~ プロローグ ~ |
教団本部、室長室。 |
~ 解説 ~ |
○目的 |
~ ゲームマスターより ~ |
おはようございます。もしくは、こんばんは。春夏秋冬と申します。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
|
||||||||
…どうして逃げてしまうのかしら マリエルさんのこと お願いしたいのに セパルさんにメフィストさんの好きなお菓子を聞き それを含んだお菓子を作ってお茶会準備 好きなものを用意したら 出てきてくれるかも? ヴィオラさん シアちゃん 令花さんと協力して作る 花も飾ってみましょうか シアちゃんと ポインセチアやカスミソウを卓に 設営を手伝ってくれるシリウスに ありがとうと笑顔 メフィストさんの手をぎゅっと握って 話をきいてください マリーさん達を助けたいの 方法があったら教えてください 教えてもらえれば満面の笑顔でお礼 他に聞きたいこと? ええと と悩んだ後 アシッドを浄化する方法 使徒やベリアルの生まれたわけ 八百万の神様はなぜこの国にいないのか |
||||||||
|
||||||||
■メフィスト捕獲 ナツキ:俺だって犬になれるんだからな! ルーノ:張り合ってどうする…いや、案外使えるかもしれないな 食堂で準備を手伝いつつ、犬なら通れる逃走ルートや隠れられる場所をトランスしたナツキが実際に歩いて調べ、塞いでおく 逃げ道を塞ぐように包囲、手紙を読み上げても降参しないなら脅…説得 ルーノ:これ以上逃げても良い事は無い、手紙の内容は完璧に記憶してあるのだからね …なに、簡単な取引だ。鬼ごっこをやめて対話の席に着いてもらえれば手紙の内容は心にしまっておく さて、どうする? ■質問 黒炎魔喰器 ・製造方法、材料、対価 マリエル ・助ける方法、対価 ベリアル判別方法 ・スケール5ベリアルと人間の差異、判別する方法 |
||||||||
|
||||||||
捕まえる段階では、ギャラリーに混ざって食堂にいる メフィストが来たら、皆で囲んで逃がさないようにする お茶会で好みのお菓子を確保した後、カツア…質問に参加 アイテム?貰えるなら貰う 質問…というか、アンタの見解を聞きたい たぶんリントも同じことが気になってるだろうから ラグナログ後の神はどんな気持ちでいると思う? 人類が憎しみに包まれたから滅ぼそうとしたのに、 あれのおかげで人類は団結したとも言える 想定外だったのなら皮肉だし、分かっててやったんなら傲慢だろ それからこれは個人的なことだけど、 10数年前、俺の故郷…小さな港町を襲ったベリアルは、終焉の夜明け団と…彼女とは関係があったのか? (頼む…違うと言ってくれ) |
||||||||
|
||||||||
ラブレター大公開企画のちらし配りと掲示板などへの貼りつけと会場の準備 大がかりな事をやっているのだし と人を呼び込む ベ セパルとメフィストが親子だったとはなあ …しかし 面倒な事になる前に出てきてしまえばいいものを ヨ 面白がっている節はありますね ずっと鬼ごっこをしている訳にもいきませんし 観念して頂くしか セパル達の熱烈な(?)歓迎ののち一息ついた後改めて挨拶と質問 >マリエル達 貴方が探していた黒炎魔喰器製造の条件に当てはまる人物がこのマリエル しかしこのまま放っておけばすぐ寿命の尽きてしまう 魔法ステッキはカルタフィルスや浄化師の為に作ったと話していただろう 彼女たちの為に用意して貰えないだろうか |
||||||||
|
||||||||
マリエルさん達を、助けてあげる事ができるなら、頑張ります……! ヴィオラさん達がするお菓子作りに参加してお手伝い リチェちゃんと一緒にお花を飾って メフィストさん、美味しいものを食べれば、心を開いて、くれますか…? マリーさんとマリエルさんを助けるには、どうしたらいいですか…? もし私にできる事があるなら、何でもします、から…どうか…… クリスの言葉に首を傾げて 他に…です、か? その…ホムンクルスを生き返らせる、助ける、そんな方法は、ないでしょうか…… 思い出すのは愛を知りたがっていた1人のホムンクルス 彼女を、創造主の楔から、解き放ってあげたかったんです… 私は非力で… だからせめて、みんなを守る力が、欲しいです |
||||||||
|
||||||||
メフィストが食堂に入って来た所を縄で捕縛 青衣の民にラブレター送られたくなければ、素直に吐け あの部族の奥様方を敵に回すと厄介だぞ アレイスターとゲームをしているという創造神とやらの名は?姿は? ヤツは創造神は死のない世界を作れないと言っていた 生きとし生きる物全ての生死は創造神の管轄ではないのではないか? 運命の選定者は別の神かなにかが居た筈だが ニダヴェリール地方に希望の塔があり、その天辺からヨハネの使徒が降りてくるというが 実際の所どうなんだ? あの塔の様なのは本当に天界とやらに繋がってるのか? では、ヨハネの使徒のヨハネとは何の事だ アレイスターが使役してたアレは何だ 三対六翼…伝承の熾天使の様な姿だったが |
||||||||
|
||||||||
令花 Dフェス実行委員の腕章を付け 気合の腕まくり 仲間と協力して、【物書き】を駆使してメフィストを釣るチラシに注力 「あのメフィスト氏の、本人史上最もアツアツなラブレターを緊急大公開!?詳細はいかに…?!」 内容を匂わせる超短編を付けてさらに興味を煽る 魔術通信で宣伝する仲間に放送原稿のアイデア出しで協力 施設内の掲示や配布につき 教団規定に則り許可申請を出しておく 場合が場合だけに 事の詳細が表にでないよう かつ 重要な指令に関する案件だというニュアンスだけは伝わるよう かつて見た役人の父の仕事を参考に申請の文言を工夫 メフィスト歓待のためのお菓子づくりにも参加 小説のネタにレシピ集を読み漁った経験をいかす アドリブA |
||||||||
|
||||||||
