【教国】起点の始まり
普通 | すべて
8/8名
【教国】起点の始まり 情報
担当 春夏秋冬 GM
タイプ EX
ジャンル イベント
条件 すべて
難易度 普通
報酬 通常
相談期間 5 日
公開日 2020-03-19 00:00:00
出発日 2020-03-27 00:00:00
帰還日 2020-04-06



~ プロローグ ~

 教皇。
 それは教皇国家アークソサエティの王として君臨する存在。
 国すべての決定権を持ち、一言で様々な事柄を決定することができる力を持っている。
 現在の教皇は、ルイ・ジョゼフ。
 第10代教皇であり、ヴェルサイユ宮殿に住んでいる。
 そんな彼が自身の居室で、暗部であるナハトの1人と会っていた。

「妖精を、殺さなかったのか」
「はい」
 ナハトの男の返事を聞き、ルイは黙考する。僅かな間を空けて続けた。
「殺すか、あるいは死ぬと思っていた。それを覆したか、浄化師」
 ルイが話題に上げているのは、浄化師により助けられた妖精の話だ。
 復讐に囚われ膨大な力を手に入れるも、それを使い果たし消え失せる。
 本来であればそうなっていたであろう結末を覆し、異なる結末を導いた者達。
「ヨセフの元に居る浄化師達は、それほどに強いのか?」
 ルイの問い掛けにナハトの男は応えた。
「強いでしょう。ですがそれ以上に、抗う意志を持っているように思えます」
「それが摂理を覆したと?」
「あるいは」
 断定はせず、ナハトの男はルイの応えを待つ。
 ルイは静かに黙考し、やがて口を開いた。
「妖精達が、妖精と人類による叛神同盟(アリアンス)を提案して来た時、私は戯れに受けた。何故だか分かるか?」
「いえ」
「放っておいても崩壊すると思ったからだ。アリバとかいった妖精は、凶相の気配を感じさせたからな。だから滅ぼすことなく、捨て置いた。だが――」
 どこか嬉しそうに笑みを浮かべ、ルイは続ける。
「私の予測を覆したか。面白い」
 笑みを浮かべたまま、ルイはナハトの男に言った。
「問おう。貴様は、私のなんだ?」
「貴方様の腕でございます。教皇猊下」
「腕か?」
「はい。そうなるよう、私共は育てられました」
「なるほど。確かに、ナハトとしては、そうだろう。だが、私は貴様のことを訊いたのだ。答えよ」
 これにナハトの男は、僅かな間を空けて応えた。
「……私はナハトでございます。それ以上でも、それ以下でもございません。教皇猊下の意を成すための腕。他の私達と同じく、それだけです」
「それは嘘だ」
 愉快そうにルイは言った。
「教皇の意を成す腕? ああ確かに、お前達は腕なのだろう。自分の意志を捨て、頭たる誰かに命じられるままに動く。その頭は、私である必要も、教皇である理由もあるまい?」
「そのようなことは――」
「ある。だからこそ、私ではなく、枢機卿の命で動いている者達もいるのだろう?」
「恐れながら申し上げます。そのような者共は、ナハトではありません」
「お前の主義主張は知らぬ。事実の話をしている。教皇である私に、本当の意味で従うのは、ナハトの中でどれほどだ?」
 応えはすぐには返ってこなかった。逡巡するような沈黙が過ぎ、ナハトの男は応えた。
「全体の2割程かと。他は、紛い物のナハトです」
「2割か。場を乱すなら、十分な数だな」
 ルイは目まぐるしく思考を巡らせ、ひとつの命令を下した。
「オクトとかいう組織に、お前達は潜り込んでいるな?」
「はい。手駒として使えるよう調整中です」
「そうか。なら、幾らか融通が利く状況なのだな?」
「はい。多少であれば」
「それで十分だ。オクトの活動と浄化師の行動が重なるよう動け。見極めたい」
「はい」
 ナハトの男は応えると、静かにその場を後にした。
 残るは、ルイひとり。物憂げに呟く。
「さて、このことが知られれば、アレイスターはどう動くか?
 まぁ、どうでも良いのだろうな、アレは。
 もはやすでに、アレ1人でことを成せる段階まで来ている。あとは、時が満ちるのを待つだけ。
 枢機卿共は、随分と暢気なようだがな」
 皮肉げな笑みを浮かべ、ゆっくりと目を閉じる。
 僅かの間、今を忘れ、過去の思い出に浸る。

 貴方は、貴方で良いの。変わりは誰もいない。貴方は、自分を愛して良いの。

「……無理です。愛しきヒト」
 初恋の彼女がくれた言葉を胸に抱きながら、ルイは呟く。
「貴女は、一時目にしただけの私を愛してくれた。それが他の全てに向けられる愛と同じだとしても、私は嬉しかった。けれど私は自分を愛せない。他の誰かと同じく、どうでも良い」
 そう、どうでもいい。
 アレイスターの再現を望まれ、品種改良めいた血統操作の末に生まれ、それでもアレイスターの域には届かず。
 なれば後は、国の支配者として親族を喜ばせるだけの自分。
 それしか求められず、愛を与えられなかったルイは、ただ1人、自分を見てくれ愛してくれた女のために全てを費やす。
「貴女は私を愛してくれた。けれど、求めてくれなかった」
 ああ、でも、そうだとしても。
「愛しています。愛しき天使。貴女を束縛から自由にするためなら、私は全てを捧げても構わない」
 エゴイストな愛を囁きながら、使える駒の全てをどう使うか、ルイは思案した。

 そんなことがあった数日後。
 とある指令が出されました。
 その指令は、どこから出されたのかは分かりませんでしたが、ある村の周囲にヨハネの使徒が出没するようになったので、村を襲撃する前に討伐せよ、というものでした。
 指令を受け、村に向かいます。
 するとそこでは、すでにヨハネの使徒と戦っている一団が居ました。
 彼らは10人ほどでしたが手練れのようで、ヨハネの使徒と互角以上に戦っています。
 しかし問題がありました。
 ヨハネの使徒は、8体も居たのです。
 謎の一団は懸命に戦っていますが、村人を避難させていることもあり、このままでは人的被害が出てしまいそうです。

 この状況、貴方達は、どう動きますか?


~ 解説 ~

●目的

ヨハネの使徒の討伐。

●状況

周囲を林に囲まれた村をヨハネの使徒8機が襲撃しています。
村の中に4体。林の中に4体。時間経過と共に、林の中から村の中に侵入して暴れます。
村人が数10人居ます。家は破壊され、家屋の中に逃げ込むことが出来ません。軽いパニック状態です。

村の中は、家屋と家屋の間が空いているので、動き回るのにそれほど支障はありません。
林の中は、木などの障害物で動きが阻害されます。

●敵

ヨハネの使徒8機

動きの速い中型4機が、戦闘開始時に村の中に居ます。

残りの4機は大型です。機動力はやや鈍いですが、その分破壊力と防御力が高いです。

弱点となるコアの場所は、比較的分かり易い箇所にあるので、すぐに判別できます。

●謎の一団

10人ほどが、ヨハネの使徒と戦いながら村人を避難させようとしています。

教団に対して敵対心を持っています。
ただ最優先は、村人の安全のようです。

彼らに対して、どう対処するかもプランでお書きください。
どのような対処の仕方でも構いません。

成功度は、あくまでもヨハネの使徒の討伐により判定されますので、彼らに対する対処の仕方で成功度は変わりません。

●PL情報

謎の一団は、反教団組織『オクト』の一員です。
村の周囲にヨハネの使徒が出るという情報を手に入れ、村を助けるために来ました。
しかし事前情報よりも多いヨハネの使徒が相手で、多少混乱しています。
浄化師に対しては、敵対的です。

彼らへの対処の仕方で、今後のオクト関連のエピソード内容が変わってきます。

そしてプロローグの教皇関連の部分は、PL情報です。
なお教皇は、初恋こじらせ野郎です。そして初恋は絶対に叶いません。
今回のエピソード結果で、彼の行動も変わってきます。

以上です。


~ ゲームマスターより ~

おはようございます。もしくは、こんばんは。春夏秋冬と申します。

今回は、アークソサエティ編の第1回です。登場する反教団組織オクトに関しては、リクエストで頂いた物に、設定を付け加えさせていただき登場させています。

そして内容については、他のエピソード、あいきとうかGMの『【アリアンス】眩き未来をゆめに見て』の結果を受けて、発生したルートの物になります。

元々事前にお聞きしていた内容だと、普通に地精アリバは死ぬ予定だったとの事ですが、ご参加されたPCの皆さまの活躍により異なる結果になったということで、それならば全体のルートにも影響が出てる筈だ、ということで反映させて作っています。

なので今回、謎の一団ことオクトの一員に対してどんな行動を取るかで、また色々と今後のエピソードが変化する予定です。

ちなみに現在のオクトの浄化師に対する反応は、かなり悪いです。過去の教団のやらかしが関係しています。

以上です。





◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇

リコリス・ラディアータ トール・フォルクス
女性 / エレメンツ / 魔性憑き 男性 / 人間 / 悪魔祓い
あなたもね、トール
村の方はお願い

魔術真名詠唱後、トールと分かれ林の方へ
大型使徒一体を引き受ける
敵に視力があるようなら、自分担当の一体だけが目に入るように調整しつつ
スポットライトで引き付け、村の方へ行かないように誘導
弱点を見つけたらそこを狙って三身撃
ただし確実に入る場合のみにしておき、無理に一人で倒そうとせず仲間が合流するまで村に入れるのを食い止める
哀れな木偶の坊さん、ここから先は通行止めよ

村の中担当の仲間が来たら本格的に攻撃に移る
避難も完了したと見て、足止めから確実な破壊へ移行
謎の集団も来てたら協力してもらう
使徒は脅威よ、まさか嫌とは言わないでしょうね?

