~ プロローグ ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ 解説 ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ ゲームマスターより ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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うん…今日もいつも通り、異常なし 平和でいいね、メル 教団へ戻れば何やら騒がしく えっと……ニホンから帰ってきた、んですね お帰りなさい。あっちも、平和だと聞きました…… ニホンは、私の故郷のような…ものだし …?謎の物質を見つけた? それは……ーーーーそれに触るな!!!!(突然の大声) それを私に貸して、いいから、早くッ!! (これでもかと目を見開きながらゆっくり魔力を流して) これはだめ、何でこれがニホンにあったの おかしい、これは、これは……ああ、ああ (蒼白になりながらも鬼気迫る表情を浮かべ) ……もう、大丈夫(座り込み) これは、爆弾。ヒューマン以外に反応する 知ってる、だって私、これを使ったことがある |
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~ リザルトノベル ~ |
創造神との戦いが終わり月日が経った。 決戦の熱は消え、けれど記憶が薄れるほどには過ぎてない、そんな日々。 これまでのように直接的な危機を感じないで済むだけ、人の心は穏やかだ。 各地で復興も始まり、平和を人々は実感し始めている。 皆は日常という贅沢を、当たり前のように消費し始めていた。 とはいえ、だからといって何も起こらないという訳もなく―― 「こらー! 待ちなさい!」 「ひーっ!」 リュミエールストリートを逃げ回る元終焉の夜明け団を、『相楽・冬子(さがら・とうこ)』は追い駆ける。 「大人しく捕まりなさい! 悪いようにはしないから!」 「信じれるかー!」 振り向く事さえなく、すたこらさっさ。 魔術を使ってインチキ博打をしていると通報を受けて来てみれば、相手は元終焉の夜明け団。 捕まえようとしたらすぐさま逃げ出し、追い駆けっこの真っ最中。 「本当に、悪いようにはしないって!」 冬子は追い駆けながら必死に声を掛ける。 終焉の夜明け団は元は敵対組織だが、今となっては大元も居なくなり解散状態。 中には地下に潜ってあくどい事をしている者もいるが、今逃げているような相手なら、ちょっと厳重注意をするぐらいだ。 なのではあるが―― 「殺されてたまるか!」 必死に逃げる元夜明け団。 「だから大丈夫なの! 昔の教団とは違うんだから!」 事実を言われても信じられないのが人の常。 変わらず男は逃げ回り―― 「もう逃がさないです!」 先回りしていた『メルツェル・アイン』が立ち塞がって、挟み撃ちで捕まえた。 「はい、捕まえた」 後ろ手に縛り教団に連れて行くことに。 「ちくしょう……」 うなだれる男に、メルツェルは元気付けるように言った。 「心配しなくても、酷いことはしないのです」 「……ホントか?」 「本当よ。でも厳重注意は覚悟してね」 「……うぅ」 どこか気が抜けるように安堵する男に、メルツェルと冬子は目を合わせ苦笑すると教団に連行した。 男を引き渡し、2人は一仕事を終える。 「小競り合いはありましたけど、今日も平和でしたわね」 リュミエールストリートでの騒動も終わり、報告書を提出したメルツェルは笑みを浮かべた。 屈託のない彼女の笑顔を見ていると、冬子は心が軽やかになる。 冬子はメルツェルに応えるように笑みを浮かべ、明るい声で返した。 「うん。あの魔術師も絞られたみたいだし、これで今日もいつも通り、異常なし」 軽く背伸びをひとつ。 メルツェルと出会った始めの頃なら、こんな風に自然体で居られることなんてなかったけれど、今は違う。 