メフィストとはきちんと向き合って話した事はなかったが 人をからかったり困らせて面白がるタイプだったのか? 全く、はた迷惑な 個人的な手紙を読み上げるというのはいささか気が進まんが 愉快犯を捕まえるためなら仕方なしか チラシが出来上がったら一枚拝借 魔術通信を強制的に一斉に伝えられるようにしてチラシを淡々と読み上げる そこに私の感情は不要だろう 一カ所終われば通信の範囲外の場所へ移動しまた通信 どこかでメフィストの耳に入る事を期待し、それを繰り返していく 時間が迫ってきたら会場の食堂へ 逃がさぬよう、窓等の出られそうな場所を塞ぐように立つ 質問 黒炎魔喰器とは害の無い方法で作れる物なのか 私達の何かが犠牲になる事はないのか |
||||||||
~ リザルトノベル ~ |
○メフィストを捕まえよう 「さて、それじゃ、まずはチラシを作ろうか」 指令会議室を借りて『リントヴルム・ガラクシア』はメフィストを誘き寄せるためのチラシ制作に取り掛かる。 元フリー記者だったリントヴルムは、その時の経験を活かすことにした。 「僕は主にレイアウトとか、パッと見の分かりやすさを考えるから、具体的な文章は任せるよ」 リントヴルムに呼び掛けられ、チラシ作製班についた『桃山・令花』は気合の入った声で応える。 「はい、任せてください!」 腕まくりをしながら文言を考える。 「あのメフィスト氏の、本人史上最もアツアツなラブレターを緊急大公開!? 詳細はいかに……?! 他にもみんなに興味を持って貰えるように、内容を匂わせる超短編を付けて――」 書いている内に筆が乗って来たのか、見る見るうちに書き上げる。 (ねーちゃん、気合入ってるな) 姉の令花の生き生きした様子に、『桃山・和樹』は嬉しくなる。 いま令花の腕には、以前ニホンで参加したドリーマーズフェスの実行委員の腕章が付いている。 (ドリーマーズフェス、参加して好かった) 令花が今のように生き生きとし始めたのは、思い起こせばあの時からだ。 (ねーちゃんが元気になれたのは、浄化師の仕事をこなしてきたお蔭だよな。今回も頑張らないと。室長にも、応援して貰ったし) 今回の指令をこなすに当たって、チラシの手配に走り回っている時、皆が自由に動けるよう、ヨセフが口添えをしてくれている。 「頑張ろうな、ねーちゃん。チラシできたら、すぐ配りに行くからさ」 和樹と令花が気合を入れて、リントヴルムはテキパキとチラシ作りをする中、同席する『ベルロック・シックザール』は、この先のことを考えていた。 (メフィストを捕まえたら、訊かないと……) それは自分の過去にも関わること。 ベルロックの故郷を襲ったべリアルとマリエルに関わりがあったのかという疑問。 それを確かな物にするべく、ベルロックはチラシ作りを手伝っていた。 その間に、他の浄化師達も動いている。 「俺だって犬になれるんだからな!」 「張り合ってどうする……いや、案外使えるかもしれないな」 作戦決行までに周辺の探索をしている『ナツキ・ヤクト』と『ルーノ・クロード』は、メフィストが犬に変身した時の対応に動いている。 「ナツキ。トランスして周囲を調べてみてくれないか。犬なら通れる逃走ルートや隠れられる場所を見つけて塞いでおけば、いざという時役に立つ筈だ」 「おう、分かった! 任せとけ!」 ナツキは力強く応えるとトランス。 メフィストを確保する食堂周辺を歩き回り、犬なら通れそうな場所をすべてチェック。 ルーノが逃走防止の細工をしていった。 そして食堂では、女子チームが集まってメフィストを捕まえた後のお茶会準備をしていた。 「マリエルさん達を、助けてあげる事ができるなら、頑張ります……!」 一生懸命『アリシア・ムーンライト』は意気込んでいる。 これに『リチェルカーレ・リモージュ』が賛同する。 「ええ、頑張ろうね。シアちゃん」 「はい……!」 意気込む2人が食堂で待っていると、他の女子も集まってくる。 「さっき、セパルさん達に会いました。もう少ししたら来るそうです」 食堂にやって来た『ヴィオラ・ペール』が2人に挨拶しながら、他のメンバーについて話す。 「令花ちゃんは、チラシの文言を作り終って、印刷の出来を確認してから来るそうですよ」 話している内に、令花がやってくる。 「すみません! 遅くなりました!」 次々やって来て、最後にセパルと、彼女に連れられてマリエルがやって来る。 「ごめんね! ちょっと遅くなっちゃった!」 明るく皆に声を掛けるセパル。同行するマリエルは、気後れするような声で皆に言った。 「……その、私が参加しても、良い――」 マリエルに最後まで言わせることなく、セパルは手を繋ぐと皆の元に引っ張っていき、笑顔を浮かべながら頼んだ。 「マリエルちゃんと一緒に、みんなでお菓子を作ろう」 これに皆は笑顔で応える。 「はい。一緒に、作りましょう。マリエルさん」 「みんなで作れば、きっと美味しいお菓子が出来るわ」 「ええ。よろしくお願いしますね、マリエルさん。そしてマリーさん」 「一杯レシピ調べて来ました! 作りたいお菓子があったら言って下さい!」 アリシアとリチェルカーレは笑顔を浮かべ、ヴィオラはマリエルの内のもう1人のことも気に掛け、令花は力になろうと意気込んでいる。 そんな彼女達をじっと見つめた後、マリエルは顔を俯かせると、小さな声で応えた。 「……その……よろしく……お願い……」 こういう場に慣れてないのか、緊張するように、そしてどこか恥ずかしそうに言った。 そしてお菓子作り開始。 「セパルさん、メフィストさんって何がお好きなんでしょう?」 ヴィオラが尋ねるとセパルは返す。 「甘い物が好きだね。ハシュマッキとか」 「それって、サンディスタムのお菓子ですよね」 令花がセパルに返す。 以前書いた小説の中で、勇者の卵が魔女の説得のためにお菓子を作る描写を書くために、色々なレシピを調べていたので詳しいのだ。 「確か、ぎゅっと詰まった綿菓子みたいなお菓子で、細かく砕いたピスタチオが乗っていたり、チョコレート味もあるんですよね?」 「うん、それそれ。でもそれって、この場で作るの難しいから、バーミエ作ろっか。こっちは、チュロスみたいなお菓子だよ」 「チュロス、ですか? なら、お茶が、合いそうですね」 「ええ、きっとそうだわ。