~ プロローグ ~ |
『レヴェナント』。 |
~ 解説 ~ |
〇目的 |
~ ゲームマスターより ~ |
こんにちは、留菜マナです。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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B やっと、離れて、くれましたね… クリス、守ってくれて、ありがとう… ? なにか、言いました? ルゥちゃん?その、姿は… 姉の写真を見せた時に化けた姿 セミロングの黒髪、緑の瞳の16歳くらいの少女 私の、大切な人の姿、ですから 嬉しい、です ルゥちゃんにも、大切な人が、できたのですか? お友達、です?それとも家族の、ような? お相手は、どんな方、ですか? え、クリスの姿を、真似したいと言ってる、と…? それは……その、私が、複雑な気持ちに、なりそう、なので… クリスの提案にホッとし、はにかんだように微笑 それは、素敵です 贈り物…名前、なんて、どうですか? ミキさん…くん?は、どうでしょう ルゥちゃんの名前と、繋がりもあるので… |
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B なかよくなりたいひとがいるの 小さな告白に表情を輝かせて そう 聖樹森で会ったドッペルさん…お名前は? カノンちゃんの反応に ふふと笑って 名前は大切だと思うの 沢山の中の一人じゃない あなただけを見てるのよって カノンちゃんもそう わたしやシリウスの姿を映しても やっぱりどこか違う だってカノンちゃんはカノンちゃんだもの 一緒に名前を考える まっすぐな目がすてき そんな言葉にちらりとシリウスを見て 星や光に縁のある言葉… アステルというのは? 古い言葉で 星のことなの ブルーベルの花弁に似た 青い羽の耳飾り 幸せを祈る 元気でと願う 人もドッペルも同じよ カノンちゃん ブルーベルのおまじない 今度一緒にやりましょう 頑張って と笑顔で抱きしめて |
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いやドクターそんなニホンの赤飯みたいな… 所でらぷ、友達というのは…? 知らない? 詳しく聞けば名前がない上にずっとフードを被っていて素顔も見えない、とのこと まだ個が定まってないのか…? 仲良くなるためのアドバイス? 回りくどい方法は意味をなさない 率直に友達になりたいでいいんだ それと会う回数を増やせばいい 顔を合わす回数が増えると嫌われちゃいない限り親密になりやすい 所で件のドッペルの名前…えっ ドクター、なっちって何ですか… なっちのフードの下の顔に驚愕 それはやめた方がいい! だったら俺をモデルにしろ! 髪や目の色を変えてちょっと背格好変えればいいだろ! な、何を見たかは言えるもんか… |
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B イヴル達の件が終わって暫く 時間を見つけて二人のドッペルに名前をつける 色々考えたのですけれど『ユエ』という名前はどうでしょう? ユエさんに色々教えて下さった貴方は『シン』 異国の言葉で月と星を指します 星々は明るいうちは見えなくても変わらずそこにあるんですよ 1 ユエ 最初のドッペル 大抵ヨナの姿♀ 素直 シン 途中参加ドッペル 保護時の男の姿♂ ぶっきらぼう ベ 前に返信能力を教わったと言っていたが そうか⋯(何となく把握した顔 シンは群れるのを避けているようだし一見とっつき難いが あれで案外面倒見は良いんだ ヨ そうだったんですか? まあ こういう話はええと⋯ 私達がお手伝いしてもいいのでしょうか⋯? |
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A 夢の聖女について調査して、その後はアルエットと息抜きでもしようと思ってたら… いつの間にかたくさんの人に囲まれてるトールを見て べ、別にやきもちなんて妬いてないわ(ちょっとモヤモヤしたけど) トールにその気がないのなんて見れば分かるし …でもさすがに止めた方がいいかしら 村人達に割って入り あなた達、見込みのない恋なんて諦めなさい 他にきっと相応しい人が現れるわ え?私?そいつのお姫様よ! 見せつけるようにトールに抱きつき うーん…一目惚れの女の子だけじゃなくて、熱烈なファンもいたのね ちょっと早計だったかしら こんな時は…逃げるが勝ちよね! トールの手を引いて人込みをかき分け はいはい、お時間でーす!また御贔屓にー! |
