~ プロローグ ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ 解説 ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ ゲームマスターより ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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現れた青年と人形遣いに 強い眼差しを ここには沢山の人が眠っているの 命の大切さがわからない人たちが作る世界なんて わたしは嫌よ 前に出ようとするシリウスを引き留め 抱きしめる …忘れないで 皆一緒よ 魔術真名詠唱 前衛の仲間に禹歩七星 回復や支援をしながら シリウスを見る 平静を装っているけど 限界が近いのがわかる 何か、何かわたしにできること…! 必死に何かを伝えようとするリーフィに導かれ 大きな樹の影に ーあなたは、誰? 無垢な眼差しと 抱える魔力に正体に気づく 聞こえる?ここに眠る人たちの声が 助けたいの 解放したいの …誰より大好きな彼のためにも お願い、力をかして! 戦闘後 膝をつくシリウスに抱きついて 血の滲む拳を包み込む |
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~ リザルトノベル ~ |
「よく来てくれた。忙しくは無かったか?」 ヨセフに呼ばれた、リチェルカーレ・リモージュとシリウス・セイアッドは返した。 「いえ、大丈夫です」 「事件でもあったのか?」 シリウスの問い掛けに、ヨセフは説明した。 「救世会のレプリカントが拠点としている廃村がある」 ヨセフの言葉に、2人は表情を引き締める。 (大華で会った、あの人も……) 少し前。大華に訪れた際、リチェルカーレ達の前に立ちはだかった青年のことを思い出す。 (世界を救う……皆で助け会う世界を作りたい。願いは同じはずなのに……) 目を伏せるリチェルカーレを、シリウスは気遣う。 2人の様子を見たヨセフは言った。 「君達には、現地調査の主要メンバーになって貰うつもりで呼んだ。だが、断ってもいい」 怪訝な顔をするシリウスに、ヨセフは続ける。 「拠点となっている廃村の名は『フィノン』。シリウス・セイアッド。君の生まれ故郷の村だ」 「――っ」 シリウスは息を飲み、血の気が引く。 「……シリウス」 心配し寄り添うリチェルカーレをシリウスは手で制し、ヨセフに言った。 「……本当なのか?」 シリウスの言葉に、ヨセフは資料を取り出す。 「以前、教団に侵入してきたレプリカントの少女から渡された資料を元に調査をしていたのだが、その内のひとつが『フィノン』だ」 ヨセフは資料を渡しながら続けた。 「セパル達の調査によれば、拠点と共に『フィノン』にある何かを求めレプリカントは駐留しているらしい。推測によれば、『フィノン』が壊滅する原因となったものだ」 「それって――」 リチェルカーレの問い掛けに、ヨセフは応える。 「恐らくは高位べリアルだ。何らかの形で封印され、そこから逃れるために仲間を呼び、同時に高密度の魔力を放出していたため、ベリアルとヨハネの使徒、その両方を引き寄せる結果となった、と推測できる」 「……」 シリウスは無言のまま、ヨセフの言葉を聞き続ける。 その顔は真っ青で、今にも倒れそうだ。けれど―― 「分かった……現地に向かう……」 「シリウス」 「大丈夫だ……行かないと、いけないんだ」 決意を宿すシリウスに、ヨセフは言った。 「サポートは全力でする。連携が取り易いよう、ルシオとカミラに同行要請を出している。それとセパル達も随行する。調査などの細かい所は任せるといい」 そこまで言うと、警戒を促すように続ける。 「今回の件には、ほぼ間違いなく人形遣いが関わっている。高位べリアルを封印できる術を持っている者で、当時秘密裏に行えるのは奴ぐらいだ。奴の狙いは分からんが、ろくなものでないのは確実。気をつけてくれ」 ヨセフの言葉に、2人は頷いた。 そして今、フィノンの前にまで来ている。 「……シリウス、本当にいいの?」 