~ プロローグ ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ 解説 ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ ゲームマスターより ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
|
||||||||
リシェ様、お力を貸して下さって本当にありがとうございました お怪我などなさいませんでしたか? お元気そうならほっとした笑顔 今日は 集落のお手伝いをしにきたんです 薬草も沢山持ってきました 何か必要なものがあったら教えてください カノンちゃんと一緒に 薬草園のお世話の手伝い 周りの人にも積極的に話しかけて 過去はなかったことにできないけれど… 世界も教団も昔と違う 皆で支え合える世界にするために がんばるの カノンちゃんは?何かしてみたいことはある? 戸惑うように揺れる瞳に微笑んで あなたの願いのため、夢のために いろいろ挑戦すればいいと思うの カノンちゃんのやりたいことなら わたしもシリウスも 応援するわ ね?とシリウスと目を合わせ |
||||||||
~ リザルトノベル ~ |
それは創造神ネームレス・ワンとの最後の戦いが終わり、一息ついた頃。 薔薇十字教団本部の地下にある監獄内。 そこに、カタリナと縁の深いエレメンツの青年が収容されていた。 『イヴル、また、会いに来てほしいの』 牢獄に居たエレメンツの青年――イヴルの脳裏を掠めた、あの日のリシェの懇願。 イヴルはリシェとの約束を果たすために、ヨセフに願い出ていた。 「許されぬことかもしれないが、私はカタリナとともに、リシェの集落の復興を手伝いたい。私達にとって特別な場所である――あの場所を元の集落に戻したいんだ……」 心から発したイヴルの切願。 感情が濁流のように押し寄せてきて、思考はまるで纏まらない。 だからこそ、それは言葉足らずの不恰好な申し出だったのかもしれない。 リシェの願いを叶えたい――。 けれど、たった一つ、自分達がやるべきことだけは分かった気がした。 見張りの者達が事の次第を伝えると、ヨセフは快く許可を出した。 「聖樹森に行くのなら手配しよう」 ヨセフはそう告げると、イヴル達がアルフ聖樹森に向かうための御膳立てを整えてくれた。 捕縛された者達を、アルフ聖樹森へと向かわせる手筈。 そこには様々な苦労があったはずだ。 ヨセフの計らいに、イヴルとドッペル――カタリナは感謝してもしきれなかった。 ● アルフ聖樹森には、森に溶け込んだ集落の数々が点在している。 穏やかに凪いだ空の下で、各地の集落の人々が銘々の時間を謳歌していた。 『リチェルカーレ・リモージュ』は、『シリウス・セイアッド』とドッペル――カノンとともにそのうちの一つの集落へと赴いていた。 かっては凄惨な残骸のみを残していたその集落は、徐々に復興への兆しを見せ始めている。 とはいえ、農地などの整地が進んできているという段階で、まだ建物の損傷は激しく、修繕が必要な箇所が多々あった。 「集落の復興にはまだ、時間がかかりそうね。お手伝いを頑張らなくちゃ」 思いを強めるリチェルカーレの言葉に、シリウスは僅かに瞳を細める。 木材や道具などを運んで集落を行き交う人々と森のざわめき。 やがて、幼い少女が集落の住民達とともに、復興に向けて話し合っている姿を見掛けた。 「リシェ様、お久しぶりです」 リチェルカーレの声に呼応するように、少女が嬉々として手を振る。 少女は、『ヴァルプルギス』一族の氏神となっている、八百万の神『リシェ』だ。 リチェルカーレ達は、彼女が氏神として祭られていた集落へと訪れていた。 最終決戦への助力のお礼も兼ね、集落の復興のために農作業と建物の補修などのお手伝いをするためだ。 「リシェ様、お力を貸して下さって本当にありがとうございました。お怪我など、なさいませんでしたか?」 「うん。大丈夫だよ」 リシェの屈託のない笑みに、リチェルカーレはほっとした笑顔を浮かべる。 「今日は、集落のお手伝いをしにきたんです。薬草も沢山持ってきました。