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■B ナツキ:す、すっげぇモテモテだったな、ルーノ ルーノ:(ぐったり溜息)…しかし浄化師に会えると言われたとは、引っかかるな 2 新しい能力を教えてくれたドッペルに憧れと好意を抱いている “好き”の種類はわからないけど、もっと仲良くなりたい 3 一緒に楽しめる物を勧めてみる 食べ物やトランプ等のゲームも良いかもしれない ルーノ:プレゼントついでに一緒に過ごす事ができるかもしれないだろう? ナツキ:おぉ、なるほど! ルーノ:…君もなにかアドバイスは無いのか ナツキ:えーっと…プレゼントと一緒に、仲良くなりたいって伝える? 助言の後、情報収集の協力を頼んでみる ドッペルをナツキに付け、ルーノは一人で 手分けして情報を集めたい |
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この間の、ラウレシカが最後に言ってた妹ってのは気になるし、調査したいけど… レティーシアや他のドッペルにも聞いてみる? 「レティちゃん、サクリファイスの他の幹部の事とか、知ってる?」 最後にすっごく睨まれてたのなんだったのかな カグちゃんとレティちゃんと休憩と情報整理にカフェのオープンテラスで遅い昼食 傍から見たら、両手に花なんだろうか等と思いながら ミートボール入りミートソースパスタを味わってると 何か告白された 「…はい?」 僕が!カグちゃん以外に愛を囁くと思ってるの?! いや、本の整理手伝ったのは君のお姉さんだからだし 顔色悪いから無理しないでねって言っただけだし ぶっちゃけ カグちゃん以外はどうでもいいんだけど |
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サクラ:聖女ねぇ キョウ:はい、夢の聖女らしいです。 サクラ:夢の中でしか会えないから夢の聖女? キョウ:夢を与えてくれるからそういう風に呼ばれているかも知れません。 サクラ:どちらにしろ調査すれば良いのよね。 キョウ:寝ますか? サクラ:良いけど? キョウ:冗談ですって人増えてきましたか? 【行動:A】 サクラ あら、私にそんな事を言うなんて物好きなのね。 運命ねぇ、予言を鵜呑みにしちゃうくらい恋人作りたいの? その運命の人は私じゃないけど浄化師は私たちよ。 大切なモノは近くにいると思うけどなぁ。 愛?の告白には答えれないけどサインだったらいくらでも書いてあげる。 所でどうやって聖女に会えるのかしら。寝る以外に何かした? |
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~ リザルトノベル ~ |
「アリシアに迫ってきた連中をやっと追い払った」 「やっと、離れて、くれましたね……。クリス、守ってくれて、ありがとう……」 『クリストフ・フォンシラー』の言葉に、『アリシア・ムーンライト』は胸を撫で下ろした。 「この俺の目の前で、いい度胸だよね」 「? なにか、言いました?」 クリストフの言葉を聞き留めて、アリシアはきょとんとする。 「ん? いや、何でもないよ。それより、ルゥちゃんが何か言いたそうだよ」 「ルゥちゃん? その、姿は……」 アリシアが視線を向けた先には、アリシアに似た面影の少女が立っていた。 セミロングの黒髪。 緑の瞳に暖かい眼差しを宿した少女。 ドッペル――ルゥが変わっていたのは、16歳くらいの時のエルリアの姿だった。 「私の、大切な人の姿、ですから嬉しい、です」 「エルリアの姿……。まあ、いいか。本人と会うこともないだろうし」 アリシアの優しい声音に、クリストフもまた、微笑む。 「あの、私――」 そこで、ルゥが自身の想いを綴る。 「ルゥちゃんにも、大切な人が、できたのですか?」 アリシアが柔らかな笑みを零す。 