それなら、みんなでお茶会ができるように、一杯お菓子を作りましょう」 アリシアとリチェルカーレが盛り上げるように言葉を続け、皆で色々なお菓子を作ることに。 和気藹々と楽しく、女子チームはお菓子作りに勤しむ。 その頃、メフィストを誘き出すためのチラシ配りがされていた。 「セパルとメフィストが親子だったとはなあ」 ラブレター大公開企画のチラシ配りと掲示板などへの貼りつけをしながら『ベルトルド・レーヴェ』は同行する『ヨナ・ミューエ』に話し掛ける。 「ええ。正直、驚きました」 掲示板に貼りつけながらヨナは応える。 貼り終えるとチラシ配りに。 配りながら、会話を重ねる。 「……しかし、面倒な事になる前に出てきてしまえばいいものを」 「面白がっている節はありますね」 ヨナは今までのメフィストの言動を思い出しながら、ため息ひとつ。 「ひょっとすると、本人は鬼ごっこのつもりかもしれんな」 「ありえますね……ですが、ずっと鬼ごっこをしている訳にもいきませんし、観念して頂くしか」 チラシを配りながら、とっ捕まえる決意を固めるヨナだった。 こうして手の空いてる者は、チラシ配りをして情報を広める。 その間に、お茶会会場は出来あがっていった。 「美味しそうなお菓子が出来たね」 情報配布のために外回りをしていた『クリストフ・フォンシラー』は、たくさんのお菓子を見て褒める。 「シリウスも、そう思うだろう?」 クリストフに呼び掛けられて、同行していた『シリウス・セイアッド』は短く返す。 「……ああ」 無表情のまま応えるシリウスに、クリストフは苦笑する。 チラシ配りの時も終始そんな様子だったので、噂を広めていたクリストフは途中から一緒に行動していた。 2人はアリシアとリチェルカーレの元に行くと、会場設置をお手伝い。 そんな2人に、リチェルカーレとアリシアは笑顔でお礼を口にする。 「ありがとう」 「ありがとう、ございます」 それにシリウスとクリストフの2人は応え、会場設置のお手伝いを。 ヴィオラや令花、セパルやマリエル達も一緒になってテキパキし上げていく。 「花も飾ってみましょうか」 リチェルカーレは、お菓子やお茶だけでなく、華やかさも大事だと思い提案する。 これにアリシアは頷く。 「良いと、思います」 これを受け、セパルが外回りに動いていたウボーやセレナに連絡を入れ、花に詳しいリチェルカーレの意見を聞いて持って来て貰う。 ポインセチアやカスミソウを、リチェルカーレはアリシアと協力して卓に飾っていく。 楽しそうに和気藹々と会場設置をしていく2人を見て、他の作業をしていたシリウスが呟く。 「……リチェとアリシアは、本気でお茶会をすると思っていないか」 これにクリストフは笑顔を浮かべながら応えた。 「楽しそうでいいんじゃない?」 「……そうだな」 クリストフの応えに、一瞬シリウスは苦笑のような表情を浮かべると、皆と一緒に作業を終わらせていった。 会場設置も終わり、メフィストの逃走経路を塞ぐ準備も終わる。 あとはメフィストを積極的に誘き寄せるだけ。 という訳で、『ニコラ・トロワ』がその一押しを始める。 「全く、はた迷惑な」 小さく呟くながら、ニコラはチラシの文言の最終確認。 (メフィストとはきちんと向き合って話した事はなかったが、人をからかったり困らせて面白がるタイプだったのか?) 人となりを考えるも、周囲の話を聞くと、そうとしか思えない。 (個人的な手紙を読み上げるというのはいささか気が進まんが、愉快犯を捕まえるためなら仕方なしか) そう判断すると、魔術通信で周囲一帯に一斉に呼び掛けられるようにして、チラシの文言を読み上げる。 読み上げに、自分の感情が混ざらないよう気を付けながら、何度か場所を移し繰り返す。 十二分に広まった所で、会場に向かう。 そこでは皆が集まり、メフィスト確保の準備を。 逃げられないよう要所要所の配置に就いて、いざ恋文の読み上げを。 「というワケでー、読み上げまーす」 いえーい公開処刑だ! という勢いで『メルキオス・ディーツ』はセパルから受け取った恋文を広げる。 そして読み上げようとした所で―― 「ちょっと待って下さーい!」 にょいっと、どこからともなくメフィストが現れた。 「酷いでーす! それはダメでしょー!」 割と本気で焦っている。 そんなメフィストを確保。 「大人しく捕まれ」 縄を手に『クォンタム・クワトロシリカ』が詰め寄ると、メルキオスと協力してぐるぐる巻きに。 「おーう、大脱出を所望ですかー」 ぐるぐる巻きにされたメフィストは、ぽんっと音を立て犬に変身。 ひょいっと距離を取ると人の姿に戻り、いつの間にか、メルキオスの持っていた恋文を手にしている。 「はっはー、これで私は自由でーす。自由な私を捕まえたければ、これから24時間耐久追いかけっこを――」 「はい、これ。追加のラブレター」 新しい恋文をメルキオスに渡すセパル。 「のーうっ! 何枚持って来てるんですかー!」 メフィストは追加の恋文も奪取しようとするが、その前にメルキオスは中身を確認。 笑顔を浮かべながら言った。 「……情報や物渋るなら、コレ長の奥さんに送って評定と教本記載をお願いするよ? あ、因みに僕んちの氏族は定住してないから、探すのは苦労するだろうね」 「いやそれダメでしょー! 貴方の所の部族文化だと下手すると未来永劫残るじゃないですかー!」 青衣の民の文化を知っているらしく、本気で焦るメフィスト。 そこに止めとばかりにクォンタムが言った。 「青衣の民にラブレターを送られたくなければ、素直に吐け。あの部族の奥様方を敵に回すと厄介だぞ」 そこに更に、事前に恋文の中身をセパルから渡され内容を覚えていたルーノがダメ押しの一言を。 「これ以上逃げても良い事は無い、手紙の内容は完璧に記憶してあるのだからね。鬼ごっこをやめて対話の席に着いてもらえれば手紙の内容は心にしまっておく。さて、どうする?」 観念するメフィスト。 「おーう。分かりましたー。こちらとしても話せることは話したい所でしたし、お茶にでもしましょー。 それはそれとして、手紙の中身は忘れて下さいよー」 メフィストの懇願を聞きつつ、お茶会は始まった。 ○マリエルを救うには? 「いやー、騒ぎにしちゃってごめんね。