~ プロローグ ~ |
アークソサエティ内ソレイユの一画に、『奇術師の館』と呼ばれる、今は廃墟と成り果てた、かつて稀代の大奇術師と呼ばれた魔術師が住んでいた大きな館がある。 |
~ 解説 ~ |
●目的 |

~ ゲームマスターより ~ |
こんにちは、またはお久しぶりです、鞠りんです。 |

◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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…そうだった ドクターはどっきり系の仕掛けにすごく弱いんだったな… 大丈夫ですよドクター…たぶん みんながついているじゃあないですか… 終わったらお菓子を食べましょう…ね? 全員で固まって行動 鍵がかかっている場所等あれば鍵開けを試みてみよう それと、だ… ドクターがびっくりするたびに落ち着かせないと…俺がいたたまれない… とりあえず背中を優しくさすっておくか… ホラ。ドクター、あの仕掛けとか絶対物理的に興味深いですよ… ベリアルに遭遇した際はソニックショットで牽制する 複数体いるようならスウィーピングファイアで出来るだけ巻き込もう 回復を担当できる人間がいない分、ダメージは嵩ませたくないしな やられる前にやるぞ |
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ベリアル共が集う館か 何故奇術師の館になのか気になるが、まあ気をつけて行くとしよう 館に入る前に魔術真名詠唱 仲間と隊列を組み、私は前衛へ 辺りを見渡しながら慎重に進む 大きな音には何事か!と身構えるが、基本物が宙に浮いたぐらいでは動じない自信はあったのだが ヴィオラの笑顔にはさすがに困惑 面白がってる場合じゃないと思うんだが ベリアルを見つければ、本物ならスキルを使い対応 後ろへはなるべく行かせないよう、自身を盾にしつつ攻撃していく 奴らは私とリューイが引き付ける その隙にトドメを頼む もちろん自身でトドメを刺せそうなら遠慮無く スケール2が然程いない事を祈っておくか ベリアル討伐が終わったら館内を探索 原因を探ってみる |
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討伐依頼とは別に ベリアルの集まる理由も探りたい また集まると危険だから 可能なら 事前に屋敷の見取り図を入手 今までに入り込んだ子どもがいるのなら何か知らないかな 話が聞けたら情報収集 わかったことは皆に周知 行動 皆で一緒に行動 リ:魔力感知を使用 ヴィオラさんと協力して幻影と本物のベリアルの判定を 他にも不自然な魔力の流れがあれば仲間に伝える セ:事前に見取り図が手に入ればそれに 無理なら持参のメモ帳にマッピング この先のことも考え わかった仕掛け等書き込む 戦闘時 リ:初手戦闘乱舞 前衛で敵の牽制と引きつけ 三身撃で攻撃 セ:中衛位置 レオノルさんへの攻撃をペンタクルシールドで防ぐ 余裕があればカードで攻撃 連携重視 確実に敵を減らす |
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~ リザルトノベル ~ |
● 古く荒れ果てた奇術師の館……に行く前に、ソレイユの街で情報収集にやって来た、『リューイ・ウィンダリア』と『セシリア・ブルー』。 「奇術師の館かぁ。べリアルさえ出なかったら、僕も探検したかったかも」 そんなことを言うリューイに、セシリアはちょっとだけリューイの顔を見る。 「今日は止めておいてね。落とし穴に落ちたら大変よ?」 「落ちないよ!」 真っ赤な顔をして叫ぶが、セシリアには効果なし。 「前は冒険心で、子供が館に入り込んでいたんだよね?」 「教団の情報ではそう書いていたわね。子供を探してみるのリューイ?」 「出来れば見つけて、館の中を少しでも分からないかなと思ったんだよ」 「そうね、知っていることは多いにこしたことはないわよ」 『少しでも』の思いで、2人はソレイユの街で訪ね歩く。