~ プロローグ ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ 解説 ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ ゲームマスターより ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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修練場で、鍛練に励みます 神との戦いは終わりを迎えた……とはいえ、まだやらなければならないことは多い 体を鈍らせないためにも、こうしたトレーニングの習慣は大切です それに……体を動かせば、余計なことも考えずに済みます 終わらせて、大浴場でさっぱりすれば気も晴れるはず ステラは今頃、魔喰器を見てもらっているところでしょうか こうして互いに離れていても、以前ほど不安を感じなくなりました。これも幾多の戦いを共に歩んでこれたからこそ 室長にも感謝しなければ…… 室長…… …… いけない、油断するとまた考えてしまう (声をかけられ)ひょわぁっ!? あいたっ! あ、あ……あ…… こんな姿、見せられません すぐ、どこかへ逃げましょう |
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~ リザルトノベル ~ |
ほのかに生まれた想いは、気付けば意識せずにはいられないほど強く、大きくなっていた。 「マー、どうかしたのか?」 「……え?」 ぼんやりとした声で『タオ・リンファ』は『ステラ・ノーチェイン』の呼び掛けに応えた。 リンファはステラに顔を向けるが、どこか思い詰めたような表情をしている。 「やっぱり変だ。最近、ぼーっとしてることが多いぞ、マー」 心配したステラが声を掛けてくる。 彼女に見詰められ、リンファは息を飲むように一瞬黙ると、すぐに安心させるような笑みを浮かべ応える。 「……そうですね、少しほうけていたのかもしれません。これではいけませんね、もっとしっかりしないと」 自分に言い聞かせるようにリンファは言うと笑顔のまま続ける。 「気持ちを切り替えるためにも、少し汗を流すとしましょう。これから修練場に行こうと思いますが、ステラはどうしますか?」 「ん~、今日は止めとく。行きたい所があるんだ」 「行きたい所?」 「鍛冶を見に行くんだ。マリエルとマリーが、見に来てもいいって言ってたからな」 目を輝かせながらステラは言った。 (そういえば、新しい武器を作るから興味のある人は見学に来て欲しい、と言ってましたね) 詳しくは知らないが、少し前からメフィストが慌ただしく動いて、それにマリエルとマリーが協力しているらしい。 (黒炎魔喰器を超える武器らしいですが、ステラは気になっているんでしょうか?) 今も目を輝かせているステラを見ていると、新しい玩具を楽しみにしている子供のようにしか見えない。 リンファは苦笑すると、ステラを笑顔で送り出す。 「分かりました。晩御飯までには帰って来て下さいね」 「おう! 分かってるぞ、マー!」 返事をするとすぐに、ステラは工房に向かって走っていく。 ステラを見送ると、リンファは修練場に向かって歩き始めた。 可能な限り余計なことを考えないよう無心に向かおうとする。 けれど無理だった。 ずきずきと疼くように、目を逸らしている想いは消えてくれない。 むしろ無視しようとすればするほど、意識せずにはいられなかった。 (なんで、こんな……) 以前は、こんなことはなかったのに。一体いつから、こうなってしまったのだろう? いや、自問するまでもなく分かっている。 明確に意識してしまったのは、覇天の雷姫・アディティに連れられて希望の塔に向かった時のこと。 正確には、アディティが室長室に現れた時から意識してしまっていた。 大音響と共に堕ちた雷光一閃に、近くにいたリンファもステラと共に室長室に向かい、そこでヨセフにしなだれかかるアディティの姿を見て、一気に頭に血が昇ったのだ。 そこからは考えるよりも先に身体が動いて。 ヨセフからアディティを引き離そうとして雷帯で叩き伏せられてしまったけれど。 