~ プロローグ ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ 解説 ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ ゲームマスターより ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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教団内の、ドッペルを保護している場所へ 久しぶりね、二人とも! アルエットとシエルのコンサート、ぜひ私達もお手伝いしたいわ あ、でも私達がここにいることは秘密にしておいてね 世界をめぐる遠い旅に出ていることになっているから 裏方として開催の手伝い ステージを借りてセッティング 招待状を出す、などなど… コンサート当日は舞台袖でこっそり見守る ステージに向かうアルエットにペンダント『レルヒェ・ヒンメル』を差し出し これは歌う時に緊張しないお守りよ 空を越えて歌声を遠くまで届けてくれるの あなたに貸してあげる 来られなかったイヴルやカタリナ達にも聴かせてあげて 演奏後には盛大な拍手を えっ…コルクが? 嬉しいわ…会いたかったの |
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~ リザルトノベル ~ |
歌声が聴こえた――。 それは、まるで天使の羽毛を思わせるような、柔らかい声音。 夕暮れに包まれた教団本部、その声楽部。 その柔らかな歌声に惹かれて、教団の人々が集まってくる。 声楽部では、黒髪の少女が一人で懸命に歌っていた。 まるで声楽部という空間を突き抜けて、空に、世界に、その歌声が響くのを願うように歌を紡いでいく。 「いいな、アルエットの歌……」 艶やかな黒髪を靡かせた少女――アルエットの澄んだ歌声に、青い髪のエレメンツの少年は聞き惚れていた。 少年は彼女の歌が大好きだった。 心惹かれるその歌声に浸りながら、少年は――シエルは胸の中で想いを口ずさむ。 (いつか、彼女と一緒にステージに立つことができるといいな) やがて、シエルはアルエットと一緒にステージに立つために楽器の練習を始める。 その努力は実を結び、彼女とともに音楽ユニットを結成するまでに至った。 ● 「アルエットとシエルに会うのは久しぶりね」 「きっと、元気でやっていると思うよ」 『リコリス・ラディアータ』の言葉に、『トール・フォルクス』は応える。 世界を巡る旅に出ていた二人は、お忍びでアークソサエティに戻り、ドッペル――アルエット達に会いに来ていた。 「ここに来るのも懐かしいわ」 リコリス達は教団内のドッペルを保護している場所へ向かう。 二人が部屋に入ると、見慣れた光景が広がっていた。 譜面が置かれた部屋の中で、和気藹々と語り合うアルエット達。 リコリス達が入ってきて幾何もしないうちに、アルエットとシエルが嬉々として駆け寄ってきた。 「久しぶりね、二人とも!」 「お久しぶりです」 アルエットはリコリス達の姿を目の当たりにして笑顔を咲き誇させる。 「あれからどうしていたんだ?」 「ああ。実は――」 トールの問いかけに、シエルはアルエットと二人で音楽ユニットを組んだことを説明する。 そして、近々、教団内で小さなコンサートを開こうとしていることを明かした。 二人が教団内で行う――小さなコンサート。 それを聞いたリコリスは顔を輝かせる。 「アルエットとシエルのコンサート、ぜひ、私達もお手伝いしたいわ」 リコリスはそこまで告げると、少し表情を引き締めた。 「あ、でも、私達がここにいることは秘密にしておいてね。世界をめぐる遠い旅に出ていることになっているから」 「一応、室長とかには許可をもらって会いに来てるから」 リコリスの言葉を追随するように、トールが補足する。 「上層部にはバレてるけどな」 重々承知していたことだが、トールは複雑な表情を浮かべた。 「秘密に、ですか?」 それは、秘密裏に動いていることへのアルエットの素朴な疑問。 トールはそんな彼女の気持ちを汲み取ったのか、照れくさそうに応える。 「ほら……旅に出ますっていったのに教団にいるのを見られるのは何となく気恥ずかしいし」 トールの気まずそうな口調に、二人は事情を察した。 