~ プロローグ ~ |
機械都市マーデナクキス郊外。 |
~ 解説 ~ |
○目的 |
~ ゲームマスターより ~ |
おはようございます。もしくは、こんばんは。春夏秋冬と申します。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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利用するためだけに 自分を信じていた人を利用して… 絶対間違ってる ひとりでも犠牲が減るよう全力を尽くすわ ダヌ様にはMP回復をお願い 魔術真名詠唱 気をつけてとシリウスに シアちゃんと協力して禹歩七星 逃げて! ここにいたら殺されてしまう! ボストールへ向かいながら声かけ シアちゃんと被らないよう 立ち位置に気をつけ 仲間の回復と鬼門封印で支援 直接向かってきたら 禁符の陣で迎え撃つ 鬼さんこちら、よ …シリウス! 一瞬でも動きを止めれば 仲間がなんとかしてくれる 魔法には雷龍で反撃 もうやめて わたし達は装置じゃないわ 命を奪って魔法陣に使うなんて間違ってる 仲間陰陽師に 味方の回復と夜明け団(死亡しそうな人や捕縛した人)の回復をお願い |
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このまま、人が、蹂躙されるなんて、見たくないです…… みんなを、助けるためには…… 唇を噛みしめクリスの言葉に頷いて ダヌ様にはMP回復をお願いします 魔術真名詠唱 リチェちゃんと一緒に禹歩七星を皆さんに クリスと一緒にボストールの所へ 夜明け団の方が立ち塞がる時は「お願い、逃げて下さい……!」 なるべく中衛の間合いから鬼門封印での支援と リチェちゃんと被らないよう気を付けながら天恩天賜での回復 できればリコちゃんの回復をすぐ行えるよう近くに 雷が放たれた時は式神召喚 近くに前衛がいる時は庇います 戦闘が終わったら味方浄化師の陰陽師の皆さんにも頼んで みんなで夜明け団も含む怪我人の回復を 皆さんが、無事で、良かったです…… |
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ダヌ様の加護はHP回復 魔術真名詠唱して前へ ボストールに対応、前衛へ スポットライトで注意を引き付け、夜明け団から注意をそらさせる 次に戦踏乱舞で前衛の支援 その後は回避を重視しつつ、味方の攻撃とタイミングを合わせ蘭身撃で攻撃 ミョルニルハンマーの強制ダメージは防げないので 衝撃で飛ばされたりしないようにだけ気を付けてダヌ様や仲間の回復を頼る 雷弾強襲を使われるのを警戒 前振りの動作があるか、魔力感知でタイミングを計れないか試してみて、 分かれば周囲に知らせる 哀れなお山の大将さん 撤退なんてぬるいことは言わないわ こっちが勝つまでやってあげる それにあなたの名前が気に入らない 私の一番大切な人と同じ名前だなんて生意気よ |
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前も酷く違和感を覚えたんだが…人形遣いにとって夜明け団は仲間じゃあないのか? 何らかの目的があるとはいえ自分の仲間を生贄に捧げるのは自分の首を絞めるんじゃ… ボストールの対処 黒炎を解放後ランキュヌでボストールの防御魔法防御を下げる ドクターからの情報を考慮しつつエナジーショットで攻撃 部位を狙う以上当たりづらいだろうから命中を可能な限り上げる 胴体→頭部→四肢の順で攻撃 その後一番攻撃が効いたであろう箇所を考慮して頭部にを集中攻撃する 人形遣いが出てきたら伝葉を持っているかどうか観察 持っているならその手を狙って撃ち抜いてやる 夜明け団は戦闘終了後に手当てをしよう 勘違いするな 死なれたら寝覚めが悪いだけだ |
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■夜明け団 ルーノは一般浄化師と共闘し夜明け団の捕縛 分断と集中攻撃を繰り返し、一度に対応する数を限定し数的不利の軽減を図る 禹歩七星で進軍支援・禁符の陣の行動妨害を主として 分断の為に戦況を把握し、回復も行う 制圧後トール対応へ加勢 夜明け団を率いる男は治療 彼らの血を流したくないと率直に告げ 部下への停戦・投降指示を要請 ■トール ナツキは真っ直ぐトールへ 夜明け団から注意を逸らす為にも、余計な事は考えずトールとの戦いに集中 攻撃して気を引いたら黒炎発動 接近戦を挑み後衛への被害を防ぐ 雷球はぎりぎりまで引き付け、トール自身の体も盾に躱す スキルで出血や凍結を狙いつつ 頭へ攻撃できる好機には特殊能力で確実なダメージを狙う |
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これは何という状況だ 私は魔術通信を用いて終焉の夜明け団に呼び掛けるので マドールチェは皆協力して欲しい セシリアと共に夜明け団に漏れなく伝わるよう手分けして呼び掛ける 終焉の夜明け団! 私達はあのベリアルを倒しに来た お前達と敵対する意思はない 向かってくるならやむなしだが、投降するなら必ず護る事を約束する 逃げるならそれでも良い、とにかくベリアルに向かうな こちらが抑えてる間に命を優先に行動しろ なるべく攻撃はしないようにするが 向かってこられればスキルなしで対応 数が多い場合は味方がいない場所まで移動しグラウンド・ゼロ使用 捕縛やらは味方浄化師に任せる 夜明け団が何とかなりそうならベリアルの方へ ダヌ様にはHP回復を |
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この場での戦闘を治めることが目標 ・三強トールの討伐もしくは撤退 ・可能な限り夜明け団の人間を殺させない 三強トール対応 魔術真名詠唱後、リューイは戦闘乱舞を仲間に セシリアは他の同族浄化師と協力 夜明け団員に魔術通信「逃げなさい」「私たちは貴方達を殺さない」と 二人とも 女神ダヌへはMP回復を希望 リ:仲間の支援を中心に動く 遠距離攻撃の仲間にまず流麗鼓舞 次に前衛のメインアタッカーに 他の人の攻撃が当たりやすくなるよう、相手の体勢を崩せるよう動く 近くに夜明け団がいれば逃げるよう勧告 セ:ペンタクルシールドで回復役の護衛 フォースカップを近くの仲間に 少し離れた位置から全体を見る 雷魔法がくるときは魔術通信で戦場全体へ周知 |
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終焉の夜明け団… やっと人形遣い…組織そのものに利用されていたと気が付いたようですね 今回訪れたこの機会 無駄には出来ません ベルトルドさん 私は考えていました 神を倒し世界を救うとはどういうことかを 善い人だから助けたい そんな言葉を聞きながらずっと疑問を抱えていた 刃向かう者は そも助けるに値しないのかと 彼らがもし救い求めて来たら?手を払いのけられるだろうかと 大切な人 善良な人 救える人だけ救う では足りない 世界を救うというのならば 私は全てを救いたい それを目指さずして!何が!神の打倒だと! 終焉の夜明け団対応 混乱する終焉の夜明け団を助け逃げるよう促す 攻撃行動は露払いのみ ベリアルが夜明け団に手を出すなら挑発し気を引く |
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サクラ:もっと殺して殺して。 キョウ:都合の良い事には裏があるものですよ。 サクラ:それもそうねぇ。動かれるのは癪だし。 キョウ:それでは行きましょう。 サクラ:もちろん。出遅れちゃあだめよぉ。 キョウ:当たり前を聞くのは時間の無駄ですよ。 【行動】ボストール狙い サクラ あらあらぁ今まで見たベリアルの中で一番馬鹿っぽいわぁ。 そう喋りながらエアーズスナイプで狙う先は人形師 見学料はお前の死で良いのだけど? 残る残らないはどうでもいいわ人形遣いへの興味は失せちゃった。 さあ魔術真名詠唱しましょう。 リンクマーカーⅡで命中力上昇。 馬鹿は高い所が好きって聞くからこれにしたけど飛んでなければ普通に攻撃よ。 頭ズドンと狙おうか。 |
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魔術真名を詠唱し、ステラと二手に別れましょう 私は終焉の夜明け団の対応および捕縛へと向かい、ステラにはベリアルのトールを任せます ダヌ様の加護は二人ともMP回復を希望 ・リンファ 命までは奪わぬよう心掛けつつ、戦闘不能にします 磔刺で動けぬよう四肢などを貫き倒しましょう 隣接する敵からの攻撃には制裁でカウンター 黒炎の力は囲まれた時に発動し、大波で敵群を凪ぎ払います ・ステラ 仲間の攻撃と合わせてパイルドライブを撃ち込むなどでダメージを与えていく ボストールが他の攻撃を防ぐ瞬間、懐に飛び込み剛袈紅蓮撃で怯ませ仲間の為の隙を作り出す 雷球は武器で攻撃しながら受け止め、直撃を回避しつつ威力をなるべく相殺させるようにする |
