~ プロローグ ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ 解説 ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ ゲームマスターより ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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マーデナキクスへの支援物資の運搬 先住民やマドールチェを纏めているオッペンハイマーさん達の手伝いをする。 順調に復興しているにしても 冬を超えるのに食料や防寒具はあるに越したことはないだろうから。 この国がセラの故郷なのは変わらない。新しい世界になったんだから、もっと頻繁にやりとりをしたらいいのにと思う。 リ:バレンタイン印の刻印も押してもらったし、支援物資はこんなものでいいかな? セ:室長やウボーさんたちが、本部からも送ってくれると言っていたし。私たちが運べるのはこんなものでしょう。 リ:じゃあ、早く行こう! セ:はりきっているのね。そんなに楽しみ? リ:だって、セラの故郷なら僕にとっても大事な場所だよ。 |
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~ リザルトノベル ~ |
「マーデナクキスへの支援をしたいと?」 「はい」 静かな声で『セシリア・ブルー』はヨセフに返した。 彼女の隣にいる『リューイ・ウィンダリア』が、セシリアの言葉を繋げるように続ける。 「これから冬になるので、あると助かると思うんです。マーデナクキスが順調に復興しているにしても、冬を超えるのに食料や防寒具はあるに越したことはないと思います」 「確かに」 ヨセフは賛同するように応えた。 いま3人が居るのは室長室だ。 ネームレス・ワンとの最後の戦いが終わり、一息ついたころ、セシリアに提案したリューイと共に訪れている。 「向こうに物資を届けるなら、その前に、現地での詳しい情報があると良いだろう」 ヨセフはセシリアとリューイの2人に言うと、魔術符で呼び出しを行う。 それで来たのはウボー達3人組。事情を聞いたウボー達は、リューイ達の提案に賛同した。 「向こうはこれから冬ということで、都市部に食料や防寒着などが不足するらしい」 「元から住まわれている方達の方は大丈夫なんですか?」 原住民のことを心配するリューイに、セパルが応える。 「そっちは大丈夫。そういう環境で暮らしていたから対応策は出来てるみたい。最近までは色々と騒動があって難しい所もあったけど、君達のお蔭で解決したし助かってるみたいだよ」 「騒動というと、人形遣いが起こした暴動のことかしら?」 セシリアの問い掛けにセレナが応える。 「ええ、それも含めたものね。あの時、貴女達が頑張ってくれたお蔭で、現地に食い込んでいた終焉の夜明け団はあらかた駆逐できたから。それ以外もまだ残っては居るみたいだけど、そっちは今こちらで対処してるから心配しないで」 話を聞くと、どうやら人形遣いの残した物や、新興組織に関する物らしい。 そちらはすでに動いている部隊が居るとのことで、話を戻す。 「なら、エア王の元に持って行けば良いんですか?」 リューイの問い掛けにウボーが応える。 「ああ。ただ、出来ればオッペンハイマー氏を間に挟んで行えると助かる」 「どういうことですか?」 「友好ムードを出したいんだ」 リューイにウボーは続ける。 「今後のことを考えれば、オッペンハイマー氏とエア王の間の友好を世間に知らしめることは意義がある。2人ともオッペンハイマー氏とは面識もあるし、良ければ特使として向かってくれると助かるよ」 そう言うとウボーはヨセフの判断を仰ぐ。するとヨセフは賛同した。 「君達が良ければだが、頼めるだろうか?」 「はい!」 「ええ、引き受けさせて貰います」 リューイとセシリアの2人は、快く応えた。 そして支援物資の準備が始まる。 現地での伝手を太くしたいということで、ウボーの実家であるバレンタイン家も参加。 倉庫単位の物資が用意される。 それに加え現地に事情を知らせると、リューイとセシリアの2人を感謝の意味もあり招きたいと連絡があった。 