「本来なら、イヴル様とカタリナ様もコンサートにお呼びしたかったのですが……」 アルエットは名残惜しそうに口にする。 開催するコンサートには、イヴル達も招きたかったのだが、彼らは捕縛されている身のため、招待することはできなかった。 それに今は、アルフ聖樹森のリシェの集落の復興へと出向いている。 「イヴルやカタリナ達の分まで、私達が協力するわ」 リコリスはアルエット達の望みを叶えるように、コンサートへの協力を申し出た。 ● アルエット達のコンサート開催までの期間、リコリス達は裏方として開催の手伝いを行った。 リコリスはステージを借りて会場内のセッティングをし、知人に招待状を出していった。 トールは力仕事や食事等を担当し、二人のサポートに回る。 本番に向けての練習は、主に声楽部で行われた。 まず、シエルが楽器を構え、弦に指先を走らせる。 研ぎ澄まされた表情で迅速に、かつ的確にコードポジションを変えていく。 それに合わせるように、アルエットは歌を紡ぎ始めた。 アルエットの澄んだ歌声とシエルの音色が作り出した演奏が声楽部を満たしていく。 開催の準備をしていたトールは、奏でられる演奏に耳を傾ける。 「シエルは弦楽器が得意なんだな」 「アルエットの話では、ドラムも出来るみたいね。きっと、シエルはアルエットと一緒にステージに立つために努力したのだと思うわ」 二人を見守るリコリスの胸には微笑ましい感情が芽吹いていた。 アルエット達が無事に晴れの舞台に立てるように、リコリス達は開催に向けて様々な手助けをしていった。 そして、向かえたコンサート当日――。 コンサート会場には、多くの観客で賑わっていた。 アルエット達が本番に向けて最終調整をしている中、リコリスとトールは舞台袖でこっそりと見守っている。 「あ……」 だが、大勢の観客を目の前にして緊張しているせいか、アルエットの表情は晴れない。 「待って、アルエット」 それでも勇気を振り絞ってステージに向かおうとするアルエットに対して、リコリスはペンダントを差し出した。 本物の雲雀の羽のような意匠をこらしたペンダント。 (あのペンダントは……) トールの記憶を刺激する――リコリスが差し出したペンダント、『レルヒェ・ヒンメル』。 それはハロウィンの時に、トールがリコリスに贈ったものだった。 「これは歌う時に緊張しないお守りよ」 「お守り……?」 リコリスは秘密を分け与えるように、アルエットにペンダントを付けてあげる。 「空を越えて、歌声を遠くまで届けてくれるの。あなたに貸してあげる。来られなかったイヴルやカタリナ達にも聴かせてあげて」 確かな想いを抱きながら、リコリスは願うようにアルエットを見つめた。 「はい、ありがとうございます」 ペンダントを身につけたアルエットは、その言葉の意味する所を身に沁みて理解する。 「今だよ。きっと、二人の演奏は気に入ってもらえる、頑張れ」 「はい」 トールの声援に、アルエットとシエルは意を決してステージへと向かった。 それぞれの立ち位置についた二人に、溢れるほどの歓声が沸き起こる。 「皆、今日は来てくれてありがとう!」 「私達の演奏を聞いて下さい!」 シエルとアルエットの挨拶を合図に、まるで魂を揺さぶるような歓声が響いた。 初めは戸惑っていたアルエットも、徐々に熱が伝播する。 アルエットの澄んだ歌声とシエルが弾く音色。 互いが互いを引き立て合うように奏でられていった。 その演奏は、観客の心に響き、胸を躍らせる。 (まるで、今のアルエットの気持ちみたいね) 舞台袖で見守っていたリコリスは、その歌声に耳を傾ける。 歌に刻まれたアルエットの想いを、一滴も零してしまわないように――。 二人が演奏を終えた瞬間、歓声が爆発した。 割れんばかりの拍手が巻き起こる。 「二人とも素敵だったわ」 「ありがとうございます」 演奏後、舞台袖に戻ってきたアルエット達は、リコリス達の盛大な拍手に迎えられた。 トールは二人を労い、提案を持ち掛ける。 「なあ、もし二人が進化して、教団の外を自由に行動できるようになったら、俺達と一緒に旅に出ないか?」 「旅に?」 シエルの疑問に、トールは噛み締めるように答えた。 「世界中の人にも聴かせてあげたいな」 トールは信頼するように、アルエット達の答えを待っている。 