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ラファエラをGK14して敵集団の真っ只中に飛び込み、DE15でまとめて攻撃。命中率はDE9で補う。 その後GK13で周囲の敵を吹き飛ばして態勢を崩し、味方になだれ込ませる。 これをラファエラのMPの続く限り繰り返す。そのために必要ならフチュールプロメスを使う。 ダヌ様の効果は俺にHP、ラファエラにMP。 この作戦は同じ敵集団に使わない事。この数じゃ止めを刺すより、一気に次々と無力化して士気を落とした方がいいだろう。「あと、派手にやれば味方の士気を揚げれるかもね」 DE13とGK4は、トールに挑む余力ができた時の為だ。誰かをGK14してGK4で反撃、デモン・オブ・ソウルの効果を食らわせる。 |
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~ リザルトノベル ~ |
●混戦開始 「これは何という状況だ」 指令に従い現場に訪れた『ニコラ・トロワ』は、混迷した状況に思わず声を上げる。 悲鳴と怒号。飛び散る血と消し飛ぶ命。 終焉の夜明け団をべリアルトールが殺していた。 「人形遣いが、マーデナクキスを襲撃することを防ぐための指令という話だったが、なぜ終焉の夜明け団とべリアルが戦っている? それに人形遣いはどこだ?」 これに『ヴィオラ・ペール』が応えた。 以前、マーデナクキスで奴隷商人を捕える指令を受けていたヴィオラは、その時に暗躍していたと思われる人形遣いの姿を報告書で知っている。 「上です」 ヴィオラの言葉に、皆は視線を追う。 その先に居たのは、少女の姿にドラゴンのような翼を生やした人形遣い。 上空に佇みながら、終焉の夜明け団が殺されるのを楽しげに見ていた。 「どういうことだ?」 訝しげに『ショーン・ハイド』は言った。 「なんで助けない?」 ショーンの疑問に応えるように、魔力探知で周囲を確認していた『レオノル・ペリエ』が言った。 「終焉の夜明け団が殺されるたびに、魔力が溢れてる」 魔力探知で見れば、戦場にはあり得ないほどの濃密な魔力が満ち、それが上空の人形遣いへと向かっている。 さらにその魔力は、人形遣いが展開しているらしい魔方陣へと飲み込まれ消えていく。その先は―― 「あの魔力は、アークソサエティに向かっています」 ウィッチ・コンタクトを使い、魔力を消費することで術式を見切った『ヨナ・ミューエ』が解説する。 「アークソサエティにある国土魔方陣に繋がっています」 「……魔力を手に入れるための生贄ということか」 「恐らく」 ヨナの応えに『ベルトルド・レーヴェ』は眉をひそめた。 その事実を知り、ショーンは呆れたように言った。 「前も酷く違和感を覚えたんだが……人形遣いにとって夜明け団は仲間じゃあないのか? 何らかの目的があるとはいえ自分の仲間を生贄に捧げるのは自分の首を絞めるんじゃ……」 「なんていうか、人形遣いって何か気の毒な病気でもあるんじゃ……?」 ショーンと同じようにレオノルも呆れたように呟く。 状況を皆は把握する。だからこそ、放置するわけにはいかない。 「殺さず捕える必要があるってことね。べリアルは違うけど」 今も暴れているべリアルトールを見詰め、『リコリス・ラディアータ』は意気込む。 「あのベリアルは絶対に倒しましょう。トールと同じ名前なのが、許せないわ」 「そうだな、倒そう」 リコリスの言葉に苦笑しながら、『トール・フォルクス』は返す。 「べリアルは倒して、終焉の夜明け団は可能な限り殺させず捕縛する。それで行こう」 皆は賛同し、動き出す。 「早く、助けましょう」 焦る心を抑えながら、『アリシア・ムーンライト』は配置に向け動き出す。 「このまま、人が、蹂躙されるなんて、見たくないです……みんなを、助けるためには……」 唇を噛みしめ思い悩むアリシアに、『クリストフ・フォンシラー』が応えた。 「助けるためにここに来たんだ、そうだろ? 大丈夫、みんないる。俺達ならできるさ」 「はい……!」 クリストフの言葉に力を貰い、アリシアは走る。 彼女と同じよう、可能な限り犠牲を防ぐために『リチェルカーレ・リモージュ』も走り出す。 「利用するためだけに、自分を信じていた人を利用して……絶対間違ってる。ひとりでも犠牲が減るよう全力を尽くすわ」 アリシアと共に皆に禹歩七星を掛け終ったリチェルカーレは、べリアルトールへ向かい走る。 彼女を背に守るようにして先行するのは『シリウス・セイアッド』。 (ここで倒す) 視線はべリアルトールに向かい、打倒の決意を抱いていた。 皆はそれぞれ受け持ちの配置に向かう。 「ナツキ。私は終焉の夜明け団の対処に向かう」 「なら俺はあいつを倒しに行く」 不敵な笑みを浮かべ『ナツキ・ヤクト』は『ルーノ・クロード』に返す。 「無理はするな」 「する気はねぇよ。でも――」 べリアルトールを倒すべき敵としてだけでなく、好敵手としてナツキは言った。 「ホープ・レーベンを手に入れた時から、あいつとは戦ってみたいって思ったんだ」 強敵を乗り越えたいという意志をナツキは抱いている。 「剣術も魔術も味方との連携も、今できる全力でぶつかってやる。一歩も退かずに踏み込んで食らいついてやるさ!」 ナツキの意気込みに、ルーノは苦笑を浮かべ返した。 「分かった。なら、そちらは任せる。全力でやれ、ナツキ」 「おう!」 拳を打ち合わせ、2人は走り出す。 同じように走りながら、『セシリア・ブルー』は上空の人形遣いを見上げ呟いた。 「人形遣いの狙いは一体何なのかしら。混乱や戦いを煽るだけ煽って、眺めているだけ。神やアレイスターと、協力しているわけではなさそうだけれど」 「分からない。けど、良くないことだよ」 セシリアの言葉に『リューイ・ウィンダリア』が返す。 「止めないと。これ以上、人死にを出しちゃダメだ」 「そうね」 セシリアは頷き、上空の人形遣いを見詰め、手に伝葉を持っているのに気付く。 「あの伝葉、回収できると良いのだけど」 「降りてくる気配がないね」 「警戒はしないといけないでしょうけれど、それより今は、この場の制圧を第一に考えましょう」 「分かった。でも、チャンスがあれば――」 柔軟に動くことも考え、2人は動いていく。 リューイは仲間に、戦踏乱舞や流麗鼓舞を掛け戦意を高めていき、マドールチェであるセシリアは、ニコラと協力して、同行する300人近い浄化師達に状況を説明する。 それを受け、マドールチェの浄化師達が各自連絡を分担。これにより、集団戦を連携して戦える下地が出来ていく。 準備が整う中、他の浄化師達も動いていく。 「殺りたい放題ねぇ」 べリアルトールに殺される終焉の夜明け団を見て、『サク・ニムラサ』は呟く。 「こっちの手間が省けて楽ねぇ。もっと殺して殺して」 「都合の良い事には裏があるものですよ」 サクラに合いの手を入れるように『キョウ・ニムラサ』が返す。 これにサクラは薄い笑みを浮かべ応える。 「それもそうねぇ。動かれるのは癪だし」 そう言うと、上空の人形遣いに一瞥を向ける。それだけで意図を理解し、キョウはサクラと共に戦場へと向かう。 「それでは行きましょう」 「もちろん。出遅れちゃあだめよぉ」 「当たり前を聞くのは時間の無駄ですよ」 魔術真名を唱え、2人は戦場へと踏み込む。 同じように魔術真名を詠唱し、ひとつの決意を口にするのは『タオ・リンファ』。 「私は終焉の夜明け団を制圧します。ステラ、あなたは……」 リンファは『ステラ・ノーチェイン』を見詰める。 ためらったのは、少しの間。母のように、あるいは姉のように、そしてパートナーとして尋ねた。 「……ステラ、一人で……頑張れますか?」 「うん……」 噛みしめるような間を空けて、ステラは力強く返した。 「うん! こっちはまかせろ!」 リンファを安心させるような笑顔を浮かべ、ステラは走り出す。 その笑顔には、託されたことへの喜びが溢れている。 リンファの相棒として、ステラは戦いへと向かって行った。 それがリンファには嬉しい。 (あの子も成長しましたね。きっと大丈夫です、信じましょう) ステラへの信頼を胸に、リンファは自らの戦場へと向かう。 信じるが故にパートナーと分かれて行動する者もいれば、お互いを活かし合うためにともに動く者もいる。 「女神の加護があるらしい。遠慮なく撃ち続けろ」 全体の動きを把握しながら、『エフド・ジャーファル』はパートナーである『ラファエラ・デル・セニオ』に言った。 「露払いは俺がやる。敵の攻撃も気にするな。俺が引き受ける」 エフドのアライブは墓守。 守備に優れ、やりようによっては戦場の趨勢を支える要と成り得る。 もちろんそれは、自分の身を危険にさらすことにも繋がる。 そのリスクを理解した上で、なおエフドは自分の役割に徹していた。だからこそ―― 「了解。頼りにさせて貰うわ」 ラファエラは信頼のみを口にする。 「攻撃に全振りで行くからよろしく」 「それで良い。やりたいようにやれ」 共に重ねて来た時間に裏打ちされた信頼を抱き、2人は戦場へと踏み込んだ。 浄化師達は、全てが戦いの準備が整う。 そして戦場に踏み込むと同時に、戦いは始まった。 ●激戦開始! 浄化師が戦場に踏み込むと同時に、巨大な大木が召喚された。 ただし実体ではない。加護をもたらすための幻体(ヴィジョン)であり、実体として現れたのは、根元に佇む1人の女性。 自然創生神の一柱であるダヌの化身が、神契の縁(えにし)に従い現れた。 