僕達メフィストさんに聞きたいことがあって――」 皆が席に着く中、リントヴルムは笑顔を浮かべ詰め寄ると、真顔になって続けて言った。 「マリエル・ヴェルザンディを救う方法、知ってるんでしょ。さ、キリキリ吐いてもらおうか?」 これにメフィストはマリエルに視線を向け応える。 「貴方が言うのは、その子のことですよねー」 「そうだよ。あるんだよね」 絶対に聞き出すという気迫を感じさせるリントヴルムに、メフィストは楽しそうに目を細め、焦らすように黙る。 そんなメフィストに、皆は呼び掛けた。 「貴方が探していた黒炎魔喰器製造の条件に当てはまる人物がこのマリエルさんです。しかしこのまま放っておけばすぐ寿命が尽きてしまいます」 視線を合わせ呼び掛けるヨナの言葉を継ぐように、ベルトルドが続ける。 「魔法ステッキはカルタフィルスや浄化師の為に作ったと話していただろう。彼女たちの為に用意して貰えないだろうか」 「そうですねー」 メフィストは応えだけ返すと、マリエルを探るように黙して見詰めた。 沈黙する中、皆に緊張感が走る。 それを解きほぐすように、ヴィオラは香りの良いお茶を淹れながら言った。 「どうかお話を聞いて下さいませんか? 私はマリエルさんとマリーさんを助ける術をどうしても知りたいのです」 お茶を差し出すと、続けて言った。 「お茶以外にも、お菓子もありますよ。セパルさんに聞いて、お好きだという物を作ってみました」 ヴィオラの言葉に繋げるように、アリシアが続ける。 「メフィストさん、美味しいものを食べれば、心を開いて、くれますか……?」 アリシアが皆で作ったお菓子を勧める。 「マリーさんとマリエルさんを助けるには、どうしたらいいですか……?」 視線を合わせ、懸命に言った。 「もし私にできる事があるなら、何でもします、から……どうか……」 同じように、リチェルカーレもメフィストに頼む。 「話をきいてください」 メフィストの手を、ぎゅっと握り、訴えかけるような真剣さで言った。 「マリーさん達を助けたいの。方法があったら教えてください」 これにメフィストは、ほんの一瞬だけ、幼子を見守る老爺のような眼差しを見せ、次の瞬間には、いつものような道化めいたおどけた表情に戻し言った。 「おーう、みなさん、そんなに助けたいのですかー?」 「当たり前だろ!」 力強くナツキが返す。 「助けられるなら助けたい、当然だろ! 必要な物があるなら準備するぜ。なぁ、何か方法ないのか?」 ナツキの言葉に頷くように、令花が続ける。 「マリエルさんを助けてあげてください。彼女は――」 以前の指令の時のことを思い出しながら続ける。 「救出作戦のときに、自身も辛いのに、気遣いの言葉をくれて、魔道書を気にかけてくれたんです。 たから、助けてあげたいんです。それに、幸せになって欲しいんです。どうすれば良いか、教えて貰えませんか?」 「幸せに、ですかー」 メフィストは令花の言葉に返すと、マリエルと視線を合わせ問い掛けた。 「貴女は、幸せになりたいんですかー?」 これにマリエルは、顔を俯かせ、ぎゅっと服を掴む。 そして絞り出すような声で応えた。 「……分からない」 本心を偽ることも飾ることなく言った。 「私は、死にたくなかっただけ……マリーと離れたくなかっただけ……独りで、居たくなかっただけ。 だから、幸せとか、分からない。でも――」 マリエルはリントヴルムとベルロックを、そして皆を見詰め、望みを口にする。 「2人が、皆が、助けてくれた……だけど、なにをすれば良いのか分からないの……。 でも、でもね……私も、なにかしたい……助けて貰ったから……だから―― 時間が、欲しい。生きて、いたいの……お願い、します……」 「良いですよー」 メフィストは悲劇を吹き飛ばすような底抜けに明るい声で応えると、口寄せ魔方陣を展開。 魔法少女ステッキ2本と、人の手に見える何かを召還した。 「その手は――」 ヨナは見覚えのある手に思わず声を上げる。 「あの時の、腕の一部ですね」 「そうですよー。あの時の悪神の腕の残りでーす。残りは魔導書を造るのに使ったので、残りはこれだけでーす」 メフィストは能天気な声で応えながら、マリエルを魔方陣で包み込む。 それは平面ではなく、球状の多重積層型魔方陣。 (どういう魔方陣なんですかこれは――!) 魔力探知でヨナは『視る』が、あまりにも高密度かつ高純度過ぎて表層すら読み解けない。 そんな魔方陣を展開するメフィストに、ベルロックとリントヴルムが詰め寄る。 「おい! 何する気だ!」 「危ないことなら――」 「大丈夫ですよー。悪神の身体を代償に使って、この子を助けるだけでーす」 メフィストは軽い口調で言うと、召喚した2本のステッキに言った。 「アイリス。デイジー。2人と契約しなさーい」 「はーい」 「お任せを」 アイリスは明るく、デイジーは実直に、2本とも女性の声で応えると魔方陣の中に居るマリエルの元に。 そこにメフィストは召喚した掌を投げ込む。 一瞬、眩い輝きに包まれた後、魔方陣は消滅。 後には、マリエルと、ネコ科のライカンスロープに見えるネコ耳少女が居た。 2人とも、華美ではない可愛らしい衣装に身を包まれている。 「魂だけの子は、身体を作ってそこに入れましたー。2人ともステッキと契約したので、魔力切れの心配は無いですよー」 「なら、マリーは――」 リントヴルムにメフィストは応える。 「これで大丈夫でーす」 メフィストの応えに、皆は喜ぶ。 ベルロックも安堵するような表情を見せていたが、そんな彼に、メフィストは問い掛けた。 「なにか、今ここで聞きたいことはありませんかー?」 この問い掛けに、ベルロックは意を決するように返した。 「アンタは、なんでも知ってるんだよな」 「何でもは無理ですがー、大概はー」 「なら、訊きたいことがある」 息を飲むような間を空け尋ねた。 「これは個人的なことだけど、10数年前、俺の故郷……小さな港町を襲ったベリアルは、終焉の夜明け団と……彼女とは関係があったのか?」 (頼む……違うと言ってくれ) ベルロックの必死な問い掛けに、メフィストはあっけらかんと応えた。 「ありえませんねー」 「本当か!?」 