~ プロローグ ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ 解説 ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |

~ ゲームマスターより ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |

◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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エフドはラファエラほどあの件を引きずっておらず、やる気に温度差があります。 それでも「何でもしてあげる」約束の為に何とかやる気を出そうと、ミスリードに話し相手を頼みます。 「伝わってきますよ。惚気話で私を殺そうとするあなたの殺意が。あんな……大胆不敵な美女と契約できた挙句そこまで信頼されるのが、どれだけ恵まれてるか忘れてません?。お幸せな事で。もう一押しでしょうから頑張りなさい。 しかし今の彼女には鬼気迫るものがありますね。本当にリベンジと正義感だけの話でしょうか」 思えばエフドは、未だにラファエラの身の上話の類をほとんど聞いていません。 |
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~ リザルトノベル ~ |
それは、後に『神魔大戦』と呼称される戦いの少し前。 何処とも知れない、深い森。その奥にポツンと立つ廃墟化した屋敷。 人の気など在るとは思えないその一室で、言葉を交わす小さな人影二つ。 「……興味ないよ……」 床に書かれた魔方陣と、昏く輝く魔結晶。 灯される蝋燭が揺れて。 吐き気をもよおす程に香しい、雑多数多の薬の匂い。 「神? 人? 知らないよ。意味ないよ。不必要だよ。銀狼だけだよ。銀狼だけなんだ。必要なのは。大切なのは」 アイボリー色の髪に、真っ白いドレス。赤い頭巾を頭からすっぽりと被った、十歳くらいの少女。 彼女は、魔女。 人を殺し喰らう、危険な魔女の一派。『怨讐派』と呼ばれる中でも、なお異端。 蛮行を咎めて命を失った戦士・浄化師、数知れず。 余の人々は、恐怖と嫌悪を交えて呼称する。 悪意。 愛意。 『アクイの魔女』。 「帰って。ボクは彼を、銀狼を呼び戻さなきゃいけないんだ。早く。早く。なのに、なのにボクは……ああ、あぁ……どうして……どうして……」 彼女がブチブチとアイボリーを毟り始めた途端、バチンと軽い衝撃が小さな頭を揺らした。 「話してる途中だぞ? 勝手に『飛ぶ』な」 アクイにかかる、呆れた声。 アクイと同じ、幼い少女の姿。けれど、その身を彩るのは純白と真紅ではなく、琥珀一色。 最古にして最強の魔女の一人。 『麗石の魔女・琥珀姫』。 彼女はアクイの胡乱な視線を意にも介さず、傍らにあった椅子にチョコンと座る。 「まあ、そう無碍にするな。創造神がやろうとしているのは、今の世界を丸々上書きする事だ。そうなれば当然、お前と銀狼も諸共に真っ新だ。望む仲には、戻れないぞ?」 「……知らない……」 説く琥珀姫から視線を逸らし、抑揚のない声で言う。 「計算したよ。殺したよ。組み立てたよ。演算したよ。願ったよ。呪ったよ。そしてまた殺したよ。何度も何度も幾度も幾度も何人も何人も」 壊れた蓄音機の様に捲し立てる、金切り声。恐怖も困惑も。不快さえも示さず。琥珀の姫は耳を傾ける。 「でも、あの子は。彼は。銀狼は。戻ってくれない帰ってこない」 壊れた声音。混じる、悲哀。 「駄目なんだダメなんだダメだから。だからだからダカラ。だから……」 「いっそ更地に戻ってもう一度、か?」 かけられたのは、嘲りの声。 アクイの目。縮んだ瞳孔が、彼女を見る。 「たまには可愛い声を上げると思ったら、くだらない。諦める事も忘れる事も叶わないから、今までみっともなく足掻いてきたのだろうに。中途半端極まりないな」 「………」 「魔女なんてのは、己の欲に狂ってなんぼの存在だ。とびきり狂った挙句に飲まれるも叶わず我に返る程、みっともない事もない。そんなんじゃあ、神に上書きされた所で箸にも掛からん愚物に成り下がるが関の山だ」 「………」 「ま、むしろ銀狼の奴には都合が良いだろう。