顔面蒼白のまま、生まれ故郷に近付くシリウスに、リチェルカーレは言った。 「皆も心配しているわ。貴方の代わりに、わたしが……」 シリウスは、唇を震わせてリチェルカーレを見詰めたあと、決意を示すように首を振る。 「……俺は行かなきゃいけない、と思う」 その意志は固く、同時に助けを求めるような脆さを感じさせる。 だからこそ、シリウスはリチェルカーレに助けを求めた。 「区切りをつけるためにも、行かなきゃいけない……ただ――」 寄り添ってくれるリチェルカーレを求めるように、シリウスは見詰める。 想いに応えるように、リチェルカーレは手を差し出した。 「……頼む。側にいてくれ」 シリウスは震える手で、リチェルカーレが差し出してくれた手を握る。 それは縋るように、痛いぐらい強く。同時に確固たる意志を表しているかのようだった。 「逃げたくない。逃げる訳にはいかないんだ」 「もちろんよ。ずっと側にいる、シリウスが嫌だと言ったって、ずっと」 2人だからこそ、より強くなれる。 それを体現しているかのようなリチェルカーレとシリウスを護るように、前方にはセパル達が、後方をルシオ達が付いて来てくれている。 周囲が気遣ってくれていることを感じ取り、シリウスは応えるように前へと進む。 人の手が入らなくなって月日が経っているため道のりは険しかったが、やがて壊れた石畳の道へと辿り着く。 「……」 無言でシリウスは石畳の道を見詰める。 もはや遠い、幸せだった子供の頃の想い出。 そこへと通じる道だと、痛いほどに思い出す。 「行かないと……」 決意を胸に、さらに進む。 やがて見えてくる蔦の絡む建物。 ずっと帰りたいと願った、故郷の姿。 郷愁が胸を打つ。 けれどそれに溺れてしまわないよう、自らを奮い立たせていると―― 「また貴様らか」 舌打ちするような声が聞こえてきた。 声の主に視線を向ければ、そこに居たのは大華で出会ったレプリカントの青年。 その傍らには、ゾンビと化した人形遣い。 「ちょろちょろと数日前から周囲を探っているのは分かっていたが、まさか貴様らだったとはな」 煩わしそうに舌打ちする青年に、はっきりとした声でリチェルカーレが言った。 「ここには沢山の人が眠っているの。荒らすような真似は止めて」 「俺に指図するつもりか。旧人類ふぜいが」 嘲笑うように青年は言った。 「身の程を知れ。我らが歩みは救世への道標。その邪魔をするというのなら、それは真に在るべき世界を創るための障害だ。来るべき世界のため、貴様ら劣等種を駆除するのに手心をくれてやる気は無い。道理を欠片でも知るなら、去れ」 「嫌よ」 リチェルカーレは即座に言い返した。 「命の大切さがわからない人たちが作る世界なんて。わたしは嫌よ」 「……身の程知らずが」 苛立たしげに青年は言うと、無数の口寄せ魔方陣を展開。 それを見て前に出ようとするシリウスを、リチェルカーレは抱きついて全力で止める。 「……忘れないで。皆一緒よ」 リチェルカーレの言葉を証明する様に、ルシオ達が連携するために近付く。 その間も召喚は続き、無数の死人兵が現れる。その内の1人を見て、シリウスの血の気がさらに引く。 シリウスの様子に、青年は嘲笑うように言った。 「人形遣いがストックしていた死人兵だ。材料は、この村の人間。お前も仲間に加えてやろう、吸血鬼」 故郷の人々の姿に、シリウスは一瞬だが喘ぐような呼吸を見せる。 彼の様子に気づいたウボーが言った。 「一端下がれ。お前が苦しむ必要はない」 だがシリウスは首を振る。すると―― 「好きに動いて。シリウス」 ルシオが支えるように言った。 「俺達が支えるよ。だから、好きに動いて良いんだ」 「……すまない」 仲間に、そしてリチェルカーレに支えられ、シリウスは独りではないと実感する。 だからこそ―― 「……ただいま、皆」 故郷の皆と向き合い、想いを告げた。 「解放する、から。待っていて」 シリウスの想いを強めるように、リチェルカーレは魔術真名を解放。 「黄昏と黎明、明日を紡ぐ光をここに」 全力を持って対峙する。そんな彼らの姿に―― 「調子に乗るな! 劣等種と吸血鬼如きが!」 レプリカントの青年は無数の死人兵を操り攻勢に出て来る。 それを少しでも早く収めようと、シリウスは全力で前に出た。 