嫌われるの上等よ
私には私の在り方があるの
ショーン・ハイド レオノル・ペリエ
男性 / アンデッド / 悪魔祓い 女性 / エレメンツ / 狂信者
あれだけ練度の高い動きを出来る集団…
ベリアル相手ではない訳だし…可能性は高いな…
黒炎解放後、大型ヨハネ1体の防御と魔法防御を下げる
仲間にどうかシリウスを頼むと声をかけてから村へ移動

中型ヨハネの位置状況を見て巻き込める方でスウィーピングファイア、マッピングファイアの何れかで攻撃
マッピングファイアで攻撃する場合は仲間を巻き込まない様に逃げろと声をかけてから攻撃しよう

住民の為に身を挺して戦う、謎の集団…
アンタ達、オクトの人間だな
…まあ、蛇の道はヘビ、ってところだ
『親友』の為にも、事を構えたり面子を潰すつもりは毛頭ない
不愉快に思うなら住民の手当てを終え次第ここを去る
あとはアンタ達の手柄にでしてくれ
アリシア・ムーンライト クリストフ・フォンシラー
女性 / 人間 / 陰陽師 男性 / アンデッド / 断罪者
ヨハネの使徒が、村の中、と林にも…?
早く、しないと

魔術真名詠唱
リチェちゃんと協力して禹歩七星を皆さんに
私は林の大型の方へ向かいます
クリスの言葉に心配そうに目を伏せ告げる

信じてますから…無茶はしないで、下さいね

鬼門封印で支援をしながら、クリス以外の傷ついた方には天恩天賜で回復を
味方が攻撃されそうなのに気付いたときは火界咒で援護
大型が先に終わった場合は村の方へ応援に行きましょう
リチェちゃんと協力して皆さんの支援と回復を

戦闘後、怪我人がいないか確認を

……なんだか、一団の方達から、見られてる気が……
気のせい、でしょうか

それにしても、村がこんな事になって、大変ですね…
私達に、何かできること、ありますか?
リチェルカーレ・リモージュ シリウス・セイアッド
女性 / 人間 / 陰陽師 男性 / ヴァンピール / 断罪者
いつもと様子の違うシリウスを窺う
シリウス 顔色が悪いわ
…ええ、もちろん 村の人を助けなくちゃ

現場に急行 
魔術真名詠唱
村(中型)対応へ
大丈夫、ね?無茶しないで
シアちゃんと協力し 禹歩七星を仲間に
回復と鬼門封印での支援をメインで動く
村人や謎の集団の人にも 必要なら回復をしスムーズに逃げられるよう
厳しい言葉をかけられても
ーでも わたしは誰も傷ついてほしくないんです
皆でこの窮地を乗り切りたい
まっすぐ相手を見て告げる
村人や傷ついた人の盾に
自分への攻撃は回避 無理なら雷龍でカウンターを

村が先に落ち着けば 大型へ
シアちゃんと協力して回復と支援
真っ青な顔のシリウスの名を呼んで 冷たい手を握る

怪我をした人は分け隔てなく手当て
ヨナ・ミューエ ベルトルド・レーヴェ
女性 / エレメンツ / 狂信者 男性 / ライカンスロープ / 断罪者
目的 ヨハネの使徒討伐

ヨ 村人を守るように戦う集団がいます
ベ なら丁度良い 話は後にしてまずはヨハネの使徒の相手だ
ヨ はい 林の中にも大きな個体の反応が複数⋯!
ベ 一気に来られたら堪らんな 少し時間を稼ぐぞ
 
林の中で大型の対処
多少動きにくくともこの大型より小回りが効く分 誘導はしやすいはずだ
足元や障害物には注意し 村人の方へ向かわないよう自分達の魔力を餌に引きつけながら戦い
弱点を見つけ次第的確に狙う
敵が固まっていればヨナの範囲魔術でダメージと同時にバラけさせ
大型が同時に村へ向かわないよう調整し
それでも村へ侵入しそうならヨナに「なるべく深く地面を抉れ」と伝える
少しばかりでかい落とし穴だ うまくハマれば良いのだが
リューイ・ウィンダリア セシリア・ブルー
男性 / エレメンツ / 魔性憑き 女性 / マドールチェ / 占星術師
村人全員の救出を目標
謎の集団とも敵対はせず 少しでも早く、安全確実な非難を目指す
教団へ嫌悪感があっても 目的が一緒なら協力したい

>戦闘
村の中 中型担当
リューイは使徒の抑え セシリアは村人の避難誘導
村についたら魔術真名詠唱
リ:使徒担当
初手で戦踏乱舞 スティレッタさんと協力して仲間の攻撃力を上げる
近づいてヒットアンドアウェイ
仲間と連携 
なるべく広い場所へ誘導 メインアタッカーの複数攻撃を当てるように
自分の担当が早く片付けば 他の中型へ その後大型
自分への攻撃は回避またはスイッチヒッターでのカウンター
セ:魔術通信で村人へ避難の呼びかけ 
シールドを使いながら 村人を使徒のいない方向へ誘導
避難が完了すれば通信で周知
ニコラ・トロワ ヴィオラ・ペール
男性 / マドールチェ / 拷問官 女性 / エレメンツ / 占星術師
ヨハネの使徒と戦っている者達がいるな
心強い

魔術真名を唱えたら
魔術通信で村人(セシリア担当)とは違う方向にいる一団へ話し掛けながら使徒へ向けて移動

こちらは浄化師です
林の中へも既に仲間達が向かっておりますのでご安心を
貴方方は強そうですね
よければ村の方達を助ける為に我々と共に戦って頂けないか

使徒の一体の行く手を阻むように立ちはだかり足止め
スキルで攻撃を加えながら、少しずつ村人とは距離を離すように
そして他の個体と纏まるように、他のメンバーと一カ所に誘導
攻撃しながら魔方陣の位置を探し、ショーンやレオノル、トールに伝える

中型が片付いたら大型の方へ連絡入れつつ応援に

全て片付いたら一団に何者なのか尋ねてみよう
スティレッタ・オンブラ バルダー・アーテル
女性 / ヴァンピール / 魔性憑き 男性 / 人間 / 断罪者
へーぇ
世間は広いものね
教団以外にもヨハネの使徒とまともに戦える集団なんてのがいるのね

私もシロスケと一緒に村へ行くわ
まず謎の集団に戦踏乱舞を掛ける
あらあら
そんな猫みたいに威嚇しなくても
私達はただ楽しい遊びに混ぜて欲しいだけよ
あんま人間同士で火花散らし合わない方がいいんじゃないかしら?
そこの金属のオモチャたちが妬ましそうにこっちをじっと見ているわよ

乱舞で味方の攻撃力を上げていく
ヨハネの使徒から逃げ遅れた人たちがいないか確認しつつ、ヨハネの使徒を引き付けて後衛の人間が全体攻撃しやすいように誘導するわ

教団嫌い、ねぇ…
シロスケほど器の小さい人間ならねちねちと怨みを持ち続けるのも納得いくんだけど


~ リザルトノベル ~

●ヨハネの使徒を撃破せよ!
 ヨハネの使徒から村を守るため現場に急行した浄化師が見たのは、村人を守る謎の一団だった。

「村人を守るように戦う集団がいます」
 皆に警告を促すように『ヨナ・ミューエ』は言った。
(強い、ですね。ですがそれ以上に気になるのは、村人を守っていること。敵ではない?)
 素早く状況を判断する。同様に状況を把握した『ベルトルド・レーヴェ』が、阿吽の呼吸でヨナに返した。
「村人を守ってくれるなら丁度良い。話は後にしてまずはヨハネの使徒の相手だ」
「はい」
 ヨナは応え、村の外周部を魔力探知で探査し、皆に注意喚起を促すように言った。
「林の中にも大きな個体の反応が複数……! 動きは遅いですが、そちらの方が明らかに魔力量が多い。強いですよ」
「一気に来られたら堪らんな。少し時間を稼ぐぞ」
 ベルトルドはヨナと共に敵の抑えに動くべく、魔術真名を唱え林の中へと走り出す。
「不退転」
 それはまさに2人の決意を示す言葉。不撓不屈の意思を示すように、ヨハネの使徒へと向かって行く。