大人でも子供でも、あの館に入った悪戯心があった者を。 農業が盛んで穏やかな街の中。人々は活気に満ちているのだから、きっと見つかるはずだと2人は諦めずに探して回る。 「……え? 館に入ったことがあるんですか!」 幾人も訪ねた末、リューイとセシリアは1人の青年と出会った。 しかも子供の頃に館に入り、大人からこっぴどく怒られたと、今は苦笑気味に語る。 「当時のことを覚えている? 館の中はどんな感じか教えて欲しいのよ」 「君たちもあの館に興味があるのかい? だけど今は止めておいたほうがいい。いつの間にかべリアルの巣窟になってしまったからね」 どうやらこの青年は、リューイとセシリアを好奇心で館に入りたがる子供と勘違いしたよう。 「僕たちは浄化師です。奇術師の館に巣くうべリアル討伐の指令を受けてソレイユに来ました」 「それは失礼したね」 「少しでも館の内情を知りたいんです。覚えている範囲で構いません、教えて貰えませんか?」 「あぁ……。でも子供の頃にあった思い出話になるけどいいかい?」 「はい。セラ、メモを。聞いたことは控えるだよね」 「えぇ、わかっているわよリューイ」 青年は語る、子供の悪戯なれど、奇術師の館に入った時のことを。 これが予想以上に館の内部を覚えていて、セシリアは簡易ながらマッピング制作に成功。でも、 「あの館の仕掛けだけど、入った皆に聞いたら全員場所が違うんだよ。それにどうしても開かなかった地下への入り口があったと思う」 「いえ、これだけお聞かせ下さっただけでも十分です。ありがとうございました」 リューイは丁寧におじぎをし、去っていく青年を見送った。 「セラどのくらい出来た?」 セシリアのメモ帳を見れば、考えていた以上に広い館の構成が記載されている。 「でもねリューイ、問題は仕掛けとべリアルよ」 「仕掛けはべリアルにも反応する……」 「そう。私たちは冷静に対処出来るけど、べリアルはどうかしらね」 人は理性や知能を持つが、低スケールのべリアルには無いことを、2人は身をもって体験している。 ――意外なことにならなければいいが。 ● 少し遅れて奇術師の館にやって来た、リューイとセシリア。 そこにはすでに『ショーン・ハイド』、『レオノル・ぺリエ』、『ニコラ・トロワ』、『ヴィオラ・ぺール』が、館から離れた場所で待機していた。 「遅い、遅いー。私、待ちくたびれちゃったんだよね」 微妙にフワフワソワソワしているレオノルを見て、軽くため息を吐くショーン。 「いくらこの手の仕掛けが苦手とはいえ、人に当たるのはダメですよドクター?」 そう、レオノルは突発的なことが大の苦手。特に奇術のようなドッキリ系になると、ビクビクしてショーンの後ろに隠れるのがお約束。 「あ、当たってないじゃん。私はただ遅かったなーと思っただけだね」 慌てて否定するも、苦手なのが丸わかり。 「僕たちはソレイユで情報収集をしていました」 「館に入ったことのある人を見つけて、内部の間取りを教えて貰ったのよ」 セシリアのメモ帳に書かれた館のマップ。それを観察してニコラは語る。 「思っていたより広い。これは手分けするより、全員一緒に行動したほうがいいだろう」 朽ちかけながらも、いくつもの部屋がある広大な屋敷。6人が別々に捜索するには少々都合が悪い。 「だよね、だよね、一緒でいいじゃん」 「……ドクター」 (間違いなく、1人になるのを嫌がっているんだろうな) やや呆れ気味にショーンはため息を吐くが、なぜかヴィオラ1人だけが、にこやか笑顔を絶さない。 「べリアルが大量に住み着くなんて、なにか原因があるのですね。それにしても奇術師の罠なんて面白そうです」 パートナーであるニコラと、奇術が苦手なレオノルは困惑顔。 ――後ろでセシリアも穏やかに笑っているのだが、誰も気づいてはいない。 全員がマップの確認を終えたところで、いざ奇術師の館へ。 入り口は正面に1つ。