「お友達、です? それとも家族の、ような? お相手は、どんな方、ですか?」 「新しい能力を、教えてくれたドッペルで、よく解らないけど、大切な、人……なんだと思います」 ルゥは相手の事を説明する。 「大切な人か。あの能力を教えて貰った時に親しくなった、ってとこかな」 クリストフがそう感じていた所で、ルゥは想定外な発言を口にした。 「え、クリスの姿を、真似したいと言ってる、と…?」 「俺の姿? 俺の姿のドッペルとエルリアの姿のルゥちゃん……」 クリストフが視線を向ければ、アリシアは複雑そうに表情を曇らせていた。 「それは……その、私が、複雑な気持ちに、なりそう、なので……」 「自分の姿をしょっちゅう見るのも何だから、せめて髪や目の色変えない? この空みたいな青の髪に銀の光を宿す瞳、とかさ」 クリストフの提案にホッとし、アリシアははにかんだように微笑する。 「それは、素敵です」 「はい、伝えてみます」 ルゥは幸せに浸った。 「ルゥちゃんの気持ちはまだ淡くて、恋心なのか友情なのか曖昧みたいだ。俺のエルリアへの気持ちもそんなだったな」 クリストフは昔を懐かしむように想いを馳せる。 「贈り物……名前、なんて、どうですか?」 「名前、ですか?」 アリシアの発案に、ルゥは目を瞬かせた。 「ミキさん……くん? は、どうでしょう。ルゥちゃんの名前と、繋がりもあるので……」 「ミキくん、あの人の名前……」 ルゥは、その名前を口にする。 「ルゥちゃん、いつもありがとうって伝えてみて。きっと相手は喜ぶよ」 「はい……」 クリストフの提案に、ルゥは期待を膨らませるように微笑んだ。 ● 「なかよくなりたいひとがいるの」 ドッペル――カノンの小さな告白に、『リチェルカーレ・リモージュ』は表情を輝かせた。 「そう。聖樹森で会ったドッペルさん……お名前は?」 「……っ」 相手は、名前を持たないドッペル。 そんなカノンの反応に、リチェルカーレはふふと笑って続けた。 「名前は大切だと思うの。沢山の中の一人じゃない。あなただけを見てるのよって」 リチェルカーレが優しく語りかける。 「カノンちゃんもそう。わたしやシリウスの姿を映しても、やっぱりどこか違う。だって、カノンちゃんはカノンちゃんだもの」 「わたしは、わたし」 そう口にしたカノンの表情は、喜びに満ちていた。 誰かの姿を借りないと話ができない。 『シリウス・セイアッド』は初めて会った時、カノンが言った事を思い出す。 その上で改めて、カノンの様子を窺う。 (……個性が出てきた……? 笑い方や話し方が、リチェとは少し違う。模倣する生き物だと言っていたが、違うのかもしれないな) シリウスは表情を和らげて、2人を見つめた。 リチェルカーレ達は一緒に、相手のドッペルの名前を考えていた。 「まっすぐな目がすてき」 カノンのその声は切実に満ちている。 そんな想いを伴う言葉に応えるように、リチェルカーレはちらりとシリウスを見つめた。 「星や光に縁のある言葉……。アステルというのは?」 「アステル?」 「古い言葉で、星のことなの」 リチェルカーレの柔らかい声音に、カノンは花が綻ぶように笑う。 「他に何か出来る事はないかしら?」 アドバイスを求められ、シリウスは僅かに困った顔を浮かべる。 「……リチェでも俺でもない、外見にしてみたらどうだ。よりお前らしい姿に……」 シリウスがそう発した瞬間、長い黒髪、青と碧の瞳の少女の姿に変わったカノンに目を眇める。 「……いいんじゃないか?」 「ありがとう」 シリウスの称賛に、カノンは微笑んだ。 リチェルカーレ達は贈り物を探して、出店を歩いていく。 本来、こういうことは苦手なシリウスだったが、それでも必死な顔のカノンを放っておけなかった。 「贈る相手の喜ぶ顔を考えて選ぶのよ」 穏やかに笑うリチェルカーレに、シリウスは苦笑する。 (……それが一番ハードルが高い) シリウスは小さくため息を吐く。 やがて、出店に置かれたものが、リチェルカーレ達の目に止まる。 それは、ブルーベルの花弁に似た、青い羽の耳飾りだった。 リチェルカーレは幸せを祈る。元気で、と願う。 「人もドッペルも同じよ、カノンちゃん。ブルーベルのおまじない、今度一緒にやりましょう」 「ええ、ありがとう」 「頑張って」 リチェルカーレは笑顔でカノンを抱きしめる。 