 それは皆も同じだ。

「あの一団強いね、凄いな」
 村人を守りながら戦う謎の一団に、『クリストフ・フォンシラー』は感心する。
 状況を判断し最適に動くため、まずは周囲の状況を見極めていた。
 一方、彼の隣にいる『アリシア・ムーンライト』は、切迫した状況に焦燥を見せる。
「ヨハネの使徒が、村の中、と林にも……? 早く、しないと」
 これにクリストフも同調する。
「っと、感心してる場合じゃないね。さ、行こうか」
「はい」
 2人は魔術真名を響かせ、戦いへと挑む。
「月と太陽の合わさる時に」
 魔力を漲らせ、仲間と連携して動こうとする。
「私は、まず、リチェちゃんと、禹歩七星を、掛けます」
「分かった。なら俺はシリウスと――って、シリウス?」
 協力しようと視線を向けると『シリウス・セイアッド』は身体を強張らせていた。

「……っ!」
 目の前の光景に、かつての惨劇がフラッシュバックする。
 ヨハネの使徒に蹂躙され壊滅した故郷。重なる死と悲鳴の記憶が、血の気を引かせる。
「シリウス」
 顔を青ざめさせるシリウスを心配して、『リチェルカーレ・リモージュ』が頬に手を当てる。
「顔色が悪いわ」
「……大丈夫だ」
 頬に触れるリチェルカーレの指に、なんとか息を整え応える。
「……村に被害を出す訳にはいかない」
「……ええ、村の人を助けなくちゃ」
 心配を飲み込みながら、リチェルカーレは応える。
 シリウスは平静を装い剣を握り直しているが、リチェルカーレから見れば、本調子でないことは分かる。
(どうしたら……)
 悩んでいると――
「シリウス」
 クリストフがシリウスの頬にぺちんと気合を入れる。
「ちゃんと起きろよ」
「すまん。助かった」
 シリウスは礼を言うと、リチェルカーレに視線を向け言った。
「大丈夫だ。村人を助けるぞ、リチェ」
「もちろんよ、シリウス」
 未だ顔を青ざめさせながら、それでも懸命に戦おうとするシリウスを支えるようにリチェルカーレは応え、魔術真名を詠唱する。
「黄昏と黎明、明日を紡ぐ光をここに」
 魔力回路を完全開放し、2人はそれぞれ分かれて戦う。
 同じように、クリストフとアリシアも戦いへと向かった。
「アリシア、今回はギリギリまで俺の回復をしないでくれないか」
 それぞれの配置に向かう前、クリストフはアリシアに頼む。
 これをアリシアは、不安を飲み込みながら応えた。
「信じてますから……無茶はしないで、下さいね」
「もちろんだよ」
 笑顔で返し、クリストフはアリシアと戦場へと向かう。

 皆は次々に戦いの場へと向かって行く。

「へーぇ、世間は広いものね」
 足を速めながら『スティレッタ・オンブラ』は村人を守る謎の一団に視線を向ける。
「教団以外にもヨハネの使徒とまともに戦える集団なんてのがいるのね」
 これに『バルダー・アーテル』は同意する。
「確かに、ヨハネの使徒とあそこまで互角に戦ってる連中なんぞ珍しい」
 かつて私設警護組織に所属していたバルダーは、自分の時のことを思い出す。
(あの時は、教団の人間にしてやられたが、今度は俺が似たような真似をすることになるのかね)
 皮肉げに思いながらも、目の前の事態を静観するわけにはいかない。
「スティレッタ」
「あら、やる気なの、シロスケ」
「放っておけんだろ。俺は村に行く」
「いいわよ。デカブツの前に、動きが速いのから潰していきましょう」
 スティレッタは応えると魔術真名を詠唱する。
「Traicit Et Mors Amor」
 完全開放された魔力回路が、溢れんばかりの魔力を全身に駆け巡らせる。
 膨れ上がった戦力を叩きつけるべく敵に向かおうとした時、仲間の浄化師が声を掛けた。
「みんなに戦踏乱舞を掛けようと思います。協力して貰えませんか?」
 駆け寄り声を掛けてきたのは『リューイ・ウィンダリア』。
 これにスティレッタは返す。
「ええ、良いわよ」
「ありがとうございます」
 リューイは礼を返すと、パートナーである『セシリア・ブルー』の元に向かう。

 その頃セシリアは、『ニコラ・トロワ』と『ヴィオラ・ペール』に提案していた。

「魔術通信で、村の人達に声を掛けませんか?」
「分かった。先生の時と同じだな」
 少し前の指令で、ニコラとセシリアは避難誘導のために魔術通信を使い、被害を抑えるのに尽力している。
 今回のような事態では、非常に有効な方法だ。
 2人の話を聞き、ヴィオラも提案した。
「それなら私は、村の人達が安全に避難できるよう、護衛に向かおうと思います。ただ――」
 ヴィオラは、今もヨハネの使徒と戦い、村人の避難誘導に動こうとしている一団に視線を向け続ける。
「私達より先に、避難誘導に動いている人達が居ます。彼らと協力できるならしたいです」
 これにニコラは頷く。
「ああ。ヨハネの使徒と戦い、村人を守ろうとしているんだ。協力できれば力強い」
「ええ。これだけ多くのヨハネの使徒がいるんです。協力して、少しでも早く村の人達を避難させてあげましょう」
 ヴィオラは応えると、魔術真名を詠唱する。
「cooking and science」
 魔力を漲らせ、村人を守るべく走り出す。

 時を同じくして、セシリアと合流したリューイも魔術真名を詠唱する。

「開け、九つの天を穿つ門」
 魔力回路を完全開放すると、村に向かい2人は走る。
「スティレッタさんに協力して貰えることになったよ。戦踏乱舞をみんなに掛けて、僕はヨハネの使徒を抑える」
「私の方も、2人と協力して動くわ。村の人達を避難させるまで、ヨハネの使徒は任せちゃうけど――」
「大丈夫。村の人達の安全が一番大事だから。避難の邪魔はさせないよ」
 力強く返すリューイに、成長を見守る姉のようにセシリアは小さく笑うと、村に向け走り続けた。

 各々が戦いに向かう中、いつもとは違う表情を見せる者も。

(あれだけ練度の高い動きを出来る集団……ベリアル相手ではない訳だし……可能性は高いな……)
 村に向かって走りながら、謎の一団を『ショーン・ハイド』は判断する。
 それはかつて潜入した、因縁深い組織のことだ。
(見知った顔はいないが……まず間違いはないだろう)
「……ショーン?」
 いつもよりも冷徹な表情を見せるショーンに『レオノル・ペリエ』は声を掛ける。
「知ってる相手なの?」
「それは……」
「ごめん。いま聞く事じゃなかった」
 レオノルは意識を切り替え、ショーンに言った。
「私は村へ行くよ。ショーンは?」
「私は、まず大型に向かいます。ランキュヌを使えば、1体とはいえ、防御と魔法防御を下げれますから」
 ショーンの言葉を、並走するように走っていた『リコリス・ラディアータ』が聞き提案する。
「それなら、その1体は私が抑えるわ。一緒に行動して貰える?」
「分かった。抑える目星をつけたら言ってくれ。そいつをランキュヌで狙撃する」
「ありがとう。お願いするわ」
 リコリスはショーンに応えると、並走して走る『トール・フォルクス』に言った。
「私は林に行くわ。トールは――」
「俺は村の方に行く。出来るだけ早く、村人の安全を確保したい。村の中が片付いたらすぐそっちに行く。リコ、頑張れ」
「あなたもね、トール。村の方はお願い」
「ああ、分かった」 
 苦笑するように笑みを交わし、トールとリコリスは魔術真名を唱える。
「闇の森に歌よ響け」
 詠唱の終わりと共に、繋いでいた手を離し、ふたりはそれぞれ戦いの場へと向かう。
 同じようにショーンとレオノルも、魔術真名を詠唱し戦場へと向かった。
「正しいことを為せ、真のことを言え」
 魔力回路を開放し、2人はひととき離れる。
 向かう先は林と村。
 ヨハネの使徒を撃破するべく、皆は戦い始めた。

●村人を避難させろ!
 ヨハネの使徒に向かって、最初に跳び込んだのはシリウスだった。
 リチェルカーレに掛けて貰った禹歩七星の助けも借り、林を突き進む大型に肉薄する。
「光は降魔の剣となりて、全てを切り裂く」
 接敵する寸前、黒炎魔喰器を開放する。
 蒼剣アステリオスは、内に蓄えた黒炎を解き放ちシリウスを包み込むと、理性を保ったままアウェイクニング・ベリアルを発動させた。
 刻印のように魔方陣を肌に浮かび上がらせ、尋常ならざる力を叩きつける。
 木々を走り抜け、ヨハネの使徒の右前脚を、ソードバニッシュで叩き斬った。
 弾かれることなく、深々と斬り裂く。
 だが、敵は巨体。斬り裂くことは出来たが、一撃で右前脚を両断することは出来ない。
(一撃で駄目なら、攻撃を重ねるだけだ)
 敵を倒すため、まずは動きを止めることに集中する。
 大型のコアは、頭部と思われる部分にある。位置が高いため、まずは体勢を崩させる必要があった。
 シリウスは斬撃を重ねていく。
 確実に斬り裂いていき、反撃で突進してくる敵の動きを読み、危なげなく躱していった。

