~ プロローグ ~ |
アルフ聖樹森の中でも、かなり辺鄙な場所にある、とある場所。 |
~ 解説 ~ |
○目的 |
~ ゲームマスターより ~ |
おはようございます。もしくは、こんばんは。春夏秋冬と申します。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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おのれ賊め…! 俺達はまず石破壊を ピンポイントショットで1つの石を集中的に攻撃する 石を1つ破壊次第夜明け団へ攻撃 DE12で牽制も兼ねて削っていく 結界が壊れたらテペヨロトルに声を掛ける お二人とも早くこちらへ! 追手の教団に割り込む形で夜明け団の前に立ちふさがる その際敵との距離が近ければDE14で顔面狙って攻撃 畑から距離さえ取ればこっちのもんだ DE15で遠慮なく削らせてもらう 守護天使の手前、命は見逃してやる だが裁きは必ず下す! 私は当たり前のことをしたまでです 褒められる程ではありません 真っ当な親に会いたがる子の気持ちは痛い程分かりますから ドクター、お顔に土が 折角綺麗にして会わせたかったのになぁ。ははは… |
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レオノル先生のお母さん!とわくわくしながら森に向かい 予想外の戦闘に目を丸く とにかく ふたりを助けないと どうしたのシリウス? 珍しい…って 何が? 首を傾げる 魔術真名詠唱 シアちゃんと禹歩七星を仲間に付与 すぐに助けます もう少しだけ頑張って…! シリウスと一緒に 夜明け団の人の引きつけを 心配そうな目に少し笑って 大丈夫 シリウスこそ気をつけて 小屋とテペ様達を背に 夜明け団と分断する位置 セラちゃんたちが二人の方へ行きやすいよう 鬼門封印で動きを止め シリウスの補助 近づく敵には禁符の陣 届く範囲の仲間に天恩天嗣3で回復 余裕があれば九字で攻撃 誰も傷つかず済むよう 戦闘後 ナタ―リエさんやテペ様にご挨拶 お話の邪魔をしないよう 少し離れて |
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レオノル先生のお母様に、会えると聞いてたのに…これは テペ様もお母様も、助けましょう 結界があるの、ですね それなら、早く消さないと…… リチェちゃんと協力して禹歩七星を自分と皆さんに 魔術真名詠唱後、 私はクリスと一緒に結界の要の一つに向かいます 要を守っている夜明け団の方には禁符の陣で拘束を クリス、今のうちに、もう一人を…… 夜明け団の方を捕縛できたら要に慈救咒を撃ち込んで 破壊できたら、早く戻らないと あちらの人数、多かったですし 小屋前に戻ったら天恩天賜での回復と禁符の陣での拘束で支援を 余裕があれば慈救咒で攻撃 この方が、レオノル先生のお母様…… そして、テペ様、とお呼びしても、構いませんか? 会えて、嬉しいです |
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テペヨロトル様とナターリエさんの救出 結界石を破壊し ふたりを無事に逃がせるように動く 見事な畑も できるだけ荒らさないようにしたい >戦闘 魔術真名詠唱 それぞれの立ち位置で全力を リ:メインアタッカーの人中心に戦闘乱舞 二コラさんと結界石のひとつを破壊に向かう まずは石を守る敵を排除 二コラさんと連携 近接敵との距離をつめ三身撃 多角的に攻撃して敵の目を引きつけ 二コラさんの攻撃が当たりやすいよう 石破壊後は 夜明け団対応へまわる セ:ヴィオラさんとナタ―リエさんたちの護衛へ ふたりの側にいけたら そのままペンタクルシールドで護衛 結界で近づけなければ まずは夜明け団対応 近づいてくる敵へ ワンダリングワンドで攻撃 夜明け団は捕縛する |
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レオノルは同じ師に師事した姉弟子だ その母親となれば私とも無関係ではない しかも八百万の神も一緒だというなら尚更だ 魔術真名を詠唱後、リューイと一緒に結界石の一つへ ヴィオラ、ここは頼んだ あのお二人を何とかして守ってくれ 要を守る夜明け団は近接のから相手 リューイが引き付けてる隙にパイルドライブを使い攻撃 戦闘不能になれば遠距離攻撃の輩の方へ 終わったら要にパイルドライブを叩き込む 破壊できたらヴィオラ達の所へ 前に出て敵を後ろへ通さないよう立ちはだかる リーダーのくせにこそこそ隠れるか まあ、全員倒してしまえば問題は無いな それにしても見事な畑だ さすがレオノルの母親と言うべきか この畑に踏み込むような奴は優先的に倒そう |
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マダム・ピースって、レオノル先生のママなのね ママは大切にしなきゃいけないわ、いいママなら尚更よ だから絶対に助けるの 魔術真名詠唱後、味方に支援をかけてもらったら結界の要の一つに向かい まず要を守る夜明け団のうち遠距離攻撃する方を優先して攻撃 それから近距離の方を 両方無力化したらすぐに要の破壊へ 破壊後テペヨロトル達の方に向かう 敵との間に割って入り込む形で合流 スポットライトを使用し敵の注意を引き付け 戦踏乱舞で前衛を支援 その後自分も攻撃に参加 畑もテペヨロトルも先生のママも、傷一つつけさせない 哀れな害虫さん、駆除してあげるわ 戦闘後 先生とママはちゃんと再会できたかしら… 気になって遠巻きに見る え、トール?何? |