その途端、この場に居る浄化師全てに力が流れ込む。 ある者は傷を癒されていき、ある者は失う魔力を補填される。 体力、あるいは魔力の継続回復。長期戦に特化した加護が与えられた。 それはダヌの化身が倒されぬ限り続く。 ゆえにダヌを守るため、ヴィオラが走り寄る。 「ペンタクルシールドでダヌ様をお守りします」 自身の気持ちを確認するように、ヴィオラは言った。 「お目覚めになったばかりだと言うのに、今回はこのような所までお越し下さりありがとうございます。この身に換えてもお守りしますのでご安心下さい」 ヴィオラの決意の言葉に、ダヌは応える。 「あら、あの時の子ね」 つい最近、ダヌのための祭壇を作ろうとしたヴィオラに、ダヌは親しげに言った。 「ありがとう、嬉しいわ。でも、無理しちゃだめよ。この私は壊されてもまた作ればいいけれど、貴女は違うんだから、自分のことを第一に考えてね」 ダヌの気遣いにヴィオラは笑顔を浮かべ、守る意思を込め応えた。 「お気遣い、ありがとうございます。けれど、守りたいんです。最後までダヌ様にここにいて頂けるよう全力を尽くします」 ヴィオラの申し出に応えるように、ダヌの加護が彼女を包む。 同時に、魔力が体の内から湧き出てくる。 (これなら、ペンタクルシールドを張り続けられます。あとは、ペンデュラムスピンの使い所を見極めれば、魔力切れにはなりませんね) 周囲を警戒し、ダヌに近付けないよう気を張りながら、ヴィオラは戦いに集中する。 現時点では、敵がこちらに来る様子はない。 それは、味方の動きが良いからだった。 「気をつけて」 「お前も無理はするな」 お互いを想う言葉を交わし合い、魔術真名の詠唱を終わらせたリチェルカーレとシリウスは戦場に跳び込む。 「逃げて! ここにいたら殺されてしまう!」 戦場を進みながら、リチェルカーレは必死に終焉の夜明け団に呼び掛ける。 失われる命を少しでも無くすため、べリアルトールから終焉の夜明け団を引き離すことを第一に動いていた。 だが終焉の夜明け団にとっては浄化師も敵のひとつ。 呼び掛け続けるリチェルカーレに気付き、攻撃をしようとする者もあらわれる。 それをシリウスが叩き伏せていく。 ベリアルリングと黒炎解放によるブーストを掛けているシリウスは、敵に反応させる余裕を与えず間合いを詰めると、蒼剣アステリオスの柄でみぞおちに当て身を叩き込む。 殺さぬよう、けれど容赦はせず。次々と戦闘不能にしていった。 シリウスの奮闘に気付いた終焉の夜明け団が、続々と攻撃の手を向けて来る。 そこに仲間の援護が入った。 「夜明け団、逃げろ。俺達はアレを倒す、邪魔するな!」 クリストフが、シリウスを囲もうとする終焉の夜明け団に斬り掛かり牽制する。 「シリウス先に行け!」 「すまん」 短く一言返し、クリストフの援護を受けシリウスは走る。 終焉の夜明け団は追い縋ろうとするが、そこにクリストフが立ちはだかり剣を振るう。 敵は迎撃しようとするが、その瞬間、動きが鈍った。 アリシアによる鬼門封印が、クリストフの攻撃を助ける。 クリストフは致命傷にならないよう気遣いながら、けれど手は抜かず敵を斬り倒していく。 斬り裂かれ倒れ伏す終焉の夜明け団たち。 彼らに痛ましげな視線を向けながら、アリシアは必死に呼び掛ける。 「お願い、逃げて下さい……!」 だが戦いの高揚に憑かれた彼らは、聞く耳を持たず襲い掛かってくる。 (傷付けたく、ないのに……) 悲しみを飲み込みながら、アリシアは雷龍を召喚。 放たれた攻撃魔術を捌いていった。 終焉の夜明け団の襲撃を躱し、あるいは迎撃しながら、浄化師達はべリアルトールへと辿り着く。 「もうやめて。わたし達は装置じゃないわ」 戦場を駆けながら、リチェルカーレは必死に呼び掛ける。 (命を奪って魔方陣に使うなんて間違ってる) 失われる命を少しでも減らそうと、リチェルカーレは声を上げ続ける。 だが戦いに高揚している終焉の夜明け団は、リチェルカーレの呼び掛けを気に留める余裕がない。 襲い掛かってくる終焉の夜明け団を、雷龍を召喚し抑えながら、リチェルカーレは呼び掛け続けた。 彼女の意志を守るように、シリウスは戦う。 (殺させない) シリウスは間合いを詰めると、ソードバニッシュで一気に斬り掛かる。 それをべリアルトールは、視線を向けることなく、手にした戦鎚で受け止めた。 瞬間、雷が飛び散る。 雷撃の衝撃を受けながら、けれどシリウスは退かず斬撃を叩き込んでいく。 「はっ、お前、覚えているぞ!」 楽しげにべリアルトールは声を上げる。 「良いぞ! 掛かって来い! 尊厳死をくれてやる!」 「尊厳死? 笑わせるな」 静かな怒りを声に乗せ、シリウスは刃を振るう。 「お前がしているのはただの虐殺だ」 「そりゃテメェらが弱ぇからだろ!」 獰猛な笑みを浮かべながら、べリアルトールはシリウスと撃ち合う。 「俺如きに殺される程度の力と意志しかない、テメェらの惰弱さこそが悪と知れ!」 怒りと共にべリアルトールは声を張り上げる。そして―― 「俺に殺された方が、運命に殺されるよりマシだ」 ぽつりと、悲哀を浮かべた。 しかしすぐに、戦いの享楽に引き戻り、戦鎚を撃ち振るう。 振るわれる毎に、撒き散らされる雷撃。 それを受けながら、なお攻撃の手を止めないシリウス。 傷つきながら放った斬撃が、べリアルトールの腿を斬り裂く。 同時に、傷口が凍りつく。 氷結斬により動きが鈍ったべリアルトールは、追撃で放たれたシリウスの斬撃を、避けない。 胸元を斬り裂かれながら体をひねり、死角から跳び込んできたナツキの一撃に合せる。 心臓を狙って放たれた鋭い突きを、べリアルトールは戦鎚で弾く。 雷撃が飛び散る。 衝撃を受けたナツキは、それでも笑みを浮かべ刃を重ねる。 「はっ!」 ナツキを見て、べリアルトールは楽しげに声を上げた。 「覚えてるぞ! お前!」 ナツキの斬撃に撃ち合いながら、彼が手にしているホープレーベンを見て笑みを深める。 「あの時の野郎が使ってた武器と同じ系統の武器だな! ははっ、さっきとのヤツといい、良いもん持ってるじゃねぇか!」 獰猛な笑顔を浮かべ、べリアルトールは戦鎚を振り回す。 あまりの激しさに、直接打ち合っているナツキ以外は下手に近付けない。 「どうした! もっとあるんだろ! 全部ぶつけて来い!」 「やってやるよ!」 べリアルトールの闘志に応えるようにナツキは声を上げ、黒炎を解放した。 「希望を守る牙になれ。解放しろ、ホープ・レーベン!」 解号と共に黒炎が吹きあがる。 理性を保ったままアウェイクニング・ベリアルを発動したナツキは、そこから最大の攻撃を惜しみなく叩き込む。 まっすぐに跳び込む。 放たれる全力の振り降ろし。 それを防いだ後カウンターの攻撃を放とうとしたべリアルトールだが、叶わない。 ホープレーベンが放った黒炎が可能性を斬り裂く刃と化し、ナツキの攻撃を妨げるすべての可能性を斬り裂く。 残ったひとつの可能性、ナツキの必中の刃が、袈裟切りに食い込んだ。 大きく切り裂かれ、同時に凍り付く。 氷結斬も込めた一撃は、べリアルトールの動きを確実に鈍くした。 そこにクリストフの追撃が入る。 仲間の攻撃で気を取られている隙を突き、足元を斬り裂いた。 同時に、爆発する。 爆裂斬の一撃で足を損傷したべリアルトールは、しかし瞬きひとつの時間で急速再生。 クリストフが攻撃を放った隙を突いたカウンター。 雷を纏った戦鎚の一撃は、当たればただでは済まないだろう。 だからこそ、クリストフは奥の手を惜しみなく使った。 「お前の力を示せ、ロキ!」 黒炎解放、特殊能力発動。 べリアルトールの最大攻撃を、そのまま相手に全て跳ね返した。 「があっ!」 自分自身の攻撃力で、全身を雷で焼かれ肉は裂け骨が砕ける。しかし―― 「面白れぇ!」 急速再生しながら、反射直後のクリストフに襲い掛かってくる。 クリストフが反応しきれないほど速い。そこに、シリウスが一撃を放つ。 蒼剣アステリオスの特殊能力を込めた一閃。 クリストフに襲い掛かろうとしたべリアルトールは避けられない。 アステリオスの十字斬撃が、魔術と物理全ての防御をすり抜け、べリアルトールの本質を斬り裂く。 並のべリアルであれば、全ての魂を吐き出すほどの威力。 しかしそれを受けてなお、べリアルトールは笑みを浮かべた。 「やるじゃねぇか!」 戦鎚を振り回し、周囲に襲い掛かって来た浄化師全てを殴り飛ばす。 全員が武器で受け止め防いだが、雷撃の衝撃が打ち据えた。 傷付いた仲間を癒そうと、アリシアとリチェルカーレが駆け寄る。 そこに戦鎚が振るわれようとしたが、魔術で生み出された暗黒が防ぐ。 「今の内に距離を取って!」 ナイトメアを放ったレオノルのサポートで、それまで攻撃していた皆は距離を取り回復に動く。 その瞬間、ナイトメアにより生まれた闇が内側から破裂する。 「はははっ、どうした! まだやれんだろ! 来いよ!」 歓喜を浮かべるべリアルトールを、レオノルは魔力探知で冷静に見極める。 「全身の再生に連動して頭部から魔力が供給されてる。中心点は眉間だ。やれる? ショーン」 「当てます」 ショーンは静かに応え、黒炎解放する。 「Fiat eu stita et piriat mundus.」 理性を保ったままアウェイクニング・ベリアルを発動したショーンは、三重に付与したリンクマーカーにより、弾道の軌跡すら事前予測し狙いをつける。 