 ひとりで大型を追い詰めていくシリウス。
 そこに残りの大型が集中して攻撃をしようとするが、仲間の浄化師が防いでくれる。

「黒炎魔喰器で大型の動きを止める! その隙を突いてくれ!」
 ベルトルドは仲間に向け呼び掛けると、自らの黒炎魔喰器、竜哭の特殊能力を解放した。
「九天咆哮。哭け、竜哭」
 ベルトルドの意思を呼び水に、竜哭は己が能力を解き放つ。
 竜を模した片手拳は、その身を震わせると、まさしく竜の咆哮の如き撃音を響かせた。
 途端、大型のヨハネの使徒達の動きが止まる。
 それが竜哭の特殊能力。ベルトルドの意思に応え響かせた轟音は、周囲の敵に侵透すると、僅かな時間とはいえ動きを完全に止めさせた。
 棒立ちのヨハネの使徒に、ベルトルドは踏み込む。
 しなやかな動きで距離を詰めると、ヨハネの使徒の近くにあった木に向け跳躍。
 木を足場に高く跳び上がると、使徒のコアを抉るような一撃を放つ。
 鉄が悲鳴を上げるような音と共に、細かな罅を刻んだ。
 攻撃すると即座に着地。そこに竜哭の硬直が解けた使徒が突っ込んでくる。
 そちらを見ることなく、ベルトルドは距離を取ることだけを念頭に跳ぶ。
 回避は出来たが、追撃されれば危うい。
 しかし、その危惧をベルトルドは感じていない。
 なぜなら頼りになるパートナーがいるからだ。
(全力を、叩きつける!)
 阿吽の呼吸でベルトルドの動きを読んでいたヨナは、動きに合わせ攻撃魔術を放つ。
 ベルトルドが効果範囲の外に跳ぶのとほぼ同時に、オーパーツグラウンドを発動。
 魔力で作り上げた無数の武器で、ヨハネの使徒を叩きのめした。

 大型を次々抑えていく浄化師。
 だが2体、残りがいる。
 それを抑えるべく、リコリスとショーンが向かう。
「Fiat eu stita et piriat mundus.」
 ショーンは黒炎魔喰器ランキュヌを開放し、シリウスに向かおうとする大型の1体に狙いをつける。
 リンクマーカーによる魔術の照準をつけ、コアに向け引き金を引く。
 銃声が響くと、弾丸を受けたヨハネの使徒がのけ反るように動きを止める。
「ありがとう。今の内に仕掛けるわ」
 リコリスは仲間の援護に向かうため、林に向け走り出す。
 戦いは熱を帯びていく。その中で、自分の身を省みず戦うシリウスを気に掛け、ショーンは仲間に声を掛ける。
「どうかシリウスを頼む」
 後ろ髪を引かれる思いを振りきり、村人の安全を第一にするため、村を襲撃する中型に向かう。
 その思いに応えるように、リコリスや皆は動いていく。
「相手をしてあげる」
 シリウスに襲い掛かろうとしたヨハネの使徒に向かって、リコリスは疾走する。
 狙いはショーンのランキュヌにより、守りが低下した1体。
 使徒が反応するよりも早く間合いを詰め、三身撃。
 巧みなステップで華麗に動き、素早く3連撃を叩き込む。
 浅くだが斬り裂かれ、確実に傷を与える。
(これなら、同じ個所に攻撃すれば――)
 使徒の傷を見極め、リコリスは斬撃を重ねる。
 繰り返し刻まれる傷に、少しずつ亀裂が入っていく。
 このまま繰り返せば、破壊できるかもしれない。
 だが、そうはさせじとヨハネの使徒は反撃。
 周囲の木々をなぎ倒す勢いで突進してくる。
「当たらないわよ!」
 リコリスは気を引くように挑発しながら、避けつつ攻撃の機会をうかがう。
 回避に専念するリコリスに、使徒は自分の攻撃が当たらないと判断したのか、狙いを村に変え移動しようとする。だが――
「哀れな木偶の坊さん、ここから先は通行止めよ」
 スポットライトを使い、リコリスは使徒を引きつけた。
 それは効果をみせ、使徒は襲い掛かってくる
(上等よ。別にひとりで倒す必要はないんだから、避けに徹して時間を稼いでみせる)
 リコリスは、つかず離れずの絶妙な距離を取り、使徒を引きつける。
 林の中、魔性憑きとしての素早さを活かし、リコリスは奮闘した。
 大型のヨハネの使徒は、その大きさが邪魔し、リコリスを捕えることが出来ない。
 しかし木をなぎ倒すような突進を繰り返すことで、破片を散弾のように周囲に撒き散らす。
 それにより、細かな傷を受けてしまう。そこにアリシアの援護が入る。
 火界咒により生み出された炎の龍が、ヨハネの使徒を目掛け疾走。
 見事命中し、喰らった使徒は炎を消そうとするように、木々に体当たりをしていく。
 それにより、リコリスを狙う使徒の攻撃は一時的に弱まった。
「今のうちに、回復します」
 アリシアが走り寄り、リコリスは駆け寄る。
 そうはさせないというように、残りの1体が襲い掛かろうとする。
「させないよ」
 そこに立ち塞がったのはクリストフだった。
「お前の力を示せ、ロキ!」
 黒炎魔喰器ロキを解放する。
 理性を保ったままアウェイクニング・ベリアル化すると、勢い良く踏み込みソードバニッシュ。
 瞬速の斬撃は、深々とヨハネの使徒を斬り裂いた。
 攻撃を受けた使徒は、即座に反撃。
 脚を振り回し薙ぎ払おうとするが、クリストフは疾風の勢いで回避。
 避けの動きから突きの動きに繋げ、疾風裂空閃を放つ。
 突き刺すと、そのまま横に薙ぎ払い、さらに傷を深く与えた。
 すると使徒は、自分も傷つくような勢いで、めちゃくちゃに暴れ見境なく突進する。
 周囲の木々が倒れ、その破片を幾つか受けながら、クリストフは冷静に状況を判断していく。
(この調子なら、いけるか?)
 止めを刺す機会を狙い、戦いを続けていた。

 林の大型は、皆の活躍により抑えられる。
 その間に、村人の避難と中型の破壊が行われた。

 先行して踏み込んたのはリューイ。
 村の入口に差し掛かる前に、仲間に戦踏乱舞を掛け終えていたリューイは、村人に向かおうとする1体を見極め一気に踏み込む。
 狙いは関節部分。
 ヨハネの使徒が反応するよりも早く斬り掛かる。
 斬り裂くほどではないが確実に傷を刻み、注意を引きつけた所で誘導するように動く。
 それにより村人に向かう使徒の数が減る。
 僅かではあるが余裕が出た所で、ニコラとセシリアが協力して魔術通信を使い、村人達に声を掛けていく。
「こちらは浄化師です。助けに来ました」
「皆さんの避難をします。落ち着いて行動してください」
 ニコラとセシリアの呼び掛けで、村人達の表情に明るい色が浮かぶ。
 だがそれまで避難に動いていた謎の一団は、噛み付くように声を上げた。
「浄化師が、何しに来た!」
「教団の犬め!」
 謎の一団の牽制を、手の上で転がすように返すスティレッタ。
「あらあら。そんな猫みたいに威嚇しなくても」
 謎の一団に近付くと、戦踏乱舞を掛け戦意を高揚させる。
「なんのつもりだ!」
「遊びの誘いよ」
 全員に戦踏乱舞を掛けながらスティレッタは続ける。
「私達は、ただ楽しい遊びに混ぜて欲しいだけよ」
「ふざけるなよ。どこの誰とも分からん奴らが!」
「何者かって? じゃあそっち側から名乗るのがマナーだろ」
 スティレッタに追い付いたバルダーは、ヨハネの使徒にエッジスラストで斬りつけ牽制したあと、激高する男に返した。
 激高する男は何か返そうとするも、村人の避難が気になるのか、威嚇するような視線を向けつつ、村人の避難誘導を優先する。
 だが、それでも何か返さずにはいられないのか、苛立った声で言った。
「お前達に名乗る理由なんてない!」
「別に良いさ」
 さらりとバルダーは返す。
「名乗りたくないなら、言わなくても良い。その代り、こちらも通りすがりのヨハネの使徒破壊集団ってとこで手打ちにしてくれんか?」
「どういうつもりだ」
 警戒する男に、バルダーは肩を竦めるようにして返した。
「あんたらを出し抜く気はないってことだよ。いいじゃあないか。俺達はヨハネの使徒を壊したいんだ」
 近づく使徒を追撃のエッジスラストで押し返しながら、バルダーは提案する。
「利害は一致しているだろう? ヨハネの使徒は俺達で仕留める。だから村人の避難を頼む」
「……っ」
 男は歯噛みするように顔をしかめるが、利のあることだと理解しているのか、村人の避難誘導に動こうとする。
 だが理性では分かっても感情では納得できないのか、その動きはどこかぎこちない。
 そこにスティレッタが声を掛ける。
「あんま人間同士で火花散らし合わない方がいいんじゃないかしら? そこの金属のオモチャたちが妬ましそうにこっちをじっと見ているわよ」
 声を掛けながら、近付く使徒を牽制するように斬り掛かる。
 そこに援護するようにバルダーも前に出る。
 言葉だけでなく行動でも示す2人に、男は歯噛みしながも、村人の誘導に動き出した。