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~ リザルトノベル ~ |
●種を届けに行こう 目的地へと向かう道中、『レオノル・ペリエ』は、パートナーである『ショーン・ハイド』の様子が気になっていた。 (凄く嬉しそうだけど……どうして……?) どういう訳か、今回の指令内容を知ってから、ショーンの表情は明るい。 (なんだか、プレゼントを渡す前の子供みたいな感じがするな……) プレゼントを用意して、それを喜んで貰えることが待ち遠しい。 そんな気がする。なので―― 「ショーン」 「何でしょう、ドクター?」 「何か私に隠してることない?」 「……それは……」 レオノル相手に嘘がつけないのか、ショーンは微妙に視線を逸らす。 これにレオノルは苦笑するように続けて言った。 「ひょっとして、これから種を届けに行く人に関係がある?」 「……その」 「あ、やっぱり。知り合いの人なの?」 興味津々といった眼差しで問い掛けられ、ショーンは応える。 「ドクターの、お母様です」 「…………え?」 少し固まった後、レオノルは慌てて聞き返す。 「母上? え、ええっ、なんで? なんでショーンは知ってるの!?」 これにショーンは、以前の指令で会った守護天使カチーナとのやり取りを伝えた。 「そうなんだ……母上が」 不安と高揚が入り混じった声で呟くレオノルに、傍で話を聞いていた『リチェルカーレ・リモージュ』が声を掛ける。 「レオノル先生のお母さんと会えるんですね!」 リチェルカーレは喜びながら、目を輝かせ言った。 「好かったですね、レオノル先生。お会い出来たら、挨拶させて貰っても良いですか?」 これに笑顔で頷くレオノルに、リチェルカーレは嬉しそうに返す。 「ありがとうございます。シリウスも、一緒に挨拶しましょう」 笑顔を浮かべるリチェルカーレを『シリウス・セイアッド』は目を細めて見ながら応える。 「ああ、分かった」 同じように嬉しそうな表情を見せるのは『アリシア・ムーンライト』。 「レオノル先生、お母様に、会えるんですね……良かった」 未だ家族の記憶が戻らないアリシアは、自分のことのように、レオノルが母親に会えることを喜ぶ。 そんな彼女を見ていた『クリストフ・フォンシラー 』は、微笑みながら優しい声で言った。 「俺達も、リチェちゃんやシリウスみたいに、挨拶させて貰おう」 これにアリシアは嬉しそうに返す。 「はい……レオノル先生、良いですか?」 頷くレオノルに、アリシアは笑顔を浮かべた。 そんなやり取りを見詰めていた『リューイ・ウィンダリア』は、小さく呟く。 「『お母さん』かぁ……」 懐かしそうに言う彼に、『セシリア・ブルー』は微笑みながら問い掛ける。 「母上に会いたくなった?」 「そんなことはないけれど……――」 リューイは少しだけ、背伸びをするように返したが、けれどすぐに思い直したように応える。 「でもそうかも。どうしているかなと思い出したよ」 素直な言葉に、セシリアは小さく笑顔を浮かべ返した。 「レオノルさんとお母様が、早く話ができるようがんばりましょう」 「うん。がんばろう」 笑顔で応えるリューイだった。 皆に気に掛けて貰いながら、レオノルは母親に会える事に期待を浮かべている。 そんな彼女を『ニコラ・トロワ』は目を細めて見つめていた。 「嬉しそうですね、二コラさん」 ニコラの様子に気づいた『ヴィオラ・ペール』が声を掛けると、ニコラは視線を合わせ返す。 「レオノルは同じ師に師事した姉弟子だからな。その母親となれば私とも無関係ではない。しかも八百万の神も一緒だというなら尚更だ」 ニコラは、届ける種を受け取った際に、テスカトリポカから聞いたことを思い出す。 独り暮らしをしているナターリエを気に掛けて、ちょくちょく氏神であるテペヨロトルが様子を見に行っているらしく、今日も訪れているとのことだった。 「レオちゃん、お母様と会えるから嬉しそうです」 ヴィオラは、高揚した様子のレオノルを、微笑ましげに見詰めながら言った。 「私達で出来ることがあれば、してあげたいですね」 「ああ、そうだな」 静かに応えるニコラだった。 そうした皆の話を聞き、自らの境遇と重ね、思う者も居る。 「マダム・ピースって、レオノル先生のママなのね」 レオノル達の話を聞いてた『リコリス・ラディアータ』は、どこか郷愁を覚えた声で呟く。 これを聞いていた『トール・フォルクス』は思う。 (リコ……やっぱり雲雀姫の、母親のことまだ吹っ切れていないんだろうな……) 少し前リコリスは、母親が母体となったべリアル、雲雀姫を倒し母親の魂を開放している。 けれど完全に吹っ切れている訳ではない。 空へと昇った母親のことを想いながら言った。 「レオノル先生とママが会えるよう、指令頑張らないと」 「ああ。人助けになるし、俺も全力を尽くすよ。一緒に頑張ろう」 穏やかな声で応えるトールだった。 そうした家族との再会の話を聞いて、思う所がある者達も。 「ヤシェロ兄様、どうしてますかね?」 行方知れずの兄のことを想い『キョウ・ニムラサ』は呟く。 「ビャクヤ兄のことだから、平気よ。それに居場所を調べてくれてるみたいだし、その内会えるわ」 静かに返す『サク・ニムラサ』に、キョウは元気付けられたように応える。 「ええ、そうですね。調査は進んでるみたいですし。そういえば、ニホンに渡る準備をしておいてくれって言われてましたから、近い内に会えるかもしれませんね」 キョウの言葉に、薄い笑みで返すサクラだった。 