そこにレオノルが声を掛けた。 「魔力探知で最適な攻撃タイミングを見極めるよ。その分、攻撃の瞬間を合わせなきゃいけないんだけど――」 「大丈夫です。やれます。合図を下さい」 レオノルを信頼し、ショーンは狙いをつけたまま待機する。 その信頼に応えるように、レオノルはべリアルトールの動きを観測。 (再生のための魔力を消費して、一時的に枯渇する瞬間を狙う) レオノルは観測手(スポッター)として見極め、告げる。 「カウントを始めるよ。5、4――」 レオノルの言葉を受け、ショーンは狙撃に集中する。 標的であるべリアルトールは動き回るが、その動きも予測の範疇に組み込み狙いをつける。 「――2、1、今だ!」 レオノルの合図と共に、ショーンはヘッドショット。 見事眉間を撃ちぬき、のけ反らせた。 「はっ――!」 額から流れ落ちる血を舐めとり、べリアルトールは歓喜の声を上げる。 「楽しませるじゃねぇか! そうだ! 戦え! もっと戦え!」 絶え間なく傷を受け、それでも笑みを浮かべ襲い掛かってくる。 その攻撃は苛烈。 だが、浄化師も負けてはいない。 前へ前へと踏み出し、全力の攻撃を振るっていく。 それは確実にべリアルトールへと届く。 特に今は、ショーンの黒炎魔喰器の特殊能力により、大幅に防御力が低下している。 この有利な状況を逃さず、リコリスは斬撃を叩き込んだ。 疾風の如き速さと、魔性憑きらしい軽快な動きで、死角に跳び込んだリコリスは腕を斬り裂いた。 「テメェ――」 べリアルトールは反射的に戦鎚を振るう。 だが雑な動きで、読むのは容易い。それでも―― (速い!) リコリスが戦慄するほど、その動きは速い。 ぎりぎりでリコリスは避け切るも、撒き散らされた雷撃の衝撃は受けてしまう。 けれど、その眼差しから戦意が薄れることは無い。 「ははっ、好いねぇ。その眼。遊べそうだな」 喜ぶべリアルトールに、リコリスは挑発する様に返した。 「哀れなお山の大将さん。撤退なんてぬるいことは言わないわ。こっちが勝つまでやってあげる」 そう言うと、スポットライトを発動する。 優美な舞踏に魔力を込め、強制的に意識を向けさせる魔術を掛けた。 「おいおい、誘ってくんじゃねぇか。そりゃ、ぶっ壊れるまで遊んでくれるってことか?」 ゆっくりとリコリスに近付いてくる。 いつでも動ける体勢を取りながら、リコリスは啖呵を切る様に返した。 「壊されるのはあなたよ。とことんまでやってあげる」 「情熱的じゃねぇか。どういうつもりだ?」 「あなたの名前が気に入らないの」 切っ先を向け、リコリスは言った。 「私の一番大切な人と同じ名前だなんて生意気よ」 「はははっ、なんだ、男のために俺を滅ぼそうってか。随分と色男が居るみたいだな!」 愉快そうに笑いながら、べリアルトールはリコリスに殴り掛かって来る。 それを紙一重で避けながら、カウンターの斬撃を重ねるリコリス。 だが一対一では分が悪い。べリアルトールは、多少の傷を無視して距離を詰めて来る。 「吹っ飛べ!」 攻撃の間合いに入り戦鎚を振り上げたべリアルトールのこめかみに、ピンポイントショットが叩き込まれる。 「ありがとうトール!」 礼を言いながらその場を跳んで離れるリコリス。 べリアルトールは、そちらを追わず、自分を攻撃したトールを面白そうに見つめた。 「へぇ、アイツが色男か。腕も良いじゃねぇか。遊んで貰おうか」 リコリスのスポットライトで引き付けられたべリアルトールは、同じ名を持つトールに興味を抱き、攻撃の対象を変えようとしていた。 そこにシリウスやショーン、そしてレオノルとクリストフの連続攻撃が入る。 今ここでの狙いは、終焉の夜明け団から引き離し余計な被害を無くすこと。 そのためにクリストフは呼び掛けた。 「最強と言われてる癖に弱い者イジメが大好きとか目も当てられないよ?」 「あん?」 視線を向けるべリアルトールに、クリストフは続ける。 「弱い連中よりも俺達と遊んだ方が楽しくないかい?」 「……遊ぶ、ねぇ……」 値踏みをするようにクリストフを見詰めるべリアルトールに、鋭い斬撃が振るわれる。 それはナツキの一撃。 ナツキは笑みを浮かべ、呼び掛ける。 「本気で掛かって来い」 全力で刃を振るいながら、ナツキは言った。 「俺達は全力でやってやる! 全力で、お前を倒す!」 「……良いねぇ」 吠えるような強笑を浮かべ、べリアルトールはナツキの本気に応える。 「やってやるよ! 全力で掛かってこいや!」 ナツキ達の本気と呼び掛けに、べリアルトールは浄化師達を敵として認める。 そこからの攻撃は、さらに苛烈さを増し、けれど浄化師達は食らいつく。 これにより終焉の夜明け団からべリアルトールを引き離すことに成功する。 身体を張った仲間の活躍を無駄にしないよう、残った浄化師達は終焉の夜明け団制圧に全力を尽くす。 『今の内に逃げなさい』 セシリアは魔術通信を使い、終焉の夜明け団に呼び掛ける。 『人形遣いは貴方達を殺し、その魔力を自分のために使おうとしている。ベリアルに近づいては駄目、逃げなさい!』 仲間のマドールチェの浄化師達と連携し、終焉の夜明け団たちに伝えていく。 『私たちは貴方達を殺さない』 その言葉を証明する様に、セシリアは向かって来る者だけと戦い、戦闘不能にした者も捕縛するだけに留める。 彼女と同じようにリューイも動く。 「ここに居たら殺される。逃げて」 仲間の支援に動きながら、リューイは終焉の夜明け団に言葉を掛けていく。 けれど終焉の夜明け団は、次々襲いかかって来る。 その眼に浮かぶのは、敵意と恐怖。 敵対している浄化師を信じられない不信と、味方である筈の人形遣いに対する恐れが彼らを突き動かした。 それをリューイひとりで捌くには数が多すぎる。 だからこそ、助けが入った。 「ありがとうございます」 敵の放った魔力弾を巨大な盾で防いでくれた浄化師にリューイは礼を返す。 彼は今回の指令で同行した仲間の1人。 「気にしないでくれ。さっき相棒に流麗鼓舞を掛けてくれたお礼だ」 墓守である彼のパートナーも礼を返すように、リューイに近付く敵を狙撃し牽制する。 「このまま制圧しよう」 墓守の彼は、リューイを守るような位置取りをしながら声を掛ける。 「アレについては、俺達は直接関わったことが無い。だから君達の意見を尊重したい」 墓守の彼は、空に浮かぶ人形遣いを一瞬見上げる。 これにセシリア達は返していく。 「人形遣いは、終焉の夜明け団を殺させて魔力を得るつもりです」 「それを防ぐことを第一にしないと」 「分かった。うちの部隊は守りが得意だから、君達の仲間の護衛に動こう。彼も、君達の仲間なんだろう?」 敵陣に踏み込み奮闘しているニコラに視線を向け、墓守の彼は言った。それにリューイ達は返す。 「ありがとうございます。でも、皆も無理はしないでください」 「落ち着いて行動しましょう。それがきっと良い結果を生む」 墓守の男達はリューイとセシリアの言葉に笑顔で返すと、同じ部隊の仲間に、ニコラの護衛に向かうように魔術通信で連絡。 それに合わせ、セシリアもニコラに連絡する。 『護衛に動いてくれるそうです』 『分かった。協力して動こう』 ニコラは魔術通信で返すと、護衛に就いてくれる浄化師に礼を言う。 「助かる」 そして護衛に守られている間に、全力で魔術通信を使い終焉の夜明け団に呼び掛ける。 『終焉の夜明け団! 私達はあのベリアルを倒しに来た。お前達と敵対する意思はない。向かってくるならやむなしだが、投降するなら必ず護る事を約束する』 その呼び掛けに、何人かの終焉の夜明け団が反応する。それをより広げるために、ニコラは呼び掛け続けた。 『逃げるならそれでも良い、とにかくベリアルに向かうな。こちらが抑えてる間に命を優先に行動しろ』 この呼び掛けに、何人かの終焉の夜明け団は迷うような表情を見せる。 だが浄化師を信じられない彼らは、戦いの高揚に逃げるようにして襲い掛かってくる。 それをニコラは1人1人叩き伏せていく。 周囲を囲まれずに済んでいるのは、仲間の浄化師が守ってくれるからだ。 そのお蔭で周囲を見渡す余力が生まれる。 (あの位置なら) 味方の居ない空白地点。同時に敵が集まっている場所を見つけ跳び出すと、グラウンド・ゼロを発動する。 1人を斬り伏せ、残りの敵を、魔力によって引き起こされた風圧で地面に叩き伏せていく。 『何人か倒した。捕縛を頼む』 魔術通信で仲間の浄化師に連絡をつけながら、ニコラはさらに動いていった。 敵の数は多かったが、浄化師達の奮闘は、それを上回る。 「このまま突っ切るぞ」 「分かった。行っちゃって」 敵の只中を、エフドとラファエラが突き進む。 先陣を切るのはエフド。 敵が固まっている場所に向け疾走する。 混戦の中、敵は気付いていない。 距離を詰め、こちらに視線を向ける者が出て来た所で、エフドは挺身護衛をラファエラに掛けた。 そこからラファエラとエフドは一端距離を取る。 ラファエラは一斉射撃に適した位置を見極めると、マッピングファイアの準備に入った。 敵の何人かがそれに気付き攻撃しようとするが、そこにエフドの猛攻が入る。 手にしたデモン・オブ・ソウルを力強く振り、近付く敵を斬り裂いていく。 敵も反撃するが、エフドはデモン・オブ・ソウルで受け止めると、迎エ討チを発動。 魔術により最適化された動きをトレースし、反射に近い速度でカウンターの一撃を叩き込んでいった。 