 同じように、謎の一団と協力するのはニコラ。

「貴方方は強そうですね。よければ村の方達を助ける為に我々と共に戦って頂けないか」
 威圧や上からの言葉にならないよう気を付けて、ニコラは声を掛ける。すると――
「後ろから刺す気じゃないだろうな、教団の犬」
 謎の一団は敵意を向けて来る。これにニコラは真摯に返した。
「そんなつもりはありません。力を貸して下さい。お願いします」
 そう言うと、言葉だけでなく態度でも示す。
 率先して前に出ると、使徒を破壊するべく、パイルドライブを叩きつける。
 後ろを振り返ることなく、前に前に出るニコラの姿に、謎の一団のリーダー格の男は、歯噛みするように言った。
「俺達も前に出るぞ! 浄化師なんかに手柄を取らせるな!」
 男の言葉に、謎の一団は奮い立つように声を上げ、使徒に向かって行った。

 そうした動きを見ていたセシリアは小さく呟く。

「まあ。ずいぶん嫌われていること」
 これに、一端合流したリューイが返した。
「でも村人を助けようとしてる。僕たちと願いは同じなはずだ」
 リューイの言葉に、セシリアは同意する。
「そうね。人命救助を最優先に。あちらもその方針のようよ」
 セシリアの言葉通り、謎の一団は、自分達の感情よりも村人の安全を優先させ、避難誘導に動いていく。
「セラ、避難を手伝ってあげて。僕は邪魔にならないよう、ヨハネの使徒を抑えるよ」
「ええ、分かったわ。怪我をしないよう、気を付けて」
「うん。セラも気を付けて」

 2人は分かれ、リューイはスティレッタとバルダーと協力してヨハネの使徒撃破に向かい、セシリアは避難誘導に向かう。
 途中、ヴィオラと合流し、避難誘導に協力した。

「安心してください。大丈夫です」
 ヴィオラは怯えている村人と、敵意を飲み込む謎の一団に向け、落ち着いた声で言った。
「先程聞いたと思いますが、私達はあなた方を助けに来たのです。ここら辺に避難できるような場所はありませんか? 皆さんが逃げ込めそうな建物とか洞窟のような所とか」
 これに村長らしい老人が返す。
「あいにくと、そんものはないのです。だから、どうしようかと」
 老人の言葉に、ヴィオラは安心させるような穏やかな声で応えた。
「分かりました。それなら、使徒がいない場所に誘導します。使徒を倒すまで守りますから、安心してください」
 そう言うとヴィオラは、ペンタクルシールドを展開。村人を守るような位置に動く。
「ヨハネの使徒が来ても、私が盾になって守ります。皆さんは安心して避難してください」
 身体を張って前に出てくれるヴィオラに、村人達は僅かではあるが安堵した表情を見せ誘導に従っていく。
 少しずつではあるが、まとまった誘導が出来始める。
 それを加速するため、セシリアは謎の一団に協力を申し出た。
「村の人達を避難させてあげたいんです。私が力になれることはありませんか? 出来る限りのことはします」
 これに謎の一団は、一瞬反発しそうになったが、浄化師達が身体を張って前に出ているのを見て、感情を飲み込み応えた。
「避難させる人数が多い。全員が離れず避難できるよう、さっきみたいに魔術通信で声を掛けろ……掛けてくれ」
 協力体制になるということで、荒い言葉を途中で言い換える謎の一団の若い男。
 これにセシリアは苦笑を飲み込み、避難誘導に動く。
 ペンタクルシールドを展開し、村人の盾になるような位置に動きながら、魔術通信で声を掛けていく。
「誘導します。使徒からの攻撃は私達が守りますから、落ち着いて、全員で移動してください」
 セシリアの魔術通信による誘導もあり、村人達は纏まった避難が出来ていく。
 これにより、村人とヨハネの使徒との距離は開き、安心して攻撃に集中することが出来るようになる。
 そこで、流れ弾や余波で被害を出さないよう注意していた遠距離攻撃組も、全力で攻撃を叩き込んでいく。

「背中を打つんじゃねぇぞ、教団の犬」
 恐怖と警戒を飲み込みながら、前に出て戦おうとする謎の一団は、月虹弓を構えるトールを睨みつけながら言った。
「そんなつもりはないよ。それより今は村の人達を守るために力を合わせるべきだ」
 その言葉を証明するように、トールはヨハネの使徒に攻撃していく。
「援護するよ。信じられないかもしれないけど、村の人達を避難させる間だけでも良い。力を貸して欲しい」
 そう言うと、流れ弾が当たらないよう、ピンポイントショットを使い精密狙撃。
 謎の一団の動きを助けるように攻撃を重ねていく。それを見ていた謎の一団は――
「……行くぞ」
 不信を飲み込みながらも、ヨハネの使徒を倒すべく前に出て行った。

 謎の一団と即席の協力体制が取られる。
 だが敵意を持っているせいで、連携した動きは全く取れず、浄化師よりも自分達がヨハネの使徒を狩り獲るのだと言わんばかりに前に出て行った。
 それが傷に繋がる。
 無茶な動きをするせいで、謎の一団は怪我が増えていく。
 怪我が増え動きが鈍った所に、ヨハネの使徒が突進してくる。
 そこにリチェルカーレが雷龍を放ち、使徒の動きを止めた。
 その隙にリチェルカーレは、怪我をした女性の手を引き、使徒と距離を取る。
「今の内に回復します」
「余計なことをするな!」
 女性は手を振り払い、敵意を滲ませる。
「お前らなんかに、教団の犬なんかに情けは受けない!」
 拒絶の言葉。
 けれどリチェルカーレは、真っ直ぐに視線を合わせ言った。
「でも、わたしは誰も傷ついてほしくないんです」
 天恩天賜を掛け癒しながら思いを告げる。
「皆でこの窮地を乗り切りたいんです」
 揺らがぬ確たる意志を見せるリチェルカーレに、敵意を見せていた女性は堪らず視線を逸らした。
 リチェルカーレは癒し終ると、他の怪我人の回復に奔走する。
 それを見ていた、先ほど声を荒げた女性は、何かを堪えるように歯を噛み締め戦いへと復帰した。

 こうして、ぎこちないながらも協力した動きが出来ている。
 その動きを最大限に生かすべく、レオノルは皆に言った。

「ヨハネの使徒を1か所に集めて! まとめてソーンケージを叩き込むから!」
 この呼び掛けに、前線に出て戦っていた、スティレッタとバルダー、そしてリューイとニコラが今まで以上に前に出て、使徒を1箇所に誘導していく。
(使徒が魔力に反応するなら、引きつけることは出来る筈だ)
 リューイが率先して前に出ると、積極的に斬り掛かる。
 それに反応し、使徒は誘導されていく。
 同じように、ニコラも動く。
「そちらには行かせん」
 デモン・オブ・ソウルを全力で叩きつけ、反撃に動く使徒を誘導していく。
 残り2体の内、1体はスティレッタとバルダーが誘導する。
「シロスケ、頑張りなさいな」
「言われなくとも、やってやるさ」
 スティレッタが先行して前に出て斬りつけ注意を引いた所で、横手からバルダーが全力の一撃を叩き込む。
 2人の連携により、少しずつ使徒を1箇所に誘導していった。
 だが、残り1体が残る。そちらの対処をどうするか考えていた時、謎の一団のリーダー格の男が声を上げた。
「ヨハネの使徒を押し込め! 勇気のあるヤツだけついて来い!」
 リーダー格の男が率先して前に出ると、残りの1体を抑え、浄化師と共に1箇所に押し込む。
「それだけ集めれば十分だよ! 攻撃するから離れて!」
 レオノルの呼び掛けに、皆は一斉に動く。
 浄化師は後方に跳ぶようにして離れ、謎の一団も、退避する際にトールがピンポイントショットにより援護し、退避を完了させる。
「ショーン」
「はい、ドクター」
 絶好の好機を逃さず、レオノルとショーンが範囲攻撃を叩き込む。
 先手でレオノルがソーンケージを発動。
 二重の捧身賢術により強化されたソーンケージは、ヨハネの使徒達を斬り裂きながら、魔力の茨で絡め取る。
 そこに間髪入れずショーンの追撃が入る。
 マッピングファイア。
 ランキュヌの青い炎の弾丸が無数に降り注ぎ、次々と穿ち砕いていった。
 もはやヨハネの使徒はボロボロ。動きが鈍くなった使徒に止めを刺すべく、浄化師と謎の一団は一斉攻撃。
 それほど時間を掛けず、全ての使徒を破壊した。
「大型を抑えてくれている皆が心配だ。助けに行こう」
 使徒の破壊を確認し、トールは林の中に向かう。
 これに浄化師は応えるように向かい、謎の一団も負けじと向かう。
「教団の犬どもに手柄を渡すな! 俺達で仕留めるぞ!」
 雄たけびをあげ、高揚した様子で林に突撃する。
 彼らが林の中に入り向かったのは、1人で使徒を抑えているリコリスの元。
「邪魔だ! 女子供は怪我しない内に引っ込んでろ!」
「馬鹿言わないで」
 リコリスは使徒を翻弄しながら謎の一団に返す。
「今まで、この木偶の棒を抑えていたのは私よ。むしろ貴方達の方こそ、戦えるの?」
「なんだと!」
「違うの? なら手を貸して。余計な被害が出る前に倒すわよ。使徒は脅威よ、まさか嫌とは言わないでしょうね?」
 激昂する男に返すと、リコリスは使徒に突進する。
(嫌われたかしら? 上等よ。私には私の在り方があるんだから)
 我を通し率先して戦うリコリスに、謎の一団は歯噛みしながらも戦いに加わる。むしろ――
「俺達の方が強いってのを見せてやる!」
 闘志に火がついたのか、果敢に戦っていった。
 それを後方から追い付いたトールが援護射撃する。
(結構嫌われてたみたいだが……俺は俺のやることをやるだけだ)
 それぞれの思惑を胸に、使徒へと攻撃を叩き込み、それほど時間を掛けず破壊した。