「セラ、会いに行こう!」 目を輝かせるリューイに、セシリアは苦笑するように応える。 「そうね……会いに行っても良いかもしれないわね」 「うん、行こう。セラも、ヴァイオレットさん達に会いたいでしょう」 「会いたくなくはないけれど……別に気を使わなくてもいいのよ?」 セシリアはリューイを気遣うように続ける。 「あの子は私の妹ともいえるけど、血のつながりがあるわけじゃないし」 「血のつながりが無くても関係ないよ」 リューイは言った。 「ヴァイオレットさん、優しい目でセラを見てたよ。オッペンハイマーさんも。あの国にも、セラの家族がいると思うと僕は嬉しい。……セラだってそう思うでしょう?」 まっすぐな目に見られて、くすぐったそうにセシリアは笑みを浮かべる。 「そう、ね。あなたのお家が私の家族で、それになんの不満もないけれど。あの国に私を受け入れてくれる人がいるというのは、悪い気はしないわ」 笑みを浮かべ過去を懐かしむように呟く。 「……『彼』も喜ぶ」 「……? なに? 最後、聞こえなかった」 首を傾げ聞き返すリューイに、セシリアは微笑みながら返す。 「何でもないの」 それは歳の離れた姉が、弟に向けるような微笑み。 そんな彼女に、リューイは気の利いた言葉が浮かんで来ないので、いつものように頷いた。 かわいらしい弟の様子にセシリアは微笑ましさを感じながら、同時に遠い過去を思い出していた。 「君が『セシリア』になる前は、どこにいたんだろうね?」 リューイによく似た琥珀の瞳をした彼。 セシリアを見つけ出し匿ってくれた人。 旅路の果てに、友人だというリューイの家にセシリアを預け。 そのまま魔力切れで眠りに就いたセシリアは、彼が贈ってくれた言葉を胸に、今まで生きてきた。 「きっと君を起こすから。また一緒に、あの国に帰ろう」 遠い遠い約束。とても大切な思い出が蘇る。 (過去に興味はなかったけれど) ほんの少し、思う。 (調べてみてもいいかもしれない) 「行きましょう、マーデナクキスに」 「うん!」 そして2人は現地に持って行く物資の準備を手伝う。 人の移動は転移方舟で行うが物資ならば口寄せ魔方陣で召喚することが出来る。 だから転移用の魔方陣に物資を置き現地で召喚する魔術師の手配も終わらせた。 「バレンタイン印の刻印も押してもらったし、支援物資はこんなものでいいかな?」 「室長やウボーさん達が本部からも送ってくれると言っていたし。私達が運べるのはこんなものでしょう」 「じゃあ、早く行こう!」 最終確認を終わらせ、リューイはセシリアの手を引っ張って転移方舟に向かう。 「はりきっているのね。そんなに楽しみ?」 「だって、セラの故郷なら僕にとっても大事な場所だよ」 弾むリューイの声と笑顔に、くすぐったそうにセシリアは笑う。 そして思う。自分は幸せだと。 (私達の作り手は、そんな物を望みはしなかったでしょうけれど) ドールシリーズの最初のひとり。戦闘用の人形として作られた自分。 作り手の思い通りにならなかったことに、残念でしたと笑ってやりたい。 そう思えるほど、今のセシリアは幸せなのだ。 リューイと手を繋ぎながら、セシリアは転移方舟を潜りマーデナクキスの教団支部に転移した。 現地の教団員に連絡すると、オッペンハイマーからの迎えが来ると応えが返ってくる。 「迎えって、誰だろう?」 「誰かしら? まだ時間はあるみたいだし、転移完了の手続きをしておきましょう」 セシリアはリューイを引っ張って事務所に向かい手続きを終わらせると、迎えが来てくれる教団支部入口に向かう。 道路が整備されている場所で待っていると走行音が聞こえてきた。 「あれ、魔導蒸気自動車だね」 以前、指令で制作に関わった時よりも洗練された車が、2人の前に止まりドアが開いた。 「ヴァイオレットさん!?」 運転席から降りてきたヴァイオレットにリューイが驚いて声を上げる。 すると彼女は笑みを浮かべ応えた。 「ようこそマーデナクキスに、リューイくん。それに――」 「お久しぶりです」 笑顔を浮かべるセシリアに、ヴァイオレットも笑顔で応える。 「歓迎するわ、姉さん」 嬉しそうな彼女に、セシリアは言った。 「わざわざ来てくれてありがとう」 「どういたしまして。来てくれて嬉しいわ。