「貴方の村を襲ったのがべリアルなら、確実でーす。人間は、べリアルを支配も操ることもできませーん。何かしようとしたら、その瞬間に殺しに来てますよー」 「そう、か……」 故郷を滅ぼしたのがマリエルとは関わりが無かった。 そのことに安堵するベルロック。 そんな彼に何か言葉を掛けようとして出来ないマリエルと、マリエルを落ち着かせるように手を繋ぐマリーだった。 これで一番の心配事は解決する。 安堵と喜びが広がる中、浄化師達はメフィストに質問を続けた。 ○黒炎魔喰器は、どうすれば手に入れられるのか? 「黒炎魔喰器が欲しいんだ! どうしたら手に入るんだ!?」 ナツキは勢い良くメフィストに尋ねる。 「あのベリアル……あいつに勝つ為に、黒炎魔喰器が絶対に必要だ!」 以前戦った3強の1人、最強のトール。 その時の戦いを思い出し、力を望まずにはいられない。 「……無闇に強い力を求めているわけではない」 ナツキの言葉を繋ぐように、ルーノも頼む。 「守る為にも力が要る、先の脅威に対しての対抗策が欲しい」 頼むだけでなく、必要ならば自分達の苦労もいとわない。 「造るのに必要な材料があるというのなら、探してくる。だから、製造法を教えて貰えないだろうか?」 「いいですよー」 あっさりと受け入れるメフィスト。 あまりにも簡単に了承するので、不安になったニコラが問い掛ける。 「黒炎魔喰器とは害の無い方法で作れる物なのか? 私達の何かが犠牲になる事はないのか?」 「ありませんよー」 軽い口調でメフィストは続ける。 「黒炎魔喰器は造れる人物に条件があるだけで、他に問題はないでーす」 「造れる条件に合うのが、マリエルさんとマリーさんということですか?」 ヴィオラの問い掛けにメフィストは応える。 「そうでーす。黒炎魔喰器を製造するためには、この世の魂を持った者とあの世の魂を持った者が必要なのでーす。 黒炎魔喰器は、八百万の神の肉体の一部と通常の魔喰器を材料にした物に、黒炎を封入して作るのでーす。 ですが黒炎を操れるのは、一部の例外を除いて、あの世の魂を持つ者だけでーす。 そして操った黒炎を封入するには、黒炎を操る人物と深い縁を持つ生者が必要なのですよー。だからカルタフィリスが最適なのでーす」 メフィストはそこまで言うと、3冊の魔導書を召還する。 その3冊は、次々白煙を上げると、次いで小さな女の子の姿に。 そしてセパルの元に走り寄り、嬉しそうに言った。 「お姉ちゃんだー!」 「どういうこと?」 セパルの問い掛けにメフィストが返す。 「その子達は私の身体を代償に作った魔導書でーす。だからセっちゃんとは姉妹みたいなものでーす」 「そうなの? それで、この子達をどうする気?」 懐く女の子達を抱き上げながら訊くセパルにメフィストは応える。 「その子達は右から、一度受けた術を一度だけ相手に返すネメシス。真ん中の子が、一度行ったことのある場所に転移させることの出来るアネモイ。そして左の子が、黒炎を生み出し他者に与えることの出来るヘスティアでーす。所有権をセっちゃんに一時的に移すので、カルタフィリスの子達と協力して黒炎魔喰器を作ってくださーい」 メフィストの言葉を聞き、メルキオスが言った。 「黒炎魔喰器作るのに魔結晶はご入用かい?」 これにメフィストは応える。 「有っても良いですし、無くても大丈夫でーす。基本は、八百万の神の肉体の一部と魔喰器、そして黒炎があればできまーす。そこに追加で他の材料を加えることもできるのでーす」 「そうなんだ。前よりバージョンアップした魔結晶なら使えるかなって思ったんたけど、どうしようかな?」 少し考えるメルキオス。 少し間が空いた後、次に訪ねたのはヴィオラだった。 「八百万の神の肉体の一部が必要なのは分かりました。でもそれは、傷付けることに繋がりませんか?」 「大丈夫でーす。爪や牙、毛髪や枝や鱗のように、不要になった物で作れますからー」 そこまで聞いた所で、マリエルが問い掛ける。 「追加で使える素材は自由みたいだけど、魔道書みたいなのも大丈夫なの?」 マリエルは、令花に一瞬視線を向けたあと言った。 これに令花は、いつも持っている魔道書を取り出し尋ねる。 「なら、この魔道書も、大丈夫なんでしょうか?」 「大丈夫ですよー。それを主体にするなら、作るのに少し手間が掛かりますが、作れまーす」 「そう。なら、良いわ。手間が掛かるぐらいなら、なんでもないもの」 マリエルは静かに返すと、黒炎魔喰器を作る意欲を見せていた。 黒炎魔喰器の製造の目処が立つ。 それを受けて、和樹が訊いた。 「黒炎魔喰器って、俺も使えっかな?」 「使えますよー。浄化師なら、誰でも使えまーす。そういう設計思想で作りましたからー」 「助かる」 静かな声でシリウスが言った。 「力が必要だ。これからの敵に勝つために」 今の自分達の力では足らないと、シリウスは力を望む。 「生き残るためにも、黒炎魔喰器が要る。ついでに、使える道具があれば提供してくれ」 ――これ以上、失わないために。 決意するように想いを込めるシリウスに、メフィストは応えた。 「それも黒炎魔喰器が役に立ちまーす。黒炎魔喰器は時間制限はありますが、疑似べリアル化による大強化だけでなく、解放中にひとつだけですが、特殊能力が使えるのでーす」 「特殊能力ですか?」 興味深げに尋ねるリチェルカーレにメフィストは応える。 「そうでーす。貴方達の想いを黒炎魔喰器が取り込み黒炎にくべ燃やすことで能力が形造られるのでーす。それは純粋に戦うための力になるかもしれませんし、誰かを守る力かもしれませーん。貴方達次第で、大きく力になるでしょーう」 そこまで言うと、追加で強化に関することを続ける。 「黒炎魔喰器の製造法を応用すれば、今まで貴方達が使っていた武器の強化も出来るようになりまーす。その際にも八百万の神の肉体の一部が必要ですが、役に立てて下さーい」 かくして黒炎魔喰器に関する問い掛けは終わる。 あとは個別の質問を尋ねていくことにした。 ○色々質問しよう 「他に質問はありませんかー」 「他に聞きたいことですか? ええと――」 少し悩んでから、リチェルカーレが問い掛ける。 