 これで残り3体。
 それも次々破壊されていく。

「ヨナ。あのデカブツの足元を破壊できるか?」
「……出来ます。タイミングは合わせますから、先に出て下さい」
 短く言葉を交わすだけで、2人はお互いの意図を理解する。
 先行して前に出たベルトルドは、使徒の気を引くように前に出る。
 それに反応し、突進する使徒。
 だがベルトルドは危なげなく横に跳び回避すると、その瞬間、ヨナはエクスプロージョンを放つ。
 使徒を包むほどの爆発が起き、その余波で使徒の足元が吹き飛び、すり鉢状の溝が出来る。
 その段差に使徒は脚を取られ、前のめりに倒れた。
 即座に起き上がろうとするが、それよりもベルトルドの動きの方が速い。
 木に跳び移り足場にすると、使徒のコアのある頭部に跳びかかる。
 起き上がろうとしていた使徒は、ベルトルドに跳びかかられ、頭部から地面にぶつかるようにして倒れ伏す。
 そこから間髪入れず、止めの一撃。
 ベルトルドはコアを掴むと、渾身の拳打を叩き込んだ。
 金属が割れるような音と共に、使徒のコアは砕け散った。

 残りは2体。
 それをクリストフは破壊する。

(これで終わらせる)
 黒炎魔喰器の効果限界を感じたクリストフは、全力を叩きつけるべく動いた。
 わざと使徒の前に出ると、攻撃をし易い位置に移動する。
 それは誘い。
 だが機械的な動きしかしない使徒は、ここぞとばかりに全力をぶつけてきた。
 全体重を乗せた突進。
 まともに食らえばただでは済まないが、それこそがクリストフの狙い。
(ロキ、頼む)
 クリストフはロキを構え、真正面から受け止める。
 勢い良くぶつかって来る使徒。
 その瞬間、ロキの特殊能力が発動。
 使徒の突進の勢いをそのまま相手に返し、それを受けた使徒の身体には、全身に罅が走る。
 そこからカウンターの一撃を放つ。
 反旗の剣を発動。
(今まで受けた傷、そのまま返させて貰う!)
 反旗の剣の魔術的効果を最大限に生かすため、あえて傷を受けたままにしておいたクリストフの一撃は、使徒に止めを刺す。
 真上からの勢いのある振り降ろしは、使徒を両断。
 コアを木端微塵に砕いた。

 これで残りは1体。
 最後のそれを、シリウスはショーンの助けを受け討ち取った。

「シリウス!」
 連携の意思を伝えるため、ショーンはシリウスに声を掛ける。
 その呼び掛けで意図を察したシリウスは、使徒に止めを刺すべく真っ直ぐに跳び込む。
 迎え撃とうと使徒は構えるが、その瞬間、ショーンの精密狙撃が使徒のコアを撃つ。
 青き炎の弾丸がコアに命中。大きく罅を走らせる。
 攻撃を受け、動きが止まった使徒にシリウスは跳びかかる。
 使徒の巨体を駆けあがり、コアのある頭部に到達。
 青い雷光を閃かせ、アステリオスでコアを十字に叩き斬る。
 一瞬耐えるような間を空けて、十字に切り裂かれたコアは粉々に砕け散った。

 使徒を倒し、シリウスは深く息をつく。
 そこにショーンが駆け寄り、シリウスは礼を返した。
「助かった」
「そうか? 十分に戦えていたと思うが」
「いや――」
 ショーンに声を掛けて貰った時のことを思い出す。
 戦いながら、かつてのトラウマが甦り、少しずつ動きが鈍くなっていた所に、ショーンの呼び掛けで我に返り止めを刺せたのだ。
「声を掛けてくれたおかげで助かった」
「……そうか」
 不器用な応えを返すシリウスに、どう返すべきか苦心するショーン。
 そこにリチェルカーレが走り寄っていく。
「シリウス」
 青白い顔をしたシリウスの手を取り、視線を合わせ心配する。
「大丈夫? 怪我はない?」
「……大丈夫だ」
 包み込んでくれるリチェルカーレの手の温かさに、少しずつ強張りをほぐしていくシリウスだった。

 そうして戦いが終わり、怪我をした者を癒していく。

「怪我は、ありませんか?」
 アリシアがリチェルカーレと共に回復をしていき、謎の一団にも天恩天賜を掛けようとする。すると――
(……なんだか、一団の方達から、見られてる気が……気のせい、でしょうか)
 明らかに、謎の一団からの視線が強いことに気付く。
「アリシア。どうかしたの?」
 クリストフが声を掛けると、アリシアは説明した。
「それは……確かに、気のせいじゃないね」
 謎の一団の視線を見て、クリストフは同意する。
 それが何故だか聞こうとするが、その前に謎の一団は村の方に行ってしまう。
「……追いかけようか」
 クリストフの言葉に皆は頷き、村へと向かう。
 その頃村では、村人を守りきった浄化師が、協力してくれた謎の一団に声を掛けていた。