ずっと貴女に、また逢いたいと思ってたんだもの」 「そうなの?」 「ええ。貴女達を案内してマーデナクキスを回れるなんて夢みたい。行きたい所があったらどこでも言ってね。すぐに連れて行ってあげるから」 そう言うと運転席に戻り、車に乗り込むよう勧める。 セシリアを想って笑顔を浮かべるヴァイオレットに、セシリアはリューイに感じるようなくすぐったさを感じ取る。だから―― 「姉さん?」 運転席に座り、ちょうど高さが合うようになったヴァイオレットの頭を撫でる。 「ありがとう、ヴァイオレット」 小さな妹を褒める姉のように、セシリアはヴァイオレットを見詰めた。 「もー、姉さんったら、キュートね!」 喜んだヴァイオレットはセシリアをハグし、一緒にリューイもハグする。 「わわっ、ヴァイオレットさん」 「あら、顔が赤くなってるわよ、リューイ」 「ふふ、かわいい」 「うぅ、もぅ……」 姉2人にからかわれる弟のように、軽く拗ねるリューイ。 そんなリューイの様子に、くすくすと笑いながら車に乗り込む。 「まずはオッピーの屋敷まで案内するわ」 「オッピー?」 「オッペンハイマーのことよ。親しい間だと、そう呼んでるの」 ヴァイオレットはセシリアの問い掛けに返すと車を発進させる。 以前制作を手伝った物よりも加速は鋭く、それでいて反動は感じない。 音も穏やかで動きもスムーズだ。 「うわぁ、随分進歩したんですね」 窓の外の景色が目まぐるしく進んでいくのを見て、リューイは興奮したように言った。 「興味あるみたいね。あとで運転してみる?」 「いいんですか!」 喜ぶリューイに、セシリアは苦笑しながら言った。 「まずは仕事を済ませてからね。それと運転する時は、安全に気をつけて」 「分かってるよ、大丈夫」 笑顔で応えるリューイにセシリアも笑顔で返し、ヴァイオレットも心地好さそうに笑みを浮かべる。 そして笑顔を浮かべたまま、ヴァイオレットは問い掛けた。 「2人は、どれぐらいこちらに居られるの?」 「しばらくは大丈夫です。室長やウボーさんから、皆さんと交流して欲しいと言われていますから」 「そうなの? 好かった。なら、しばらくこっちでホームステイすると良いわ。オッピーの屋敷には空きの部屋が多いから、そこを使って」 「ありがとう。なら、好意に甘えさせて貰うわね」 セシリアの応えに、ヴァイオレットは笑みを深める。 「嬉しい! ふふ、2人は甘い物は好き? 2人が来るって聞いてチェリーパイを焼いたの、ぜひ食べていってね」 運転を続けながらヴァイオレットは言葉を続ける。 「こちらにしばらく居れるなら、色々な場所を案内するわ。行きたい所があったら言ってね。それに会いたい人がいれば、出来るだけ会わせてあげる。オッピーやエア王、それに――」 僅かに迷うような間を空けて、ヴァイオレットは言った。 「姉さんの『昔』のことを知っている人に会いたいなら、探してみるわ」 「それって、セラがマドールチェになる前のことですか!?」 驚くリューイにヴァイオレットは応える。 「ええ。オッピーなら、ドールシリーズのことをよく知っているし、そこから辿れるかもしれない。姉さんが、嫌じゃなければだけど」 ヴァイオレットの申し出に、セシリアは呟くように言った。 「まさか、今になって昔を知る人と会うなんて」 「オッペンハイマーさんなら、セラの小さい頃の話が聞けるかな?」 「小さい……ああ、マドールチェになる前? 彼も知らないんじゃないかしら。私のような子どもが沢山いたという事だし」 そう言うと悲しそうな表情をするリューイに、セシリアは笑みを浮かべ応える。 「そんな顔しないで」 そして自分の心を落ち着けるように、窓の外から空を見上げた。 見上げた空は青く、どこまでも広がり、どこにでも行けそうな気がした。 (あの時と、同じ空ね) 起こしてくれたマスターであり、世界を見せてくれた恩人であり、恋人のような存在であった『彼』。 その時の旅路を思い出しながら、セシリアはリューイと共に、オッペンハイマーの屋敷へと向かった。
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*** 活躍者 *** |
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