「アシッドを浄化する方法を知りませんか? それと使徒やベリアルの生まれたわけを教えて欲しいです」 この問い掛けに応えていく。 「アシッドの浄化は、貴方たち浄化師の血の仕組みを応用するか、ヴァンピールの種族特技である吸血の仕組みを応用すればどうにかなるでしょーう。時間は掛かるでしょうがー。 次に、使徒やベリアルの生まれたわけですがー」 少し言葉を選ぶような間を空けて言った。 「あれらは魂の捕獲器でーす。世界をできるだけ破壊せずに、全ての生物の魂を捕獲するために作られたのでーす」 「捕獲って……」 メフィストの応えに、神の傲慢さを感じたベルロックが、神について質問する。 「質問……というか、アンタの見解を聞きたい」 (たぶんリントも同じことが気になってるだろうから) 意見を代表するように問い掛けた。 「ラグナログ後の神はどんな気持ちでいると思う? 人類が憎しみに包まれたから滅ぼそうとしたのに、あれのおかげで人類は団結したとも言える。想定外だったのなら皮肉だし、分かっててやったんなら傲慢だろ」 「面白がってると思いますよー」 平然とメフィストは言った。 「曲がりなりにも団結して自分に刃向おうとしているんですからー。本当の意味で人類が団結していたら、直接姿を見せるぐらいには喜んでたでしょうねー」 「……どういう奴なんだ」 メフィストの応えにベルロックが眉をひそめていると、今度はクォンタムが矢継ぎ早に問い掛ける。 「アレイスターとゲームをしているという創造神とやらの名は? 姿は? ヤツは創造神は死のない世界を作れないと言っていた。生きとし生きる物全ての生死は創造神の管轄ではないのではないか? 運命の選定者は別の神かなにかが居た筈だが?」 これにメフィストは応える。 「神としての名はネームレス・ワンでーす。姿は、ヒューマンの男の子に見える姿をしてまーす。 そして八百万の神以外の伝承に残る神は、ネームレス・ワンの前任の創造神でーす」 「前任の創造神?」 聞き返すクォンタムにメフィストは続けて言った。 「そうでーす。この世界を創ったのは、独りの神ではないのでーす。 何人かが基盤を創り、最後に明確に形を成し、全ての生物の始祖を創ったのが現創造神であるネームレス・ワンなのでーす。 そして前任の創造神は、世界の維持と管理をするために、創造神としての権能を後任に譲渡し、世界管理神として就いているのでーす」 メフィストの応えに、ニコラが問い掛ける。 「……待ってくれ。創造神と呼ばれる者は1人ではないということか? それと前任の創造神は、なぜ現在の創造神の行動を止めない。それらも人類の敵ということか?」 「違いますよー」 メフィストは否定する。 「むしろ止めたくても止められないのですよー。基本的に創造神は、ひとつの世界に1人だけでーす。 そうでないと、複数の法則体系が同時に並立することになり、世界が歪み崩壊しかねないのでーす。 そのため、後任の創造神を喚んだあとは、前任者は創造神の権能を譲渡し管理神になるのでーす。 世界を創り出した創造神は、その世界では最高位の力を持ちますからー、管理神だろうと負けまーす。 もっとも、世界を壊しても良いなら、その枷は関係ないですが、それは全ての神が望んでませんからねー。 それに逆らおうにも、見せしめ喰らったのもいますからー。 その余波を受けてニホンのキョウは、えらいことになってますしねー」 「キョウって、なんかあるの?」 ニホン出身の和樹が訊くと、メフィストはとぼけるように返した。 「それはあそこの騒動を解決する内に分かりますよー。色々と動いているみたいですしー。それにあそこがああなったのは、人間のしでかしのせいですしねー。頑張って貰わないとー」 次々に出て来る話に、皆は理解するために沈黙する。 そこに続けてクォンタムが問い掛けた。 「ニダヴェリール地方に希望の塔があり、その天辺からヨハネの使徒が降りてくるというが、実際の所どうなんだ? あの塔の様なものは本当に天界とやらに繋がってるのか?」 「繋がってますよー。ネームレス・ワンは、そこで自分を殺し新たな創造神となる者を待ってるのでーす。自分を殺せるほど優秀なら、その人物に創造神の権能を譲渡し世界を運営させた方が、より良いことだと考えていますからー」 「……どういう神経してるんだ、そいつは」 呆れたように言うクォンタムにメフィストは返す。 「そこは価値観の違いでーす。たかだか死んだり殺されたりする程度のこと、創造神になるほどの者なら、数えきれないほど経験してますしー。殺されて死んでも滅ぶわけでもないですしー、そんなことよりも、世界がより良くある方が大事なのでーす」 次元の違う話をされ、眩暈がするような気持ちになりながら、クォンタムは続けて問い掛けた。 「では、ヨハネの使徒のヨハネとは何の事だ」 「あれは異世界の伝承にある福音の齎し手をパクって付けてるのでーす。ネームレス・ワンにとって、ヨハネの使徒やべリアルにさせている魂の捕獲は、福音のつもりですからー」 「……ふざけてるのか」 苦々しく呟くクォンタム。腹立たしいのか黙ってしまった彼女から、メフィストは他の皆に視線を向け質問を促す。 「他に聞きたいことはありませんかー?」 これにヨナが応えた。 「つい最近アレイスターと名乗る人物と接触しましたが……とても嫌な方に思えました」 その時の状況を説明し続ける。 「メフィストさんのように人々の為という訳でもなく、もっと、利己的な理由で行動しているような……。 彼と創造神のゲームなら彼に与するのが是と考えていましたが……。 メフィストさん、彼をどう捉えればいいのでしょう? 今のアレイスターはメフィストさんの知る昔のアレイスターと同じ人物なのですか?」 「まったく変わってないですねー。あれは基本、超絶天才なダメ男ですからー」 あんまりな物言いに皆が沈黙する中、メフィストは続ける。 「基本的にあの男は、超絶天才な代わりに、他人のことや世界のことに関心が無いダメ男なのでーす。たった1人を除いては、ですがー」 「どういうことです?」 ヨナの問い掛けにメフィストは返す。 「あの男がただ1人愛した女性が居たのでーす。