教団に着いたシリウス達は、駆け出すカノンを見送った。 「夜空色の目をした背の高い青年がアステルか」 カノンが寄り添う青年を見て、シリウスは微かな笑みを浮かべた。 ● 「らぷちゃんにお友達が! ショーン、ケーキ買わないと! 一大事だよ、お祝いしなきゃ!」 「いや、ドクター。そんな、ニホンの赤飯みたいな……」 感銘を受ける『レオノル・ペリエ』の様子を見て、『ショーン・ハイド』は苦笑した。 「所でらぷ、友達というのは……?」 「何も知らないんだよね……」 「知らない?」 予想外なドッペル――らぷの答えに、ショーンは怪訝な表情を浮かべる。 詳しい事情を聞けば、名前がない上にずっとフードを被っていて素顔も見えない、との事だった。 「まだ、個が定まってないのか……?」 ショーンは状況を把握した。 「とりあえず、らぷちゃんが私に瓜二つなのはちょっと不都合だよね……」 レオノルは、人気が無さそうな場所まで移動する。 「それに髪の毛も……手入れが行き届いてないみたいだし、長髪はちょっと大変だよね」 レオノルは、らぷの髪を櫛で梳かしていく。 「ショートボブにしようか。それだけでも、雰囲気変わるよ」 「仲良くなるためのアドバイス?」 ショーンの視線の先にいるのは、緊張した面持ちで尋ねるらぷの姿。 「回りくどい方法は意味をなさない。率直に友達になりたいでいいんだ。それと会う回数を増やせばいい。顔を合わす回数が増えると嫌われちゃいない限り、親密になりやすい」 ショーンの助言に、らぷの瞳はどこまでも真っ直ぐだった。 「うーむ。それにしても、もっと仲良くなる方法と、プレゼントか……。別に、特に意識する必要はないと思うよ」 レオノルの発言に、らぷは目を瞬かせる。 「大事だってことは、相手に行いで伝えればいい。あまり特別に思いすぎず、人として誠実にね」 「行いで伝えるんだね」 「うん、今、私達に話している感じでいいんだ。不誠実だったり、肩肘張るような仲だと長続きしないし」 レオノルのその気遣いに、らぷは心を奪われた。 「プレゼントはお菓子でいいんじゃないかな? まず一緒に食べて、話のきっかけをつくっておいで」 レオノルは、らぷにお菓子を手渡す。 「らぷちゃん。なっちに、しっかり行いで伝えるんだよ!」 「所で、件のドッペルの名前……えっ」 レオノルの鼓舞に、ショーンは続けようとしていた言葉を失って唖然とした。 「ドクター、なっちって何ですか……」 らぷから手渡されたお菓子。 しかし、受け取ったドッペル――なっちの表情は、フードに隠れて窺えない。 不安を抱くらぷ。 そんな彼女を見かねて、ショーンはなっちのフードに触れた。 「なっ!」 だが、ショーンは、なっちのフードの下の顔に驚愕する。 「それはやめた方がいい!」 「この姿しか、思い付かない」 「だったら、俺をモデルにしろ! 髪や目の色を変えて、ちょっと背格好変えればいいだろ!」 狼狽えるショーンに対して、レオノルが疑問を投げ掛ける。 「ショーン、どうしたの?」 「ドクター、何でもありません」 動揺を押さえつつ、ショーンは応える。 「な、何を見たかは言えるもんか……」 ● イヴル達の件が終わって暫く、『ヨナ・ミューエ』達は時間を見つけて、二人のドッペルに名前をつけていた。 「色々考えたのですけれど、『ユエ』という名前はどうでしょう?」 「ユエ……私の名前……」 ヨナの第一声に、ドッペル――ユエは心惹かれる。 「ユエさんに色々教えて下さった貴方は『シン』。異国の言葉で、月と星を指します。星々は明るいうちは見えなくても、変わらずそこにあるんですよ」 「名前なんて、どうでもいい!」 ドッペル――シンは有無を言わせない口調ではっきりと言い放つ。 そっぽ向くと、話は終わったとばかりに立ち去っていった。 「シンに、お礼がしたいの……」 ユエが口にした想い。 「前に変身能力を教わったと言っていたが、そうか……」 『ベルトルド・レーヴェ』は何となく把握した顔を浮かべていた。 「シンは群れるのを避けているようだし、一見とっつき難いが、あれで案外、面倒見は良いんだ」 「そうだったんですか?」 「……うん」 ヨナの呼び掛けに、ユエは伏し目がちに応える。 「まあ、こういう話はええと…… 私達がお手伝いしてもいいのでしょうか……?」 