そうして道中を進む中、思いにふける者も。 「どうしたの? なにか気になること、あるの?」 いつもの漂々とした声で『メルキオス・ディーツ』は『クォンタム・クワトロシリカ』に呼びかける。 これにクォンタムは静かに返した。 「いや……少し、な……」 言葉を濁すクォンタムに、メルキオスは変わらず漂々とした声で言った。 「気になることがあれば、力になるよ。僕が家族と再会するのに、クォンは力を貸してくれたんだからさ」 心の重荷を受け取るような、軽い声をあえて出すメルキオスに、クォンタムは苦笑するように応えた。 道中、穏やかに皆は進む。 けれど目的地に訪れた時、目にしたのは襲撃だった。 ●襲撃者を打ち倒せ 「おのれ賊め……!」 ナターリエとテペヨロトルを囲む襲撃者に、ショーンは怒りを露わにする。 そんなショーンの様子にシリウスは、やや目を眇めて眺めて呟く。 「……珍しい……」 「どうしたのシリウス? 珍しい……って、何が?」 首を傾げ尋ねるリチェルカーレに、シリウスは『なんでもない』と肩を竦めて返し、すぐさま戦闘態勢に移る。 「要救助者がいる。行こう」 「ええ。とにかく、ふたりを助けないと」 リチェルカーレは頷くと魔術真名詠唱。 「黄昏と黎明、明日を紡ぐ光をここに」 魔術回路を開放し、全力で襲撃者に挑む。 「無茶はするな」 「シリウスも気を付けて」 お互いを気遣う言葉を交わし、それぞれ最善を目指し動く。 「シアちゃん、禹歩七星を」 「はい……!」 リチェルカーレの呼び掛けに、アリシアも動く。 共に陰陽師である2人は、禹歩七星を掛け皆の身体能力を強化する。 強化されると同時に、真っ先に跳び出すのはシリウス。 そこにテペヨロトルの声が響く。 「石を壊してにゃ! 壊してくれたら逃げられるにゃ!」 これに襲撃者達は防御を固める。 その布陣を見たシリウスは即座に判断。 (石の破壊は皆に任せる。俺は他の敵を) シリウスは石を護る敵ではなく、その周囲を固める者達の排除に動く。 疾風の如き速さで距離を詰めると、ソードバニッシュ。 敵に反応させることさえ許さず、先制の一撃を叩き込んだ。 一撃を叩き込むと即座に、囲まれないよう立ち回る。 そちらに敵が注意を引かれている隙をついて、距離を詰めたリチェルカーレは禁符の陣を発動。 敵の動きを止めながら、ナターリエとテペヨロトルを元気づけるように声を掛けていく。 「すぐに助けます。もう少しだけ頑張って……!」 リチェルカーレとシリウスが敵を引き付けている所に、皆は動き出す。 「月と太陽の合わさる時に」 クリストフはアリシアと魔術真名を唱えると、要石となる魔結石のひとつに狙いをつける。 (結界、だな) 周囲の状況とテペヨロトルの言葉で判断したクリストフは、アリシアに呼び掛ける。 「じゃあ、アリシア、要を潰しに行くよ」 「はい、テペ様もお母様も、助けましょう」 2人は連れ立って結界の要のひとつを目指す。 先行して前に出るのはクリストフ。目指す敵は終焉の夜明け団。 (何というか、無粋だよなあ、終焉の夜明け団って。せっかくの再会に水を差さなくても――) 怒りを抑えながら全速で走る。 (だから俺達みたいなのに邪魔されるんだよ) 敵の注意を自分に引き付けるようにして、全速で距離を詰めていく。 すると敵は、炎弾を放つ。 敵の動きから、クリストフは攻撃を予測。 アリシアに向かう軌道ではないと読み切ると、前進しながら回避。 炎弾を放った敵は素通りし、要石の傍に就いている敵に向かう。 「舐めるな!」 無視された敵は、クリストフの背中目掛けて炎弾を放とうとする。 しかしそれより速く、距離を詰めていたアリシアが禁符の陣を発動した。 「クリス、今のうちに、もう一人を……」 「アリシア、ありがとう」 クリストフは礼を返し、目の前の敵に全力で攻撃を叩き込み戦闘不能に追い込む。 倒すと即座に、アリシアの元に向かう。 2人で協力し、瞬く間に戦闘不能にすると、要石に向かう。 「要、壊すよ」 「はい」 2人は要石に向かうと、最も威力のある攻撃を重ねる。 クリストフは爆裂斬を、アリシアは慈救咒を叩き込み、要石を破壊した。 同様に、皆は攻撃を重ねていく。 「闇の森に歌よ響け」 魔術真名を唱え膨れ上がった戦力を叩きつけるべく、リコリスとトールは動く。 「レオノル先生のママを助けましょう」 リコリスはナターリエに視線を向けたあと、決意するように言う。 「ママは大切にしなきゃいけないわ、いいママなら尚更よ。だから絶対に助けるの」 「ああ、もちろんだ」 トールは応え、敵に狙いをつける。 「まずは石を破壊しよう。2人護衛に就いているから、1人ずつ仕留める」 「分かったわ」 トールの提案を聞くと同時に、リコリスは走り出す。 向かうは、攻撃魔術を放とうとしている敵。 リコリスは敵に圧力を掛けるようにして、真っ直ぐに突進する。 (畑もテペヨロトルも先生のママも、傷一つつけさせない) 強い決意と共に間合いに跳び込むリコリスに、敵は反射的に迎撃しようとする。 だがそれより速く、トールのソニックショットが放たれた。 敵の機先を制して放たれた一矢は、足に突き刺さる。 痛みで動きが鈍った所に、リコリスは斬撃を放つ。 斬り裂かれ、敵は弱っていく。 要石を護っていた敵は援護に向かおうとするが、そこにトールの牽制となる一矢が放たれる。 敵は避けることが出来たが、味方の援護に向かえない。 トールが敵を分断している隙に、リコリスは目の前の敵を確実に倒していった。 そして要石に向かうと連続斬撃。繰り返される斬撃に耐え切れず、要石は破壊された。 次々と要石の破壊に向かう中、レオノルは逸る思いを無理やり飲み込み、自身も要石の破壊に動く。 