていた。 キメラの2体が出口に向かい、逃がさぬというように立ち塞がる。 残りの2体は左右から挟むような位置に就き、挟撃に移ろうとしていた。 それよりも速く、浄化師は動く。 アリシアとリチェルカーレが、先陣を切る仲間に禹歩七星を掛ける。 速度を上げた所で、リューイが攻撃力の強化に動いた。 「戦踏乱舞を掛けます」 士気を高揚させるステップを踏み、仲間の戦闘意欲を引き上げる。 リューイだけでなく、同行しているセレナも戦闘乱舞。 戦闘能力を上げ、皆は動く。 「ウボー、セレナちゃん、援護を頼む。セパルちゃんには、幻惑魔法を頼めるかな?」 クリストフは同行する3人に指示を出す。 これに応える3人。 幻惑魔法は、距離が離れると無理だが、今回程度なら問題ないと、味方全員に掛ける。 先陣を切る浄化師と共にセパル達も跳び出そうとし、そこにリチェルカーレが声を掛ける。 「無茶はしないでくださいね」 これに礼を返すセパル達。 そして準備を整えると、戦闘を開始する。 左から向ってきた1体には『ベルトルド・レーヴェ』が最初に踏み込む。 重心を落とし、一気に距離を詰める。 敵は避けることなく逆に噛み付こうと跳びかかって来た。 それをベルトルドは回避。 敵の噛み付きが届く寸前で踏み込みを止め、カウンターで爆裂斬を叩き込む。 刃の如く鋭い手刀が敵の顎を切り裂き、切り裂くと同時に爆破。 顎の一部が吹っ飛ぶ。 にもかかわらず、敵の戦意は落ちることなく、防御を無視した攻撃を重ねてくる。 そこにヨナの攻撃が叩き込まれた。 オーパーツグラウンドを起動し、魔力で形造られた無数の武器を叩き込む。 身体を切り刻まれながら、敵は傷の全てを無視して襲い掛かってくる。 「命尽きるまで戦うよう改造されたのか……?」 「このキメラといい、王のミイラといい、随分と良い趣味の方がお相手のようですね」 命を無視した敵。 だがそれならば、それに合わせた戦いようはいくらでもある。 急所を集中的に攻撃していく。 そこに追撃を掛けるのはナツキだ。 ナツキは敵の間合いに一気に跳び込むと、渾身の獣牙烈爪突を放つ。 獣の如き激しさで突進し、その勢いを込めた刺突は深々と突き刺さる。 そこから間髪入れず横なぎに斬り裂く。 「ガアアッ!」 怒りに吠える敵は、毒を持った尻尾を振るう。 それを避けるナツキ。 避けた所で、敵は口を大きく開け、炎の塊を生み出す。 「こっちだ!」 仲間に攻撃が向かわないよう、あえて挑発すると、味方から離れた位置に移動。 そこに放たれる炎弾。 直撃は避けるも、余波の炎を受ける。 そこに敵は追撃を掛けようとしたが、ルーノが許さない。 ナツキが敵の注意を引いてくれていた間に距離を詰めると、禁符の陣を発動。 拘束と封印をもたらす術を込めた呪符の効果で、敵は身動きが取れない。 「今だ! 攻撃してくれ!」 ルーノの呼び掛けに応え、ナツキとベルトルド、そしてヨナが集中攻撃。 敵の1体は倒された。 同様に、右から襲い掛かって来た敵も討伐される。 勢い良く跳びかかって来る敵に、シリウスは恐れを見せず踏み込む。 鋭い前足の一撃を危なげなく躱すと、一気に間合いに踏み込みソードバニッシュ。 閃光のような斬撃は、深々と敵の足を斬り裂いた。 だが敵は、痛みなど感じていないのか、今まで以上の激しさで襲い掛かってくる。 その全てをシリウスは避け続け、注意を引く。 敵の意識はシリウスに集中し、その隙を逃さずクリストフが攻撃。 シリウスが与えた傷を深くするように、ソードバニッシュを叩き込む。 同じ箇所を斬り裂かれ、敵は動きが鈍る。 そこにシリウスとクリストフが連携攻撃を叩き込む。 次々、敵は斬り裂かれていく。 すると敵は、動きを止める。 勝機と見て追撃を掛けようとした時、毒の尻尾が放たれる。 だが、無駄。 シリウスとクリストフを援護するように動いていたセパル達が、毒の尻尾を破壊。 不意打ちも抑えられた敵は、シリウスとクリストフが左右から放ったソードバニッシュで、首を切り落とされ絶命した。 左右の敵を倒し、先陣を切った浄化師は出口を塞ぐ2体の元に走る。 彼らが敵を抑えてくれている間に、王弟を護衛する浄化師達は動き出した。 「走れるね? それなら良かった。