ソードバニッシュで一気に距離を詰め青年を斬り伏せようとするが、死人兵が立ち塞がる。 (ごめん) 罪悪感を飲み込み、シリウスは刃を振るう。 シリウスの勢いは荒まじく青年を追い詰めようとするが、その度に死人兵が現れ壁となる。 「おのれ。人形遣い何をしてる! 邪魔な奴らを倒せ!」 青年はシリウスの猛攻を捌きながら、支配下にある『はず』の人形遣いに命令を出す。 人形遣いは無数の死人兵を同時に操り、シリウスに側面から襲い掛かろうとするが、それをルシオやセパル達が押し留めた。 一見すると、シリウスが猛攻で押しているように見えるが、限界が近いのはリチェルカーレ達には分かる。 (何か、何かわたしにできること……!) 皆の援護をしながら焦るリチェルカーレに、リーフィが注意を引くように鳴き声を上げた。 「ぴー! ぴぴぴ、ぴー!」 (何かあるの?) リーフィに導かれ、大きな樹の影に向かうと、そこには1人の少女が居た。 「――あなたは、誰?」 耳の辺りに茉莉花の花群の生えた少女は、戦い続けるシリウス達に視線を向ける。それはまるで―― 助けたい? そう言っているかのようだった。 「助けたいの。解放したいの」 リチェルカーレは想いを告げる。 「聞こえる? ここに眠る人たちの声が」 村人達の安穏を願い。 「……誰より大好きな彼のためにも。お願い、力をかして!」 シリウスを想い、心をさらけ出す。 それに少女は応えた。 「その願いを持って契約の証しとしましょう」 少女の言葉と共に、リチェルカーレとの因果線が結ばれ契約が成される。 同時に少女は、花をつけた角を持つ金色の小鹿へと変わり言った。 「私は随行型補助系の宝貝。同行するだけで貴女の魔術の強化を成すわ。けれど今はそれよりも、能力解放を行いなさい」 「能力解放……?」 「貴女の願いを私が力に変える。願いなさい。今、何をどうしたいか」 宝貝の言葉に、リチェルカーレは願いを込める。 (皆の解放を――) それがリチェルカーレの宝貝、第一の特殊能力として開花した。 リチェルカーレを中心として力場が広がり、それに触れた死人兵達は次々倒れ伏す。 「馬鹿な! 隷属の魔力線が消え失せただと!」 驚愕する青年。 そしてシリウスは、今の状態を齎したリチェルカーレに呆然とする。 シリウス1人では、この状況に辿り着くことは出来なかっただろう。 全ては、リチェルカーレを含めた皆が居てくれたから。 忘れないで。皆一緒よ。 リチェルカーレが与えてくれた言葉と共に、父と母の顔が思い浮かぶ。 独りじゃない。 それを実感として胸に抱き、一瞬目を伏せ―― 「光は降魔の剣となりて、全てを切り裂く」 黒炎解放。 皆の助けを背に受けながら、全力を振り絞る。 「貴様!」 気付いた青年が近付けまいと無数の魔力弾を生み出し射出。 避け切れない。しかし―― 「馬鹿な!」 青年は驚愕する。 放たれた魔力弾は、シリウスを貫こうとするが全てが通り抜ける。 『霧化』 それは体の一部を一時的に霧と化すことで、物理的干渉から逃れる真祖の技。 「上位種族の力を、吸血鬼如きが!」 喚く青年を斬り伏せる。 「ガハッ!」 傷が深いのか、青年は後退し、人形遣いに転移用の魔方陣を造り出させる。 「おのれ、覚えておくぞ、吸血鬼!」 捨て台詞を残し、青年は人形遣いと共に消え失せた。 「シリウス!」 全力を出し過ぎ、膝をつくシリウスにリチェルカーレが駆け寄る。 彼を抱きしめ、癒そうとするかのように血の滲む拳を包み込む。 「……大丈夫だ」 心配を掛けまいとするシリウスの言葉に、より強く彼を抱きしめながら、リチェルカーレは歌を奏でる。 それは鎮魂歌。 涙を流しながら、リチェルカーレは魂の安らぎを願い歌い続ける。 「……リチェ」 リチェルカーレの涙に、シリウスは茫然としながら、村人達の鎮魂を祈る。 「……これで皆、眠れるだろうか」 シリウスの想いに応えるように、歌は空へと届いていった。
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*** 活躍者 *** |
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