「正しいことを為せ、真のことを言え」 魔術真名を詠唱し、解放された能力の全てを駆使していく。 「石を破壊しなきゃ! 陽気か!」 魔力探知で属性を確認したレオノルは、捧身賢術で最大限にまで高めた火力を全力で叩き込む。 狙いは真っ直ぐに要石。 (最大威力のナイトメアを打ち込む!) 鬼気迫る勢いでナイトメアを放とうとするレオノルに、要石の護衛に就いていた敵は危機感を覚え、堪らず距離を取る。 その判断は間違っていなかった。 レオノルが現時点で出せる全力を振り絞って放たれたナイトメアは、レオノルの想いに応えるように強力な威力を見せる。 どろりとした質感を持った闇が要石を包み込むと、一気に浸食。 周囲に響くほどの音をさせながら、遠目で見ても分かるほどの亀裂を無数に入れた。 そこにショーンの追撃が放たれる。 ピンポイントショットで狙うのは、亀裂の中心。 まさしく針の穴を穿つようにして、正確無比な一撃が命中。 要石は粉々に粉砕された。 「ドクター! 残りの石は皆に任せましょう! 私達は敵の排除を!」 「分かったよ! 母上を助けよう!」 2人は敵に向かう。レオノルは前に出て、自らの危険も顧みない。 ナターリエとテペヨロトルに向かおうとする一団に、全力のソーンケージを叩き込む。 「汚らわしい手で母上に触れるなぁっ!」 敵の注意を引くように攻撃を重ねていく。 「ドクター!」 「大丈夫!」 心配して声を掛けるショーンに、レオノルは不退転の意志を込め返す。 「ヘイトを稼ぐなら好都合。それで守れるなら安いよ!」 レオノルの決意を助けるように、ショーンも攻撃を重ねていく。 2人は懸命に敵の前に立ちはだかる。 その助けになるように、皆も動いていく。 「至高あれ、残花終影幻夢と消えよ」 サクラとキョウは魔術真名を唱え、敵に向かって行く。 「あれ、終焉の夜明け団よねぇ」 「ですよね」 「わざわざこんな所まで来るなんて、暇なのかしら?」 「悪いことするぐらいには暇なんですよ、きっと」 「あら、悪い奴らなら、殺さないとダメよねぇ」 サクラは殺意を浮かべ目を細めると、敵の額に照準をつける。 「だめですよ。畑が血で汚れちゃいます」 慌ててキョウが止める。 「ここに住んでる人が居るんですから。殺人現場にしちゃだめです」 「しょうがないわねぇ」 ため息をつくようにサクラは応えると、狙いを敵の足に変更。 ハイパースナイプを発動。 正確無比に、敵の足を撃ち抜く。 それにより、敵の陣形に隙が出来る。その隙を逃さず、キョウは動く。 先行して敵を引き付けて動く仲間に、天恩天賜を掛け回復していく。 「回復します! こちらに来て下さい!」 そうはさせぬと敵は動こうとするが、サクラの狙撃が敵の動きを止めた。 敵の主力が抑えられている間に、連携して要石の破壊に動く者達も。 「開け、九つの天を穿つ門」 魔術真名を唱え、セシリアとリューイは連携するべく、ニコラとヴィオラの元に向かう。 それに合わせ、ニコラとヴィオラも魔術真名を詠唱した。 「cooking and science」 魔力回路を開放し、2人はセシリアとリューイに合流する。 「リューイ、石を破壊に行く。一緒に行ってくれるか?」 「はい。セラ――」 リューイはニコラに返すと、続けてセシリアに呼び掛ける。 「僕はニコラさんと石の破壊に行くよ。セラは――」 「ナターリエさんとテペヨロトル様の護衛に行くわ」 「なら、私も一緒に行きます」 セシリアの言葉を継ぐように、ヴィオラが続ける。 「ペンタクルシールドを使えば、盾になることもできますから。二コラさん――」 ヴィオラはニコラに笑みを浮かべ、送り出すように言った。 「それでは私は、おふたりをお守りします。早く結界石を破壊してきてくださいね」 「ああ、頼む。あのおふたりを何とかして守ってくれ」 ニコラも笑顔で返すと走り出す。 合わせるようにリューイも走り出し、その寸前、セシリアに声を掛ける。 「セラ、早く助けてあげよう」 「ええ、助けてあげましょう」 そして4人は2組に分かれ、それぞれの役割をこなすべく動いていく。 ヴィオラとセシリアは敵の側面を素通りし、ナターリエとテペヨロトルの元に向かう。 移動しながら2人は敵の動きも確認する。 前線で戦ってくれる仲間のお蔭で、すぐにこちらに向かってくる様子はない。 その様子を確認しながら、ヴィオラは思う。 (レオちゃんとお母様の再会を邪魔するなんて許せませんね。まあ、あちらにはそのつもりは無いのでしょうけれど……) 「運の悪い方達ですね、ふふっ」 凄味のある笑みを浮かべ、ヴィオラは戦いの意志を固める。 同じようにセシリアも敵の様子を確認しながら思う。 (それにしても、夜明け団もなりふり構わなくなってきたこと) 必死の形相で戦う終焉の夜明け団に、追い詰められているのを感じ取る。 (罠を張って八百万の神を捕えようなんて、これもアレイスターの狙いなのかしら) 見えない思惑を考えながら、ナターリエとテペヨロトルの傍に辿り着いた。 「結界、破壊します! もう少しだけ待っていてください!」 セシリアは結界に近付き、中に居る2人に声を掛ける。 「ありがとにゃ!」 「ありがとう。でも無理はしないで下さいね」 礼を返す2人に、ヴィオラは安心させるような笑みで応えながら、結界の中に入れないか確かめる。 一定の距離から近付こうとすると、反発させる力を感じ、それ以上は入れない。 (結界石を破壊しないと、中には入れないみたいですね。なら――) ヴィオラは、結界が解除されればすぐに、ナターリエとテペヨロトルの護衛に向かえる距離を保ちながら、味方の援護をしていく。 「アーク・ブーストを掛けます!」 