何か必要なものがあったら教えてください」 「集落の……?」 リチェルカーレの申し出に、リシェは目を瞬かせた。 荒廃した集落を見て、リチェルカーレの胸に悲しみが広がる。 「この集落の人たちも、沢山辛い目にあってきた。カタリナさんのことを考えると、教団に複雑な思いを持つ人もきっといると思う」 リチェルカーレは瞼を閉じる。 無音の暗闇の中に、過去の出来事が泡のように浮かんでは消えていった。 「だけど、少しずつでも関係改善を、悲しみの連鎖は終わりにしたい。そのためのお手伝いがしたいんです」 リチェルカーレが再び、目を開けた時、その明眸には確かな決意が宿っていた。 彼女の想いが込められた言葉に合わせ、シリウスはリシェへ頭を下げる。 「……助力に感謝を。室長――いや、教皇もできるだけ支援をすると言付かっている。不便があったら言って欲しいと」 「……うん、ありがとう」 真剣な光を双眸に乗せて告げるシリウスの姿に、リシェは嬉しそうにはにかんだ。 ● 「カノンちゃん、行きましょう」 「ええ」 リチェルカーレはカノンと一緒に、農地へと向かおうとする。 シリウスもまた、建物の屋根や壁の補修をしている者達に加わるために踵を返した。 その時、ふと感じた一途な眼差し。 振り返ったシリウスは、こちらを窺い見るカノンの姿に少し表情を緩めた。 「……リチェのこと、頼む。さすがに迷子にはならないだろうけれど」 「分かったわ」 カノンはシリウスの思いを汲み取る。 そして、リチェルカーレとともに農地へと歩を進めた。 「ここに薬草園を作るのね」 リチェルカーレ達が訪れたその場所は、既に整地が終わり、土も耕されていた。 集落の人の話では、この場所は元々、多くの薬草が生えていた場所だという。 それは、リシェのお気に入りの場所の一つだった薬草園。 今では見る影もないが、いずれは昔のような緑豊かな園にしたい。 そう願った集落の人々が集まって、農地を整備していた。 「カノンちゃんは、この苗をお願い」 リチェルカーレはカノンに持ってきた薬草の苗を渡す。 「ここに薬草園ができたら素敵よね。カノンちゃん、頑張ろうね」 「リシェ様、喜んでくれるかしら」 「大丈夫よ」 カノンの揺れる眼差しに、リチェルカーレは包み込むように肯定する。 「俺達も手伝うよ」 「ありがとうございます」 リチェルカーレ達は集落の人々と協力し合いながら、苗と種を植えていく。 雲一つない、抜けるような青空。 冬の寒さが残る中、陽射しには微かな春の匂いがした。 シリウスは黙々と建物の屋根や壁の補修を行い、集落の人々の要望を叶えていった。 作業を終えたシリウスは一息つくように、農地を行き来する人々に視線を走らせる。 その時、よく見知った二人の姿が目に止まった。 (イヴルとカタリナ……?) 教団にいるはずのイヴルとカタリナが集落の復興の支援をしている。 意外な遭遇を前にして、シリウスは軽く瞬いた。 作業をこなしているイヴルとカタリナの表情は、前よりも穏やかで希望に満ち溢れているようだった。 シリウスはそんな二人を見て、少し安心したように目を眇める。 「イヴルさんとカタリナさん」 シリウスと同様に、リチェルカーレもまた、イヴル達の存在に気付く。 「カタリナ様に会うのは久しぶりだわ」 苗を植えていたカノンは、膨れ上がる期待と緊張を抑えながら心情を吐露する。 「イヴル様とカタリナ様とともに、リシェ様の集落のお手伝いなんてどきどきする。一緒に頑張れたら嬉しいな」 思い悩むカノンの気持ちを察したように、リチェルカーレは応えた。 「ねえ、カノンちゃん」 リチェルカーレは優しく語りかける。 「わたしだったら、大切な人が近くに来ているなら嬉しいな」 「……わたしも嬉しいわ」 カノンのその声は切実と不安に満ちている。 リチェルカーレはそんなカノンの心の迷いを一蹴するように微笑んだ。 「なら、難しく考えなくてもいいと思うの。ここの作業が終わったら、一緒に会いに行きましょう」 「ええ、ありがとう」 リチェルカーレの柔らかい声音に、カノンは花が綻ぶように笑った。 リチェルカーレ達が加わったことで、集落の復興は進んでいく。 