無理なら、お姫様抱っこで抱えていくところだったよ」 王弟を守る位置に就きながらメルキオスは、あえて軽口を叩く。 感情が高ぶり奮起してくれれば、それだけ退避が楽になるからだ。 その意図にクォンタムは気付く。 (メルキオスがふざけてるのは何時もの事だが、あぁやって弟君の気を紛らわせているんだろう) 彼がそうした態度を取るのは、サンディスタム出身であることが大きい筈だ。 (奴なりに色々と思う事があるのだろう。多分この面子の中で唯一、この国の出身で、この国のある程度高水準の生活と最底辺の生活を知る男だ。弟君にとって得難い友になろうさ) それは愛国心というには砕けているが、郷里を想う気持ちには違いない。 その気持ちを守るように、クォンタムはファラオのミイラを大事に運ぶ。 自分のマントをかけて横抱きに持ち上げる。 「クォン、任せたよ」 「ん、任された」 2人のやり取りを見ていた王弟が声を掛ける。 「兄上を頼む。そして護衛も頼む。勇猛果敢な青衣の民の力を見せて欲しい」 「へぇ、青衣の民を知ってるの?」 メルキオスが聞き返すと王弟は返す。 「可能な限り国内全ての部族は調べている。彼らと共になければ、国内は部族単位で分裂するから。そうさせないためにも、ここを生きて逃げ延びなければならない。頼む」 これにメルキオスは返す。 「肉親が殺された程度でぼけっとしてるから期待してなかったけど、これからは君がこの国背負うんでしょ? 苦しみ抜いて生きろ。そして民の礎となれ」 これに王弟は力強く返し、脱出が始まる。 リチェルカーレとアリシアが禹歩七星を掛けてくれたお蔭で、移動速度が上がった状態で前に進む。 出口を塞ぐ2体は、先陣を切った仲間の活躍で討伐寸前。 このまま行けば脱出できる。 そう思われた時、口寄せ魔方陣から新たなキメラが4体現れた。 「先に進んで下さい! 抑えます!」 王弟護衛に就いていた浄化師から、真っ先に跳び出したのはリューイ。 その後を追うように、ニコラが前に出る。 「右はこちらで抑える。左を頼む」 「はい!」 ニコラの呼び掛けに応え、リューイは左手の敵に向かう。 敵は前足を使った薙ぎ払いを繰り出すも、リューイは回避。 魔性憑きとしての身軽さを活かし、敵を翻弄するように動く。 敵の動きを読みながら斬撃を繰り出すも、深く踏み込むことはしない。 あくまでもリューイの目的は敵の抑え。 王弟達に近付けず、この場で牽制していれば、先陣を切った仲間が援護に来てくれる。 仲間を信じ時間稼ぎを確実にこなしていく。 そうした動きはニコラも同じだ。 手にした両手斧を大きく振るい、敵の前進を防ぐ。 (私一人で倒す必要はない。だが、この先は通さん) 身体を張って、敵の動きを止めた。 これに敵は、口を大きく開き炎弾を生み出すと、王弟達に向け放とうとする。 「させない」 「させるか」 リューイとニコラは傷を受けるのも覚悟して前に踏み出す。 双剣で斬り裂き、両手斧を叩きつけた。 これにより敵の攻撃の狙いはズレ、直撃は避けられる。 だが余波が襲い掛かる。 それをヴィオラとセシリアはペンタクルシールドで受け止め、王弟への被害を食い止める。 「セラ!」 「ヴィオラ!」 被害を受け止めた2人にリューイとニコラの2人は意識が向かいそうになる。 それをセシリアとヴィオラの2人は止めた。 「こっちは大丈夫。目の前の相手に集中しなさい」 「大丈夫です。こちらを気にせず集中してください」 2人の言葉に応えるように、リューイとニコラは全力で敵の抑えを成し遂げていく。 2体は抑えられ、残りの2体も、護衛組の活躍で動きを止める。 「前に出ます!」 「了解。援護するから、安心しなさい」 キョウが敵を抑えるように前に出る。 手にした呪符に魔力を込め活性化させ、蠱霧散開の準備に入る。 それに気付いた敵は、真っ直ぐに襲い掛かってきた。 迎撃するため構えるキョウ。 敵はキョウの動きに合わせ跳びかかろうとし、その寸前、横に跳ぶ。 同時に響いたのは銃声。サクラの狙撃を避けた敵は、そのまま跳び込んでくる。 「舐めてくれるわね」 回避など容易いと言うように跳び込んでくる敵に、サクラは目を細めるとトリックショットを放つ。 狙いは床。 