エフドの猛攻で敵はラファエラに近付けず、離れた距離から魔術を放つも、その全ては挺身護衛の効果により軌道を捻じ曲げられエフドに向かう。 そのいくつかをエフドは喰らうも、傷付く端から回復していく。 (これがダヌ様の加護か。これならもっと踏み込んでも大丈夫だな) 多少の傷を受けても倒れないと判断したエフドは、さらに敵の只中に踏み込む。 エフドの猛攻を受け、敵は一塊になるよう誘導された。そこに―― 「良い的ね」 容赦なく、ラファエラはマッピングファイアを敵の群れに叩き込む。 月の光のような虹彩を煌めかせながら、雨のように無数の矢を降り注がせた。 矢が突き刺さり、敵の勢いが落ちる。 そこにエフドは大鴉ノ羽撃キを発動。 敵の数人が、エフドが巻き起こした大鴉の羽撃きのような風圧を喰らい吹っ飛ぶ。 これにより敵の体勢が崩れた所で、エフドは仲間の浄化師を大声で呼ぶ。 「今だ! 制圧してくれ!」 エフドの呼び掛けに応え、味方浄化師が陣形を取り雪崩れ込む。 一度体勢を崩された敵は対応しきれず、次々に無力化され捕縛されていった。 この一連の動きを、エフドとラファエラは繰り返す。 いつもなら魔力切れでラファエラはアライブスキルを使えなくなるところだが、今回はそうはならない。 ダヌの加護により継続して魔力を回復して貰い、回復が間に合わない時は、持って来ていたフチュールプロメスの花弁の一片を飲み込み回復する。 敵の勢いが落ちていく。 それを加速させるように、仲間の浄化師達も奮闘する。 リンファは戦場を駆け抜け、次々敵を戦闘不能にしていく。 敵の間合いに踏み込むと、反応されるより早く蒼滅呪刀・化蛇を振るう。 狙うは足や腕。 殺すのではなく戦力を奪い、捕縛するために刃を振るう。 決して止まることなく駆け回り、敵を斬り裂いていく。 リンファの勢いに脅威を感じた敵は、囲んで制圧しようと一斉になだれ込んでくる。 それをリンファは、黒炎解放で跳ね除けた。 「波濤に呑み干せ、化蛇!」 特殊能力発動。 化蛇から溢れだした黒炎が大波へと変わり、敵の群れを飲み込み押し流す。 波に呑まれ押し流された敵に、間髪入れず追撃を入れる。 足の甲を、磔刺で動けぬよう貫き、敵の機動力を奪い無力化していく。 それでも敵は恐れず踏み込んでくる。 時に捌き切れず攻撃を受けるが、即座に制裁を発動しカウンター。 獅子奮迅の活躍をみせていった。 浄化師達の猛攻で、終焉の夜明け団との戦いは趨勢が決まり始める。 それを強めるように、攻撃を重ねていく。 「殺される前に逃げろ!」 声を張り上げながらベルトルドは戦場を駆け抜ける。 倒すことよりも生かすための疾走。 けれど終焉の夜明け団には届かない。 戦いの熱に侵されながら、襲い掛かってくる。 「こんなことをしてる場合では」 ベルトルドの後を追い駆けるヨナが、歯噛みするように呟く。 ヨナの想いも、ベルトルドと同じ。 殺させず、生かす。 しかしその想いは届かず、戦いの中で全力を尽くすしかなかった。 その流れを変える呼び掛けが響いた。 「誰か、手を貸してくれないか!」 ルーノの呼び掛けに、近くを駆けていたベルトルドとヨナが応える。 「どうした?」 「何かあったんですか?」 2人の問い掛けにルーノは応える。 「あの男、死に掛けている。早く回復に向かいたいんだが、敵の数が多くて近づけないんだ」 ルーノの視線を追えば、地面を真っ赤に染めるほど血を流している男に気付く。 辛うじて息をしているようだが、一刻も早く回復しなければ危ないだろう。 「分かった、道を作る。その間に向かってくれ」 ベルトルドは、自身の黒炎魔喰器の特殊能力を解放し、ルーノが進む猶予を作る。 「九天咆哮!」 黒炎魔喰器、竜哭が撃音を響かせた。 撃音を食らった終焉の夜明け団は動きが止まり、その隙にルーノは負傷した男の元に走る。 それを防ごうと、集まってくる終焉の夜明け団。そこにヨナのエクスプロージョンが炸裂した。 「退きなさい! 私達は殺すために動いているのではありません! 手遅れになる前に道を空けなさい!」 朗々と響くヨナの声と、わざと打点を外して放たれたエクスプロージョンに、終焉の夜明け団に迷うような気配が広がる。 だが、それでも信じられないというように、ルーノの動きを止めようとする者も。 そこに一条の矢が走る。 「そのまま進んでくれ! 援護する!」 周囲の状況を見極めていたトールの援護もあり、ルーノは負傷した男の元に辿り着く。 「気をしっかり持て、回復する」 「……なんの、つもりだ」 天恩天賜で回復を受け、喋れる程度には持ち直した男は苦々しく言った。 「俺達は、貴様らの敵、だろう……」 「ああ、確かに私達は敵同士だ。けれど、主義主張は違っても同じ人だ」 「……」 無言の男にルーノは続ける。 「君達が、あのベリアルに殺されるのは看過できない。人は、奴らの餌でも玩具でもないのだから」 「……餌、か……」 自嘲深く呟きながら、男は上空の人形遣いに視線を向けた。 そこにヨナ達が駆け寄る。 上空を見上げる男に気付き、問い掛けた。 「貴方達は、人形遣いに利用されていたのではありませんか?」 ヨナの問い掛けに、男は悔しげに歯を噛みしめ、目を伏せ呟いた。 「散々働いて、結局利用されただけか……」 その嘆きに応えるように、皆と同じく駆け寄って来たトールが呼び掛けた。 「もうそろそろ解放されてもいいんじゃないか」 浄化師と終焉の夜明け団。 コインの表と裏のように、ある意味背中合わせの相手に言葉を掛ける。 「終焉の夜明け団も、教団と同じように、アレイスターに利用されるために作られた物なんだろ? そんな物に、いつまでも従ってやる必要はないだろ」 「反逆しろとでも?」 「違う。生きろってことだよ。俺達はアンタ達を死なせたくない」 「……はっ」 男は皮肉げに笑い返した。 「利用されているか……ああ、そうなんだろうな。で、それでどうしろと? 敵であるお前達を信用しろとでも――」 「その必要はありません」 ヨナが男の言葉に返す。 「誰かを信じることは、積み重ねがあって初めて成り立つものです。だから信じろとは言いません。代わりに、助けを求めて下さい。私達は、貴方達の延ばした手を掴みます」 ヨナは男に語り続ける毎に、それまで積み重ねてきた物が形になっていくのを感じ取る。 (終焉の夜明け団……やっと人形遣い……組織そのものに利用されていたと気が付いてくれる人が出てきた……今回訪れたこの機会、無駄には出来ません) 「私は、私の意地に懸けて、助けを求める手を取ります。たとえ貴方達、終焉の夜明け団だとしても」 「……ヨナ」 自分を見詰めるベルトルドの視線に気づいたヨナは、自分の想いを言葉にして曝け出す。 「ベルトルドさん、私は考えていました。神を倒し世界を救うとはどういうことかを。善い人だから助けたい。そんな言葉を聞きながらずっと疑問を抱えていた」 繰り返される戦いの中、失われる命と助けを求める声。 それらと向き合い続け、ヨナは自らの望みを口にする。 「刃向かう者は、そも助けるに値しないのかと。彼らがもし救い求めて来たら? 手を払いのけられるだろうかと」 敵である筈の終焉の夜明け団の男と視線をぶつけ合い、ヨナは言った。 「大切な人、善良な人、救える人だけ救う、では足りない。世界を救うというのならば、私は全てを救いたい。それを目指さずして! 何が! 神の打倒だと!」 ヨナの決意を聞き、ベルトルドも口を開く。 「存在を神にも、あのベリアルにも、組織にも踏みにじらた今。お前達は変わる時ではないのか。とにかく今は逃げてお前達の同胞に今回の話を伝えろ。出来るだけ多くに」 ベルトルドの言葉に続けるように、ヨナも言った。 「無事生き延びて行く当てもなく神に盾突く気があるのなら私はいつでも歓迎します。私達と共に己の尊厳を賭して神に挑むのです。もっとも、一度覚悟を決めたら逃げたくとも止まることは出来ませんが」 そしてヨナは手を差し出す。 男はヨナを睨みつけ、手を払いのけると応えた。 「結局、お前らはお前らの意地を張りたいだけだろう」 「否定はしません。けれど、貴方にも意地があるはずです」 「……ちっ」 忌々しげに男は舌打ちすると、立ち上がり告げた。 「意地を張ってる余裕なんぞあるか。そんな物の前に生き延びたいだけだ。だから、今はお前達に下ってやる。俺達が生き延びるために、お前達を利用する」 「話は決まったようだね」 ルーノが静かな声で言った。 「仲間に投降を呼び掛けてくれ。応じるなら、こちらは身の安全を保障する」 「……分かった。それで良い」 この場の終焉の夜明け団を指示していた男は、部下を生き残らせるために、未だ回復しきっていない体を酷使し投降を呼びかけていった。 一連の流れで、終焉の夜明け団の捕縛が少しずつだが巧くいっていく。 それはべリアルトールに戦力を集中することに繋がる。 浄化師は惜しみなく戦力を叩きつけていった。 「うおぉらアッッ!!!」 気合を込めた声を上げ、ステラは手にしたスタンピングハンマーを振り降ろす。 渾身のパイルドライブ。 仲間の攻撃で動きが止まった一瞬の隙を突いた一撃。 べリアルトールは避ける余裕がない。 だからこそ、戦鎚を撃ち合わせた。 大気を打ち鳴らすような轟音が響く。 音だけで体を震わせるほどの威力は、衝撃となってステラの身体を震わせた。 「う゛ぅ~……手がジ~ンってなるぞ~……」 撃ち合せた際の衝撃と、撒き散らされた雷撃。 