「確かに彼……シンは周りの人をまだ信用しきれてないみたいだけど、きっと大丈夫」 ヨナの疑問に、ユエは必死に言葉を紡ぐ。 「私のこと、失敗作って言ったの、気にしてたみたいで……」 ユエは噛み締めるように眉を下げて笑う。 「だからかな? 辛抱強く、私に変身のやり方を教えてくれたの」 脳裏に蘇るのは、新しい能力を教えてくれたシンの姿。 「お陰で、みんなの役に立てて嬉しかった。それでシンに、お礼をしたいなって、思って……」 ユエは顔を紅潮させながら、その声は徐々に小さくなっていく。 忘れもしない――あの時の情景が浮かび上がる。 『……変身、出来ない』 『他の奴らは、とっくに出来ている。まだ、出来ないのか』 『ご、ごめんなさい……』 ユエの潤んだ瞳を、シンは無愛想とした態度で見つめ返す。 それでも、最後まで付き合ってくれた。 どれだけ真剣かなんて、それだけで瞭然で……だからこそ、痛みを覚えるくらい胸が締め付けられたのだ。 ヨナ達は出店を回り、一緒にプレゼント選びに出掛けていた。 「綺麗」 ユエが選んだのは、鈴蘭の刺繍が入った白いハンカチだった。 「まずは感謝の気持ちをできる限り、伝えてみたらどうか」 「上手く言えるかな」 ベルトルドの提案に、ユエは頷いた。 それに加えて、2人からユエに封書を差し出す。 封書の中身は、前に3人で行った遊園地の入場券だった。 「以前、とても楽しそうにしていただろう?」 「プレゼントと一緒に誘ってみてはどうでしょう」 「……うん」 ヨナ達を見つめる、ユエの揺るぎない眼差し。 その瞳には、一途な意思だけが宿っていた。 ● 「好きです。夢で見た運命の人なんです」 「え? 夢で見た運命の人……?」 『トール・フォルクス』は突然、告白されて困惑する。 (夢の聖女について調査して、その後はアルエットと息抜きでもしようと思ってたら……) いつの間にか多くの人に囲まれているトールの姿が、『リコリス・ラディアータ』の視界に入った。 「人違いじゃないか……? 俺には……」 トールは助けを求めるように、ちらっとリコリスの方を見る。 「ああっ! リコがなんか楽しそうに見てる!」 だが、トールの思いも虚しく、リコリスはその場に佇んでいた。 (べ、別にやきもちなんて妬いてないわ) リコリスは僅かにモヤモヤした気持ちを抱かせながらも続ける。 (トールにその気がないのなんて見れば分かるし。……でも、さすがに止めた方がいいかしら) 人々からの質問攻めと、ひっきりなしに迫られるトールの姿。 それを見たリコリスは決心した。 「あなた達、見込みのない恋なんて諦めなさい。他にきっと相応しい人が現れるわ」 リコリスは人々の中に割って入り、助け船を出した。 「あなた、誰?」 「え? 私? そいつのお姫様よ!」 リコリスは見せつけるように、トールに抱きついた。 それに便乗して、トールもまた、しっかり腰を抱き寄せる。 「紹介するよ。彼女が、俺のお姫様でパートナー。大好きなリコだよ」 「ええー!!」 「そんな……!」 女性達に、幾多の悲鳴が木霊する。 やがて、彼女達は諦めて去っていく。 しかし、立ち去ったのは半分、残りは浄化師に憧れているだけだった為、お構いなしに――熱狂が溢れ返った。 「すげえ!」 「美男美女のカップル!」 熱烈なファン達が騒ぎ立てる。 それは、トールだけに留まらず、リコリスにも向けられてしまう。 「うーん……。一目惚れの女の子だけじゃなくて、熱烈なファンもいたのね」 リコリスはため息を吐いた。 「ちょっと早計だったかしら。こんな時は……逃げるが勝ちよね!」 (むしろ、『美男美女のカップル!』とか騒がれて……どうしようか……って、おっと) リコリスが、トールの手を引いて人込みをかき分けていく。 「はいはい、お時間でーす! また御贔屓にー!」 「そ、そういうことだから、じゃあ!」 即断即決。 リコリスは、トールを引っ張ってその場を走り去っていった。 「さっきの人達も、夢の聖女の影響を受けていたのかな?」 トールは怪訝そうに先程、居た場所を見遣った。 「ともかく、調査を再開しよう。終わったら、改めてアルエットと遊んであげような」 「ええ」 リコリスは頷いた。 ● 「聖女ねぇ」 「はい、夢の聖女らしいです」 『サク・ニムラサ』は興味深そうに、『キョウ・ニムラサ』と共に辺りを見回っていた。 「夢の中でしか会えないから夢の聖女?」 