浅い角度で放たれた弾丸は、床を跳弾し予想外の角度で敵に命中。 前足を撃ち抜かれた敵は動きが鈍り、そこを逃さずキョウは蠱霧散開を放つ。 蠱毒の呪詛は地を這うように進み敵に命中。 命中箇所を毒で黒く染め傷を与えた。 「効いてますね。この毒の効果って、魔方陣にも効くんですかね?」 「気になるならやれば良いと思うけど?」 しかし傷を与えた敵が変わらず襲撃して来るので、その余裕はない。 姉弟の連携で、王弟に近付けさせないよう死守する。 これで敵の3体は抑えられる。 そして残りの1体も確実に抑えられていた。 「援護、します」 「ありがとう、シアちゃん」 アリシアとリチェルカーレが連携して敵を抑える。 先に前に出るのはリチェルカーレ。 狙いは禁符の陣。 禁符の陣は、敵に近づかなければ掛けることが出来ないので使用には危険が伴うが、アリシアの援護が助けとなる。 リチェルカーレが前に出て、敵の注意を引いてくれている隙を逃さず、アリシアは鬼門封印を放つ。 これにより機動力を削がれた敵は、リチェルカーレの接近への対処が一手遅れる。 アリシアが作ってくれた猶予を逃すことなく、リチェルカーレは禁符の陣を発動。 敵は完全に動きが止まり、炎弾を放つことすら封じられる。 そこにアリシアは攻撃。禁符の陣の効果が切れる所を見計らい、再度リチェルカーレは掛ける。 敵は何も出来ない。どうにかしようとするなら、リチェルカーレの魔力切れを待つしかないが、彼女の所有魔力は多い。 反撃をすることもできず抑えられた敵は、駆けつけてきたシリウスとクリストフに倒された。 他の敵の元には、ヨナとベルトルド、そしてルーノとナツキ、あとはセパル達が向かい討伐する。 一端敵の全てを倒した所で、また口寄せ魔方陣から敵が現れる兆候が発生。 護衛組は敵が現れる前に全力で出口に向かい、残りが殿を務める。 ヨナとベルトルドは、セパル達と共に口寄せ魔方陣に攻撃。 それにより敵の注意を引きつけると、セパル達と連携して、近付いて来た敵に最大火力の攻撃を叩きつけ瞬殺する。 残りの敵も、シリウスとクリストフ、そしてルーノとナツキが迎撃し倒すと、新たな敵が現れる前に脱出を成功させた。 秘密の通路を抜け外に。 移動すると同時に、アリシアは周囲を警戒する。 「どうしたの?」 クリストフの問い掛けにアリシアは返す。 「キメラが、出てくるのがあまりにも、タイミングが良すぎて。誰か、見てるでは、という気がして……」 「……ああ、確かに。今の所、誰かが来る気配はないけど、周囲の警戒はしておこう」 周囲を警戒するクリストフ。彼に協力するように、シリウスも警戒に動く。 クリストフの死角になる位置で警戒し、皆の護衛を意識した動きをした。 そうして守られる中、リチェルカーレは王弟に言葉を掛けた。 「きっと、お兄様はお喜びです。弟君が迎えにきてくれたのだもの」 これに王弟は涙を飲み込みながら返す。 「……ありがとう。貴方達のお陰で、兄上を独りにせずに済んだ。貴方達の助けを無駄にしないよう、国の乱れを正す」 思いつめた声で言う王弟に、セシリアは柔らかな声で返す。 「ご自愛を、忘れないで下さい。メンカウラー様が怪我をしたら、兄上様、きっと悲しまれます」 この言葉に王弟は息を飲むような間を空け応えた。 「……ああ、そうだな。気を付けるよ」 それは悲しげで儚く、自分を抑えているように見えた。 悲しみを飲み込む王弟に、ヴィオラは言った。 「今すぐには、難しいかもしれません。でも、悲しい時は、泣いても良いんですよ」 ヴィオラの言葉に王弟は、不器用に笑みを浮かべ返す。 「いつか、そうするよ。けれど、その前に、国の混乱を正す。それがきっと、兄上への手向けになるだろうから」 彼の決意に応えるように、ナツキが力強く言った。 「手助けが欲しければ言ってくれよな! 力になるからさ!」 王弟に視線を合わせ続ける。 「今のままじゃ、ニセモノの王様がしてる悪い事も、国の人には本物の王様の仕業だって誤解されちまう。それを止めなきゃなんねぇもんな!」 ナツキの言葉に賛同するように、ルーノも言った。 「この国に住む人々の為にも王の名誉を守る為にも貴方の力が必要です。