ところどころは硝子が砕けたりしているが、6人一緒となれば、いかにも屋敷の大扉があるこの場所しか入れない。 「ヴィオラ、入ったらすぐにべリアルとの戦闘になるかも知れない」 「はい、ニコラさん」 2人が紡ぐ魔術真名。 『cooking and science』。 「それは当たりだよニコラさん。入り口の側に多数のべリアルの気配がするよ」 「リューイ君の言う通りだったら、開いた直後に戦いになるだろう。スケール2が居ないことを祈るばかりだ」 それぞれイレイスを構え、ヴィオラがその扉を開ける。その瞬間、待ち構えていたべリアルが襲いかかって来た! 「触手持ち、スケール1だな」 ニコラの削岩撃が猛威を振るう! 力いっぱい大斧を振り回し、固まるべリアルを一線! 「ソーンケージ!」 その後ろから、レオノルの魔術の茨が次々とべリアルを切り裂く。 5体ほど居たべリアルは、2人の素早い攻撃に塵と化した。 「初めからこれか、先が思いやられるだろうな」 ショーンがエントランスを注意深く探るも、この場所にはもうべリアルは存在しない。 「べリアルが居なければ奇術? ……ヒェッ!」 「何事か!?」 ショーンの後ろから中を覗いたレオノルだったが、浮いているボロボロの家具が突然ガタガタと落ちる音に驚き、ニコラはまたべリアルが来たかと思い身構える始末。 「多分だが、べリアルが消えたことにより奇術の作動も収まったのだろう」 「ショーン、どうして君はこんな時に限って冷静なんだろうね」 後ろでビクビクしているレオノルに、ショーンは2回目のため息。 「大丈夫ですよドクター、みんなが付いているじゃあないですか……。終わったらお菓子でも食べましょう……ね?」 「それが冷静って言っているんだよ」 「……大丈夫ですよ」 さり気なくセシリアにも言われて、なんとか落ち着いたレオノルだが、これは先が思いやられる。 「まず僕から行くよ」 「リューイが行くなら私もよね」 仕掛けに興味津々のリューイが先頭に立ち、横にはセシリアが並ぶ。 「それにしても面白いですねここ。ふふっ」 「ヴィオラまでか」 仕掛けが気になって仕方がないヴィオラが、ニコラを引っ張りながら続き。 「ドクター、俺たちが最後ですから安全です」 「わ、分かってるんだけど、急なのがダメなんだ」 最後にショーンとレオノルが、館へと足を踏み入れた。 「エントランスはいいが、左右どちらに行けばいいだろうか」 「簡単よ、1周回れば済むことですよねニコラさん?」 「それは分かっているが……」 その方向で悩んだとは、ニコニコ笑っているヴィオラには言えず、ニコラはまた困惑。 「奇術としたら右だよね」 「そうですね、右から魔術の流れを多く感じます」 リューイとヴィオラの言葉に、一行は右を選択。 「次の扉を開けるわよ」 ギィーと渋い扉を開けると、そこは窓のない暗闇。 リューイがランタンに火を灯し、中の様子を覗き見る。 「べリアルは居ないよ」 皆安心して部屋の中を捜索するが、 「あ、そこは……」 ヴィオラの忠告も虚しく、ニコラが仕掛けを踏んでしまう。 ガタッ! ガタガタ! 「ヒェッ! なんか凄い物音がした!」 「ドクター、ただの音ですよ音。ほら、あの仕掛けとか、絶対物理的に興味深いですよ」 「あ、あっち?」 レオノルがいたたまれないと思うショーンの言葉に誘導され、まだ発動前の奇術を探るレオノル。それを無言で優しく背中をさするショーン。 だけどレオノルは見つけた仕掛けに夢中。気を配るショーンがいたたまれないと、これには周りも苦笑している。 「これ、これ! 僅かにしか魔術の波動を感じさせず、だけど動く仕掛けは大がかり。流石希代の奇術師が考えた……そう、作品だよ!」 「この仕掛けですか? 発動させたら面白そうです」 わき目も振らず仕掛けを解明していたレオノルに対して、ヴィオラは仕掛けを作動させることに面白味を見出だしているよう。 レオノルが調べていた仕掛けを踏むと、部屋全体が幻影に包まれた。 「うわー! 