「夢を与えてくれるから、そういう風に呼ばれているかも知れません」 サクの問いに、キョウは推測する。 「どちらにしろ、調査すれば良いのよね」 「寝ますか?」 「良いけど?」 キョウの質問に、サクもまた疑問を返す。 「冗談ですって、人増えてきましたか?」 キョウのその疑念に同調するように、人々がサクのもとに殺到した。 「あなたが好きです!」 「ここで待っていたら、僕の運命の人に会える、と予言を受けました」 「サインして下さい」 熱心な想いを次々に口にする。 「あら、私にそんな事を言うなんて物好きなのね。 運命ねぇ、予言を鵜呑みにしちゃうくらい、恋人作りたいの?」 「はい」 「その運命の人は私じゃないけど、浄化師は私たちよ。大切なモノは近くにいると思うけどなぁ」 サクは応えながらも、求愛してくる人達を鬱陶しいと感じていた。 「愛の告白には答えれないけど、サインだったらいくらでも書いてあげる」 「ありがとうございます」 ただし、熱烈なファンには、普通の対応で接している。 「おや、求愛を受けると思っていましたが、意外ですね。さすがに人数が多いからでしょうか? 1人ならまだしも、2人目が出てくるとそうなりますよね」 ペンを走らせるサクを見て、キョウは意外そうに言う。 「サインを書くのも良いですが、ちゃんと仕事して下さい」 キョウは、サクの周囲に集まった人達がド直球に好きと言える事を羨ましく感じていた。 ただ、予言の後押しがあっても、自分は言わないだろうなとも考えていた。 「所で、どうやって聖女に会えるのかしら。寝る以外に何かした?」 「夢の聖女様を提唱している女性にお願いすると、確実に会えます」 サクは異変の状況を掴む為に尋ねる。 「欲しい予言があって寝たの?」 「最初は違ったのですが、今はその想いが強いです」 話しかけられた折りに、サクは聞き込みを繰り返す。 「言われた予言はどうだったのかしら?」 「当たっていました」 「怪しい人を見なかった?」 「怪しい人は見ていません。聖女様を提唱している女性はよくお見かけしますが」 サクは今までの情報を纏める。 「つまり、聖女を提唱している女性に会う事が近道なのね」 サクは呟いて、同時に疑問が生じた。 「どこにいるのかしら?」 サクは道行く人達に視線を走らせる。 その時、一人の女性の姿が目に止まった。 意味深に微笑んだまま、人混みの中に消えていく。 「キョウヤ、追うわよ!」 「はい」 サクの言葉に、キョウは応えた。 ● 「この間の、ラウレシカが最後に言ってた妹ってのは気になるし、調査したいけど……」 「夢の聖女=ラウレシカの妹、と判断材料はない。仕掛けて来るにしても、この地域周辺だけっていうのも……」 『ヴォルフラム・マカミ』の懸念に、『カグヤ・ミツルギ』は思案した。 「第一、夢の聖女=サクリファイスかも解らないし、妹が何かしら仕掛けて来る可能性がある、と知ってるだけだし」 「レティーシアや他のドッペルにも聞いてみる?」 ヴォルフラムは思考する。 「レティちゃん、サクリファイスの他の幹部の事とか、知ってる?」 「申し訳ありません。私達は、イヴル様のもとに居た幹部の方しか……」 「ラウレシカの妹は、イヴル達のもとには、居なかった……」 レティーシアの言葉を汲んで、カグヤは状況を示唆した。 「最後にすっごく睨まれてたのなんだったのかな」 「睨まれてたの、ボマーをことごとく潰したからかも」 ヴォルフラムの言に、カグヤは想到する。 「ただ、あの時、ボマーばかりだったのが気になる……」 「――っ! カグちゃん!」 カグヤが思考を走らせたその時、放たれた殺気。 飛んできた弾丸に対して、ヴォルフラム達はそれぞれの武器で対処した。 それを見届けた女性が、人々の隙間を縫うように立ち去っていく。 「今の、何だったのかな」 「解らない……。でも、ラウレシカに、雰囲気が似ていた気がする」 ヴォルフラム達は周囲を警戒してから、カフェへと足を運んだ。 カフェのオープンテラスで遅い昼食を取りながら、休憩と情報整理を行う。 (傍から見たら、両手に花なんだろうか) ヴォルフラムはそう思いながら、ミートボール入りミートソースパスタを味わっていた。 カグヤも、ホットサンドを食べる。 食事と情報に絞って考えていたヴォルフラム達は、気づかなかった。 