リチェルカーレとカノンは、今度は別の場所に苗と種を植えるためにイヴル達の手伝いに回る。 「イヴルさん、カタリナさん」 「イヴル様、カタリナ様」 駆け寄ってきたリチェルカーレとカノンを見て、作業を行っていたイヴルとカタリナは驚きを滲ませた。 「お久しぶりです」 「お久しぶりですわ」 リチェルカーレとカタリナは再会を喜び合う。 「どうしてここに?」 「実は――」 リチェルカーレの疑問に、カタリナはここにいる顛末を説明する。 そんな二人の様子を見守っていたイヴルは、襲撃を受けて傷んだ建物の修復の手伝いをしていたシリウスのもとに足を運ぶ。 「久しぶりだな」 「……そうだな」 イヴルの呼びかけに、建物の修繕を行っていたシリウスは応える。 「ねえ、皆で一緒に作業したら、きっと楽しいわ」 「素敵ですわ」 リチェルカーレの誘いに、カタリナは顔を輝かせた。 「私達も、一緒に作業しても構わないか?」 「……ああ、構わない」 シリウスの言葉に、イヴルは強張っていた表情を緩める。 イヴルとカタリナは、リチェルカーレにサポートして貰いながら植え付けを続けた。 シリウスのおかげで集落の復旧は進み、リチェルカーレ達はイヴル達とともに農地の作業をこなしていく。 「カノンちゃんは、これからどうしていくの?」 リチェルカーレは種を植えながら、カノンに尋ねる。 「これから?」 「挑戦したいことをどんどんやればいいと思う。わたしはそれを応援するわ」 カノンの躊躇いを意識して、リチェルカーレは語りかけた。 「過去はなかったことにできないけれど……、世界も教団も昔と違う。皆で支え合える世界にするために、がんばるの」 リチェルカーレの眼差しは、胸のつかえが取れたようにまっすぐだった。 「カノンちゃんは? 何かしてみたいことはある?」 「わたしがしたいこと……」 戸惑うように揺れるその瞳に、リチェルカーレは優しく微笑んだ。 「あなたの願いのため、夢のために、いろいろ挑戦すればいいと思うの」 「わたしの願いと夢……」 カノンは胸に刻むように、リチェルカーレの言葉を反芻する。 「カノンちゃんのやりたいことなら、わたしもシリウスも応援するわ」 リチェルカーレはカノンを導くように、誓いを口にした。 溢れるほどの感情が、カノンの胸にこみ上げてくる。 しかし、どれ一つとして言葉にならない。 「ね?」 リチェルカーレはそんなカノンを後押しするように、シリウスと目を合わせる。 それはカノンの頭を撫でるように、優しい声音だった。 (わたし――) カノンの中で、沸き上がる願いが口を突いて出る。 「花が好き。イヴルの役に立ちたい」 懸命に紡いだカノンの想いに、シリウスは僅かに笑う。 「……いいんじゃないか? それがお前の意思なら、やってみればいい」 「……ええ。わたし、花が好き。イヴルの――イヴル様の役に立ちたい」 シリウスが静かな声で伝えると、カノンは朝の光のような微笑みを浮かべる。 「……イヴルでいい。カノン、ありがとう」 心から発したカノンの願いに応えたのは、イヴルの微笑。 カノンを見つめるイヴルの穏やかな表情、優しい眼差しが全てを物語っていた。 (……っ) その瞬間、涙の気配がカノンの瞳の奥に生まれる。 それでも涙が零れなかったのは、何物にも代えがたいリチェルカーレの温かい声援があったから――。 「人もドッペルも同じよ、カノンちゃん。一緒に願いを夢を叶えましょう」 リチェルカーレがそう発した瞬間、カノンの中で漲る力が全身を駆け巡った。 カノンの周囲を踊り狂う光の粒子。 やがて、その光が勢いよくカノンに伝播していく。 「これは上位種族への進化か……?」 「進化……?」 イヴルが口にした進化という発言に、シリウスは目を僅かに瞬かせた。 (この手に宿るのはきっと……守りの力。わたしはそう思ってる) 不可思議な力の到来が過ぎ去った後、カノンは胸中で決意を固める。 それは、カノンが自然系統の進化を得て、上位種族への成長の一歩を踏み出した日。 祝福を奏でる葉音に委ね、カノンは皆の視線を受け止める。 彼女の瞳に映る世界は、いつの間にか素晴らしい色に彩られていた。
|
||||||||
*** 活躍者 *** |
|
|
|||
該当者なし |