そのあと事情を知って、自分を誤魔化すように、努めて冷静でいようとしたのだけれど、ついつい希望の塔に向かう道中で、ヨセフのことが気になり彼をどうするつもりなのか聞いてしまったのが運のつき。 ――ようよう言ったでありんすなぁ。 まるでそう言いたげな視線を向けて、アディティは耳元に寄せた口を扇子で隠し。 色っぽく、わざとらしく、リンファにしか聞こえないように囁いたのだ。 『ぬしは、ヨセフはんのことがだぁーい好きでありんすなぁ』 囁かれた瞬間、血が逆流するように熱くなり、必死で否定した。 でもダメだった。 否定しようとすればするほど強く、想いは消えてくれない。 (こんなことを考えるのは不埒だ、破廉恥だ) 想いは不意に、気付けば浮かんでくる。 それを掻き消すように繰り返し呟く。 「私と室長は上司と部下……上司と部下……上司と部下……」 誰も居ない修練場に訪れ、自分に言い聞かせるように呟き続ける。 それでも消えてくれない想いを振り払うように、自分を律しようとした。 蒼滅呪刀・化蛇を口寄せ魔方陣で召喚し、上着を脱いで軽装になると鍛練に励んでいく。 「神との戦いは終わりを迎えた……とはいえ、まだやらなければならないことは多い」 型を取りながら化蛇を振るい、あえて言葉に出して自分が成すべき事を意識する。 「体を鈍らせないためにも、こうしたトレーニングの習慣は大切です」 休むことなく化蛇を振るい続けた。 これまで幾度となく繰り返した鍛錬は、すでにリンファの一部になっている。 鍛錬を重ねるごとに、刃を振るうことだけに集中できる気がした。 何十と休まず繰り返し、上着のタンクトップが肌に張り付くほどに汗が出て来る。 (このまま……体を動かせば、余計なことも考えずに済みます) きっとその筈だと自分に言い聞かせ、リンファは化蛇を振るい続けた。 百を超え、二百を重ね。 身体を動かし続けながら、リンファは思う。 (ステラは今頃、魔喰器を見てもらっているところでしょうか?) 彼女のことを気に掛けはするれど、心配することは無い。 そう出来るようになったことが嬉しくて、リンファの表情は優しくなる。 (こうして互いに離れていても、以前ほど不安を感じなくなりました。これも幾多の戦いを共に歩んでこれたからこそ) 鍛錬を続けながら思う。 (室長にも感謝しなければ……――) 気付けば、またヨセフのことを想っていた。 (――……室長……) 「いけない」 (油断するとまた考えてしまう) 浮かんできた想いを振り払うように、今まで以上に力強く鍛錬を重ねる。そんな時だった―― 「こんなところにいたのか」 聞こえてきた声に鼓動が跳ねる。 視線を向けずとも、それはヨセフだということが分かった。 「ひょわぁっ!?」 驚いて普段なら出すわけもない声を上げてしまう。 しかも慌てたせいで、大きくバランスを崩した。 幸い化蛇は、主であるリンファを護るように口寄せ魔方陣で自動的に消えてくれたので、それで怪我をすることは無い。 けれど盛大にこけてしまった。 「あいたっ!」 「大丈夫か!」 心配するような声が背中から聞こえてくる。 ヨセフが気遣って走り寄って来てくれるのが分かり、どこか嬉しい気持ちになったが、同時に自分の今の姿を思い出し、大いに慌てた。 「あ、あ……あ……」 上擦った声を上げながら自分の身体を見詰める。 ぺったりと汗をかいた今、タンクトップは肌に張り付いて、ボディラインをクッキリと露わにさせている。 (こんな姿、見せられません) 大急ぎで、脱いで置いていた上着を引っ掴むと、胸元を隠すようにして、ヨセフとは逆向きに走り出す。 (すぐ、どこかへ逃げましょう) そのままぴゅーっと走り去ってしまった。 「……どういうことだ……」 逃げられたヨセフは呆然とする。 先ほど声を掛けたのは、ここ最近避けられている理由を聞くためだ。 もっともこの場で聞く気はなくて、アディティの助言で予約することにした店に招いて、そこで落ち着いた状態で聞くつもりだった。 なのにこの有り様である。 「……どういうことだ……」 呆然としたまま、ヨセフは修練場から室長室に戻る。その途中―― 「ヨセフさん、どうしたの?」 カレナに声を掛けられた。 「何だか今まで見たことない表情してるけど。何かあったの?」 これにヨセフは、同性の彼女なら何か分かるかもしれないと事情を話す。 