店内に入ってから、人々の注目を集めていた事を。 「あなたが好きです!」 「……はい?」 「……」 店内の人々が、ヴォルフラムの目の前に殺到していた。 「……ヴォル、告白される様な事、したの?」 確認するようなカグヤの声。 「案外、八方美人だから、勘違いさせるような事、したんじゃ?」 「僕が! カグちゃん以外に愛を囁くと思ってるの?!」 ヴォルフラムは驚愕する。 「下姉さまが本の整理してたら、手伝ってくれたって、さらりと手を貸してくれるところがいいって言ってた」 「いや、本の整理手伝ったのは、君のお姉さんだからだし」 ヴォルフラムは気圧される。 「……。後は、食堂でサポートに入れられて、受け取りとかの時に声かけられたって赤面してる人が何人かいたし」 「顔色悪いから無理しないでねって言っただけだし」 カグヤは続けた。 「疑ってないけど、気を付けた方がいいと思う」 「ぶっちゃけ。カグちゃん以外は、どうでもいいんだけど」 ● 「す、すっげぇモテモテだったな、ルーノ」 「……しかし、浄化師に会えると言われたとは、引っかかるな」 『ナツキ・ヤクト』の言葉に、『ルーノ・クロード』はぐったりとした顔でため息をついた。 「まさか、浄化師がここに来ると聖女は知っていた? 誘き出されたという可能性は……」 ルーノの思考は一つの推論を導いていた。 「話の途中で申し訳ない」 そこで、ルーノの姿をしたドッペルが自身の想いを伝えてくる。 「何、仲良くなりたい? 今はそれどころでは……」 「……そうか。このような話をしてしまってすまなかった」 ドッペルは悲しげに肩を落とした。 あまりの落ち込みように、ルーノは続ける。 「待て、分かったから、私と同じ姿でしょげるのはやめてくれ」 「ありがとう」 「すげぇ、ルーノがしょんぼりしたり、喜んだりしてる……!」 ナツキは信じられないといった顔で、ドッペルに視線を送る。 「……あ、こっちはルーノじゃなくてドッペルだったな」 ナツキの視線に気がつかないまま、ドッペルは喜びを噛み締めていた。 「一緒に楽しめる物を渡してみてはいいんじゃないか。食べ物やトランプ等のゲームも良いかもしれないな」 「楽しめる物か」 ルーノの提案に、ドッペルは思案を重ねる。 「プレゼントついでに一緒に過ごす事ができるかもしれないだろう?」 「おぉ、なるほど!」 ルーノの案に、ナツキは驚嘆した。 「……君もなにかアドバイスは無いのか」 「えーっと……プレゼントと一緒に、仲良くなりたいって伝える?」 ルーノに話を振られ、ナツキは戸惑いながらも答える。 「ナツキのそれは助言なのか……。気持ちを言葉にするというのは、難しいものだよ」 「難しいってのはわかるけど、やっぱ言わなきゃわかんねぇって! プレゼントは自分の為に選んでくれた物なら悪い気はしないし、好意があるって言われたらやっぱ嬉しいだろ?」 「そうだな」 同意を求めてきたナツキに、ドッペルは応えた。 「なら、異変の調査に戻ろうか」 そこで話題を変えるように、ルーノは調査の件を持ち出した。 「だけど、思っていたより、ブルーベルの丘って広いんだな」 「周辺の村の調査も含めると、手分けして調査を行った方がいいだろうね」 ナツキが周りを見渡していると、ルーノは応える。 ナツキはドッペルの協力を得て、周辺の村への聞き込みに向かう。 ルーノは一人でここに残り、情報を集めた。 「夢の聖女様? 夢の中でしか会えないな」 「彼女の夢を見る時に、何か変わった事は?」 「聖女様を提唱している女性にお願いしたら、確実に会えるの」 話を聞いていたルーノは、その情報に疑問を感じる。 (夢の聖女と繋がっている人物がいたのか) その時、感じた視線。 女性が、人混みの向こうへと消えていくのが目に入った。 「――待て!」 ルーノが、その姿を視界に捉えた瞬間。 「あら? 貴方も追いかけていたのね」 走ってきたサク達にぶつかりそうになった。 「すまない」 ルーノは謝罪し、女性が居た場所へと視線を向ける。 しかし、そこには彼女の姿はなかった。
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*** 活躍者 *** |
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