~ プロローグ ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ 解説 ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ ゲームマスターより ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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……あっ!ヨセフ室長…… お、お疲れ様です!お先に失礼しますっ ヨセフ室長と会うと、すぐにその場から立ち去りたくなります 理由は……いえ、そんなはずはないんです、そんなはずは…… 仕事という名目があれば、そこまで苦しい感じはしません それが今の私にはとても楽で、正直助かっています でも、日常に彼が現れると、何故か心を乱されてしまっています…… ステラはまだ、これがどういうことなのか分かっていないのでしょう 実のところ、私にさえよく分かっていません……初めて抱いたこの感情が、何なのか…… とりあえず、落ち着くまで彼とはなるべく会わないようにしましょう 今はそれが必要なんです。だけど、ああ、会いたいとも思ってしまって |
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~ リザルトノベル ~ |
(どういうことだ?) ヨセフは『タオ・リンファ』を前にして困惑していた。 「そ、それでは私は帰ります!」 今までの落ち着いた様子から一転して、ヨセフから視線を逸らし室長室から出て行こうとする。 「待て。タオ・リンファ」 「は、はひっ!」 ヨセフに呼び止められ明らかに挙動不審な様子で応えを返す。 「な、なんですか……?」 やはり視線を合わせず、どこかもじもじしている。 (どういうことだ?) 合点がいかない。 とある指令を頼もうと、リンファと『ステラ・ノーチェイン』を室長室に呼び概要を説明していたのだが、その時は問題なかった。 真剣な面持ちで話を詰めていき、対応策を相談している時もそれは変わらない。 けれど説明が終わり、急な指令を頼んだことに労いの言葉を掛けようとした途端、リンファの視線は宙をさまよい、いつのまにやら視線を逸らし部屋から出て行こうとしたのだ。 「忙しい所を呼んですまなかった」 「え……」 リンファの様子に、ヨセフは思い当たる節を口にする。 「忙しかったのだろう? いや、何も言わなくても良い」 何やらパクパクと口を動かそうとするリンファを止め、ヨセフは続ける。 「指令内容を聞いた途端、急いで出て行こうとするのだ。それだけ他の用事があるのだろうが、それでも今回指令を受けてくれ礼を言う」 「ふぇ……」 思わず上ずった声を上げてしまうリンファに、ヨセフは言葉を重ねる。 「いつも助かっている。タオ・リンファ、お前も、ステラ・ノーチェインもそうだが、力を貸してくれることに感謝しかない。だから少しでも、お前達に報いたい。何かあれば、いつでも言ってくれ」 リンファとステラのことを想っていることが伝わってくるような熱の篭もった言葉だった。それを聞いたリンファは慌てて部屋を出て行く。 「だ、大丈夫です! 失礼します!」 「マー! 待て! オレも帰るぞ!」 当然のようにリンファの後を追うステラ。 あとにはヨセフが1人。 「……どういうことだ?」 思わず心の中だけでなく声に出して呟きながら、ヨセフは書類仕事を再開した。 そして部屋を走って出て行ったリンファに、追い付いたステラは顔を覗き込む。 「マー、どうしたんだ? 顔が赤いぞ」 「そ、そんなことはないです!」 慌てて返すリンファの顔は、ほのかに赤く染まっている。 「こ、これは……急に走ったから赤くなっただけなんです!」 全力で言い訳するリンファ。 ステラは首を傾げ不思議そうに言った。 「マー、最近変だ。あいつに会うといつもそうだぞ」 「べ、別にそんなことないです! 前から何も変わりません!」 「そうなのか?」 よく分からん、とでも言いたげに、さらに深く首を傾げるステラ。 一方リンファは、ぺちぺちと軽く自分の頬を叩き、いまだ形にならない胸の奥から湧き上がる想いを誤魔化そうとしていた。 (ヨセフ室長と会うと、すぐにその場から立ち去りたくなります) 何故なのか? それは自分の気持ちと向き合えば、すぐに答えは出るような気はする。 だからといって向き合えるかというと、そう簡単な物でもない。 (理由は……いえ、そんなはずはないんです、そんなはずは……) 自分に言い聞かせるように否定する。 けれど自分の行動を振り返れば、否応なしに理解できるような気はしていた。 (仕事という名目があれば、そこまで苦しい感じはしません。それが今の私にはとても楽で、正直助かっています。でも――) ふいに何でもない日常の先でヨセフと出会ってしまえば、意識せずにはいられないのだ。 (日常に彼が現れると、何故か心を乱されてしまっています……) 胸が苦しい。 それは自分の想いと向き合えないからなのか? それとも想いの先を考えることが怖いのか? それすら分からないほど、今のリンファの心の中は乱れていた。 「……」 小さく、ため息ひとつ。 気持ちを引き戻そうとしていると―― 「マー、それより早く行くぞ!」 ステラが元気に声をかけてくれる。 「早く指令を終わらせて、ご飯食べに行くぞ!」 色気よりも食い気と言わんばかりに、明るく元気に呼びかけてくれた。 思わず苦笑する。 (ステラはまだ、これがどういうことなのか分かっていないのでしょう) だから今までと変わらぬ様子で接してくれる。 それが今のリンファにとって助けになっていた。 「そうですね。行きましょう」 リンファはステラに応え、共に指令に向かう。 変わらぬ日常を、これからも続けていこうとするかのように。 けれど抱いた想いは熾火のように、消えずに熱を持ち続ける。 だからこそ思ってしまう。 (実のところ、私にさえよく分かっていません……初めて抱いたこの感情が、何なのか……) 消すことのできない想いを胸に抱きつつ、それを振り払うように思う。 (とりあえず、落ち着くまで彼とはなるべく会わないようにしましょう。今はそれが必要なんです。だけど――) 想いは熱を帯びていく。 (ああ、会いたいとも、思ってしまう……) 想いを抱えるリンファは、それからもヨセフに会う度に距離を取ろうとしてしまう。 それが幾度か続いたあと、ヨセフは思っていた。 (最近、彼女に避けられている気がする) 彼女とはもちろん、リンファのことだ。 ヨセフを見ては距離を置こうとしたり、廊下で会いそうなら遠回りし、話しかければどうも歯切れが悪かったりはぐらかしたり。 何かがおかしいが、何がおかしいのかヨセフには見当もつかない。 (人に言えない悩みでもあるのか、デイムズの部下だったことで気でも遣っているのか、それともまさか、自分を嫌っているのか) 思考を目まぐるしく巡らせる。 それは幾つもの可能性を組み合わせ、最適と思える答えを導き出す。 まさしく『円転滑脱の権謀術策』のふたつ名にふさわしい思考速度だったが、どうしても辿り着けない。 そもそも論理で乙女の純情に辿り着こうとしていること自体が、随分と思い違いをしていたのだけれど。 とはいえ答えが出ずに教団本部の廊下を歩いていると、リンファとばったりヨセフは会った。 「……あっ! ヨセフ室長……お、お疲れ様です! お先に失礼しますっ」 これまでと同じように逃げ出そうとするリンファを、ヨセフは呼び止める。 「待て、タオ・リンファ」 「な、なんですか……」 ずかずかと一気に距離を詰めてきたヨセフに、リンファが声をすぼめていると、すっとリンファの髪に手を延ばし言った。 「埃が付いていた。指令で付いたのだろう」 そう言うと肩に付いた埃も手で払いのけてあげる。 「うん、これで良い」 笑顔で言うと、顔を俯かせているリンファが気になって顔を近づける。 「ふぇ……」 「大丈夫か? 顔をが赤いぞ。普段からお前には無理を言っているからな、疲れが出たのかもしれん。休みは、ちゃんと取っているか? 取れていないなら言ってくれ。お前の苦労に報いるためにも、それぐらいはする。だから自分を大事にしないとダメだぞ」 心配してヨセフが声を掛け続けていると、俯いていたリンファは体をぷるぷる振るわせて、さらに顔を真っ赤にすると―― 「な、なんでもないですうぅぅ……――」 全力ダッシュで走り去っていった。 「……いかんな」 リンファの様子にヨセフは思う。 (理由は分からんし、思いつけもせんが、俺のせいでタオ・リンファに余計な心痛を負わせてしまっているようだ) 「どうにかせねば」 そう思い到ったヨセフは、とりあえず山のように積み重なった書類を徹夜で全処理。 魔術で強制的に短時間深層睡眠を取り回復すると、自分では思いつかないので他人を頼ることにした。 『そりゃあれだロ! 加齢臭ダ!』 「お前俺とひとつしか歳は変わらんだろう」 まず最初にパートナーであるトーマスに訊いたことをヨセフは即座に反省した。 「無駄な時間だった」 『なんだトー! そんな心ないこと言われタラ、オレ様の心はブロークンだゾ! 慰謝料に研究予算を十年分寄こセ!』 「何か新しい発明でも思いついたのか? 必要なら工面する。概要を後で挙げておけ」 何故か余計な仕事を自分から作ったヨセフは、今度は女性の意見を聞こうと、日頃リンファを見ているであろう寮母ロードピース・シンデレラの元に向かった。 「まさかセクハラでもしたんじゃねーだろーなァ? おー穢らわしいっ」 話を聞くなり、けんもほろろだった。 しかしヨセフは生真面目に返す。 「そんなつもりは無かったが……だが自覚も無しにしていたのなら問題だ。あとで自分の行動を洗い出し検証しよう」 「あんたって、時々頭の良いバカになるよね」 「? どういう意味だ?」 「唐変木ってことだよっこのすっとこどっこい!」 呆れたように返すシンデレラに、首をひねりながらその場を後にするヨセフだった。 そして今、部屋へと戻りながらヨセフは悩んでいた。 (まるで手掛かりなしか) 何人かに話を聞いて回り手応えの無かったヨセフは、今度は過去の情報を思い出しながら考える。 (そういえば、アディティとの契約を終えたあとぐらいに反応が変わった気がする) 乙女心は分からなくても記憶力は素晴らしいヨセフは、記憶から情報を引っ張り出してくる。 「アディティに会えば何か分かる可能性があるか? だがどうやって喚び出す? 俺とひとりの魔力で喚び出すには難しいが、俺個人のことで誰かに余計な魔力を使わせるわけにも――」 などと呟いていると、ひょいっとメフィストが現れた。 「おもろかしい気配がするので参上でーす」 「そういえばお前が居たな。お前なら良いか」 「何だかひどいこと言われてる気がしまーす」 「気にするな。それより力を貸してくれないか――」 というわけで、メフィストの力を借りアディティを喚んだ。 「契りを結ぶ気になりんしたか?」 「いや、そのつもりはない」 ヨセフは喚び出したアディティに事情を説明すると、アディティはしなだれかかるように言った。 「いけずな旦那はんでありんすなぁ。わっちを喚んでおいて、他の女の話をするなんしか?」 「すまんな。気を悪くしたなら謝る。だがどうしても考えつかんのだ。頼りにさせてくれないか」 頭を下げるヨセフに、アディティは楽しげにころころと笑い応えた。 「いいでありんすよぅ。女のために頭を下げられる旦那はんにひとつ、女を教えてあげしんす」 そう言うと、しなだれかかりながら、耳元で囁くように言った。 「そんなに気になるなら、面と向かって本人に聞きなんし」 「……それしかないか」 「やっぱり旦那はん、いけずでありんすなぁ。元からそのつもりでありんしたな?」 「迷いはあったんでな。その後押しをして貰ったことは助かる。礼を言う」 これにアディティはころころ笑うと、続けて問い掛けた。 「それで旦那はん、どうするつもでありんすか?」 「何よりも時間を作らなければな。そのための苦労なら幾らでもする。それとあとは……同じ話を聞くのでも、落ち着いた場所で食事でもしながらの方が良いだろう。その方がリラックスできる」 ヨセフの応えに、アディティはきょとんとしたあと、けらけらと笑いながら言った。 「罪作りなお人でありんすなぁ、旦那はんは。ふふ、なら、わっちも知恵を出させて貰いんす」 「そうか? すまんな、助かる」 礼を言うヨセフを、どこか舌舐めずりするような目で見ながら、ヨセフに色々と知恵を吹き込むアディティだった。
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*** 活躍者 *** |
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該当者なし |