立ち向かうというのなら、我々も力になりましょう」 「ありがとう……その時は、ぜひ頼むよ」 決意を見せる王弟に、キョウとサクラは言葉を交わす。 「きっと、大丈夫ですよ」 「ええ。いざとなれば私達も力を貸すんだから。大丈夫に決まっているわ」 皆が声を掛ける中、サンディスタム出身の2人も声を掛ける。 「何かあったら言いなよ。うちの部族も力になれるかもしれないし」 メルキオスの言葉に頷く王弟にヨナは思う。 (今ここを切り抜けられても膨大な諸問題が王弟殿下にのしかかるのでしょうね) なにか言葉を掛けられればと思っていると、王弟が言った。 「皆の助けを借りて国を良くしようと思う。青衣の民のような有力部族や、この国に移民して力を尽くしてくれる者も居る。皆の言葉を聞き、まとめていきたい」 「それは――」 王弟の言葉にヨナは返しそうになる。 移民としてこの国に根付いたルーツを家族に持つヨナとしては他人事ではない。 だが、巧く言葉が出て来ないヨナに、王弟は言葉を掛ける。 「難しいことだとは思う。けれど今も、多くの人達が動いてくれている。商人やさまざまな部族、そして移民として根付いてくれた人達。彼らの中には、今回の騒動を治めようと動いてくれている人達も居るんだ。もし協力できることがあれば、手助けしてあげて欲しい」 王弟の言葉に、ヨナは両親のことが心に浮かぶ。そして王弟に応えるように言った。 「この国の人々と協力して出来ることがあれば力をお貸しします。必要なことがあれば頼って下さい」 「ありがとう」 静かに笑みを浮かべ返す王弟だった。 かくして指令は終わりをみせる。 王弟だけてなく、ファラオを残さず連れて脱出できたのは、この国の今後の流れを大きく動かすきっかけとなっただろう。 浄化師達のお蔭で、国が大きく立ち直る始まりとなった。 そう思える活躍だった。
|
||||||||
*** 活躍者 *** |
|
|
|||||
|
| ||
[27] ニコラ・トロワ 2019/11/08-21:44
| ||
[26] リューイ・ウィンダリア 2019/11/08-21:36
| ||
[25] リチェルカーレ・リモージュ 2019/11/08-20:36
| ||
[24] リチェルカーレ・リモージュ 2019/11/08-20:14
| ||
[23] クリストフ・フォンシラー 2019/11/08-18:31 | ||
[22] ヨナ・ミューエ 2019/11/08-17:53 | ||
[21] ルーノ・クロード 2019/11/08-07:20 | ||
[20] ニコラ・トロワ 2019/11/08-00:03
| ||
[19] リューイ・ウィンダリア 2019/11/07-22:33
| ||
[18] ルーノ・クロード 2019/11/07-22:01 | ||
[17] ヨナ・ミューエ 2019/11/07-16:39 | ||
[16] リチェルカーレ・リモージュ 2019/11/06-23:33 | ||
[15] クリストフ・フォンシラー 2019/11/06-22:02 | ||
[14] ルーノ・クロード 2019/11/05-23:43 | ||
[13] リチェルカーレ・リモージュ 2019/11/05-23:04 | ||
[12] ニコラ・トロワ 2019/11/05-22:16
| ||
[11] リューイ・ウィンダリア 2019/11/05-21:48 | ||
[10] クォンタム・クワトロシリカ 2019/11/05-20:50
| ||
[9] ヨナ・ミューエ 2019/11/05-20:34 | ||
[8] クリストフ・フォンシラー 2019/11/04-22:58 | ||
[7] リチェルカーレ・リモージュ 2019/11/04-21:00
| ||
[6] リューイ・ウィンダリア 2019/11/04-16:47
| ||
[5] ニコラ・トロワ 2019/11/04-15:57 | ||
[4] ヨナ・ミューエ 2019/11/04-13:51
| ||
[3] ナツキ・ヤクト 2019/11/04-12:57
| ||
[2] クリストフ・フォンシラー 2019/11/04-09:14 |