幻の魚が游いでいるよセラ」 「幻は幻よリューイ」 「でも魚が游いでいるのは、なかなか見られないからね」 部屋の中を浮き游ぐ魚たちにリューイは大喜びし、セシリアはそんなリューイを穏やかに見つめている。 「ヴィオラ、面白がっている場合ではないと思うのだが……。ここまで騒ぐと、べリアルがやって来る可能性があるだろう」 「仕方がない、俺とニコラで周囲を警戒するしかないだろうな」 困惑、呆れ、戸惑い、茫然。そんな言葉が合っているかのごとく、ニコラとショーンは、それぞれのパートナーが仕掛けに夢中になっているのを見守りつつ、自分たちはべリアルが乱入して来ないかと、イレイスを手に警戒を怠らない。 「あら? 次の部屋の仕掛けが……」 「僕も分かるよ。すでに発動しているね」 気になる魔力を探知したヴィオラとリューイが、次の部屋を見つめ出す。 「ということはべリアルだろう。ヴィオラ、幻影に備えてくれないか」 「えぇ、見極めは任せて下さいです」 「ドクター、俺のほうも頼みます」 「後方で指示えをするんだよねショーン」 「僕は前に出るから、余裕があれば言うよセラ」 「分かったわよリューイ」 エレメンツ3人の魔力探知を補助にべリアルを倒す幻影対抗策に切り替え、ニコラが次の扉を開けた。 『!?』 そこで見たのは、べリアルが幻のべリアルに惑わされている光景。 「これだから、手前の部屋にべリアルが入って来なかったんだろう」 べリアル同士が争う不思議なコンポーズ(構成)に、一同驚きが隠せない。 「これは本当に探知頼りだ……ドクター!」 「ショーンから一番近いのは、4時の方向のべリアルだよ!」 すかさずレオノルが教えたべリアルに、ソニックショットを放つ。 「こっちは僕が倒すよ」 反対方向に居るべリアルを、三身撃で切り裂くリューイ。 「ニコラさん、1時の方向のべリアルは全て本物です」 「分かった」 真っ直ぐに走り、その大斧を振り回すニコラ。巨大な斧はべリアル数体を巻き込み一気に屠る。 「セラ! 残りはセラから8時の場所だよ」 「えぇ……」 セシリアはタロットカードを広げ、ワンドのカードをべリアルに向けて放つ。 べリアルにある魔方陣を的確に切り裂き、ブーメランのようにセシリアの元に帰るカード。 「残りは幻です」 「これは無視して構わないだろう」 「え? だってべリアルが罠に引っ掛かって怒っていたんですよ、面白いじゃないです?ふふっ」 笑顔で爆弾を投下され、罠には動じないが、ヴィオラの笑顔には動じてしまう。 なぜこの状況で面白がれるのか? ニコラの疑問は増すばかり。 「このペースで進むと、時間がかかり過ぎるだろうな」 1部屋1部屋、奇術とべリアルの捜索は、確かに効率は悪い。 「ヴィオラ、レオノル君、リューイ君、この館で一番べリアルが集まる場所はどこになるんだ?」 「大きいところを纏めて仕留めるか、それも悪くないだろうな」 べリアルの幻影が見える中、落ち着き放って状況を確認するニコラとショーン。 先に大物を倒してしまえば、後は奇術に困りながらでも雑魚狩りでしかないと、同じ結論を下す。 「一番べリアルが集まる場所ですか?」 「反対側……になるのかな?」 「……あ! この場所は……。セラ、メモ帳に書いたマップを見せて。この場所は街の人が言っていた、開かない扉があるところだよ」 セシリアがメモ帳を取り出し、もう一度内部の間取りを皆に見せる。 「私たちが聞いた話では、このべリアルが集まる場所に、地下への開かない扉があると言っていたわね」 「つまり地下には魔術的な仕掛けがあるということだろう。それが今回の原因かもしれない」 「ニコラさん、貴方が言いたいのは、地下にべリアルを呼び寄せる仕掛けがあるということね?」 「あぁ、今までは作動していなかったが、なにかの要因で動いてしまいべリアルを引き付けた。……これは私の推論の域だが」 「これまでは子供が入っても帰って来れたんですもの、見込みはかなりあるわね」 ニコラとセシリアの話に、問題の地下への扉がある場所に先に行こうとなった一行。来た部屋を戻り、エントランスを挟んで左側の部屋へと向かう。 ――現れるべリアルを、一瞬でなぎ倒して。 