ヴィオラは、前線で戦うシリウスとリチェルカーレに、アーク・ブーストを掛けていく。 その間に、セシリアは敵をワンダリングワンドで攻撃しつつ、全体を俯瞰して見ていく。 (あれが――) 敵陣の奥で指示を出す男を見極め、皆に注意を促す。 「右手奥で指示を出しているのがリーダーよ!」 これを聞いた前線組が、そちらに向かう。 すると敵は防御陣形へと移行。護りは硬くなったが、結界石の援護が薄くなる。 そこにリューイとニコラが真っ直ぐに向かう。 「先に出ます!」 「任せる!」 2人は陣形を取り、敵の間合いに跳び込む。 先行して疾走するリューイは、敵の1人が放った光の矢を危なげなく避けた。 そのまま横を走り抜けると、結界石を護っている敵の剣士との距離を詰める。 距離を詰めると同時に、敵は剣撃を放って来た。 それを前進しながらリューイは回避。 斬撃の間合いに跳び込むと三身撃を叩き込む。 素早いステップで敵を翻弄するように動きながら、一瞬で3回斬り裂いた。 斬り裂くと同時に距離を取る。 狙いはヒット&アウェイ。 1人で倒す必要はない。敵の分散をしつつ、味方が合流してくれるまで時間を稼ぐ。 その猶予を活かすように、ニコラは敵を叩き伏せていく。 「リューイ!」 後方から追い付いたニコラが合図する。 それを受け、リューイは配置を交代。 遠距離攻撃を放とうとしていた敵の抑えに動き、ニコラは代わりに前へ出る。 リューイの攻撃を受けていた敵は動きが鈍っている。 そこに渾身のパイルドライブを叩き込む。 杭を打ち込むようにして、手にした両手鎌を全力で振り降ろす。 敵は剣を打ち合わせ防ごうとするが、パイルドライブの勢いに撃ち負ける。 剣は弾かれ、敵は切り裂かれると戦闘不能に陥った。 敵の戦闘不能を確認して、ニコラはリューイの援護に動く。 2人は連携し、敵を打ち倒していった。 結界石を護る敵は、次々に倒されていく。 それを見た敵のリーダーは、防ぐよう味方に指示を飛ばすが、その動きに合わせ動く者も。 「我ら、闘争の中に生を見出す者なり」 魔術真名を詠唱し、クォンタムとメルキオスは全速で走る。 向かう先は、救助するべきナターリエとテペヨロトルの元。 そちらに向かおうとする敵からの壁になるように動いていく。 「森の八百万の神よ、その庇護されてる方! もう暫くの辛抱だ!」 安心させるように声を掛け、前へ前へと出て行く。 (ここは通さん!) 死守するような勢いで、クォンタムは双剣を振るう。 敵の間合いに跳び込むとエッジスラスト。 瞬速の斬撃で斬り裂くと、敵がそれ以上前に進めないよう、決して退くことなく剣を振るい続ける。 その横手から、新手の敵が攻撃を放とうとする。だが―― 「どこを見てる!」 メルキオスが、すかさず注意を引く。 敵を挑発しながら回避に専念し、結果として敵を抑えていた。 それを目の端で捕えたクォンタムは声を上げる。 「避けてばかりでなく剣も振るえ!」 「いやいや、これが最善だよ?」 戦いの中にあっても漂々とした声で返しながら、メルキオスは敵を引き付けていく。 「ほらほら、どうしたの? それじゃ当たらないよ」 確実に敵を引き付けながら、隙を見れば短剣を突き刺し、ナターリエとテペヨロトルへと近づけさせない。 変わらず回避を中心に動く相棒にクォンタムは苦い表情をしながら、剣を振るいつつ言った。 「畑には向かわせるな! 荒らさないよう気を付けろ!」 これにメルキオスは笑みを深めると、敵の間合いに踏み込み挑発しながら、敵を畑からも遠ざけていった。 浄化師達は、それぞれの役割をこなし敵を翻弄していく。 敵の本体を抑えつつ結界石を破壊し、ナターリエとテペヨロトルを戦場から遠ざけるように動いていった。 「ニコラさん結界石の破壊をお願いします! こちらに向かう敵は僕が抑えます!」 「頼む!」 すでにひとつ結界石を破壊していたリューイとニコラは、最後のひとつの破壊に向かう。 そうはさせじと向かって来る敵にはリューイが向かい、結界石破壊の時間を稼ぐため、回避と牽制に集中して敵を抑える。 お蔭で、結界石の周囲に、敵は誰も居ない。 絶好の好機を活かすべく、ニコラは全力のパイルドライブを叩き込む。 渾身の一撃を叩き込み続ける。 最初は耐えていた結界石は、ほどなく木端微塵に破壊された。 結界石の最後のひとつは破壊され、捕縛結界は崩壊する。 発動前に結界を崩壊させたことで、ナターリエとテペヨロトルは無傷ですむ。 2人の前に壁役として立ちながら、戦況を俯瞰して見ていたセシリアが皆に告げた。 「結界は破壊したわ! ナターリエさんとテペヨロトル様はこちらで護るから、残りの敵をお願い!」 これを聞き、浄化師達は動きを変える。 それまで結界石の破壊に動いていた者達も、前線に合流。 前線で戦い傷を受けた者を一端後ろに下がらせ時間を稼ぐと、その猶予を活かし回復。 そこから全員で、敵の動きを誘導しながら全力を叩き込んでいく。 守勢に回った敵のリーダーは焦った声で指示を飛ばす。 「あいつらを逃がすな!」 ナターリエとテペヨロトルを抑えるべく声を上げる。 それに部下は従い向かおうとするが、前線で戦う浄化師達の勢いに負け前に出れない。 苦し紛れに攻撃魔術を放つが、それをセシリアとヴィオラが受け止める。 2人はペンタクルシールドを展開。半円状のシールドで、敵の攻撃魔術を受け止める。 「大丈夫ですか!」 「大丈夫かにゃ!」 心配するナターリエとテペヨロトルに、セシリアとヴィオラは安心させるように応えを返す。 「大丈夫です。まだまだ耐えられます」 「気にしないで下さい。レオちゃんのお母様を護りたいんです」 「え……?」 