笑顔だって、かつては力が入って硬くなってしまっていたが、今は意識せずに浮かべることが出来る。 これも世界が平和になったから。 それ以上に、なりよりもメルツェルと共に過ごすことが出来たからだと、冬子は思う。 (このまま平和が続きますように) 言葉には出さず、願うように冬子は胸中で呟く。 未来に希望を。 それは現在(いま)を共に生きてくれるメルツェルが傍に居てくれるからこそ、想える祈り。 きっと今、自分は幸せなんだと冬子は思う。 ずっとずっと、こんな日が続く筈だと、信じていた。 けれど―― 過去が現在に浮かび上がり、未来への暗雲を導き始める。 「トーコ。遠征組の人達が帰って来たみたいです」 ざわめきが聞こえ視線を向けると、ヒューマンで構成された浄化師のパーティが、何かを手に雑談をしながら歩いていた。 彼らのうち何人かは、指令で同行したこともあるので声を掛けに行く。 「お疲れさま。依頼から戻って来たの?」 冬子が声を掛けると、見知った顔の青年が応えを返してくれる。 「やぁ、2人とも。ちょうど今、ニホンから帰って来た所だよ」 「あら、ニホンから帰ってこられましたの? お帰りなさい!」 メルツェルは人懐っこい笑顔を浮かべ、するりと皆の輪に入る。 屈託のないメルツェルに、皆も自然と受け入れるように笑顔を返す。 彼女の様子に苦笑しながら、冬子も話に加わった。 「えっと……ニホンから帰ってきた、んですね。お帰りなさい。あっちも、平和だと聞きました……」 僅かに、想いに浸るように目を伏せる。 「どうした?」 冬子の様子に、青年が気遣うように聞き返す。 これに冬子は、少しだけ懐かしむような響きを声に滲ませ、応えた。 「ニホンは、私の故郷のような……ものだし」 「そっか」 冬子の応えに、あえて青年は明るい声で言った。 「なら、今度一緒にニホンに行くチームに加わるかい? まだ何度か行く必要があるから、2人が来てくれると助かる」 青年の提案に賛同する様に、青年のパートナーである女性が続ける。 「良いわね。人手が多い方が助かるし。仕事が終わったあとは、しばらく向こうで自由に過ごしても良いみたいだから、旅行に行くつもりで参加してみるのも良いんじゃない?」 「そうだな。仕事がてら、ちょっとした帰省ってのも、悪くないと思う」 「そう、ね……」 2人の提案に、冬子は曖昧な笑みで応えた。 申し出はありがたいと思うが、どこか二の足を踏んでしまう。 アンデッドである冬子は、記憶の一部が欠けている。 それは自らの死因も含めた、多くの過去。 欠けていることは、実感している。 けれど積極的に取り戻そうとしていたかといえば、そうではない。 どこか目を逸らすように意識せず、記憶を取り戻そうとはしなかった。 それはまるで、過去と向き合うことを恐れているかのように。 「……っ」 浮かび上がった気付きに、冬子は息を飲むと軽く目を伏せる。 けれど誰にも気づかれないよう、自分自身を抑える。 無言になる冬子。 すると彼女の代わりになるというように、メルツェルが口を開いた。 「それは……一体何かしら? 見たこともありませんわ」 ヒューマンの浄化師が手にした物に興味を示し尋ねると、彼女は見え易いよう、軽く掲げてくれる。 「今回の指令での押収資料よ。終焉の夜明け団の残党が持ってたみたいなんだけど、向こうでも見たことが無い物だって言うから、こっちに持って帰って調査して貰うことにしたの」 「ニホンでも見覚えがない? なるほど、調査ですのね」 視線を向ければ、そこにあったのは片手で摘まめるような大きさのもの。 「とはいえ、見た目はただの……平べったい……板……? 一体、何なんでしょう?」 「さて、俺達にはさっぱりだ。謎だねぇ」 (……? 謎の物質を見つけた?) 冬子は嫌な予感がして、伏していた視線を上げる。 すると謎の板を手に取ろうとするメルツェルの姿が目に入り―― 「それは……――それに触るな!!!!」 「トーコ……!?」 突然、大声をあげる冬子に驚き、メルツェルが手をひっこめると、冬子は彼女を庇うように前に立つ。 