「ヒェェー!」 「ドクター、次の部屋ですから、もう少し耐えて下さい……ね?」 「レオちゃん大丈夫ですよ、みんなが付いていますからね」 「分かってる、分かっているんだよヴィオラさん。だけど苦手なものは苦手だー!」 部屋を移動するたび叫ぶレオノルに、ヴィオラは忍びなくなりレオノルの頭をナデナデ。 これで収まるとは思わないが、次は本命の部屋。どうにかしてレオノルを落ち着かせようと、皆必死にレオノルに声をかけ合う。 「だ、大丈夫、ちゃんとべリアルの相手はするんだ」 杖を握り締め、ショーンの後ろで、いつでも魔術発動の準備を整えているレオノルだが、間違って暴発しないことを祈るしかない。 「行こうみんな!」 「こうしていても仕方がないからな」 「調べるのは倒した後だ」 リューイ、ショーン、ニコラを前衛に、件の部屋への扉を開けた。 「……! すぐそこ!」 入ったその場で、リューイの双剣が勢いのままに乱れ舞う。 入り口付近に居たべリアルを倒し奥を見れば、触手を持たない四つ足のべリアルが2体こちらを威嚇しているのが見える。 「スケール2か! 一度に2体は厄介だが、俺たちの戦い方では双方を相手にするしかないだろう」 「リューイ、魔術真名を……」 「……セラ」 触れ合い唱える魔術真名、『開け、九つの天を穿つ門』。 「ドクター、俺たちもです」 「いいよショーン」 続けて詠唱する、『正しいことを為せ、真のことを言え』。 ショーンとレオノルが左のべリアルを、リューイとセシリアが右のべリアル同時攻撃! スウィーピングファイアに合わせ、レオノルがソーケージでの追い討ち! 貫通攻撃に加え、範囲攻撃を会わせた広域戦術。 スケール2べリアルと、近くに居たスケール1べリアルすらも巻き込み、2人の攻撃に耐えたスケール2べリアルだけが生き残る。 「僕たちも!」 「気をつけてリューイ」 べリアルに向かって駆け出し、その勢いのままに三撃の双剣を一瞬で入れる。 「まだよ」 続くように、セシリアのタロットカードが宙を舞う。 「私はリューイ君たちを、ヴィオラはショーン君たちの加勢を頼んだ」 「はいニコラさん」 先に動いたのはヴィオラ。べリアルから一定の距離をとり、占星儀からの一撃。その後ろからヴィオラを追い越し、ニコラの大斧がべリアルに振り回された。 「やはり一撃ではダメだ」 「スケール2だよ、そう簡単に倒れるわけがないじゃん」 その一瞬の隙を狙い、べリアルがショーンとレオノルを飛び越え、ヴィオラへと牙を向ける。 「ヴィオラさん!?」 「これを待っていましたから大丈夫です、レオちゃん」 レオノルに向かい、にっこりと笑うヴィオラ。べリアルの牙がヴィオラに届く前に占星儀が光出す。 「私のリヴァース・フォーチュンを受けて下さいです」 ヴィオラのカウンターが、べリアルを襲う。 「これで終わりです」 回る占星儀、次々と攻撃する運命のタロット。ヴィオラのカウンターに耐え切れず、べリアルは崩れ灰と化した。 「次は僕たちだよ」 もう1匹のべリアルからの攻撃を綺麗に回避したリューイは、また双剣を構える。 「セラ、ニコラさん援護を頼みます」 再度べリアルに近づき繰り出される光速の刃、続くセシリアのタロットに合わせ、ニコラの重いトドメの一撃! 「なんとか片付いたが、思った以上に手こずった。流石スケール2だ」 朽ちるべリアルを見つめ、軽く安堵の息を漏らすニコラ。べリアルを殲滅させれば、残るのは地下へと繋がるという扉だけ。 「……街での話通り開かないね」 「鍵? それとも封印? でも力で壊すのもあるわよ」 街人の言葉のように扉はあった。だが鍵穴は無く、封印されている気配もない。 リューイとセシリアは、部屋の中をくまなく探す。 2人だけではなく、この場に居る全員が1つになって、扉のヒントがないかと捜し回る。 「あぁ、この狭い場所の向こうに、仕掛けのボタンみたいのがあるんです」 ヴィオラがなにかを見つけたようだが、幅が細くて中には入れず困り顔。 「私が入るわ。