するとカレナは、目をぱちぱちさせた後、呆れたように言った。 「ヨセフさん、それ本気で言ってるの?」 「……どういう意味だ?」 聞き返すヨセフに、カレナが何か言おうとした所で、通りかかったトゥーナも話に加わり、女性2人掛かりで言われた。 「ヨセフさん、にぶちん」 「正直どうかと思うます」 「……どういうことだ……」 わけが分からないヨセフが理由を聞くが、2人とも呆れたような声で返した。 「それをボク達が言うわけにはいかないよ」 「頑張ってください、室長」 (……どういうことだ……) 結局、何も分からないヨセフだった。 だからヨセフは意を決して、リンファを呼び出すことにした 「失礼します! タオ・リンファ、招集に参じました!」 指令のために呼ばれたと思ったリンファは、仕事モードに切り替えられたお蔭で、真面目で真剣な様子で部屋に訪れる。 (しかし何故、ステラと一緒ではなく私だけなのか?) 疑問を抱きながらヨセフの言葉を待っていると、彼は言葉を迷うような間を空けて言った。 「すまんな、わざわざ来て貰って。今日は仕事ではなく、俺の個人的な用件で呼んだんだ」 「……ぇ」 思ってもいなかったヨセフの言葉に、浄化師としてのリンファは消え失せ、彼女自身の表情を見せる。 そんな彼女に、ヨセフは意を決したように言った。 「タオ・リンファ。お前は、俺を避けていないか? 俺は何かしてしまったのだろうか?」 リンファを気遣う眼差しを向けながら、静かにヨセフは言った。 「気付かず俺が何かしてしまっていたというのなら、改善しよう。そうではなく、なにか気になることがあって、その対処に困っているというのなら、力になろう」 「……」 リンファのことを思いやり、ヨセフは尋ねる。 それが、リンファの心の中で塞き止めていた想いを溢れさせてしまった。 「……それ、は……違います、全て、私が悪いんです。ヨセフ室長は何も悪くありません」 (ああ、これで……――) 想いを吐き出しながら、リンファは覚悟する。 (もう、こうなっては一緒に居れない) そう思っても、想いを止めることは出来なかった。 「自分でも気づいていなかったんです。初めは、尊敬だと思っていました。けれどアディティ様に言われて、自覚してしまった……」 震える声で、ヨセフを見詰めリンファは言った。 「私は貴方が……どうしようもなく好きなんです!」 「……」 リンファの告白を、ヨセフは視線を合わせ無言で聞き続ける。 そんな彼に、リンファは覚悟と共に言った。 「上官にこんな感情を抱くなど、不純です。あってはなりません。でも……でも、消せなくて……」 泣き笑いのような表情で、別れを告げるように言った。 「処罰は、受け入れます。異動も覚悟の上です」 リンファの想いの全てを聞いたヨセフは―― 「……すまん、少し待ってくれ」 顔を強張らせ緊張した声で応えた。 「……ぇ」 泣きそうな顔で自分を見つめるリンファにすぐに返せず、ヨセフはアディティの助言の数々を思い出していた。 (あいつ、全部分かってたな) けらけら笑っているのが目に浮かぶ。 目の前に居れば本気で文句を言ってやる所だが、今はそんなことよりも大事で大切なことがある。 「タオ・リンファ、聞いてくれ」 「……はい」 刑の宣告を待つようなリンファに、ヨセフは緊張した声で言った。 「どこかに行かれては困る。傍に居てくれ」 「……ぇ」 思ってもいなかった応えに混乱しているリンファに、ヨセフは言った。 「君は有能だ。それに今まで働いていくれた恩に報いてもいない。それに……先程の言葉に、今すぐ応えを返せない。だから、傍に居てくれないか、タオ・リンファ」 「……」 リンファはヨセフを見詰める。 普段よりも不器用で、そのくせ、リンファに応えようと懸命になっている彼の表情に、何かがすとんと胸に落ちる。 (ああ、やっぱり、私はこの人が好きなんだ) だから、素直な気持ちを言葉に出来た。 「はい……傍に居ます……ヨセフ室長」 リンファはヨセフと見詰め合い、応えを返すことが出来たのだった。
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*** 活躍者 *** |
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該当者なし |