あまりの急変に皆は驚き、けれど冬子を信じるメルツェルは、冬子の意図を汲むように言った。 「……解りましたわ、ワタクシだけ? 他の方は?」 「他の皆もダメ! とにかくそれを渡して! 早く!!」 「……皆様、少しの間冬子に預けてくださいまし」 冬子の必死さと、メルツェルの懸命な頼みに、浄化師達は板を手渡す。 「危険な物なのか?」 「ええ、きっと危険です。だから名乗り出た……と……思いたいのですが……」 メルツェルは冬子に事情を聞きたいと思うも、これでもかと目を見開きながら、謎の物質を手にする冬子に何も言えなくなる。 (冬子……) 顔面蒼白になりながら、焦りを飲み込み謎の物質を調べる冬子をメルツェルが心配して見詰めているが、冬子にはメルツェルの心配に返す余裕はない。 (これはだめ、何でこれがニホンにあったの) 手触りと質感。外見と重さ。その全てが、記憶の奥底から浮かび上がってくる。 人外爆殺符。 かつて大華を支配した文明圏が造り出した、文字通り人外を殺すための兵器。 ヒューマン以外を人間と認めなかった文明が作ったそれは、ヒューマン以外が手にすることで発動準備に入る。 (起動経路は……ダメ、これじゃない) ゆっくり魔力を流し、機能を封殺する魔力経路を探る。 (おかしい、これは、これは……ああ、ああ) 知っている。その筈なのに、何かが違う。 (記憶を無くしているから? 違う! そうじゃない!) 細かな仕様が違う。 冬子が知っている物に比べれば、これは作りが雑な上に込められた魔力も低い。 例えるなら、オリジナルを元にした質の悪いレプリカ。 安価な大量生産品のような物だと理解する。 だがそれでも、今ここで発動してしまえば、この場に居る皆は無傷では済まない。 「トーコ……」 冬子を心配するメルツェルの声。 それが冬子に力をくれる。 諦めなんかぶっ飛ばし、迫りくる悪意をねじ伏せる。 (この――) 「メル、アブソリュートスペルを!」 手を伸ばす冬子に、メルツェルは手を重ね魔術真名解放。 「貴女の為に、最善を」 今まさに、それを成す時。 詠唱と共に解放された魔力回路は、封印時の数倍の魔力を精製。 生み出した膨大な魔力を、爆殺符に流し込む。 (――ここだ!) 強力な魔力を流された符は主要回路に負荷が掛かり、発動経路を露わにさせる。 (込められてる魔力の属性は火。私の魔力属性は水だから、相克で無力化できる!) 全身の魔力を振り絞り、爆殺符の主要回路に流し込む。 相克現象により込められた魔力は消え失せ、流し込んだ魔力により主要回路を焼き切った。 ビキッ! 爆殺符に罅が入り、無力化される。 「……もう、大丈夫」 ぐったりとした声で、力なく冬子は、その場に座り込む。 「終わりましたの? よかった……」 安堵の声を上げるメルツェルに、張り詰めていた冬子は息をつく。 そんな彼女に、爆殺符を持って来ていた浄化師が尋ねる。 「それは、結局なんだったんだ?」 「これは、爆弾。ヒューマン以外に反応する……でも、発掘された本物とは違う……きっと、オリジナルを元にした模造品……」 「冬子……まさか記憶が?」 メルツェルの問い掛けに、力なく笑いながら冬子は応える。 「知ってる、だって私、これを使ったことがある」 「……っ」 冬子の応えに、メルツェルは思わず息を飲む。 なぜならそれはきっと、冬子がアンデッドとして蘇る前の、生前の出来事だからだ。 (冬子……) あまりのことに何を言えば良いのか分からないメルツェルの代わりに、浄化師達のリーダーが言った。 「詳しい事情を話す必要があるだろう。これからヨセフ教皇の元に報告に行く。2人とも、一緒に来てくれるな?」 「……ええ」 よろりと力なく立ち上がる冬子に、メルツェルは寄り添い手を繋ぐ。そして―― 「トーコ。一緒に行きましょう。ワタクシも一緒です」 「……ありがとう」 繋いだ手を握り返し、冬子はメルツェルと共に、皆とヨセフの元に向かうことにした。
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*** 活躍者 *** |