ふたつの威力で傷を受けたステラに、べリアルトールの追撃が入る。 「どうしたチビッ子! それで終わりか!」 「そんなわけあるか!!!」 傷を受け、それでもステラは全力を叩き込む。 再度のパイルドライブ。 今度はべリアルトールの戦鎚に撃ち合わせるように、ステラが叩き込む。 連続した轟音が辺りに響く。 お互い退かない撃ち合いは、真正面からのぶつかり合い。 「はっ、面白れぇじゃねぇか!」 ステラの闘志に、べリアルトールは歓喜を浮かべ、あえて撃ち合いを繰り返す。 あまりの激しさに、仲間が近付けない。 繰り返された轟音の果てに、ステラは耐えきれず吹っ飛ばされる。 そこにリチェルカーレとアリシアが回復に走り、仲間がべリアルトールの抑えに向かう。 「はんっ、好いねぇ」 浄化師達の闘志にベリアルトールは笑みを浮かべる。 吹っ飛ばされたステラの追撃には動かず、あえて向かって来る浄化師達に突進。 戦いながら、ステラに向かって声を上げた。 「とっとと回復して掛かって来い! それで終わりじゃねぇだろ!」 「あったり、まえだ!」 回復して貰ったステラはリチェルカーレとアリシアに礼を言うと、べリアルトールに向かって走る。 体力は回復して貰い、さらに魔力がいつの間にか満ちている。 「これがやお……かみさまの力か! よーし、さっきよりもっと強いヤツで倒してやる!」 闘志を漲らせ、ステラは向かって行った。 続々とべリアルトールに戦力が集まってくる。 それはサクラとキョウも例外ではない。 「あらあらぁ、今まで見たベリアルの中で一番馬鹿っぽいわぁ」 それまで終焉の夜明け団の抑えに回っていたサクラはべリアルトールに近付き挑発する。 「あまり煽らないで欲しいのですが」 アイコンタクトを合わせながら、キョウはサクラを守れる位置に就く。 「どれほど馬鹿っぽくても強さは本物です」 「そうかしらぁ。ま、殺ってみれば分かるわぁ」 サクラはべリアルトールに視線を向けながら、エアーズスナイプの準備に入る。 エアーズスナイプは対空に特化したアライブスキル。すなわち―― (サクラ、合わせて下さい) 2人の狙いはべリアルトールではなく、上空の人形遣い。 (構わないと攻撃してきそうですからね) キョウの懸念は当たる。 上空に居る人形遣いは、誰も自分に攻撃しないことがつまらないとでも思ったのか、いつの間にか高度を下げ近付いていた。 キョウは、サクラとべリアルトールに集中しているように見せかけながら、人形遣いを視線の端で追い攻撃の機会を図る。そして―― (今です、サクラ) 視線を交わすだけで意図を読み込んだサクラが、キョウの視線の先に居る人形遣いに目掛けエアーズスナイプを放った。 蒸気機関で強化された矢の一撃は、流星の如き勢いで人形遣いに向かい、喉を貫いた。 「おやおや」 喉を貫かれた人形遣いは、興味深げに呟く。それが身近から聞こえる。 「サクラ、伝葉です」 キョウは人形遣いが、サクラにも配布されている伝葉を使って声を届けているのに気付く。 サクラが視線を向ければ、咽喉に刺さった矢をゴリゴリと噛み砕きながら飲み込む人形遣いの姿が見える。 矢の刺さった傷口に牙を生やし飲み込みながら、人形遣いは手にした伝葉を介し言った。 「過激な挨拶ですねぇ。私は貴女達の生き死にを見ていただけですよ」 「タダで見ようだなんて、ダメねぇ」 「おやおや、なら見学料を払えばいいのですか?」 「見学料はお前の死で良いのだけど?」 そう言うとサクラは、興味を無くしたと言わんばかりに、べリアルトールに集中する。 サクラに合わせてキョウもべリアルトールに集中しようとする中、人形遣いは伝葉を介し言った。 「見学料は払えませんが、貴女に聞きたいことがあるのですよ」 人形遣いの言葉を無視し、サクラがべリアルトールに矢を撃ち放っていると、続けて聞こえてきた言葉で眉を寄せる。 「貴女のお友達は、今どこに居るんです?」 サクラが何か言う前に人形遣いは続ける。 「貴女をどこかで見たことがあったと思っていたのですが、ようやく思い出しました。私の人形のひとつが、執着していた子ですねぇ」 意味あり気なことを人形遣いは話し続ける。 「あまりにも執着するんで、貴女を殺して死人人形にしようと思ったんですが、アレが私に取られるぐらいなら自分で殺すと言ってたんですが、死んでなかったんですねぇ」 嘘か真か分からないことを人形遣いは話し続ける。 「神選組らしい男に連れ去られたらしいんですが、貴女、知りませんか?」 粘着質に人形遣いは伝葉を介して話し続ける。 しかしサクラは完全に無視しべリアルトールに集中する。 人形遣いの目的は、明らかにサクラの心を揺さぶりミスを誘うこと。 そんな分かり易い物に乗られるつもりはサクラにはない。しかし―― 「おやおや」 サクラの反応が無いことで余計に興味を持ったのか、人形遣いは集中を削ぐように喋り続ける。 それに意識を向けるあまり、人形遣いの高度は少しずつ下がっていった。 全体を俯瞰して見ていたセシリアは、そのことに気付く。 (人形遣い……あの高さなら、どうにか出来る?) セシリアが視線を向けているのは、人形遣いが手にしている伝葉。 それは仲間が、なんじゃもんじゃに頼むことで生み出された物。 可能ならば、どうにかして取り戻したい。 『リューイ』 魔術通信で、セシリアはリューイに呼び掛ける。 『人形遣いから伝葉を取り戻せるかもしれない』 セリシアの提案を受けたリューイは、ショーンの元に駆け寄ると流麗鼓舞を掛けると言った。 「ショーンさん、人形遣いの手から伝葉を撃ち落せますか?」 狙撃手として人形遣いとの距離を測るショーンに、同行していたレオノルが言った。 「折角みんなで一生懸命作った伝葉を悪用されるのは凄く嫌なんだ。取り戻そう、ショーン」 「もちろんです。ドクター」 ショーンはレオノルに応え、狙いをつけた。 距離は離れているが、今ショーンは、命中力を引き上げるためにリンクマーカーを三重に掛け、その上でリューイによる流麗鼓舞が掛けられている。 この状況で、ショーンが外す道理はない。 青い鬼火の弾丸が、伝葉を掴む人形遣いの手首を撃ち抜いた。 「おやおや」 自分を撃ち抜いたショーンに人形遣いが楽しげに視線を向けた瞬間―― 「馬鹿ねぇ」 サクラのエアーズスナイプが人形遣いの頭を貫いた。 「飛んでれば殺されないとでも思ったの?」 一撃を食らわした後は、興味を失ったとばかりにべリアルトールへの攻撃に戻る。 それを人形遣いは楽しげに見ていた。 「これは潮時ですかねぇ? まぁ、それなりに楽しめたから良しとしましょう」 頭を貫通させている矢を、傷口に生やした牙で噛み砕き飲み込みながら人形遣いは呟くと、竜の翼を羽ばたかせ飛び去った。 人形遣いは去り、終焉の夜明け団は捕縛へと向かっている。 ならばあとはべリアルトールを倒すだけ。 残りの戦力全てを叩き込むべく、浄化師は進撃する。 「鬼さんこちら、よ」 リチェルカーレはべリアルトールを引きつけるために声を掛ける。 それに気付いたトールは無数の雷球を生み出し、一斉に解き放った。 「リチェちゃん!」 距離が近すぎ避け切れず雷球を受けたリチェルカーレを回復するため、アリシアは駆け寄り天恩天賜を掛ける。そこに―― 「まとめて吹っ飛べ!」 追撃を掛けるべく突進してきたべリアルトールが、戦鎚を振り上げる。 だが、リチェルカーレの動きの方が速い。 攻撃を受けようとも、敵の動きを止める覚悟を抱いていたリチェルカーレは、べリアルトールが近付いて来たのに合わせ禁符の陣を発動。 禁符の陣の効果は、拘束と封印。 「はっ、やるじゃねぇか!」 べリアルトールは動きを抑えられながら、攻撃を受けてでもそれを成し遂げたリチェルカーレの覚悟を称賛する。 けれど、それで攻撃の手が止まることは無い。 動きを阻害された状態でも攻撃を叩きつけようと近付いてくる。そこまでが、リチェルカーレの思惑だった。 「……シリウス!」 一瞬でも動きを止めれば、仲間がなんとかしてくれる。 彼女の想いに応え、シリウスがべリアルトールに斬り掛かった。 「どこを見ている!」 リチェルカーレを傷つけられた怒りと共に斬りかかり、少しでも自分に意識を向けさせるべく声を上げる。 これにべリアルトールは応えた。 斬撃と打撃。 鋭さと重さが、お互いを倒すべく振るわれる。 すでに黒炎解放の効果は切れていたが、それでもシリウスの斬撃はべリアルトールを斬り裂いていく。 だが、敵もさるもの。 いくたび斬り裂かれようと意に介さず、むしろシリウスを一撃ごとに追い込んでいく。そこに―― 「シリウス!」 クリストフが連携に入った。 「1人で突っ込むな! 合わせていくぞ!」 シリウスの攻撃を支えるように、クリストフは斬撃を重ねる。 今まで幾度となく共に戦ったが故の連携が、少しずつべリアルトールの傷を増やしていく。 数えきれないほど斬り裂き、止めとばかりに2人は反旗の剣を叩き込んだ。 応報の魔術が、2人が受けた傷をべリアルトールに与える。 一瞬で無数の傷を受けるべリアルトール。それを受けた彼は―― 「はっ!」 獰猛な笑みを浮かべ吠えるように叫んだ。 「面白れぇ!」 無数の雷球が生み出され、一斉に放たれる。 今まで以上の速さで撃ち出されたそれに、周囲に居た者は避けることが出来ず受け吹っ飛ばされた。 周囲から浄化師達を遠ざけたべリアルトールは、歓喜と共に声を上げた。 