彼女はアレイスターほどの天才ではありませんでしたが聡明であり、慈愛に満ちていましたー。 今あるアレイスターの伝承の内、慈愛に関するものは、彼女が成し遂げた功績を由来としているのでーす。 伝承ではよくあることですがー、彼女とアレイスター2人の話が合わさり、今では魔術師の始祖にして慈愛の齎し手と呼ばれているのでーす。 ですから、もし彼女が殺されず、アレイスターの方が先に寿命で死んでさえいれば、今のような事態にはならなかったでしょうねー」 「……なにがあったんですか?」 ヨナの問い掛けにメフィストは応えた。 「アレイスターが功績を上げれば上げるほど、彼女のことが邪魔になった者達に罠にはめられて殺されたのですよー。 アレイスターは基本、彼女のいうことしか聞きませんでしたからー。彼女が居なくなれば、アレイスターを利用できると思ったのでしょうー。 その後にアレイスターは彼女の蘇生を試み、その過程で失敗作となるホムンクルス達を生み出しますが、成功しないので、神であるネームレス・ワンに喧嘩を売りに行って、創造神の権能を掛けた殺し合いゲームを、ネームレス・ワンの提案ですることになったのでーす」 「……ホムンクルス」 メフィストの言葉を聞いていたアリシアが小さく呟く。 それを聞いたクリストフは優しい声で言った。 「マリエルちゃんを助けたみたいに、他にも頼みたい事あるんじゃない?」 「他に……です、か?」 アリシアは軽く首を傾げた後、メフィストに問い掛けた。 「その……ホムンクルスを生き返らせる、助ける、そんな方法は、ないでしょうか……」 「それはさっきの話で出てきた、貴女達が戦ったというホムンクルスのことですかー? それなら、多分死んでませんよー」 「そう、なんですか?」 驚いたように聞き返すアリシアにメフィストは返す。 「ホムンクルスは魂の座にして核となる魔方陣が破壊されない限りは死にませんからー」 「生きて、いるんですか……良かった」 愛を知りたがっていたホムンクルスのことを想い、アリシアは安堵するように呟く。 そんな彼女にメフィストは続けた。 「生きていますが、助けられるかは別ですねー。話を聞いた限りでは、本人が望んでいるとは限りませんしー」 「……そうかも、しれません。でも――」 想いを告げるようにアリシアは言った。 「彼女を、創造主の楔から、解き放ってあげたいんです……」 彼女の想いを繋ぐように、クリストフはメフィストに問い掛ける。 「あのホムンクルスを助けるなら、アレイスターを倒す必要があると思う。どうやったら倒せる?」 「あれ以上の力が必要でーす」 非情な理を告げるメフィスト。 「力、ですか……」 戦い勝たねば、誰も助けることも守ることもできない。 その事実を前に、アリシアは呟く。 「私は非力で……だからせめて、みんなを守る力が、欲しいです」 これにメフィストは応えた。 「その想いは大事にしておいて下さーい。もし黒炎魔喰器を貴女が手に入れることがあれば、その想いが能力として形作られることでしょうからー」 質問は続いていく。まだ問いを持つ者は次々尋ねていった。 「アレイスターがアスモデウスの頭を持ってったのは何? スペアだって言ってたけど、そもそも何のパーツにするのさ?」 「国土魔方陣を起動させるための主要回路にするためでーす」 メフィストは問いに返し、詳細を語る。 「アークソサエティには、ロスト・アモールやラグナロクで殺され呪いと化した魂を素材にした超巨大魔方陣がありまーす。 神殺しを成すための物ですがー、これを起動するには膨大な魔力と主要回路が要るのでーす。 そのためにエリクサーを求め、主要回路に八百万の神を生贄にしようとしていまーす。 魔力は魔方陣が、時間は掛かりますが勝手に集めますが、主要回路はそういう訳にはいかないのでー、八百万の神を手に入れられない時に、生贄として使う気でーす」 ろくでもない企みの詳細をメフィストは語る。 重々しい空気に包まれる中、クォンタムが尋ねた。 「アレイスターが使役してたアレは何だ。三対六翼……伝承の熾天使の様な姿だったが」 「彼女ですかー。彼女はアークソサエティの守護天使でーす。詳しいことは……そうですねー、アルフ聖樹森の八百万の神と守護天使に聞いて下さーい。当事者に聞くのが一番でしょー。向こうも、色々あって貴方達とコンタクトを取りたい頃でしょうしー。あとで話をつけに行ってきまーす」 次々問い掛けに応えていくメフィスト。 そこに質問は続く。 「終焉の夜明け団について教えて貰えませんか?」 ヨナは視線を合わせながら問い掛ける。 「私、もしかしたら彼らの目的であるアレイスターを復活させることが創造神への反攻になるのではと思っていました。 しかし本人は存命で、かの団は命の搾取をいまだ行っています。 教団と同じように作られた組織であるならば、本来の目的は別にあるのでしょうか?」 これにメフィストは、えげつない真相を話す。 「あれらは生贄を集めるための生簀でーす。アレイスターに最初期から協力している魔術師の提案で作られたのでーす。 国土魔方陣を発動させる魔力が足らない時のために、エリクサーの材料を集める組織として作られたのでーす。 初期メンバーは、アレイスターの恋人を殺した者達の系譜に連なる者達ですからー、復讐の意味合いもあったんだと思いますよー。 当の本人達は、自分達は選ばれた特別な人間だと喜んでましたがー。 その後は、勝手に内部で教義化して自家中毒を起こして今に到る訳でーす」 重々しい事実が語られていく。 それを聞き、なおも前に向かうために、いずれ戦う相手の情報をルーノが求める。 「スケール5べリアルの見分け方を教えてくれないか? スケール5ベリアルの外見は人に近い。考えたくはないが、人に紛れれば厄介だ……体の穴以外の判別方法が知りたい」 これに合せて、クリストフも尋ねた。 「スケール5ベリアル、奴らの弱点が知りたい。もしくは有効な攻撃手段はないかな」 これらの質問にメフィストは応える。 「スケール5べリアルの見分け方は、魔力探知で確認するぐらいですねー。それでも、本気でべリアルであることを隠そうとされた場合は、見分けるのが困難ですが。