こういう時、体が小さいと特ね」 その小柄な体を駆使して、ヴィオラが見つけた隙間に、なんなく入っていくセシリアを見てリューイが呟く。 「……そうかなぁ」 背の低さを気にしているリューイは、心境複雑らしい。 「これね」 小さな手を延ばし、出っ張っているボタンを押せば、『ゴドン!』という音が室内に響く。 「ヒャァァ!」 「今のは違いますよドクター」 「急に音が鳴るのは同じだよ」 もう何度目か分からないレオノルの悲鳴を聞きながら、ニコラは扉のドアノブを回してみた。 「……開いたか、中に入ってみよう」 「私も一緒ですよねニコラさん?」 魔術的興味と純粋なる興味。さて、どちらが勝つのやら。 ショーンにランタンを借りたニコラが先だって地下への階段を下りる。 奥にはまた扉があるが、これには仕掛けなどはないようだ。 中は机と書棚、簡素なベッド、そして正面には作動している『何か』がある。 「これは?」 「魔術の類いのようだね、でも気配はべリアルなんだ」 「べリアル? これが?」 後から追い付いたレオノルが、その『何か』を探知し探る。 「低スケールじゃない、もっとこう……強く巨大な感じだ。少なくともスケール3から4クラス、私にはそう見えるかな?」 「だがべリアルは魂を失うと砂と化す。しかし魂があれば、べリアルは肉体を再生出来るだろう」 「もしこの仕掛けが再生を止めているとすれば、話が合うはずだね?」 「この手に乗るような小さな物が、べリアルの再生を止めるとは驚きだ」 熱く語るニコラとレオノルの専門的会話に付いていけず、皆は他の物がないか捜索中。 「これは……手記か?」 ショーンが書棚から見つけたのは、この館の奇術師であっただろう人物が書いた日記のようなもの。 ボロボロで読めない部分もあるが、この謎の仕掛けの記述はかろうじて残っていた。 「かいつまんで話せば、イレイスと同じ仕組みだ。ただ違うのは、イレイスのように喰うことが出来ず、そのまま残ってしまうこと。そして眠らさなければ、他のべリアルを呼んでしまうこと。これが今回のべリアルが集まってしまった原因だろう」 ショーンの説明にニコラは暫く考え、そして自身の大斧を手に取った。 「……ニコラさん?」 「研究材料としては惜しい気はするが、今のままでは被害が拡大するばかりだ。結果的にこの仕掛けを破壊することが、指令の解決に繋がる……だろう?」 大斧を振り上げて一気に下ろす。 『パーン!』という音と共に砕け散る、べリアルの魂を捕らえていた仕掛け。 「これでいいんだ」 「そうですねニコラさん。これで奇術師の館に、べリアルが入り込むことはなくなりますね」 そう、館に集っていたべリアルも、惹かれる物がなくなったことで、外に飛び出して行くだろう。 勿論、飛び出したべリアルは、待機していたベテラン浄化師に全て刈り取られたが。 後は居残るべリアルさえ退治してしまえはそれでいい。 奇術は残るが、それはまた子供の肝試し程度の話。 討伐完了した一行は、結果を報告するために教団へと帰還した。
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*** 活躍者 *** |
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[6] ヴィオラ・ペール 2019/12/24-20:48
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[5] リューイ・ウィンダリア 2019/12/22-23:03 | ||
[4] ショーン・ハイド 2019/12/21-22:43
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[3] リューイ・ウィンダリア 2019/12/21-21:28
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[2] ヴィオラ・ペール 2019/12/21-21:21 |