それは、世界中の人々に二人の演奏を届けたい、というトールの願い。 言葉に出来ない温かさが、アルエット達の胸に広がる。 それでも散らばった言葉の欠片を探すように、アルエットは想いを口にした。 「はい、私達も一緒に旅に出たいです……!」 「なら、決まりだな」 アルエット達の顔は、トールの頬が緩むくらい、期待に満ち溢れている。 アルエット達はずっと、教団の外を自由に行動できるようになりたいと願っていた。 しかし、アルエット達が自由に外に出て行くと、人間種族になったことへの反発で襲われたり、魔術の研究のために浚われたりする可能性がある。 そのため、アルエット達が進化――上位種族に一時的になれるまでは教団本部で保護する形になっていた。 「私達の演奏を、世界中の人達に届けたいです」 「そうだな」 アルエットとシエルは進化するという目標を抱き、決意を固めた。 その時、舞台袖に入ってきた少女を見て、トールはリコリスへと視線を向ける。 「ところで、リコにお客さんだよ。お忍びだけど、会いたかったんじゃないかと思って」 トールはとっておきの秘密を披露するように、招き入れた少女――コルクを紹介した。 「コルクのこと、ずっと気にかけてただろ? 少し話でもしたらどうかな」 「えっ……コルクが? 嬉しいわ……会いたかったの」 「コルクもずっと、おにーちゃんとお姉ちゃん達に会いたかったの」 久しぶりの再会を前にして、リコリスとコルクの表情は喜びに満ちていた。 「私も、コルクに会いたかったわ。でも、どうしてここにコルクがいるの?」 「実は、コルクの招待状に、コンサートの後に来てくれるように書いていたんだ」 リコリスの問いかけに、トールは種明かしをするように応える。 トールは開催準備をする合間を縫って、リコリスには内緒で、こっそりコルクの招待状にコンサートの後に来てくれるように書いておいたのだ。 「そうだったの」 トールの説明を聞いて、リコリスは優し気に微笑む。 「コルクは、あれからどうしていたの?」 「コルク、前に同行した浄化師のおにーちゃん達と一緒に、お母様に操られていた人達を元に戻したりしていたの」 リコリスの疑問に、コルクは今までの顛末を説明する。 「フィロ達に操られていた人達ね」 リコリスは過去の記憶を掘り起こす。 事の発端は、サクリファイスの幹部である義母――フィロ達が、サクリファイスの信者にする為に、魔力蓄積量が高い者達を浚って集めていた事に繋がる。 その際、抵抗出来ないように、薬品によってフィロ達の命令を遂行するだけの存在に変えられていた。 その状況は、創造神ネームレス・ワンとの最後の戦いが終わった後も続いていた。 だからこそ、コルクは今も利用されている人達を救いたいと願ったのだ。 その話を聞いたリコリスは確かな想いを伝える。 「なら、旅をしている途中で、コルク達に会えるかもしれないのね」 「また、会えるかな?」 コルクの願いを込めた呟きを聞いて、リコリスは小さく笑った。 「また、会えるわ」 コルクの不安を払拭するように、リコリスはきっぱりと断言する。 「自分から行動することって勇気がいることですもの。それだけでもコルクはすごいわ」 「……お姉ちゃん、ありがとう」 リコリスの言葉に、コルクは花が綻ぶように無垢な笑顔を浮かべた。 「洗脳された人達を助けたいという願いは、今も変わらないコルクの願いだと思う。それも手助けしてあげたい」 「ああ、そうだな」 真摯な祈りを込めて告げられた言葉に、トールは双眸に強い意志を宿らせる。 「旅の途中で見かけたら、元に戻してやろうな」 トールは決意を胸に、誓いを口にした。 胸に沁みる静寂の中、コンサート会場で聴いたアルエットの歌声がリコリスの耳の奥で蘇る。 夢見た外の世界は、どんな日も奇跡が溢れている。 永遠に変わらない想いを胸に、いつの日も輝く明日へ――。 心地よい震えを齎すそれは、楽譜(スコア)を描いて二人の旅路を祝福していた。
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*** 活躍者 *** |
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該当者なし |