「良いぞ! 抗え! もっと抗え! 死にたくなけりゃ、俺という死を超えてみせろ!」 その声は、聞く者の意志を砕くほどの強さが込められていた。 圧倒的な強者の声に、本能が悲鳴を上げ体を震わせる。 けれどそれをぶつけられても、この場から引く者は1人もいない。 決意と闘志を目に宿し、べリアルトールに打ち勝とうとしていた。 だからこそ、べリアルトールは1つの真実を見せる。 「なんだ?」 ベルトルドは、突如変わった周囲の風景に声を上げる。 視線を向け見えた物は、どうしようもない終焉だった。 それは絶望と失意の果てにある諦め。 世界が滅びる中で、なにもせず、なにもできず。 ただただ嘆きを口にすることしか出来ない者達の成れ果ての姿だった。 「これがお前達の行く末だ」 終焉世界を見せながら、べリアルトールは今までとは違う、厳かな声で言った。 「覚えておけ。あの御方が、創造神たるネームレス・ワンが予知した未来だ」 神託を告げるように続ける。 「我らべリアルは、スケール5まで進化できれば、あの御方から名を賜り、この未来を示される。その上でべリアルは、人を殺し尽くすかどうかを自らの意思で決めるのだ。今まで、この未来を見て、お前達の絶滅を選ばなかったべリアルは居ない。それほどまでに、お前達が辿り着く果ては救いが無い」 「それを信じろというのですか!」 ヨナが叫んだ。 「こんなものを。これが真実だと!?」 かつて3強の1人であるコッペリア、その時は幻だった相手とはいえ、彼女に問い掛けたヨナは、再び問い掛けた。 「貴方のその思考すら、神に植え付けられた疑似的な人格の可能性と考えた事は!?」 「無い。逆に問おう、小娘。何故お前達は、自分の意志を自分の物だと思っている」 「……なにを言って――」 「我らべリアルの意志を、あの御方が望むがままにするというのなら、何故お前らの自由意思に手を加えていないと思う?」 「それ、は……」 誰かを、そして世界を救い、神を打ち倒そうとするその意志が、神に与えられたものではないと、なぜ思える? 全ての根本を揺るがすような問い掛けをしたべリアルトールは、答えを告げた。 「我らの自由意思に、あの御方が手を加えられることはありえない。なぜなら我ら全てを愛しておられるからだ」 そして、最初の頃のような子供めいた笑顔を浮かべ言った。 「なにより、思い通りにしかならない相手など、つまらない。あの御方なら、そう言われるだろうな」 終焉の幻を消し、べリアルトールは殺意を漲らせ、戦いの喜びを浮かべ言った。 「さあ、俺を滅ぼしてみせろ。いま見せた未来を否定し、それ以外を手に掴むというのなら。出来ぬというなら、今ここで殺してやる」 これにヨナは、全力のエクスプロージョンと啖呵で答えた。 「やってやります! 滅びの未来など、全力で叩き壊してあげます!」 「はんっ! 吠えたな小娘!」 歓喜を浮かべ、べリアルトールは浄化師達に向かって来る。 それを浄化師達は全力で迎え撃つ。 魔術を、剣を、銃を、矢を、自らが手にした力を叩きつけていく。 「いい加減、終わらせてあげる!」 死角から跳び込んだリコリスが、機動力を奪うように足を斬りつける。 「吠えるじゃねぇかテメェ!」 斬り裂かれたべリアルトールは、楽しそうに声を上げると戦鎚を振るう。 だがすでに、その瞬間にはリコリスは離れている。 「テメェ、避けんな!」 「避けるに決まってるでしょ!」 戦鎚自体は避けられても、それが放つ雷撃までは回避が出来なかったが、それで受けたダメージなど感じさせない声でリコリスは返す。 「こっちにはこっちの戦い方ってものがあるのよ! 雑な戦い方しか出来ないあなたには分からないでしょうけどね!」 「テメェ、ギガスみたいなこと言いやがるな!」 リコリスの挑発に乗ったのか、むきになって襲い掛かってくるべリアルトール。 それを避けながらリコリスは仲間が攻撃し易い位置へと誘導する。 「ちっ!」 途中で気付いたべリアルトールが離れようとするが、そこに魔力を込められた矢が走る。 「逃がさない。ここで終わらせる」 トールの矢を膝に受けたべリアルトールは、一瞬とはいえ動きが止まる。 そこに、仲間の追撃が入った。 『死角からパイルドライブを撃つ。その後の隙を突いてくれ』 ニコラは魔術通信で、べリアルトールに気付かれないよう仲間に呼び掛ける。 それに合わせ、仲間の浄化師は動く。 浄化師の動きを訝しんだべリアルトールは周囲を警戒するが、ニコラの動きの方が速い。 死角から跳び込み、渾身のパイルドライブを叩き込む。 真上からデモン・オブ・ソウルを肩に叩き込み斬り裂く。 ざっくりと大きな傷が開き、べリアルトールは急速再生しようとするも、その勢いは鈍い。 「ちっ、呪いか!」 ニコラの武器であるデモン・オブ・ソウルは、一度の戦いの中で一回だけ、一定時間傷付けた相手の体力を削り続けるという呪いを掛けることが出来る。それは致命傷を与える物ではないが―― 「くそ、邪魔くせぇ!」 じくじくと痛みと脱力感を与え、呪いを掛けたべリアルトールの集中力を削っている。 その好機を逃さず、浄化師の連続攻撃が叩き込まれた。 べリアルトールを挟み込むように、リューイとセシリアが動く。 先行してセシリアがタロットカードを放ち、注意を引いた所でリューイが距離を詰めようとする。 だがべリアルトールは、自分を斬り裂くタロットカードを無視し、リューイに吶喊。 リューイの攻撃態勢が整う前に間合いを詰め、戦鎚を振り上げた所で闇に包まれた。 レオノルのナイトメアによる攻撃。 闇に包まれたべリアルトールは、魔力を放出し無理やりナイトメアを霧散させるが、そこにショーンのエナジーショットが額に命中。 まともに食らいのけ反った所に、間合いを詰めたリューイが斬撃。 腿を斬り裂き、機動力を一瞬だが奪う。 浄化師達の連携攻撃で、べリアルトールは動きが鈍る。 そこに畳み掛けるように追撃が重ねられた。 「いい加減、消えてちょうだい」 ラファエラはべリアルトールの額に矢を命中させながら挑発する。 「人形遣いとかコッペリアとかラスプーチンとか。只でさえ腐れ外道が多すぎるんだから、そろそろ一匹ぐらい消えてほしいわね。享楽的な戦闘狂なんて害虫以外の何物でもないじゃない」 「言ってくれるじゃねぇか、小娘」 挑発されたべリアルトールは、むしろ楽しげに笑みを浮かべ距離を詰めて来る。 「俺が戦闘狂なのは否定しねぇが、ならテメェは何だ。テメェも随分と楽しそうじゃねぇか」 「私達?」 距離を詰められながら、それでもラファエラは笑みを浮かべ矢を射続ける。 「私やおじさんが楽しんでるとすれば、戦いじゃなくて報復よ」 余裕がある様にさえ見せているラファエラに、べリアルトールは雷球を生み出し撃ち放つ。 それが眼前へと迫る中、ラファエラはべリアルトールの背後に向け呼び掛けた。 「そうでしょ? おじさん」 べリアルトールの背後から攻撃を叩き込むべく、エフドが距離を詰めていた。 だがべリアルトールは、そちらは無視している。 見るまでもなく気配で、攻撃を捌ける自信があるからだ。 それよりも今は、ラファエラを倒すことに集中している。 放たれた雷球がラファエラを撃ち、体勢を崩した所で本命の一撃を叩き込もうとした所で、その思惑は外された。 「なっ!」 ラファエラに当たる筈だった雷球が軌道を変え、エフドに向かう。 挺身護衛の効果により、ラファエラへの攻撃を肩代わりしたエフドは、攻撃を受けた瞬間、迎エ討チを発動。 べリアルトールを、手にしたデモン・オブ・ソウルで斬り裂いた。 斬り裂かれた傷には呪いが掛かり、じくじくと膿んだように回復を阻害する。 「テメェ、全部計算ずくかよ!」 べリアルトールは歓喜の声を上げる。 味方を庇い、同時に肩代わりした攻撃を受けることで、反射魔術を発動させ不意を突く。 エフドが組み立てた戦闘技法に、べリアルトールは喜んだ。 「面白れぇ!」 エフドに攻撃目標を変えたべリアルトールが突進する。 「他にはねぇのか! もっと見せろ!」 楽しげなべリアルトールに、しかしエフドは冷静に返した。 「これ以上、付き合う気はない」 エフドは残っていた最後の魔力で大鴉ノ羽撃キを発動。 デモン・オブ・ソウルを振り抜き、発生させた暴風でべリアルトールを吹き飛ばす。 吹っ飛ばされたべリアルトールは態勢を整えようとするが、そこにサクラの鋭い矢が撃ち放たれた。 「余所見をしてる暇はないでしょう?」 何本もの矢を撃ち当てながら、サクラはべリアルトールを挑発する。 「馬鹿だ馬鹿だと思っていたけれど、やっぱり馬鹿ねぇ」 「っんだとテメェ! 馬鹿っていう方が馬鹿なんだぞ、このバーカ!」 「あらあらぁ、語彙が貧弱ねぇ。馬鹿だと言葉を知らないから大変よねぇ」 「テメェ!」 戦鎚を振り上げながら突進してくるべリアルトール。 それに、サクラを守るような位置に就いていたキョウは声を上げる。 「サクラ、いくら馬鹿だからって本当のこと言って挑発しないで下さい。馬鹿でも強いんですよ」 「馬鹿は余計だあぁぁあ!」 突進してくるべリアルトールに、キョウは若干顔をひきつらせそうになったが、サクラの前から逃げ出すことなく全力を尽くす。 「使ってみますか」 キョウは自身の黒炎魔喰器、境ノ夜符・斬を解放する。 呪符から溢れた黒炎がキョウを包むと、理性を保ったままアウェイクニング・ベリアルを発動。 境ノ夜符を投擲する。 