これで煩わしいストーカーからも綺麗さっぱり……」 「グラディウス」 呼びかけと共に、アクイの影から飛び出す大剣。持ち手もなしに宙を走り、姫を刺し貫こうと。けれど。 薄い笑みの前を、遮る閃光。 忽然と現れた琥珀の騎士の剣が、グラディウスと呼ばれた大剣を叩き折る。 「スクートゥム、ウンブラ」 立て続けに呼ぶ名。襲い掛かる巨盾と狼の影。だけど。 尽く打ち倒された挙句、喉元に突き付けられる琥珀の刃。 手に、負えない。 「さて、このまま喉笛掻っ切って脳髄だけ持ち帰ってもいいが……」 警戒する素振りさえ見せずに近づいた姫が、アクイの瞳を覗き込む。 「それをやっては怒る子がいる」 笑う琥珀の瞳は、氷の冷。 「正味、わたしにはお前なんぞよりその子を怒らせる方が怖くてね。取り合えず、そっちの方向はやめてやる」 小さな顎を掴んでクイと上げ、顔は間近。 「大人しく従え。何、この戦争の間だけだ。そうすれば、後は自由にやらせてやる。わたしも、自分の妄執に狂った口だからな。お前の『ソレ』を否定は出来ない。邪魔も、しない。ただし、それも此方の意向を受け入れればの話だ。どうしても否と言うのなら……」 琥珀に彩った爪が、額に当たる。灯る、同彩の焔。優しく。微睡み。圧倒的な、魔力。 知っている。理解している。熟知している。 『琥珀の花園、其の種火(ギルウゥス・ルーメン)』。またの名を、『魂縛り』。 琥珀の魔法の中で、最も怖ろしく、最も忌ましき代物。一度灯されてしまえば、抗う術はない。 「用が済んだら、あの子の前に放り出してやろう。不満だろうが、まあ拒みはしないだろうよ。くだらん矜持に溺れて好機を逃す程、あの子の憎悪は安くはないからな」 「……魔女……」 ボソリと呟いた言葉も、細やかな皮肉にすらならず。 「そうさ、わたしは魔女だ。お前と同じ、妄執と言う狂気に溺れるな。世界を守る事も、神を殺すのも。全てはその欲の為。狂気の為。子供達の為だ。矛盾の極みだが、その為ならば……」 ――万物全ても――。 眼差し。奥に見えるのは、自分と同等かそれ以上の……。 「……代価を……」 まろびでた言葉に、自身がポカンとする。 けれど、止まらない。タガの外れた本能は、壊れた理性を無視して垂れ流す。 「代価を……導となる、教示を……それなら……」 「本音が出たな。それでいい」 ニヤリと笑んで、姫は説く。 「代価は払おう。だが『ソレ』の代価にするには今度はソッチが足りない」 誘う、悪魔の声音。 「来い。そして、見ろ。人の想いが、神の真理を挫く様を。自分で袋小路に閉じた所で、何も変わりはしない。最も良かった遠い過去は、所詮過去だ。引きずり出すなら、そこから出て探せ。その為の術を。人は、あの子達の命の型は、確かにその導となる」 そして、最後の言の葉。何故か、優しく。 「わたしが、そうだった様にな」 魂を求めて、琥珀の焔が疼く。 どの道、術はない。 ◆ 薔薇十字教団本部。その、訓練場。 一人の男性を相手取り、攻撃を仕掛ける『ラファエラ・デル・セニオ』と『エフド・ジャーファル』。相手を務めるのは、『ロノウェ』。教団局長を務める、上級狂信者。 必殺の一撃を容易く逆取られ、反撃を受けるラファエラ。尻餅をついて見上げる彼女を見下ろし、ロノウェは『まだまだ』と笑った。 現在、二人はロノウェの助手の立場にある。 彼だけではない。同盟関係にある魔女達からも、教えを受けている。 内容は、死霊術の捜査。そして、対魔女戦術及びその類。 かなり癖の強い人物であるロノウェ(特に、何かのスイッチが入って始まる長語り。常人にとっては、苦行の極み)に就いたのも、嫌う魔女達に乞うのも、たった一つの目的の為。 自分達……否、ラファエラに消えない屈辱を刻んだ『アクイ』を殺す事。 全ては、復讐の為に役立つ技能を求める執念の表れ。 アクイは大戦の際には一応、人の側に就いた。戦績は凄まじく、数多のスケール3・4を殺した。 にも関わらず、ラファエラの復讐に異を唱える者はいない。 それは、同属である筈の魔女達でさえ。世俗派に属する武闘派は、魔女が世の信頼を得る為にアクイの様な輩を討たねばならないと考えている。 誠実さを証明するには、己の澱みは己で浄化せねばならぬのだからと。 「言うまでもないだろうが、彼女は狡猾で強大だ。