ヴィオラの言葉に、ナターリエは驚いたように声を上げる。 「母親……レオ……まさか――」 ナターリエは必死に、今も戦う浄化師達に視線を向ける。 焦燥を浮かべ視線を巡らせ、ついにレオノルに気付く。 「ぁ……あの髪と、目の色……本当に……」 信じられないというように声を震わせ、こらえきれない激情に涙を滲ませる。 そんなナターリエの様子に、テペヨロトルは慈しむように目を細めと、次の瞬間、体長5メートルはあるジャガーに変わる。 そして力強く言った。 「ナターリエ、背中に乗るにゃ! 邪魔にならないよう離れるにゃ!」 「――はい!」 ナターリエは涙を拭い、テペヨロトルの背中に乗る。 「逃がすな!」 敵リーダーの檄に、敵の攻撃魔術が幾つか飛んでくる。 しかしセシリアとヴィオラがペンタクルシールドを展開して護り、その隙にテペヨロトルは猛ダッシュ。 瞬く間に安全域に逃げ出した。 「クソ! 抑えろ! 逃がすな!」 血走った眼差しで部下に命令する敵リーダー。 その指示に従い、敵は猛攻に出る。 しかしそれを通す浄化師達ではない。 「ここは通さん!」 クォンタムは身体を張り、敵の前に打って出る。 連続して双剣を振るい、敵の動きを誘導する。 もちろん無傷では済まない。 それでも剣を振るい続けるクォンタムに、メルキオスは援護するように動きを合わせる。 「ほらほら、どうしたどうした」 挑発して敵を引き付け、気付かれないように誘導していく。 狙いは、畑を荒らされないようにすること。 他の浄化師達も同様に敵の動きを誘導しながら、畑から引き離した所で、憂いなく全力を叩きつけていく。 (リーダーを叩く) シリウスは敵の陣形が薄くなった隙を逃さず、敵リーダーに向け疾走する。 敵は追い駆けようとするが、そこにリチェルカーレが援護に向かう。 禁符の陣を発動。 敵は術で拘束された上に、魔術の発動を封じられる。 リチェルカーレのお蔭でシリウスは、邪魔されることなく距離を詰め、表裏斬で斬り裂く。 胴を横薙ぎにすると、即座に後方に回り背中を斬り裂いた。 「貴様!」 敵リーダーは反射的に剣を振るうも、シリウスは危なげなく双剣で弾く。 そこから間髪入れず、動きを封じるために両足を斬り裂いた。 堪らず敵リーダーは膝を屈し、戦闘不能に陥った。 敵リーダーが打ち倒され、敵に動揺が走る。 そこから止めを刺すように、皆は前に出ていく。 「アリシア」 「はい」 クリストフとアリシアは、息の合った動きで敵を制圧していく。 敵は2人の内、回復を中心に動いていたアリシアを組し易いと思ったのか、彼女に向かって突進してくる。 それをアリシアは迎え撃つ。 「――ウンタラタ・カンマン」 敵の動きを予想し事前に詠唱を終わらせていたアリシアは慈救咒を発動。 アリシアの前方に現れた炎の蛇は、疾走するような勢いで敵に跳びかかる。 敵は悲鳴を上げながら焼かれ、後続の敵も怯むように動きが止まった。 そこにクリストフが跳び込む。 踏み込みむ勢いも込めた斬撃を、敵は手にした盾で受け止めるも、爆散する。 爆裂斬。 斬った個所に魔力を流し爆裂させるその技は、盾を持っていた敵の腕に大きく傷を与えた。 そこに追撃を加えることを忘れない。 動きを封じるために足を斬り裂き戦闘不能にしていった。 次々に倒される終焉の夜明け団。 仲間が倒され怖気づいた彼らは、味方を残して逃げ出そうとする。 けれどリコリスの速さが許さない。 俊敏な動きで退路を封じると、次々斬撃を繰り出していく。 「哀れな害虫さん、駆除してあげるわ」 繰り出される斬撃は鋭く、逃げ腰の敵はまるで相手にならない。 勝てないと悟った敵は、味方を盾にするようにして自分だけは逃げようとした。 そこにトールの正確無比な狙撃が放たれる。 腕を撃ち抜かれ、痛みで敵は蹲った。 「それ以上動くな。殺す気はないけど、逃げるなら容赦しない」 トールの警告に、腕を撃ち抜かれた敵は観念したように座り込んだ。 次々と敵は戦闘不能に陥り、浄化師達は拘束していく。 「逃がさないよ」 レオノルは逃げ出そうとした敵の一団に、ソーンケージ撃ち放つ。 敵は魔力で出来た茨で前進を絡め取られ、痛みで動けない。 そこにショーンは駆け寄ると、痛みで動けない敵を拘束していく。 「殺さないでくれ」 怯えたように声を上げる敵に、ショーンは持って来ていた縄で縛り上げながら返す。 「守護天使の手前、命は見逃してやる。だが裁きは必ず下す!」 ショーンの鋭い声に、観念したように敵は項垂れた。 ほぼ全ての敵の制圧が終わる。 だが1人、どうにかして逃げ出そうとする。 それに気付いたサクラが狙撃。 「あら、死んじゃったかしら?」 当たり所が良過ぎたのか、肩を撃ち抜かれ倒れ伏した敵はピクリとも動かない。 「まだ生きてます!」 慌ててキョウが走り寄り、天恩天賜で回復してやった。 これにより敵の全てを制圧する。 少しだけ畑は荒らされていたが、それも少し手入れをすれば戻る程度。 敵に死亡者は無く、全員を無力化した上で拘束できた。 念のため、周囲に敵の残党や援軍が居ないことを確認してから、退避していたナタ―リエとテペヨロトルに呼び掛ける。 巨大なジャガー姿のテペヨロトルの背中からナターリエは降りると、離れ離れになっていた我が子の元に走り寄った。 ●再会の時 「――母上」 緊張した面持ちで母を呼ぶレオノルに、ナターリエは手を伸ばそうとする。 けれど、その手は引き戻された。 自らを責めるように、そして怯えるように、ナターリエは掠れた声で言った。 「ごめんなさい……私は、貴女を……――」 それは懺悔の言葉。 赤ん坊だったレオノルを置いて人に預けてしまった、自らを責める言葉だった。 