●オクト
「あなた達のおかげで助かりました。私はヴィオラ。よろしければお名前を伺っても?」
 ヴィオラの呼び掛けに、リーダー格の男は苦い顔をする。
 応えないでいる彼に、リューイとセシリアも呼び掛けた。
「皆さんのお蔭で、村の人達に被害が出ずに済みました」
「名乗るのに不都合があるなら、無理には聞きません。けれど、お礼ぐらいは言わせて下さいね」
 浄化師達の呼び掛けに、リーダー格の男は迷うような間を空けて応えた。
「ジータだ。他の者の名は言わん。知られれば何か起こるか分からんからな」
「私達は、あなた達に危害を加える気はありませんよ」
 ヴィオラの言葉に男は返す。
「お前達、個人の話じゃない。教団を信じられんだけだ」
「教団が嫌いなのかしら?」
 スティレッタの問い掛けに、ジータは応える。
「悪いのか」
「いや、別に」
 ジータの言葉に返したのは、バルダーだった。訝しげな表情を見せるジータに、バルダーは続ける。
「俺も教団には怨みがあってな。だからあんたらが住民に感謝されようと、あんたらのボスに褒められようと気にせんよ」
「殊勝なことだな。ただ働きが好きなのか?」
「まさか。俺は美味い酒が飲めればそれでいいだけさ。そのためにも、余計なわだかまりを残しておきたくは無くてね」
 これにジータは眉を寄せると、口寄せ魔方陣で酒を入れる携帯容器、スキットルを召喚し投げて渡す。
「貸しを作りたくない。そいつは仕事終わりに飲む酒だ。30年物のウィスキー。悪くは無い筈だ」
 バルダーに投げて渡すと、ジータは林の方から戻って来た仲間を引き連れ、その場を後にしようとする。
 そこで、クリストフが声を掛けた。
「待って貰えるかな。ひとつ聞きたいんだ。君ら、何でアリシアを見るんだ?」
 聞いている途中でも、謎の一団の何人かは気になるのか、ちらちらと見ていた。
 これにジータは応えた。
「知り合いの女に似ているからだ」
「それって――」
 アリシアは必死に尋ねる。
「お姉ちゃんの、ことではないですか」
 応えれば余計な情報が漏れると思ったのか、ジータは急に黙る。
 そこに冷たく硬い声が掛けられた。
「アンタ達、オクトの人間だな」
 ショーンの言葉に、ジータは警戒心を浮かべ返す。
「なぜ分かる?」
「……まあ、蛇の道はヘビ、ってところだ。『親友』の為にも、事を構えたり面子を潰すつもりは毛頭ない。不愉快に思うなら住民の手当てを終え次第ここを去る。あとはアンタ達の手柄にでもしてくれ」
 刃物を突きつけながら手を差し出すような気配を滲ませ、ショーンはジータに応える。
(ショーン……)
 今まで見た事もないショーンの雰囲気に、レオノルは思う。
(普段は私の執事みたいに品行方正な感じだけど、仮に荒事に手を突っ込んでも……今日は180度違う。まるでギャングか何かみたいだ。……ショーン、君は死ぬまで一体どんな世界を見てきたのだろう……?)
 気に掛けるようにショーンを見詰めるレオノルに、ジータは一瞬視線を向ける。
 そしてショーンに視線を戻すと応えた。
「昔、ボスと親しかった男が殺されたそうだ。知っているか?」
「……答えたら、そちらも何か喋るのか?」
「余計なことを話す気はない。だが、そうだな。その殺された男に話を聞けるなら、ひとつ聞きたいことがある」
 ショーンの表情から、何かを探ろうとしているのか、視線を向けながらジータは言った。
「その男が殺される直前、うちの構成員の何人かが殺された。それからいつの間にか、教団の人間に殺されたという噂が立ち、スパイがいるという話になった。噂を信じた奴らが、私刑をするようになり、その時の騒動で殺された者の内の1人が、ボスと親しい男だったという話だ。このことを、殺された男は知っていたのか?」
「……さぁ、な」
 探るように返すショーンに、ジータは続けて言った。
「この話で一番の問題は、ボスや、ボスに近しい人間ほど、噂を知らなかったことだ。まるで誰かが仕組んだようにな。しかもその時の騒動以来、少しずつ組織の内部が変わっていった気がする」
 静かにジータは語り続けた。それはどうやら、ショーンの反応で、何かを探ろうとしているようだった。
 しかし、ショーンの表情から読めなかったのか、それとも十分だと思ったのか、その後は何も話さず、仲間を率いて去っていった。
 その後、浄化師達は村人の怪我を癒し、破壊された家屋の片付けの手伝いをしていった。
 片付けをする中で、オクト達の去って行った方向に視線を向けるヨナに、ベルトルドが声を掛ける。
「気になるか?」
「ええ。先程の方達が噂のオクトとは思いませんでしたから」
 室長達が、エントランス等で話していたことを思い出し続ける。
「反教団組織と聞いていますが、過去の教団の事を考えれば致し方がない部分はあります」
「しかし、人々の為を大義に掲げるのならお互い必要以上に関わって敵対する必要はないと思うが」
「まあ……色々あるのでしょうね。こちらとしてはそうも言っていられませんけれど」
 ヨナは思う。
(今は難しくとも、いずれオクトとも手を結べたら……)
 それは同情や憐憫で敵対する者を懐柔するのではなく、そうする必要があると思っているから。
 いずれ再び、希望の塔や神への侵攻を行う時、人や組織、そして国。
 あらゆる生物が団結すべきだと、考えていた。

 それは恐らく、彼女ひとりだけの思いではないだろう。
 それぞれの事情と思い、それらが絡み合い、排除するだけではない何かを、心の中に抱いていた。

 それが形になる時が来るのか?
 今は分からない。
 だがその先駆けとなれば良い。
 そう思える、今回の指令結果だった。


【教国】起点の始まり
(執筆:春夏秋冬 GM)



*** 活躍者 ***

  • リコリス・ラディアータ
    貴方が貴方なら王子様は必要ないの
  • トール・フォルクス
    世界と戦うお姫様と共に
  • アリシア・ムーンライト
    私に何ができるのでしょうか
  • クリストフ・フォンシラー
    せっかく蘇ったんだしな
  • リチェルカーレ・リモージュ
    どんな時でも、側にいる
  • シリウス・セイアッド
    …何が正解なのか、わからない。
  • ヨナ・ミューエ
    私は私の信じる道を
  • ベルトルド・レーヴェ
    行くか

リコリス・ラディアータ
女性 / エレメンツ / 魔性憑き
トール・フォルクス
男性 / 人間 / 悪魔祓い

アリシア・ムーンライト
女性 / 人間 / 陰陽師
クリストフ・フォンシラー
男性 / アンデッド / 断罪者

リチェルカーレ・リモージュ
女性 / 人間 / 陰陽師
シリウス・セイアッド
男性 / ヴァンピール / 断罪者

ヨナ・ミューエ
女性 / エレメンツ / 狂信者
ベルトルド・レーヴェ
男性 / ライカンスロープ / 断罪者




作戦掲示板

[1] エノク・アゼル 2020/03/18-00:00

ここは、本指令の作戦会議などを行う場だ。
まずは、参加する仲間へ挨拶し、コミュニケーションを取るのが良いだろう。  
 

[19] リチェルカーレ・リモージュ 2020/03/26-22:47

いつのまにか出発間近ですね。がんばりましょう。
シリウスも、クリスさんと同じような感じでプランを書いています。
とりあえずフリーの大型使徒を作りたくないと。
中型対応の仕方を二コラさんが上げてくれていますが、大型も同じようなイメージでいました。前衛が抑え、後衛が攻撃をして倒していく。
使徒を倒したらその担当の前衛さんが他のところの支援に…のような感じで。
何か違っていたら教えてください。

わたしは回復と鬼門封印を飛ばしながら、村の人や謎の集団さんへ攻撃がいかないよう盾をするつもりです。早く終われば林側の応援に走ります。  
 

[18] クリストフ・フォンシラー 2020/03/26-22:32

ととと、もうちょっと出発だけど、そういや俺の動きを何も言ってなかった。
一応、大型の一体を抑えつつ魔方陣の在処を探って、可能そうなら倒す。
倒せたら他の大型への応援、それも終わりなら中型が終わってなければそちらへ応援。
そんな感じで書いてるよ。

あと今頃何なんだけど、そういえばショーンが一体だけ弱体化させてってくれるって言ってたよね。
だからその一体をリコちゃんに担当して貰ったらどうだろう?
他の前衛三人は黒炎魔喰器持ってるし弱体してないの担当でちょうど良いと思わない?
一応、俺はその方向でプラン書いてるよ。  
 

[17] ニコラ・トロワ 2020/03/26-22:19

ああ、了解した。
二人で同じ事をやっても意味がないしな。
セシリアは避難誘導もするのだし、その方が効率的だろう。
私はオクトの方へ連絡を入れるとしよう。  
 

[16] リューイ・ウィンダリア 2020/03/26-21:59

リチェルカーレさん、纏めをありがとうございます。
ここまで上がっていることに従ってプランを進めています。
前衛が抑えで後衛の方がとどめを、ですね。複数攻撃がしてもらいやすいよう、広い場所に集められないかやってみます。
自分の担当使徒>その他中型使徒>大型の順に狙っていくつもりです。

スティレッタさん、戦闘乱舞を使うのでしょうか?
僕も一緒に使ってもいいですか?中型対応の人が多いので、分担すると早くかけられるのではと思うのですがどうでしょう。
あ、二コラさん、セラが魔術通信を分担しないかと言っています。村人用とオクト(謎の集団)用に…。どちらでもいいけれど、時間もないしセラが村人対応でもいいですか?
一応そのつもりで書いていますが、移った方がよければ教えてください。  
 

[15] ニコラ・トロワ 2020/03/26-21:20

今日が最終日だな。間が空いてしまってすまん。

リチェルカーレは纏めを感謝する。
それと大型に前衛が必要ならば私が動くべきだったかもしれんな。
すまんリコリス、感謝する。
中型をなるべく早く片付けて大型の方へ向かえるよう最善を尽くそう。
片付いたときは魔術通信で連絡を入れるようにしておこう。

そうすると中型の方は前衛が(おそらく謎の一団も一緒に)抑えている間に、後衛職の者達で仕留めて貰えると効率が良いだろうか。
村へ行くメンバーも前衛がちょうど4名いるしな。  
 

[14] リチェルカーレ・リモージュ 2020/03/26-00:08

リコちゃんが大型にいってくれるなら安心ですね。
どうぞよろしくお願いします。
村の中が落ち着いたら、わたしも外のお手伝いにいくのでどうか皆無理をしないで。
シアちゃん、林の方の回復、お願いね。  
 

[13] クリストフ・フォンシラー 2020/03/25-22:14

リチェちゃん、纏めを有難う。
そしてリコちゃん、移動有難う。
アリシアは回復役だし、このままだとヨナちゃんに一人で抑えに行って貰うようになるのかなと思ってたので助かったよ。
これなら大型には1人ずつ付けるし、ヨナちゃんには隙を見て全体攻撃とかして貰っても良いしね。
アリシアも回復に専念できそうだ。

あ、今更だけど、アリシアは林の方で構わないそうだよ。
リチェちゃん、村の方よろしくね。  
 

[12] リコリス・ラディアータ 2020/03/25-15:24

リチェはまとめありがとう。
うーん…確かに、大型の抑えにもう一人くらいいた方がいいかもしれないわね…
前衛が一体ずつ抑えている間に、残り一体をヨナとシアでってなると、近づかれたらやりにくそうだし。
ヴィオラとセシリアがシールド張って避難誘導をしてくれるなら、謎の集団の戦力を対中型に持ってこれると思うし、
よければ私が大型の方に移動しましょうか?
黒炎魔喰器はないけれど、注意を引き付けるくらいならできると思うわ。
その場合トールとは一旦離れることになるけど、中型をなるべく早く倒して合流ということで。  
 