まさしく目にも止まらぬ速さでべリアルトールの腕を斬り裂くと、傷口を再生させることなく血を流させた。 「ちっ、急速再生しねぇ!」 キョウの黒炎魔喰器、境ノ夜符は、回数制限はあるが、傷付けた相手を強制的に出血状態にする特殊能力を持つ。 普通の傷ならばべリアルトールは自動的に急速再生させられるが、境ノ夜符で付けられた傷は自動では回復しない。 「くそ、ちまちまちまちまと! 再生に集中しないと傷が塞がらねぇ――ってちょっと待てこら!」 回復に集中しようとしたべリアルトールに、サクラとキョウは連続攻撃。 それに怒ったべリアルトールは、未だに血が流れ続ける傷口を無視して2人に吶喊しようとした。 だがそこに、ナツキが斬り掛かる。 「どこ見てんだ!」 ナツキは突進の勢いも込めた振り降ろしを叩き込む。 それをべリアルトールは全力で受け止める。 ガギンンッッ! 武器が撃ち合う轟音と、撒き散らされる雷撃。 致死へと繋がる攻撃を合わせながら、ナツキは楽しげに刃を振るう。 「行くぜ!」 全身全霊、全力を振り絞りナツキはホープ・レーベンを振り続ける。 「来いや!」 ナツキの全力に応え、べリアルトールも戦鎚を振るう。 お互いを打ち倒す意志を込め、けれどそれ以上に全力を出せる喜びに笑みを浮かべ、2人は戦い続ける。 「ははっ、やるな! 楽しい! 楽しいじゃねぇか!」 べリアルトールは嬉しそうにナツキに呼び掛けた。 「そんなに俺をぶっ殺してぇか! 倒してぇか!」 「違ぇよ!」 渾身の斬撃を叩き込み、ナツキは言った。 「勝ちてぇんだ! アンタを超えてぇんだよ!」 「よく言った!」 さらに苛烈にべリアルトールは戦鎚を振り降ろす。 それを全力で弾いたナツキに、べリアルトールは祝福する様に言った。 「超えてみろ! 俺を! 未来を勝ち取ってみやがれ!」 殺意は緩めず、勢いは衰えさせず。 けれど期待と共に振るわれる戦鎚を、ナツキは弾き言った。 「勝つさ! 俺達で、アンタに勝ってみせる!」 「その意気だ、相棒(ナツキ)!」 ナツキの決意の言葉に、ルーノが応える。 べリアルトールとナツキが撃ち合う最中に距離を詰めたルーノは、禁符の陣を発動しべリアルトールの動きを止めた。 「今だナツキ!」 「おう!」 相棒(ルーノ)の助けを借り、ナツキは氷結斬を叩き込む。 袈裟がけに斬り裂かれたべリアルトールは、全身を凍りつかせる。 追い詰められるべリアルトール。 そこから止めへとつなげるため、ベルトルドが跳び込んだ。 獲物を狩り獲る猫科の獣の如く。 音も無く間合いを詰め、鋭い一撃を放つ。 震脚と共に拳打を脇腹に叩き込む。 拳がめり込み、衝撃と共に魔力が浸透。 次の瞬間、爆発した。 爆裂斬の一撃でよろけるべリアルトール。 その時には既に、周囲には人が居ない。 味方を撒き込む心配がない中、ヨナが全力のエクスプロージョンを放つ。 大爆発。 まともに食らったべリアルトールは、全身に罅が入っていた。 だが、それでも。 べリアルトールの戦意は消えない。 「掛かって、来いや!」 べリアルトールの声に応えるように、ステラが跳び込んだ。 「いっくぞおぉぉぉお!!!」 余計な小細工一切無しの、全力突進。 真正面からぶちかまし。 自身の力の全てを叩き突けると言わんばかりのステラに、べリアルトールは楽しげに笑った。 「面白れぇ」 べリアルトールは、ステラの攻撃を避けない。 その全てを真正面から撃ち合わせる。 ゴッゴンッッ! ステラの振るう巨大ハンマー、スタンピングハンマーと、べリアルトールの振るう戦鎚、ミョルニルが真っ向からぶつかり合う。 響く衝撃と、撒き散らされる雷撃。 攻撃を振るうごとに傷つくステラ。 それでも、ステラは一歩も引かない。 なぜなら約束したからだ。 「ステラ、一人で……頑張れますか?」 「うん! こっちはまかせろ!」 リンファと交わした約束を守るため、ステラは渾身の力を振るう。そして―― 「おっりゃああああっ!」 全力の一撃が、べリアルトールが手にしたミョルニルを弾き飛ばした。 それはステラの力だけではない。 これまで皆が重ねた攻撃があったればこその結果。 皆で力を合わせ、連携し積み上げたダメージが、べリアルトールを追い詰めた。 「はん、やるじゃねぇか」 べリアルトールは、自分の顔面目掛け撃ち降ろされるスタンピングハンマーを見詰めながら、嬉しそうに呟く。 それと、ほぼ同時に―― ガゴッッ!! 周囲に響く轟音と共に、スタンピングハンマーはべリアルトールの弱点である頭部に命中。 一瞬、耐えたあと、べリアルトールは砕け散った。 その瞬間、おびただしい魂が溢れ出る。 魂を縛る鎖に拘束された彼ら、あるいは彼女達を解放するために、300人を超える浄化師は奮闘し、全ての魂を解き放った。 「終わった……」 誰ともなく、呟く。 勝利の実感はあれど、とてもではないが余力はない。 それでも、浄化師は自分達の役割をこなす。 終焉の夜明け団を捕縛し、傷付いた者がいれば癒していく。 癒される中で猜疑の声を上げる者もいるが、それに浄化師は返していく。 「勘違いするな。死なれたら寝覚めが悪いだけだ」 ショーンのように応える者もいれば―― 「皆さんが、無事で、良かったです……」 「誰も、死んでほしくないんです」 アリシアやリチェルカーレのように声を掛ける者もいる。 全員を癒し終える頃には、かなりの時間が過ぎていた。 「……こっちは終わったよ。悪いけど、車を用意して貰えるかな」 捕縛した終焉の夜明け団の移送のため、トールが伝葉を使いマーデナクキス政府に連絡を取る。 どうやら向こうでも、国内で起っていた暴動の制圧の蹴りは付いたようだった。 ひと段落し、皆がぐったりとする中、ヴィオラはダヌに礼を言った。 「ありがとうごさいました、ダヌ様。お蔭で勝つことが出来ました」 「貴女達が頑張ったからよ。よく頑張りましたね」 ダヌはそう言うと、戦いで少し乱れたヴィオラの髪を、自分の枝から作った櫛で梳いて整える。 「ごめんなさいね。私を守るために大変だったでしょう」 「いえ、そんなことはありません。だって、みんながいましたから」 ヴィオラの応えに、くすりとダヌは笑う。 同じように、笑みを浮かべるヴィオラだった。 かくしてマーデナクキスでの決戦は終わりをみせる。 被害を最小に抑え、見事3強の一角を倒した浄化師達だった。
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*** 活躍者 *** |
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[24] エフド・ジャーファル 2020/08/14-23:03
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[23] クリストフ・フォンシラー 2020/08/14-22:53
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[22] リチェルカーレ・リモージュ 2020/08/14-21:50
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[21] ニコラ・トロワ 2020/08/14-21:36 | ||
[20] ルーノ・クロード 2020/08/14-21:25 | ||
[19] リチェルカーレ・リモージュ 2020/08/14-21:09 | ||
[18] リコリス・ラディアータ 2020/08/14-21:00
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[17] リューイ・ウィンダリア 2020/08/14-20:32
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[16] タオ・リンファ 2020/08/14-20:26 | ||
[15] リコリス・ラディアータ 2020/08/14-16:38 | ||
[14] サク・ニムラサ 2020/08/13-23:51
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[13] クリストフ・フォンシラー 2020/08/13-22:54 | ||
[12] リコリス・ラディアータ 2020/08/13-19:22 | ||
[11] ルーノ・クロード 2020/08/13-11:25 | ||
[10] リューイ・ウィンダリア 2020/08/13-00:39 | ||
[9] レオノル・ペリエ 2020/08/12-23:55 | ||
[8] ヨナ・ミューエ 2020/08/12-23:47 | ||
[7] リチェルカーレ・リモージュ 2020/08/12-22:05 | ||
[6] リコリス・ラディアータ 2020/08/12-10:53 | ||
[5] ヴィオラ・ペール 2020/08/11-23:23 | ||
[4] ルーノ・クロード 2020/08/11-19:15 | ||
[3] クリストフ・フォンシラー 2020/08/10-22:14 | ||
[2] リチェルカーレ・リモージュ 2020/08/10-21:32 |