それを口にするナターリエの表情は、まさに悲痛。 自らの内に折り重なった想いを、愛する娘にどうすれば伝えられるのか? 伝えるべき言葉が見つからず、それでも何かを伝えようと、苦悩していた。 それがレオノルに気付かせる。 (母上は、こんなに――) 想いの強さに涙が溢れそうになる。 けれど初めての再会は笑顔で迎えてあげたくて、精一杯の笑顔を浮かべ、心からの優しい声で呼びかけた。 「会えて嬉しいです。母上」 「ぇ……」 ナターリエは信じられない物を聞いたというように、一瞬茫然としたが、震える声で応えた。 「そんな……私は、貴女を置いて……」 「自分を責めないで下さい。母上」 ナターリエを包み込むような穏やかな声で、レオノルは返す。 「それよりも……母上。一生会えないと思っていた母上に、今こうして会えて、それだけでよかった……それもこれも全てショーンのお陰です」 少し後ろで、見守るようにしていたショーンに視線を向けレオノルは言った。 これにショーンは静かに返す。 「私は当たり前のことをしたまでです。褒められる程ではありません。 真っ当な親に会いたがる子の気持ちは痛い程分かりますから」 「……ショーン」 距離を取るように言うショーンを引き寄せるように、レオノルは傍に寄り言った。 「君のお蔭だよ。ありがとう」 微笑みながら感謝の言葉を口にするレオノルに、ショーンは声を震わせる。 そして何かを口にしようとして、言葉に出来ず。やがて―― 「ドクター、お顔に土が」 いつものように、冷静な声で返そうとして、巧くいかない自分に苦笑する。 そしてレオノルを見詰めながら、泣き笑いのような声で言った。 「折角綺麗にして会わせたかったのになぁ。ははは……」 「……? ショーン? 声が震えてるよ? 何か、眼も赤い……」 普段は見れない彼の様子に、同じような声で返すレオノルだった。 そんな3人の様子を、心地好さ気に見詰める者達がいる。 「レオノル先生……」 リチェルカーレは、少し離れた場所でレオノル達を見詰めている。 「お母さんと会えて、とても嬉しそう。好かった……」 「ああ、そうだな」 傍で返すシリウスは、レオノルと共にショーンに視線を向ける。 今のショーンは、普段では見れないほど、感情に溢れているように見えた。 (……好かった) 自らで気付くことはできずとも、シリウスは優しい眼差しを見せる。 それはショーンと、レオノル母娘の幸せを願うような、そんな優しい眼差しだった。 無言のままショーン達を見詰めるシリウスに、リチェルカーレは言った。 「あとで、挨拶させて貰いましょう。ペテ様にも、一緒に」 「ああ、分かった」 穏やかな声で応えるシリウスだった。 同じようにレオノル母娘の再会を喜びながら、少し離れているのはクリストフとアリシア。 「少し、2人きりにしてあげよう」 「ええ、それが、良いと思います」 クリストフの言葉に返したアリシアは、レオノル母娘の再会の邪魔にならないよう離れている間に、テペヨロトルに挨拶に行く。 「テペ様、とお呼びしても、構いませんか?」 これに巨大なジャガーのままのテペヨロトルは明るい声で返す。 「好いにゃー。好きに呼んで欲しいにゃー。それより助けてくれてありがとにゃー」 そう言うと、猫がするように頬を摺り寄せる。 もふもふな感触に―― 「会えて、嬉しいです」 笑顔を浮かべるアリシアだった。 そしてテペヨロトルの元に、リューイとセシリアの2人も挨拶に来る。 「怪我はなかったですか?」 心配して聞いてくるリューイに、テペヨロトルは嬉しそうに応える。 「怪我ひとつないにゃー。そっちの子が護ってくれたおかげにゃ」 そう言うとテペヨロトルは、セシリアに頬を摺り寄せた。 これにセシリアは、苦笑するように目を細めると、母娘の再会をしているレオノル達に視線を向ける。 同じように、リューイも見詰めていた。 2人の様子を、微笑ましげに見詰めるセシリアとリューイだった。 同じようにヴィオラも、2人の様子を微笑ましげに見つめている。 「嬉しそうだな」 ニコラの言葉に、ヴィオラは笑顔で応えた。 「はい。レオちゃんは姉のような存在だから、私もとても嬉しいです」 「そうか」 ニコラは静かに返すと、少しだけ荒らされてしまった畑に視線を向ける。 「見事な畑だというのに、少し荒らされてしまったな。あとで、元に戻せるよう少し手伝おう」 「良いですね。みんなにも手伝って貰えないか、聞いてみましょう」 笑顔で頷くヴィオラだった。 そうしてレオノル達、母娘の再会を遠目に見守っているのはリコリスも同じだ。 (……好かった) 生きて再会できたレオノル達の様子を見て、リコリスは心から喜ぶ。 そして同時に、自身の母親のことを思い出し、少しだけ物憂げな表情になる。 するとトールが、声を掛けてくれた。 「リコ」 「え、トール? 何?」 視線を合わせ問うリコリスに、トールは穏やかな声で言った。 「君の母親のこと、覚悟もしてたしきちんと見送りもした――」 その時のことを想いながら、トールは続ける。 「――とはいっても、まだまだ偲んだっていいはずだよ。覚えている限りは」 トールの言葉に、じっとリコリスは視線を合わせる。 そして力を抜くように小さく笑みを浮かべ応えた。 「ありがとう。トール」 忘れがたい母への想いを抱きながら、リコリスはレオノル達母娘の再会を祝福していた。 そうして母娘の再会を見詰め、無事を喜ぶ者も。 「ご母堂と神が無事でよかった」 レオノル達の様子に喜び、テペヨロトルの無事に安堵しながら、ひとつの思いを抱く。 (守護天使の試練で見た。あの少年は八百万の神、だったのだろうか……) 過去にあった事実だという、あの光景。 (記憶は……正直判らないが、養父殿に会いたい。託された物が何か知りたい) 未だ戻らない過去の記憶を想い、憂いに沈む。 そんな彼女に、いつもと変わらぬ漂々とした声でメルキオスは言った。 「ね、やっぱり記憶、取り戻したいの?」 「……ああ、取り戻したい」 郷愁を抱くような声に、メルキオスは応える。 「僕の頼みを聞いてくれたし、今度は僕がクォンの頼みを叶えないとね」 「そうか……頼む」 「もちろんだよ。相棒だからね」 お互い笑みを浮かべ、拳を合わせる2人だった。 そしてしばし時が過ぎ、レオノルとナターリエの2人は言葉を交わし続ける。 けれどその間に、他の浄化師達を待たせてしまったことに気付いたナターリエは、心からの礼を口にする。 「みなさん、ありがとうございました。お蔭で、助けていただいて……それに娘に会わせていただいて――」 礼を言いながら、その先の言葉に詰まる。 それはレオノルと、まだ話をしていたいと思ってしまったからだ。 けれど浄化師達をこれ以上引き止めるのは悪いと思い、さらに続けようとした時、サクラが言った。 「少しお茶をしても良いかしら? 戦って、少し疲れてしまったの」 これにキョウも続けて言った。 「クッキー、持って来ているんです。みなさんも、どうですか?」 レオノルとナターリエを、まだ話をさせてやろうとするような、サクラとキョウの提案に皆は頷く。 これにナターリエは、感謝するように笑顔で応えた。 「みなさん、ありがとうごいます。お茶、美味しいのを淹れますね。ぜひ、飲んでいって下さい」 ナターリエの申し出に、笑顔で応える浄化師達だった。 かくして指令は終わりをみせる。 ナターリエとテペヨロトルを無傷で救出し、畑の被害を最小限で終わらせた、見事な結果だった。
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*** 活躍者 *** |
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[23] リューイ・ウィンダリア 2020/02/07-22:43
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[22] ヴィオラ・ペール 2020/02/07-21:46
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[21] ショーン・ハイド 2020/02/07-21:37
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[20] クリストフ・フォンシラー 2020/02/07-21:25
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[19] リチェルカーレ・リモージュ 2020/02/07-21:20
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[18] クリストフ・フォンシラー 2020/02/07-20:36
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[17] リチェルカーレ・リモージュ 2020/02/06-23:08
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[16] リコリス・ラディアータ 2020/02/06-13:55 | ||
[15] リューイ・ウィンダリア 2020/02/05-23:34
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[14] ニコラ・トロワ 2020/02/05-23:10 | ||
[13] アリシア・ムーンライト 2020/02/05-22:56
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[12] クリストフ・フォンシラー 2020/02/05-22:37 | ||
[11] リチェルカーレ・リモージュ 2020/02/05-20:15
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[10] ショーン・ハイド 2020/02/04-22:43 | ||
[9] リューイ・ウィンダリア 2020/02/04-20:27 | ||
[8] リコリス・ラディアータ 2020/02/04-00:30
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[7] ニコラ・トロワ 2020/02/04-00:25
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[6] クォンタム・クワトロシリカ 2020/02/04-00:23
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[5] レオノル・ペリエ 2020/02/03-23:34 | ||
[4] リチェルカーレ・リモージュ 2020/02/03-23:22
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[3] クリストフ・フォンシラー 2020/02/03-22:54 | ||
[2] ショーン・ハイド 2020/02/03-12:26 |