[11] リチェルカーレ・リモージュ 2020/03/23-22:53

大型(林):シリウス、ヨナ、ベルトルド、クリストフ、アリシア
中型(村):リコリス、トール、ショーン、レオノル、リューイ、二コラ、バルダー、スティレッタ、リチェルカーレ、(セシリア)(ヴィオラ)
( )のふたりは避難誘導メイン?
敬称略

一応分けてみました。
あ、シアちゃん。とりあえず大型の方に割り振ってしまったけれどよかったかしら。
わたしとシアちゃんの能力はほとんど変わらないけれど、人が多いので魔力量が多少なりとあるしと自分を村側にしてみました。
変わった方がよければ教えてね。
大型は動きが鈍いということですし、大型担当の断罪者さんは皆黒炎魔喰器を持っているので抑えはお願いできるでしょうか?
個人的にはもうひとりくらい、前衛さんがいてくれると安心な気もしますけれど…。
中型を早めに倒して大型対応に合流という方法、良いですね。
わたしも回復がんばります。村人や謎の組織の皆さんも、怪我をしていたら治していきたいと思います。  
 

[10] クリストフ・フォンシラー 2020/03/23-22:20

今のところ中型希望で村へ行く人のが多そうだね。
それじゃあ俺は大型の方へ行こうか。
林の中は障害物があって動きにくいみたいだから一人一体担当できればと思うけど……難しいかな。

あ、リチェちゃん、禹歩七星は一緒にお願いしますってアリシアが。
あと回復役は、確かに村と林の中に分かれた方が良さげだよね。
リチェちゃんはどっちへ行きたいとかあるかな?
アリシアはどちらでも構わないそうだよ。  
 

[9] バルダー・アーテル 2020/03/23-21:50

うーす。挨拶が遅れてスマンな。
断罪者のバルダーと魔性憑きのスティレッタだ。
俺たちも謎の集団と共闘に賛成だ。
ただでさえ面倒なヨハネの使徒とやりあうっつーのに人間相手に事を構えるのは御免だ(げんなり
あぁ、それと。
俺たちは中型ヨハネの使徒を相手取ろうと思う。
とりあえず避難者への声掛けも心掛けるが…うむ。まぁとりあえず足手まといにならんよう努力することから考える。
あ、そうそう。スティレッタが味方の攻撃力を上げるスキルを持っているそうなんで、出来るだけ仲間に掛けていこうと思う。  
 

[8] ニコラ・トロワ 2020/03/22-23:02

拷問官のニコラ・トロワと占星術師のヴィオラ・ペールだ。
よろしく頼む。

そうだな。
謎の組織も優先順位は人々の安全らしいから、ここで我々に敵対するのは得策ではないと判るだろうし共闘に賛同する。
最初に魔術通信での呼び掛けもやってみよう。
シャルル先生を助けに行った時に、多少なりとも効果はあったようだし行けるかもしれない。
言葉が上からに聞こえないように気をつけて、とヴィオラから言われたので、その辺にも気を配る事にする。

避難誘導はこちらでやった方が良いのではないだろうか。
ベリアルではなく使徒ならば謎の集団でもトドメを刺せるだろうし、こちらの言う事を聞いてくれるか判らないからな。
ヴィオラがセシリアと一緒にシールドで村人を守りながら避難させたいと言ってるのだが、構わないだろうか?

中型と大型で分かれるのなら、レベル的に私は中型相手の方が良さそうだなと思う。
なるべく早く中型を殲滅して応援に行けるよう頑張ってみよう。  
 

[7] ヨナ・ミューエ 2020/03/22-22:32

狂信者ヨナ・ミューエおよび断罪者ベルトルド・レーヴェ。宜しくお願いします。

謎の一団についてはよく存じませんが、村人を守る目的で動いているのなら
ここでわざわざ敵対する必要はないでしょうし、共闘で異存ありません。

対応を大型と中型で分けるなら、そうですね⋯私達は大型の対応にまわりましょうか。
なるべく村の中の方へ向かわせないよう陽動してみるとか、
村に入られてしまってもタイミングをずらして一気に攻められないように調整できればと思います。
何なら中型対応のメンバーと挟み撃ちのように出来れば。  
 

[6] リューイ・ウィンダリア 2020/03/22-21:44

魔性憑きのリューイと占星術師のセシリアです。
どうぞよろしくお願いします。

謎の組織とは敵対しない、住民の安全を最優先にということですね。
僕たちもその方針で賛成です。

えっと、大型ベリアル対応と、中型ベリアル対応に分かれる…ですね?
僕たちはどちらでもなんですが、能力的なことを考えると、中型の方がまだお役に立てるかなと思っています。一応こちらを希望しますね。
セラはシールドを使いながら避難誘導をしつつ、ベリアルの牽制がしてみたいと言っていますがどうでしょうか。
あ、魔術通信の方ですが、やってみると言っています。落ち着くようにとか誘導に従って逃げてって言うだけでも、何も無いよりいいですよね。  
 

[5] ショーン・ハイド 2020/03/22-21:05

住民を守るためにヨハネの使徒と戦う謎の集団、か……。
ベリアルが絡んでいる訳じゃあないから可能性としては、そうだよな……。
ああ、自己紹介が遅れ……顔見知りばっかだな。
悪魔祓いのショーンと狂信者のドクター・ペリエだ。

謎の集団とは共闘する方向で問題ない。
……あちらが浄化師を嫌っている可能性については、まあこちらが身を挺して住民を守るなりヨハネの使徒に突っ込んでくなりすれば、あいつらもいがみ合う暇なんぞないと分かるだろうと俺は踏んでいる。
……あんま説得したくないんだよなぁあいつらのこと。
どうせこちらを嫌っているのは分かっているし、何言っても上から目線だ言われたら詰むし……だったら行動で示してから声かけた方が多分有効だろう。

あ、で、俺達は中型に対応しようかと思っている。
ただ、とりあえず大型が少々処理が難しそうなんでな。一体だけ黒炎で防御と魔法防御を下げられるからそれでデバフを掛けておこうと思う。一体でも倒しやすければそこから処理が楽になるだろう。  
 

[4] リチェルカーレ・リモージュ 2020/03/22-17:08

リチェルカーレです。パートナーはシリウス。
アライブは陰陽師と断罪者です。
どうぞよろしくお願いします。

謎の集団さんとは共闘する方向で、わたしもいいと思います。
協力は…あちらが浄化師が嫌いだと難しいかもですが、村の人を助けるという方向性は合わせられると思うんです。
まずは、村の人たちを助けないと。

中型と大型で対応を分けるんですね。メンバーを見ると動きの早い人が多いですから…シリウスは大型の押さえに回る、と。
わたしはどちらでもいいですが、シアちゃんと分担を分けられたらなと思います。シアちゃん、禹歩七星、わたしも一緒にさせてもらっていいかしら?
ひきつけ、シリウスも派手に動いてみると言ってます。後は、ニコラさんやセシリアさんに魔術通信で落ち着いて避難を…と呼び掛けてもらうのはどうでしょう?  
 

[3] リコリス・ラディアータ 2020/03/22-15:10

魔性憑きのリコリスと悪魔祓いのトールよ。よろしくね。

ええ、謎の集団とは共闘の方向でいきたいわ。
向こうがどう思っているかはともかく、こちらにはてきたいの意思はないのだし
村の人を助けるのが最優先ですものね。

ええと、村の中の中型と、林にいる大型の対処に分かれる感じかしら?
私達は、中型の方に行きたいわ。
シア達に禹歩七星をかけてもらって突入、謎の集団に共闘を持ちかけつつ使徒を撃破…の流れでいけたらいいな。
あと、村人の避難も必要よね。
私がスポットライトで敵を引き付けている間に、集団さんに協力してもらって逃げられればと思うのだけど…
こちらで指示ばかり出したら、反感を買うかしら?  
 

[2] クリストフ・フォンシラー 2020/03/22-07:54

断罪者のクリストフと陰陽師のアリシアだよ。よろしくどうぞ。

今の状況だと「謎の集団」とは共闘するのが一番いいよね。
敵視されてるみたいだけど、村の人達を助ける為って言えば協力はしてくれそうだし。
教団が敵視されてるとしても、村の人を助けようとする一団とは今後も協力できればと思うし、
できればこちらは友好的に接した方がいいのかな、とか思ってる。

やらなければけない事としては……
中型が村の中にいるみたいだから、それは謎の集団(オクト)と協力してなるべく早めに倒す。
そして村人の保護。
あとは、できれば大型を足止めする人も必要だろうか。

ひとまず俺達はどちらへ向かうのでも構わないよ。
アリシアが、最初にいつもの如く 禹歩七星 をみんなに掛けたいそうだよ。