初めから殺す気で行く他ないだろう」 「あんな腐れアマに、今更憐れむ余地はないわ」 自分の言葉に返った声の不機嫌さに、ロノウェは苦笑する。 「失礼した。正直この余計な忠告は、私自身に言っているのだ」 言って、宙を仰ぐ。 「この教団がどれだけ劇的に変わったか知っているかね。勇ましい善男善女達が、この腐り落ちかけた体制を善意の光で蘇らせた。強く優しい英雄達の騎士団は物語にしかいないという信仰が反証された喜びを、私は未だに良く言い表せない」 感極まる様に。それでも、ただ浸りはせず。 「だが金と暴力がそうである様に、善意もまた万能ではない。奴の前で不確かな希望は持たない事だ。奴はそれをすぐさま利用するだろう」 「知れた事よ……」 「………」 思い詰める様な眼差しで呟くラファエラを、エフドは黙って見つめていた。 ◆ 「さして執着もないのに、『その約束』の為に何とかやる気を……ですか? いやはや、涙ぐましいと言うかいじらしいと言うか……」 仄明るいバーのカウンター。隣りのエフドの表情を伺うと、『ミスリード』愉快そうに微笑んだ。 「伝わってきますよ。惚気話で私を殺そうとするあなたの殺意が。あんな……大胆不敵な美女と契約できた挙句そこまで信頼されるのが、どれだけ恵まれてるか忘れてません? お幸せな事で。もう一押しでしょうから頑張りなさい」 まあ、言われるまでもないのだが。 話をする相手を間違えたかもしれんなどと思いつつ、ジントニックなぞあおるエフド。けれど、グラスを弄んでいたミスリードの言葉にふと手を止める。 「……しかし、今の彼女には鬼気迫るものがありますね。本当にリベンジと正義感だけの話でしょうか?」 気づく。 思えば自分は、未だ彼女の身の上をほとんど知らない事を。 さて。このミッションで、何か一つも開ける事は出来るだろうか。 これからの。 明日からの。 自分達の為に。 ◆ 「用向きは何かな? 可愛い子」 「……いい加減、子供扱いはやめてくれない? それと、その薄気味悪い薄ら笑いも」 そんな憎まれ口を叩きながら、ラファエラは目の前の琥珀姫を睨む。 彼女の居城。かつては『琥珀の墓』と呼ばれた忌み地も、今はその面影もなく。浄化師達の訪れを歓迎するかの様に本部から直通のゲートすら繋げられていた。 「すまないな。わたしからすれば、君達は皆可愛い子供だよ。顔が緩むくらいは、許して欲しいものだが」 糠に釘。 それでも、理解している。この親愛の奥に潜む、冷徹な価値観と狂気を。 今一度、人が己の期待を裏切れば。その狂気は即座に牙を剥く。 今度こそ、一欠片の慈悲もなく。けど、今は。 「分かってるでしょう? 貴女なら」 「アクイなら、出かけたよ」 予定調和の様に、姫が答える。 彼女は、外に活路を見出そうとしている。 其れは好機であり、危機。 尻尾を掴み易くなる半面、行く先々で実験が行われる。 枷は、外れたのだから。 「……黙って、見てたの?」 「代わりに、殺って欲しかったか?」 露骨に嫌な顔をして踵を返すラファエラに、『焦るなよ?』と声がかかる。 「見え透いた隙は、寄せ餌だ。アレは、手強いぞ?」 答えも返さず、歩み去る。 酷く楽しそうな笑い声が、送る。 ◆ 夜、エフドは手紙を書いていた。今は離れた地で暮らす、母に向けて。 ――もうしばらく、危ない橋を渡る事になりそうだ。連続殺人鬼の死霊術師を倒さなきゃならん。彼女にとっては、神殺しよりそっちの方が重要らしい。ついてくのが大変だが、当てにされてるのはいいもんだ。自分がここまで働き者になるとは、思わなかったぜ――。 書き終えて、ふと窓を見る。 浮かぶのは、真っ赤な禍月。 いつか、あの光に染まって倒れるのはどちらだろうか? 奴か。 それとも……。 禄でもない夢想から逃げる様に、エフドはそそくさと床に就いた。 ◆ 戦いの後、アクイは琥珀姫の所を訪れた。 隠遁の停滞を脱し、探求の旅に出る事を。 「世界が変わる。示してくれて、ありがとう」 残して消えた先。 数多の暗闇、答えは何処。 思考はせて、琥珀の姫はただ笑う。
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*** 活躍者 *** |
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該当者なし |