魔力探知を強化するアイテムを使ってようやく確認できるかも、といった所でーす。 そして弱点や有効な攻撃手段ですが、弱点は再生の核となる魔方陣ぐらいですねー。それでも、並のべリアルと比べると、弱点と呼べるほどではないですがー。そして有効な攻撃手段は、べリアル毎に異なりますねー。だから一概には言えませーん。 ただ、3強と呼ばれる相手と戦う時は、最操のコッペリアに気を付けて下さーい。 あの3人が戦えば、一番弱いのは彼女ですが、貴方達にとって一番苦戦する相手は、彼女になる筈ですからー」 ここまでメフィストに質問をし続け、最後にリチェルカーレが尋ねた。 「あとは……八百万の神様は、なぜこの国にいないのか、教えて貰えませんか?」 「居ないというよりは、隠れているのでーす」 返答をまとめるような間を空けて、メフィストは続けて応えた。 「隠れている訳は、大きく3つの理由があるのでーす。 ひとつめは、教団や夜明け団に狩り獲られないようにするためでーす。 ふたつめは、アシッドによるべリアル化を避けるためでーす。 みっつめは、ある目的のために力を溜めるため、眠りについているのでーす」 「目的、ですか?」 不思議そうに尋ねるリチェルカーレにメフィストは応える。 「そうでーす。それに関しては……そうですねー。ノルウェンディを隠れて守っている八百万の神オーディンに話を聞いたり、虚栄の孤島にある試練の塔をクリアすれば知ることが出来まーす。もし気になるなら、機会があれば関わってみるのも良いかもしれませんよー」 そう言うとメフィストは、紅茶をひと口飲んで言った。 「お菓子もお茶も美味しかったですよー。それでは、さよーならー」 能天気な声で言うと、ぽんっという音と白煙を上げ、メフィストは消え去った。 かくしてメフィストに対するカツアゲ――もとい、情報の聞き出しとアイテム譲渡は終わった。 新たな知識と、新たな疑問を胸に、お茶会を終わらせる浄化師達だった。 そしてお茶会が終わったあと―― 「セパルさん。ちょっといいかな?」 リントヴルムはマリエルへの恋文を渡してくれるように頼む。 「中々逢える機会が無いから、お願いできるかな?」 「もちろん。任せて」 快く請け負い、マリエルへ渡すセパルだった。 そのあと、何度も何度も、マリエルは手紙を読み返し、返信の手紙をどう書くか、マリーと2人で頬を染めながら悩むのだが、それは別のお話。
|
||||||||
*** 活躍者 *** |
|
|
|||||||||||
|
| ||
[43] 桃山・令花 2019/12/09-23:52
| ||
[42] 桃山・令花 2019/12/09-22:43 | ||
[41] クリストフ・フォンシラー 2019/12/09-22:31
| ||
[40] クリストフ・フォンシラー 2019/12/09-22:27
| ||
[39] 桃山・令花 2019/12/09-22:26
| ||
[38] 桃山・令花 2019/12/09-22:20
| ||
[37] リントヴルム・ガラクシア 2019/12/09-22:17
| ||
[36] メルキオス・ディーツ 2019/12/09-22:01 | ||
[35] 桃山・令花 2019/12/09-21:48
| ||
[34] リチェルカーレ・リモージュ 2019/12/09-21:21
| ||
[33] クリストフ・フォンシラー 2019/12/09-18:01
| ||
[32] ルーノ・クロード 2019/12/09-15:14 | ||
[31] 桃山・令花 2019/12/08-13:04 | ||
[30] ヴィオラ・ペール 2019/12/07-23:54 | ||
[29] リチェルカーレ・リモージュ 2019/12/07-23:18
| ||
[28] リチェルカーレ・リモージュ 2019/12/07-23:13 | ||
[27] リントヴルム・ガラクシア 2019/12/07-20:38 | ||
[26] ヨナ・ミューエ 2019/12/07-17:22
| ||
[25] ヨナ・ミューエ 2019/12/07-17:12 | ||
[24] メルキオス・ディーツ 2019/12/07-01:04 | ||
[23] 桃山・令花 2019/12/07-00:17
| ||
[22] 桃山・和樹 2019/12/07-00:09 | ||
[21] 桃山・令花 2019/12/06-23:45 | ||
[20] クリストフ・フォンシラー 2019/12/06-23:18 | ||
[19] リチェルカーレ・リモージュ 2019/12/06-22:45 | ||
[18] ルーノ・クロード 2019/12/06-21:52 | ||
[17] ヨナ・ミューエ 2019/12/06-20:08 | ||
[16] ヴィオラ・ペール 2019/12/06-16:36 | ||
[15] ベルロック・シックザール 2019/12/06-13:59 | ||
[14] 桃山・令花 2019/12/06-00:07 | ||
[13] メルキオス・ディーツ 2019/12/06-00:02 | ||
[12] クリストフ・フォンシラー 2019/12/05-23:32
| ||
[11] クォンタム・クワトロシリカ 2019/12/05-21:58 | ||
[10] リチェルカーレ・リモージュ 2019/12/05-20:11 | ||
[9] 桃山・令花 2019/12/05-19:26 | ||
[8] クリストフ・フォンシラー 2019/12/05-18:44 | ||
[7] 桃山・令花 2019/12/05-14:32 | ||
[6] ヨナ・ミューエ 2019/12/05-14:05 | ||
[5] クォンタム・クワトロシリカ 2019/12/05-11:48
| ||
[4] リントヴルム・ガラクシア 2019/12/05-05:43
| ||
[3] ルーノ・クロード 2019/12/05-00:34
| ||
[2] ナツキ・ヤクト 2019/12/05-00:32
|